「ふふ♥」
花胡先生が僕の腰に跨って、上から僕を見下ろしている。
両膝を僕の脇腹の側につき、無毛の股間を僕のちんちんの裏側に密着させた状態で、ただそれ自体が嬉しいのか花胡先生は満面の笑顔を浮かべている。
僕が横になっているのは保健室のベッドの上だ。
最近は保健室のベッドをこういうことばっかりに使ってしまっていて、心の隅でこんなことでいいのだろうか? と思わなくもない。
下から見上げる僕と上から見下ろす花胡先生。
二人とももちろん全裸だ。
先生はまるで御馳走を前にした子どもみたいだし、僕は僕で花胡先生と肌を重ねるのは嫌いじゃない。
いつこうなってしまったのか、なぜこうなったのか全然思い出せないけど。
反り返って鳩尾の上に張り付いていた僕の勃起ちんちんに先生が手を伸ばした。
少しひんやりする先生の指が僕の亀頭に絡みついて、ぐいっと無理やり起こされる。僕から見ると起こされると言うより押し下げられるんだけど。
ガチガチに勃起したちんちんを押し下げられると、逆に力が入って竿に血管が浮かび上がり、表面が凸凹になってしまう。
「和くん、どうしてこんなに堅くなってるの?」
分かってるくせに花胡先生が白々しく聞いてくる。
「んんっ……だって花胡先生が触ってくるから」
先生の手が僕のちんちんを上から下へ、下から上へゆっくりと擦り続けている。優しく丁寧に擦り続けている。
やがて亀頭がぐっと膨らんで、先っぽから溢れ出したガマン汁が先生の指を汚し始めた。
「うーん、先生のせいなの? じゃあ責任を取ってあげようかなぁ♥」
先生が腰を少し浮かして、亀頭を割れ目に押し付けた。
そして股間に擦り付けるように動かす度にくちくち♥と水っぽい音が鳴っている。
「ねえ和くん。和くんのおちんちんを柔らかくする方法を先生に教えて♥」
亀頭の先が割れ目に強く擦られて、ガマン汁と先生の股間の蜜が混じり合っている。
先生の腰が前に動き、割れ目の奥に入りかけたところで先生の動きが止まった。
「ねぇ……教えてくれないのかな♥」
「その……先生の
「わぁ、そうだったんだ♥ 和くんは物知りだね♥」
割れ目に押し付けていた亀頭に向かって花胡先生がゆっくりと腰を下ろし始めた。
「くぅっ……!」
先生は僕のちんちんを
僕のちんちんが先生の股間の肉穴に飲み込まれていくに従い僕の全身から力が抜けていく。
僕のちんちんが弱すぎるせいなのか、先生の
お風呂よりも遥かに熱い、蕩けるような蜜に塗れてぬめった肉が咥えこんだ僕のちんちんをゆっくりと搾り上げ締め付けてくる。
「んんっ……あの花胡先生」
「どうしたの?」
僕の腰の両側に膝を付いて、ものすごくゆっくりと腰を下ろしてくる花胡先生が優しく僕に聞いてくる。
服も下着も何も身に着けてない花胡先生の大きなおっぱいが次第に僕に近づいてきている。
ぐびっと喉が鳴った。
「も、揉んでいいですか?」
「まだそれ聞いちゃうんだ? 先生のおっぱいも
むちゅんっ♥
先生の腰が僕の腰に完全に密着した。
衝撃で2つのおっぱいがぶるんっと上下に揺れる。
先端では尖り立った乳首が天井を向いてぷるんぷるんしている。
「んんっ!!」
花胡先生が股間を僕の腰に密着させたままぐいっと前後に揺すった。
「あ、待って!」
腰を揺すられると先生と僕の股間の肉が混ざり合うように潰しあい、僕の亀頭が花胡先生の一番奥をぐいっと突き上げてしまうのだ。反射的に膣の一番奥の部分が僕の亀頭に肉粘膜をぎゅむっ♥っと密着させたまま強く、すごく強く搾り上げてくる。
「あぁっ! きつ……ぃぃ」
「和くんの顔が蕩けちゃってるよ♥」
ぬち♥ぬち♥と音が聞こえてきそうなほど柔らかくてぐにゅぐにゅの肉襞が、僕の亀頭とカリ首にまとわりつきながら密着して搾り上げ始めた。
「ほら、揉んでいいのよ♥」
先生の両手が伸びてきて僕の両手が掴まれた。
そのまま先生のおっぱいに誘導され、むちゅっと押し付けられる。
大きなスイカのような、でもすごく柔らかくて、それでいてまったく垂れてない張りのあるおっぱいに両手の指が何故か沈み込んでいく。
「柔かい……」
僕がそう言うと、先生の
花胡先生の
「和くんのはすっごく堅いよ♥」
先生の腰が前後運動から今度は左右に押し付けるようにグラインドし始めて、僕の亀頭が先生の一番奥の肉襞に包まれたままこねくり回し始めた。
「さぁ……たっぷりと搾り取ってあげるね♥」
まるでご馳走を頬張る子どものように嬉しそうな笑顔で先生の腰の動きが段々と早くなっていく。
時折膝を崩して大きなお尻を僕の腰に打ち付けて、亀頭を自分から子宮口に捩じ込ませている。
亀頭から痺れるような心地よさが何度も何度も伝わってきてる。
融けて蕩けてどうになかってしまいそうだ。
ふいに先生が腰を少し浮かせた。
次の瞬間、花胡先生が腰を打ち下ろしてきて、亀頭の先が
奥の奥にめり込んだ亀頭が先生の膣奥の粘膜に強く擦られて、肉襞が亀頭粘膜に張り付くように締め上げていく。
「あうぅっ!」
あぁ、だめだ。
今日もこのままたっぷりと搾り取られてしまう。
◇◇◇◇◇◇
なんの予兆もなくガラッと保健室の扉が開かれた。
「やっほー、お姉ちゃん。あたしも来ちゃった♥」
先生の腰が僕の股間に向かって打ち下ろす音がぴたりと止まった。
扉に現れた己紗を見て花胡先生が少し顔を顰めた。
「……またなの? 己紗は己紗で和くんとやってればいいのになんでココに来ちゃうのかな」
「ボヤかないボヤかない、お姉ちゃん♥ それに後から他のみんなも来ると思うよ?」
それを聞いた花胡先生の股間がゴリっと僕に強く押し付けられた。
そのまま花胡先生の腰がグリグリと僕の腰の上で、名残惜しそうに前後左右に動き続けて僕の亀頭を使って膣奥を捏ね回してる。
「はぁ…………仕方ないわね。じゃあ交代してあげるわ」
きゅぽんっ♥と音を立てて、馴染みすぎた
「ふふふっ♥ かっちゃん次はあたしね♥」
ベッドの上に己紗が上がってきた。
「あ、待って、己紗。今すごく敏感になってるから……」
「大丈夫大丈夫♥ かっちゃんはそのまま動かなくていいよ♥」
己紗が着ていたジャージがかき消すように消えて、魔法のように一瞬で全裸になってしまった。
「和くんってみんなに搾られるのが好きになっちゃったみたいね。ほんと一体誰の影響なのかしら……」
「まあまあお姉ちゃん。みんなでやる時のかっちゃんって、すごく嬉しそうにするじゃない」
「それはそうなんだけど、たまには一対一でじっくりとしたいのよね」
力が全く入らない僕の上に今度は己紗が跨ってきた。
「大丈夫だよ、準備はもう出来てるからかっちゃんのおちんちんすぐに気持ちよくしてあげるね♥」
慣れた手付きで己紗が僕のちんちんを自分の膣穴に誘導している。
12歳の無毛の割れ目は花胡先生とすごく似ているけど、中身は全然違うのはもう思い知らされてる。
「あああっ!」
花胡先生よりはるかに狭い肉洞が強く締め上げながら竿の凸凹に絡みついて、ぎゅっぎゅっと締め付けてくる。
「かっちゃんはおちんちんが締め付けられるの好きだもんね♥」
亀頭が己紗の一番奥にたどり着いてしまった。
己紗の入り口から膣奥まで何箇所も同時に締め付けてきている。
己紗の股間と僕の股間がぴったりと密着すると、開いていた膝をきゅっと閉じてきた。
「くっ!」
「膝を閉めると、おちんちんがぎゅってされちゃうんだよね♥ あたしもかっちゃんのおちんちんの形が分かるからコレ好きなんだ♥」
己紗が膝を閉じたまま腰を左右に揺らし始めた。
花胡先生と違って、己紗の12歳の年齢相応の膨らみのおっぱいはあまり揺れたりはしない。
自己主張の強い乳首だけが堅く尖ったまま、己紗は腟内で感じる僕のちんちんを愉しんでいる。
「待って己紗、あ、ダメだって」
膣の一番奥の部分がカリ首をきつく締め付けたまま左右に揺らされて子宮口を亀頭でゴリゴリと擦ってしまっている。
「ほらかっちゃん、我儘言わないの♥ あたしだって他のみんなが来るまでに、かっちゃんを一回くらい空打ちさせたいんだからね♥ だから奥のココで……もっとぎゅっとするね♥」
「あっ、ああっ!」
己紗の膣穴で搾り上げられる感触で頭が痺れて気が遠くなってくる。
この後、他のみんなもどんどんやってくるのにこのままではまた僕は……。
◇◇◇◇◇◇
「くうっ!」
目が覚めると同時に射精が始まった。
ベッドの上で全裸で横たわったまま、僕の腰の上に跨った7人の下半身の立体映像が一斉に僕のちんちんを締め付け搾り上げて、一滴残らず膣内に放出させようと7人がそれぞれ、腰をくねらせたり、小刻みにピストンを繰り返している。
「あうっ!? また射精るっ!!」
ちんちんの根本に溜まりに溜まった僕の精液が再び尿道を駆け抜けて亀頭の先から迸った。
天子ちゃんの下半身が射精を続ける僕のちんちんを膣穴に咥えこんだまま腰を振り続けている。
一枝先輩と捺那先輩の口が僕のちんちんを咥えたままちゅーちゅーと吸い上げて唇を窄めてカリ首を刺激しながら首を上下に振って尿道の中の精液を根こそぎ搾り取っていく。
江莉夏先輩と祐里佳先輩の上半身が僕のちんちんを左右から挟み込んで4つのおっぱいで押しくら饅頭を延々と続けてガチガチになった亀頭と竿がへし折れてしまいそうなくらい圧迫してくる。
「………………朝か」
ちんちんの先に取り付けたビニール袋には大量の精液が溜まってもうそろそろ溢れそうになっていた。
天子ちゃん一人の時だったら寸止めにされて射精させらることはなかったけど、7人揃ってしまうとそういう微妙な調整はできないみたいで、射精で目を覚まさせられている。
ちんちんからビニール袋を取り外す。
すごく疲れそうだけど、どういう塩梅なのか目覚めはある意味スッキリしてて身体が疲れるようなこともない。
その辺はAIも加減してくれてるんだろうな。
「ごめん、起きるからみんな離れてくれる?」
花胡先生、天子ちゃん、己紗、一枝先輩、捺那先輩、江莉夏さんと祐里佳さんの立体映像に向かってそう言うとみんな素直に離れてくれる。
「よいしょっと」
今日は7月20日。
1学期も今日で終わり、明日からは夏休みだ。
◇◇◇◇◇◇
いつものように教室に入ると6人全員がすでに席に座っていた。
「あれ、今日はみんな早いんだね」
「まあ終業式だしね」
己紗がはにかみながら答えた。
随分緊張してる。
どうしたんだろう?
教室の窓は全開になっていて、朝の空気が教室に流れ込んできてる。
山の中なので昼になれば暑くなってくるけど、朝のこの時間だとかなり涼しい。
夏本番になればなるほど、東京との違いが際立ってくる。
もちろん日差しは強い。
眩しい校庭を眺めてから教室内に視線を戻すとみんなの顔がよく見えない。
顔が見えないせいか、なんだかいつもとみんなの雰囲気が違うのがよく分かる。
終業式といっても、生徒は7人しかいないのだ。わざわざ体育館に移動したりせず、教室でやると聞いている。
いつもの教室なのにみんなはなんでこんなに緊張しているんだ?
一枝先輩なんかいつもと全然違って膝を揃えて座っているじゃないか。
普段はもっとガサ……んん゛っ。
危なく口に出しかけてしまった。下手に聞かれたらヘッドロックの刑が待っている。
「はーい、みんなおはよう」
いつもと違う雰囲気を怪訝に思いながら自分の席に座ると、花胡先生が扉を開けて教室に入ってきた。
「おはようございます」
いつも通りの朝の挨拶だ。
「あれ? なんで石辺先生も?」
久しぶりに会ったかも。
花胡先生を上回るおっぱいの持ち主で、今も白衣を内側から押し上げている。
そういえば先週僕を除いて女子のみんなが診療所で検査を受けたんだっけ。
男女差別だって言いながらあの日は僕だけ先に帰ったんだけど。
「今日は終業式にあたって石辺先生から皆さんに周知事項があります」
へー。
なんだろう?
ぐーたらな夏休みの過ごし方をしないようにとか、校長先生のお話の代わりだろうか?
「皆さん、おはようございます。蓮ヶ集診療所の石辺です。皆さん大いに気にされている先日の検査結果について、本日は直接伝えるために参りました」
ん、検査結果?
僕以外のみんなが受けに行ったやつか?
「……まずは、石神天子さん」
「は、はい!」
左隣の席に座っていた天子ちゃんが挙手して立ち上がった。
なぜか顔が緊張に強張っている。
んん?
「おめでとう! 妊娠が確認できました。おめでたです!」
「やったぁあ!!」
ガチガチに緊張していた天子ちゃんが一転して嬉しそうに飛び跳ねている。
「…………は?」
待って?
クルクルと回転しながら踊りだした天子ちゃんから石辺先生に視線を移す。
いやいやいや聞き間違いかな?
天子ちゃんが妊娠??
「おめでとう!」
「天子ちゃんおめでとう!」
「よかったね!」
みんなが一斉に天子ちゃんに祝福の言葉を投げかけて、ぱちぱちと拍手している。
え?
もう一度天子ちゃんを振り返る。
彼女は僕の同級生だけど、年齢は10歳だ。そもそも妊娠なんか、で…………できなくはないかもしれないけど、あれ?
膨らみ始めたばかりのおっぱいに、くびれのない子供のままの腰回り。たしか初潮も未だなんじゃなかったか?
そんな彼女が妊娠?
待って?
だとしたら相手は誰だ?
天子ちゃんにそういう関係の恋人がいたってこと?
え、嘘だろ?
僕のことはどうなるんだ?
いや、違う違う。
僕は天子ちゃんの彼氏でも恋人ってわけでもなかった。
告白しあって彼氏と彼女の間柄になったわけでは……ない。
口を出す権利なんかないけど、あれ?
──なぜか視界が歪み始めた。
ぐにゃぁと音を立てて教室が
「次は石塚己紗さん」
「はい!」
歪んだ視界の中己紗が席から立ち上がった。
「おめでとう。妊娠が確認できました。おめでたです」
「やったあああ!!」
己紗が両手を上げて満面の笑顔でバンザイをしている。
「…………は?」
「己紗ちゃんおめでとう!」
「やったね、おめでとう!」
「うんうん、よかったね!」
パチパチパチとみんなが拍手する中、己紗がえへへと照れながら頭に手を当ててペコペコと嬉しそうにお辞儀していく。
己紗も妊娠だって?
いつのまに?
僕の知らないそんな関係の彼氏がいたって?
いやいやいや、そんな素振り全然なかったよね?
「ぐぅ……」
おかしい、胃がムカムカしてきた。
そう、だ。
僕は己紗の彼氏ではない。
己紗は僕の彼女ではない。
彼女と僕は付き合ってるわけじゃないけど……あれ?
そんな関係の彼氏がいるなら僕に一言くらい…………くぅっ!?
思わず吐きそうになって、口を押さえた。
なんだ、これ?
なんなんだ、これ?
「次、石川一枝さん」
「はい!!」
自信に満ちた表情で元気よく一枝先輩が立ち上がった。
まさか?
まさかまさか?
「おめでとう。妊娠が確認できました。おめでたです」
「やったね!」
一枝先輩はガッツポーズを決めて隣の捺那先輩とハイタッチを交わしている。
後頭部でポニーテールが元気よく踊って、心の底から嬉しそうだ。
僕の口が開いたまま元に戻らない。
訳が……分からない。
平衡感覚が失われていく。
椅子に座っているはずなのに、なぜか無重力になったみたいに僕の周りだけ重力が失われて体も心もふわふわとしてきた。車酔いだ。かなりタチの悪い感じの。
残りの女子にも次々に妊娠が告げられていく。
その度に教室中が沸き返る。
呆然とする僕を一人除いて。
……なんだ、これ?
悪い夢でも見てるのか?
「最後に石塚花胡先生」
「はい」
神妙な感じの花胡先生が頭を少し下げて石辺先生の語る言葉を待っている。
「おめでとうございます。妊娠しております。おめでたですね」
その言葉を聞いた瞬間花胡先生の目から嬉し涙がこぼれ落ちた。
両手を顔に当てて嗚咽する花胡先生。
「お姉ちゃん、良かったね。本当に良かったね」
己紗が泣いている花胡先生の頭を支えて……己紗も感極まって泣き始めた。
長い長い拍手が続いて…………その拍手が終わる頃、僕は椅子から崩れ落ちた。
◇◇◇◇◇◇
「あ! かっちゃん!?」
「和くん!?」
「和くん大丈夫!?」
教室の床にうずくまる僕にみんなが慌てて駆け寄ってきた。
「……だ、大丈夫なわけないじゃないか! 一体なんでっ! いや、僕が文句を言う筋合いじゃないのは分かってるけど、やっぱりこれは酷い。酷すぎると思う!」
拳を握りしめる。爪が食い込む。
「あんまりじゃないか!」
「え? ええ?」
僕の前で己紗が目を白黒させている。
「もちろん、みんなとはそういう関係じゃないけど、一言…………せめて一言あって……くぅう……」
目が熱い。
涙が出てきた。
僕の知らない間に、憎からず思っていた女の子が全員妊娠していたのだ。
でも、これじゃ八つ当たりだ。
自分はなんて勝手な人間なんだろう。
「一体……父親は誰なんだ……」
涙と鼻水が止まらない。
「…………」
「…………」
「…………」
急に静まり返ったので顔をあげると、みんなが僕を指差していた。
「……………………は?」
呆然としていたのは数秒か、数十秒か。
「え? 僕?」
僕を指差してる己紗や天子ちゃんの方がびっくりしている。
一枝先輩や捺那先輩も目を丸くして驚いた顔のまま顔が固まってしまってる。
自分の股間に視線を向ける。
立体映像の彼女たちを…………カウントに入れる方が変だよな?
うん、新品のままのはず…………なんだけど、どこかでそんなわけ無いだろと自分の心が叫んでる。
あれ?
あれれ?
その時、唐突に教室の扉がガラッと開いて父さんが入ってきた。
「え? 父さん?」
な、なんで?
昨日電話した時はまだ静岡で入院していたのに。
「お、和志。直接会うのは久しぶりだな。実は今朝戻ってきたんだが……随分酷い顔をしてるが大丈夫か?」
「いや、なんかよく分かんなくなって。僕は……大丈夫なのかな?」
教室の床で泣き崩れていた僕のそばまで父さんがゆっくりと歩み寄ってきて、ハンカチと一枚の紙を手渡してきた。
「なにこれ?」
「まずはハンカチで顔を拭け。紙は婚姻届だ。俺の方で準備しておいてやったぞ」
「は?」
涙と鼻水をハンカチで拭って、渡された一枚紙を見るとみんなの名前が書いてあった。
【妻になる人】の欄に天子、己紗、一枝、捺那、江莉夏、祐里佳、花胡と7人の名前がボールペンで記入済みだった。全員筆跡が違う。
なんで妻になる人の欄が7つもあるんだ?
「ほら、早く自分の名前を【夫になる人】の欄に書くんだ」
父さんが急かしている。
「え、いや、でも……」
「和志、おまえ7人を妊娠させておいて責任を取らないつもりか?」
父さんの眉の間にシワが寄った。
もしかして怒ってる?
「いやちょっと待って? 何かおかしい。えっと、そうだよ、僕……童貞のはずなんだけど?」
プレートを通してみんなにおちんちんをしゃぶられたり、シコシコされたりはしてるけど、それ以上の経験は僕にはない。立体映像はそもそも錯覚だし。
「……本当にそうか?」
「……いや、なんかちょっと自信がなくなってきたかも。いや待って? そういう問題でもないよね? 僕は12歳だし、天子ちゃんなんか10歳なんだから結婚できるわけないじゃないか」
「んん? 父さんは役所に勤めてるから届出を出されたらちゃんと受理するぞ?」
「いやいやいや、そういう問題じゃないよね。法律で無理だよね?」
「おや、和志はニュースを見てないのか?」
まったく困ったやつだなとでも言いたげに首を左右に振った父さんが教室の壁にかけられた時計を見た。
時刻は9時を回っていた。
「そうだな、今日が施行日だし多分ニュースになっているだろう。失礼、少しTVをお借りしますね」
父さんが教室の隅に置いてあったTVの電源を入れるとニュースが流れ出した。
◇◇◇◇◇◇
『TVの前のみなさん、おはようございます』
国会議事堂をバックに若い女性アナウンサーが喋り始めた。
『先日まで議論が続いておりました民法改正ですが、国会における審議を終え、本日公布そして即日施行される婚姻に関する制度について、静岡県の蓮ヶ集村で第一号が届け出される予定となっております』
ピンク色のボードを手に持って色々と重要なポイントを喋り倒す女性アナウンサー。
待って?
今なんて言った、このアナウンサー?
『新郎は皆さんご存知の砠和志さん、そして彼を射止めた幸運な新婦は砠天子さん、砠己紗さん、砠一枝さん、砠捺那さん、砠江莉夏さん、砠祐里佳さん、砠花胡さんです!』
「ごふっ!」
口から勝手に咳と涎みたいなものが噴き出した。
一方で僕の周りにいるみんなは「やだもう」とか言って照れている。
『いや、本当に羨ましい限りです』
「……と、父さん? これどういうこと?」
「だから民法が改正されたんだよ。少し前からニュースになっていただろ?」
「いやそれもおかしいけど、なんで僕たちの名前がニュースに出てるの?」
「そりゃ改正後の民法で提出される第一号の婚姻届だからだろ?」
「いや、それにしたっておかしくない?」
僕は父さんの手からTVのリモコンを奪い取った。
「そうだ、そうだよ。こんなのドッキリに違いない。他のニュース番組はどうなってるんだよ!」
乱暴にチャンネルボタンを押して別のニュース番組に変える。
どこかの町の市役所が映った。
長い行列ができていて、正面玄関の前で女性アナウンサーが興奮しながら喋っている。
『やりました。アナウンサー特権でプレートを入手できました!』
どこかで見たことがあるプレートを手に持って女性アナウンサーが大興奮している。
『視聴者の皆さん、おはようございます! 本日から貸出が開始されました男性器射精支援技術習得兼能力開発及び適合模擬訓練平板、通称はプレート。まだ抽選の申し込みをされてない方は早めに申し込みをするようにしてください。各都道府県の市役所で第一回目の抽選で当選された方に今日から貸出が始まっております!』
黒いプレートを手にしたアナウンサーが行列に並んでいる女性たちにマイクを向ける。
『今のお気持ちをお聞かせください!』
20代後半くらいの長い髪をした美女がカメラに目を向けて喋り始めた。
『いや、ようやくって感じですね。うちの政府は無能ばっかりって怒りに任せて毎日ネットに書き込んでたんですけど、やることちゃんとやってたんだなって、ちょっと見直しました』
『同感です! こんなこと私が言っちゃうと後で上から怒られるんですけど、今日くらいは許されるでしょう! よくやった、総理! あんたは偉い!』
横から急に誰かの手が伸びてきて女性アナウンサーが画面の横に引っ張っていかれて姿を消した。すぐさま別の女性アナウンサーが画面に登場する。
『──失礼しました。ご覧のように、これから毎月月初に抽選が行われます。次回の抽選は8月1日を予定しています。そして抽選の結果当選した市民は市役所からプレートの貸出を受けることができます。適合率の上昇は個人差がありますが、おおよそ一ヶ月プレートを使用すれば適合率が基準を超えますので、超えたら市役所へプレートを返却するという手順となっております。1年以内に希望する全市民に貸出が行われる見込みとなっております』
準備が間に合わなかったのか、新しい女性アナウンサーはポケットからメモを取り出して続きを読み始めた。
『市役所からプレートを受け取る際に合意書にサインをする必要がありますが、妊娠は許可制となっております。妊娠は未産婦の方が優先権を持っております。繰り返しになりますが当面経産婦には許可が降りる予定はありません。行政は市民の皆様に協力を──』
◇◇◇◇◇◇
「なに…………これ?」
「まあ気にするな、和志」
「いや、よく分かんないけど、これもしかして僕に関係してない?」
「考えすぎだろう? 市役所でタブレットを貸出しているだけだ」
「そ、そうかな? なんか背中がゾクゾクしてすごく危険が迫っているような…………僕の勘が今すぐ逃げろって警鐘を鳴らしまくってるというか……」
父さんが僕の手から婚姻届とTVのリモコンを奪い取った。
「うん、ちゃんと書けてるな。よしよし」
あれ?
僕、いつの間に婚姻届に名前を書いたんだ?
でもたしかに僕の筆跡だ。
「さ、記念すべき婚姻届です。みんなで役所に届出に行きませんか」
「賛成!」
「わー、結婚かぁ」
「最高だよねえ」
「えへへ、やばい、顔がにやける」
「早く行こう!」
「なんか幸せの絶頂かも」
「いやいや、婚姻届を出したら次は結婚式の準備ですからね。予定通り8月1日には石神神社で結婚式を執り行うんですから、これから皆さん忙しくなりますよ。衣装合わせだけでどれだけ時間がかかるか……でも私の妻は準備の時がすごく楽しくて幸せを実感したって言ってましたから」
父さんが7人を振り返った。
「皆さんも……そうであると良いですね」
父さんが笑っている。
母さんがまだ生きていた時のように。
そして父さんと石辺先生を先頭に、みんなが教室から出ていこうとしてる。
誰も彼も笑顔だ。
幸せが形になったようだ。
展開の速さについていけなくて棒立ちしていた僕に笑顔で己紗が呼びかけた。
「ほらかっちゃん、早く来て♥」
「ああ……そうだね」
まだ理解が追いつかない。
何が起こってるのかよくわからないけど、みんなが幸せならそれでいいような気がしてきた。
教室の扉に向かってゆっくりと歩く。
己紗とみんなが待っている。
ふと、教室の扉のガラスに僕の顔が映っているのに気がついた。
気づかなかったけど僕もみんなに負けないくらいの笑顔を浮かべていた。
ああ、そうだった。
みんなが他の男性と結ばれて妊娠したって思った時、悲しくて死にそうになったんだ。
僕の心はもうとっくにみんなに奪われていて、みんなは僕のことが大好きで。
これが幸せでなくてなんだというのか。
「そうだね、行こうか己紗、それにみんなも」