学園都市による、学園都市の超能力者のレベルをそのまま子供に受け継ぐ事ができる俺の精液を使用した計画はある意味成功に終わった。
あれから既に十年の月日が経つ。
あの計画によって生まれた子供達は皆順調に育っている。
それと同時に、計画に参加した彼女達との生活も安定していた。
さすがに法律の関係があってか、結婚する事はできなかった。
それでも、この学園都市の中で俺は彼女達の夫として認められている。
研究に協力した事もあって、それなりの地位にいる。
だからこそ、俺が次に行うべき事は、計画をこれ以上、行わせない事だった。
学園都市における闇はかなり深い。能力開発を行う過程で、人体実験が行われている事実があるからだ。
その実験で生み出された子供達を、俺達は学園都市の外から連れて来て、教育を施している。
しかし、中には親や兄弟など身内がいるにもかかわらず、学園都市に連れて来られた子もいるのだ。
その子達が、学園都市内でどういう扱いを受けているのか……。
それを知るため、そして助けるために、俺は動く事にした。
だが、学園都市において、表立って行動すれば、間違いなく消されるだろう。
だから、秘密裏に、且つ慎重に動かなければならない。
それらの過程は大変だったが、何とか達成できた。
まずは、学園都市に存在する暗部を調べ上げた。
その結果、どういった事が行なわれているのか、何を目的としているのかを突き止めた。
後は、それを潰すだけだ。
そのためには、学園都市統括理事会にも協力してもらう必要がある。
幸い、それらは俺がこの10年の間に、積み上げてきた人脈を使う事で可能となった。
統括理事会のメンバーとは何度か顔を合わせた事があるし、その中には、俺の研究に協力してくれた人物もいたりする。
そんな彼らに頼み込み、何とか話を聞いてもらえるところまで漕ぎ着ける事ができた。
「なんというか、本当に奇妙な話だよな」
元は、学園都市の闇のような俺が、今度はその闇を消そうと行動しているんだからな。
だけど、もう二度とあんな悲劇が起きないようにするためには必要な事だ。
「まぁ、これ以上、変な事をさせない為にもな」
そんな呟きと共に、ここから始まるだろう戦いを思い浮かべながら、窓の外に見える景色へと視線を向けた。
未だに、それがどれ程長く続くか分からないが、絶対に終わらせてみせる。
「ちょっと、あんた。
聞いているの」
「あぁ、分かっている」
そんな景色を眺めながら、かかってきた電話に対して、俺は首を頷く。
「分かっていると思うけど、あの子の入学式は明後日なのは、分かっているわよね」
「あぁ、勿論」
電話の向こうにいる相手を心配させないように、俺はなるべく明るい声を出す。
「じゃあ、明日中に全部用意しておきなさいよ」
「分かったって、任せておけよ」
そう言うと、彼女は満足そうな声で、「よろしくね」と言って通話を切る。
これでいい。これでようやく、準備を始められる。
「さてと、とりあえず、明日の準備を始めるとするかな」
今回の話で、完結を迎えさせて貰いました。
本作以外にも、様々な作品を投稿予定となっています。
これからも、よろしくお願いします。