※この作品はR-18です。

おちんちんプレート   作:Rオウ

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第02話 おちんちんプレート

 

「おちんちんプレートよ、和くん」

 

 石塚先生はニッコニコの笑顔でそう答えてくれた。

 これが真面目な顔だったらむしろ冗談の可能性があったのに、これはもうダメだ。

 

「前の学校には無かったの?」

 

 僕があまりにも驚いた顔をしていたからか、隣の席の己紗(みさ)さんが不思議そうな顔で聞いてきた。

 

「あるわけないだろ!」

 

 と、思わず激高しかけた。

 だけど出会って間もない女子相手に怒鳴るとか流石に無い。

 

 それによく考えたら方言の可能性があることに思い至った。

 

 僕は父さんの転勤に合わせて何度か転校を経験したけど、地方には驚くような方言があるんだ。

 たとえば富山県では「おちんちんかく」という言葉は、なんと正座を意味するのだ。

 

「おちんちん(正座)かいとろ(してね)」とか「おちんちん(正座)かかんで、こっちでひろがらっしゃい(楽にしてね)」とか言うのだ。

 

 他にもアレな感じの富山弁で「ちんちんぼんぼ」という言葉があって、これは肩車の意味がある。お爺さんが小さなお孫さんに「ほりゃ、ちんちんぼんぼしちゃろ」とか言うのだ。もう語感がすごすぎる。他の県なら即事案だ。

 

 年配のお爺さんから初めて聞いた時は、何の冗談かと思った。

 

 だからこの黒いガラスっぽい板が実は正座用のプレートということだってあり得るのだ。

 もしくは正座でも肩車でもなくて、何か別の言葉を意味する方言かもしれない。

 うん、考えれば考えるほどそれが正解な気がしてきた。

 

 

「そうだね…………前の学校では教材用のタブレットを触ったことがあるよ」

 

 このプレートの形状から考えて、多分タブレットのようなものだと当たりを付け、僕はおちんちんという単語に触れないように慎重に答えた。

 

「そっか、都会は進んでるんだね」

 

 うんうん、と頷いた己紗はどうやら納得してくれたようだ。

 己紗以外の女子にも視線を走らせて、こっそり反応を窺う。

 

 ──うん、僕の言葉に違和感を感じている女子はいないようだな。

 

 やっぱりこのプレートはタブレットみたいなもので、おちんちんは何かの方言なんだろう。

 

「あー、いいわね、タブレットって色々できるんでしょ? でもうちは田舎だから、昔配布されたこれしかないのよね」

 

 と、石塚先生が苦笑しながら手をパタパタさせている。

 

「で、和くん聞いてくれる? このおちんちんプレートって単体じゃ動作しないの。酷いよね? 動かすのに男の人がいないとできないとか、それ教材としてどうなのって感じ」

 

 ……同意を求められても困るんだけど、僕の「方言では?」という希望的観測に暗雲が垂れ込めてきたのだけは分かった。

 

 石塚先生が何気ない風を装いながら僕を見た。

 妙な緊張感に教室は静まり返る。

 

「……それでね?」

 

「……はい」

 

「本当は男性教師が登録して教材として使うものなんだけど、男性教師がいない時は男子生徒のおちんちんを登録してもいいことになってるの」

 

「お……ちんちんを……? え? 登録!?」

 

「それで、ジャージに着替えて貰ったばかりで悪いんだけど、和くん、ちょっと脱いでもらえる?」

 

 教壇の石塚先生が、まるで「あらあら肩に糸くずが」という軽い感じで、僕の下半身を指差し、とんでもないお願いをしてきて、僕の「方言では?」という希望的観測を粉々に打ち砕いた。

 

「すいません! 話が全然見えないんですが!?」

 

「あー……やっぱりここ(教室)で脱ぐのは抵抗がある? そうだよねぇ、周りは女子ばっかりだもんね?」

 

 違うよ! 問題はそこじゃない! 

 

「じゃあ、保健室に行こうか? そこなら先生と二人っきりだし……」

 

 少し首を傾げて、「えへへ」と恥ずかしそうに微笑む石塚先生に思わず勘違いしそうになるけど、凄いこと言われてるよね?

 その時、背後でガタンっと音がしたので振り返ると江莉夏先輩と祐里佳先輩が立ちあがっていた。

 

「江莉夏ちゃんと祐里佳ちゃんはついてきちゃだめよ? 和くん、思ったより恥ずかしがり屋さんみたいだからね?」

 

 他に、2年の一枝先輩と捺那先輩も立ち上がりかけていたのを、石塚先生がすかさず注意して止める。

 

「他のみんなも覗いちゃだめよ? 後でいくらでも見られるんだから我慢してね?」

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ガラッと木製の引き戸を開けるとそこは保健室だった。

 木製のベッドが二つと薬品棚や机、身長計や体重計、視力検査のアレなんかが置いてある、意外と普通の保健室だった。

 

 保険室内に入った石塚先生がくるっと体ごと僕に向き返り、ジャージに包まれた大きなおっぱいをぶるんと揺らす。

 

「ほら、ここなら先生しかいないし大丈夫だよね? じゃあ和くん、早速で悪いんだけどおちんちん見せてくれる?」

 

 ちらっちらっと僕の下半身に熱っぽい視線を何度も飛ばしてくる石橋先生。

 

 こんな綺麗なお姉さんから「おちんちん見せて?」と言われたら喜んで即見せするダメな大人が一杯いると聞いたことはある。人によってはお金を払ってまで見てもらいたいものだとも。僕には全く理解できないけど。

 

 女の人に……たとえそれが石塚先生みたいに凄い美人だとしても、自分のちんちんを見られて嬉しいとか訳が分からない。

 

「その前に教えて下さい。そもそもおちんちんプレートってなんですか? そこから分からないんですけど」

 

「あー、これ?」

 

 と言いつつ、石塚先生が黒いプレートをベッドの上にそっと丁寧に置いた。

 

「正式名称はたしか、『男性器射精支援技術習得兼能力開発及び適合模擬訓練平板』だった……かな?」

 

「は? 男性器……模擬く……ん……、え? 射精!?」

 

 その途端に石塚先生がアレ? っという顔をする。

 

「和くん射精知らないの? 男の子のおちんちんから赤ちゃんの素が出てくるんだけど、知らないわけないよね? 和くんが度々夢精しているようだって和くんのお父様から伺ってるし」

 

 

 父ぉおおおぉさぁぁあああああんんんん!? 

 

 

「というわけで実は和くんのお父様の了承はもう貰ってるの。先生も和くんが恥ずかしいって思う気持ちは尊重したいんだけど、いつまでも我が儘言われちゃうと保健体育の授業ができないから先生困っちゃうの」

 

 石塚先生が僕の胸を照れながら人差し指でつんつんと突(つつ)く。

 

「だから脱いで欲しいなぁ♥」

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ──僕の心臓が早鐘のように鳴り響いている。喉はさっきからカラカラだ。

 

 美人コンテストに出れば、あらゆる大会を総なめしそうなほどの美人女教師が僕の足元にしゃがみこみ、まるで匂いを嗅ごうとしているかのようにジャージに包まれた股間に顔を近づけているのだ。

 

 あんまりだ。

 なんで僕がこんな目に遭わないといけないんだ。

 

「和くん? 先生待ってるんだけどなぁ?」

 

 僕がズボンに手をかけたまま硬直して迷っているのを察したのか、先生がおっとりとした言葉で催促してくる。

 

 現実逃避でしばし中空を彷徨わせていた視線を改めて足元の石塚先生に向ける。

 

「まだかな? まだかな?」

 

 瞳にキラキラとした星を煌めかせて先生が待っている。

 まるで焦らしてる僕が悪いみたいな気がしてきた。

 

 あー、もう!

 

 先生にちんちんを見てもらうために……ジャージに手をかけて、僕はズボンを一気に足元まで下した。 

 

 

 

「わぁ♥ ブリーフなんだね! でもグレー(灰色)かぁ……。お姉さん的には白が好きなんだけど、これはこれで!」

 

 両手を頬の横に当ててまるで少女のように喜ぶ石塚先生。

 

「ほら、あとパンツだけだよ?」

 

 僕の前に屈みこんだ石塚先生が上目遣いでパンツを脱げと催促してくる。

 僕のパンツを見つめる先生の目が……なんでそんな悪戯っぽい目をしてるんですか、先生!?

 

 パンツに手を掛けて……掛けて……。

 

「くぅ! やっぱり無理です!」

 

 どう考えても先生の前でパンツを下して、ちんちんを見せないといけないなんて理不尽すぎる。

 

「……和くんは、保健体育の授業を楽しみに待ってるみんなをがっかりさせちゃっていいの?」

 

「そ、そういうわけじゃ」

 

「もう、絶対に絶対に絶対に、嫌! ……なの?」

 

「そ、そこまで嫌なわけじゃないけど」

 

「良かった。絶対に嫌なわけじゃないなら……じゃあ和くん、両手を上に上げてくれる?」

 

 両手を上に?

 唐突に先生が変なことを言い出した。

 まあでも、パンツを下すのに比べれば手を上げるくらい。

 

「えっと、こうですか?」

 

「それっ!」

 

「ああっ!」

 

 僕が両手を上げると同時に石塚先生が僕のパンツを掴んで一気に引き下ろしてしまった。

 

 腰の前にしゃがみ込んでいた先生が、ぷるんと現れた僕のちんちんを見て目を輝かす。

 

「……わぁ……これが……本物のおちんちんなんだぁ♥ 絵とは全然違うんだね♥ ほー……♥ へぇー……♥」

 

 僕の足元にしゃがみ込んだまま、石塚先生が下から横から眺めまわし、至近距離で僕のちんちんを観察する。

 

「あわわわ……」

 

「うんうん♥ 和くんのおちんちんすっごく素敵だよ。じゃあおちんちんプレートに記録するから、和くんは手を上げたまま待機ね♥」

 

 ベッドの上に置いていたプレートに先生が両手を置くと、プレートの表面に二重円のアイコンが浮かび上がった。

それを先生がポンっとタップすると、二重円の中心を円柱が突き抜けるアニメーションが表示された後、『男性器の登録』というボタンが出てきた。

 

 プレート表面に現れるボタンを先生がポンポンと次から次へとタップしていく。

 

「えっと……プレートのナビゲーターによると、登録するおちんちんを、正面、左右、上下の方向から写真を撮る必要があるんだって」

 

 プレートに表示された文字を僕に見せながら先生が説明する。

 

「え? 写真に撮るんですか?」

 

「うん、だって保健体育の授業の教材用だからね。写すのはおちんちんだけだし、和くんのお父様も顔を写さないのであれば構わないって了解してくれたよ?」

 

 父さんちょっと酷くない!?

 

「──というわけで撮るね♥」

 

 先生は黒いプレートを両手で掲げて、僕のちんちんの正面から、右や左の真横から、そして上からも下からも撮影していく。 

 

「ふぅ……これで平常時のおちんちんの形状データは取れたわ。じゃあ和くん、次は勃起時のデータを取るからおちんちんを大きくしてくれる?」

 

「ええっ!?」

 

「ん? 先生変なこと言った? 和くんのおちんちんを大きくして欲しいだけなんだけど?」

 

 黒いプレートを持ったまま、不思議そうな顔で先生が聞いてくる。

 

「いや、その……いつも勝手に大きくなるんですけど、えっと……ちんちんってわざと大きくできるもんなんですか?」

 

 僕の返事が意外だったのか、先生が目を丸くしている。

 

「え、うそ? あれ? ちょ、ちょって待っててね?」

 

 石塚先生が急にバタバタと慌てだして、保健室へ持ってきていた本をパラパラバララっとすごい勢いでめくり始めた。

 

「あの……石塚先生?」

 

「ごめん和くん、ちょっとだけ待ってて。今調べてるから!」

 

「は、はぁ……あの先生? それ何を見てるんですか?」

 

「学習指導要領解説 保健体育編! 先生用の教科書なの! ──あ、よかった、載ってた!! 男子生徒の陰茎を勃起させる方法!」

 

「載ってるんだ……」

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 木製のベッドに腰掛けるとギシっと音が鳴った。

 

「う、うん……、そんな感じで。あ、和くん。もうちょっと足を開いてくれる?」

 

 石塚先生が左手に指導要領を持ち、ページにチラチラと目を走らせながら僕に指示を出している。

 

「……足を……こうですか?」

 

「そうそう。力を抜いてだらんと足を拡げて……。そこで後ろに身体を反らせて手で支えて…………うんそうやって先生に向かって腰を突き出して……うん、いいよそんな感じ」

 

 石塚先生の目が僕のちんちんを真剣な目で見てる。

 

「先生が和くんのおちんちんを弄り回せるようにちょっと腰を浮かせて……それで、えっと」

 

 僕に指示を出しながら、先生は左手の学習指導要領に目を走らせた。

 

「……それで、男子生徒に不安感を与えないように……ふむふむ。おちんちんを扱うのに手慣れた雰囲気を演出して……なるほど……」

 

「……あの? 先生?」

 

 恐る恐る先生に声をかける。

 でも先生は手に持った学習指導要領を一心不乱に読んでいるので、聞こえていないようだった。

 

 ……3分ほど、何度も頷きながら学習指導要領を読み耽っていた石塚先生がくいっと顔を上げた。

 先程まで打って変わって先生の顔には自信が満ち溢れていた。

 

「ふふ、大丈夫よ、僕。お姉さんに、じゃなかった。先生に……じゃなくて、えっと……和くん?」

 

「はい」

 

 自信満々だった顔からあっという間に自信が剥がれ落ちて、目が左右に泳ぎ始めた石塚先生に僕は返事する。

 

 僕の返事が聞こえてたのか、もしくは全然聞こえてないのか、石塚先生は「ぐびっ」と喉を鳴らして唾を飲み込みと、意を決したように僕のちんちんに手を伸ばしかけて……そこで躊躇って手を引っ込めた。

 

 それを繰り返すうちに先生の顔が引き攣り始めた。

 

「あの、先生? 大丈夫です……か?」

 

 ようやく僕の声が聞こえたのか、先生はびくっと肩を震わせると僕へ縋るような視線を向けてきた。

 

「──あ、あのね? 実はね? せ、先生、男の子のおちんちんを見るのは生まれて初めてで、その、ね? 見るだけなら割と平気だったけど、触るのはちょっと自分でも意外なくらいハードル高くて」

 

「ええ、まあ……それは見てて分かりましたけど」

 

 あ、言い方をちょっと間違えたかも知れない。

 石塚先生がほっぺたをぷくっと膨らませて、唇を尖らせてしまった。

 

「さっきまで和くんの方が慌ててたじゃない。なんで落ち着いてるの?」

 

 僕の股の間にしゃがみこんで僕をジロっと見上げる石塚先生。

 口調に少し棘がある。

 

 あー……先生怒っちゃったかな。

 いや、これは拗ねてるのか。

 ……大人なのに拗ねちゃうのか、石塚先生。ぷりぷりしてる。

 

「いやまあ……その、先生が慌ててる姿見てたらなんか落ち着いちゃって」

 

 石塚先生の眉がピンと跳ね上がった。

 なんて分かりやすい。

 

「先生の一生懸命な姿が面白くて……」

 

「──っ和くん!? 一生懸命な人を笑うのは」

 

「その……ちょっと素敵で、拗ねてる先生も可愛いです」

 

 

 僕が最後まで言い終えると、石塚先生は「んくっ!」っと驚いて顔を真赤に染め上げて固まってしまった。

 

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