※この作品はR-18です。

偽典・女神転生~魔都新宿~   作:tomoko86355

11 / 17
登場人物紹介

ザンダンス・キッド・・・・イタリア最大級のマフィア『コーサ・コステロ』の元ボス。現在は、ナポリにある小さな貿易会社でジョルジオ・ネックという偽名で働いている。
快楽主義者の社会不適合者、先妻との間にも子供はいるが、完全に関係が破綻し、現在は絶縁状態である。


第10話『疑惑②』★

ネロは、不機嫌だった。

歌舞伎町二丁目での一件もそうだったが、原因は今目の前にいる男だった。

 

「そんなに睨むなよ? 一応、俺は客なんだぜ? 」

 

グラスが割れんばかりの勢いで置かれたジンジャーエールを目の前に、人形の如く整った容姿を持つ少年-狭間・偉出夫が大袈裟に肩を竦める。

 

「此処は、未成年お断りだぜ? 」

 

嫌悪感を露わにするネロ。

そんな銀髪の少年を、偉出夫がさも面白そうにテーブルに頬杖をついて眺める。

 

「君だって未成年じゃないか? 」

「うるせぇ、俺は此処の従業員様だ。」

 

ネロが歯を剥き出しにして威嚇する。

 

事の始まりは、現在、居候兼アルバイトをしている高級娼婦館に、客として偉出夫が訪れた事から始まる。

護衛役である横内・健太を連れて、店に姿を現した偉出夫に対し、当然、ネロはすぐさま追い出そうと行動に出た。

しかし、それを止めたのは、娼婦館の責任者を任されている”阿修羅会”の平構成員であるハレルヤだった。

 

ハレルヤ曰く、偉出夫は”阿修羅会”の大事な客人なのだという。

 

「良い店だね? 流石”新宿区”でも一、二を争う高級娼婦館だ。」

 

ソファの背凭れに身を預けた偉出夫が、店内を見回す。

六本木の高級クラブと遜色ないバーの店内では、娼婦達が常連客を接待しており、人形の様に美しい顔立ちをした偉出夫に興味津々であった。

 

「魔導師ギルドに加盟すると、未成年でもこういった店に出入りできる。」

 

偉出夫は、乱暴に置かれたグラスを手に取ると、ジンジャーエールを一口啜った。

因みに、その隣に座る横内は、終始無言だった。

注文したビールにも全く手を付けず、目の前に立つネロを静かに観察している。

 

「国からも手厚い公的保証を受けられ、至れり尽くせり・・・・ギルド様様だね。」

「だから何だよ? 自慢してんのかぁ? 」

「うん、ネロもウチに来ればいい、此処の倍の給料を払うよ?」

「マジで言ってんのかぁ?」

「俺は、本気だよ? ”クズノハ”と違って下らない規則も無いし、やりたい放題だ。」

 

国からの公的援助により、毎月多額の支援金が支給される。

勿論、国の要請を受け、悪魔討伐をしなければならないが、ギルドから出されるノルマを達成すれば、悠々自適な生活を送る事が出来た。

 

「断る、誰がてめぇみたいな糞野郎の仲間入りなんかするかよ。」

「嫌われてるなぁ・・・・流石に傷ついちゃうぞ。」

 

隣の地蔵の如く無口な従者に同意を求めるが、横内は曖昧な相槌を打つだけであった。

根が潔癖症な横内は、売春を平然と斡旋する違法な風俗店が苦手で合った。

”新宿区”では、それが当たり前でも、やはり受け入れる事が出来ない。

一秒でも早く、こんな場所からは立ち去りたかった。

 

「ネロ、この人達は、会長の大事な客人なんだ。」

 

厚顔不遜な態度を崩さないネロに対し、ハレルヤが顔を真っ青にして窘める。

 

昼間の襲撃事件も、偉出夫達『エルバの民』が介入してくれたお陰で、被害を最小限まで留める事が出来た。

それに、以前から”阿修羅会”とは三島重工を介して、昵懇な関係を築いており、”ゼブラ”の原材料も市場より格安に卸して貰っている。

 

「分かってるよ・・・・でも、コイツ等は・・・・。」

 

ミティスの森での一幕が脳裏を過る。

無惨な姿となって転がる悪魔狩人達の死骸。

その前で、優雅に笑う自分とそれ程、歳が変わらぬ少年。

 

狂っている。

まともな精神状態で付き合える人種ではない。

 

「あ、ケンさぁあああん。」

 

突然、偉出夫がとある人物に向かって手を振りながら、席から立ち上がる。

何事か?と訝しみながら、背後を振り返ると、店の出入り口に直子と20代ぐらいの短髪の男が立っていた。

 

八部連合阿修羅会の若頭候補、ケンだった。

 

右頬に湿布を塗布されたケンは、胡乱気な表情で、此方へと近寄る美少年と従者を眺めた。

 

「アンタ・・・・・確か”エルバの民”の・・・・・。」

「狭間・偉出夫です・・・因みに彼は、僕の護衛役の横内・健太です。」

 

偉出夫に紹介された元自衛官は、若頭候補より上背があった。

硝子玉の様な無感情な双眸で、短髪の男を見下ろしている。

 

「下らない挨拶は、一旦置いといて・・・・。」

 

偉出夫は、ニコニコと営業スマイルを顔面に貼り付かせ、早速本題に入った。

 

「銀蔵という元阿修羅会の構成員を渡して下さい。 」

「・・・・・っ。」

 

あまりな言葉に、ケンは言葉を失う。

 

「銀蔵の事を知っているなら、奴が死んだ事も知っている筈だ。」

 

一つ息を吐き出し、何とか冷静さを取り戻そうとする。

 

銀蔵が組の金と”クスリ”を持ち出し、ケンがけじめをつける為に始末した。

その詳細は、新宿御苑にいる会長、タヤマとその側近であるカミロに既に報告済みであった。

 

「ええ、彼の死体は、西新宿にあるアパートで発見されました・・・・でも、何故か肝心の心臓が無い。」

「・・・・・。」

「監察医の話によると、刃物で綺麗に切り取られていたそうです・・・そんな真似が出来るのは貴方しかいない。」

「・・・・・。」

 

この少年は、何もかもを知っている。

警笛がけたたましく脳内に響き渡る。

 

「銀蔵と言う男は、”ゼブラ”を過剰摂取して、既に悪魔化していました・・・ケンさん、貴方がやろうとしている事は、何の救いにもなりませんよ? 」

 

ケンは、知り合いの魔導医に多額の金を渡して、抉り取った銀蔵の心臓を預けた。

心臓が無事なら、幾らでも再生は出来る。

恐らく、復活した銀蔵を”新宿区”から逃がし、人生をやり直させるつもりなのだろう。

実に愚かで短絡的な思考だった。

 

「悪いが、何の事だかさっぱり分からんな。」

「・・・・・・・横内、銀蔵は初台エリアにある薬局店の地下だ。」

「了解。」

 

主の命令に、横内はポケットからスマホを取り出すと、何処かに連絡を取りながら店を出ようとする。

狼狽したケンが、その行く手を塞ごうとする。

だが、偉出夫の方が速かった。

鍛え上げられた逞しい腕を掴み、その場に留まらせる。

 

「ケンさん、貴方が部下想いで、優しい性分をしているのは知っています。 僕ももし、貴方と同じ立場だったら、全く同じ事をしたでしょう。」

「・・・・・っ、離せ! 」

 

苛立つケンが、偉出夫の腕を振り解こうとする。

刹那、その膝ががっくりと折れた。

偉出夫の掴んでいる手から、生体エネルギーが抜かれているのが分かる。

みるみる血の気を失い、全身を倦怠感と悪寒が襲った。

 

「兄貴! 」

 

余りの出来事に、怒りの表情を露わに、ハレルヤが偉出夫へと襲い掛かろうとする。

しかし、その脇を銀の突風が駆け抜けた。

ネロだった。

出入り口にいる偉出夫へと迫り、その左頬を殴り飛ばす。

殆ど、無意識の行動だった。

 

「マスター! 」

 

一旦、店の外へと出た横内は、主が殴られる場面を目撃し、カミロへの連絡もそこそこに、スマホを手に駆け戻る。

それを偉出夫が手で制した。

直子に抱き起されるケンを横目で眺め、殴られた拍子に切れた唇の血を、服の袖で乱暴に拭う。

 

「痛いなぁ・・・・もう少し手加減してくれても良いだろ?」

「うるせぇ、化け物。」

 

理由が分からぬ怒りで、拳が震える。

咄嗟とはいえ、偉出夫を殴り、若頭候補から引き剥がした。

 

「俺が、彼を殺すと思ったのかい?」

「うるせぇ、出ていけ。」

「殺さないよ・・・だって、彼はタヤマさんの大事な所有物だ。」

「ででけって、言ってんだろぉ!」

 

怒りのマグマが、腹腔から噴出し、怒声となって店内に響き渡った。

もし、愛用の機動大剣『クラウソラス』があったら、目の前の魔人を袈裟懸けに斬り捨てていたかもしれない。

 

凄まじい剣幕に、偉出夫はおどけた様子で肩を竦めると、隣に立つ従者を促し、高級娼婦館から出て行く。

後に残される一同。

直子が回復魔法の呪文を唱え、ケンを治療する。

 

「・・・・・ケン、どうして私に一言相談しなかったの?」

 

偉出夫の言葉が事実なら、信頼出来る魔導医である自分に、一言ぐらい何か言って欲しかった。

 

「君やハレルヤを巻き込みたくなかった。」

 

ある程度、回復したのか、ケンがよろよろと立ち上がる。

 

組を裏切り、大事なアガリと薬を奪った銀蔵を、タヤマは決して許さないだろう。

地獄の果てまで追い掛け、きっちりとケジメを付けさせるつもりだ。

銀蔵が、自分でギャンブル狂いとなり、身を堕とすならそれは仕方がない事だと、すっぱり諦める。

だが、その要因を作ったのは、タヤマの腹心の部下である筈のアドルフォだ。

ケンは、それが納得出来なかった。

銀蔵が、奴の毒牙に掛かる前に、異変に気付けば、救う事は出来た。

故に、心臓を潰す真似が出来なかったのである。

 

 

高級娼婦館のリネン庫。

 

座布団の上に胡坐をかいたネロが、卓袱台の上に置かれている大皿に乗った握り飯を食べている。

怒り心頭のネロを、ハレルヤが「頭を冷やさせる」為に、無理矢理押し込んだのだ。

因みに握り飯は、夜食の為に、ハレルヤが置いて行った。

 

「・・・・・・店に迷惑かけちまった。」

 

腰窓に座り、夜の街並みを眺めている異形の怪物- 霊的国防兵器の一人、コウガ・サブロウに向かって、ネロがぽつりと呟いた。

 

”阿修羅会”の客人であり、契約関係にある『エルバの民』首領、狭間・偉出夫を殴ってしまった。

殆ど、条件反射だった。

腹が満たされ、時間が経つと、自分が如何にとんでもない事をやらかしてしまったのが、否が応でも実感出来る。

 

「お前は、悪くねぇ・・・・此処の連中は、若頭に大なり小なり借りがある。 会長から制裁を受けても、誰も文句は言わねぇよ。」

 

下手な慰め等では無い。

この娼婦館で働く連中は、若頭候補のケンに恩義を感じている。

ネロが偉出夫を止めなくても、店の従業員全員が、奴を袋叩きにしていただろう。

 

「それより問題は、若頭だ。 下手したら、会長から破門されちまうかもな?」

 

サブロウの言う通り、事態はかなり深刻だった。

元部下を救う為に、死を偽装した。

当然、真実を知れば、会長のタヤマは黙ってなどいない。

目に入れても痛くない程、可愛がっていた部下の裏切りだ。

憎さ百倍で、破門にした挙句、命まで取られる可能性すらある。

 

「・・・・・・一つ聞いて良いか? 」

「何だよ。」

「あの・・・・わ、若頭ってさぁ、直子先生の彼氏? 」

 

一瞬の間。

 

「何でそんな事聞くんだ? 」

「え?・・・・・だって・・・そのぉ・・・・何か、直子先生が若頭の事、特別扱いしてたっていうかぁ・・・・。」

 

何故か、顔を真っ赤にしてネロが、必死に言い訳をする。

気まずい雰囲気が二人の間に流れる中、リネン庫の襖を誰かが開けた。

トレードマークの黄色いスカジャンを着たハレルヤだった。

傍らには、番の聖獣チロンヌプを連れている。

 

「さ、サブロウ、ちょっと良いかな?」

 

座布団に座るネロを気にしつつ、ハレルヤが窓枠に腰掛けるサブロウを手招きした。

どうやら、非常に拙い事態が起こったらしい。

ある程度の予想が付くサブロウは、一つ息を吐き出すと、ハレルヤが立つ出入り口へと向かった。

二言三言、会話を交わし、階下へと降りて行く。

微かに聞こえて来た会話の内容は、若頭が初台エリアに向かったらしい、という事だった。

恐らく、銀蔵を救いに行ったのだろう。

此処で、じっとしている訳にもいかず、ネロも座っていた座布団から立ち上がる。

 

「お前は駄目だ。」

 

サブロウの後を追い掛け様とする銀髪の少年を、ハレルヤが止めた。

 

「何でだよ? 俺も一緒に行けば戦力になるだろうが。」

「駄目だ、お前は部外者だし、直子さんもこれ以上拘わらせるなと言われてんだ。」

 

昼間の一件で、ネロがかなり憔悴していた事を、女医は気にしていた。

無理もない。

人間の惨殺死体を、これでもかと見せられたのだから。

 

「俺は、”エルバの民(奴等)”と何度も戦ってる。 それに、狭間って野郎は、俺の師匠から最上級悪魔(グレーターデーモン)を奪い取っているんだ。」

 

これは、明から聞かされたのだが、どうやら、偉出夫が使っている神器『スダルサナ』には、17代目・葛葉ライドウが使役していた魔神・ヴィシュヌが封じられているらしい。

敬愛する師・ライドウの為にも、偉出夫からヴィシュヌを奪い返す必要がある。

 

「お願いだから大人しくしてて欲しいんだけど?ボク?」

 

押し問答をする二人の間を、妖艶な女医が割って入った。

 

何時の間にそこにいたのか、壁を背にして、呆れた様子で腕組みしている。

 

「直子先生・・・・。」

「銀蔵の事なら、ケンとサブロウの二人に任せておきなさい。それに、後からオモイカネとテンカイの二体も合流するわ。」

 

造魔オモイカネとテンカイの二体は、タヤマが所有している霊的国防兵器である。

昼間は、別件の任務で移民キャンプの襲撃事件に参加出来なかったが、今は直子の連絡で、初台エリアに向かっているとの事であった。

 

「何で、霊的国防兵器をアンタが使えるんだ? 」

 

これは、前から思っていた疑問である。

この女医が、”阿修羅会”会長のタヤマから特別視されている事は、薄々気が付いている。

そうじゃなければ、いくら魔導医の資格を持っていた過去があっても、国防兵器を勝手に使える訳が無い。

 

「彼等を造ったのは、私だからよ。」

「・・・・・はい? 」

「信じられないなら、それで良いわ・・・・後、君にお客さんよ。」

「えっ? ちょっとぉ! 」

 

言いたい事だけ伝えると、直子はさっさと自分の持ち場へと帰ってしまう。

後に残されるネロとハレルヤ。

ネロは仕方なしに、ハレルヤに促されるまま、「客」が待っているバーへと行く事にした。

 

 

 

 

カミロがその報告を聞いたのは、豊島区の東池袋の高層マンションで何時もの回収作業をしている時だった。

 

相手は、某企業の重役をしているドラ息子であった。

自称”高額トレーダー”の30代前半の男は、無茶な株取引に手を出した挙句、膨大な負債を抱える羽目になった。

男は、カミロが経営する金融業者に金を借り、負債を補填しようとしたが、所詮は焼け石に水。

借金は雪だるま式に膨れ上がり、最早どうする事も出来ない状況となった。

 

「奴は、初台エリアの薬局店の地下にいる・・・・・そう、駅前のだ。 しくじるんじゃねぇぞ。」

 

相棒であるアドルフォの悪態を適当に受け流しつつ、スマホの通話を切る。

傍らには、先程の私刑で、倍近くに顔を腫らした男が、涙を流しながら三人のチンピラ風の男に弄ばれる妻の哀れな姿を眺めていた。

 

「お前の女房、パリコレのモデルしてたんだってな・・・・どうりで良い身体している訳だぜ。」

 

四つん這いで、尻と口とに肉槍を受け入れ、下から豊満な乳房を弄ばれる女に視線を向ける。

純粋なイングランド人で、美しい金髪を振り乱し、彫の深い顔立ちを快楽で蕩けさせながら、口に咥えた剛直を頬張っていた。

 

男の妻は、最近新しく開発された”新型ゼブラ”の被験体として、液状の薬を注射された。

”女を縛る”目的として造られた薬は、過剰に摂取しても、肉体的変質は起こらない優れモノだ。

しかし、依存性が強く、定期的に薬を摂取しなければ、酷い幻覚に襲われる。

口腔性交を強いていた男が、低く呻いた。

女の喉奥深くまで、肉槍を突き入れ、尻を震わせながら射精する。

陰茎を咥えながら、激しく女がむせ込んだ。

それでも、恍惚とした表情で、喉を鳴らして飲み干す。

 

「一度、あのクスリを打たれたら、もう元には戻れねぇ・・・・精々、自分がやった事を悔やむんだな?」

 

存分に女の口の中へと放出した男が、女の下に潜り込んで、乳房を貪っていたもう一人と変わる。

舌で汚液を舐めとる女に、鈴口から汁を滴らせる肉槍を突きつけると、自分から喉奥まで呑み込み、すぐに戻して、舌を絡ませながら、横に咥えた。

 

「た・・・・・頼む・・・・・金は、親を説得して用意させるから・・・・もうこれ以上・・・・・。」

 

嗚咽交じりに、ドラ息子が懇願する。

しかし、失禁して汚れたズボンは、しっかりと膨らんでいた。

妻と男達の乱交現場を見て、かなり興奮しているらしい。

尻を抱えている男が、二度目の射精を終えたのを確認すると、カミロは部下達に女房を連れて来る様に命じた。

 

凌辱の後も生々しい妻が、正座する夫の前へと引っ立てられる。

背後の男が片足を持ち上げると、愛液と男達が放出した精液で、ぐっしょりと濡れる秘所が露わになった。

 

「ホレ、お前の女房が舐めて欲しいとよ? 」

 

カミロが男の髪を鷲掴み、妻の性器に押し付ける。

最早、諦めているのか、それともクスリの効果故か、妻はロクな抵抗もしなかった。

膣から白濁の液体が漏れ出る。

夫は、躊躇う事無く舌を出し、充血した陰核へとむしゃぶりついた。

 

 

 

東京都、渋谷区北部にある街―初台エリア。

 

目的の薬局店は、すぐに見つかった。

部下を促し、アロハシャツの男‐ アドルフォが店内のドアを蹴り開ける。

しかし、反応が全く無い。

訝しみながら、地下の診療室へと続く階段を降りると、そこには既に先客がいた。

 

「はぁい♡ 意外と早く来たわね? 」

 

デニムのジャケットに白のシャツ、茶のキュロットスカートを履く、10代後半辺りの茶髪の少女が、弄っていたスマホ画面から顔を上げる。

 

『エルバの民』幹部の白川・由美だ。

診察台のすぐ下では、店主らしい頭頂部が禿げた初老の男が縛られており、もう一人の黒縁眼鏡の少女-赤根沢・玲子が処置台に大きな容器を置いていた。

 

「貴方方が、探している人はこの中ですよ?」

 

グレーのジャケットに茶のフレアスカートを着る眼鏡の少女は、小型の培養槽に浮かぶ肉の塊へと視線を向ける。

肉の塊の正体は、悪魔化した銀蔵だった。

頭部と内臓の一部が再生した銀蔵は、マグネタイトに満たされた液の中で、無念そうにアドルフォとその部下数名を睨みつけている。

 

「ふん、”黙示録の騎士”・・・・か、あの餓鬼とんでもない連中を仲魔にしてやがる。」

 

二人の少女から漂う気配に、アドルフォは、恐怖で引き攣った笑いを口元へと浮かべた。

 

『黙示録の四騎士』とは、世界の終わりに地上へと降り立つ、破壊の御使いである。

 

死、戦争、飢饉、疫病を司っており、”ヨハネの黙示録”に登場する。

 

「私達は、偉出夫の命令で貴方達を護衛する為に来ました。」

「護衛? 言っとくが、俺たちゃ戦いのプロだ。嬢ちゃん達に護って貰う必要なんてねぇよ。」

「あれぇ?そんな事言って良いの? 怖い国防兵器4体がコッチに向かっているんだよ?」

 

愛用のスマホを肩から掛けたショルダーバッグに仕舞った由美が、侮蔑を多分に含んだ冷笑を浮かべた。

 

その時、外からバイクのエンジン音が聞こえる。

音は次第に大きくなり、アドルフォ達がいる薬局店の近くで止まった。

 

「言ってる傍から来ちゃったね? 」

「糞っ! 」

 

肌にビリビリと殺気の棘が、無遠慮に突き刺さる。

この強烈な鬼気には覚えがあった。

”八部連合阿修羅会”の若頭候補、ケンだ。

 

「どうしますか? 貴方が私達に対価を支払えば、御守りする事が出来ますよ?」

 

どうやら、只では護って貰えないらしい。

ケンの実力は、否と言う程、思い知らされている。

まともに戦っても、勝てる見込みなどまるで無い。

しかし、このままでは、大事な『赤玉』の材料を失ってしまう。

 

「この雌餓鬼共・・・・対価を支払ってやるから、ちゃんと俺達を護れよ?」

 

額に大量の脂汗を浮かべたアドルフォが、何の躊躇いも無く、左手の人差し指を自分の右眼に突き刺した。

 

 

愛車の大型バイクから降りた若頭のケンは、元部下の銀蔵を匿っている薬局店へと向かった。

不図、足元に違和感を感じる。

見ると纏いつく様に、どす黒い煙が、壊れた出入り口から流出ていた。

 

刹那、背筋を悪寒が走る。

殆ど条件反射で、背負っている段平を引き抜いた。

金属同士がぶつかり合う耳障りな音と、周囲に飛び散る橙色の火花。

衝撃で、大柄な体躯をしたケンが、後方へと吹き飛ばされる。

 

見ると、空中に鋭い鉤爪をした五本の手が出現していた。

黒いガスが人の形を作り、目の部分に紅い光が灯る。

 

「アドルフォの悪魔・・・・・否、違う。 もっと別のヤツか。」

 

身の丈程もある大剣『孫六兼元』を構える。

ケンへと踊り掛かる二本の腕。

鋭い鉤爪から繰り出される光速の斬撃を、手足の如く段平を操り、悉(ことごと)く往なす。

 

「後ろだ! 若頭!! 」

 

サブロウの声に、真横へと避ける短髪の男。

先程まで自分が居た箇所に、光の矢が数本突き立つ。

薬局店の屋根に上った黒縁眼鏡の少女が、魔力の矢でケンを狙撃したのだ。

肩には、緑色の小さな人形-夜魔・モコイがしがみついていた。

 

「遅れてすまねぇ。」

 

大きく跳躍したコウガ・サブロウが、ケンを飛び越え、その背後へと降り立つ。

 

「直子の命令か? 」

「違う、俺達の意志で来たんだ。」

 

背中合わせに立つ二人。

ガス状の悪魔が、ケンに襲い掛かり、屋根の上に立つ少女-玲子が、モコイの魔力から造り出した呪いの矢を打ち込む。

 

 

薬局店の裏口、二台の黒塗りの乗用車と、白いトラックが停まっている。

右眼に眼帯を覆ったアドルフォが、忌々しそうに舌打ちすると、荷台に積んだ小型の培養槽に怒りで歪んだ顔を近づけた。

 

「てめぇのせいで、大事なアレキサンドライトを手放す羽目になっちまった。 赤玉の材料にしても気が納まらねぇ。」

 

強化ガラスに唾を吐きかける。

 

アドルフォの右眼は義眼であり、中にアレキサンドライトと呼ばれる世界三大希少石が隠されている。

元来、宝石には魔力が封じられており、アレキサンドライトもその例に洩れず、膨大な魔力が宿っていた。

アドルフォは、自らの保身の為に、命とも言える希少石を、死神二人組に捧げてしまったのだ。

 

「残り二体が此処に来る前に、西新宿に行くぞ。」

 

何時までも銀蔵に恨み言をほざいている暇などない。

さっさとトラックの助手席に座ると、部下を促し、発車しようとする。

と、その顔が凍り付いた。

ヘッドライトに、一人の男が立っていたのだ。

 

茶の長外套(ロングコート)にビンテージのジーンズ。

革のブーツに、テンガロンハット。

太い葉巻を口に咥えたその男は、イタリア最大級のマフィアー『コーサコステロ』のボス、ザンダンス・キッドだった。

 

 

 

10数年前、南イタリア。

イタリアの南部地域の呼称であるその街は、美しいアマルフィ海岸が有名で、毎年多くの観光客が訪れる。

 

薄暗い警察署のモルグ内。

変わり果てた妻と、幼い我が子の亡骸を前に、40代ぐらいの男が茫然と立ち尽くしていた。

 

「奴等からの置き土産だ。」

 

50代半ばぐらいの大分くたびれたトレンチコートを着る警部が、一枚のDVDを差し出す。

家族が入った死体袋を前に、男は無言でディスクを受け取った。

 

男の名は、ジョルジオ・ネック。

南イタリアの最大の街、ナポリに住んでおり、海産物等を取り扱う小さな会社で働いていた。

 

「散々、楽しんだ後に、飼っている悪魔共の餌にしやがった・・・・現役を引退しても、苦労が絶えねぇな?キッド。」

 

警部は、それだけ告げると死体安置所から出て行く。

後に残されるネック。

DVDを持つ手が、微かに震えていた。

 

 

10数年後、東京、初台エリア。

 

「ビリィ・ザ・キッド・・・・・。」

 

トラックの助手席に座ったアドルフォが、呻くように呟く。

 

イタリア最大級のマフィア『コーサ・コステロ』のボスであり、闇社会では、相棒のブッチ・キャシディと二人で”ワイルドバンチ”と呼ばれ、恐れられていた。

 

右眼に眼帯を付けた調教師(テイマー)は、一つ息を吐き出すと、運転席にいる部下に目配せし、トラックから降りる。

 

「久しぶりだな? アドルフォ。」

 

テンガロンハットを目深に被った現代のガンマン、ビリィ・ザ・キッドは、乗用車から降りた部下達を引き連れるかつての部下を眺める。

 

「大昔の復讐ってか・・・・・こんな小さな島国まで追い掛けて来るなんて、ご苦労なこったな?」

 

重装備した屈強な部下達を背後に従え、アドルフォが深い溜息を吐き出す。

 

今から、十数年前、アドルフォと相方のカミロは、イタリア最大級のマフィア『コーサ・コステロ』に所属していた。

彼等は、裏賭博で稼いだ莫大な資金を奪い、組織から離反した。

その時、キッドの妻と幼い息子を惨殺し、その殺害映像を母子の死骸の前に残したのである。

 

「ステファノの野郎が、全部吐いたよ。 お前、何故、あんな真似をした?」

 

ステファノとは、ミラノに根をはる巨大マフィア『カモッサ』のボスである。

キッドは、相棒のブッチと二人で、家族を奪ったステファノ一家を壊滅させた。

 

「てめぇの女房と餓鬼の事か? 仕様がねぇだろ? ”あの子”がてめぇの息子を気に入っちまってよぉ。」

 

部下達の持つ銃器の安全装置が、一斉に解除される。

無数の銃口が、数歩離れた位置に立つガンマンに狙いを定めた。

 

「俺等は、必死にお願いしたんだぜ? ”あの子”の友達になってくれってよ・・・でも、お前の女房が断りやがった。」

「・・・・・。」

「”死人の友達にはならない”だってよ、酷いと思わねぇか? 俺達の大事な大事な姫君を売女如きが侮辱しやがったんだぜ。」

 

その時の出来事が余程、屈辱的だったのだろう。

アドルフォは、怒りで醜く顔を歪ませていた。

 

「だから、アウローラとアルフィオを殺したのか。」

「ああ・・・、そうだ、俺からも一つ質問なんだが・・・・。」

 

アドルフォは、思わせぶりに一旦、言葉を切る。

 

「DVD楽しかったか? ステファノの部下達からは、大好評だったんだが。」

 

その言葉を合図に、アロハシャツの男の部下達が持つ銃火器が、一斉に火を噴いた。

真横に跳んで避けるキッド。

避け切れない数発は、神業とも呼べるガン捌きで、悉く撃ち落としていく。

 

「車を出せ! 銀蔵を早くカミロの所に持って行くんだ! 」

 

アドルフォの指示に従い、トラックが急発進する。

路地裏へと逃げたガンマンの後を残った部下達に追わせ、アドルフォは、懐から愛用のスマホを取り出した。

 

 

 

激しく銃弾の雨が飛び交う中、キッドは路地裏の壁を蹴り上げる。

空中で器用に身体を捻ると、愛用の『コルト・ドラグーン』が火を噴いた。

それ自体が意志でも持つのか、発射された弾丸は、キッドに襲い掛かる銃弾を全て弾き飛ばし、アドルフォの部下達の額を抉り抜く。

ぶちまけられる血と脳漿。

男達の怒号と悲鳴が、裏路地に響き渡る。

 

ー アウローラ・・・・・。

 

脳裏に、見事なブロンドの髪を持つ美女の姿が過る。

純粋なイングランド人で、コーカソイド特有の白い肌をしていた。

 

後妻として娶ったアウローラは、芯の強い女性だった。

当初は、愛人関係だったが、先妻が病で亡くなったのを機に、彼女を正式な妻として迎え入れた。

当然、先妻との間に生まれた息子とは、折り合いが悪くなった。

息子は、先妻の英才教育の賜物だったのか、文武両道に優れ、ズボラで典型的な快楽主義者である父親には一ミリも似る事は無かった。

 

イギリス紳士を絵に描いた様な息子は、マフィアを毛嫌い、剣士職を全て取得し、”マイスター”の称号を得ると、イギリス王室専属騎士団の一員となった。

風の噂によると、聖騎士(パラディン)に昇級し、1個師団の軍隊長に収まっているのだという。

相棒のブッチからは、”鳶(とんび)が鷹を生んだ”と、あからさまに馬鹿にされた。

 

信じては貰えないが、キッドは先妻との間に出来た息子を心底愛していた。

だから、出来るだけの事をしようと、学費等、色々な養育費を妻へと渡した。

そして、先妻が病死して暫く経った後、数年振りに息子から会って話がしたいと連絡があった。

喜び勇んで、年甲斐もなく、スキップしながら息子に会いに行くと、いきなり貸金庫の鍵を叩き付けられた。

 

「これで、もう貴方とは赤の他人だ。」

 

茫然自失とするキッドに、愛息子はそれだけ吐き捨てると、実父に背を向けてしまう。

いきなりの絶縁宣言だった。

因みに、貸金庫の中には、それまで養育費として渡していた金と同じ額が入っていた。

愛息子は、三下り半を叩きつける為だけに、相当な額の金を貯めていたのである。

 

真っ白な灰となって相棒の所へ帰って来たキッドは、引退する事を決めた。

全ての権利を腹心の部下に丸投げする形で譲渡し、南イタリアのナポリに引きこもってしまった。

経緯を知るアウローラは、10歳になったばかりの愛息子を連れ、「只の人」に成り下がったキッドについて来てくれた。

もしかしたら、今回の一件が、自分に非があると感じていたのかもしれない。

 

そして、親友のツテで小さな貿易会社に勤務する事になったキッドは、人が変わった様に真面目に働いた。

慣れない営業職に四苦八苦しながらも、うだつの上がらない会社員を演じ続けた。

「只の人」になって三年の月日が流れたある日、妻と息子が失踪した。

 

警察署の薄暗い室内、昔からの馴染みである警部から渡されたDVDを再生する。

画面の中では、2メートルを優に超える巨漢の男-『カモッサ』のボス、ステファノの前に跪き、最愛の妻、アウローラが雄々しく立ち上がった肉棒に奉仕していた。

全裸に剥かれた妻の首には、革の首輪が付けられ、催淫剤を投薬されたのか、目元は欲情で赤く濡れている。

 

アウローラは、元娼婦だった。

キッドの部下が経営している娼館の売れっ子で、美人で気立てが良く、心根が優しい性分が客に受けていた。

キッドも彼等同様、一目でアウローラにメロメロになった。

イングランド貴族出身で、爵位を持つ妻を蔑ろにし、連日、アウローラと逢瀬を重ねた。

 

相棒からは、「好い加減にしろ」と殴り飛ばされた。

一時は、妻に謝罪し、アウローラとの関係を清算しようとした。

だが、駄目だった。

寝ても覚めても、彼女の事ばかり考えてしまう。

そんなキッドに、正妻は何も言わなかった。

快楽主義者の駄目男の好きな様にさせた。

 

巨漢の男が呻くと、妻のブロンドの髪を鷲掴みにして、喉奥まで男根を咥えさせた。

叩きつける白い粘塊を激しく咽こみながら、何とか飲み干す。

場面が暗転し、次に映ったのは、キングサイズのベッドに四つん這いになり、尻と口とで奉仕する妻の姿だった。

 

何処かのスィートホテルで撮影しているのか、豪奢な調度品が飾られた一室であった。

 

「ああっ、パ・・・パパ、僕・・・・もう。」

 

アウローラに奉仕させていた14歳ぐらいの少年が、顔を真っ赤にして喘ぐ。

娼婦として培ってきた口技に、最早、墜落寸前であった。

ああっ、ああっ、と女の様に善がり声を上げ、尻臀を痙攣させる。

妻が鈴口を舌で舐ると、少年は悲鳴を上げて、口の中に射精した。

 

「何だ? もう、イッチまったのかぁ?」

 

高級な革張りのソファに座る父親は、腕に巻かれた時計に視線を落としつつ、呆れた様子で笑う。

 

「だって・・・この人、上手い・・・・あっ。」

 

尿道に残った精液を吸い出され、末息子が喘ぎ声を漏らす。

唇から男根が離れると、少年は肩で粗い吐息を繰り返しつつ、ベッドにへたり込んだ。

 

「なら、今度はこの女をイカせてやりますか?」

 

尻に肉槍を叩きつけていた父親の部下が、女の尻を叩く。

剛直を引き抜き、少年の目の前に尻を向ける妻。

息子と同年代ぐらいの少年に、精液と愛液でぐっしょりと濡れた性器を凝視されている。

あまりの屈辱に、双眸から涙の粒が盛り上がった。

 

カメラが、言われた通りに皮を剥いて剥き出しになった陰核へと舌を這わせる少年の口元がアップになる。

小さな舌が、敏感な陰核に触れると、アウローラの尻が震えた。

少年の傍らに立つ部下が、必死に舐める少年に色々とレクチャーしてやる。

膣に舌を入れつつ、陰核を指二本で挟んで弄ると、女はイキ声を上げて昇天した。

 

次にまた場面が変わった。

ベッドの上で末息子に尻を奪われている妻のすぐ横では、手錠で後ろ手に拘束された少年が、俯いて啜り泣いている。

息子のアルフィオだった。

ソファに座る息子の前には、ブロンドの髪をした蒼いドレス姿の少女が、顔を覗き込んでいる。

人形の如く整った容姿と、死人の様に蒼白い肌をしていた。

 

「アルフィオ、何で泣いてるの? 」

「・・・・・。」

「貴方のママは、ステファノ叔父様とアンドレアと楽しく遊んでいるだけだよ?」

「・・・・・。」

 

少女の問い掛けに、アルフィオは応えない。

自分の不甲斐なさに情けなくて、静かに涙を流しているだけだった。

 

「アリス、その坊やは”心”があるから苦しいんだ。」

 

二人を映すカメラマンが、少女に近づき、優しくその頭を撫でる。

声から推察するに、カメラマンの正体は、アドルフォらしい。

母親譲りの中性的な美貌を持つ少年と、金色の瞳を持つ美少女をカメラに収めている。

 

「アリス、坊やをお前の”家族”にしてやるんだ。そうすれば、邪魔な”心”も消えて、アルフィオの苦しみを取り除いてあげられるよ。」

「本当? 」

「本当だとも、黒叔父さんが今迄、アリスに嘘を吐いた事があるかい?」

 

小首を傾げる少女に、アドルフォは優しく諭してやる。

普段のアドルフォからは、到底、想像も出来ない深い愛情のある声であった。

 

カメラマンに諭され、アリスがにっこりと無邪気な笑顔を浮かべる。

 

キングサイズのベッドの上では、尻を抱えていたアンドレアが、女の様な喘ぎ声を上げて、膣に精液を打ち込んでいた。

薔薇色に頬を染め、尻を痙攣させている。

 

「おい、俺の息子のちんぽを綺麗にしてやれ。」

 

ステファノは、女の口から男根を抜く。

アウローラは、三回も射精して疲労困憊なアンドレアへと向き直った。

刹那、その態度が一変する。

ベッドに座る末息子へと襲い掛かり、その身体を拘束したのだ。

 

「今すぐ、その化け物を私の息子から離して!」

 

燃える蒼い双眸が、アルフィオの胸に手を翳す少女へと向けられる。

 

「馬鹿な女だぜ。」

 

カメラマンが呆れた様子で呟いた。

レンズの中では、蒼い顔をしたアンドレアが、元娼婦に背後から羽交い絞めにされている。

 

「アリス、お友達の様子はどうだ?」

 

二人をカメラで映しつつ、アドルフォが背後にいるアリスへと声を掛ける。

 

「うん、アルフィオめっちゃ元気になったよ? 」

 

黒叔父さんの問い掛けに、アリスが嬉しそうに応える。

カメラが、俯いてソファに座る14歳ぐらいの少年を映した。

静かに立ち上がるアルフィオ。

獣の様な唸り声を上げて、両手首を拘束していた手錠を引き千切る。

炯々と光る黄金の双眸が、恐怖で固まる実の母親へと向けられた。

 

 




エロ描写難しい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。