体から薬物を分泌できるようになった大学生の話 作:ヒモになりたいナマケモノ
喫茶店でまさかのカップル成立をした俺たちだが、途中桃田さんのテンションが上がってしまい、周りの注目を集めた状態で俺が告白してしまったため生暖かい目線にさらされてしまった。耐えきれなくなった俺は感動に震えている桃田さんの手を取り店を後にして、足早にカラオケに連れていく。告白の台詞もだけど場所も間違えたな。もしも知り合いとかが居たらどうしよう。
そんなことを考えていると脳内にメッセージが届く、どうやらまたレベルアップしたようだ。手を握ったままなので麻薬(仮)改め惚れ薬を分泌、投与しっぱなし扱いなのだろう。達成度を確認すると大体一秒に一回のペースで増えている。このペースなら後10分足らずで次のレベルに上がるだろう。
「あの、忠雄さん。その、手……」
一人で考え込んでいると桃田さんがおずおずと声を掛けてくる。どうやら手を繋いだままであることを指摘したいようだ。レベリングのためにはもう少し繋いでいたいのだが……
「あ、ごめんなさい。つないだままでしたね。でもできれば繋いだままが良いんですけど、ダメですか?」
「いえ!いやじゃないです!むしろ離さないでほしいというか!」
「ならよかったです。」
桃田さんはなぜか俺にかなりベタ惚れのようで、手を放すことなくむしろギュっと強く握り返してくる。よほど惚れ薬が効いてるようだ。というか効きすぎでは?多幸感(低)でこんなに効くなら中や大はいったいどれほどなんだろうか。
せっかくカラオケに入ったんだし、一曲位歌おうかとも思うが、どうにもそんな雰囲気じゃない。俺はずっと能力について考え込んでいて、桃田さんは俺の手を握ることに夢中になっている。というかいつの間にか恋人つなぎになってる。全然気づかなかった。思わず繋いでる手を見つめると桃田さんは恥ずかしそうにうつむいてしまう。さっき喫茶店で運命だなんだと言っていた桃田さんはどこへ行ったやら。まぁうつむいて恥ずかしそうになっている姿が可愛くて、つい手に薬を揉み込むように動かしてしまう。すると桃田さんは一瞬体を震わせてより一層顔を赤くする。
「……かわいい。」
「あぅ、あんまりからかわないでください……」
「いやいや、本音ですよ。だから下なんか向かず、顔をよく見せてくれませんか?」
そう言うと桃田さんはこれまた恥ずかしそうにゆっくりと顔をこちらに向けてくれる。ゴスロリファッションに合わせるためか、少し化粧は濃いめだが、スッと通った鼻筋に大きな目元、ぽてっとした唇が大変エロい。思わずキスをしたくなる。どうしよう、してみようかな。でも引かれてしまうだろうか?でもこんなに俺に惚れてるっぽいしいけるだろう。
「優子さん、キスしてもいいですか?」
「え!?いや、まだ早いっていうか、さっき出会ったばっかりなのにというか……」
「時間なんて関係ないですよ。さっき優子さんは告白をOKしてくれましたよね。今ここにいるのは運命の赤い糸で結ばれた恋人同士。キスしても問題ないです。」
「でも、お互いの事だって全然知らないのに。」
「それを知るためのキスですよ。」
我ながらかっこつけ臭い上に、胡散臭いセリフを吐いてしまったが、このくらい強引な方が桃田さんは喜ぶような気がする。その証拠に戸惑いながらも目をつむり唇をこちらに向けてきてくれている。あまりのチョロさに少し心配になるが、俺に不都合があるわけでもないので置いておく。俺は感度上昇の薬を分泌、少し唇を湿らせて桃田さんの唇に自分の唇を合わせた。
「ん……」
キスした瞬間、桃田さんが思わず声を漏らすがその先に動きがない。というより動けない。付き合ってすぐのキスで舌まで入れたディープなものをしてもいいのだろうか?俺のキス経験は昨日のピンサロがすべてなので普通のカップルはどうするのかというのが欠片も分からない。手持ち無沙汰になってしまった俺はとりあえず唇を離して桃田さんと見つめ合う。彼女はキスをする前よりももっと顔を赤くして、うるんだ瞳で俺のことを見つめてくる。
「あの、私こういうの初めてなんですけど、思ったより気持ちいいんですね。私うまくできましたか?」
「え、あー多分上手だったと思います。」
「ふふっ、多分って何ですか。もしかして忠雄さんもキスは初めてですか?」
「あ、……そうなんです。今のがファーストキスです。」
「そうなんですね。結構グイグイと来てくれるから経験豊富なんだと思ってましたけど、初めて同士だったんですね。キスに不慣れな忠雄さんも可愛かったですよ。」
話の流れで今までキスしたことが無いなんて嘘をついてしまったが、どうやら好意的に受け止められたようだ。ちょっと彼女の方の緊張もほぐれたみたいで、こちらに微笑んでくれる。この雰囲気なら舌を入れても許されるような気がする。
「もう一度キスしてもいいですか?」
「いいですよ、忠雄さんの気が済むまでしてください。」
「舌も入れてもいいですか?」
「……そんなこと聞かないでください。」
もう一度唇を合わせて今度は舌で彼女の唇をノックすると拒むことなく舌を口内に受け入れてくれる。口の中で舌と舌を絡ませると感度上昇の薬のおかげか彼女は気持ちよさそうな声を漏らしてくれる。いい反応を貰えるともっと気持ちよくしたいと思うのだが、どうすればいいのか全く分からない俺はとりあえず口の中を舐めまわし、たまに相手の舌に吸い付いてみる。練習を続ければいつか薬抜きでも気持ちよくできるだろうか?
しばらくキスをし続けて、互いに満足したところで唇を離す。
時計を見るともういい時間になっており、そろそろ家に帰らなければならない。桃田さんにそのことを伝えて分かれる前に連絡先の交換をする。
「私たち、連絡先の交換すらしないまま付き合い始めたんですね。」
「確かに普通じゃないかもしれないですけど、普通の人は運命なんて感じれてないですよ。その点俺たちは普通以上のつながりです。」
桃田さんは運命というワードが大変お気に入りのようだ。この言葉を使うだけで手をギュっと握りながら笑ってくれる。
連絡先を交換した俺たちは近々また会うということを約束して駅前で別れた。
思わぬ形で彼女ができたのだが、これからずっと大切にしていくのかそれとも適当なところで捨てるのか分からないが、しばらくは大切に、幸せにしてあげようと思う。
『超能力』
能力名:薬物分泌
レベル:10
能力:自身の体から薬物を分泌することができる。分泌した薬物の効果は設定が可能だが、分泌可能な薬物の数、効果の強さはレベルによって変化する。生成した薬物は能力者本人には効果がない。
分泌薬物:<唾液・即効・胃もたれ軽減(中)>
<唾液・即効・感度上昇(低)>
<汗・即効・多幸感(低)>
<空きスロット>
<空きスロット>