このすばらしい仲間と恋愛を! 作:てつろう
大体5000字を目処に書いています。今回はちょっと長めかも
アクセルからテレポートした俺たちは今、王城の門まで来ている。王都はアクセルの街に比べて人通りも多く、様々なお店が並んでいた。
「そこで止まれ!ここから先は立ち入り禁止だ!そのまま去るんだ!」
「おいおい俺は魔王を倒した勇者のカズマさんだぞ?知らないのか?ほれアイリスからの招待状もあるぞ」
俺はアイリスからの手紙を渡す。それを見た門兵はみるみる青ざめていき
「これは失礼しました!サトウカズマ様。私が案内しますのでどうぞこちらに」
やがて応接室だろうか、小綺麗な部屋に通されると青いフードを被った女、レインがいた。
「さ、サトウカズマ!?なぜあなたがここに!?ダスティネス卿、サトウカズマを来させないようにする手筈では!?」
「すまないレイン、予定通りカズマは1度拘束したのだが、何故か逆に私が拘束されてしまってな。あの時のことを思い出すと……んっ……!」
そんな事をダクネスと約束してたのかよ。これは前回記憶を消された時の分まできっちりお礼しなくてはいけないな
「お兄ちゃん!」
奥の扉からアイリスが顔を出す。アイリスはそのまま俺の元へ駆け寄ってくるが、めぐみんが俺を守るように立ち塞がる。
「なんですか?めぐみんさん。私はお兄ちゃんに用があるんですよ?」
「カズマのことをお兄ちゃんと呼ぶのはやめてもらおうか。それと私はカズマの護衛です。カズマに近づく者は何人(なんぴと)たりとも通しません。」
めぐみんは昨日俺がクリス、アクアとキスしたのを見た時からこの調子だ。俺が他の女に誑かされないように見張っているらしい。
「なぁめぐみん、アイリスは俺の義妹だから家族みたいなものだ。変な目で見たりしないからそんなに警戒しないでくれよ」
「何言ってるんですか。カズマは前回アイリスの誘惑に負けて王城に1人残ったでしょう。アイリスも私の敵です。」
めぐみんはアイリスと掴み合いの喧嘩をしている。相変わらずうちの連中は騒がしいらしい。
「ほらめぐみんもアイリスもそこまでにしておけ。それとアイリス、久しぶりだな。前回は無理やり追い出されたもんな。」
「はい!クレアとレインにはちゃんと怒っておきましたよ!」
そう言ってアイリスは無邪気に笑う。今のアイリスは昔の引っ込み思案な様子はほとんどない。年相応の少女といった感じだ。
「お兄ちゃん、早速お部屋に案内しますね。パーティの開催は2日後ですから。」
「あれ?パーティは今夜開催じゃなかったのですか?」
後ろからゆんゆんが質問する。俺がアイリスから貰った手紙には確かに今夜開催と書かれていたはず。
「その事なんですが……私がお兄ちゃんに早く会いたくて嘘をついてしまいました。本当は2日後に開催されるのです。」
「なっ!アイリス様!?いくら、アイリス様とは言え嘘をつくのはいけませんよ。」
アイリスの告白にダクネスがひどく驚いている。
「ごめんなさいダクネス、私のわがままを言ってしまって反省してます。」
アイリスはダクネスに怒られると少し悲しそうにしゅんとした。
「そんなに落ち込まないでください。過ぎてしまったことはどうしようもありません。次回から気をつけてくだされば大丈夫ですよ。」
ダクネスがアイリスを慰めている。今の2人は傍から見ると失敗した妹を励ます姉のように見える。
「ねえカズマさん2人をみてるとなんだか心が洗われていく気がするの」
「奇遇だな、俺も同じこと考えていたよ。」
その後俺たちはアイリスに連れられ各自の部屋に案内された。パーティでの衣装はアイリスたちが用意してくれるらしい。パーティが始まるまでゆっくりしていくか……
「カズマ!部屋にいますか?誰かに襲われたりしてませんか?」
俺が部屋で寛いでいるとめぐみんの呼ぶ声がする。まためぐみんか……正直に言うと俺はめぐみんと一日中一緒にいてそろそろうんざりしてきている。めぐみん曰く、俺が悪い女に騙されないようにするためだとか。俺は部屋のドアを開けてめぐみんを迎える。
「別に襲われたりなんかしてねえよ。そんなに心配するな。」
「そうですか。恐らくアイリスがそろそろこの部屋に来ると思うので今のうちに避難してください。勿論私もついて行きますよ。」
そう言ってめぐみんは俺を引っ張ろうとする。参ったなあ……どこかめぐみんがいない所に行きたい。………あっ……あそこなら1人になれるじゃないか。
「めぐみん俺行きたい所があるんだけど」
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めぐみんが付いて来れない場所。それは王城のお風呂だ。床には小綺麗なタイルが敷かれており湯船にはライオンの顔をした石像の口から熱いお湯がトクトクと流れていた。俺は湯船に浸かり深いため息を吐いた。
「ああ……せっかくの王城なのにアイリスとまともに触れ合えてない……何とかめぐみんの尾行を振り切る必要があるな……」
そんな事を考えていると脱衣所のドアが開く。まだ昼間だと言うのにお風呂に入ってくる人がいるとは珍しい。やがてドアが開くとそこに立っていたのはいつぞやのイケメン、ミツルギだった。茶髪に整った顔立ち。普段から同年代の美少女2人を連れ回し魔剣を手に日夜モンスター退治に明け暮れている男だ。当然のことながらミツルギは全裸だった。
「おや、そこに居るのはサトウカズマじゃないか。奇遇だね、君もパーティに呼ばれたのかい」
「なんだよ!誰もお前のポロリなんて見たくねえんだよ!せめて女のポロリを見せてくれよ!」
「な、なんだい君は!ここは男湯だよ。僕が入って何がいけないんだ」
こいつの名前はミツルギキョウヤ。魔剣の勇者とか言われている奴だ。普段からさも自分が主人公であるかのように振る舞ういけ好かない野郎だ。まぁここがラノベの中ならこいつは間違いなく主人公ではあるのだが。
「物語の主人公様が王城に何しに来たんだ。パーティは2日後開催らしいぞ?」
「ああ、パーティが延期になったらしいね。パーティが始まるまでの間王都でクエストでも受けようかな。ここはアクセルより稼ぎやすいからね。」
「お前は相変わらずよく働くな。少しは俺を見習って休むことを覚えたらどうだ?俺は魔王を討伐してからまだ1回しかクエストに行ってないぞ。」
「そこまで休む気はないけど……でもたまには休暇を取るのもいいかもしれないね。」
「だろ?今度アルカンレティアって街に行ってみろよ。あそこはオススメだぜ。温泉も沢山あるしな。」
「へえ是非行ってみたいね。」
ミツルギにアクシズ教の総本山をオススメするという地味な嫌がらせをしてみる。そのうち痛い目を見るだろう。
「それはそうと、うちの魔法使いを見なかったか?あいつ俺がお風呂出るまで待ってそうで怖いんだけど」
「ああ確かにお風呂の玄関口に座ってたよ。あれは君を待ってるのかい?」
もうめぐみんストーカーじゃないか。そんな怖い子に育てた覚えはないぞ。何とか追っ手の目から逃れたいのだけれど。
「じゃあ俺は先にあがるわ。またなカツラギ」
「ああ、またね。……うん?今僕のことなんて言った?」
何か言っているミララギのことを無視してお風呂場を後にする。俺は手早く服を着ると、めぐみんがいるという玄関口を覗き込む。するとめぐみんが確かに座っているのが見えた。もちろんめぐみんに見つからないように潜伏スキルを発動させている。俺はそのままジャージで体を隠し壁沿いに進んでいく。ふざけていると思われるかもしれないがこれでもちゃんと姿は見えないようになっている。
「めぐみん、こんな所にいたのか。メイドさんたちがお菓子を持ってきているぞ。食べなくていいのか?」
俺はジャージを被っているから分からないが声からしてダクネスが来たのだろう。
「私はいいです。カズマを待ってますから」
「めぐみん、カズマのことを好きなのは分かるがここまでしたらカズマも辟易してるんじゃないか。」
「いえ、カズマがほかの女とエッチなことするくらいなら私はカズマの傍にいます。カズマは私が守ってあげないといけないのです。」
「そんな事してカズマに嫌われたらどうするんだ?」
「うっ……そう言われると確かにやめた方がいいかもしれませんね。最近の私は少し焦っていたのでしょう。お菓子でしたっけ?今行きますよ」
2人はそのまま去っていった。めぐみんを説得してくれたダクネスには感謝しないとな。俺は潜伏スキルを解除してアイリスの部屋へと向かう。なにせしばらく会っていないのだ。わずかな時間でも一緒にいたい。前回王城にいたので俺はここの構造を熟知している。俺がアイリスの部屋をノックすると
「アイリス、入っていいか?」
「お兄ちゃん!?」
ドタドタと駆ける音が聞こえドアが開けられる。
「お兄ちゃん!!」
アイリスは俺に抱きついてその勢いで俺は倒されてしまった。傍から見たら俺がアイリスに襲われてるように見えなくもないだろう。
「おいこんな所誰かに見られたら要らぬ勘違いをされるぞ」
「それでもいいではありませんか。私はお兄ちゃんに会えたことが嬉しいのです。」
本当にアイリスは最初会った時と比べて変わったな。俺が感慨深くしているとやがてアイリスが立ち上がり、
「それではお兄ちゃん、冒険譚を聞かせてくれませんか?」
「よろこんで」
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俺は今アイリスの部屋で魔王を倒した時の話をしている。
「それで、魔王をテレポートした後はどうなったのですか!?」
アイリスは俺の決死の戦いの話に興味津々なのかやたらと次の話を急かしてくる。俺の話を聞くアイリスの顔は好奇心旺盛な子どもと言った所だ。
「あーその後な、最初はめちゃくちゃ強くてもうダメだと思ったよ。矢を当てても全く効かないし、でも絶体絶命の所で俺は気づいたんだ。今までずっとそばで見てきた上級魔法が一つだけあることにな。それがめぐみんがずっと使ってた爆裂魔法さ」
「アイリス様、お食事をお持ちしました。」
丁度話の最高潮の所でアイリス専属のメイドが夕食を持ってくる。そろそろ話も潮時か。きっと今頃俺の部屋にも夕食が運ばれていることだろう。
「メアリー、今夜はカズマさんの料理もこちらに持ってきてください。」
「かしこまりました」
多分この女性のメイドがメアリーだろう。それと俺もここで一緒に食べていいのだろうか。
「今日はとことん話してもらいますから、お兄ちゃん」
アイリスの無邪気な笑顔に思わず見とれてしまう。……はっ!俺はロリコンだったのか?いや待て佐藤和真。アイリスはまだ妹枠だ。こんな笑顔にいちいち動揺していてはダメだ。
「アイリス、居ますか?」
めぐみんの声だ。今日は風呂に入るまで一日中俺と一緒にいたが、それからは別行動してたからな。大方俺の所在を尋ねに来たのだろう。俺がアイリスと一緒に居ることがバレるとまた邪魔されそうだ。俺は身を隠すべきだろうか。
「どうされました?めぐみんさん」
アイリスだけが部屋の扉を開けめぐみんを迎える。俺はドアを盾にめぐみんの死角に入る場所に立った。
「アイリス、こちらにカズマは来てないですか?お風呂に入ったきりカズマが見当たらないのですよ。」
俺はアイリスだけに見えるように首を横に振る。アイリスはちらりとこちらを見るとめぐみんに悟られぬように話す。
「いえ、ここにはカズマさんは来ていませんよ。」
「そうですか、カズマはアイリスに会いたがっていましたしここが1番怪しかったのですが。ならいいです。それともう1つ。今夜あなたを女子会に招待しようと思います。」
「女子会ですか!私そのような会に呼ばれることが初めてなので楽しみです!」
めぐみんは最近ほかの女に対抗意識を燃やしていたかと思ったがこうやって仲良くしてくれるのは嬉しいことだ。今後は何もないといいのだが
「他の方も来られるのですか?」
「はい。今誘っているのはアクアとダクネスと私そしてあなたの4人ですね。夕飯を食べ終えたら私の部屋に来てください。」
あれ。今ゆんゆんだけ名前を呼ばれなかった気がするが……もしかしてゆんゆんだけ仲間外れにされてる?めぐみんとゆんゆんは親友じゃなかったのか。流石に可哀想だな。今夜はゆんゆんの部屋に遊びに行ってやるか
「分かりました。」
それだけ言い残すとめぐみんは去っていった。
「ふぅ……何とかめぐみんを誤魔化せたな。ありがとなアイリス」
「お兄ちゃんの為ですから。めぐみんさんのこと迷惑してるなら私からめぐみんさんに一言言っておきましょうか?」
「いやいいよ。俺もあいつに心配かけさせてるしな。」
「サトウカズマ様、お食事をお持ちしました。」
「ではお兄ちゃん、お話の続きをしましょう。」
そう言ってアイリスは心底幸せそうに俺に笑いかけた。
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「遅くなりました。」
しばらく待っているとアイリスが私の部屋にやって来た。これで全員が集まった。今回ここに集めたのは全員カズマに好意を持っている人たちだ。この際ちゃんとカズマが私のものだと宣言しておこう。
「あらアイリスも来たのね。それじゃ女子会の始まりよー!!」
「アクア、女子会を始める前に私からみんなに言っておくことがあります。」
いざ女子会を始めようという時に私は覚悟を決めて話し始める。
「今日みんなを呼んだのは、カズマの事について話すためです。カズマは、この前私と一緒に寝た時、私を好きだと言ってくれました。私とカズマは既に仲間以上の関係です。これ以上私の男に色目を使わないでください」
私はキッパリとそう告げた。これ以上カズマに悪い虫が寄ってこないように予め牽制しておかなければならない
「え!?お兄ちゃんと一緒に寝たんですか!?」
「いきなり何を言い出すかと思えば。そんなこと言ったって私はカズマさんとちゅーしたわよ?めぐみんのこと好きなら私とちゅーなんてしないんじゃないかしら」
「ええ!?キスもしたんですか!?」
隣でいちいちアイリスが驚いている。所詮まだアイリスは子どもですね。
「では、こうしましょう。今からカズマに誰と付き合いたいのか聞きに行くのです。それを聞いて選ばれなかった人は素直に諦めてください。」
「ま、待て。それでもしめぐみんが選ばれなかったらどうするつもりだ?」
「大丈夫ですよ、カズマは私を選ぶのですから。そんなこと言ってダクネスは自分が選ばれないのが怖いだけでしょう?」
「なんだと?」
ダクネスが途端に怒りをあらわにする。
「ダクネスは1度キッパリと振られてますからね。まだ諦めないなんてちゃんと現実を見るべきです。」
次の瞬間、私はダクネスに頬を叩かれた。筋力の強いダクネスの殴打で私は体が宙に浮きぶっ飛ばされた。
「ちょっと何してるのダクネス!!暴力だけはダメよ!」
「ふっ、図星だから思わず手が出たんですね。」
「めぐみんもそれ以上喋らないで!」
アクアがどうにかこの場を収めようと私とダクネスの間に入る。
「もういい、私は自分の部屋に戻る。アイリス様、お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありません。」
「いえ、構いません。あなたの怒りは最もです。」
するとアイリスが私に向かって近づいてきて
「めぐみんさん、お兄様はめぐみんさんのような他の人を傷つける人は好きじゃないと思います。後でちゃんとララティーナに謝ってください。」
「……分かりました」
カズマを手に入れる為には他の人と不仲になることも辞さないが、仲良くするに越したことはないだろう。後で謝りに行こう。
この時私たちは気づいていなかった。彼女ならカズマを誘惑しないだろうと油断していたゆんゆんに先を越されることなんて