※この作品はR-18です。

このすばらしい仲間と恋愛を!   作:てつろう

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約4000字あります。


諦めない女達 アクアのターン!(後編)

 

 

 

 

翌日。窓からさす日光の影が短くなりもうお昼になった頃、ドンドンと扉を叩く音が聞こえる。あまりにも強く扉を叩くのでドアが壊れてしまうのではと思うほどだ。まためぐみん達がやって来たのだろう。私は文句の一つでも言ってやろうと玄関へ向かう。未だドアを叩く音が鳴り響く中私は扉を開けた。

 

『ゴッドブロー!』

 

ドアを開けてすぐに私は聖なる拳を突き出した。

 

 

「ふごっ!!」

 

 

私の拳は相手の顔面にクリーンヒットする。だが、そこに居たのはめぐみんでもダクネスでもない。

 

 

「カズマさん!?」

 

 

玄関の前にいたのはカズマさんだった。私は急いで殴ってしまった彼にヒールをかけてあげる。

 

 

「お前!会って早々殴りかかってくるやつがあるか!」

 

 

カズマさんは腹を立てている。だが、私は彼に会えたことが嬉しくて彼に思い切り抱きついてしまった。

 

 

「おい、どうしたんだアクア?」

 

 

私は何も言わずに彼の体を包み込む。彼特有の匂いがした。めぐみん達から彼を奪うことは出来ないけれどこれくらいならしてもいいだろう。

 

 

「しばらくこのままでいさせて」

 

 

私の言葉に彼は何も言わず抱擁を受けていた。彼なりに思う所があったのだろう。そのまま数分抱きしめた後私はそっと手を離した。

 

 

「おかえりなさいカズマさん」

 

「ああ、ただいま」

 

 

私は彼を屋敷の中へ通しお茶を渡す。少し会っていない間に彼はどこか大人びていた。既に結婚して子供ももうすぐ産まれるからだろう。

 

 

「お茶ありがとな。お湯だけど」

 

 

それから私達は会話に花を咲かせる。一ヶ月ぶりの彼との二人きりの会話に私は笑みを零す。誰にも邪魔されることのない時間だった。

 

 

「そういえばめぐみん達がこの屋敷に帰って来なかったか?子供が産まれるまでアイリス達と別居するって聞いてたんだけど」

 

 

めぐみん達なら昨日私が追い出したばかりだ。今日はカズマさんも私にではなくめぐみん達に会いに来たのかもしれない。そう考えるだけで少し胸が痛かった。

 

 

「さ、さあ知らないわよ?」

 

 

カズマは私が嘘をついてるのに気づいていたかもしれないがそれ以上詮索してくることはなかった。

 

 

「カズマさんはどうして屋敷に帰ってきたの?アイリス達の相手はしなくて良かったのかしら?」

 

 

私の言葉を聞いたカズマの表情が一瞬曇る。あまり言いたくない話だったのだろうか。彼は逡巡した様子を見せたが話し始めた。

 

 

「それがさ……最近アイリスとクリスの仲を取り持つのにも苦労しててさ。毎日喧嘩ばかりしてるんだよ。それに嫌気がさしてここまで逃げてきたんだ。」

 

 

私からすればカズマは贅沢な悩みを持っていた。カズマと違って私はずっと一人ぼっちでこの屋敷で暮らしていた。喧嘩できる人がいるだけマシだと思う。彼の話を聞いていると自分がとても不幸な人間のように思えて仕方なかった。

 

 

「そういえばさ、めぐみんやダクネスの子供が産まれたらアイツらと結婚式を挙げようと思ってるんだ。」

 

 

やめてカズマさん……これ以上あの娘(こ)達の話をしないで……。

 

 

「アクアが良ければなんだけど結婚式の時の神父役をアクアがしてくれないか?」

 

 

なぜ私があの娘(こ)達の結婚を祝福しないといけないのだろう。私だってカズマさんの事が好きなのに。

 

「…………」

 

私は何も言わなかった。これ以上自分に嘘をつくのが嫌だったからだ。私の沈黙を肯定と受け取ったのかカズマは話を切り上げる。

 

 

「ありがとなアクア。じゃあ俺はそろそろ帰るよ。俺がいない間にクリス達がまた厄介事起こしているだろうし」

 

 

カズマは帰ろうとして席を立つ。このままカズマが帰ってしまえばもう二度とカズマに会えない気がした。

 

 

「……嫌」

 

 

私はカズマさんの腕を掴む。彼の腕は男の子らしくゴツゴツしていた。その感触が一層私の気持ちを駆り立てた。

 

 

「どうしたんだよアクア」

 

「カズマさんが帰るのなんて嫌……。お願いだからここに居て……」

 

 

遂に言ってしまった。私はめぐみん達からカズマさんを奪おうとしている。でも、自分の気持ちが抑えられなかった。今ここで行動しなければ私はずっと一人で生きていかないといけない気がしたから。

 

 

「でも、アイリス達が待ってるしさ。それなら月に一度くらい屋敷に帰ってくるよ。これで寂しくないだろ?」

 

「嫌よ。もうカズマさんと離れたくないの。……だから一緒に天界へ行きましょう?」

 

 

私は女神としての権能を使い光の柱を出現させる。私はカズマさんの腕を掴んだまま一緒に光の中へ入った。

 

 

 

+

 

 

 

ここは天界。普段は死者の案内や女神としての事務処理を行う場所だ。そんな場所に私はカズマさんを連れてきてしまった。

 

 

「おい、本気で俺を返さないつもりか?」

 

「お願いカズマさん。今日一日だけでいいの。私の我儘を聞いてちょうだい。」

 

 

久しぶりに私のワガママを彼に伝えた。彼は暫く私の事を見つめていた。鼓動が早くなるのを感じる。

 

 

「……分かったよ。今までアクアにはお世話になったからな。少しくらいなら付き合ってやるよ。」

 

 

彼が私の言うことを聞いてくれてほっと一息つく。

私はふとポケットにある写真の事を思い出した。写真を取り出して見てみるとカズマさんが笑っている。私は今までこの写真に慰められてきた。

だが、私は写真を一思いにビリビリに破いた。

 

 

「おい、急に写真を破ってどうしたんだよ」

 

 

カズマさんが私の行動に驚いている。でも、私は笑みを浮かべたまま答えた。

 

 

「もうこの写真は必要ないのよ」

 

 

私は破り捨てた写真をゴミ箱に入れカズマさんに向き合う。

 

 

「カズマさん……私にキスしてくれないかしら……?」

 

 

私は上目遣いで言う。私の猫なで声にカズマは翻弄されたようで私の顎にそっと手を当てキスをした。

 

「……んっ……」

 

彼の顔がこんなにも近くにある。私はドキドキしながら彼とのキスを楽しんだ。

 

 

「ねえ……キスだけで終わり……?」

 

 

私の口から皆まで言うのは良くない。カズマにリードして欲しかった。女ならカッコイイ男の人に滅茶苦茶にされたいと思うのは当然だろう。

 

 

「アクア、これ以上は本当にマズイって……。本当に理性が持たないから。」

 

 

カズマは中々私を襲おうとしなかった。折角の二人きりの空間なのに。この男はどこまでヘタレなのかしら。

 

 

「私、カズマさんのことが好き。」

 

「……お、おう。でもめぐみん達が怒るから……」

 

 

私は何か言おうとしていたカズマの口を塞いだ。先程とは違いディープキスだ。舌をカズマさんの口の中に入れ唾液を交換し合う。彼の口内は温かくて頭がボーッとしてきた。

 

 

「カズマさん、服脱いで……。」

 

 

私の言葉にカズマさんは自分の服に手をかける。彼の裸体が私の前に晒されようとしたその時だった。

私達のいる部屋に突如光の柱が現れる。光の方に目をやると、中から現れたのはエリスだった。

 

 

「そこまでですアクア先輩」

 

 

私達の情事を邪魔しに来たのだろうか。服を脱ごうとしていた私達は警戒しながらエリスの方を向く。

 

 

「何しに来たのよエリス。」

 

「天界からカズマさんの様子を見ていたら急にカズマさんがアクア先輩と天界に行く様子が見えたものですから。先輩には忠告したのでもう大丈夫だと思ってましたが、油断してましたね。まさかカズマさんを奪われるなんて思ってもいませんでした。」

 

 

エリスはカズマさんに近づいてくる。私は彼をも守ろうとエリスに威圧するように立ち塞がった。暫く私とエリスは見つめ合う。

 

 

「エリス、昔からあなたとは本気で語りたいと思っていたのよ。いつも腹黒いあなたは自分の本心を中々言わないものね。」

 

「私も先輩とは本気で殴り合いたいと思っていました。いつも私に仕事ばかり押し付けてきて……仕事もテキトーですし。ここで私達の関係をハッキリさせましょう。」

 

「いざ勝負よ!」

 

 

それから私達は殴り合いの大喧嘩をした。エリスが私の首を絞め上げて窒息させようとしたら私がエリスの腕に噛みつき反撃したり、私がエリスにサソリ固めをしたと思えば抜け出されて顔面に足蹴りを食らったり……。数十分後には私達はフラフラになりながら交互に相手をビンタするようになっていた。

 

 

「はあ……はあ……中々先輩もしぶといですね……」

 

「はぁ……これで終わりよエリス!」

 

 

私はさっきまでビンタしていたにも関わらず拳を握りしめて渾身のパンチをエリスの頬にぶつけた。先日、カズマさんに使ったゴッドブローだ。ビンタが来ると思っていたエリスは私の攻撃を受けてその場に倒れる。それを最後に立ち上がることはなかった。

 

 

「はぁ……私の勝ちよ……!これでカズマさんは私の物ね……!……あれ?」

 

 

遂にカズマさんを手に入れたと思ったが、振り返ると誰もいなかった。カズマさんはどこに行ったのだろう。

 

 

「先輩が私との喧嘩に夢中で気づいていませんでしたがカズマさんならテレポートで地上に帰りましたよ。ふふっ、カズマさんは私の物ですね。」

 

 

そんな……。カズマさんが私の事を選ばないなんて……。いや、薄々私も分かっていたはずだ。私はずっとカズマさんに女として見られていないことを。

その時だった。突然、カズマさんがテレポートで天界に戻ってきた。

 

 

「ただいま……うわっ、お前ら酷い怪我だな……大丈夫か?」

 

 

私もエリスも言われて初めて自分の現状に気づいた。こんな姿をカズマに見せるのは良くない。私達は自分に回復魔法を唱える。時間を逆再生してるかのように肌は戻っていき元の綺麗な肌になった。

 

 

「戻ってきたんですねカズマさん、きっと地上は日も暮れてるでしょうし私達は帰りましょうか」

 

 

エリスが両腕をカズマさんに向けて開く。このままカズマさんは彼女と帰ってしまう。

そう思ったが、カズマさんは腕を開くエリスの横を素通りして私の前に立った。

 

 

「迎えに来たぞアクア」

 

 

カズマさんはエリスじゃなくて私を選んだようだ。

 

 

「カズマさんカズマさん……!」

 

 

私は彼の名前を連呼しながら抱きつく。カズマさん特有の匂いがした。この匂いは私を落ち着かせてくれる。

 

 

「なんで……どうして……!どうしてアクア先輩を選ぶのですか!第一夫人は私ですよ!」

 

 

エリスは悔しそうな表情だ。私は遂にカズマさんを手に入れた喜びで彼女の話などまるで耳に入ってこなかった。

 

 

「なんだかんだでアクアは一番長い付き合いだからな。見捨てられないんだよ。そういえばエリス様、聞いた話によると死んだ後に俺の魂をエリス様が手に入れようとしていたらしいじゃないですか」

 

「そ、そうです!カズマさん、死んでからは私と一緒に過ごしましょう!」

 

「俺の死後はアクアと一緒に暮らします。死んでからもずっと一緒だぞアクア」

 

 

私は彼の言葉に耳を疑う。これは夢じゃないかしら。本当にカズマさんが私のことを選んでくれているのかしら。

 

 

「カズマさん、ずっと一緒にいましょうね!」

 

 

私は笑みを浮かべながらカズマの胸に抱かれる。私も遂に幸せを掴むことが出来たのだ。

 

 

 

 






クライマックスがちゃんと盛り上がってるのかよく分かりません……。おかしい場所や改善した方がいい場所があれば遠慮なく誤字報告や感想で教えてください。自分では中々気づかないものですから……。
因みに次回が最終回になると思います。
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