負けヒロインになりそうなので全員娶ります 〜極悪ふたなりチンポで最後は幼馴染の鈍感主人公も女の子にしちゃいます〜 作:吹夜
西四辻伊織は俺……桐蔭奏の人生において非常に多くの割合を占め、彼女の勇姿を一番近くで見てきたのは俺だと自負している。文武は勿論全てにおいて飛び抜けた成績を残し、他者に尊敬されるよう振る舞ってきた彼女の側で、俺は俺なりに彼女の手から零れ落ちたモノを拾うかのように別の視点から人の役に立ってきたつもりだ。それも全て、西四辻伊織への憧れからきた行動である。
だが、少し前……今の生徒会が馴染んだ頃ぐらいだろうか、彼女に何か迷いが生まれたのか、彼女の行動に陰りが見え始めた。以前のような傲慢さや強引さは鳴りを潜め、周囲に遠慮し始めて……簡潔に言って、大人しくなった。
だが、ここ数日で彼女は生来の“強さ”を取り戻しつつあるように感じる。それと同時に、生徒会の雰囲気も変わった。より彼女中心になっている。……良い事だ。俺はそういう、“強い西四辻伊織”が好きだから。
……ただ、その変化に俺が関われなかったことが、少しだけ寂しい……
そんなことを考えながら、俺は眠りに落ちた。
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翌朝。
「ぁ……むねおも……は?……いや声高……っ!?……はぁ!?」
俺の身体は、見知らぬ美少女のものになっていた。
「ど、どうすんだ……?お、親に……いや、不法侵入……くそっ……」
常識では考えられない事態に、激しく混乱する。どうやら夢ではないようで、覚める気配はない。考えた末に、俺は最も信頼する人を頼ることに決めた。
「も、もしもし……あの、俺……桐蔭奏、なんだけど───」
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「自分で言うのもなんだが……よく信じたよな、こんななのに……」
「まぁ、な……知っていたし……」
「え?なんて?」
「気にしないでくれ」
俺の主張をやけにすんなりと信じた伊織は一先ずは俺を西四辻家で匿うと言ってくれた。俺の両親にも既知である伊織が俺をしばらく預かると説明までしてくれて、頭が上がらない。
というわけで、俺は西四辻家の高級車で移動中……なのだが。
「な、なぁ……西四辻?ちょっと……近すぎないか?」
「伊織」
「え?」
「昔のように、名前で呼んではくれないか」
「あ、あぁ……い、伊織……」
おかしい。なんというか、空気感がおかしい。これが女子同士の距離感なんだろうかとか、これではまるで口説かれてるみたいじゃないかとか、至近距離でのこいつの顔を心臓に悪すぎるだとか、そんなことが頭の中で渦巻き、全く落ち着けないままに、車は目的地へと到着した。
「相も変わらずデカい家だこと……」
「ふふ……すぐに慣れるさ」
促され、豪邸に足を踏み入れる。考えてみれば、ここに入るのは結構久しい。昔は通っていたぐらいだが、自然とそれもなくなっていったのだ。
「うわ……っ!」
「っと……大丈夫か?」
そんなことをぼんやり考えていたせいか、慣れない歩幅を忘れて階段で足を踏み外してしまった。危うく落ちそうだったところを、伊織に抱き抱えられる。
「す、すまん……」
「構わんさ……次から気をつけてくれ。身体は大事だから、な?」
「あぁ……」
伊織の手つきは優しく、まるで腫れ物を扱っているようで……なんというか、むず痒い。そんなこんなで、ある扉の前で伊織は足を止めた。
「さて……まずは服だな」
「服?」
「あぁ……奏、ずっとその格好でいるつもりか?」
そう言って、伊織は俺を指差す。確かに、俺は朝からずっと手持ちでサイズの合った唯一の服……中学時代のジャージを着ている。別に不都合はないと思うんだが。
「いや……どうでもいいだろ?」
「よくない」
「うわっ」
俺が反発すると、またも伊織に抱き抱えられ、室内へと連行された。その後、何故か用意されていた服を着せられ……文字通り手取り足取り優しく着せられる。
「これ……俺か」
鏡を見て、思わず驚嘆する。初めて落ち着いて自分の姿を見てみれば、そこには瀟洒な服を見事に着こなした美少女の姿があった。これなら、あの舞花や千鶴にも引けを取らない……と思う。
「っ……♡」
「?……伊織?」
「な、なんでもない……!そ、その……似合っているぞ……すごく」
「あ、あぁ……さんきゅ」
それからは、特に外出することもなく屋敷で伊織と過ごした。ただ、雰囲気がこう……湿った砂糖のようで、とてもむず痒かった。……家デートっていうの、ああいう時間のことなんだろうか。