※この作品はR-18です。

バトランティスの覇王   作:歩輪気

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時系列は1話の前です


9話

 

 ──────────

 

「それじゃ、エルマの入隊を祝って……乾杯つ!」

 

 夜が始まってやや時間が経った頃、空がすっかり黒に染められたいつもの帝都ゼルティス。

 繁華街から外れた場所に建てられた黒レンガの壁を持つ酒場にて、1人の男の宴が店内に響いた。響いたと云うが、店内は既に豪酒の女性達によって賑わっているため、彼の声はすぐに掻き消されてしまった。

 

「乾杯」

「ありがとうございますわ」

 

 タイガが酒の入ったジョッキを軽く持ち上げ合図を送ると、遅れてゼルシオーネもジョッキを持ち上げ、エルマも少し恥ずかしそうに礼を述べた。

 

 今日、親衛隊隊員であるタイガは、友人のゼルシオーネと共に、部下であり教え子でもあるエルマの入隊祝いを開いていた。隊員の歓迎会自体は数日前に終えており、これはタイガが個人的にやっていることである。一応エルマ以外の隊員数名を誘っては見たのだが、全員都合が合わず、結果的に隊長であるゼルシオーネとエルマのみという現状に至った。

 

 ひとつ言っておくと、決して彼が周りから避けられているわけではない。ただ、バトランティス親衛隊の現隊長と猛獣と恐れられる魔導騎士から無意識の圧をかけるように挟まれ、さらには周りからの視線を向けられる中で仲良く話し合うなど、一般の隊員なら耐えられないだろう。

 

 タイガはジョッキをグイッと傾けると、注がれていたアルコール度数数十パーセントの辛酒を豪快に飲んで喉を焼いた。

 

「ンクッ……にしても、まさかホントにお前が親衛隊に来るとは思わなかったぞ」

「何をおっしゃいますか、あたくしを誘ってくださったのはタイガ様でしてよ? あたくしはそのご期待にお答えしただけですわ」

「誘ったっつっても、だいぶ前の話だろ。よく覚えてたな」

「あなた様が忘れっぽいだけです」

 

 一言吐きつつ、エルマはほろ酔う程度に甘い酒の入った自身のジョッキを両手で持ち上げ、ちびっと舐める。

 

「はぁ、甘くて美味しい」

 

 エルマはうっとりと声を漏らし、わざとらしく酔った振りをすると、自分の腕をタイガの腕にちょんと触れさせる。

 

「あたくし、もう酔っちゃいました」

「おいおい、流石に早いだろ」

「すみません、お酒は弱い方なので」

「それ、酔うような酒じゃねえだろ」

「……もう、相変わらず乙女心が分かってないですわね」

 

 普段通り、恋愛という事柄に関して察しの悪さを発揮するタイガにエルマはぷりぷりと呆れつつ、しかし手は緩めず、長いふんわりとした白髪を彼の肩に触れさせる。それをタイガは顔を赤くすることもせず、軽い揶揄いと受け流した。

 

「開始早々随分と惚気けているな、お前たち」

 

 ゼルシオーネは呆れながらジョッキを揺らす。その甘ったるさは辛い酒をもワインに変えてしまうほどで、現に酒がフルーツジュースのような味になってしまっている。

 

 そう、このすれ違う甘ったるい空気をゼルシオーネは何度も見てきたのだ。それこそ、2人が親しくなった時からだ。

 

 

 

 タイガとエルマが出会ったのは今から数年前、彼女がまだ大人の女性として成熟する前まで遡る。

 

 バトランティス帝国の親衛隊では、貴族出身者を中心として毎年何十人何百人単位で新人隊員を迎えている。どれだけ名のある貴族の出身であろうと、ここでは帝国を守護する一隊員として数えられ、ゼルシオーネ含むベテランの隊員達から親衛隊としての規則やら誇りやらを1から容赦なく叩き込まれる。陽気に一流の料理など食っている暇などないのだ。

 また、入隊にはそれ相応の試験を突破する必要もあり、紙に書いただけで即入隊できるわけではない。過去にもあまりの仕事内容の辛さに除隊した者も少なくない。そういったこともあって、親衛隊では入隊にあたって魔導騎士の卵である者達を指導するという取り組みを行っていた。

 

 そしてエルマはその卵の1人であり、当時の彼女の指導係として役を任されたのがタイガであった。

 世界に1人の男ということもあって、初めは生徒達から奇異の視線を向けられており、特にエルマは訝しむ本音を隠した建前な笑みを貼り付けていた。

 しかし、タイガからしたらそんなものは慣れっこであり、彼女達からの疑いの視線に気づきながらも、彼は自身が教えられることを全て叩き込んだ。

 

 時に厳しく、時に優しく、時に手加減を間違えてゼルシオーネから叱られ、時に大怪我をしかけたエルマを助け、時に逆上せた彼女と浴場でバッタリ鉢合わせ…………そんな日々を送っていくうちに、エルマは彼に対して尊敬の念を抱き、それは次第に『恋心』へと変化させていった(当たり前だが、タイガは全く気づいていない)。

 

 以来、恋に盲目となったエルマは微笑みの仮面を外し、指導期間の殆どの時間をタイガと過し、たまに散歩という名のデートをするほどの仲になった。そして時は流れ、彼女は無事に親衛隊へと入隊、その中でも名誉ある隊長直属部隊に選ばれ、正式にタイガの元へとやってきたのだ。

 

「あの頃のお前は随分と勉強熱心だったなぁ。訓練の後も毎日俺のところに来てよ……子どもだったお前も、いつの間にかこんなにでかくなって」

 

 自身が指導していた生徒の中でも、特に積極的で訓練熱心、時折見せる冷酷な笑みに首を傾げることもあったが、誰よりも慕ってくれたエルマが、今や親衛隊隊員として自分達の部下として付き合っていくことになるとは……タイガは娘の成長に喜ぶ親のような気持ちを湧きあがらせた。

 

「もう、タイガ様ったら。あたくし、それほど変わってはいませんのよ? ……色々と大きくなりましたけど」

 

 そう言いながら微笑んだエルマは腕を組み、肌蹴そうなドレスに包まれた豊乳をわざとらしく強調してアピールする。タイガを除けば女性しか存在しないこのアトランティスにおいて、エルマの体付きは恵まれている方だ。良く言えば包容力のある体である。

 

「大将! 次の頼む!」

 

 しかし彼女からのアピールなど眼中に無いと言わんばかりに、タイガはアトランティス三大珍味の1つであるプレシアの肝を注文した。

 

「………………」

「諦めろ。こいつに遠回しなやり方は通用しない」

「ん? どうした?」

 

 笑顔のまま落ち込んだように獣耳の髪をペタンとさせるエルマに、ゼルシオーネは慰めの言葉をおくった。タイガは2人のやり取りに首を傾げた。

 

「ああ、それとゼル。さっきの話だが……惚気って確か恋人同士に対して使う言葉だったはずだろ?」

「…………タイガ、お前はもう何も話すな。黙って飲め」

「どういう「おふたりと同じものをくださいまし! 瓶ごと!」

 

 タイガの言葉を遮るように、いつの間にか一気飲みをしたエルマがジョッキを持ち上げて酒を注文した。

 

「おっ、エルマも飲んでみるのか」

「ええ、もうこうなったらとことんっ!」

 

 その後も3人はわんやわんやと酒とテーブルに並べられた料理を堪能しながら、酔いに任せて親衛隊の愚痴やら、エルマとタイガの過去の思い出話やら、ゼルシオーネのタイガへの文句やらで盛り上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………そして開始から約1時間後。

 

 

「ん…………」

「ほらほら、じゃんじゃん飲んじゃって~」

「ああ、ども」

 

 盛り上がりに盛り上がりすぎた3人はすっかり酔いが回ってしまったようで、顔を火照らせたゼルシオーネはテーブルに両肘を着き、手で額を支えながら今にも寝落ちそうな頭を支えていた。

 タイガは物足りないと言わんばかりに、隣の客達から酒を注がれている。平気な顔をしているが、これでもかなり酔っている方だ。

 

「んー……もう飲めませんわぁ…………」

 

 そしてエルマに至っては、顔を真っ赤に火照らせながらテーブルにしなだれるように腕を伸ばして突っ伏していた。成長したとはいえ、2人とは違ってまだまだ若い彼女にはまだ早いようだ。

 

「あーあ、完全に酔い潰れちまってる」

「……これだけ飲めばそうなるだろう。むしろ、お前はなんでそこまで飲めるんだ」

「知らねぇ、酒には強い方なのかもな」

「……初めて飲んだ早々ゲロを吐いたくせに」

 

 昔の恨み言を零すと、ゼルシオーネはテーブルの脇に置いていたコップを掴み、中の水をグッと飲み干す。これは北方の国の雪解け水を利用した美味しい水らしいが、今の彼女にとってはそこらの飲める川水と大差はなかった。

 

「んん……ふへぇ……」

「おいエルマ、大丈夫か?」

「ふぇ? …………んー…………」

 

 なにやら蕩けたような声を漏らし始めたエルマに、タイガは思わず肩を揺らした。彼女はニコニコとどこか緩みきった表情のまましばらくタイガを見つめる。

 

「タイガさま~」

 

 するとエルマは勢いよく身体を起こし、飛びつくようにタイガの体に抱きつき、マシュマロのように柔らかい豊乳を彼に押し付けた。

 

「お、おいエルマ、しっかりしろ」

「しっかりしていますわ〜。全く酔ってませ〜ん」

「どこがだ。あと離れろ」

「いやですわ〜……あたくし、タイガさまのおそばにずっといたいです」

 

 ふわっとした口調から涙を堪えるような口調に変えて、エルマは言葉を続けた。

 

「あたくし、御指導を受けた時から、ずっとあなたのことを慕っておりました。どこまでも強くて、鈍くて、初めてのことばかり教えてくれて……あたくし、あそこまで胸がドキドキしたのは初めてでした。いつも貴方様と一緒にいると心が満たされていました。時折見せるダメな部分も素敵でした。親衛隊に誘ってくださった時なんて、とうとうあたくしの心が通じたなんて思い違いもしてしまうくらいに嬉しかった…………だからあたくし、あなた様のお傍に行くために必死に頑張りましたわ。

 …………それなのに、あなたはいつまで経ってもあたくしの気持ちに気づいてくれないどころか、他の女性も誑かして……」

「エルマ……お前」

「……タイガ様……あたくし、タイガ様のことが…………ずっと好きでした。もちろん今も大好きですわ。先生としてではなく、あなたという存在に惹かれてしまいました。この気持ちに嘘偽りは一切ございません…………」

 

 酔いに任せて内に秘めていた思いを吐き出すと、エルマは指先でタイガの胸元を弄りながら上目遣いを向ける。潤んだ瞳と赤らめた頬を向けるその姿は、体つきも相まって歳以上の色っぽさを醸し出していた。

 

「(………………こいつは…………)」

 

 刹那、タイガの中に今まで感じたことのない──昔あったような気もする──感情が湧き上がる。それこそエルマのそれと酷似している『恋心』であり、酒のせいもあるが、タイガは己の中にメラメラムラムラと燃え盛る感情を爆発させる。今までどうしてそういう感情が湧いてこなかった疑問に感じてしまうかもしれないが、それは不明である。

 

「ああ、わかった……分かったぞ、エルマ」

「タイガ様……?」

 

 タイガは1度エルマを離し、鋭い瞳を向けながら彼女の手を握る。

 

「…………俺で良かったら、お前の……恋人にさせてくれ…………いや、俺の恋人になってくれ」

 

 そして、タイガは感情真っ直ぐに人生初の女性への愛の告白を吐いた。

 それはバトランティス帝国において、ひいてはこのアトランティスにおいて歴史上数千年ぶりとなる異性への告白というかなり貴重な瞬間なのだが、彼等にとってそんなことはどうでも良い。

 

「…………」

「エルマ?」

 

 タイガからの告白に黙りとするエルマ。しかし次の瞬間、彼女の瞳から一筋の涙が頬を伝い、涙腺が決壊したかのように溢れ出した。

 

「はい、あたくしで良ければ! あなたの恋人にしてくださいっ!」

 

 エルマは泣きじゃくる子どものように言葉を返した。その表情はいつもの彼女とは思えぬほどに崩れており、長年積み重ねてきた思いが成就したことへの嬉しさでぐしょぐしょになっていた。

 

「…………おうっ!」

 

 タイガは受け止めるようにエルマを強く抱きしめる。

 当然、この愛の一幕は周りにはダダ漏れであり、気がつけば店内に居る客全員が2人に拍手を送っていた。

 

「よしっ! 今日は俺の奢りだっ! みんな好きなだけ食って飲んでくれっ!」

「「「おおおおおおおっ!」」」

 

 タイガの大盤振る舞いにその場にいたゼルシオーネ以外の全員が歓喜の声を上げ、バトランティスにおける初の異性カップルの誕生に祝福の言葉を送った。ある者は蓋を開けた酒をシャワーのように頭から浴び、またある者は見知らぬ相手と抱き合った。

 

「…………アホか」

 

 そんな実は凄くて果てしなくアホらしい一場面に、ゼルシオーネは拗ねるように水を飲んだ。

 

「グスッ…………ところでタイガ様」

「ん? どうした?」

「…………このあと、実は予定が空いておりまして……ただ、酔いのせいで足元が覚束無くて…………それに、1人は少し心細いし…………今日、お部屋にお泊まりしても宜しいですか?」

「…………おう」

 

 泣き顔から一変して雌の顔を晒すエルマからの甘い誘いに、タイガは心臓を跳ねさせながら了承した。

 

 その後、彼らは夜中まで飲みまくり、タイガはエルマを抱えて自室にお持ち帰りした。

 

 そして他者からドン引きされそうなくらいにねっとりとイチャイチャした後、彼女をシングルベッドへと招き、処女と童貞を華やかに散らすという数世紀ぶりの男女の目合を果たしたのであった。

 

 

 

 次の朝、酔いが抜けてすっかり正気になった彼が、秘部から白濁とした粘液を垂らした艶々なエルマに綺麗な土下座をキメたのは言うまでもなく、この一件が後世に語り継がれることになってしまうのはこれまた言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────

 

「…………あぁっ……」

 

 ある日のバトランティス帝国親衛隊本部。

 

 その上階、ぼんやりと暗く光る暖色の灯りに包まれた自室にて、全裸でベッドに寝転んでいたタイガは一時の眠りから目を覚ました。時刻はおそらく夜中、室内にある小窓から見える外の景色は黒一色である。

 

「(あー……俺、何してたっけか)」

 

 右腕に妙な痺れと重さを感じつつ、ぼやける視界でよく知る天井を眺めながら、タイガはぽやっとした思考で寝るまでの出来事を思い出そうとする。しかし起きたばかりの寝惚けた頭は、ただ欠伸をさせるだけであった。

 

「おはようございます、タイガ様……といっても、まだ夜中ですけど」

 

 ふと、横から声をかけられたタイガは視線を右に向ける。そこには、おっぴろげたタイガの腕を枕にしつつ、凛とした微笑みで彼を見つめる恋人、エルマの姿があった。相変わらず跳ねた獣耳髪がチャームポイントな容姿をしているのだが問題はそこではない。

 彼女は今、服を一切纏っていない全裸である。大きく実った2つの果実と腕の間から覗かせる谷間も、肉付きのいい体も、艶々と輝く長髪と白肌も、その全てが露わになっていた。暖かい光も相まってか、いつもより色っぽく映っている。

 

「随分とお疲れのようですね。先程まで鼾をしておりましたわ」

「…………ああ、そうか。たしか昨日は」

 

 脳が目を覚ましてきたところで、タイガは漸く現状に至るまでのことを思い出す。

 

 昨日、彼は北方の山岳地帯にあるバルディーンという国まで足を運んでいた。と言っても、侵攻をしに行ったとかそういう物騒な話ではなく、ただ単に遊びに行っただけである。

 

 

 

 ──ここで説明しておくと、もともとバルディーンとバトランティス帝国は敵対関係にあり、かなり前まで両者による国境付近での小競り合いが続いていた。なんでもその国にも御柱が存在するとのことで、創世の御柱どころか帝国内の御柱が尽く機能停止に陥っているバトランティスとしては、一刻も早く手中に収めてしまいたいと考えていた。

 

 しかし竜型の魔導兵器に長けたバルディーンは中々なしぶとさを持っており、いつまで経っても決着は着かず、帝国側にとっては無駄な戦力を削る一方であった。

 

 そんなある日、小競り合いは呆気なく終わりを迎える。

 

 理由は彼、魔導騎士タイガが駆り出されたからである。戦場で猛獣として恐れられていた彼は皇帝陛下の命令で戦場に介入、曇天な大空から降下した次の瞬間にはトラムを纏い、持ち前の馬鹿力と爆速な戦い方を披露し、バルディーンの魔導兵器を次から次へと塵に変えて葬り去っていった。

 

 身体を焦がす光弾の痛みも、巨体から繰り出される押し潰しもものともせず、自分が傷つくことすら顧みず、その剛腕で竜頭をへし折り、大剣で胴体を叩き斬り、虎の爪で深い三本線を刻み、轟速の回転蹴りで『黄金帝竜(ゴールデン・ドラゴン)』の口から尻尾にかけて真っ直ぐな風穴を空けた。

 全てがスプラッタと化す手加減無用なその光景は正に地獄絵図そのもので、敵兵が恐れたのは言わずもがな、味方であるはずの親衛隊・征伐軍までもが目を剥いて立ち尽くすしかなかった。

 これには『加減はいらぬ、思う存分暴れるが良い。こんなくだらぬ戦はさっさと終わらせるのじゃ』と言って彼を送り出した皇帝陛下も顔を引き攣らせたとのこと。

 そして黄金帝竜が沈むと同時にバルディーンは降伏を宣言、バトランティス帝国の勝利で終戦を迎え、二国は調印を結んだ。

 

 因みに、調印を結んだその日にバルディーンに言い伝えられていると噂の淫猥な宴が行われたらしいのだが、タイガは怪我の治療のために欠席した。

 

 

 ………………ここまでがタイガとバルディーン国の初接触である。こんなどこからどう見ても因縁しかない関係からどうやって親しくなっていったのか? きっかけはバルディーンの女王が彼を国に歓迎したことにあった。

 というのも、あれだけ暴風のように戦場を掻き乱した張本人が調印式にも儀式にも参加しておらず、このまま顔を合わせずにいるのは勿体ないということで、皇帝陛下の合意のもとで彼の歓迎会が催された。

 

 しかし彼は世界で一人しかいない男で、圧倒的な暴で降伏を余儀なくさせた悪魔の騎士。そんな最悪な印象もあってか、到着して早々にタイガは、笑顔を貼り付けた国民達から恐怖と畏怖、怒りの視線を向けられていた。流石に慣れっこだった彼も、久方ぶりな視線に妙な居心地の悪さを感じざるを得なかった。

 

 この状況の中でタイガは何をしたのか。

 

 答えは至ってシンプルで、タイガはタイガらしく、バルディーンを知るために自らの脚で現地を巡った。

 季節によって雪と緑が交代交代で彩る豊かな大地、丈夫な木材で作られた城や建物の数々、美味い飯とゲテモノな飯と現地の名物、現地で暮らす国民との触れ合い等々、歓迎という名の厳重な監視の中で、不器用な彼は純粋な気持ちで国について知った。

 その甲斐もあってか、初めは警戒していた国民も、極一部ではあるが徐々に打ち解けていき、最終的には土産を渡すほどの仲になっていた。

 

 また、その日の夜にタイガは女王と会談する機会があり、バトランティス帝国の現状やこの先のアトランティスについての話、男の体の説明、女王のちょっとしたお悩みなどを話し合った。その際、女王から『いつか、あなたの御相手をさせてください』と微笑みながら告げられている。なんの御相手なのかは今も分からない。

 

 

 

 そんなこんなでタイガはバルディーンと個人的に友好関係を築き、今では時々遊びに行くほどの間柄になっていた。今や彼を慕う者も少なくはなく、結果的に長期化する可能性のあった戦を早く終わらせた貢献者とも言われている。

 

 そして昨日、親衛隊の仕事に忙殺されていたタイガは久方ぶりにバルディーンを訪れていた。実に数ヶ月ぶりの来国だったが、皆変わらず彼を歓迎し、国の名物をご馳走した。

 

「タイガ様ったら、本当に人たらしがお上手ですわ」

「いや、別にそんなつもりはないんだが……」

 

 揶揄うエルマに、タイガは困った表情をする。

 

 とは云うものの、彼が人ったらしなのは強ち間違いではない。現にバルディーン女王はタイガが遊びに来るのを地味に楽しみにしているようで、昨日も来る直前まで恋語れる表情で空を眺めていた。

 

 現場を目撃していた水色の髪の指揮官曰く、

 

『……ええ、あのお方が来る度に女王陛下はとても喜ばれておりますわ。それはもう、まるで少女のように若く見えます。普段はそんな姿は滅多に見せません…………だからでしょうか。愛する人ができたと告げられた時、動揺されておりましたわ。あのお方はお気づきにならなかったようですが、その場にいた全員が察しました。寧ろ気が付かないのが不思議でなりません…………男というものはわたくしもよく分かりませんが、あの方について行くお人は苦労が絶えないに違いありませんわ』

 

 とのこと。

 

 何がどうあれ、彼が他の女性を誑かしたのは間違いない。

 

 兎にも角にも、タイガはバルディーンでの短い休息を満喫し、満喫しすぎて逆に疲れた状態でバトランティスへ夜帰りし、ベッドにダイブして今に至る。

 

 …………実は起きるまでにクレイダとルノーラとラムザも代わる代わる添い寝(もちろん全裸)をしに来ているのだが、タイガは鼾で返事をするだけであった。

 

「けどあたくし、本当はほんのちょっぴり心配していますのよ。タイガ様が他の女性に心移りするんじゃないかって……ただでさえ、あなた様は各地に飛び回るんですもの。愛人なら別に良いのですが…………」

「…………おい、エルマ」

 

 ふいに吐いたエルマの言葉に、タイガは珍しく真剣に、怒っているようでどこか優しい表情で彼女を呼んだ。

 

「余計な心配をかけてることは謝る……だがな、俺はお前を捨てるなんて馬鹿みたいなこと、死んでも絶対にしねえよ」

「タイガ様…………」

 

 エルマがより身体を密着させると、タイガは枕にしていた手で、ふわりと果実のような香りが匂う彼女の白髪をわしゃわしゃと撫でた。

 

 彼はバトランティス帝国の一親衛隊である。しかしその前に、異性として愛するものを獲た1人の人間である。

 彼は目の前で嬉しそうに目を細める恋人を愛すると心の中で決めている。彼女への絶対的な愛が揺るぐわけがない、他の女に心移りするなど有り得ないのだ。

 

「…………ところでエルマ」

「はい、なんでしょう」

「…………さっきからなんで俺の股間を弄ってるんだ?」

 

 再度言うが、タイガは下着すら纏っていない全裸である。そんな彼の下腹部の獣を、彼女のすべすべとした指先が触れていた。目覚める前で萎れる彼の獣を五本の指が一方的に捏ね回す。

 

「……タイガ様。あたくし、もう何日間もお預け状態ですのよ。最後に愛してもらったのはいつか覚えていますか?」

「…………えっと……3日前……ぐぉ」

「5日前です。あなた様の熱いものをこの口で受け止めてからずっとお預けですわ」

 

 彼の回答を聞いたエルマは、人差し指で獣の口を押す。力は込めていないが、今の軟弱な獣には十分な刺激を与えた。

 

「5日前からあなたは地方に赴いてばかりで、全く構ってくださらなかった。おかげであたくし、毎晩あなたのことを想像しながら自分を慰めておりましたの……今日も、お疲れだったから仕方なく添い寝で我慢していました…………けど、あなたに傷をつけられたあそこが疼いて疼いて…………もう耐えられません」

 

 エルマはタイガの体に擦り付けるように身をよがらせる。いつの間にか彼女の頬は紅く火照り、熱い吐息を彼の耳穴に吹きかけている。服を着ていないせいか、彼女の体熱が直接彼の皮膚に伝わっている。

 

「ふふ、今日は逃しませんわ」

 

 エルマは彼の胸板に乗るように身動ぐと、とろんとした目を向けながら甘く囁く。その声はねっとりと生温く、何処までも彼を深い性の興奮へと誘う。気がつけば握られていた彼の相棒には血液が循環し、燃えるようなその身を屹立させていた。最早彼女の指では掴みきれないほどに大きく、太く膨張している。

 

「タイガ様…………んっ♥」

 

 名前を呼ぶと、エルマは自身の唇をタイガの唇に重ねる。数日ぶりの口付けということもあってか、エルマは捕食する勢いでタイガの口端を覆う。

 

「んっ、んちゅ♥はむっ、ぁむっ……ふっ♥」

 

 空気が逃げることすら許さないかのように、エルマは唇を密着させて隙間を埋める。そして吸い上げるように頬を窄めつつ、舌肉を彼の中へ押し込んだ。

 

「んっ、れろ……ふっ、んふっ♥」

 

 息継ぎすら忘れてしまうくらいに、エルマは舌先をタイガの口内で暴れさせる。ニュルリと踊る舌先が彼の舌と絡まり合い、溢れるお互いの唾液を混ぜ合う。

 

「んん、ぷはぁ……あむっ♥んっ♥」

 

 1度口を離して糸の橋を駈けると、エルマはすぐに唇を重ねる。甘い唾が両者の口の中に広がって頭を白く溶かしていく。

 気づけば、タイガの物を握る彼女の手は上下に動いていた。口先から漏れ出した透明な汁をローションの代わりにして、粘り気のある音を立てながら血管の浮き出た大きな獣の体を上下に扱く。

 

「ん…………うふふ、久々のあたくしの御奉仕は如何ですか、タイガ様」

「ああ、いいぞ…………けど、これじゃあ俺しか気持ち良くならねえだろ」

「あら、言われてみれば確かにそうですわ」

「それじゃあダメだ、まずはお前が気持ちよくならねえといけないだろ」

「あたくしは別に……あっ」

 

 遠慮しようとするエルマの体を、タイガは起き上がると同時に優しく抱き上げ、自身が覆い被さる形で仰向けの姿勢に寝かせた。

 タイガの鋭い眼光とエルマの涙で濡れて光る瞳が交差し、求め合うように見つめ合う。

 

「……エルマ」

「はい、タイガ様……ぁぁんっ♥」

 

 見つめ合うのも束の間、タイガは彼女の首筋に歯を立てて噛み付く。興奮状態の彼女にとって、噛み跡がつかない程度に、しかし確実に痛みがある絶妙な甘噛みはかなりの刺激なようで、噛まれた瞬間に快感が走り、軽い姫声を上げさせた。

 

「あ、そんな乱暴な……あぁっ♥」

 

 喘ぎ声を上げながら抗議しようとするエルマ。だがそれを遮るようにタイガは彼女の体をむしゃぶる。ちゅうっと血液を吸い出すように首周りをしゃぶり、空いた手で脇下から腰にかけてゆっくりと愛撫していく。

 

「あっ……タイガ様……」

 

 獲物を仕留めた獣のように体を味わう彼を、エルマはか細い声で呼ぶ。それに答えるようにタイガは彼女の体に噛みつき、鎖骨や胸元を舐め上げ、やがて隆起する乳房へと伸びた。

 

「ひゃ、くすぐったい。んん♥」

 

 タイガは両胸を根元から掴むと、まずは右乳の乳首に舌を伸ばす。エルマからの熱いキスでたっぷりと唾液で潤った舌先は乳先をこしょぐるように舐め回す。

 

「あんっ、や、ぁっ♥」

 

 舐め上げられる動きに合わせて彼女の突起もふるりと揺れる。乳頭は充血を始め、徐々にその身を固く勃起させていった。

 

 ぢゅるっ、ぢゅるるっ

 

「あ、やだっ、やぁっ♥」

 

 タイガはピンと立った乳首を確認すると、今度は乳輪ごと口に含み、窄ませながら吸い始める。瑞々しい吸引音が上がる度にエルマは腰をよがらせ、疼く内股を擦り合わせる。

 

 ちゅぽっ……ぢゅうっ

 

 軽く歯を立て、マシュマロのような柔らかさを跳ね返す大きな乳房に噛み付く。そして1度離したかと思えば、今度は左乳を攻めて同じように吸い上げる。今はまだ出ぬ母乳を搾り取るようなその吸い方は、エルマを数回絶頂させるには十分なテクニックであった。

 

「はぁ、はぁ、あぁっ!」

 

 そんな強引で激しい彼の搾乳テク、そして乳房を揉みしだかれる度に流れる刺激に、エルマはただ体を震わせてその身に味わうしかなった。不快感など一切なく、寧ろ興奮が電撃となって身体を痺れさせるように流れる。

 

「た、タイガ様……あたくし、もうっ…………んあっっ♥」

 

 お腹の奥が熱くなり、何かが外へ弾けようと疼き始める。それを感じとったエルマは体を捩らせる。

 

「だ、ダメ……い、いくっ♥…………っ?」

 

 そして彼女は絶頂を迎える…………はずだったが、その前にタイガは乳先から口を離す。唾液に濡れた乳頭が舌との間にねっちょりとした糸を引く。

 絶頂寸前で止められたエルマは、泣きそうな顔で熱い視線を向けた。

 

「た、タイガ様? どうしてこんな意地悪を……あっ」

 

 タイガはなにも答えずやや後ろへ下がると、彼女の両太腿を掴んで、閉ざされていた股を開かせる。

 

 肉の狭間を開いた先には、綺麗に毛の剃られた彼女の小丘が待ち構えていた。先程の遊びのせいなのか、肉々しい桃色の花弁は肉穴から溢れた蜜によってたっぷり濡れそぼっていた。待ちきれないと言わんばかりに一部の蜜はとろりとシーツへ垂れている。

 

「……悪い、相当我慢させてたみたいだな。お返しをしなくちゃな」

 

 そう言うと、タイガは秘部と顔を近づける。鼻息が濡れた花弁に触れ、生暖かい感触を伝える。

 

「タイガ……さま」

 

 …………ぢゅるるるるっ! 

 

「っ!? あぁぁっ!?」

 

 そして口を大きく開き、彼女の二丘を喰らうと、タイガは間も置かずに蜜を吸い出した。吸引器のように空気を震わせながら吸い取られる甘い刺激に、エルマは思わず嬌声を上げた。

 

 ぢゅるるっ、ぢゅるっ! 

 

「あ、んあっ、は、激しすぎますっ♥あぁんっ♥」

 

 久しぶりの快楽にエルマは悲鳴をあげて激しく悶える。しかしそんなことはお構い無しに猛攻は続き、肉穴から漏れ出る愛液を容赦なく搾り出す。

 

「はっ、あんっ、ぁ、いやぁ……こんなの」

 

 抑えることの出来ない姫声を上げながら、エルマは下半身に目を向け、タイガの姿を瞳に映す。

 花弁に喰らいつき蜜壷から滲み出た蜜を啜るその姿は、正に獲物に食らいつく獣であった。

 

「(ああ、あたくし……タイガ様に食べられてる……♥)」

 

 そんな彼の姿にエルマは若干の恐怖を抱きつつ、同時に愛する人に吸われるという行為に被虐的なものに酷似した快感を覚え、背中にゾクゾクとしたものを走らせた。本人は言葉に出していないつもりだが、緩んだ笑顔がその感情を外へ洩らしていた。

 

「はぁ、あっ……はっ、っ!? んあぁ♥」

 

 一瞬の隙にエルマが息を整えていると、タイガは咥えた割れ目の間に舌先を捩じ込み、隠れていた肉穴へと挿入させる。

 舌肉は本物の蛇のようにチロチロと動き回り、ねっとりとした汁を絡めとるように暴れ回る。ときどき中の肉壁に張り付いた柔らかい肉を啄くと、エルマは甲高い声を上げて体を跳ねさせた。

 

「た、タイガ、様ぁっ……あたくし、もぉ……」

 

 エルマは体を揺らして絶頂することを伝える。タイガは返事をするように、舌先を動かす速度を上げ、

 

「あっ、んぁっ…………あっ、あぁぁぁっ! ♥」

 

 トドメを刺すように吸い上げた。

 秘部から走る絶頂がエルマの全身に駆け巡り、脳を白く弾けさせ、高い嬌声と共に背中を仰け反らせる。シーツをギュッと掴んで目を見開く彼女の肉穴から噴水のように透明な愛液が吹き出し、タイガの口内へと注がれた。

 

「はぁ、はぁ……はへっ♥」

 

 しばらくして絶頂を終えたエルマは荒い息継ぎをしながら、緩みきっただらしのない雌顔を晒す。呼吸に合わせて唾液に濡れた2つのたわわが揺れる。

 タイガは彼女から離れると、口の中に溜まる甘酸っぱい蜜をごくりと飲み込み、一息吐いた。

 寝惚けていた彼の意識は既に目覚めており、眼光は既に野生の虎のように鋭く尖っている。

 

「……まぁ、ご立派♥」

 

 それと同様に、彼の獣は雄叫びを上げるように黒く光る太い芯を天井に向かって伸ばし、禍々しい雄を振るわせる。自分の体を何度も突き上げてきた巨体、自分の情欲を満たすために女体を求めて蠢くその姿に、エルマは目元を緩めて二ヘラとした表情で甘い吐息を漏らした。

 

「エルマ、悪いが」

「ええ、分かっています……さあ、どうぞ♥」

 

 エルマは蕩けた淫猥な笑みを向けながら、両手を自分の下腹部へと伸ばして肉の秘裂を開く。気品も上品さも捨て去った彼女からの誘惑に、数日間溜めていた彼の性欲がとうとう暴発する。

 

 ……ずぶっ…………ずんっ! 

 

「んはぁぁぁっ♥」

 

 タイガは彼女に覆い被さると、ぷっくりと膨れた頭部をあてがい肉穴へと捩じ込み、そのまま勢いよく獣棒を押し込み突く。

 

 両胸で挟んでもはみ出てしまうほどの巨獣によって、疼いていた肉が一気に擦り上げられた。エルマは嬌声とともに軽い絶頂を迎え、肉道を締め付ける。

 

 だが彼女が叫ぼうとタイガは止まることはなく、彼は早速と言わんばかりに腰を振り始めた。

 

「あっ、あぁっ、いい、これをずっとぉ♥待ってましたぁん♥あ゛ぁぁ♥」

 

 エルマは喘ぎを混ぜながら歓喜の声を上げた。

 

 たったの5日間、されど5日間。彼女にとって彼からの愛を受けられず、指先で破瓜した秘穴を弄るという自分で自分を慰めるしかなかったこの期間は正に生き地獄でしかなかった。

 

 そんな地獄もたった今終わりを迎えた。彼女の器は久々の獣に興奮し、彼の身の形に合わせて自らの肉壷を締め付け、逃がすまいと無数の舌で吸い付く。

 

「あんっ、お゛ぉっ、あ゛っ♥」

 

 前戯を堪能したおかげで肉壷はすっかり蜜で満たされており、それが潤滑剤の代わりになって獣棒の出入れをスムーズにさせている。彼が腰を動かす度に水気を帯びた淫音とエルマの喘ぎ声、そして肉と肉がぶつかり合う生々しい音が鳴り響く。

 

「た、タイガ様、あたくし、あたくしぃ♥」

 

 腰付きに合わせてエルマの体は前後に揺れ動き、それに合わすように肩が奮え、獣耳が跳ね、大きな乳房がぷるんと揺れる。

 そして抉り出してしまう勢いで肉筒を擦りあげる獣棒の狂気と快感にエルマは叫んだが、最早何を言いたいのか自分でも分からなくなっていた。

 

「くっ、エルマ……」

「んぅっ、タイガ様」

 

 お互いの名前を呼び合うと、タイガはエルマの体に抱きつく。ふくよかな胸肉が胸板で潰れて広がり、勃起した2つの突起を彼の肌に密着させる。

 エルマも抱擁に応えて両手を彼の首後ろに腕を回し、絡めて抱きついた。

 

「ん゛んっ、あっ! あぁぁっ♥ひゃぅっ♥」

 

 重なる体とその隙間にじんわりと蒸れる汗。素早く腰と尻肉がぶつかり響く水波の音。そして蜜が掻き混ぜられる淫猥な飛沫音が部屋中を包む。

 それはタイガの欲を促進させるには十分であり、彼の獣は熱を上げて首を膨らませ、子種を放つ準備を整えた。

 

「い、いひゅっ、あちゅっ♥」

 

 ────ぱんっ! 

 

「ぁ……!?!?!? ♥♥♥」

 

 数回往復した後、タイガは深い一撃を打ち付け、先端で奥の敏感な秘口を突き上げ、獣の口から熱いものを放った。5日間も放置していたせいなのか、尋常ではない程の大量のエネルギーがエルマの奥深くへと雪崩込む。

 敏感点を太い肉の幹で押されたエルマは極めて短い叫びを喉で鳴らし、タイガにキツく抱きつきながら背中を仰け反らせた。

 

「あっ、ああっ…………あぁ♥」

 

 体を微かに揺らし、口を開けたまま甘い声を吐くエルマ。

 肉壷は獣に吐液をさせようとギュウギュウに締まり、イボついた肉の突起で搾り取るように、根元から先端にかけて搾り上げる。それに促されるように獣は濁ったマグマを吐き出し続け、びゅるびゅるというエグい擬音をたてながら彼女の赤ん坊部屋を隅から隅まで白濁色に染め上げた。

 

「あぁ、あつい…………ぁ゛あ!?」

 

 エルマが痙攣しながらエネルギーの熱さを感じ取っているのも束の間、タイガは再び腰を揺らし始めた。今さっき出したばかりだと云うのに、獣は萎えずに硬さを保ったまま彼女の蜜壷を擦り上げる。

 

「ま、待って♥今動いたらぁぁぁあっ♥」

 

 イッたばかりの彼女は全身が性感帯のように過敏になっている。そのため、獣が肉道を通るだけでも計り知れない快感が彼女を襲い、細かな絶頂へと誘っている。

 それをタイガと獣は容赦なく食らいつく。獣棒が後へ引く度に、奥から腹に入り損ねた白濁液と壺を潤す蜜が外へと漏れ出す。

 

「いぐっ、あちゅいっ、おちんちんあちゅい♥ひゅぐぅ♥」

 

 腰と臀がぶつかり飛び散る愛液。空中へ飛散し、暖色の光によって色を獲て、飛沫となって部屋を彩る。

 

「んあぁん、あぁっ、あんっ♥」

 

 エルマは追撃をしてくる快感に喘ぎを響かせる。

 そして無意識のうちに両足を彼の腰に回すと、そのまま腕と同様にがっしりと絡みつかせる。

 今にも壊れてしまいそうな程にベッドが軋む。

 

「(あぁ、なんて不器用で、優しい攻め……♥)」

 

 タイガの猛撃は勢いが良く、体を潰してしまいそうな程に暴力的で激しい。しかし、同時に相手に怪我をさせない程度に加減をしている。だからこそ、エルマは体を痛めることなく快楽を味わうことが出来ていた。

 

「(あっ、く、来るっ♥なにか……なにこれ♥)」

 

 突如、エルマの体から微量の光の粒子が湧き上がる。今まで感じたことの未知の感覚、味わった事のない謎の快感、体の内側から魔力が溢れてくる体感を彼女は感じ取った。

 

「んぁぁっ♥ひゃっ……あぁあっ♥」

 

 それが何なのか、そんな思考すらもタイガの打ち付けによって真っ白に焦がされる。もうそんなことはどうでもいい、今はこの気持ちよさを心の底から楽しもう、その考えで彼女の頭は埋め尽くされた。

 

 脳内から溢れ出る物質が性欲を駆りたて、同時に2人の体から光の粒子が湧き上がり始める。

 

「エルマ…………ぐっ……!」

「あっ♥なか、中にください♥ぁぁあっ♥」

「うっ…………」

「んぁっ、あっ…………あ゛ぁぁぁぁぁぁあっ♥」

 

 タイガは苦しい唸り声をあげると、数回腰を揺らした後に、奥の入口を潰すように獣頭を押し付け、再び生命エネルギーを吐き出した。

 2度目だと言うのに引けを取らない吐液量、灼熱のようにドロドロと解き放たれる白濁液が奥の部屋へ注ぎ込まれ、舌を突き出すエルマを大絶頂へと誘った。

 

 それと同時に2人の体からコアと同じ色の光の粒子がぶわっと湧き上がり、宙で絡まるように混ざり合い、部屋中へと広がる。それは暫く続き、やがて体に解けるように消えていった。

 

「ああ……こんなに出して…………余っ程……溜まっていたのですね」

 

 未だにタイガの獣は硬さを保ったまま、脈動しながら熱くねっとりとしたものを出しており、エルマの秘道もそれを受け入れるように蜜壷を畝らせて獣をミッチリと絞めている。

 

「……はぁ、はぁ…………な、なんだったんだ? 今の」

 

 漸く思考を戻したタイガは、少し体を浮かせて今さっき起きた謎の現象について考える。

 実を言うと腰振りに夢中であまり気が付かなかったが、身体から何かが湧き上がったのは確かだ。不思議と自分の魔力が溢れている感覚もある。

 

「おいエルマ、さっきのやつ、お前も何かむっ」

 

 タイガの言葉は、エルマが彼の頭を胸の谷間に抱き寄せたことで遮られる。

 

「どうかしましたかタイガ様? あたくし、全然何も分かりませんわ」

 

 うふふ、と言葉を洩らすエルマ。

 

 タイガが目を上に向けると、彼女の瞳には何故か光が漂っており、目にはハートが浮かんでいた。

 

「お、エルマ……なんかおかしい……」

 

 こんなおかしな現象は今まで起きたことがない、特にこんな淫靡なエルマは初めて見た。タイガはそれをモゴモゴと訴えたが、彼女はただ淫魔のように微笑んだ。

 

「おかしなことなんてありません。そんなことよりタイガ様……あたくし、まだまだ物足りません…………だから、もっと愛してください♥」

 

 獣耳の髪をピコピコとさせながら、エルマは蕩けるような笑みを浮かべた。

 

「(………………まあ、あとで考えればいいか)」

 

 その淫猥さと可愛らしさが融合した扇情的な姿に、タイガは再度思考を欲の海へと沈め、エルマのふかふかとした谷間の温かさを堪能した。

 

 

 

 

 

 その後、タイガとエルマは朝が来るまで体を絡ませ合い、彼の獣は彼女の胸に挟まれたり、掃除と称して口で奉仕を受けたりしながら何度も白濁液を吐き出した。

 

 

 

 

 次の日、朝までぶっ続けでやりまくったせいで仕事をすっぽかしてしまい、彼がゼルシオーネに頭を下げたのは自業自得である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────のちに、異世界からやって来たと名乗るヒダナユタによって今回の現象が『接続改装』であると証明されるのだが、それはもう少し後のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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