負けヒロインになりそうなので全員娶ります 〜極悪ふたなりチンポで最後は幼馴染の鈍感主人公も女の子にしちゃいます〜 作:吹夜
「また……やってしまった……」
翌日、初めて学校を休んだ私は自室で項垂れていた。舞花に流されるままに千鶴を汚し、その行為にどうしようもなく興奮してしまった自分にやりきれない思いを感じていたのだ。
『くだらない悩みだね』
声。どこからか聞いたことがあるような声がした。
「誰だ……あぁ、あの時の光か……私の中にいるんだな」
直感的に、その声が自分の内からしているということを理解する。
『勘がいいね。流石だ』
「それで……貴様は何者だ……一体何が目的だというんだ……私の身体を乗っ取りでもする気か」
『そんな無駄な事はしないさ……あぁ、僕は名もなきインキュバス。目的は君を使って復活の為の力を蓄えることだよ』
インキュバス……男性型の夢魔か……もし本物が実在するならば、私の身に起きたことの元凶としては納得できる。
「復活、か……」
『ヘマをしてしまってね。君にソレをプレゼントした時の僕はあれでも瀕死だったんだ。だけど、君が僕の思い通りに動いてくれたおかげでかなりの力が戻ってきた』
「……私が行為を重ねる度に、お前が力をつけるということか」
『御明察。何もしなくても君が欲に打ち勝つことなんてできないだろうし、乗っ取る理由なんかないだろう?』
そんな事は無いとすぐさま否定しようとし、その瞬間、脳内に舞花と千鶴の痴態が浮かび上がり、再び湧き上がりそうになる情欲を無理矢理、理性で抑える。
「……舞花がおかしくなったのも、お前の仕業なのか?」
『あぁ、あれは僕が操っているわけじゃないんだが……僕の魔力が篭った君の精気をあれだけ浴びたんだ、多少の能力が目覚めたり、秘めた想いがおかしな形で発露することもありえないことじゃない』
インキュバスに魔力、さらには精気と来るか…もはやなんでもありだなと、諦観と悲観でぐちゃぐちゃになった顔で苦笑する。
「……なるほどな……それで、一体何の用だ?このまま放っておいても貴様は復活できるんだろう?」
『親切心さ。言ったろう、下らない悩みだと』
「下らなくなど……」
『まず初めにはっきり言っておくけど、あの姉妹が元に戻ることなんかないよ。君が受け入れなければ彼女らは生きていけないだろうね』
元に戻る事はない、生きていけない、その二言がさらに私の心を強く締め付ける。そしてそんな絶望的状況に微量の背徳感を覚える自分を必死に隠す。
「そう、か……」
『どうあっても後には引けないんだ。それとも、拒絶するほどに彼女達が憎いのかい?』
「……言葉に気をつけろ。断じてそんなことは」
ないと言い切ろうとするところに口を挟まれる。
『いやぁ、だって君に取っての彼女達は元“恋敵”だろう?ありえない話じゃないと思ってね』
「そんな愚かな思いを抱いたことは断じてない!だからこそ……」
『だからこそ。やはり彼が、桐蔭奏が重要なファクターか。彼から二人を略奪したなんて見当違いな引け目を感じているのか、今の自分が彼に軽蔑されるのを恐れているのか……まぁ、両方か』
「…………」
これほどの短時間で、我々生徒会の人間模様を把握しているという事実に驚愕する。確かに、私が見る限り生徒会の皆は全員が奏に好意を寄せていた。
『前者は本当に見当違いだね。二人は彼の恋人でもなんでもなかったわけだし、そもそも肝心の彼は君が……いや、なんでもない。後者はそうだな……欲に流され他に流され責任から目を逸らす今の君が一番軽蔑されて当然なんじゃないかな?』
「……む……」
自分が犯した現実から目を逸らしている、心から耳が痛いことを言われ、押し黙る。
『じゃあ、僕はまた眠るから。もう手遅れなんだからさっさと自分の獣じみた欲も受け入れて……くれぐれも、自分の意思で行動することだ。野々原舞花に乗せられるのではなく、ね』
「……」
そう言って、インキュバスの声は聞こえなくなった。元凶の癖にと嫌味の一つでも言い返してやればよかったと思い返すが、アレの言葉に今も動揺している自分には敵わなかった。
だが。心外だが、アレの言葉に気づかされた。このままではいけない。私自身や舞花と千鶴を元に戻す現実的な手段もない。
他ならぬ私が覚悟を決めなければならない。
昨日のことを思い返せば、あれでは舞花が加害者だ。弱い私が一番悪いのに、これでは舞花にも罪を背負わせてしまう。
私は、先の見えぬ螺旋階段を下るような覚悟を持ち、携帯を手に取った。