クッションを抱えて座った状態で、椅子をガタガタ揺らしながらひたすら耐えていた僕にはチャイムの音が救いの鐘の音に聞こえた。
「ちぇー」
「あー、ダメだったぁ……」
「フェーズ4って難しすぎない?」
「一回も射精させられなかったぁ……」
教室中の女子が残念そうに叫んだり呟いたりしている。
監督対象だった
「終わった。ようやく、終わってくれた……」
僕の本物のちんちんはジャージを強く押し上げてテントを張ったままだ。普通なら勃起してる姿を女子には見られないように隠すんだろうけど、本物そっくりの
「ねぇ捺那ちゃん、こっちの和くん全然射精しないねー」
「あー、一枝ちゃんもそう思うよね。どこか勝手が違うんだよね」
二人がかりで僕のちんちんを時間いっぱい刺激しておいて、射精しないことが悪いことみたいに言われたら辛いんですが。そもそも平面だったフェーズ3での練習と違って立体のフェーズ4が難しいとしても僕に責任はないと思う。
「はい、みんなお疲れさま。まだやり足りないだろうけど区切りは付けてね。おちんちんプレートを片づけて掃除の時間です」
「はーい」
今日は第1金曜日なので、生徒全員で校舎の清掃を行うのだ。
6時限目まで授業があることの多い2年生と3年生が毎日清掃はしてるけど、それは普段使ってる教室や廊下の清掃が中心で、第1金曜日と第3金曜日には校舎全体をみんなで2時間かけて清掃する時間が設けられている。
そもそも全校生徒7名では毎日校舎全部を清掃するにはマンパワーが足りないから、前の学校と違って業務用の掃除機と大型のモップが掃除道具入れに入っている。
まあ一人一人が雑巾で拭いてたら終わるわけ無いってのは僕も分かる。
全校生徒7名ではそもそもそんなに汚すこともないんだけどね。
「じゃあ、僕は校庭の草むしりしてきます」
普段使ってない教室だって埃くらいは積もるので、それぞれ分担して2時間くらい掃除して回るのだ。そして僕の担当部分は校舎外の掃除で、今日は校庭の草むしりをする予定だ。
勃起したままのちんちんが全然元に戻らないので、一人でやる草むしりは大変だけど正直助かる。僕は掃除道具入れから麦わら帽子と軍手と鎌を取り出して校庭に向かった。
一人でやるには少々広すぎるけど、別にこの2時間で隅から隅まで草むしりを全部終わらせなきゃいけないわけでもない。
雑草の多いところを中心に、それから見栄えが悪くなっているところを除草すれば、まあそこそこ悪くない感じまで仕上げることができる。
「──よっと」
鎌で刈り取った雑草を集めてゴミ袋に詰めているとチャイムが鳴った。
「お、時間か」
額に滲んでいた汗をぬぐうと、回収した雑草をゴミ置き場に捨てて道具を片付けてから僕は校舎の中へ戻った。
幸い、勃起していたちんちんはなんとか平常状態に戻っている。だけど一枝先輩と捺那先輩の二人がかりで舐められたり吸われたりした余韻が今も後を引いていて、ちょっと油断するとその感覚を思い出してまた勃起してしまう。
石辺先生が心配されていたように全然勃起しないのも問題だけど、この村の生活に馴染んで無事勃起するようになると、これはこれで厄介でとても手放しでは喜べない。
前の中学校で友達になったあいつらも授業中とか関係なく四六時中女子の前で勃起して苦労してたんだろうか? こんなことなら、その経験と対策を聞いておけば良かったとも思うけど、こんなことが聞けるほど仲が良くなる前に転校しちゃったからなぁ。
まあ蓮ヶ集中学校では花胡先生や女子のみんなは、僕が勃起していても全然気にしてないというかむしろ勃起するのを歓迎してる雰囲気があるけど、多分ここは普通じゃないと思う。
でも絶対ここが普通じゃないのかと問われれば、そうだと言えるほどの自信もない。
もしかしたら
プレートのちんちんを射精させるのにあんなに熱中してるのも、実は僕に対する気遣いの一環だったりして?
いや……無いな。
素だよな。コレは気遣いじゃなくて絶対に素だよな。
でも、男子のちんちんにあんなに興味があるのが女子の本当の姿だったら、前の中学校や小学校の時の女子のみんなは逆にそういうところを男子に隠してたんだろうか。
男子が女子に対して良いところを見せようと恰好をつけるように、女子も同じように?
……だとすると取り繕ったりしない蓮ヶ集中学校のみんなの方がずっといいな。
まあ……ちょっと行き過ぎじゃないかなって思わないでもないけど。
◇◇◇◇◇◇
「花胡先生、校庭の除草終わりました」
教室に戻ると、みんなもちょうど校舎内の清掃を終わらせたみたいで、椅子に座りかけていた。
「あら、和くん。校庭の除草って一番大変なのにありがとう、本当にお疲れさま」
花胡先生が教壇から僕に労いの言葉をかけてきて、席に座るように言ってきた。
「──はい、では連絡事項は以上です。あ、そうそう。来週末、校外学習で蓮倉岳への登山と高山植物の観察、そしてキャンプで一泊しますからね。体調を整えておくように」
「はい」
来週はキャンプなのだ。みんな楽しみにしていたやつだ。
もちろん僕もキャンプなんて初めてだし楽しみにしてるんだけど。
「花胡せんせー」
僕の後ろから声が上がった。
「一枝ちゃん、何かしら?」
「おちんちんプレートのフェーズ4って難しすぎない?」
「その話? まあ……そうね。先生も難しいとは思うけど、でも実際和くんのおちんちんを射精させるのってあれくらい難しいのよ?」
「それは分かるんだけどー。んと、だからプレートを家に持って帰って練習したいんだよね」
「持ち帰りか……うーん…………そうねぇ」
「花胡先生、私からもお願いします」
「あ、私も持ち帰りたいです」
更に後ろの席から声が上がる。
最上級生の江莉夏さんと祐里佳さんも持ち帰りたいと同じ意見か。
「あー、もしかしてみんな持ち帰りたいの?」
「はいっ!」
全員が元気よく手をあげてる。
「和くんを除いて全員が持ち帰りたいのね。……はぁ、仕方ないわね。いい? 丁寧に扱って壊さないこと。そして失くさないこと、約束できる?」
「できまーす!」
「では特別に許可します。…………和くんも持ち帰っていいのよ?」
「……持ち帰って何をしろと?」
意味ないよね?
◇◇◇◇◇◇
帰りの会が終わると女子全員が教室の後ろの棚に駆け寄った。もちろん花胡先生もその中にいる。そして保管していたプレートを各々カバンに詰め込んでいく。
みんな素晴らしく幸せそうな笑みを浮かべて、家での練習についてきゃっきゃと騒いで話が弾んでいる。
もう弾む弾む、……いやまあいいんだけどさ。
ん? よく見ると
後ろの棚で和気あいあいしてる女子の中に天子ちゃんの姿が見えない。
さっきまでいたはずなんだけど、トイレかな?
「じゃあ、みんな気をつけて帰るのよ? プレートも失くさないようにね?」
「はーい」
そう言いつつ花胡先生もプレートを脇に抱えて教室から出ていった。
みんなもプレートを入れたカバンを肩に掛けて帰宅し始めている。
「──和兄ちゃん」
僕を呼ぶ声に目を向けると、教室の出入口で天子ちゃんがちょいちょいと僕を手招きしていた。
「どうしたの?」
「ちょっと和兄ちゃんに渡したいものがあるから待っててくれる?」
「へ? いいけど」
僕と天子ちゃんの横を通って江莉夏さんや祐里佳さん、一枝先輩に捺那先輩、そして最後に己紗が天子ちゃんに「がんばれー」って声を掛けながら帰っていく。
「かっちゃん、今日は一人で先に帰るね」
「え? あ、うん、己紗。また来週」
みんなが帰って誰もいなくなった木造の古い教室で、天子ちゃんがもじもじと恥ずかしそうにしてる。その度に長い金髪がふわふわと揺れて、天子ちゃんの顔はりんごのように真っ赤に熟れてしまってる。
しばらくそうやっていたけど、やがて意を決したように天子ちゃんは背中に隠していたモノを僕に差し出してきた。
「あのね! こ、これ、和兄ちゃんに!」
彼女が差し出したものは──思ってたのと違った。
でもきっとこれは僕じゃなくても勘違いする。
「……ありがとう」
とりあえず笑顔でプレートを二枚受け取った。
相手は同級生ではあるけど年下のまだ10歳の女の子なのだ。それもものすごく綺麗で可愛くて多感な女の子なのだ。
傷つけるような言動は厳禁だ。
「この前の水泳の授業の時に泳ぎ方を教えてくれたお礼に、特別に貸してあげるね」
「あー……そうなんだ。でも、そんなの気にしなくてもいいんだよ、お礼が欲しくてした教えたわけじゃないし」
正直意味が分からないけど、とりあえず一旦家に持ち帰って週明けに「ありがとう」といって返せばいいかと頭の中で段取りする。そもそも学校の備品だからね。
「それだけじゃなくて。今日、和兄ちゃんが花胡先生と一枝ちゃんや捺那ちゃんにずっとおちんちん搾られてて大変だったでしょ?」
「ああ、まあ……ね」
実際には僕のちんちんを一枝先輩と捺那先輩の二人がどうにかしたわけじゃない。
あくまでも錯覚で、僕のちんちんが直接何かされたわけでもないから文句を言うのはお門違いだとも思う。
それに二人がかりは、いつもの……こと…………だったっけ?
ん?
いや、そんなわけない……よな?
「──和兄ちゃん?」
「あ、ごめん。つい考え事しちゃって」
「ううん、いいの。それで話の続きなんだけど、これから保健体育の授業で和兄ちゃんがいつも監督役をしたら、和兄ちゃんが練習する機会って無いわけでしょ?」
「え? ああ、まあ……そうだね?」
天子ちゃんが変なこと言い始めたぞ?
そもそも男子は保健体育の授業で射精する練習をわざわざする必要はないということを教えてあげた方が良いのだろうか?
僕はまだ始めて無いけど、大抵の男子は遅くとも中1か中2くらいになれば家でこっそりと、しかも熱心に練習を始めるものなんだよと、10歳の純粋無垢な女の子に僕が教える…………のは、かなりハードルが高いな。
いや、うっかり教えて天子ちゃんの男性観が歪んでしまったら僕には責任が取れそうもない。
止めておこう。そのうち花胡先生か、他の女子がそれとなく教えてあげるだろう。
「でも和兄ちゃんはプレートを持ち帰らないみたいだから、代わりに用意してあげたの♥」
「……ああ、そうだったんだ。ありがとう」
「うんっ♥ これで和兄ちゃんも家で練習できるよね?」
「そうだね。天子ちゃんから借りたこのプレートで一杯練習することにするよ」
僕がそう言うと、天子ちゃんの顔がりんごから熟れきったトマトの色に変わった。
んん? 今の返事でなんでそんなに赤くなるんだ?
「い、いっぱいするんだ。そ、そうだよね。いっぱい練習するんだもんね」
「まあ週末特に予定もないしね」
「ひぅ!?」
天子ちゃんが挙動不審になって、目が左右に踊り始めた。
なんなんだ?
「そ、そ、そうだよね。和兄ちゃんもやっぱり男の子なんだし、ふ、二日間もみっちりと連続で……つ、使われ……っ♥♥」
「天子ちゃん、大丈夫?」
ちょっと心配になってきたので天子ちゃんの額に手を当てる。
熱でも出てそうな雰囲気だ。
「きゃぁあっ♥」
いきなり僕から飛び退くと、あわあわしながら両手を体の前で振り始めた。
「だ、大事に使ってね? あ、でも和兄ちゃんだったら乱暴でも良いけど!」
「は?」
「ほ、本当に! 遠慮なく、好きに! 一日中でも! 使っていいからねっ!」
そう言うと、ほとんど血の色にまで顔を赤くした天子ちゃんはプレートの入ったカバンを持って逃げるように帰っていった。
「……一体なんだったんだろう?」
天子ちゃん、途中からものすごく恥ずかしがってそわそわしてて全く落ち着きがなかったな。
自分がやらかしたことの意味を途中で自覚したような、なんかそんな感じだった。
でも好きに使えとか、遠慮なく使っていいとか、一日中使っても構わないとか天子ちゃんは去り際に繰り返し言ってたけど、プレートに関しては保健体育の授業だけでお腹いっぱいなんだよな。
そもそも僕の股間には自前のものが一つ付いているんだ。
プレートを使って練習する必要がない。
「……まあいいか。天子ちゃんがあんなに必死だったんだ。気持ちは汲んであげないとな」
そういえばプレートはメンテナンスモードに入れば起動ログとかも見れるからな。
天子ちゃんがメンテナンスモードの入り方を知ってるかどうか分からないけど、あとで見られても困らない程度に適当に立ち上げて、ちんちんに触っておけば天子ちゃんも傷つかないだろう。
天子ちゃんから渡された二枚のプレートを持ったまま色々と考える。
なぜ二枚も渡されたのか分からないけど、とりあえず傷がつかないようにそれぞれノートに挟んでカバンの中に入れた。
「……帰るか」
◇◇◇◇◇◇
「ただいまぁ」
宿舎の部屋には僕一人だ。
父さんが退院する予定はまだ決まっていない。悪いところがないから健康なんだけど、悪いところが見つからないから検査が続いているらしい。
自分の部屋に入ってジャージの上着を脱いで、窓を開ける。
6月に入ると山間とはいえ蓮ヶ集村も大分暑くなってきた。
朝と夜はまだそれなりに冷えるからエアコンの出番はもうちょっと先かな。
ほんとに東京とは全然違うよな。
机の上に置いた鞄を開けて、天子ちゃんに渡されたプレートを二枚取り出した。
ノートに挟んでおいたし、ゆっくりと歩いて帰ってきたのでプレートには傷ひとつ付いてない。
「さて、立ち上げてみるか」
天子ちゃんの言ってたことがいまいち分からなかったけど、立ち上げれば何か分かるだろう。
というか、自分のプレートじゃなくても使えるのかな?
まあいい。
それも立ち上げれば分かることだ。
二枚のうち一枚のプレートの画面に両手を置くとプレートの表面に同心円の図形が浮かび上がり、起動ロゴのアニメーションが始まった。
プレートから軽快な起動音が鳴り、いつものように僕のちんちん画像の画面が出て……来ないな?
なんだこれ?
天子ちゃんの……外部データ!?
え?
外部データってなんだ?
これで立ち上げていいのだろうか?
いや、いいのか。天子ちゃん本人がそう言ってたわけだし。
立ち上げたら天子ちゃんのあの変な態度も分かるかもしれない。
妙な予感がして指先が震えるけど……そのまま【Y】をタップする。
よく分からないけど、推奨って書いてるしこれも【Y】をタップする。
自分の名前が出てきたので思わず手が止まる。
これってやっぱり自分の名前を選択するべきなんだよ……な?
砠和志の文字の上に指を当て軽くタップすると起動ログが目で追えないくらい一斉に流れていく。
extrasystem:started
initializing:c
lord:outblock:石神天子(B)
artype:phase4
learner:砠和志
supersuport:on
supervisor:on
feedback:on
remotelinker:on
doubleoperationmode:on
statusboost:superadition
.............................
.............................
やがてプレートが立ち上がり、今日の保健体育の時と同じように一瞬だけ眩暈に襲われた。
「──っ!?」
僕の部屋の机の上に置いたプレートの上に、小柄な子どもの上半身が出現していた。
「こ、これは?」
いや、プレートの上に現れてるんだから……これは立体映像だ。
首の下あたりからお臍くらいまでの上半身裸の子どもの身体が立体映像で投影されている。
「す、すごい」
今日学校で自分のちんちんが立体映像で映し出されていたけど、大きさの分だけ受けた衝撃はこっちが上かも。
遠くからだとアパレルショップなんかでディスプレイに使われてる
映像のはずなのに本物と見分けがつかないくらい緻密で、匂いさえ感じ取れそうなくらいだ。
「…………でもこれって……やっぱり天子ちゃんの……身体、だよね?」
年の頃、大体8歳から11歳くらいの子ども……の上半身に見える。
お臍の窪みと滑らかな腰回りのカーブと、肋骨の浮かび上がった肉付の薄い華奢な脇腹から厚みがほぼ無い平らな胸を通り肩の上辺りまで、隠されることなく一切が無防備に露出されてしまってる。
肋骨が描く微妙なカーブに沿って皮膚が張り付いただけの薄い胸の肉なのに、乳輪の周りだけ少し膨らみ始めていて、やはりどう見ても男の子の胸には見えない。*1
それに透き通るような白い肌は日本人離れしてて、だけど乳輪の周りだけ桜色にほんのりと、でも鮮やかに色づいていて、神様が造形したのかってくらい美しく見える。
花が綻ぶ前……の遥か手前の蕾が作られ始めたくらいなのになんでこんなに綺麗なんだ。
でも知らなかった。
綺麗すぎると目が離せなくなるんだな。
子どもの胸から女の子の胸になりかけている境目の時期と呼べばいんだろうか?
花胡先生みたいな大人の女性の胸とは全然違う、だけど男子と女子の見分けがつかないような子どもの胸ともまた違う……今まさに女の子の胸になりかけてる。
「……すごく綺麗だ」
呟くような小さな声で言葉が漏れると、立体映像の彼女の身体がピクンっと一瞬だけ揺れた。
え?
あ、いや、そう言えば今日の保健体育の授業中でプレートで立体表示されていた僕のちんちんも勃起して反り返って動きまくってたな。
でも今……ほんの微かに揺らいだような揺れたような天子ちゃんのあるか無きかの胸に視線が吸い寄せられる。
自然と僕の体が
横からだと乳首の微かな盛り上がりに影ができて、その微妙な三角形の形状がものすごく女の子してるのが良く見える。
微かな胸の頂点から脇へ抜けていくこの美しいカーブは、天子ちゃんが女性として成長したら失われてしまう今だけのものだ。
ゆっくりと自分の身体が立体映像に近づいて……。
急に理性が戻って、僕は後ろに飛び退いた。
「いや、ダメだろ。何考えてるんだ、天子ちゃんに無断で彼女の裸の胸を見ていいわけないじゃないか」
これ以上見たらダメだ。
すぐにシャットダウンしなきゃ。
プルルルっ
「え? 電話?」
リビングで電話が鳴リ始めた。
とりあえずプレートをそのままにして、リビングで受話器を取った。
「はい、
「あ、和兄ちゃん? 天子です」
「え、天子ちゃん!? どうしたの?」
「ううん、多分今頃渡したプレートを立ち上げてる時間かなって思って」
「ああ、うん、そうなんだ。今立ち上げたばかりなんだけど、シャットダウンしようとしてたんだ」
「え? どうして?」
「いやだって、天子ちゃんの胸が丸裸で見えちゃってるじゃないか。まずいよ」
「和兄ちゃんに裸が見られたらどうしてまずいの?」
「そんなの当たり前だよ。天子ちゃんみたいな綺麗な女の子の裸が男子に見られたらまずいに決まってるでしょ」
天使ちゃんが教室であんなに慌てて恥ずかしがってた理由が分かった。
自分の裸が僕に見られてしまうって後になって気づいたんだろう。
「プレートは週明けに教室で返すよ。ごめん、胸はちょっとだけ見ちゃったけど……これ以上は見ないから安心して」
「和兄ちゃん、天子が言ったことちゃんと覚えてないの?」
「好きに使えとか、遠慮なく使っていいとか、一日中使っても構わない……とか?」
「そうだよ。だってね? 和兄ちゃんは保健体育の授業で全然練習できてないよね?」
「え?」
「先月の保健体育の授業の時、学校の授業で学ばないのって実践の部分を生徒たちに丸投げしてるようなものだって花胡先生言ってたでしょ」
「……言ってたね。僕もそれで納得したんだけど」
「でもその後おちんちんプレートで練習できてるのって女子だけだよね?」
「…………」
「女子は練習して男子は練習しないって変じゃない?」
「……まあそうかも」
「もしかしたら花胡先生は和兄ちゃん用のカリキュラムをこの先考えてくれているのかもしれないけど、女子が練習しているように今、和兄ちゃんも練習してもいいよね?」
「……まあ、ダメな理由はないよね」
僕も内心ずっとそう思ってはいた。
僕がちんちんを射精させる練習をしても意味ないって。
練習がフェーズ4に進んでも僕が監督役をするのなら、結局僕には練習の機会がないことになる。
もちろんこの先でカリキュラムが用意されてる可能性は高いとは思う。
でも天子ちゃんの言うように今僕が練習したらダメな理由って何もないと思う。
「和兄ちゃんのおちんちんのデータを使ってみんな練習してるように、和兄ちゃんの練習に天子のデータを使って欲しいの」
「……いや、しかし」
だからと言って天子ちゃんのデータで……言いかけて口ごもる。
「……してくれないの?」
天子ちゃんが僕に「使ってもらえないのを怖がってる」のが電話越しに伝わってくる。
教室の別れ際の時の天子ちゃんの覚悟を、僕は全部無かったことにしようとしてるのに気がついた。
「あー…………そうだね。ごめん、僕が間違ってた」
彼女の覚悟を全部無かったことにするなんて酷い行いだ。
「………………じゃあ使ってくれる?」
「うん、僕の練習に使わせてもらうよ」
「……えへへ、やったぁ♥」
足りないのは僕の方の覚悟だった。
おちんちんプレートで僕の
「じゃあ週末はすごくいっぱい練習しようかな」
「うん、絶対遠慮しないで、思いっきりやってね、和兄ちゃん♥」
……が、頑張ろう。