── 朝の会 ──
「中間試験、ですか?」
「そうです。今年1年になった
「……はぁ、なるほど」
「──はい、以上のように試験科目は国語、数学、理科、社会、英語、そして保健体育実技です。来週の月曜日、火曜日の二日間に渡り試験を行います。黒板の右端に試験日程を書いたままにしておくので各自試験勉強をして臨むように」
「ふーん、国語、数学、理科、社会、英語に保健体育実技かぁ。結構多いんだな」
転校前の学校でも行事一覧に中間試験とか書いてあったような気がする。まあ要するに主要教科を日を決めて一斉に試験するって話か。
「花胡せんせー、試験範囲は?」
後ろの席で
そういえば、この学校の授業はほとんど自習みたいなもんだから、学習進度なんか個人個人でバラバラだもんな。
例えば僕なんか数学と理科の教科書ならもう半分くらい読み終わってるし。
「学年ごとの1学期中間試験の範囲はあとでプリントを配布します。他に質問はある?」
あ、そうだ。念の為に聞いておこう。
「花胡先生。保健体育実技ってどんなことをやるんですか? マット運動とか? 点数ってどうやってつけるんですか?」
「ああ、それはね……」
◇◇◇◇◇◇
── 保健体育 ──
「かっちゃん、またダメだった。どうしよう〜〜」
己紗が涙目になってる。
でもどうしようと言われてもどうしようも無いと言うか。
特に試験本番になれば、本人が頑張るしかない。
「冷たい! かっちゃんは冷たい! あたしが赤点になっても良いって言うの?」
「そんなこと言われてもなぁ……。そもそも今まで散々やり方を教えてきたし、今も教えてるじゃん、僕」
花胡先生に了解を取った上で己紗と机をくっつけて、マンツーマンで射精指導を行っているのだ。これで冷たいなんて言われても困る。
僕はため息をついて、己紗のプレートをトントンと叩いた。
「じゃあ、中間試験で赤点を取らないで済むようにもう一度最初からやってみようか」
己紗のプレートに表示されている僕のちんちんは勃起する前の初期状態に戻っている。【刺激指数】を表す右側の赤バーの枠も下端に張り付いていて、このゼロの状態から勃起させて最終的に射精まで導くことができれば試験は合格となるらしい。
赤バーは端的に言えば興奮度だ。僕のちんちんへの刺激の効果度合を示していて、勃起を促す効果的な刺激であればあるほど、赤いバーは上昇し、弱かったり間違った刺激であればバーは下降する。
そして赤バーが一番上まで到達すれば僕のちんちんが射精するのだ。
題材はアレだけど一種のシミュレーションゲームだ。だけど見た目と違って難易度は
「うん、じゃあ始めるからちゃんと見ててね」
己紗は両手でほっぺたをパンパンと軽く叩き、気合を入れ直している。
泣き言を言ってた表情から真剣な眼差しに変わった己紗は、プレートに表示されているちんちんの包皮の上に指をそっと置くと、再び射精チャレンジを開始した。
まずはセオリー通り、親指と人差し指で包茎状態のちんちんの包皮を優しく
やがて亀頭を包んでいたちんちんの包皮がするっと
相変わらず僕でも見分けがつかないくらい本物そっくりだ。
ちなみに、これくらいの刺激では右端の【刺激指数】のバーはピクリとも動かない。
「復習になるけど、勃起してないちんちんに強い刺激は厳禁だから、優しく丁寧に触るのを心がけてね」
「はい、かっちゃん先生」
己紗は僕が教えたように根元の方をきゅっきゅと優しく指で締め付けながら上下に小刻みに動かし続けている。もちろん根本の部分だけじゃなくて、ピンク色にキラキラと光る亀頭の方も柔らかい指の腹で左右になぞって、亀頭冠と呼ばれるカリ首の手前の部分を一定の速度で丁寧に擦り続ける。
「そうそう。上手いよ、己紗。最初のうちはそうやって両手の指を使って一定のリズムで丁寧に刺激を送り込み続けるのがコツなんだ」
「これ、かっちゃんに教えられた通りにやってるけど、こうやって亀頭を撫で回されるのがかっちゃんは好きなの?」
「ん? 好きも何も、僕も実際にやったことは無いから分かんないよ?」
僕がそう言うと教室が一瞬ざわついた。
教室にいる女子が全員驚いたように僕を見ている。
教壇にいる先生まで目を見開いて僕を見つめていた。
「え? やったことないの!?」
目の前にいる己紗も信じられないという表情で僕に聞いてきた。
そんなにおかしいだろうか?
「まあ、自分でするのはちょっと怖いし、毎朝夢精してるから溜まってる感じはあんまりしないし、まあいいかなって……」
──僕は同級生の女子に何を言ってるんだろう?
こんなこと普通は言わないよな、しかも授業中に。
でも頭を上げて見渡すと、先生も含めて教室にいる女子全員がプレートを操作して僕のちんちんを射精させる練習をしているわけで。
今更そんな普通の感性を持ち出す方がどうかしているような気がする。
そう、本当に今更だ。
「……まあ僕のことはいいだろ? 今は己紗が僕のちんちんを射精させる方法を学ぶ時間だし」
「う、うん」
「ほら、手が止まってるよ? ちゃんと指先で亀頭を擦り続けて。力を入れすぎないで優しくだよ?」
「はい、かっちゃん先生」
プレートに表示されている僕のちんちんに視線を戻し、再び真剣な表情で己紗は僕のちんちんを愛撫する作業に戻った。でも真剣な表情の裏で己紗は妙に嬉しそうにしている。
今の話の中で嬉しくなる要素なんかあったかな?
内心、首を捻るけど思い当たらない。
まあいいか。大した問題じゃない。
己紗の指が亀頭の周りを円を描くように刺激し続けていると、やがてプレートの右側の赤バーの下部がじわりと持ち上がってきた。
「上手いぞ、己紗。少しずつちんちんが勃起し始めてる。その調子で僕のちんちんにどんどん刺激を送り込むんだ」
「うん、頑張る」
横から己紗のプレートの
己紗がさっきから丁寧に繰り返していた指での刺激の成果が出てきていた。赤いバーがジリジリとカタツムリが移動するよりも遅い速度で、だけど着実に上昇し続けている。
すでにバーが下から1/3くらいの位置まで上昇していた。
ここまで上昇するとそろそろ変化が訪れるはずだ。
「あっ! かっちゃんのおちんちん、ちょっとだけ弾力が変わってきたよ。かっちゃん見てる? ホラ? ホラっ!?」
プレートに表示されている僕のちんちんがようやく己紗の指の刺激に応えて、根元のあたりがゆっくりと膨らみ始め、それが竿全体に伝わり、やがて亀頭がふっくらと膨らんできた。
「ああ、見てるよ己紗。僕のちんちんが気持ちよくなって勃起し始めたんだ。だからそろそろ角度を変えてちんちんの裏側を刺激しようか」
現実に基づいているのかどうなのか僕には分からないけど、このプレートは実に面倒くさい仕様になってて、同じ刺激が続くと効果が激減していくのだ。
刺激に対して赤いバーが敏感に反応する好反応の場所を探り当てても、そこばっかり刺激してると
「ん、分かった。じゃあひっくり返すね」
己紗はプレートの隅を左手の指で長押しした状態で、右手の指で円を描くようにスワイプした。すると、今までは上からちんちんを見下ろす視点だったのが、今度は下から見上げる視点にぐるりと変わる。
視点変更は裏側だけじゃなくて、360度好きな場所に変更できるのだ。
真横からとか、正面からとか、亀頭の先だけをピックアップするように拡大だってできる。正直訳が分からないくらい自由度が高い。
3Dモデル化したちんちんのデータをリアルタイム描写しているようなので、こういうこともできるんだろう。
「己紗、どこを重点的に刺激するのがいいか覚えてる?」
「この亀頭のすぐ下の裏筋の周りだよね? ここを指先でくすぐるように擦ればいいんだよね?」
「ちゃんと覚えてるんだよなぁ」
「かっちゃんのおちんちんのことだもん、当然じゃない」
自慢げに胸を張る己紗。
姉の花胡先生に比べたら極めて控えめで、12歳の成長途中の胸が学校指定ジャージをほんの少しだけ内側から持ち上げている。
無意識に教壇でプレートを操作してしている花胡先生をチラッと見てしまった。
ジャージの中にはメロンが二つ収まっていた。
己紗も何年かすればああなるのかと思うと人体の神秘を感じる。
「やったー!!」
「よしっ! 私のも射精したっ!!」
後ろの席で一枝先輩と捺那先輩が叫び声を上げた。
振り返ると、二人でハイタッチを交わしていた。すごく嬉しそうだ。
2年生の二人も何か切っ掛けでもあったのか、先日から急速に上達してプレートの僕のちんちんを射精させられるようになっている。
今日も成功したってことは前回のもまぐれじゃないわけで、これで中間試験前で未だに射精させることができないのは己紗だけになってしまった。
今日が木曜なので、中間試験まで保健体育の授業は明日を残すのみだ。
己紗は今日か明日には射精させられるようにならないとかなりまずい状況だ。
視線を己紗のプレートに戻すと右端の【刺激指数】のバーは更に上昇していて、僕のちんちんがプレートの画面一杯まで膨らんで勃起していた。
よし、順調だな。
フル勃起まであと少しだ。
この調子なら今日射精に成功するかもしれないな。
だけどフル勃起の段階になると、ちんちんへの刺激の方向性が変わり、勃起させるための刺激から射精させるための刺激に切り替えないといけない。
これがまた難易度が高いのだ。
優しく労るような刺激から、激しく擦り上げるような刺激への切り替えが必要らしいのだ。
どういう刺激を送り込めば射精するか知ってるけど、あくまでプレート上の僕のちんちんに対してであって、僕自身は未経験なのでどうしても「らしい」という表現になる。
◇◇◇◇◇◇
「ああぁあ、またダメだったぁああっ!」
無念の叫びを上げたあと、ガックリと己紗が項垂れた。
──やっぱりおかしいよな。
己紗のプレートの右端に表示されている赤バーがゆっくりと下降していくのを眺めながら思った。
どこにもダメな点がなかったんだ。
己紗は多少ぎこちないところはあるけど、僕がプレートを操作して射精させている手順や指の動きとほぼ遜色はなかった。
見ていて気づいたけど甘勃起状態のちんちんからフル勃起状態へ移行した後の挙動が僕のプレートと全然違う。
これは己紗の手技が悪いんじゃなくてもっと別の理由があるんじゃないだろうか?
「ねえ、己紗? 見てて思ったんだけどさ? 己紗のプレートの設定ってどうなってるの?」
「設定?」
「このプレート、あんまり設定とか数字を弄るところは無かったけど、例えば元々の設定が僕や他の女子のプレートと違ってることが原因で上手く射精まで導けてないのかもって思ったんだ」
「……プレートの設定かぁ。別におかしな設定した覚えはないけど、元々の設定がおかしくなってるのかな? かっちゃんちょっと見てくれる?」
己紗がプレートの画面をポンポンと触って操作すると、僕のちんちんの画像が消えて白と灰色の欄が並んでいる設定画面に切り替わった。
その状態のプレートを僕に差し出してきたので受け取った。
「どれどれ?」
■男性器基本ステータス
【長さ】 7.2/18.8 cm 平常時/勃起時
【太さ】 3.1/ 4.5 cm 平常時/勃起時
※目標値に向けて成長中
■男性器目標ステータス
【長さ】10.0/30.0 cm 平常時/勃起時
【太さ】 3.5/ 6.0 cm 平常時/勃起時
※目標値に向けて成長中のため変更不可
「んんっ!?」
いきなり見たことがない設定があるぞ!?
「み、己紗? この男性器目標ステータスって何?」
「え? それかっちゃんのプレートには無いの?」
「無いよ? 初めて見たから聞いてるんだよ?」
動揺で自分の声が震えているのが分かる。
30cm!?
30cmるぅっ!!
動揺するなという方が無理だ!
「へー、そうなんだ? でもそれがどうかしたの?」
「ど、どうかしたのって……」
己紗の反応が薄い?
「プレートに表示されてるおちんちんのデータの話なんだよね?」
己紗が首をちょっと傾げて慌てまくってる僕を心配そうな目で見ている。
「そういえば……そうだった」
己紗の目を見ているうちに最初の衝撃が突き抜けて行き、次第に冷静さが戻ってきた。
プレートのただのデータなんだ。
このプレートに登録されている僕のちんちんの3Dデータの成長予定データがあったからって、それが一体どうしたのって話だ。確かにそうだ。慌ててる僕のほうがおかしい。
それが理性的な判断だ。
さっきまで悲鳴を上げていた心の中心にある不安を無理やり隅の方へ押しやる。
ぐいぐいと押して押して圧縮していくと気にならない大きさまで不安が縮んで行った。
ふー。
時間をかけて息を吐いた。
「ごめん、己紗。ちょっとびっくりするような数字だったから驚いただけなんだ」
でもちょっと確認したい。
「なんで男性器目標ステータスを30cmにしたの?」
「最大設定が30cmだったからだよ?」
「なんで最大にしたの?」
「最大にするとステータスボーナスがあるって説明書に書いてあったからだけど?」
「……ステータスボーナス?」
「えっと、確か、射精時の精液量が10倍、勃起持続時間が無制限、挿入時の相互感覚補正が3倍ってあった」
「…………何それ?」
訳が分からないんだけど?
「どういう効果かはあたしも分からないけど、なんかお得だなって」
「…………」
顔を上げて教室を見渡すと、みんなが僕らの会話を聞いていたらしい。
引き攣ったような笑みを浮かべる僕に、まず天子ちゃんがまず教えてくれた。
「私も和兄ちゃんのおちんちんの設定は30cmにしたよ?」
「へー」
椅子に座っている天子ちゃんのお尻からお臍の上の
身長が140cm未満の天子ちゃんの座高は75cmくらいだろうか?
お尻の肉が薄くて細身の天子ちゃんの身体は抱きしめたら折れてしまいそうなくらい華奢だ。
いかん。
意味ありげに天子ちゃんの腰回りを凝視しすぎたせいで、天子ちゃんが不思議そうな顔で僕を見ている。
純真な天子ちゃんに見つめられているのが辛いので教壇の花胡先生を見た。
「先生も30cmに設定したわよ?」
花胡先生が嬉しそうにサムズアップしながら、聞いてもいない設定値を僕に告げた。
……他のみんなにはもう聞かないでもいいな。
◇◇◇◇◇◇
5時限目の授業が終わった。
1年生の僕たちはこれで放課後になる。
2年生と3年生は6時限目まであるので、僕たちだけ先に帰るのだ。
教室の掃除なんかは2年生と3年生が6時限目が終わった後にするので、ちょっと申し訳ない気もする。
まあ人数も少ないしそんなに汚れないんだけど。
花胡先生と2年生、3年生に挨拶して、僕と己紗、天子ちゃんの三人で校舎を出た。
天子ちゃんの帰る方向は違うので校門で別れることになる。
天子ちゃんがふわふわの金髪を揺らしながら何度かこっちを振り返り、帰っていくのを己紗と二人で見送った。
僕と己紗は途中まで同じ方向なので色々と喋りながら下校する。
話題の中心はもちろん中間試験だ。
僕も己紗も未経験だからな。
トウモロコシ畑の中を貫く農道をトコトコと歩いていく。
トウモロコシは既に鮮やかな緑の芽が出て20cmくらいまで育っていた。
「収穫時期が楽しみだね」
「でも大変なんだよ? こうやって手に持ったカゴで収穫していくんだけど結構重くて」
「あ、やっぱりみんなで手伝うんだ?」
やがて畑の中の農道が丁字路で別れているところまで来た。
公務員宿舎は村の中心にあるので僕は右の道で、己紗は左だ。
「じゃあ、また明日」
僕が片手を上げながらそう言うと、己紗は俯いたままだった。
「どうしたの己紗?」
「……あ、あのね、かっちゃん」
「うん?」
己紗の顔がやけに赤い。
「……今日、かっちゃんの家に行っていい?」
「……うん?」