※この作品はR-18です。

偽典・女神転生~魔都新宿~   作:tomoko86355

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悪魔紹介

妖鬼・ベルセルク・・・・魔界でも屈指の戦闘民族。
ドルイド族、ラルゴンキン族、ハイダ族の三部族で構成されている。
闘いに対し、崇高な思想を持ち、女子供や老人は獲物として決して狙わない。
人間に近い感性を持ち、現世と関わる様になってからは、その文化に強い憧れを抱く若者達が増えている。
ライアン・クルーガーやボーグも同じで、普段は人間体のアバターで現世で生活している。



第12話『 赤玉② 』★

マグネタイトに満たされた培養槽の中。

銀蔵は、一人、己が犯した所業を悔いていた。

 

― 兄貴・・・・すまねぇ。

 

若頭候補であるケンへの陳謝の想いで溢れかえる。

瞼の無い眼球が、暗い荷台の天井を睨む。

 

アドルフォの甘言に上手く乗せられてしまった。

惚れに惚れ抜いた筈のアンジェラを裏切ってしまった。

 

脳裏に、男達に弄ばれる元女房の姿が過る。

身体中を汚液で汚したアンジェラは、四つん這いの姿勢で男達の男根を受け入れていた。

男の腰が尻肉を叩く度に、アンジェラは喜び、頬を強く窄めて、狂った様に頭を振った。

口腔性交を強いている男が呻き、肉槍を口から引き抜き、汚液をぶち撒ける。

恍惚とした表情で、アンジェラは汚液を顔に受けた。

白い粘液を垂らす男根を再び口に含み、尿道に溜まった残りを吸い出す。

尻を犯していた男も達した。

膣に熱い液体の感触が伝わり、女も絶頂を迎える。

膣口から溢れ出す精液に、アンジェラは熱く震えた。

 

薄く開いた玄関口で、男達と元妻の狂宴を傍観する銀蔵。

股間の部分が盛り上がっている。

惚れた女が、男達数人に弄ばれる姿に酷く興奮している。

身体が弾け飛ぶ程の怒りと性的興奮に、ポケットの中にあった錠剤を全て口の中へと押し込んだ。

 

それから、後の事は良く覚えていない。

唯、視界が真っ赤に染まった事と、男達の悲鳴だけが、記憶に残っている。

そして、恐怖で怯えた元女房の姿。

 

気が付くと、悪魔化した銀蔵は、女の性器に舌を這わせていた。

 

身体を引き千切られた男達の肉片が転がる狭いキッチン。

床の上で、シックスナインの姿勢を取り、互いの性器を貪り合う。

愛液と男達が吐き出した精液で、ぐっしょりと濡れるアンジェラの性器に長い舌を這わせる。

舌先で剥き出しの陰核を舐め弾くと、女の尻が激しく痙攣した。

歪な形をした銀蔵の陰茎を根本まで口に咥え、アンジェラが首を振る。

相当興奮していたのか、女の舌が、敏感な溝に触れると、あっけなく射精した。

喉奥に叩き付けられる粘塊を何とか飲み干し、女は入れて欲しいと、銀蔵に哀願する。

 

狂っていた。

そこに、夫婦間の愛情はまるで無かった。

 

尻を抱え、膣に男根を突き刺すと、アンジェラは簡単に絶頂に達した。

激しく出し入れを繰り返すと、女は失神した。

腰を女の尻に叩きつけると目覚め、また失神する。

幾度かそれを繰り返し、銀蔵は獣の様な雄叫びを上げ、女の子宮に抉り込む様に射精した。

歪な男根を膣から引き抜くと、アンジェラが口に含んで大きくした。

腹につきそうなぐらい反り返った男根を手で掴み、寝転んだ銀蔵の上に跨り、自ら入れた。

正常位、後背位、座位、あらゆる体位で交わり、女の口と膣に精液を吐き出した。

 

何回目だったろうか、扉を破壊された玄関口に誰かが立っていた。

若頭候補のケンだった。

四つん這いのアンジェラを責め抜いている時だった。

膣から男根を引き抜くと、アンジェラが失望の声を上げた。

 

抜かないで、もっと抉って。

無意識に揺れる女の尻を見ている瞬間、唐突に意識は途切れた。

 

次に目覚めたのは、冷たい培養槽の中だった。

強化ガラス越しに、禿げあがった50代ぐらいの男と、ケンが立っている。

 

「目が覚めたか?銀蔵。」

 

返事をしたかったが、上手く喋れなかった。

無理もない。

今の銀蔵は、下顎が無かった。

 

「凄い生命力だ。 この状態で意識が保てるなんて奇跡ですよ。」

 

薬剤師風の恰好をした男は、驚いた様子で、まじまじと培養槽に浮かぶ銀蔵を観察する。

 

「先生、銀蔵の奴は元に戻れますか? 」

 

ケンの問い掛けに、先生と呼ばれた薬剤師は、残念そうに首を振る。

 

「私の技術では、これが限界です。 確か、天鳥町に業魔殿が停泊している筈・・・ビクトル殿なら銀蔵さんを元に戻せるかもしれません。」

「ギルド関係の輩の手は、借りたくない。」

「うーん、それは困りましたなぁ・・・・残る方法は、愛子母様のご慈悲に縋るしかありません。」

「・・・・やはり、それしかないか。」

 

薬局店店主の言葉に、ケンは諦めた様に溜息を吐き出す。

出来うる事なら、あの地母神を巻き込みたくなかった。

しかし、大事な舎弟の命を救うには、それ以外他に術が無い。

 

「銀蔵、暫く此処で辛抱してくれ・・・・俺が必ずお前を助けてやる。」

 

ケンはそれだけ伝えると、銀蔵に背を向け、地下の診療室から出て行こうとする。

その背を、銀蔵が念話で必死に呼び止めた。

 

『兄貴! アンジェラは? 俺の女房はどうなった? 』

 

ギョロギョロと眼球のみが、せわしなく動く。

 

”ゼブラ”の過剰摂取により、オーバードーズを引き起こし、記憶が完全に跳んでいた。

首を斬り落とされた後、アンジェラはどうなったのだろうか?

 

「アンジェラは、俺の知り合いに預けて”新宿区”の外に連れ出している。残念だが、詳しい場所は話せない。」

『兄貴・・・・。』

「銀蔵、お前はもう悪魔になっちまった・・・二度と人間には戻れないんだ。」

 

残酷過ぎる現実。

しかし、これら全ては、銀蔵自身が招いた結果だ。

元妻は、記憶を消し、”渋谷区”にある移民キャンプに預けている。

キャンプのリーダーであるシフは、移民達から信頼されており、神族でありながら、分け隔て無く人間に接してくれる慈悲深い人物だ。

 

「アンジェラの事は、諦めろ。今度こそ彼女を解放してやるんだ。」

『ううっ・・・・・アンジェラ・・・・。』

 

もう二度と愛する女に会えない。

その事実を突きつけられ、銀蔵は、哀しみで身体が引き裂かれる想いであった。

 

 

突然の振動が、培養槽を激しく揺さぶる。

驚く銀蔵。

幸いしっかりと固定されている為、それ程のダメージは無かった。

車が横転し、何かにぶつかる派手な音が聞こえる。

唐突に、荷台のドアが吹き飛んだ。

街路灯の光が、薄暗い荷台の中を照らしている。

 

「銀蔵・・・・随分と変わり果てた姿になったな? 」

 

街灯の光を背に、荷台の中に入って来たのは造魔・オモイカネだった。

枯れ枝の様な異形の姿をした怪物は、銀蔵が入っている培養槽の留め金を外していく。

 

『オモイカネ? ま、まさか、兄貴が助けに?』

「うん、僕達は、母様の命令で、テンカイを助けに来たんだ。」

『そ、そうか・・・・ううっ。』

 

兄貴分であるケンは、決して自分を見捨てなかった。

情けなさと助けられた安堵で、銀蔵が咽び泣く。

オモイカネは、そんな銀蔵が入った培養槽を軽々と持ち上げ、外に出ようとした。

 

「オモイカネ!出るな! 」

 

ミチザネの声に、慌てて荷台の中へと隠れる。

地面に突き立つ無数の棘。

続いてガス状の悪魔が、空から舞い降りる。

 

ブラック・ライダーこと白川・由美だった。

横倒しになった車両に降り立ち、霊的国防兵器の一体を見下ろしている。

 

「随分と舐めた真似してくれるじゃない? 」

 

トラックの運転手らしい男の惨殺死体を目撃し、由美が憤怒の吐息を吐く。

 

「疫病の死神・・・・・。」

 

か、と言い掛けたところで、ミチザネの視界から黒い死神が忽然と消える。

次の瞬間、腹に焼ける様な痛みを感じた。

何時の間に背後へと移動したのか、腕を槍状に変化させた死神が、造魔の腹を突き刺したのだ。

 

「うぬっ! 」

 

驚愕に双眸を見開き、鎧武者が手に持つ大太刀で、槍を斬り落とす。

背後へと跳んで間合いを取るミチザネ。

しかし、黒い死神は尚も追撃の手を緩めない。

斬り落とされた槍の穂先は液状化し、物凄いスピードでミチザネを追い掛ける。

黒い液体は、鋭い棘を伸ばし、ミチザネの額を貫こうとした。

 

金属同士がぶつかり合う耳障りな音。

咄嗟に鋼鉄の棘を太刀の刀身で受け止めるが、背後に殺気を感じた。

ガス状に肉体を変質させた死神が、ミチザネの背後へと回り込んでいたのだ。

至近距離で氷結系中位魔法『ブフーラ』を唱える。

氷の槍が、造魔の左腕を斬り落とした。

 

「ミチザネ! 」

 

銀蔵が入った培養槽を抱え、オモイカネがトラックから飛び降りる。

 

「来るな! 銀蔵を連れて逃げろ! 」

 

残った腕で光速の斬撃を放つが、由美の肉体を斬り裂く事は叶わなかった。

 

強い。

格が全く違い過ぎる。

自分程度の実力では、足止めにすらならない。

 

ミチザネは、ブラック・ライダーの底知れぬ実力に恐怖を抱いていた。

しかし、此処で引く事は出来ない。

霊的国防兵器としての矜持が、逃走と言う選択を許さなかった。

 

 

 

身体を包む温もり。

微かな肌寒さを感じ、17代目・葛葉ライドウは、薄っすらと目を開ける。

薄暗い室内。

首筋に感じる男の吐息に、先程までの出来事を思い出す。

 

ジャック・コナー率いる民間軍事会社『タイラント』と、エリダヌス調査について話し合いをする為、自分とダンテは、彼等の拠点へと向かった。

指定されたランデブーポイントまで、大分距離がある。

邪魔な悪魔を排除しつつ、目的地に向かう道すがら、ライドウは懐かしいトレーラーハウスを発見した。

 

かつて所属していたハッカーグループのアジトだった。

タイヤは全て潰れ、車体も赤錆まみれの酷い状態だったが、かつての自分達『スプーキーズ』には、大事な居場所だった。

ネミッサが、悪魔除けの呪いを施してくれたお陰で、トレーラーの中は、荒らされる事は無く、当時のあのままの状態を保っていた。

 

 

「目が覚めたのか? 」

 

背後から抱き締める男が、耳元で囁く。

振り向くと、唇を吸われる。

男の舌が口内を這い回り、縮こまる自分の舌を引き出すと、歯で甘く噛んで来た。

 

「い、今、何時だ? 」

 

顔を背け、男の執拗な口づけから逃れる。

 

「0時24分、まだ1時間も休んでねぇよ。」

 

相棒を再びソファに横たえ、歯で形の良い顎を噛みつつ、指を二本肉壺へと埋めた。

先程まで、男を咥え込んでいた為か、太い指を二本、すんなりと受け止める。

指の腹で、前立腺をゴリゴリ刺激すると、悪魔使いの細い身体が後ろへしなった。

 

「・・・・っ、ダンテっ。」

「アンタが途中で気絶しちまったから、コッチは消化不良なんだよ。」

 

一度、悪魔使いの体内に射精したが、手酷く抱いたせいか、悪魔使いは気を失ってしまった。

流石に、意識を失った相手を抱く気にもなれず、仕方なしに相手が目覚めるまで、待ったのである。

 

「コナーって野郎とは、一体どんな関係だったんだ? 」

 

性感帯の一つである会陰(えいん)と呼ばれる肛門の入り口部分を刺激しつつ、首筋に舌を這わせながら問い掛ける。

ライドウは、下手糞と罵るが、同性同士の性経験はそれなりにある。

何処をどう弄れば気持ちが良いのか、同じ男なら十二分に熟知していた。

 

案の定、ライドウは悦楽に顔を歪め、喘ぎ声を必死に抑えている。

 

「た・・・只の仮番だ。」

 

喘ぎ声を堪えながら、ライドウはそれだけ応えると、ダンテから顔を背けた。

腕で顔を隠し、唇を引き結ぶその姿に、銀髪の男は忌々し気に舌打ちする。

男が自分から離れるのを感じ、ライドウは硬く閉じていた双眸を薄っすらと開く。

 

「クソッ・・・・・何時もこうなっちまう。」

 

腹腔から湧き上がる怒り。

それは、自分自身に心を開かないライドウに対してであり、暴力でしか愛情表現出来ない不甲斐ない自分に対してでもあった。

 

「俺は、他の連中とは違う・・・・アンタを痛めつけたい訳じゃねぇんだ。」

 

愛してる。

でも、ライドウには既に心に決めた相手がいる。

ヨハン・ハインリッヒ・ヒュースリー。

ネロの父親であり、フォルトゥナ公国第三皇子。

魔剣教団、騎士団長。

剣士職と魔導師職を全て取得した『マスターオブマスター』の称号を持つ男。

 

10数年前の『シュヴァルツバース破壊計画』で命を落としたかに思われたが、実は生きており、ジャン・ダー・ブリンデという偽名で、かつての相棒であるライドウの前に現れた。

顔や手足を包帯で巻いており、容姿は全く分からない。

しかし、この悪魔使いは、その正体不明の包帯男が、かつて愛した男であると認識している。

 

勝てない。

どんなに研鑽を重ね、腕を磨いたところで、彼等二人が築いた絆に遠く及ぶ筈も無い。

 

「身も心も欲しいんだ・・・・でも、アンタはあの包帯男が好きなんだろ? 」

「・・・・・。」

 

全裸で胡坐をかき、ソファに座る男を黙って見つめる。

 

どう応えて良いのか分からない。

今迄、厳しい言葉を投げていたのは、これ以上、自分に関わって欲しく無いからだ。

脳裏に、三太や四郎、ヨハン等、自分の番になった男達の姿が過る。

 

皆死んだ。

自分に関わった人間は、必ず非業の死を遂げる。

三太は、月子を拐(かどわ)かした罪を問われ、ライドウ自身の手で殺害し、ヨハンは、自分やコナー達を護る為に、その身を犠牲にした。

四郎も同じだ。

自分を庇い、盾となって魔帝・ムンドゥスに殺された。

 

駄目だ。

この男だけは、死なせたくない。

 

ライドウは、起き上がると男の身体に抱き着いていた。

無意識の行動だった。

 

「ライドウ・・・・? 」

「お前は・・・何も悪くない。」

 

胸元に埋めていた顔を上げる。

戸惑う蒼い双眸と、黒曜石の隻眼。

自然と二人の唇が深く重なった。

 

 

 

 

西新宿へと続く甲州街道沿い。

横転したトラックの傍に、手足を打ち砕かれた造魔が転がっている。

 

霊的国防兵器のミチザネだ。

黙示録の四騎士相手に奮闘したが、力及ばず、無惨な亡骸を晒している。

そこから数歩離れた場所では、培養槽を抱えるオモイカネが、黒い死神と対峙していた。

 

「後は、アンタだけよ? お人形さん。」

 

由美が両手に魔力を帯びた氷の鉤爪を精製する。

後退るオモイカネだが、逃げ場など初めから無い。

このまま、自分も同胞と同じ運命を辿るのかと、覚悟を決めた刹那、蒼い突風が二人の間に割って入った。

 

鬼人化した壬生・鋼牙だった。

予想外の乱入者に、由美が後方に跳んで間合いを図る。

が、その背後から紅蓮の炎を左腕に宿す銀髪の少年が襲い掛かった。

 

”デビルブレイカー”に番である火の神・シウテクトリを宿したネロだった。

 

「うぉおおおおおおっ!」

 

雄叫びを上げ、渾身の一撃を黒い死神へと放つ。

炎の拳が激突する刹那、由美が己の身体をガス状に変化。

右へと回避するが、爆発から発生する衝撃波まで躱す事は叶わなかった。

容赦無く身体を叩かれ、硬いコンクリートの地面へと叩き付けられる。

 

「ううっ・・・・コイツぅ。」

 

何とか態勢を立て直したが、与えられた屈辱だけは拭えない。

怒りで鋭い歯を剥き出しにする。

 

『由美さん。』

 

蒼い鬼と銀髪の悪魔使いと対峙する由美の頭の中に、玲子の声が響き渡った。

 

「何よ! 今、めっちゃ忙しいんだけど! 」

『アドルフォさんが死にました。』

「はぁ?」

 

玲子の言葉に、由美が素っ頓狂な声を上げる。

 

契約主であるアドルフォが死んだ。

それは、つまり、自分達が依頼を失敗し、契約の対価を貰えないという事だ。

 

「嘘でしょ? 誰が一体殺したのよ? 」

『分かりません・・・・ただ、偉出夫がアドルフォさんが死んだから帰って来いと。』

「ぐぬぬぬぬぬぬっ・・・・。」

 

魔神皇の命令は、絶対。

逆らう事は、決して出来ない。

怒りで蒼く燃える双眸が、鬼と銀髪の少年を睨み付ける。

 

コイツ等の顔は、しっかりと覚えた。

次に会った時は、確実に殺す。

由美は、呪いの言葉を吐き捨てると、身体をガス状に変化させ、何処かへと飛び去った。

 

 

 

 

初台エリア、薬局店前。

 

ホワイトライダーこと赤根沢・玲子との激闘で、若頭候補のケンは、満身創痍になっていた。

右肩から肘まで大火傷を負い、鋭利な刃物で全身をズタズタに切り裂かれている。

 

「は、早く、私の診療室に! 」

 

解放された薬局店の店主が、霊的国防兵器の一柱、コウガ・サブロウと一緒にケンを運ぶ。

 

「ふー、お前のお陰で何とか間に合ったな?」

「はい・・・・。」

 

CSI(超常現象管轄局)捜査官、ボーグの言葉に、シフの一人息子、ウルが口惜しそうに応える。

 

数時間前、花園神社にある高級娼婦館に、”探偵部”部長、壬生・鋼牙と助っ人のウルが現れた。

初台エリアに、魔王クラスの悪魔が二体現れた事を、ウルが察知したのだ。

恐るべき悪魔の出現に、ボーグは転移魔法(トラポート)を使ってケン達の元へと駆け付けたのである。

 

「それにしても大したもんだな? これだけピンポイントに俺達を跳ばせるなんて。」

「僕が出来るのは、これぐらいです。 母様には色々と魔法を教えて貰いましたが、結局、取得出来たのは、回復魔法と移動魔法だけでした。」

 

褒めちぎるボーグに対し、ウルが顔を真っ赤にして謙遜(けんそん)する。

 

優れた感応力を持つウルは、その力をフルに発揮し、ネロと鋼牙をミチザネ達の処に飛ばし、自分達は、若頭候補のケン達がいる初台エリアに跳んだ。

そのお陰で、辛うじてケンの命を救う事が出来たのである。

 

「あの”黙示録の騎士”は、一体何処に消えたのでしょう?」

「さぁな? あのまま戦ったところで、俺達に勝ち目があったかどうかは、ぶっちゃけ怪しかったかもな。」

 

正直に言うと、ホワイトライダーが消えてくれて助かった。

戦闘経験が豊富なドルイドの上級戦士であるボーグですら、あの怪物を仕留めきれる自信はまるで無かった。

 

 

 

 

 

西新宿から品川へと向かう246号線。

一台の黒塗りのロールスロイス内で、樋口・真理子はシートに四つん這いの恰好を強いられていた。

カットソーのワンピースは捲り上げられ、尻をまるまると露出している。

パンティを太腿に絡ませ、老人の巧みな愛撫に、性器はぐっしょりと濡れていた。

 

「全く、何が哀しくてオリュンポス神族の連中に頭を下げねばならんのだ。」

 

絶妙な愛撫で、女を狂わせつつ、三島・喜作は悪態を吐く。

 

正直、神族は鼻持ちならない連中が多すぎた。

比較的、魔族と親交があるオリュンポスではあるが、言葉の端々に自分達を卑下しているのが良く分かる。

 

農耕神の一人でもあるファウヌスは、そんなオリュンポス神族の一柱だ。

サテュロスという別名を持ち、女を性に狂わせ、虜にさせる力を持つ。

昵懇にしているカミロから、真理子の調教を断られた喜作は、仕方なくファウヌスが経営している品川の高級クラブに連絡した。

すると、「仕事を引き受ける」という、快い返事を貰えたのである。

 

「お、お願いです・・・・い、イカせて・・・。」

 

真理子が啜り泣きながら、尻を揺する。

今迄、人並に男性経験はある。

しかし、老人の愛撫は、夫との行為を忘れさせてしまう程、絶妙だった。

 

「真理子や、ワシと旦那とどっちが良い。」

 

枯れ枝の様な指二本を膣に挿入し、出し入れを繰り返す。

 

「どうした? 何故、応えない? 」

 

急に口を噤んだ真理子に、苛立ちが沸き起こる。

自分の愛撫で痴態を晒しても尚、女教師の矜持(プライド)を壊す事が出来ない。

育った環境故か、後妻として娶った貴子と違い、真理子は最後の一線を頑なに護ろうとしている。

指を三本強引に捻じ込むと、女は「ギャッ」と悲鳴を上げた。

 

「真理子・・・・お前やお前の家族を破滅させるのは簡単だ・・・今の生活を失いたくないなら、自分がどうするべきか・・・分かるだろ?」

「・・・・・・。」

 

真理子は応えない。

目尻に涙の粒を溜め、歯を食いしばって老人の巧みな愛撫に耐えている。

人間にしては、中々の精神力ではあるが、喜作には邪魔でしかなかった。

 

人間の女等、自分達、悪魔の道具であれば良い。

自分の性欲を満たし、マグネタイトを得る奴隷なのだ。

 

膣に入った指三本で、子宮膣部を刺激し、親指で陰核を擦る。

すると、真理子は激しく尻を痙攣させ、絶頂に達した。

指を引き抜くと、尻がシートにずしんと落ちる。

見事な質量だった。

 

「さて、そろそろファウヌスの店に着くな、お前はバツとして下着無しじゃ。」

 

パンティを奪い、上着のポケットに捻じ込む。

真理子は、涙を手で拭いつつ、乱れた服を直した。

 

 

 

目的の店は、品川の大森エリアにあった。

ファウヌスの経営する高級クラブは、中々品があり、洋風な三階建てをしていた。

 

前もって連絡をしていたお陰か、屈強な体躯をした黒服の男二名が、喜作と真理子を出迎えた。

エレベーターに乗り、地下の調教室へと向かう。

室内は、50畳以上ある広い空間になっており、豪奢な調度品が置かれていた。

 

「当クラブへようこそ、私が支配人のファウヌスです。」

 

年齢は、30代ぐらいだろうか。

上品な仕立てをしたスーツに、紅茶色の髪を後ろへと撫でつけている。

トルコ系のすっきりとした顔立ちのハンサムだった。

 

「カミロさんからアンタの話は聞いとる。 調教師(テイマー)としては、そこそこ名が知れとる様だな?」

「いえいえ、ネビロス殿と比べたら、私の技術などまだまだ・・・。」

 

意外にも、自分の握手に素直に応えた事に驚く。

喜作(ルキフグス)は、高邁で自尊心が高いと噂を聞くが、フランクな一面もあるらしい。

 

そんな二人の会話を他所に、女教師は、室内で行われている淫靡な宴に釘付けになっていた。

逞しい肉体美を持つ下着姿の男性給仕が、客らしき女達にカクテル等の酒類を配っている。

ソファや床等では、座位、正常位、後背位、等、ありとあらゆる体位で男女がまぐわっていた。

女達の善がり声、肉と肉を打つ音、男の呻き声が真理子の耳を刺激し、性器を熱くする。

 

「早速だが、この女を調教して欲しい・・・そうだなぁ、自尊心が異常に高いから、性奴隷として主人に忠実なタイプにしてくれたら助かる・・・あと。」

「貴方を受け入れる器にすればよろしいのですね?」

「ああ・・・今迄の奴等は、すぐ壊れて困っとる。」

 

仕事柄故か、ファウヌスは中々察しが良い。

 

ルキフグス程の大悪魔になると、性欲を満たす為に女を抱いても、受け止めきれずすぐ死んでしまう。

後妻の貴子も同様で、金のなる金の鶏故、下手に抱く事が出来ない。

かと言って、貴子が経営しているクラブのホステスを使えば、後始末に苦労すると激怒された。

 

「取り合えず、手付金を置いておく。」

 

喜作は、札束のぎっしりと入った封筒をテーブルの上に置いた。

 

「これで足りなければ、後日、請求してくれ。」

「分かりました。」

 

ファウヌスは、渡された金額に満足すると、改めて真理子へと向き直る。

周囲の淫靡な雰囲気にすっかりと呑まれているのか、女教師が興奮しているのが手に取る様に分った。

 

「大丈夫、この仕事を長くしているので分かりますよ・・・貴女は相当高い霊格を宿されておられる。」

「れ・・・・霊格?」

 

モデル並みにハンサムな男に、耳元で囁かれ、真理子の頬が薔薇色に染まる。

 

「我々、神族や魔族を受け入れる器の事です。」

「あっ・・・・・! 」

 

ファウヌスの手が無遠慮に、スカートの中へと忍んだ。

下着を着けていない女の性器に指を這わされ、真理子が高い喘ぎ声を上げる。

 

「ほぉ・・・・随分と良いご趣味だ。」

 

ファウヌスが、高級な革張りのソファに座る喜作を眺める。

指に付着した女の愛液を舌で舐めとると、仮面を被った男達を呼んだ。

 

「先ずは、初級者コースから楽しんで頂きましょう。」

 

支配人の合図と共に、真理子が酒池肉林を演じる舞台の中央へと連れて行かれる。

抵抗する意志は、最初から無い。

この広い室内に充満する甘い匂いで、脳が痺れ、男達にされるがまま、カットソーのワンピースを脱がされ、ブラジャーを外される。

見事なベル型の乳房を背後に立つ男が揉んだ。

男の一人が片足を持ち上げ、愛液でぐっしょりと濡れる性器を露わにする。

マスクをずらし、舌で性器に軽く触れると、真理子の身体が痙攣した。

喘ぐ唇をもう一人が同じ様にマスクをずらして、口づける。

女は、夢中で舌を絡み合わせた。

 

「実に素晴らしい、一体何処で彼女を見つけて来たのですか? 」

 

立った状態で、屈強な男三人に弄ばれる真理子を、ファウヌスはうっとりと眺める。

 

真理子の持つマグネタイトは、通常の人間より純度が桁違いに高く、神族の器として使用するのに申し分無い。

 

「”エルバの民”という掲示板をご存知かな? 」

「子供達の間で流行っている”呪いの掲示板”ですか? 」

 

グラスの中に注がれたブランデーを美味そうに呑む老人を、隣に座る伊達男が見つめる。

 

ファウヌスも『エルバの民』という掲示板の存在は知っていた。

十代の若者達の間で囁かれる都市伝説の類のモノだ。

曰く『殺したい相手の名前を掲示板に書き込むと、魔神皇と呼ばれる呪いの神が願いを必ず叶えてくれる。』らしい。

 

「その掲示板にあの女の名前が書きこまれておった。 書いた相手は、同僚の男性教諭、何でも”上級国民”が赦せなかったらしい。」

 

男性教諭は、真理子に惚れていた。

家柄も良く、聡明で、おまけに性格も良く中々の美人だ。

生徒達からの人気も高く、当然、同性の教師達からは、嫉妬と羨望の眼差しを向けられていた。

 

「我が主は、あの女の素性を調べた。」

「何故ですか? 」

「理由は分からん・・・だが、一つだけ面白い事が分かった。」

 

喜作は、男三人の愛撫に翻弄される真理子を楽し気に眺める。

立っている事が辛くなった女教師は、男二人の前へと跪き、ブリーフから弾け出た肉棒をしゃぶる。

自尊心などとうに消し飛んでいた。

乳首が硬く尖り、性器が熱く疼く。

背後に三人目の男がしゃがみ、女教師の乳房と性器に手を這わせた。

 

「あの女は、”伝説の魔剣士・スパーダ”の血が流れておる。」

「・・・・・っ、そ、それは本当ですか? 」

 

オリュンポス神族の中でも、伝説の魔剣士の名は知れ渡っている。

スパーダは、人間との間に子を設け、世界各地に己の血族を残した。

しかし、数千年という長い月日により、その血は薄まり、遠い北の台地に領地を持つ、ヒュースリー一族とロシア極東の先住民族の一つ、ウラジミール一族しか確認されなくなった。

 

「勿論、魔神皇様のお話では、曾祖母がヒュースリー一族の男と関係を結んでいたらしい。まぁ、スパーダの血が大分薄まり、魔の力は発現する事は無いらしいがな。」

 

真理子の痴態を楽し気に眺める喜作は、グラスに残っていたブランデーを喉へと流し込む。

 

例え魔の力を失っても、あれだけ純度の高いマグネタイトを持つのだ。

スパーダの血脈がどれ程優れているか、伺い知る事が出来る。

 

クリトリスと乳首を刺激され、真理子が絶頂に達した。

しかし、満足には程遠い。

四つん這いの恰好になり、高々と尻を上げる。

背後に立つ男が、ブリーフから男根を取り出し、膣の入り口に当てた。

 

「入れて欲しいか? 」

 

覆面の男が、亀頭の先で陰核を刺激する。

 

「ああ、欲しい・・・早く入れて・・・・。」

 

ぐっしょりと濡れた性器が男を欲しがっている。

すぐ傍らでは、怨敵とも言える三島・喜作が、ソファに座って此方を眺めている。

自死してしまいそうな激しい恥辱。

だが、性器から吹き上げる情欲の炎が、女の理性を焼き尽くし、一匹の雌犬へと変えていた。

 

「入れてじゃない、”入れて下さい”だろうが。」

「い・・・入れて下さい。」

「良し。」

 

膣を貫く男の肉槍。

電流が激しく脳を叩き、目の前が真っ白になる。

真理子は、尻を激しく痙攣させると、床に突っ伏し、ピクリとも動かなくなった。

 

「何だ、入れただけで失神しおったぞ。」

「アルラウネの香を存分に嗅いでいますからね。おまけに彼等の愛撫を受けては、いくら強靭な精神力をお持ちでも一溜りも無いでしょう。」

 

真理子を犯している連中は、当然、人間ではない。

彼等は、ナイトメアという悪魔だ。

サキュバスやインキュバスと同一視され、伝承では、男性や女性に化けて、精液を奪ったり、妊娠をさせるのだという。

 

「なぁ、ファウヌスよ・・・お前さんは、例の噂を聞いた事があるか? 」

「例の噂? 」

 

男が腰を女の尻に叩きつける。

衝撃で失神していた女が目覚め、背を仰け反らせる。

残る二人は、豊満な乳房に舌を這わせ、女の口に男根を突き付け、しゃぶらせた。

 

「”我々の父”が死んだ・・・・。」

「・・・・・。」

「荒唐無稽な大噓だ、と切り捨てるのは簡単だが、天使共が相当焦っているという話を良く聞く・・・お前さん達、オリュンポス神族はどう思っているのだ?」

「すみません、いくらオリュンポスの血族とはいえ、私は何の力も持たない農耕神です。上層部が何を考えているか等、知る由もありません。」

 

香の作用と男達の愛撫ですっかり蕩けた真理子は、自分から男根を握り喉奥まで呑み込んだ。

尻を犯している男が、リズミカルに腰を叩き、もう一人が、女の下に潜り込んで、激しく揺れる乳房を吸っている。

舌で乳首を転がし、歯で甘噛みする。

尻責めとは違う快感に、女は男根を喉奥まで咥えながら喘ぎ声を漏らした。

 

「ふうむ・・・では、ヘラ殿は元気にしておるかな? 国が経済的に破綻し、大分、苦労していると聞く。」

「伯母上を引き合いに出されても、私からは何の情報も得られませんよ?」

「そう、邪険にするな・・・・我が王が創世の玉座に付けば、お主らオリュンポス神族を救う事が出来るやもしれんのだぞ? 」

 

暫しの沈黙。

あちこちから上がる善がり声と呻き声が、室内を満たす。

 

「それは、つまりゼウス様を裏切れ・・・と、仰りたいのですか? 」

「まぁ、そういう事になるかな? 」

「無理です・・・・先程も言いましたが、私は力を持たない農耕神です。」

「の、割には随分と手広く稼いでいるじゃないか・・・・お主は、頭の緩い同胞達と違い、商才に優れ、人徳もある。」

「・・・・・。」

「裏切れない本当の理由は、ゼウスへの忠誠心ではなく、あ奴の後ろにいる海王神への恐怖ではないのか? 」

「・・・・・。」

「確かに、エノシガイオスは恐ろしい男だ。 冥府の王・ハデスと同格の力を持ち、おまけにギリシャ政府も牛耳っている。」

 

激しく身体全体を痙攣させて、真理子が逝った。

尻を犯していた男が、耳元で何事かを囁く。

膣から男根が引き抜かれ、女が四つん這いの姿勢のまま、喜作とファウヌスの処まで来た。

老人の股座の前まで来ると、震える手でズボンのジッパーを下ろす。

黙って、真理子のされるがままにする喜作。

自慢の大筒を握り出すと、何の躊躇いも見せず、喉奥まで咥え込んだ。

 

「おおっ、あれだけ反抗的だった雌猫が随分と素直になりおったわ。」

 

苦し気な表情で、頭を前後に振り、陰茎を横に咥えて舌を這わせる。

先程まで、女教師の尻を犯していた男が、肉槍を再び膣へと挿入した。

喜作のイチモツから口を離す真理子。

しかし、すぐに双眸を悦楽に歪め、主人の性器を口に咥える。

頭を懸命に振りたくり、舌を最も敏感な溝へと這わせた。

 

「ファウヌスよ、ワシは無理に協力しろとは言わん、只、お主が愛しているヘラ殿を救いたいのだ。」

 

背後の男が突く度に揺れる尻肉と胸を楽し気に眺めつつ、喜作が言葉を続ける。

ファウヌスは、応えない。

唯、黙って苦悶の表情で、老人のイチモツに奉仕する哀れな女を眺めるだけだ。

 

「実を言いますと、ヘブライ神族にも全く同じ事を言われました。」

「・・・・・。」

「ヘカーテ伯母上が、彼等が出した条件を呑んだそうです。」

「成程・・・・考えている事は、皆同じか・・・。」

 

喜作は、自分の股座に顔を埋め、懸命に頭を振る真理子の髪の毛を鷲掴み、乱暴に男根から離す。

ジッパーを上げ、ズボンの乱れを直すと、ソファから立ち上がった。

 

「三日後にこの女を引き取りに来る。 それまで礼儀作法をしっかりと叩き込んで欲しい。」

 

それだけ支配人に伝えると、男に尻を犯される真理子を一瞥する事無く、さっさと調教室から出て行ってしまう。

去っていく老人の後姿を黙して見送る支配人。

その足元では、身体全体を激しく痙攣させ、真理子が幾度目の絶頂に達していた。

 

 

 

 

セクター・エリダヌス。

トレーラーハウスで数時間休憩を取ったライドウ達は、ジャック達が指定したランデブー・ポイントに向かっていた。

 

「大丈夫か? 爺さん。」

 

壁に手を付き、腰をさする隻眼の悪魔使いを番である銀髪の大男が振り返る。

 

昨晩は、かなり無理をさせた。

それなりに気遣ったつもりでいたが、やはり己の中に宿る獣を抑えつける事が叶わず、何時も通り、欲望をぶつけてしまった。

 

「大丈夫だ・・・・これぐらい何ともない。」

 

口元を覆っている呪術帯を顎まで下ろし、魔石を口の中に放り込む。

歯で石を噛み砕くと、魔力が流れ込み、腰の痛みが幾分和らいだ。

 

無体な真似を強いられたが、此方も大分感情的にはなっていた。

まるで叱られた子供の様に俯く銀髪の大男を、放っておけなかった。

自分からダンテを求め、普段なら決してしない口での奉仕までした。

あんな風に互いを貪り合うセックスは、久しぶりだった。

 

一息吐き、下ろしていた呪術帯を鼻頭まで引き上げる。

先に進もうと一歩踏み出した刹那、自分達を取り囲む様に、人の気配を感じた。

 

「爺さん・・・。」

「分かっている・・・どうやら、ご丁寧にもお出迎えが来てくれたみたいだな。」

 

光学迷彩を解き、次々と『タイラント』の傭兵部隊が姿を現す。

完全に、ライドウ達の退路を断つ形で、アサルトライフルの銃口を向けるデモニカ軍団。

その中から、フェイスガードを押し上げ、素顔を露わにした兵士が一歩前に出る。

民間軍事会社総責任者、ジャック・コナーであった。

 

「良く来てくれたな? 17代目。」

 

強化ガラス越しに、愛しいかつての相棒(パートナー)を見つめる。

10数年という月日が経過しても尚、ライドウの美しさは一つも衰える事は無かった。

 

「私達のキャンプはこの近くだ。 案内しよう。」

 

ジャックがライドウ達を自分達の活動拠点である巨大巡洋艦へと促す。

すると、ダンテの目の前に3メートルを軽く超える巨人が立ち塞がった。

一般兵と同じく支給されたデモニカスーツを着用しているが、ヘルメットは付けていない。

顔の下半分は、2対4本の爪状口器になっており、頭部は側面から後頭部にかけて先細りした黒い管が幾つも生えていた。

 

「止せ、ライアン二等軍曹。彼は、17代目の大事なパートナーだ。」

 

ダンテの行く手を塞いだ異形の怪物の正体は、ライアン・クルーガー二等軍曹だった。

妖鬼・ベルセルク族の三部族の一つ、ラルゴンキン族の上級戦士であり、ジャック・コナーに絶対的忠誠心を持っている。

 

主人の命令を受けたライアン軍曹は、素直にダンテを通した。

鋭い蒼い双眸が、銀髪の魔狩人を睨みつけている。

 

「まさか、ベルセルクだったとはな・・・。」

「昨日、キャンプでちょっとした事故があってな、軍曹のアバター体が破壊されてしまったので、止む無く元の肉体に戻っている。」

 

ジャックの話によると、ライアンは既に現世に帰化しており、5年近く人間として生活していた。

 

「事故? 」

「大した事故じゃない。 君が心配しなくても、此方で既に解決している。」

 

訝し気な表情になる悪魔使いに、ジャック大佐は困った様子で苦笑いを口元へと浮かべる。

余計な詮索は無用、との事だろう。

ライドウも、それ以上、追及するつもりは無かった。

 

暫く歩くと、広い場所へと出る。

ジャック大佐が部下に指示を出すと、超巨大巡洋艦の光学迷彩機能が解除された。

 

戦闘を前提に建築されたのか、外装の各種には砲台が設置されている。

もし、自分達の船と戦闘になれば、明らかに此方が不利だ。

 

ライドウとダンテは、周囲を屈強な傭兵達に固められ、艦内へと入る。

艦長室の前に来ると、ライアン軍曹が再び、ダンテの前に立ち塞がった。

 

「悪いが彼は此処までだ。 交渉は、君一人で十分だろ?」

 

今にも射殺せんばかりに此方を睨み付ける銀髪の大男に対し、ヘルメットを脱いだジャック大佐は嘲弄の笑みを口元へと貼り付けた。

此処は、敵陣の真っただ中だ。

下手な態度を示せば、今後の調査に大きな影響を受ける。

止む無く、ライドウは、いきり立つダンテを窘め、ジャック大佐と二人で艦長室へと入った。

 

「そんなに怖い顔をしないでくれ・・・・私達だって君を敵には回したくないのだ。」

 

ジャック大佐に促されるまま、来客用のソファに座ったライドウに肩を竦める。

 

「あれからもう10年以上が経つのか・・・月日の移り変わりは本当に早いな。」

「昔話は良い、それより、バニシング・ポイントへの航路を・・・・。」

 

そう言い掛けたライドウの目の前に、薄いIパッドが差し出された。

慣れた手付きでジャック大佐が液晶画面を操作する。

すると、三つのフォルマの画像が3D映像で浮かび上がった。

 

「君達が血眼になって、最終セクターであるホロロジウムを探している事は知っている。」

「・・・・・。」

「我々が提示する条件は、この三つの特殊なフォルマの回収だ。」

「・・・・それを渡せば、お前達のエリアを通過しても構わないんだな?」

「勿論、君等が条件を呑むなら、我々は一切の干渉はしない。」

 

真向かいに腰を下ろしていた男は、徐に立ち上がると悪魔使いの隣に座った。

パネルを操作し、フォルマの詳細を調べていた悪魔使いの手を優しく握る。

 

「君は、本当に変わらないんだな? 私は歳を取り、当時よりも大分衰えた。」

 

手袋を外した手が、硬い革のグローブに包まれたライドウの手を愛おし気に触れる。

ライドウは、別段、嫌がる素振りも見せず、男の好きな様にさせていた。

 

「君と再会した時は、運命を感じた・・・あの時の罪滅ぼしを出来るのではないかとね?」

「・・・・・。」

「君は、まだ私を疑っているのか?」

 

探る様な蒼い双眸が、真紅の呪術帯で左眼を覆う悪魔使いを眺める。

ライドウは、応えない。

男に手を握られたまま、鋭い隻眼を其方に向けるだけである。

 

「天地神明に掛けて誓う・・・彼は、私や私の部下を救う為に、敢えてあの地に残ったのだ。」

「・・・・・それを証明するモノは?」

「残念ながら無い、しかし、今後の行動でそれを示してみせる。」

 

愛おし気に、悪魔使いの手の甲を自分の頬へと寄せる。

怖気が走る程の嫌悪感を抱くが、強靭な意志でそれらを抑え込む。

此処で下手な行動を取れば、相手の心証を悪くする可能性がある。

事を穏便に運ぶ為には、多少の嫌がらせも耐えるしかない。

 

「その特殊なフォルマは、強大な力を持つ悪魔が三体護っている・・・その討伐に君の力を借りたい。」

 

ジャック大佐が提示した三つのフォルマ、ハイドロアップ、九重氷石、エックス金属には、それぞれ魔王クラスの悪魔達が護っていた。

三体の悪魔の名は、魔王・アルシエルに威霊・アルビオン、地母神・スカディと言った古の神々だった。

 

「錚々(そうそう)たる顔ぶれだな・・・流石に俺一人じゃキツイ。」

 

三体の悪魔を無事討伐し、条件の各種フォルマを手に入れたとして、その後に、エリダヌスを護る龍王・ウロボロスと対峙しなければならない。

一刻も早く、ホロロジウムへと到達したいライドウにとって、その条件は無理難題と同じに見えた。

 

「私達『タイラント』も協力する・・・君にばかり痛みを強いてはフェアじゃないからね。」

 

ライドウの手の甲に口づけを落したジャック大佐が、探る様な視線を此方に向けた。

 

「良いのか? 部下を大事にするのがお前の信条だろ?」

 

10数年前も、非人道的な態度を取り、周囲から敬遠されているジャックではあるが、それでも何故か部下からの信頼が厚い。

その理由として、部下へと配慮が適切である事が挙げられる。

ケビン・ブラウンも問題のある部下に対する扱いが上手いが、この男の手腕はそれを遥かに凌駕していた。

部下一人一人の性格や癖を把握し、家族構成まで頭に叩き込んでいる。

どうやれば付け上がり、どうすれば素直に従わせるかを熟知していた。

 

「舐めて貰っては困るな? 私の隊は君等と違い少数ではあるが、皆”シュバルツバース”の深層を調査し、無事生還を果たした強者ばかりだ。」

「・・・・・。」

「実際、ギガント級の悪魔を何百体と始末している・・・勿論、魔王クラスもね。」

「・・・・・・。」

「君が、私と仮番の契約をしてくれれば、喜んで兵を貸すよ。」

 

恐らく、これがこの男の本音だろう。

一度破棄された契約を、再び交わす事。

それが叶わなければ、フォルマ回収は、ライドウとダンテ二人で行う事になる。

 

「折角の申し出だが、謹んでお断りする・・・お前の言葉を全て信じる気はない。」

「そうか・・・・それは実に残念だ。」

 

ジャック大佐は、一つ息を吐き出すと、ライドウの手を離した。

 




戦闘描写はもっと苦手。
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