★場所:LALEオフィス
【柊一郎】
「…………」
【伊栖未】
「…………」
【ノア】
「…………」
【妙花】
「…………」
●SE:玄関のドアが開く音
【ソフりん】
「――……おーい、お前たち来たぞ…………ん?」
【柊一郎】
「…………」
【伊栖未】
「……り、リーチ!」
【妙花】
「ロン。倍満だ」
【ノア】
「あーあ。鐘さんハコ割れじゃないですか。南風戦行く前に終わっちゃいましたね」
【柊一郎】
「伊栖未が弱いのか妙花が強すぎるのか」
【妙花】
「伊栖未の手が分かりやすいだけだ。捨て牌あんま見てねぇだろ」
【伊栖未】
「うっ……た、たしかに……」
【ソフりん】
「……なにやってるんだ? お前ら……」
【ノア】
「……あっ! お姉ちゃん! 来てたんですね! 気づくのが遅くなってすみません……」
【柊一郎】
「誠にごめんなさい。完全にこっちに夢中になってた」
【ソフりん】
「いや、それはいいんだが……その、なんだ、それは?」
【柊一郎】
「全自動麻雀卓」
【ソフりん】
「…………」
【柊一郎】
「…………」
【ソフりん】
「…………なんで?」
【ノア】
「実は、ここ最近うちの売り上げが好調でして」
【伊栖未】
「ふ、奮発して買った……! なんやかんやぁ、欲しかったから……! えへっ、えへっ……!」
【ソフりん】
「ゲーム会社の仕事部屋のド真ん中に全自動麻雀卓が置かれることある?」
【妙花】
「それはアタシもどうかと思ったんだがよ、あいにくここしか置く場所がなくてな。止む無しの判断だ」
【ソフりん】
「……そもそもお前ら、麻雀できたのか」
【妙花】
「アタシが3人に教えた。せっかくこうして4人いんだから、『麻雀でもやらねぇか?』ってな」
【ソフりん】
「あぁ……なるほど。波多江は分かるか」
【柊一郎】
「最初は麻雀なんてヤクザや半グレがやるものだと思ってたけど、けっこう面白くて」
【ソフりん】
「偏見じゃないか……?」
【ノア】
「私もネットで少しかじったことある程度でしたけど、こうして実際に卓を囲むのってテンション上がるんですよね」
【伊栖未】
「わ、わかるぞ……。リアルのほうが、臨場感あって、楽しい」
【ソフりん】
「めっちゃハマってるじゃん……」
【妙花】
「――てなわけだ。すまねぇな、驚かせちまって」
【ソフりん】
「いや、本当だよ。雀荘と一瞬間違えたかと思ったぞ……」
【柊一郎】
「……そっか! オレたちが年取ってゲーム作れなくなったら、ここ雀荘にすればいいのか!」
【黒赤緑】
「「「おぉ! ナイスアイディア!」」」
【ソフりん】
「冗談を真に受けるな…………それより、今日は仕事休みなのか?」
【妙花】
「まあな。たまにはこうして息抜きしねぇとやってらんねぇからな」
【ノア】
「売り上げも良いですし、今日1日くらいならいいでしょう」
【伊栖未】
「さ、さすがに明日からはち、ちゃんと仕事しないと……だけど……」
【柊一郎】
「そんな貴重な休日だからソフりんを呼んだってわけ」
【ソフりん】
「……いいのか? 私が来てしまったら水を差さないか――」
【ノア】
「お姉ちゃんがいたほうが楽しいに決まってるでしょう!!!!」
【ソフりん】
「わ、わかったから……! 頭に響くから大声出すな……!」
【柊一郎】
「……さて、ソフりんも来たことだし。
【妙花】
「あんま気が進まねぇが……まぁ、いいか」
【ソフりん】
「……アレってなんだ?」
【柊一郎】
「実は、この前シスターがうちに来て、お土産置いてったんだけど」
【ノア】
「それが……この薬です」
【ソフりん】
「薬? ……あの人のことだからなんか怖いんだが……。なんの薬なんだ?」
【柊一郎】
「AV男優みたいな声になる薬」
【ソフりん】
「…………」
【柊一郎】
「…………」
【ソフりん】
「…………そんな薬ある?」
【伊栖未】
「み、薬袋製薬の新商品だとか」
【ノア】
「薬袋製薬ってどこに向かってるんでしょうね」
【妙花】
「通称、『MPSVD(Male Porn Star Voice Drug)』らしい」
【ソフりん】
「なにが通称なんだ……?」
【柊一郎】
「ほら、ソフりん演劇やってるから。飲ませたらどうな――」
【ソフりん】
「断固拒否する。絶対100%飲まない」
【柊一郎】
「意志が強い」
【伊栖未】
「揺れない心」
【妙花】
「な」
【ソフりん】
「そんな気味の悪いもの飲めるわけないだろ。……ていうか、お前たちは飲むつもりなのか?」
【柊一郎】
「うん」
【ノア】
「えぇまあ」
【伊栖未】
「いかにも」
【妙花】
「面白そうだしいいんじゃねぇか?」
【ソフりん】
「未知の薬に対する恐怖心がなさすぎる」
【柊一郎】
「プリズンでエロゲみたいな萌え声になったときも別に害はなかったし、いいかなって」
【妙花】
「手前は萌え声になってたかどうかよくわかんなかったがな」
【ソフりん】
「……わかったよ。じゃあ、お前たちだけで飲め。もし救急車が必要になったら私が呼んでやるからな」
【伊栖未】
「信用が微塵もない」
【ノア】
「気持ちは分かりますけど」
【柊一郎】
「じゃあオレたち4人だけで飲んでみよう。せーのっ」
●SE:4人分の嚥下音
【柊一郎】
「…………」
【ノア】
「…………」
【伊栖未】
「…………」
【妙花】
「…………」
【ソフりん】
「…………なぁ、せめてなにかしゃべらないか? 見てるこっちとしては怖すぎるぞ……」
【柊一郎?】
「……あー、あー。たしかに男の声になってますね。でも言うほどAV男優か? ……って、え? な、なんか股間が……っ!! ち、ち〇ぽがついてる!! なんですかこれ!!」
【伊栖未?】
「……柊一郎、なに言ってんだ手前は……って、な、なんだ? 声が高くなって……い、いや! ちげぇ! 体が縮んでんぞ!? ど、どうなってやがる!!」
【ノア?】
「……伊栖未、うるさい。あまり声を荒げ…………えっ、声が、なんか高い……? ……あっ、胸が……デカい? いや、これは……ノアの服か?」
【妙花?】
「……み、みんな、なにを騒いで…………っ!? あ、あー……、あれ? こ、声が変だぁ? だ、男優ってか、き、気力がすごい
【ソフりん】
「待て待て、お前らいったいなにを騒いでるんだ? 声もAV男優になってないし……いや、それ以上にカオスなことになってるぞ」
【柊一郎?】
「お姉ちゃん! 私、ち〇ぽが! ……じゃなくて、柊一郎になってます!」
【ソフりん】
「うわぁっ! 湊に『お姉ちゃん』とか言われると鳥肌立つ! おい、やめろそういうの!」
【柊一郎?】
「ち、違うんです! 私です! ノアです! お姉ちゃんの妹です!」
【ソフりん】
「は、はぁ? いい加減からかうの…………いや、でも口調はたしかにノアだな……。演技って感じもあまり……」
【伊栖未?】
「……おい、しゅう……いや、ノア? ……か? 奇妙だが……分からなくもねぇ。アタシら4人、全員おかしくなってねぇか?」
【妙花?】
「う、うん……。わ、わたしの体、妙花んなぁってる。ど、どうなってんだ……?」
【ノア?】
「……たしかに、みんな口調がおかしい。オレも体がノアになってるし。女体の感覚って感じが……たしかにある」
【柊一郎?】
「じゃあ目の前にいる私は……柊一郎?」
【ソフりん】
「おいおい冗談だろ。まるで魂が入れ替わったみたいじゃないか」
【伊栖未?】
「……魂が、入れ替わる? ……なるほど、そういうことかい。それなら合点がいく」
【柊一郎?】
「信じ難いですけど……お姉ちゃんの言うとおりかもしれませんね。じゃないと、この現象に説明がつきません」
【妙花?】
「い、入れ替わり……? SFの話か……?」
【ノア?】
「……でも、そういうことなら……納得がいく、かも」
【ソフりん】
「……よくわからんが、一回状況を整理してみないか。なにがなんだかさっぱりだ」
◆
【伊栖未?】
「……まずだ。4人全員の口調がおかしい。しゃべり方、トーンといい、別の奴のもんになってやがる」
【柊一郎?】
「それに、全員が体に違和感を感じているのでしょう? たとえば、私の場合はち〇ぽがついていることにめちゃ不思議な感覚があります」
【ノア?】
「それを言ったらオレもだけど。胸にま〇こに……男の”それ”じゃないって感じがある」
【妙花?】
「えっじゃあ……ノア? って、柊一郎なのか?」
【ノア?】
「オレは柊一郎だ」
【柊一郎?】
「私はノアです」
【ソフりん】
「……頭痛がしてきた」
【伊栖未?】
「ってことはだ。間違いねぇ。こりゃアタシら本当に入れ替わってるぞ。現にアタシは伊栖未の体になってやがる」
【妙花?】
「じゃ、じゃあ……わたしと、妙花が、入れ替わってる……ってことか?」
【柊一郎?】
「で、私と柊一郎が入れ替わってるってことですね」
【ソフりん】
「……正直、まだ現実を受け入れられないんだが。本当に入れ替わってるんだな?」
【ノア?】
「現状を見るに、そういうことだと思う」
【柊一郎?】
「お姉ちゃん。気持ちは分かりますが、受け入れてもらえないと先に進めません」
【ソフりん】
「やっぱ湊に『お姉ちゃん』って言われるのキツいな……。中身は、その……ノア、なんだろうけど」
【伊栖未?】
「つまり。まとめるとこういうことになる」
◆入れ替わり関係まとめ
・柊一郎 ⇔ ノア
・伊栖未 ⇔ 妙花
【ノア(in 柊一郎の体)】
「ですね。しゃべり方やらその他諸々を考えれば、そうとしか言いようがありません」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「……にしても、あの似非修道女が!! 全然ちげぇ薬を渡しやがって!! 今度来たら一発ぶん殴ってやらぁ!!」
【柊一郎(in ノアの体)】
「こんなに怖い伊栖未は初めて見た」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「中身妙花ですけどね」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「そ、そんで……どうやったら元に戻れんだ……?」
【ソフりん】
「薬の入っていた箱になにか入ってないのか? 説明書とか」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「あの女がそんな気を利かせ…………ん。あったぞ、これか」
【柊一郎(in ノアの体)】
「本当にあったんだ」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「えーっと、なになに……『入れ替わり薬(薬袋製薬製)。一粒飲むと、近くにいる飲んだ者同士の魂がランダムに入れ替わる。飲んでから6時間が経過すると、入れ替わりは自動的に解除される』……だとよ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「クソみたいな説明書ですね」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「えっ、じゃ、じゃあ、この状態があと6時間もつ、続くのか? ……か、解除された頃にはも、もう日が暮れてるぞ……」
【柊一郎(in ノアの体)】
「とんだ休日になっちゃった」
【ソフりん】
「本当に飲まなくて良かった……。災難だったな、お前ら」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「どうせならお姉ちゃんと入れ替わりたかったです……!!」
【ソフりん】
「本当に飲まなくて良かった」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「特定の誰かを狙って入れ替わるのは無理だろ。『ランダム』って書いてあんだからよ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「それはそうですけど……まあ、柊一郎の体になるのもこれはこれで面白いんですよね。……それにしても、ち〇ぽってこういう感じなんですね……」
【柊一郎(in ノアの体)】
「触るなら優しくお願い」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「なんだこの絵面は」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「へぇ、この
【柊一郎(in ノアの体)】
「ちょっとした刺激でも勃つことあるから」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「男の人も大変ですね。こんな些細な事で勃起するとは……少し、世の中の男性の苦労がわかった気分です」
【柊一郎(in ノアの体)】
「椅子に長時間座ってるだけで勝手に勃つこともあるよ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「え、そうなんですか? 不思議なメカニズムですね。ちょっと勉強になります」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ノアが柊一郎に勃起の解説してる」
【ソフりん】
「シュールすぎないか……?」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「プリズンにいた頃、お姉ちゃんはチャプター19でこのち〇ぽを
【ソフりん】
「あり得ないキラーパスが飛んできたぞ」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「シュール通り越して地獄だな」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「な」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「いや、これがなかなか面白いんですよ! 男性器にここまで興味を持ったのは初めてです! 鐘さんと妙花も見てください! ほらほら!!」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「お、おい!! しゅ……ノア!! ち〇ぽ出したままこっち来んじゃねぇ!! 頭イカれてんのか手前は!?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「こ、こらぁ……!! やめろぉノア……!!」
【柊一郎(in ノアの体)】
「勃起ち〇ぽ丸出しのオレが、すごい剣幕の伊栖未とおどおどした妙花を追いかけてる…………なんか、面白い」
【ソフりん】
「いや止めろよ」
【柊一郎(in ノアの体)】
「せっかくだしビデオで録画しとこうかな」
【ソフりん】
「なんでそんなに落ち着いてるんだ?」
◆
【妙花(in 伊栖未の体)】
「ぜぇっ……ぜぇっ……ノ、ノア、手前……おぼえてろよ……!」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「いやぁ、すみません。調子に乗りすぎました」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ラーレ史上最高の狂気だった」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「言うほどそうか?」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「こ、これが……狂気じゃ、なかっ……たら、なんだってんだ……!!」
【柊一郎(in ノアの体)】
「それにしてもたえ……伊栖未か。あんなに走り回ったのに落ち着いてるじゃん」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「そ、そういえば……た、妙花の体だから、か? 全然、疲れぬ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「その一方で妙花はしんどそうですね」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「あ、あぁ……。こんなに貧弱な体だとは思わなかったよ」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「し、失礼な……!」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「いや、伊栖未。もうちょっと鍛えたほうがいいぞ。この程度でへばるようじゃ、なにかと不便じゃねぇか?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ひ、否定はできない、けど……というより、妙花の体がきょ、強靭……すぎる、と思う」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「そうか? まぁ、一応鍛えてはいるが……」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「体力が両極端なふたりなので普通の体力というものが分かりにくいのでしょう」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「アタシはともかく、少なくとも伊栖未の体はちと心配だぞ。もうちょっと食った方がいいし、運動もしたほうがいい。じゃねぇと仕事でもすぐにダウンしちまうぞ」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「い、今のところは平気だし、だ、大丈夫だと……思います」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「もうちっと健康に気を配れって話だ。無理に鍛えろとは言わねぇ。手段はいくらでもある」
【柊一郎(in ノアの体)】
「体質とかあるから。個人差は仕方ない」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「鐘さんはどうなんです? 妙花の体になってみて、自分より元気だなって思うものなんですか?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「う、うん……ぜ、全身から力が溢れてくるというか……あ、そうだ。そ、ソフりん」
【ソフりん】
「ん? どうした?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ちょ、ちょっと試してみたいことがある。こう……手を開いて、構えてほしい」
【ソフりん】
「? なにをするつもりだ?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ほ、本気のパンチをしてみたいので……受け止めてほしい、です。どれくらい妙花が強いのか、確認したい」
【ソフりん】
「えっ、普通に嫌なんだけど……」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「妙花のマジパンチはさすがに危険です。お姉ちゃん、覚悟したほうがいいですよ」
【柊一郎(in ノアの体)】
「ちゃんと受け止めないと怪我しそう」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「伊栖未、手のひらをしっかり見て打てよ。指側の方に偏ると危ねぇからな」
【ソフりん】
「なんでやる前提で話が進んでるんだ?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「よ、よしっ! ソフりん、行くぞぉ……!」
【ソフりん】
「えっ、ちょっ。分かってるな? 少しは加減を――」
●SE:強烈なパンチ音
【ソフりん】
「……~~~~っ!!!! いっったあああああああ!!!!」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「おぉ……!! そ、そんなに力い、入れてないのに……!! つ、強っ……!!」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「へぇ、やるな。アタシの体とはいえ、しっかり打てたじゃねぇか」
【ソフりん】
「うぐぅぅぅぅぅ……!!!! あっぁぁぁぁぁぁぁ……!!!!」
【柊一郎(in ノアの体)】
「伊栖未もそういうセンスがあるのかもしれない。ちゃんと鍛えれば強くなれると……オレは思う」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「……やるじゃないですか! 鐘さん!」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「み、みんな……!! ありがと……な……!!」
【柊一郎(in ノアの体)】
「…………」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「…………」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「…………」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「…………」
【ソフりん】
「…………」
【ソフりん】
「…………いや、そうはならなくないか?」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「あ、お姉ちゃん大丈夫ですか? 怪我とかありません?」
【ソフりん】
「気遣うの遅すぎるだろ。こういうときこそ普段みたいにもっと心配しろ」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「くっくっ、悪いねソフりん。なんせ、アタシの体だからな。多少は許しておくれよ」
【ソフりん】
「いや、波多江のせいではないが……なんか腹立つな」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「ソフりん、次オレやっていい? ノアの腕力気になる」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「その次はアタシな」
【ソフりん】
「遊びに来いと呼ばれてサンドバッグにされる私はなんなんだ? いじめか?」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「お姉ちゃんをおもちゃにするのは止めてもらえますか」
【ソフりん】
「ノってたお前が言えることじゃないだろ」
◆
【ノア(in 柊一郎の体)】
「――……ある程度時間経つと、馴染んでくるものなんですね」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「そうだなぁ……。”慣れ”ってのは怖いもんだなぁ……」
【柊一郎(in ノアの体)】
「オレはまだ慣れないけど。ち〇ぽがない感覚とデカいおっぱいがついてる感覚がちょっと」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「それ言ったら私もですよ」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「せ、性差を乗り越えるのはた、大変なんだ、な……」
【ソフりん】
「そうは言うが、お前ら平然とトイレ行ってるだろ。特に湊とノア。お前らよく平気でいられるな」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「私たちは運命共同体ですし。……それに、柊一郎の体なら、むしろ愛おしさすら感じます」
【柊一郎(in ノアの体)】
「家族みたいなものだから。女性の用の足し方も知ってたし、特に問題もなかった」
【ソフりん】
「性差乗り越えてるじゃん……」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「でも男性のトイレって面倒ですね。いちいち、ち〇ぽを抑えないといけませんし、狙いも定めなくてはいけません。下手したら大惨事になっちゃうじゃないですかこれ」
【柊一郎(in ノアの体)】
「そこは気をつけないとだけど、やってると慣れることでもあるから」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ノ、ノア……もっと、詳しく教えてほしい」
【ソフりん】
「食いついてくることあるんだ……」
【柊一郎(in ノアの体)】
「ち〇ぽだけに?」
【ソフりん】
「ノアの見た目でくだらないこと言うのはやめろ」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「ノア本人もよくくだらねぇこと言うけどなぁ……」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「あとは……そうですね。勃起した状態で用を足そうとすると、出るのに時間がかかりますし、少し負荷がかかってる気がしますね。それがちょっと辛いです。洋式だと特に大変じゃないですか?」
【柊一郎(in ノアの体)】
「うん。そのときは一度沈めるよう心を落ち着かせることに専念する。で、縮んできてから出すって感じ」
【男の小便に興味があるらしいふたり】
「「へぇーー……!!」」
【ソフりん】
「ひどい構図だな」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「解説してるノアに、柊一郎とアタシが聞き入ってるって様だからなぁ……」
【柊一郎(in ノアの体)】
「どちらかと言うと女性のほうが面倒じゃない? いちいち紙で拭かないとだし、経済的じゃないでしょ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「そればかりはどうしようもありませんね。拭かないと大変なことになりますから」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「で、でも、紙を使わなきゃって点では、そうかも……。男より消費が、激しい」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「女ってのはそういうもんだぞ、柊一郎? 竿で制御できる男と違って、ま〇こはそう器用じゃねぇからな」
【柊一郎(in ノアの体)】
「君たちの苦労がちょっとわかった気がしてきた」
【ソフりん】
「せっかくの休暇にトイレ談義を聞かされることある?」
【柊一郎(in ノアの体)】
「ソフりんも混ざる?」
【ソフりん】
「お前本当にデリカシーないな……!!」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ここまで来たらデリカシーもなにも無いと思う」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「いや、アタシらの関係性が特殊なだけで、普通はアウトだからな」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「で、でもお姉ちゃんのトイレ事情も、それはそれで気になりますねぇ……」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「こいつは特に普通じゃなかったな……」
【ソフりん】
「うわっ気持ち悪っ! 見た目湊が言ってるから、より生理的嫌悪が……!」
【柊一郎(in ノアの体)】
「…………」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「あ、あれはノアが悪いから……き、気にするな、柊一郎……」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「ノアの奴、なまじっか柊一郎っぽい振る舞いしてるから尚更たちが悪い」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「そうですか? そんなつもりはありませんでしたけど」
【柊一郎(in ノアの体)】
「口調まで真似されてたらソフりんの中のオレのイメージかなり悪くなりそう」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「やります?」
【柊一郎(in ノアの体)】
「やめて」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「冗談ですよ。……あ、でもどうせなら」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「……あ、なるほど……」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「……? なんだ手前ら? こっちのほう凝視しやがって」
【柊一郎(in ノアの体)】
「伊栖未の物真似して」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「…………」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「…………は?」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「思い返せば妙花が誰かの物真似してるの見たことないですよね」
【柊一郎(in ノアの体)】
「そういうこと。いい機会だから見てみたい」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「……あのなぁ、無茶ぶりがすぎねぇか? 伊栖未だって不愉快じゃ――」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「面白そうだから……いいよ?」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「えぇ……」
【ソフりん】
「私も
【妙花(in 伊栖未の体)】
「ソフりんまで……。まぁ、別にいいけどよ」
【柊一郎(in ノアの体)】
「本人の許可も出たし。景気付けにってことで」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「なんの?」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「…………あー、……そうだなぁ……」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「…………」
【妙花(in 伊栖未の体)】
『いい気味ねぇ』
【ノア(in 柊一郎の体)】
「物真似の物真似じゃん」
【柊一郎(in ノアの体)】
「でも似てる」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「わ、わたしはノーコメントで」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「……な? こんなもんだぞ。特段面白いわけじゃ――」
【ソフりん】
「あははははははははっ!!!!」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「めちゃめちゃ受けてるじゃねぇか……!」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「お姉ちゃんってかんぴょう女の物真似好きですよね」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ほ、本人は嫌いなのにな。わたしもだけど」
【柊一郎(in ノアの体)】
「こんなに笑ってるソフりん見たのいつ以来だろ」
【ソフりん】
「あははははははははっ!!!! …………はあっ、はあっ……!! よ、良かったぞ、波多江……!! 最高だった……!!」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「さいですか」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「それも地味に鐘さん言いそうですね」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「そうかな……そうかも……」
【柊一郎(in ノアの体)】
「それにしても意外だった。妙花がこんなに物真似上手いとは」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「本人の体だからなぁ……。適当にやってただけだぞ?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「じゃ、じゃあわたしも――」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「鐘さんの場合は可愛くなるだけだと思うので結構です」
【伊栖未(in 妙花の体)】
『んだとゴラァ!!』
【ノア(in 柊一郎の体)】
「うわっびっくりした……!!」
【柊一郎(in ノアの体)】
「思ったより似てた」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「ははは!! やるじゃねぇか伊栖未!! だがな、もうちっとドスを効かせたほうがいいぞ? こう、喉の奥から――」
【片割れふたり】
「「やんややんや」」
【ソフりん】
「なんだかんだでこの状況楽しんでるなお前ら……」
◆
【柊一郎(in ノアの体)】
「薬飲んでからだいぶ時間経ったけど、未だに女体に慣れないな」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「ナチュラルに”女体”って呼ぶのやめません?」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「なんだ? まだそのでけぇ胸とま〇こに慣れねぇのか? 5時間近く経ってるってのによ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「その言い方だと私のま〇こがでかいように聞こえるんですけど」
【ソフりん】
「すごい会話だな」
【柊一郎(in ノアの体)】
「正直に言うと……入れ替わりを自覚してから、ちょっと興奮してる」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「まさかのカミングアウト」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「くっくっ、やっぱ手前も男だねぇ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「…………」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「……ノ、ノア? どうした?」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「…………実は、私もです」
【ソフりん】
「……え?」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「ぶっちゃけ最初からめちゃムラムラしてたと言っても過言じゃありません」
【ソフりん】
「お前らなぁ……」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「アタシらも年頃だからなぁ……。好いた男女同士で体が入れ替わったらそういうこともあるか」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「わ、わたしも、ノアがちょっと羨ましいと……思ってた。柊一郎のかぁ、体になってみたかった、ぞ」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「残念でしたね……。残り1時間弱、柊一郎を堪能させていただきます」
【柊一郎(in ノアの体)】
「なに、堪能って」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「……柊一郎。お願いがあります」
【柊一郎(in ノアの体)】
「お願い」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「……オ〇ニーしてきてもいいですか?」
【柊一郎(in ノアの体)】
「…………」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「…………」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「…………」
【ソフりん】
「…………」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「…………だ、駄目ですか? このち〇ぽ、本当に扱きたくてたまらないんですよ。……お願いします」
【ソフりん】
「姉の前でよく言えるよなそういうこと」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「冷静にこの状況直視したら頭おかしくならねぇか?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「さわさり」
【柊一郎(in ノアの体)】
「…………」
【柊一郎(in ノアの体)】
「……ひとつ、条件がある」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「……条件?」
【柊一郎(in ノアの体)】
「オレにも、ノアの体で……自慰させてほしい」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「……えっ」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「地獄の様相を呈してきたな」
【柊一郎(in ノアの体)】
「オレも……さっきから疼いてたまらない。頼む、ノアの体でオ〇ニーをさせてほしい」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「…………」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「……気持ちは、一緒だったんですね」
【柊一郎(in ノアの体)】
「互いの自室に籠ってやろう。それでいい?」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「……はい。優しくお願いしますね」
【柊一郎(in ノアの体)】
「ノアこそ。乱暴には……しないでほしい」
【ソフりん】
「もう好きにしてくれ。私は関知しないことに決めたからな」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「ソフりんがちょっと不憫になってきた」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「な」
【柊一郎(in ノアの体)】
「というわけで、ちょっとオレたち
【ノア(in 柊一郎の体)】
「入れ替わりが解除される前には終わらせますので」
【柊一郎(in ノアの体)】
「オレはそんなに……早漏じゃない」
【ノア(in 柊一郎の体)】
「そうか?」
【伊栖未(in 妙花の体)】
「そうか?」
【妙花(in 伊栖未の体)】
「そうか?」
【柊一郎(in ノアの体)】
「…………っ!!」
【ソフりん】
「関知しないと言ったばかりだが……可哀想だからやめてやれ」
◆
【柊一郎?】
「…………」
【ノア?】
「…………」
【伊栖未?】
「…………」
【妙花?】
「…………」
【ソフりん】
「…………解除、されたのか?」
【柊一郎】
「……うん、戻ってる」
【ノア】
「えぇ、私の知ってる感覚です」
【伊栖未】
「よ、よかった……。ほ、本当に戻れて……」
【妙花】
「な。一生このままかもしれねぇと肝を冷やしたぞ」
【ノア】
「まあ、でもなんやかんや楽しかったですね」
【柊一郎】
「またそのうち飲む?」
【妙花】
「いや、しばらくは勘弁だ。疲れる」
【伊栖未】
「そ、それに……だれと入れ替わるか分からんから、リスキー」
【ソフりん】
「もうその薬は封印しといたらどうだ。何度も飲んでたら魂が定着して元に戻れなくなってしまうかもしれないだろ」
【ノア】
「たしかにそうですね。楽しかったとは言いましたが、本来は危険なものですし。捨てるのも危ないので、厳重に保管しておきましょう」
【柊一郎】
「そうしよう。で、またシスターが来たときに引き取らせ――」
●SE:玄関のドアが開く音
【樹里亜】
「お邪魔しまーす。我妻樹里亜です♪」
【姫瑠】
「お、お姉さま! そんなに急がなくても……!」
【ラーレの面々+ソフりん】
「「「「「…………あっ」」」」」
【樹里亜】
「どうもこんにちはぁ。あらぁ、ソフりんちゃんもいらしてたんですねぇ」
【姫瑠】
「ご無沙汰しております。シコレンコ看守長」
【ソフりん】
「は、はぁ……どうも」
【樹里亜】
「ま、ソフりんちゃんはともかく。実はですねぇ、この前置いていったお薬なんですけどぉ、あれ間違ってまして。決して飲まないよう注意喚起に参ったんですけどぉ」
【姫瑠】
「聞いた話によると、その……魂が入れ替わる? 薬らしいからな。よくわからんが危なそうだから、お姉さまが引き取るそうだぞ」
【樹里亜】
「姫瑠ちゃんは別に来なくて良かったんですけどねぇ」
【姫瑠】
「なにを仰います! 道端でたまたまお会いしたんですから、同行させていただくのが自然の摂理というものでしょう!」
【樹里亜】
「そんな摂理あります?」
【柊一郎】
「…………」
【ノア】
「…………」
【伊栖未】
「…………」
【妙花】
「…………」
【樹里亜】
「? ……もしかして、もう飲んじゃいましたかぁ?」
【ノア】
「えぇ。それで、ついさっき解除されましたよ」
【妙花】
「お陰様でとんでもねぇ目に遭わされたよ……薬の見分けもつかねぇどっかのバカ修道女のせいでなぁ!!」
【伊栖未】
「は、反省しろこの野郎……!!」
【樹里亜】
「あらあらごめんなさいねぇ♡ ……ところで、だれとだれが入れ替わったんです? 是非教えてくださいな♪」
【柊一郎】
「本当に反省してる?」
【樹里亜】
「もちろんしてますよぉ。だからこうして引き取りに来たんじゃないですかぁ」
【妙花】
「真面目に反省したってんなら、それ相応の誠意を見せてもらわなきゃ筋が通らねぇ。なぁ、柊一郎?」
【柊一郎】
「そういうこと。……というわけで、これ」
【樹里亜】
「…………は?」
【姫瑠】
「え? 私も……なんだ?」
【ノア】
「おふたりでそれ飲んでください。ふたりだけの場合ならそのまま互いに入れ替わるでしょう?」
【妙花】
「んでもって慌てふためいてアタシらを楽しませておくれよ。それで手打ちにしてやる。悪くねぇ話だと思うが」
【柊一郎】
「自分の会社で作られた薬だから、シスターが飲めないわけがない」
【伊栖未】
「ん、んほぉも、巻き込むのはちと心苦しい。けど、監督不行届ってことで、連帯責任」
【樹里亜】
「…………あの……せめて、姫瑠ちゃん以外で――」
【姫瑠】
「私は構わんぞ!! むしろお姉さまと入れ替われる絶好のチャンス!! 是非ともそのお体、堪能させてくださいまし!!」
【妙花】
「そういうことだ。ほれ手前ら、さっさと飲めよ。なにか不都合でもあんのか?」
【姫瑠】
「そうですよお姉さま! 遠慮なさらず、私の体で好きなだけエッチなことしてくれて構いませんので! いえ、むしろしてください! 私もお姉さまの体を隅々――」
【樹里亜】
「絶対嫌です!!!!!!!」