※この作品はR-18です。

森久保を連れて逃げてしまうプロデューサー。   作:なおちー

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「楓さんと音信不通……? 何してるんですか!!」

あれから高垣楓は三日も仕事を休んだのだが、それ以降は

無断欠勤となってしまう。その後、音信不通となってしまったので

自宅のマンションにプロデューサーとちひろが訪問するが、

面会を拒否され、本人と会うことはできなかった。

 

「ねえプロデューサーさん。

 楓さんの謎の体調不良ってあなたの仕業じゃないんですか」

 

「実はそうなんですよ。俺が楓以外の女性も愛してることを

 本人に知られてしまいましてね」

 

「はい? 今なんて?」

 

「ですから、俺が楓以外の女性とも」

 

「ストップ。やっぱりそれ以上話さなくていいです。

 前から気になってましたけど、プロデューサーさんって

 うちのアイドル達の間で何股かけてるんですか?」

 

「そうですね……。正確に数えたことはありませんが、

 たぶん両手で収まりきらないほどの人数になってると思います」

 

ちひろは、勢いをつけてハンドバッグを彼の頭に叩き込んだ。

プロデューサーは2メートルほど吹き飛び、道路の上に大往生した。

 

「アイドルとの恋愛はスキャンダルの種に

 なるって知っててやってるんですよね?」

 

「あの、すみませんが、ちょっと頭がフラフラしてて

 質問に答えられる状況じゃないんですが」

 

「うちの事務所で一番の売れっ子アイドルを傷物にしたのよ……」

 

「いえ、どっちかっていうと、向こうからのアプローチが激しくてね。

 ある日、どうしても俺の家で飲みたいっていうから、仕方なく誘って

 そのあとは普通に二人で寝ちゃいました。酔ってたから仕方なくね」

 

「仕方なくじゃないでしょ。そこは大人として断りなさいよ……。

 それに……最近心ちゃんも元気がないのもあんたの仕業ね?」

 

プロデューサーは顎に手を当てた後、真剣な顔で

 

「そうです」と言った。

 

その次の瞬間、プロデューサーの顎に対し、ちっひの固く握った

拳が下方向から当たる。アッパーカット。プロデューサーは

今度は4メートルほど吹き飛び、もう少しで車道を走る

トラックに激突するところだった。しかしその後に自転車をこいでいた

老人に轢かれてしまい、スーツの背中部分にタイヤの跡がついてしまう。

 

「あなたにはもう……何を言っても無駄なんでしょうね。

 今からあなたを首にするよう社長にお願いしてくるわ」

 

「無駄だと思うけどね……」

 

「何か言った?」

 

「いえ。何も」

 

 

プロデューサーは痛む左足を引きづりながら事務所へ戻る。

 

すると驚いたことに、ちひろが川島瑞樹や和久井留美、三船美優によって壁際に

追い詰められ、身動きが取れない状態となっていた。一体何が起きているのか?

 

「じゃ、邪魔しないでくださいよ。

 私はプロデューサーのやった悪事を今すぐ社長に報告する義務があるんです」

 

「ふふ。可笑しなこと言うのね。なぜそんなことを報告する必要があるのかしら」と瑞樹。

 

「彼のやったことは!! 今まで彼を慕って仕事を頑張って来た全ての

 アイドルに対する裏切り行為です!! 私は絶対に許せません」

 

「そう。ちひろちゃんは許せないのね。でも私達は別に何とも思ってないわよ。

 だって彼、プロデューサー君はね。私たちみんなの「モノ」なのだから」

 

「みんなのモノですって。まるでアイドルみたいな扱いになってませんかそれ」

 

「ええ。彼はアイドルよ。私達にとってのね」

 

「そんなの、ふざけてるわ」

 

「ふざけてなんかないわ。あなたこそ落ち着きなさいな」

 

 

その修羅場へ、当事者のプロデューサーがのこのことやって来てしまった。

 

 

「あっ、プロデューサーさん♪ お疲れ様です」と美優が駆け寄る。

 

「その汚れたスーツはどうしたの? もしかして道端で転んだの?」

留美が手慣れた様子で彼の上着を取ってくれる。

 

「ありがとう留美。ちょっと道端で自転車に轢かれただけだから心配しないで。

 それより、今はどういう状況なんだい?」

 

川島さんが答える。

 

「ちひろちゃんがねぇ、私達とプロデューサー君の関係が気に食わない

 みたいだから社長に訴えると言って聞かないのよ」

 

「その私がおかしいみたいな言い方やめてくださいよ。

 あなた達、普段から事務所でイチャイチャしててすごく目障りでしたけど、

 仕事だからこっちは我慢してましたよ。まさか本当に男女の関係に

 になってると知りませんでしたし、正直気持ち悪いです」

 

「そう……。あなたがどう思うかは勝手だけど、社長に通報だけはさせないわよ」

 

「私はこの会社の事務員ですよ。あなたに私を止める権利があるんですか?」

 

 

その修羅場へ新しい人物が現れてしまう。佐藤心だった。

 

 

「おっつかれ~~スィーティー。おっと、なんだこの雰囲気。

 空気が凍り付いてんぞ。これが俗に言う修羅場ってやつ?」

 

「心さん……」←ちひろ

 

「なんてね。本当はみんなが何を話していたかなんて、顔を見ればわかる。

 つーかマジはぁとに感謝しろよ。だいぶ時間が掛かったけど

 今回の騒動の原因である楓ちゃんをここに連れてきたんだからな☆」

 

「なんですって……」

 

 

心に続いて楓が入ってくる。

楓の顔は、依然とは少し違った。怒っているのか、

その瞳にはすごく強い意志が感じられた。

 

 

「まずプロデューサーさんに謝らせてください。

 先ほどは私の自宅にまでお越しいただいたのに無視しちゃってごめんなさい」

 

「いえ、それは全然かまいませんが」

 

事務所なので丁寧口調になるプロデューサーがなんとも滑稽に感じられる。

 

「今の私、実はけっこう怒ってます」

 

「でしょうね。いつもと雰囲気が違います」

 

「怒っているのはプロデューサーにではありませんよ」

 

「えっと。つまりそれは」

 

「はい。私は今、ちひろさんに対して怒っています」

 

 

ちひろは、驚愕のあまりマンボーのような顔をしてしまう。

 

 

「ちさんが社長に虚偽の報告をしたがってると聞いたので、それを止めに来たんです」

 

「きょ、虚偽……? 待ってよ楓さん。何が嘘だって言うの」

 

「私は確かにここ数日会社を休みましたけど、理由は熱を出したからです。

 決してプロデューサーが原因ではありません」

 

 

ちひろは、今度はガゼルのような顔をしながらこう思った。

 

きっと楓さんはプロデューサーか心に洗脳されたに違いない。

そもそもここに居る女たちはプロデューサーをかばうばかりで

彼を悪く言うことが決してない。都合の良い雌奴隷。名のあるホストのような手口で

担当アイドルを丸め込む、このプロデューサーの手口に恐怖しながらも、

やはりこいつは一度警察に突き出すべきだとさえ思う。

 

 

「ちなみに私も楓ちゃん側の人間だかんな☆

 そこんとこ、きっちり覚えておけよ♪」

 

あの心でさえ洗脳済み。

いったい、どうやったら彼にとって

これほどまでに都合の良いハーレムが作れるのか。

 

「ぶっちゃけさ、プロデューサーがいない事務所なんて

 はぁと達には耐えられないんだよ。どんな理由であれ

 プロデューサーと一緒に居られるならそれが皆にとって

 一番だってことじゃん☆?」

 

 

ちひろはすでに四面楚歌であることを悟ったので辞表を出す決意をした。

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