ゼニスと言う女性は、超が付くほどの美人だ。
金髪の髪に優しい笑顔。スタイルも抜群で適度に実った乳房に、スラリとしたくびれ。安産型の臀部という性的欲求を煽るには理想的な体形で、彼女を夜のダシに自分を慰めた寂しい男性は多い。それを簡単に明け渡さない身持ちの硬さも、彼女の魅力だ。
面倒見も良く、魔術という分野にも明るく、多少のヒステリックを起こすことはあったが、人間として最上級と言っていいだろう。
貴族の出と言うこともあり、所作や言葉遣いも上品で、田舎町に住んでいても何処か品がある。
魔族という存在を忌避する教えを受けているが、そんなことを気にせずに誰とでも打ち解けるあたり、やはり彼女の人の良さが出ているのだろう。実際、所属していた冒険者パーティー『黒狼の牙』では全員に好かれていた。
数少ない欠点と言えば、男選びというところで見る目があまりなかったという所かもしれない。
黒狼の牙リーダーのパウロという男を恋人に持つのだが、これがまた超が付くほどのダメ人間だった。
何か嫌なことがあれば酒に逃げ、感情的になれば周りが見えなくなる。極めつけには、簡単に浮気に手を出す女性関係のだらしなさ。これを敬えと言うのは難しい話だ。
一流の冒険者パーティーを率いているだけあって、冒険者としての適性は高かった。
優れた決断力に判断力、そして単純に剣術の三大流派を上級まで習得した実力、強さという点では文句をつけることは出来ない。
どうしようもないクズ加減と、女癖の悪さを除けばよいのだろうが、自分が男前だと自覚しているせいで非があるのは寄ってくる女たちだと思っているあたり、なおさら質が悪い
しかし、パウロは知らない。
知る由もない。
自分の愛する女が、とある男に手籠めにされているということを。
唾を付けた美女たちが、孤独に戦ってきたとある冒険者に、上書きされてしまっていることを。
全ての始まりは、ゼニスとパウロが結ばれてから数日後の夜にまで遡る。
**********
「それでね、パウロったら最低なのよ!」
冒険者たちが集う酒場で、大ジョッキを飲み干しながら大声で文句を叫ぶのは、ここ最近で頭角を現してきた冒険者パーティー『黒狼の牙』に所属するヒーラー、ゼニスだ。
普段はこのように酔いつぶれず、朗らかな笑みを浮かべてパーティーを支えている。服装も乱れず、きっちりしているのだが、今は胸元が開いて谷間が見えてしまっていた。
テーブルの角で形が変わり柔らかさや張りの良さを主張するそれに、一体どれだけの相手が魅了されただろう。今すぐにでも弱ったゼニスを裏通りへと連れ去り、その美貌にむしゃぶりついて犯してやりたいと思う男は、この酒場にも数多くいる。
そうできないのは、彼女の隣にいる鎧を着た男のせいだった。
「そうか」
短く答えた男は、フルフェイスで作られた兜の隙間から酒を飲む。ゼニスという美女と比べて、男はどこから見ても貧相と言わざるを得なかった。
さび付いた黒い鎧は、ここらでは珍しい武者甲冑で、首元には黒い布を巻いている。両刃の長剣が一般的だが、彼が携えているのは反りのある片刃の細剣だ。彼はこれを太刀と呼び、どんな冒険にもこの装備で挑んでいた。
彼が目を光らせているおかげで、いや、太刀の刃を光らせているおかげで、下手な男たちはゼニスへと手を出そうとはしない。それは実力の話だ。ここにいる誰も、鎧の彼を相手にしてまでゼニスをけがしてやろうと言う輩は一人もいなかった。
「す~ぐ他の女の人にてをだすし~、怒ったら逆切れしてくるし~、私は男の人を誘ったことなんてないってぇの!」
「そうだな」
「そもそも、私は浮気しないっていうからパウロと付き合ったのよ! それなのに~」
「そうか」
「リョウマだってそうおもうでしょ~!」
短い返答が返される。傍から見れば、リョウマと呼ばれた男はゼニスの話など聞いていないだろう。適当に聞き流して、酒を飲んでいるようにしか見えない。
しかし、当の本人であるゼニスは違った。彼は口下手なだけで、相手の話を聞かないことなどないのだ。
二人はパーティーこそ違うが、冒険者としては長い付き合いだった。
成人を迎えた日、ゼニスは両親と喧嘩をして家を飛び出した。あてもなく彷徨い、さあこれからどうしようか、と悩んだ彼女を様々な外敵から守ったのがリョウマだった。
詐欺にあいそうになったときも、暴漢に襲われそうなときも、冒険者として最低限の世話をしてくれたのも彼だ。
いま所属しているパーティーも、彼が斡旋したものに他ならない。
リョウマとパーティーを組みたかったと言うのがゼニスの本音だったが、おかげで今の恋人であるパウロや他の仲間たちとも出会えたのだから感謝しなければならない。
ソロで活動する彼との交流はパーティーぐるみで続いている。時折、誰かが彼を捕まえて文句を垂れるのも、リョウマが軽い返事をするのもいつものことだ。
だがしかし、酔っ払いに普段通りを求めることなどできない。
「ちょっと~、リョウマさ~ん、ちゃんと聞いてますか~?」
胸元のボタンをもう一つ開けたゼニスがリョウマへと寄りかかる。
ざわつくのは周りの冒険者たちだ。
下手をすれば乳房の半分ほどが零れ落ちそうなほどの露出に、赤みがかった顔。極めつけには色っぽく潤んだ大きな瞳だ。娼婦ごときでは相手にならない色気に、男どもは見事に食いつく。
半分はリョウマへと憎悪の視線を向け、もう半分はゼニスに鼻の下を伸ばしている。
「聞いている。お前は飲みすぎだ」
「そんなこと言って~、ここはどうなのよ~」
ジョッキを持っていない、空いた方の指がリョウマの太腿に添えられた。摩り、白魚のような指で「の」の字を書いてゆっくりと付け根の方へと這い上がっていく。
ゼニスは当然ながら淫らな女ではない。むしろ高潔で、一夫一妻制を重んじるミリス神の教徒だ。
こんな風に男を誘惑することなど滅多にないが、相手が悪かった。
信頼している相手。
親友か、それ以上と言える青年。
口下手で、顔色がうかがえない男性。
天才剣士と呼ばれるパウロに並び、S級冒険者にまで辿り着く強さを持った雄。
酒の勢いもあり、そんなリョウマを揶揄ってみたくなってしまったのだ。
「お酒も回ってるんじゃないの~?」
手が腰鎧の下に滑り込む。ゆったりとした手つきは艶めかしく、男を手玉に取る術を熟知していた。
何も知らなかった処女が、ここまでの手管を身に着けるのにどれだけの経験を重ねたのだろう。
ゆっくりと脚の付け根に辿り着いたとき、ゼニスの手が止まった。
(え……?)
ズボンの上からでも分かったのは、リョウマの大きさと熱さだった。
当然ながら、背丈や体温の話ではない。
彼の下半身にある、硬く盛り上がった男性の象徴の話だ。布越しだと言うのに、ドクンドクンという脈動が伝わってくる。彼女も生娘ではない。パウロとそういった経験も当然ながらした。
だが、リョウマが持つものはそれよりも一回りは大きく、硬く、熱くて温かかった。
彼にも性欲と言うものがあるのだと面白がるよりも先に、彼が修行僧などではなく、雄であることを再認識したゼニスは、自然と硬くなった彼の肉棒を布越しに撫でまわしていた。
「ふぅ~っ♡ ふぅ~っ♡ ふぅ~っ♡」
スリスリ、サワサワ。
熱さと硬さが増していく。彼女の息遣いも荒いものへと変わっていた。涎が垂れるほどの欲求に、へその下あたりがキュッと締め付けられる
もっと感じたい。もっと触りたい。もっと、もっと、あわよくば、と生唾を呑んだゼニスの手首をリョウマが掴む。
「ッ!」
ドクン、と心臓が飛び跳ねた。自分のやっていたことを理解し、冷静になってしまったからではない。
彼から伝わる熱に当てられたのだ。
彼女の心音と重なるような鼓動に、汗に混ざって漂う雄の臭い。
それらすべてが、彼女の下腹部を熱くした。
「酔いすぎだ。お前らしくもない」
リョウマの冷静な声に、僅かな安心が胸の内に生まれる。一線を越えなかったという自分への安堵と、こんな状況になっても変わらない彼の誠実さに対してだ。
だがそれと同時に生まれたのは、何も起こらなかったことへの失望感と、もっと触っていたかったという欲望だ。
こんなに自分は淫らだっただろうか。それとも初体験を終えてそうなってしまったのだろうか。
酒が回って思考が鈍る。いつもならばこんな風にはならないのに、今日だけは何かが違っていた。
「ご、ごめんね、なんだか変な感じになっちゃって」
「気にするな。そういう日も、ある」
気まずい。これではまるで初夜を迎える前の男女だ。パウロとの時もここまでドキドキしなかった。
(お酒を飲みすぎたせい? それとも……)
チラリと視線が隣で酒を飲んでいるリョウマへと移る。いやダメだ。これ以上考えては、ゼニス自身もパウロのことを糾弾できなくなる。
「すいませーん、お酒のお替り二つー!」
良くない考えを拭い去るために、リョウマの分もお替りを注文する。恰幅の良い店主は良い返事をして受けてくれた。
酒を飲み、宿に帰ってゆっくりと眠れば全て忘れられる。きっとリョウマのことだ。無かったことにしてくれるだろう。
「あまり飲みすぎるな。明日に響くぞ」
「平気よ、だってキミが送ってくれるんでしょ?」
明るい笑顔を浮かべ、新しくきたジョッキを渡すと、勢いよく自分のものとぶつける。
リョウマが小さな溜息をつくことも気にしないゼニスは、ジョッキに注がれた酒を一気に飲み干した。
タプン、と露わになりそうなその豊満な胸元に、下卑た視線が突き刺さっていることにも気が付かずに。
**********
「あれ……わたし、どうして……」
ゼニスが目を覚ましたのは、未だ朝日の昇る気配もない深夜だった。身体が熱いせいで寝苦しくなり、目が覚めてしまったのだろう。
服装も酒場で飲んでいた時と同じだ。胸元のボタンは四つめまで開けられ、夜の冷気がそこから全身に滑り込んできて気持ちが良い。
(なにっ……あたま、ふわふわして……のんでて、それで、それで……?)
それからのことを思い出すことが出来ない。
覚えているのは、酒を大量に飲んだこととそれをリョウマといたこと。
そして、彼の熱くなった臭いに硬い男性器だ。布越しでも雄の臭いを漂わせた、リョウマの肉棒。布越しだが、触れていた手には、まだ熱が残っているような気がする。
(いやっ……だめ、なのに……)
自然と、彼の肉棒に触れた指が熱に浮かされて硬くなった乳首へと触れた。
「ッ、あっ♡ ふっ、うぅ……♡」
電流のように快感が生まれ、思わず叫んでしまいそうになる。鋭い感覚は背筋を走り抜け、ビクビクと手足を痙攣させる。その手がゆっくりと乳首を摘み、たわわに実った大きな乳房を揉みしだく。柔らかく形を変え、流した汗が滑りを生んで何度か手放してしまう。
「ん、や、ぁ♡ ぁああっ……♡」
その反動で乳首を弾けば、再び快感に飲み込まれる。自慰行為など初めてではないのに、ここまでの快感は初めてだった。
パウロとの行為でも、ここまで感じたことは無い。
気持ちいい。でも、まだ足りない。
そこまで思い至るのに数秒もかからなかった。
シャツもほとんど開け、巨乳がブルンと音を立てながら露わになると、片手でそれを揉みしだきながら快感を得る。
もう片方の手。リョウマの肉棒に触れた手と言えば、スルリと下腹部を通り過ぎ、下着とスカートに包まれた秘所へと辿り着く。どちらも邪魔で、脱ごうとするが酔った身体では上手く出来ない。
仕方ないから、履いたまま蜜壺へと人差し指と中指を差し込んだ。
「ひゃ、ぁ、んぅ♡ ん、うう♡」
比べ物にならないほどの刺激は、ゼニスの視界をチカチカと光らせた。これはダメだ。ダメな行為だと理解しても、欲望に勝つことは出来ない。
指は愛液でずぶ濡れになった秘所をかき回し、乳首と同じように硬くなっていた小さなクリトリスをこすり上げる
自慰行為をする男性は、理想の女性を想像するが、逆もまた然り。
ゼニスは今、快楽にとろけ切った視界に理想の相手を思い浮かべていた。
「……ッ♡ …まぁ♡ りょう、まぁ♡」
呼んだ名前は恋人のものでは無く、彼女を支えてくれた恩人の名前だった。いつからだ、いつから自分は彼に劣情を抱くようになったのか。
指では足りない。長さも、硬さも、太さも、熱さも、何もかもが彼女を満たすには足りなさすぎる。
欲しいのはリョウマ自身。リョウマの指に、リョウマが持つ男性の象徴。
自分の情けなさに涙しそうになったその時だ。
「ああ、大丈夫だ。俺はここにいる」
落ち着く声が聞こえてきた。普段は兜と首に巻いた布で籠っていてよく聞き取れないが、今のは違う。
彼の、リョウマの声が確かに聞こえたのだ。
「りょう、まぁ……?」
ゆっくりと視線を移せば、そこには鎧を脱いで椅子に座ったリョウマがいた。顔立ちは美男子とは言えないながらも、端正な顔立ちに近く、目元や顎に切り傷などが残っているせいか戦士という印象を与えてきた。
そんな彼が、ゼニスの痴態を見ているとなれば、快楽に溺れていた意識もハッキリとしてしまう。
「な、なんで、わたし、ここ、え、リョウマも、え、ど、どういうっ♡」
捲れあがっていた服をかき集め、何とかして露出していた秘部を隠す。こんな状況だと言うのに、布が擦れただけで快感に襲われてしまう。ここまでくれば、もはやゼニス本人の問題ではない。
荒く、甘い息が漏れ、動悸が早いままで収まらない。
それにはリョウマも気が付いているのだろう。水が注いであったコップを差し出してくる。彼が近づいてくるだけでも雄の臭いに当てられてしまい、息が荒くなってしまう。ゼニスが眠っていた間になにかあったのか、汗の臭いも強くなっていた。
「ただの水だ。中和は出来ないが、酒を飲んだのなら必要になる」
中和とは何のことか分からなかったが、ゆっくりとコップを手に取り水を飲み干す。なんとか体内の熱さや酒の成分を冷ますことは出来たが、ムラムラと湧き上がる性欲は消えてくれない。
「媚薬というものだ。貴族なんかが使う、性的嗜好品らしい。十倍に薄めて使われるそれの原液が、お前の飲んだ酒に山ほど入っていた」
ゴクリと生唾を呑む。名前だけは知っていたゼニスだが、そんなものを飲まされていたとは思わなかった。貴族から娼婦まで需要があり夜の営みの助けになるが、用法容量を守らなければ今のゼニスのように全身を性的快楽に支配されることとなる。
下手をすれば、廃人になる可能性だってある。
「独特な臭いがあるが、お前が酔うのを待ってたらしい。酒も回り、判断力が鈍れば、宮廷薬剤師でも気づけないだろう」
説明を聞きながらもゼニスの暴走した性欲は収まらない。今すぐにでも服を脱ぎ、美しい裸体を晒しながら自慰に耽りたかったが、妄想の相手が実際に目の前で座しているとなればそうもいかない。
なんとかして思考を性的なものから逸らそうとしていると、どうしてリョウマは気が付いたのかという疑問に行き着く。
彼もそれなりに飲んでいたはずだ。兜もあれば臭いに気が付くことも出来ないはずだが、答えは直ぐに分かった。
(あ……♡)
横向きで座っても分かる、盛り上がった股間部。鎧を取ったせいで、ズボンを押し上げたそれがクッキリと見えてしまっていた。きっと、彼も媚薬を呑んでしまったのだ。
ジュン、と愛液が滴る感触があった。リョウマの汗の臭いだけが原因ではない。
彼が必死に抑え込もうとしている雄の気配。衝動。それらすべてが、ゼニスを掻き立てるのだ。
(リョウマも……そうなんだ……♡)
ペロリ、と舌で小さく唇を舐めると、身体に纏わりついたシーツを落としてベッドから立ち上がる。靴も靴下も脱がされていたようで、素足が木製の床に触れただけでゾクゾクとした感触が背筋に流れる。ゆっくり、一歩ずつリョウマへと近づいていくと、彼の視線が自分に向いていることに気が付いた。
(こっち、むいてくれた……♡)
酒場では気が付かなかったが、普段の落ち着き払った彼からは想像もできない情欲に塗れた瞳。媚薬のせいとはいえ、リョウマから向けられたものは不快ではない。
ゆっくりと、彼の正面に移動してから膝の上に座る。
俗にいう対面座位という体勢だ。
ギシリと椅子が二人分の体重に悲鳴を上げるが、どうやら問題は無い。彼の肉棒の熱さを秘部に感じながら、両の手を首に回して固定する。
「おい、なにをッ!?」
「んっ!」
リョウマの疑問には答えず、ゼニスはその唇を奪った。有無を言わせぬ動きは冒険者としての決断力から来るものだろうが、こんなところで発揮するものでは無い。
「れろれろ……♡ はむっ♡ ちゅぅ……♡」
最初は唇を吸い、舐めるようなキスだった。リョウマもなんとか拒もうと手に力を込めているが、形だけだ。ズボンを押し上げた肉棒の熱さが、密着したことでより強く伝わってくる。
もしも、直接触れることが出来たら。
そう考えている内に固く閉ざされていたリョウマの唇から力が抜けていくことに気が付いた。
ならば、とゼニスは開かれた口の中に、ゆっくりと舌をねじ込んだ。
「んあ、ちゅう……♡ ちゅう~~~っ……♡ れる……れろぉ……♡」
舌が絡み合い、涎が唇の間から漏れ出ても気にしない。今はただ、互いに目の前の相手を貪りつくしたい。そんな獣にも劣る本能で二人は動いている。薬の後押しがあるとはいえ、結局は二人も生物だ。
三大欲求に抗うことは出来ない。
「じゅるるるっ♡ ぢゅっ、ぢゅぅ……♡ ちゅぱっ、ちゅう、んぁぁ……♡」
ゼニスがリョウマの舌を扱き、啜り上げる。密着した巨乳はたくましい胸板で潰れ、秘部から漏れ出た愛液で押し上げられた股間部も濡れてしまっている。
だが、きっとそれは彼女の愛液だけが原因ではない。
「ん……はぁっ……♡」
離れた二人の唇の間に、唾液で出来た透明な橋が架かる。羽織っていた服はもう脱ぎ散らかされ、ゼニスは上半身に何も身に着けていない。ピンク色に染まった硬い乳首も、透き通るような白さの巨乳も、薄っすらと見える腹筋も、全てがリョウマへと曝け出されていた。
「どういう、つもりだ……?」
息も絶え絶えになりながらリョウマが問う。いったいどれだけ欲望を我慢してきたのだろうか。頬を紅潮させ、瞳も虚ろになっている。手を出さないために、ゼニスを傷つけないためにしていた我慢だ。
それがいま、彼女自身によって壊されようとしている。
「これは……治療、だから♡ 治療だから、浮気じゃない、から……♡」
媚薬の効果を打ち消すために、沸き上がった性欲を満たしてしまおうとゼニスは言っているのだ。
詭弁だ。性欲に負けて信徒としての彼女を殺してしまうなど間違っている。
なんとかして拒絶しようとリョウマは手を出して押しのけようとするが、その手はゼニスの手に掴まれてしまう。
「ね♡ しよ……♡」
もう限界だった。ゼニスも、リョウマも。
潤んだ瞳、蒸気した肌。美しく実った巨乳を惜しげもなく露わにする淫らな姿とくれば、我慢できるわけがない。
今度は彼の方から、半開きになったゼニスの唇へとむしゃぶりつく。
「むちゅっ♡ ……んぅ♡ れろぉ♡ じゅるるるっ♡ ぢゅっ♡ ちゅぱ♡ ぢゅぅっ♡ っはぁ♡ すっごい……♡」
ゼニスの唇が、舌が、唾液がリョウマの顔から首にかけてを汚していく。これではどちらが犯しているのか謎だ。程よく脂肪が乗った巨尻に抑えつけられ、身動きが取れないせいか、椅子がギシギシと悲鳴を上げていた。
「ちゅ♡ ちゅぷ♡ ちゅぱ♡ んあ……♡ あぁん、舌、逃げちゃだめぇ……♡ んぅ……じゅぅ♡ ちゅるる♡ あはっ♡ こっちも、げんかいだね♡」
密着し、深いキスをしたから気が付いた。彼の肉棒はとっくのとうに我慢の限界を迎えている。ズボンを濡らしている半分はゼニスの愛液だが、もう半分は内側から垂れたリョウマの我慢汁だ。
立ち上がったリョウマとゼニスは、密着しながらベッドの方へと向かっていく。その間に、窮屈そうなズボンへと指をかけた。
ブルンッ♡♡
「っ……♡ す、っごい……♡」
そんな音がしそうなほど勢いよく姿を見せた肉棒を、ゼニスは吐息交じりに賞賛する。パウロのものも大きかった。平均がどうか知らないが、きっとそれよりも大きかったのだろう。
しかし、ゼニスの腹部に押し当てられた肉棒はそれ以上だ。長さは臍のあたりまで届き、きっと子宮の奥深くまで貫くほどで、浅くついた腹筋などでは太刀打ちできない硬さを有している。
「血管、バキバキ♡ 亀さんもおおきい♡ あっつぅい……♡」
これならば、きっと。
考えないようにしていた、思考の隅へと追いやっていたことが淫臭に当てられて蘇ってくる。
(リョウマの、チンポなら、一番奥まで……♡)
パウロとの初体験は、お世辞にも良いものでは無かった。長さと硬さ、回復力に物を言わせた自分本位の性行為。あると思っていた満足感は無く、あと一歩足りないという不満だけが残っていた。
だがこれならば違う。子宮を押しつぶし、膣内を満たしてくれるだろう。
「においも……♡ くっさぁい♡ くっさくて、子宮に響くぅ♡ 雄の、チンポ♡」
“はむっ、じゅぽ♡ じゅぽ♡ じゅ……ちゅう♡ ちゅぱっ♡ ちゅぱっ♡ じゅるるぅ♡“
ベッドに腰かけたゼニスが肉棒を扱き、口に咥えてフェラチオを始める。雄の臭いに満たされた口内には零れ出た我慢汁に満たされて幸福感が生まれてくる。熱に浮かされたまま、顔に圧し掛かった肉棒の臭いを、肺一杯に吸い込めば、麻薬のように病みつきになってしまう。
「スンスン……♡ もっと……じゅるるぅ♡ もっと濃いぃの……♡」
だが求めるのはこれではない。よりキツく、より重く、彼女を犯そうとする精液が欲しいのだ。それも口何て生易しいところではなくもっと奥。もっと深部の子宮の奥だ。
いつまでも疼く下腹部を、雄々しくそそり立つ肉棒に貫いてほしい。
熱い幹を扱きながら秘部を弄っているゼニスにリョウマが気づくと、その軽い体を持ち上げてベッドへと押し倒した。
「どう、ん、したの……♡ んっ♡ ちょっと♡ んやぁ♡」
仰向けになったゼニスにまたがったリョウマが、彼女の巨乳を揉みしだく。指が沈み、隙間から張り出る乳肉がたわみ、柔らかさをこれでもかと見せつけてきた。
「んあっ♡ いい、よぉ♡ もっと、じゃない、と、ぜんぜんぉ゛♡」
ゼニスの乳肉が弄ばれ、滅茶苦茶に形を変えられる。指先が乳首を弾き、快感に耐える様に足をリョウマの腰に巻き付けた。もうダメだ。これ以上はおかしくなってしまう。
もはや下着の役目を果たさなくなったスカートと下着を脱がし、遂に一糸まとわぬ姿へと彼女を変えたリョウマは、無防備な腹部を二、三度撫でた。自らもズボンを脱ぎ去ると膣のうえに肉棒を乗せ、何処まで届くのかを教えてくる。
(あつくて、太い……♡ こんなの、入れられて、突き上げられたら……♡)
突き上げられたら、自分はどうなってしまうのだろう。少なくとも、今までと同じようにパウロと接することも、リョウマと親友でいることも出来なくなる。下手をすれば、これが原因で何かの諍いが起こるかもしれない。
それだけは、絶対にダメだ。
「りょ、リョウマ、ちょっと」
ようやく訪れた、媚薬の薄れる僅かな瞬間を使い、リョウマが身体を起こしたその時だ。
ドチュンッ♡
起き上がった反動で膣口にあてがわれていた亀頭が媚肉を搔き分けて子宮を押しつぶした。パウロでもあと一歩届かなかった場所を、いとも容易く辿り着き、剰えまだ足りないと突き進んでくる。
「んおっ♡ お、おおお♡ ほぉっ♡」
受け入れた。受け入れてしまった。ピッタリと嵌る肉棒を、身体と精神が受け入れ、求めてしまった。
これまで感じたことのない快楽に押しつぶされそうになりながら、決して手放してなるものかとゼニスは腰をグラインドさせる。
ただ最上級の快楽を味わいたい。それだけに特化した動きだった。
そして、それはリョウマも同じだ。
“ずるるるるぅぅ♡ どちゅん♡ ばちゅん♡ ぐっぽ♡ パンパン♡“
無意識ながらの腰使いに対抗するように、もっとも感じる場所を探りながら腰を叩きつけた。開拓されていない膣内を自分専用に作り替える。その目的は、雄としての本能から行き着いたものだ。誰にも渡さない。この雌を必ず番にする。理性を飲み込んだ欲望が、リョウマの思考を快楽と共に飲み込んでいく。
「お゛っ♡ あっ♡ イ、くぅ♡ チンポ♡ よす、ぎる、からぁ♡ イッてる、……のに、止まんないぃ♡」
ゼニスが最も感じる箇所を見つけた。奥の奥。子宮口を潰した先にそれはあった。膣肉が絡みついた肉棒に突かれる度に痙攣する彼女は愛おしく、これまでにない興奮を感じている。
絶頂していると分かっていても、リョウマもゼニスも腰を止めることは無い。
熱く滾った肉棒が震える。フェラチオで出せず、激しいキスを重ねても出てこなかったものが、遂に出ようとしていた。
“どちゅっ♡ どちゅっっ♡ ぐりゅ♡ ……ぐちゅ♡ ぐり、ぐりぐりぐり♡“
「だめ♡ だめだよっ♡ わた、しは♡ ミリス、教徒♡ だか、らぁ♡」
浮気はダメ。膣出しはダメ。ゼニスはそう懇願しているが、抜こうとしても両足を絡みつけて抜けないようにしている。
言葉を介さずとも、二人の心は通じ合っていた。
「わるいが、俺は、無神論者、だ」
「そ、っかぁ……なら、しかた、ないね♡」
“パンパンパン♡ ごりゅ♡ どちゅ♡ パンパン♡“
なにも仕方なくないはずだが、今のゼニスは快楽の虜で、一匹の雌で、リョウマの女だ。彼の言葉に従うしかない。膣内で暴れる肉棒がビクビクと痙攣を始めるのが分かった。
漸く、ようやく求めていたものと出会うことが出来る。
足を絡め、覆いかぶさるリョウマを抱きしめたゼニスは、彼の耳元でたった一言だけ、熱と艶を帯びた声で囁いた。
「きて……♡」
媚薬の効果などとっくに切れている。それが分かっているからこその一言で、膣の中を締めあげた。彼の子種を、最奥まで迎え入れるために。
そして当然、許可を得た雄は子宮口へと亀頭を押し付け、熱く滾っていた精液を吐き出した。
“どびゅっ♡ びゅるるる♡ どく♡ どびゅるるるる♡ びゅく……♡ びゅく♡ どぷ♡ どぷっ♡“
「やっ、あ゛ぁ゛……♡ お゛、ほぉ……♡」
ベッドの上で仰け反ったゼニスは、深い絶頂に身をやつす。もうダメだ。自らの子宮がリョウマの濃い精子で満たされていくのが良く分かる。今までに味わったことのない充足感は、快楽に交じって思考を支配していく。
リョウマは離れない。グリグリと亀頭を押し付け、精液が漏れ出ないように栓をしているようだった。
「はぁ……はぁ……んむ♡ れろぉ♡ れろれろ♡ ぢゅるる♡ ちゅぷ♡ じゅる♡ じゅるるるる♡」
息を整えようとしていたゼニスの唇をリョウマが奪う。まだ満足していない、という意思表示だ。舌が絡み合い、肉付きの良い太腿を抱えると、再び腰を引き、叩きつけた。
「お゛お゛お゛♡ おっ♡ ほっ♡ だ、め♡ 深イキした、ばっかりで♡ あっ♡ そこ♡ おくぅ♡」
“どちゅ♡ ぐちゅ♡ パンパンパン♡ ごりゅ♡ ばちゅ♡ パンパンパン♡“
ゼニスの喘ぎ声は止まらない。ここがどこで、誰が媚薬を盛ったなどもうどうでもいい。
最も自分を満たしてくれる雄が誰か分かった彼女には、その他のことなど些末な話だ。
この後にどんな修羅場が待ち構えていても、今はただ、彼との交尾に浸っていたい。
「あは♡ は♡ はぁ……♡ こしふり、すごっ♡ イく♡ イっちゃう♡ あ♡ あ~~……♡ イった、のにぃ♡」
**********
結局、ゼニスは黒狼の牙へ、パウロの元へと帰っていった。理性を取り戻したリョウマと話し合った結果だ。自分勝手と言ってしまえばそうかもしれない。だが、彼女はやはりパウロのことを見限れなかったし、リョウマに背負わせてしまう気にもなれなかった。
「それじゃ、私はこの辺でね。また明日」
数日後、依頼を達成した彼女は仲間たちと分かれ、行きつけの酒場へと向かっていた。ギレーヌやリーゼという女性仲間と何度か行ったことがあるだけで、パウロにも秘密の場所だ。
冒険者の間でも評判は良いが、大騒ぎをするには向かない。そのため、男連中はいつも使うような酒場で殴り合いやらなにやらの大立ち回りを繰り広げている。
「……来たのか」
だが、待ち合わせしていた彼は違う。鎧は着たまま、装備も携えたままだが、静かに一人。店の隅の席で飲んでいた。この店も彼が教えてくれたものだ。
店主は陰気だが女性だ。結婚もしており、媚薬を混ぜて出すようなことはしないだろうと、気遣ってくれた結果だった。
「うん、その、この前のお礼もしたかったし、ね……」
「そうか」
短い会話。だが、それでいい。話し過ぎれば情が生まれる。情が生まれれば、きっとお互いに我慢できなくなる。だから、今日は友人として酒をおごりに来たのだ。
「すこし席を外す。適当に頼め」
「うん、待ってるね」
きっとトイレか何かだろう。店の端にある扉を開けて、奥へと入っていく。テーブルの上には酒が半分ほど入ったジョッキと、空になったジョッキが二つある。ゼニスが来るまでそれなりに飲んでいたようだ。
兜の隙間から見えた顔も、心なしか紅くなっていたような気もする。
(いまなら……いいよね……)
さて、今までと何も変わらないように過ごしているゼニスだが、あの夜から少しだけ変わったことがいくつかあった。
それは、パウロとの性行為だ。今までは絶頂を経験したこともなかったため、イった演技すらできずに気まずい空気を生んでしまっていた。
だが、今では最高値を知っている。それを思い出しながら、イったように振る舞うのも容易かった。
そしてもう一つ。ゼニスの買い物に、一つの品が加わったことだ。
ポーチから一本の小瓶を取り出し、店内に他の客がいないことを確認しながら栓を開けた。開け口から漂ってくる怪しげな臭いに、下腹部が熱くなるのを感じた。
持っているのは、あの夜に盛られた媚薬。それよりも強力な、確実に効く媚薬の原液だ。
どんなに理性があっても、演技が出来ても、どうしても満足できなければ性欲は溜まっていく。それにリョウマを巻き込むのは気が引けるが、あそこまでの肉棒を持っていた彼が悪い、と責任の一端を負わせ、ゼニスは瓶の中身を一気に酒へと投入していく。
(これで……今夜も、また♡)
瞳がトロンと落ちる。これからの夜を想像したゼニスが、ぺろりと唇を舐めた。
その様は、淫らに微笑む淫魔と何ら変わりは無かった。
改めて読むと荒い点が目立ちますね
読むなら誰を読みたい?
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ゼニス
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ギレーヌ
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エリナリーゼ
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リーリャ
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その他