※この作品はR-18です。

偽典・女神転生~魔都新宿~   作:tomoko86355

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悪魔紹介

堕天使・シトリー・・・・『ソロモン12柱』の魔神の一柱。
序列は最下位だが、その力は古の神と同列。
男女の愛欲を操る事が出来、その心に秘めている想いを暴き出す事が出来る。
現世では、千葉銀行の頭取。
調教師(テイマー)としての実力も優秀で、主に女の調教を頼まれている。


第13話『 赤玉③ 』★

セクター・エリダヌス内、超巨大調査艦『レッドスプライト号』

 

 

「彼等の協力は、危険と判断し、俺の独断だけで断った。 アトキンス大佐達には負担を掛けると思う・・・申し訳ない。」

「否、17代目の選択は正しい・・・・私も君と同意見だ。」

 

恐縮した様子で頭を下げる悪魔使いに、ゴア艦長はそう応える。

 

民間軍事会社『タイラント』との交渉が何とか無事に終わり、彼等が提示した三つのフォルマを回収する事となった。

帰りは、仲魔であるハイピクシーの移動魔法(トラポート)で、レッドスプライト号に帰還出来たが、悪魔使いの疲労は相当なモノであった。

 

 

 

「何だぁ? 糞餓鬼。」

 

此方を睨み付ける視線を感じたダンテが、ブリーフィングルームの壁に背を預ける長い前髪の少年に皮肉な笑みを向ける。

 

遠野・明は、ジャック大佐との交渉に向かう際、自分も同伴すると申し出た。

しかし、養父であるライドウに、けんもほろろに断られ、佐助にも窘められた為、不承不承引き下がる事にした。

 

「・・・・・アンタ、17代目に何をした? 」

 

寄りかかっていた壁から背を離し、明がダンテのすぐ傍らへと近づく。

 

身長は、ほぼ同じ。

長い前髪から覗く鋭い双眸が、銀髪の魔狩人を睨みつけている。

 

「別に・・・・お子ちゃまに説明しても理解出来ねぇよ。」

 

大袈裟に肩を竦める男の胸倉を掴もうと、明が一歩前に出る。

今にも殴り合いが始まりそうな二人の間に、猿飛・佐助が素早く割って入った。

 

「はーい、ストップ! 皆さんが見ている前だからね? 喧嘩はNGだよ。」

 

2メートルを超える大男二人組の間に入るのは、相当、度胸がいる。

冷や汗を浮かべた佐助が、おどけた様子で、二人の男を見上げた。

 

 

「奴等が提示した三つのフォルマは、古の悪魔達が護っている。」

 

ライドウは、空中に展開された3D映像を操作していく。

映像には、セクター・エリダヌスのマップが表示されており、古の悪魔達は、その中央にある三つの神殿にいた。

因みに、このマップは、ジャック大佐が提供してくれたモノである。

かなり精密な部分まで表示されている所を見ると、ライドウ達よりも早くセクター・エリダヌスに到着し、独自の調査を続けていたらしい。

 

「魔王・アルシエルに威霊・アルビオン、それから地母神・スカディとか・・・神クラスの奴等ばかりじゃない。」

 

ライドウに召喚された妖精・マベルが、怯えた様子で主人の肩に座っている。

 

マベルの言う通り、この三体の悪魔は、魔王クラスを遥かに超える存在であった。

ジャック大佐率いる傭兵部隊は、フォルマを回収する為に、この三体の悪魔と交戦。

全く歯が立たず、退却を余儀なくされた。

 

「ビビるなよ? 俺達なら十分対処出来る悪魔共だ・・・・なぁ、坊主。」

「・・・・・。」

 

ダンテの皮肉たっぷりの軽口に、明は完全に無視をしていた。

養父の持つGUMPから、三体の悪魔についての情報を自分のスマホに移している。

 

「どの道、フォルマを回収しなければ、バニシング・ポイントへは辿り着けない・・・三体の悪魔は此方で何とかするから、ゴア艦長達は、神殿周辺にいる邪魔な障害を取り除いて欲しい。」

「分かった・・・・すまない17代目。」

 

恐縮した様子でゴア艦長はそう応えた。

 

これからの方針が決定すると、暫くの休息時間として、各々に割り当てられた私室へと還った。

 

 

 

 

新宿5丁目、花園神社にある高級娼婦館。

 

直子の診療室に、変わり果てた姿となった造魔・ミチザネが処置台の上に載っている。

その隣には、培養槽の中に浮かぶ肉塊があった。

数時間前、ネロと鋼牙、そして霊的国防兵器の一体、オモイカネが疫病の死神によって破壊されたミチザネと悪魔化した銀蔵を連れて帰って来た。

直子は、彼等を診療室へと運び、処置をすると伝え、”阿修羅会”の平構成員であるハレルヤ唯一人を残して、ネロ達を一旦外へと出した。

 

両手足を失い、胸には大きな穴が穿たれたミチザネは、誰の目から見ても、既に命の火が消えている事が分かる。

 

「銀蔵・・・聞こえている? 」

 

直子が、マグネタイトで満たされた培養槽に浮かぶ肉塊へと話し掛ける。

心臓と脊椎、そして頭部の上半分という醜い姿になった銀蔵は、右の眼球を女医へと向けた。

 

「ケンは、貴方を護る為にタヤマを裏切り、挙句、大怪我を負ったわ。」

『・・・・・。』

「アドルフォが何故、貴方に近づき、破滅させたか・・・その理由が分かる?」

『・・・・・理由? 』

 

そんな事、一度も考えた事は無かった。

若頭候補であるケンとアドルフォ達は、表向きは同じ”阿修羅会”のメンバーとして普通に接しているが、裏では小さな小競り合いを起こしている。

剣士(ナイト)として優れた能力を持つケンは、タヤマの懐刀として厚い信頼を勝ち得ている。

それが、アドルフォとカミロの二人は気に入らないのだ。

だから、ケンの舎弟である自分が狙われた。

 

「彼等は、貴方の魂を汚して、自分の大事な”家族”の生餌にするつもりだったのよ。」

『い、生餌って・・・。』

 

直子は、淡々とした口調で、カミロとアドルフォの正体を語った。

 

曰く、彼等は人間に擬態した上級悪魔である事。

彼等二人には、大事な”家族”と称する一人の少女がいる事。

少女は、穢れた人間の魂が好物であり、不幸にも、偶々、アドルフォ達が経営しているストリップ劇場に訪れた銀蔵を気に入ってしまった事を語った。

 

「どうして直子先生が、奴等の正体を・・・・?」

「タヤマに聞いたのよ・・・・魔王クラスの悪魔二体を支配下にしたってね。」

 

イタリア最大級のマフィア、”コーサ・コステロ”から、莫大な裏賭博の資金を強奪した二人は、日本に渡り、タヤマに接触した。

魔王クラスに匹敵する二体の悪魔を気に入り、”阿修羅会”のメンバーに加えた。

カミロとアドルフォは、”阿修羅会”に手を貸す見返りとして、ある条件を出した。

それが『穢れた魂』を定期的に贄として捧げろ、というモノであった。

「貴方は、愚かにも金に溺れ、人を殺し、女性を犯した・・・・あの子は、そんな極悪非道な魂が大好物なのよ。」

「な、直子先生・・・・。」

 

流石にそれは言い過ぎだと思う。

しかし、銀蔵の行いは正に女医の言う通りであった。

 

『お、俺は・・・・一体どうすりゃ良いんだ。』

 

自分の業が、周りを不幸にしている。

惚れた女房の人生を狂わせ、挙句、薬物中毒にさせた。

信頼している兄貴分を裏切り、大怪我まで負わせた。

正直、生きる価値など何処にも無い。

 

「罪を償いたいなら、ハレルヤを護りなさい。」

 

女医は、滅菌された手袋を付けると、ミチザネの頭蓋にメスを入れる。

頭蓋に穴を開け、手を入れると、銀色の甲殻を持つ蟲を取り出す。

まるで百足の様な姿形をした奇妙な蟲は、女医の手の中で蠢いていた。

 

「そ・・・・それは・・・・。」

「これは、ヒフミと呼ばれる”勾玉”よ・・・霊的国防兵器の核となっているわ。」

 

悪魔で例えると、心臓の部分に相当するらしい。

女医は、紫色の体液で汚れる不気味な蟲を、銀蔵の目の前へと置いた。

 

「銀蔵、ミチザネの魂を受け入れなさい・・・新たな国防兵器として生まれ変わり、あの子を命に代えても護るのよ。」

『・・・・・。』

 

人間(ヒト)としての人格を犠牲に、霊的国防兵器となれ。

それが、直子が銀蔵に示した条件であった。

 

『・・・・・分かった・・・アンタの言う通りにするよ。』

 

強い意志が宿った視線を、女医へと向ける。

覚悟は既に決めた。

人間に戻る事が叶わないのであるならば、せめて悪魔となって、人の為に尽くす。

 

 

 

東京都、西新宿区。

かつて高層ビルが建ち並ぶオフィス街であったが、震災後は、復興の手が行き届かず、倒壊したビルが手つかずのまま残されている。

その中で、比較的真新しい5階建てのビルがあった。

 

 

様々な拷問器具が設置された、調教部屋。

此処はかつて、”八部連合阿修羅会”幹部であるアドルフォが、人間の女や亜人の女を従順な娼婦に仕立て上げる為の仕事部屋であった。

その部屋に20代後半らしい浅黒い肌をした黒エルフの女が、全裸に縄を巻かれた状態で宙吊りにされている。

片足を縄で縛られ、大きく股を開く形で固定されていた。

露わになった性器には、10代半ばぐらいの紅茶色の髪をした少年が、むしゃぶりついている。

少年の愛撫は、絶妙だった。

小さな舌が性器と肛門を丹念に愛撫し、女を狂わせている。

顔は快楽で蕩(とろ)け、口から涎を垂らし、浅黒い肌は汗で濡れ光っていた。

 

 

「黒叔父さん死んじゃったの? 」

 

淫靡な宴から少し離れた位置に座る金髪の少女が、希少石であるアレキサンドライトを手の中で弄ぶ。

 

「ああ、残念ながら死体を回収する事が出来なかった。」

 

愛らしい兎の形をしたスツールに座る少女を、カミロが見下ろす。

シックな白いティーテーブルには、アニメの絵柄が付いたマグカップが置かれ、甘いアップルティーの香りが漂っていた。

 

「すまんな・・・・だが、すぐにネビロスに代わる調教師(テイマー)を用意してやるから安心してくれ。」

 

愛する家族の死に、ショックを受ける少女- アリスを慰めてやる。

 

態度こそ平常を保っているものの、数百年共に行動した相棒を殺され、カミロー ベリアルの腹の中は、怒りの業火で渦巻いていた。

ネビロスを殺した相手は、知っている。

イタリア最大級のマフィア・・・『コーサ・コステロ』のボス、ザンダンス・キッドだ。

現役を引退し、腹心の部下を後継者としたらしいが、未だにその実力は健在らしい。

魔界でも屈指の実力を持つ死霊使い(ネクロマンサー)のネビロスを、意図も容易く殺害している。

自分達が弄んで殺した妻と子供の仇討ちのつもりだろうが、大悪魔である自分に喧嘩を売るとは良い度胸だ。

 

「赤叔父さん、私は大丈夫だよ? だって、アルフィオがいるもの。」

 

アリスは、うっとりとした眼差しで、黒エルフの女を犯す少年を眺める。

周囲には、枯れ枝の様にやせ細った老婆達の死骸が無数に転がっていた。

この死骸の山は、カミロが配下の悪魔達に命令して誘拐した10代から20代ぐらいの女達であった。

彼女達は、アリスがペットとして飼っている少年の食欲と性欲を満たす為に、此処に連れて来られた。

 

黒エルフの女は、少年の舌使いで幾度も達していた。

理性が焼け爛れ、死への恐怖が女を更に狂わせている。

拘束していた縄から解放されると、女は躊躇う事無く、少年のズボンを脱がし、立ち上がった性器を喉奥まで咥えた。

蕩けきった表情で、頬を窄め、成長途中の男根を持てるテクニックで奉仕している。

 

「そうか・・・・お前が気に入ってくれて嬉しいよ。」

 

しゃぶる音と女の吐息が、調教部屋を満たす。

 

ベリアルがその報告を聞いたのは、三島重工会長、三島・喜作が愛人の女を連れて劇場を去ったすぐ後であった。

愛用のスマホが鳴り出てみると、相手は”八部連合阿修羅会”と契約した秘密結社(イルミナティ)・『エルバの民』首領の狭間・偉出夫であった。

話したい事がある旨を告げ、歌舞伎町壱丁目にあるカフェレストランを指定して来た。

偉出夫が予約したVIPルームに入ると、アドルフォが死んだ事を告げられた。

 

アリスの餌として用意した銀蔵という男が、若頭候補であるケンに殺された。

此処までは、二人もある程度、想定していた。

彼等が欲しいのは、人間の欲に満たされた心臓だった。

早速、死体を回収しようとしたが、肝心の心臓が無い。

怒り狂ったアドルフォは、大事な心臓を持ち去ったのがケンである事を突き止め、彼が昵懇にしている魔導医がいる初台エリアの薬局店へと向かった。

そして、不幸にも10年という長い月日を掛けて復讐に来た、ザンダンス・キッドの餌食にされてしまったのである。

 

その話を聞かされた時、俄かには信じる事が出来なかった。

 

ネビロスは、魔界の侯爵・アスタロトの配下で、悪魔の軍団長に収まる程の実力者だった。

いくら、SS(ダブルエス)級の悪魔狩人でも、歯牙にもかけない力を持っている。

そのネビロスを倒したという事は、ザンダンス・キッドは、只の狩人ではないという事になる。

 

ベリアルの視線が、シックスナインの態勢で女と性器をしゃぶり合う14歳の少年へと向けられた。

少年は、肉厚な尻に手を掛け、愛液と唾液でぐっしょりと濡れた女の性器に舌を這わせている。

巧みな愛撫に耐え切れなくなったのか、女は少年の男根を手で支えると、自ら性器に咥え込んだ。

成長途中の幼い男根は、女が最も感じる箇所まで届かない。

寝転んだ少年の上で、女はボリュームたっぷりの尻を振りたくった。

汗が飛び散り、照明にキラキラと光る。

 

「なぁ、アリス、この国から出て行かないか? 」

「え? 」

 

ベリアルの予想外な言葉に、アリスは思わず戸惑う。

 

「欲に穢れた街は、此処だけじゃない。遠く離れた北の台地では、”新宿区”と同じぐらい魂を汚した人間達が溢れていると聞く。」

「・・・・・・あの人からは、逃げ切れないわよ? 」

 

それまで、幼い少女の声がガラリと変わった。

冷酷に光る金色の双眸が、騎乗位で狂った様に尻を振りたくる黒エルフの女と下から豊満な乳房を揉む少年を見つめている。

 

「だろうな・・・僅かな痕跡を辿って、10年近くも掛けて俺達を探し当てた。大した執念だよ。」

 

数年間とはいえ、カミロも”コーサ・コステロ”に身を置いていたから分かる。

ザンダンス・キッドという男は、家族を弄ばれ、無惨に殺した自分達を決して許さない。

例え、魔界に落ち伸びても、必ず探し出し、愛する者達の無念を晴らす。

 

幾度目かの絶頂を迎えた女に異変が起きた。

口から大量のマグネタイトが吐き出され、下にいる少年の口の中へと吸い込まれていく。

女の身体が急速に老化し、黒髪が白髪と化し、みるみるうちに骨と皮だけの老婆となった。

体内に内在しているマグネタイトを吸い尽くされてしまったのだ。

糸が切れた人形の様に倒れる女。

少年が起き上がり、金色の双眸をアリスとカミロへと向ける。

 

「何だ? お代わりが欲しいのか? 」

 

数十人の女を餌食にしても、未だ足りないらしい。

呆れるカミロを他所に、黒い光沢を持つ希少石を手に持った金髪の少女が、座っていたスツールから立ち上がる。

無表情で此方を眺めるアルフィオの前まで来ると、希少石を少年の口元へと運んだ。

 

「お口を開けて?アルフィオ、貴方に良いモノあげるわ。」

 

にっこりと邪気の無い笑顔を浮かべるアリス。

そんな少女に、アルフィオは素直に口を開く。

舌の上に希少石を乗せてやると、何の躊躇いも見せずに呑み込んだ。

 

 

 

 

数日後、矢来区、某雑居ビル内にある『葛葉探偵事務所』

 

来客用のソファに寝転び、ネロはぼんやりと事務所の薄汚れた天井を眺めている。

直子が、ネロ達に語った真実は、あまりにも衝撃的だった。

復興支援を餌に、各国から労働者として集められた移民達は、治安の悪化を招くと言う理由で用済みとなり、当然の如く行き場を失った。

タヤマ達”阿修羅会”は、そんな彼等を集め、歌舞伎町二丁目に移民キャンプを築いた。

だが、それは無限発電炉『ヤマト』を動かす動力源にする為だったのである。

 

新宿区百人町に建造された巨大な電力施設。

そこには、土着神である牛頭天王が根城にしており、タヤマから『赤玉』と呼ばれる供物を捧げられていた。

その供物の原料が、生きた子供の血肉なのである。

 

「今日は、アルバイトに行かないのかい? 」

 

探偵事務所、所長代理の壬生・鋼牙が、ネロの傍らに腰を下ろす。

シャワーを浴びていたのか、濡れた髪をバスタオルで拭っていた。

 

「・・・・どうして良いのか分からねぇ。」

「どうしたの? 随分と凹んでいるじゃない。」

 

冷蔵庫から取り出したダイエットコーラの缶をネロに渡す。

ネロは、起き上がるとプルトップの蓋を開けた。

 

ネロが落ち込んでいる理由は、何となく察する事が出来る。

移民キャンプの真実。

そこに住んでいる人々が、牛頭天王の恩恵を受ける為に、我が子を平気で『供物』の材料に捧げていた事。

直子が、彼等の診察をしていた理由も。

 

「ネロ、僕達の本来の目的は、牛頭天王が塞いでいる龍脈を元に戻す事だ。”四神相応”が発動すれば、移民の人達も悪魔の脅威に怯える必要が無くなる。」

「・・・・・。」

「その後の事は、重沼さん達大人の仕事だ。僕達がどうこう出来る問題じゃない。」

「分かってる・・・・直子先生も移民の人達を救いたい気持ちがあるって事も。」

 

しかし、何故か裏切られた気分になってしまう。

確かに、彼女から見たら、自分等、只の非力な餓鬼にしか見えないだろう。

余計な真似をされたくないから、ボーグを使って”新宿区”の外に出そうとした。

 

だから、腹が立った。

自慢じゃないが、フォルトゥナ公国で魔剣教団に所属していた当時は、最前線に立って悪魔討伐を行っていた。

シウテクトリと自分の治療費を返す為に、娼婦館で住み込みのアルバイトをすると決めたのは、ソレが最大の理由だった。

 

「俺・・・・そんなに頼りないのかなぁ? 」

「まぁ、会って数日の人間を信用しろってのが無理あると思うけど? 」

「ううっ・・・・・。」

 

確かにその通りである。

直子に信用されたい。

彼女の心の内を知りたい。

そんな欲求を抱いたところで、女医にとってネロは、只の生意気な子供にしか映らないのだ。

 

こんな葛藤を抱いたのは、義理の姉であるキリエと、恩師である17代目・葛葉ライドウ以来だ。

 

「君ってさぁ・・・・年上の人に弱いよね? 」

「ぶっ! 」

 

いきなり変な質問をぶつけられ、口に含んでいたコーラを思わず吹き出す。

 

「包容力があって、世話好きで、オマケに相当な面食い。」

「・・・・・わ、悪かったな・・・・。」

 

全て正解だ。

自分が如何に身の程知らずで、ハードルがヒマラヤ山脈並みに高いか思い知らされている。

 

「憧れるのは別に構わないよ? でも、もう少し年齢の基準は下げないと。」

「お、お前はどうなんだよ? 好きな異性のタイプとかさ。」

「僕? うーん、ガールフレンドは今の処いないけど、セックスフレンドなら何人かいるかな? 」

 

予想外な爆弾発言に、ネロは改めて相棒の顔を見直した。

 

よくよく考えると、自分は鋼牙の私生活を何一つとして知らない。

事務所で共同生活を始めたのは、つい最近だし、異性の匂いなど微塵も感じさせない。

 

「あれ?もしかして、ショック受けてる? 」

「ばっ! 馬鹿! んなわけねぇだろ! 」

 

茹蛸の様に顔を真っ赤に紅潮させ、からかう鋼牙に牙を剥き出しにする。

動揺しているのが丸わかりだ。

 

「言っとくけど、仕事とプライベートは、ちゃんと両立させてるからね。悪魔狩人の基本だよ。」

「・・・・。」

「それと、君は召喚術師なんだから、魔力供給の為にも、そういった相手を作らないと。」

「えっ・・・・ま、魔力供給? 」

 

鋼牙に指摘され、ネロが思わず戸惑う。

 

今迄、そんな事等考えもしなかった。

シウテクトリとの魔力供給で十分事足りたし、作る必要も無いと思っていた。

そういえば、師であるライドウは、人間のパートナーを作れと言っていた様な気もする。

あれはつまり・・・・セックスによる魔力供給が出来る人間を作れ、と言った意味だったのだろう。

 

 

まんじりともしない一夜が明け、ネロは久しぶりに学校へと登校した。

直子達の事も気になるが、『薬学部』の事も放ってはおけない。

特に、日下・摩津理の安否が気になった。

半年前に起こった『クリフォトの魔界樹事件』で、大事な肉親を二人も失っている。

事件後、PTSDを発症し、一時は心療内科で数日間、措置入院していた。

本人の希望で、面会謝絶状態になっており、祖母以外誰も彼女と会ってはいない。

 

特殊学科のある巨大地下施設ーノイシュヴァン に向かうと、薬学部のある温室にジャージ姿の女生徒がいた。

薬学部の部員、八神・咲だった。

泥で汚れたエプロンを付け、花壇の雑草を抜いて、土に肥料をならしている。

 

「よぉ、久しぶりだな。」

「ネロ。」

 

俯いて作業に没頭している咲に声を掛けてやる。

顔を上げた咲は、ネロの姿を見ると顔を明るくさせた。

 

正直、綺麗だと思う。

『聖エルミン学園』が支給しているジャージを着て、全身、泥で汚れているが、その整った美貌は、少しも衰える事が無い。

そういえば、『新聞部』の連中が、学園美少女コンテスト等という下らない記事を書いていた。

半ば、興味本位で読んでみると、学園一の美少女として八神・咲が大差をつけて一位に選ばれていた。

 

『もう少し年齢の基準を下げないと・・・・。』

 

昨夜の言葉が脳裏に蘇る。

確かにソレは鋼牙の言う通りで、何故か自分は歳が大分離れた異性に魅力を感じてしまう。

義理姉のキリエとは、8歳も歳が離れている為、どうしても弟という領域から超える事が出来ない。

同性であるライドウとは、憧れの意識が強すぎて、恋愛までいけないし、直子に関しては、完全に子供扱いされている。

 

では、八神とはどうだろう?

容姿端麗、勉強も出来て、オマケに心根が純粋で優しい。

キリエに非常に良く似ている。

 

「どうしたの? ネロ。」

「えっ? い、いや・・・その足元にいる奴等が気になって・・・。」

 

不思議そうに首を傾げる咲に、ネロは何故か顔を真っ赤にして誤魔化す。

 

「ああ、この子達の事? トロル先生にゴーレムの作り方を教えて貰ったの。」

 

自分の足元に擦り寄る泥人形の一体を持ち上げる。

小型犬種と同じぐらいの大きさをした泥の人形は、不思議そうに銀髪の少年を見上げていた。

 

「ゴーレム? 」

「うん、どう? 可愛いかな? 」

 

にっこりと邪気の無い笑顔を向けられる。

その姿に、1年以上前に病死した義理姉の姿が重なった。

 

抗がん剤治療でやせ細り、美しかった髪は抜け落ち、瑞々しい肌も、色を失った。

キリエは、病によって醜く変わる己の姿をネロに見せたくなかったのかもしれない。

病死する最期は、フォルトゥナ公国の隣国、ディヴァイド共和国の療養所に自ら進んで入り、唯一の肉親である筈のネロの面会を一切謝絶していた。

結局、魔剣祭で渡す筈だったプレゼントを義理姉に見せる事は叶わなかった。

包装された状態で、義理姉の棺の中へと納めた。

 

 

「ネロ・・・・お姉さんの事で苦しんでいるの? 」

「・・・・っ! 」

 

気が付くと、ゴーレムを胸に抱いた黒髪の少女が、何処か物悲しい表情で、此方を見つめている。

 

「御免なさい・・・・私、まだ力のコントロールが上手くいかなくて。」

「八神・・・。」

「気を抜いていると、他人の考えている事が見えてしまうの・・・・。」

 

ライドウの仲魔であるハイピクシのマベルから、精神感応力が高すぎると、様々な弊害を受けると聞いた事がある。

自分に対する善意も悪意も丸見えになってしまう為、心を閉ざす訓練をしなければ、精神的ストレスで頭がおかしくなってしまうらしい。

 

「お前のせいじゃない・・・・俺も、経験があるから分かる。」

「・・・・・。」

「俺も半人前だからさ・・・・お互い頑張ろうぜ。」

 

ありきたりの励まししか、浮かんで来ない。

これが、ライドウや探偵部部長の鋼牙なら、気の効いた台詞が出るのであろうが、元が不器用な自分では、上手く咲をフォロー出来ない。

 

その日は、『薬学部』の手伝いをして、何時も通り、午後の授業に出る事にした。

 

 

 

 

六本木、大森エリアにあるファウヌスが経営する高級クラブの地下。

 

樋口・真理子は、尻を高々と上げる屈辱的なポーズを強要されていた。

ローションと愛液で性器はぐっしょりと濡れ、尻を抱えている小太りの男の男根を根元まで受け入れている。

 

「ううっ、じきにイクからな? 吾輩の尊い精液を有難く受け取るんだぞ? 」

 

男は、この館の主であるファウヌスと契約関係にある悪魔- 堕天使・シトリーであった。

”ソロモン・12柱”の一柱であり、愛欲を司る悪魔だった。

 

プレイルームを兼ねた一室。

広い浴室では、マットが敷かれ、真理子は尻を高く上げる後背位で、貫かれている。

 

昼は、普通に職場である学校に通勤し、終業時は、迎えの車が来て、この地下施設で性的調教を受ける。

骨まで汚れる程の凌辱に、名家としての矜持は粉々に砕かれた。

 

この三日間、ファウヌスの配下である悪魔達に弄ばれ、彼等が与える快楽に溺れた。

夫との行為が、子供の遊戯に感じてしまう程、彼等の愛撫は凄まじかった。

逃げる気持ちなど全く湧かない。

否、逃げようと思ったが、残された両親や夫と子供の事を考えると、どうしても実行に移せない。

 

シトリーのピストン運動が、更に激しくなった。

男の腰が尻肉を叩く。

浴室内は、女の善がり声と、肉と肉を打つ音、そして男の呻ぎ声が木霊した。

異様に冷たい液を膣に注ぎ込まれ、真理子が恍惚と身体を震わせる。

魔界の男達の性技の虜にされていた。

普通の人間とのセックスでは、到底満足出来ないだろう。

 

マットに寝転んだ男の男根を口で清めている最中に、館の支配人であるファウヌスが現れた。

すりガラス越しに、真理子の主人である三島・喜作が到着した旨を伝え、持ち場へと去る。

 

シャワーでローションを洗い流し、真っ赤なオープンブラとオープンパンティを着けた真理子は、シトリーと共にキングサイズのベッドが置かれたプレイルームへと移動した。

 

「ほう、これはこれは、随分と見違えたぞ? 」

 

ベッドには、白いガウンを着た喜作が、高級ワインに舌鼓を打っていた。

連日の男達の性調教により、真理子の肉体は更に磨きが掛かり、淫蕩な雰囲気を醸し出している。

 

「ホレ、何をしている? ご主人様にご挨拶をしろ。」

 

シトリーに促され、下着姿の真理子が喜作の前へと跪いた。

好色な笑みを浮かべた喜作が、ガウンの前を開ける。

震える手で下着を下ろし、喉を鳴らして男根を喉奥まで呑み込む。

頬を窄め、舌全体で亀頭をこね回すと、初老の男が満足そうに女の頭を撫でた。

 

「それにしても、よもやお主が此処におるとは意外だったぞ? シトリー。」

 

舌と亀頭が溶け合う深い快感を堪能しつつ、喜作が真向かいのソファへと座る小太りの男を眺める。

 

「ファウヌスは、吾輩の契約主だ。 別に珍しい事じゃない。」

 

ちゃんとした対価を支払えば、相手が例え神族であろうと力を貸す。

シトリーは、室内にあるハンガーラックに掛けられた自分の上着から名刺入れを取り出す。

一枚抜き出し、ベッドの傍にあるテーブルの上へと置いた。

 

「ほう、銀行業で一位の千葉銀行頭取とは・・・随分と御大層な肩書だな?」

「元々は、この店の常連客だった・・・・プレイ中に誤って女の首を絞めて殺してしまった所を、吾輩に肉体を提供する事で帳消しにして貰ったんだ。」

 

日本でも有数の銀行頭取だった男は、異常なサディストだった。

普段は、理性で抑え込んでいた欲望が、アルラウネの香を嗅いだ事で弾け飛び、この店で働いていた風俗嬢を殺害してしまった。

正気に戻った男は、支配人であるファウヌスに泣きつき、シトリーの血肉になる事を条件に、事件を揉み消した。

 

悪魔達の性調教のお陰か、真理子の舌技で、喜作の男根は猛り狂った。

青筋が浮かぶ太い陰茎と、大きく傘を張った亀頭。

口腔性交で蕩けた真理子は、無意識に右手を熱く滾る自分の股間へと滑り込ませる。

揃えた二本の指で、愛液で濡れる性器を擦り始める。

自らが与える快感に、尻が震えた。

 

「此処まで、淫乱な雌猫に仕立て上げるとは・・・・流石、愛欲の悪魔だな?」

 

苦悶の表情を浮かべ、喘ぎ声を漏らしながら奉仕する真理子を見下ろす。

 

出会った当初とは、まるで別人になっていた。

名家の家柄特有の気高さは、影も形も無くなり、主人に忠実な雌奴隷に成り果てている。

恥も外聞も無く、ああっ、ああっ、と喘ぎながら涎を啜り上げ、男に奉仕する真理子は、喜作が望んだ姿であった。

 

「真理子や・・・・ご褒美に良いモノを見せてやる。」

 

喜作は、テーブルの上に置かれたA4サイズの封筒を手に取り、一枚の写真を女教師に見せる。

写真には、望遠レンズで撮影されたと思われる『聖エルミン学園』の制服を着た男子学生が写っていた。

驚愕で、真理子の双眸が見開かれる。

喜作の男根から口を離し、目の前に突きつけられた写真を凝視していた。

 

「聖エルミン学園、高等部特殊学科2年生・・・・名前は、壬生・鋼牙。 壬生財閥の御曹司だ。」

「・・・・・・。」

「ああ、何処かで聞いた名前だと思ったら、あの”虚実の一族”だったのか・・・・そんな小僧に惚れるとは・・・業が深い女だなぁ。」

 

横から写真を覗き込んだシトリーが、侮蔑を多分に含んだ笑みを口元へと貼り付ける。

 

真理子を調教している最中、シトリーは、女教師が心の奥底に抱える闇を全て暴き出していた。

 

数学教師として『聖エルミン学園』の教鞭を取る真理子は、一人の生徒に心奪われていた。

聡明で、社交的、目上の者に対する礼儀を弁(わきま)え、オマケに高身長で理知的な美貌を兼ね備えている。

真面目一徹な夫とは、真逆な存在だった。

 

「壬生のバカ息子とは、どんな体位でセックスするんだ? 」

「ち、違う! 鋼牙君とはそんな関係じゃない! 」

 

怒りで頬を紅潮させ、真理子が立ち上がる。

その肩をシトリーが掴んだ。

途端に力が抜け、真理子が床へとへたり込む。

 

「壬生の盆暗(ぼんくら)息子に誘われたが、途中で”面倒な女”と判断され、一方的に切られたんだよな?」

「・・・・・。」

 

シトリーの触れた手から、マグネタイトが奪われているのが分かる。

身体に力が入らない。

自分の知られたくない想いを暴かれ、真理子は口惜しさの余り双眸に大粒の涙を溜めた。

 

シトリーの言葉は、全て真実だった。

 

鋼牙と初めて知り合ったのは、彼が中等部三年生の時だった。

中間試験の期間、テスト問題を作成する為に学校に残った。

予想外に時間を取られてしまった。

時刻は8時、夫は既に帰ってきている筈だ。

真理子は、家路へと急ぐ為に、近道として暗い公園内を突っ切る事にした。

だが、それが間違いの始まりだった。

 

真理子は、公園内で屯(たむろ)している不良グループ達に襲われたのである。

 

10代後半らしき少年達は、出勤中の真理子を良く見掛けたと言っていた。

30代とは思えぬ肌の張りと、モデル並みの均整の取れた肢体。

美しく整った美貌を持っており、同僚の教師からは、良く猥談(わいだん)に真理子の名が昇った。

 

真理子は、三人の少年達に組み敷かれた。

シャツを引き千切られ、スカートとパンティも剥ぎ取られた。

ブラジャーだけは、外さない。

その方が興奮すると、少年の一人が言った。

 

愛撫は稚拙(ちせつ)だったが、真理子の中に宿る欲情の炎を燃え上がらせるのには十分だった。

性欲は、人並以上に強い。

厳格な家庭に育った反動故か、真理子は学生時代に数人の男達と肉体関係を持っていた。

大学時代に今の夫と知り合い、以降は、男性遍歴も控えめになったが、結婚してからすぐ後悔した。

夫は、真面目だけの至極普通な男だった。

日本原子力研究所の職員になってからは、研究に没頭し、夜の営みも週に一度だけであった。

派手な下着を付け、夫を誘ったが、一度、放出してしまうと、それで満足してしまう。

体内に燻(くすぶ)る性欲の炎を自分で慰める日が続いた。

 

三枚の舌が、女教師の身体を這う。

最初は、嫌悪感しか無かったが、ブラジャーごと胸を揉まれ、性器と肛門を舐められると肉体が反応した。

久し振りの愛撫に、忘れかけていた情欲の炎が燃え上がった。

突き付けられた男根を握り、何の躊躇いも無く喉奥まで咥えた。

性器は、指と舌で犯されている。

愛液で潤い始めると、舐めていた少年が歓喜し、二本の指を膣に挿入し、陰核を舌で弾く。

尻がとめどなく震え、乳房を揉んでいたもう一人の少年が、我慢出来なくなり、ブラジャーを毟り取った。

 

しゃぶる音と女の呻き声、少年達の荒々しい息遣いが夜の公園に木霊する。

淫靡な宴に耽る四人は、自分達の周りに起きている異変を察知する事が出来なかった。

赤く光る無数の光点。

黒い影が数体、背後から真理子を犯す少年達へと襲い掛かる。

 

突然の出来事に、少年達は悲鳴を上げるが、後の祭りでしか無かった。

 

黒い影の正体は、ムシラと呼ばれる低級悪魔だった。

罪人の魂や悪意、そして欲望が大好物であった。

 

目と鼻、耳や口等、ありとあらゆる穴から、黒い蟲の群体が少年達の体内へと入り込んでいく。

恐怖で震える真理子の視界の中で、少年達は鋭い鉤爪を持った猿の様な姿形をした悪魔へと変貌した。

炯々と光る双眸が、怯える女教師へと向けられる。

ムシラ達の男根は、全て天を仰いでいた。

 

ー喰われる。

 

そう観念した瞬間、救いの手は突如現れた。

銀色の閃光が幾つも閃き、ムシラの一体を細切れの肉片へと変えてしまう。

美味そうな餌を奪われ、毛むくじゃらの怪物達が怒りの咆哮を上げる。

しかし、それは直ぐに悲鳴へと変わった。

何処からともなく現れた漆黒の突風が、ムシラ二体を切り刻んだのだ。

 

地面にぶちまけられる怪物達の肉片と臓物。

女教師が意識を失う刹那、黒縁眼鏡と『聖エルミン学園』の制服が視界に映った。

 

 

次に気が付くと、病院のベッドの中だった。

意識を取り戻した真理子を、ベッドの傍らにいた夫が抱き締めた。

後で聞いた話によると、自分は暴漢数人に襲われ、通りがかった人物によって救われたとの事であった。

 

夫と義理の両親達は、妻が何をされたか知った上で、真理子の安否を喜んだ。

その反面、自分の両親は冷たかった。

特に実父の仕打ちは酷かった。

汚物でも見るかの様に、実の娘を扱った。

その仕打ちが原因なのか、不良グループに暴行された為なのか、真理子はPTSDを発症し、暫くの間、学校を休んだ。

 

 

「ふうむ、その悪魔共からお前を救ったのが壬生の盆暗息子という訳か。」

 

喜作は、自分の上で尻を振りたくる女を見上げた。

「ああっ・・・・そうよ・・・・。」

 

快楽に蕩け切った女が、陰核を相手の陰毛に擦り付ける様に腰を回す。

 

キングサイズのベッドでは、仰向けに寝た喜作の上に真理子が跨り、膣に化け物染みた巨根を受け入れていた。

激しく揺れる乳房を老人が下から揉む。

指で乳首を弄ると、真理子は口から涎を垂らし、もっと欲しいと尻を振った。

 

「それで、小僧とは寝たのか? 」

「ああっ、い、一度だけ・・・・・ああっ。」

 

蜜が詰まった尻がぶるぶると震える。

 

 

退院後、真理子は矢来銀座を訪れた。

自分を異形の怪物達から救った人物に会う為である。

 

意識を失う寸前、真理子は自分を救った相手の顔を見た。

分厚い黒縁眼鏡に、理知的な美貌。

その容姿に見覚えがあった。

『聖エルミン学園』中等部3年生、壬生・鋼牙だ。

 

鋼牙とは、通勤する途中で何度も会った。

彼は、学園でも問題児である遠野・明と良くつるんでいた。

二人共、学年トップの成績を持っており、その容姿から同学年どころか高等部の女生徒にまで人気があった。

 

何処か謎めいた美少年に、真理子は年甲斐も無く心奪われるのを感じた。

熱を帯びた視線で、鋼牙を追い掛けた。

酒も煙草もやらず、研究に没頭するだけのつまらない夫に愛想が尽き掛けていたのかもしれない。

当時の真理子は、夫との間に子供を設ける気持ちなど微塵も無かった。

周囲は、彼女が妊娠し、子供を出産する事を願ったが、真理子自身が嫌がった。

有難い事に、夫も「まだ早い」と判断し、研究を優先してくれている。

 

鋼牙の住んでいる矢来銀座の雑居ビルに辿り着くと、真理子は胸が高鳴るのを感じた。

これは、夫に対する裏切りだ。

彼は、自分が不良グループの連中に、レイプされ掛けた事を承知している。

しかし、全てを知った上で、真理子の無事を義理の両親達と一緒に喜んでくれた。

今迄、肉親に優しくされた記憶が無い真理子にとって、夫とその両親達の優しさに触れ、心から感謝した。

真面目で他に取り柄が無い夫だったが、その実、妻である自分を愛してくれている。

その想いに報いる為にも、今は、鋼牙に会うべきではない。

心の底では理解しつつも、真理子の中にある女の部分が、鋼牙を求めていた。

 

一度だけ。

一度だけ、彼に会って、事件の真相を知ったら帰ろう。

探偵事務所の前で、逡巡後、真理子は意を決してドアノブに手を掛けた。

 

 

 

「この淫乱女房め。」

 

喜作は、四つん這いで尻を突き出す女教師の膣に自慢の肉槍を付き刺した。

女は背を仰け反らせ、身体を激しく痙攣させて、絶頂に達する。

理性など、情欲の炎で焼き尽くされている。

コレだけではまだ足りない。

真理子の脳裏に、鋼牙との一夜の過ちが過った。

 

 

事務所の所長である13代目・葛葉キョウジは不在だった。

代わりに応対した鋼牙の話によると、此処最近、事務所には寄り付いていないらしい。

キョウジが事務所を留守にする事は、良くある事で、鋼牙自身もそれ程、気にはしていなかった。

 

真理子は、数日前に起こった暴行事件を話した。

当初は、否定的だった鋼牙も、真理子の熱を帯びた言葉に何かを感じ取ったらしく、諦めた様子で詳細を話してくれた。

 

彼は、悪魔の脅威から日本を護る為に組織された超国家機関、『クズノハ』の人間だった。

当然、この事務所の持ち主も、『クズノハ』に所属している。

此処最近、東京湾一帯で発生している『異界の穴』の影響故か、悪魔の活動が常になく活発になっていた。

このままでは、住宅街にまで被害が及ぶ可能性があると判断し、毎夜、街を巡回していたのである。

そして、今回の暴行事件が起こった。

 

真理子は、夫の目を忍んで、鋼牙と密会する様になった。

暴漢達にレイプされかけた上、異形の怪物達に喰われそうになったのだ。

一般人では、受け止め切れない悲惨極まりない体験だ。

鋼牙は、半ば同情的な気持ちで、真理子に接した。

自分の正体を、周りに吹聴されたくないと思ったのかもしれない。

正直、当時の自分は、随分と迷惑な女だったと思う。

夫との間に子を設け、一般家庭に戻れた今、もう一度、鋼牙と肉体関係を持つ気は無かった。

 

 

 

「ルキフグスよ、この女どうする気だ? 」

 

蕩けた表情で、自分の男根に奉仕する哀れな女を見下ろす。

 

真理子は、四つん這いの恰好で、尻と口とに悪魔達の男根を受け入れていた。

背後からの激しいピストン運動に、女は半狂乱となり、頬を強く窄め、頭を振りたくる。

陰茎に舌を絡め、切ない喘ぎ声を漏らしながら、奉仕すれば、男が喜ぶと熟知していた。

 

「壬生の小僧を此方に引き入れる道具に使う。」

 

波打つ尻肉を眺め、喜作が口元に冷酷な笑みを浮かべた。

 

「他の神々は、創世の玉座を狙い、兵力を集めていると聞く。」

 

ヘラをネタに、ファウヌスを引き込んでやろうと画策したが、けんもほろろに断られた。

支配人曰く、既に天使共がヘラの双子の妹、ヘカーテに接触しており、彼等が出した条件を呑んだのだという。

ファウヌス自身の本心はどうかは知らないが、慎重なあの男の事だ。

ヘブライ神族が不利と知れば、此方になびく可能性は十二分にある。

 

「おいおい、まさか卿も創世の玉座を狙っているのか? 」

「ワシは創世の玉座なんぞ興味は無い、ワシでは無く我が主に・・・だ。」

「うぅむ、魔神皇とかいう小僧か。」

 

魔界の宰相を勤めた大悪魔が、たった一人の人間の子供に心酔している。

その噂は、シトリーも聞いていた。

 

真理子の舌が、鈴口を抉り、敏感な溝へと這わせると小太りの男が呻いた。

三日間という短い期間で、悪魔達から男を垂らし込む性技を叩き込まれている。

シトリーは、自分から腰を動かし、女の様な甲高い声を上げて、口の中で果てた。

 

「一滴たりとて零すなよ? 吾輩の魔力が詰まった有難い精液だ。」

 

小太りの男が、人妻の髪の毛を鷲掴みにして揺する。

真理子は、苦悶の表情を浮かべて、独特な味がある生臭い精液を飲み干した。

 

「さて、次はルキフグス殿の番だな? 思う存分、この女の活力を喰らうが良い。」

 

真理子の唇から、白い糸を引いて、咥えていた男根を離す。

亀頭を包む、膣の素晴らしい蠕動に、喜作は興奮した。

心の底から、本気で女を抱きたいと思ったのは久し振りだった。

本能のままに、腰を女の尻に叩きつける。

真理子も絶頂を合わせようと、自ら尻を振った。

喜作が、膣の奥へと白濁の汚液を吐き出す。

それと同じく、女が仰け反り、大量のマグネタイトが口から吐出(としゅつ)した。

 

「う、美味い・・・これ程、上質なマグネタイトは、マリ以来だ。」

 

真理子の活力を味わい、歓喜に震える。

 

マリとは、1570年のフランスに実在した魔女である。

本名は、マリ・ダスピルクェットと言い、7歳の頃からサバトに通っていた。

当時、村の農夫に扮していたルキフグスは、幼い少女の心に宿る悪意に惚れ込み、器として教育した。

 

「喜んでくれて何よりだ・・・・。」

 

シトリーは、さっさとベッドから降りると、身支度を整える。

ポケットから懐中時計を取り出し時刻を確認すると、予想外に時間が掛かってしまった事に舌打ちをした。

 

「なんじゃ、もっと遊んでいかんのか? 」

「同胞のデカラビアから依頼を受けているんだ。アメリカのハーレムに奴が経営している風俗店があって、大事な商品を潰されたらしい。」

 

商品とは、勿論、悪魔の食欲と性欲を満たす器の事である。

デカラビア曰く、何処かの狼藉者が、大事な娼婦を使い潰したらしい。

その為、調教師(テイマー)であるシトリーが、至急、用意した女を器として教育して欲しいと依頼が来ていた。

 

「その後は、ジャクソンホールで金融会議だ・・・のんびり休んでいる暇など無い。」

 

ブツブツと不平不満を零しながら、シトリーは、転送の魔法陣を造り出す。

厚手のコートを着込み、大事な書類が入ったアタッシュケースを手に持ち、帽子を被って魔法円へと片足を掛けた。

 

「ああ、卿に一言いっておく、幾ら頑丈とはいえ、使える回数には限りがある。頼むからこれ以上、吾輩の仕事を増やさんでくれよ? 」

 

喜作にしっかりと釘を刺し、シトリーは魔法円と共に消えた。

 

 

 

 

セクター・エリダヌス 赤い神殿。

 

主である地母神・スカディを前に、ライドウとダンテは苦戦を強いられていた。

 

「ホホっ、この程度で我を倒そう等と、片腹痛い。」

 

闇の様な肌と真紅の双眸と唇、そして、黄金の外套(マント)を纏う巨人の女王は、嘲弄の笑みを浮かべた。

 

 

数時間前、アーサーが立案した作戦通り、三つのフォルマを回収するミッションが行われた。

古の神討伐に、チームを三つに編成。

黒い神殿を支配する魔王・アルシエルには、遠野・明と猿飛佐助が。

白の神殿を支配する威霊・アルビオンには、ウィリアム・ハドソンとジェニット・バスクエスが。

赤の神殿を支配する地母神・スカディには、17代目・葛葉ライドウとダンテが対応する事となった。

 

このチーム分けに、当然の如く明が異を唱えた。

養父に危害を加える不届き者を一緒にしたくない、というのが明の言い分だった。

 

「明、これはアーサーが決めた事なんだ、それに俺達には時間が無い。」

 

ライドウの言う通り、東京湾に空いた穴は、刻一刻と規模を拡大している。

幾重にも魔封じを施した厚い壁で抑えているとはいえ、それにも限界がある。

 

「アンタ、今の自分の状態を見てソレが言えるのか? 」

 

平常を装ってはいるが、ライドウの魔力は弱まっていた。

月齢の影響を受け易い上に、ダンテから毎日の様に肉体関係を迫られている。

ジャック部隊との交渉の途中、ライドウが心を赦してしまった事で、独占欲が高まってしまったのだ。

 

「安心しろ、坊主。 お前の大好きなパパは、俺が護ってやる。」

「ダンテ。」

 

相棒の悪意ある軽口に、ライドウが思わず窘める。

 

明に対する異様なまでの敵愾心。

4年前の一件が、未だに尾を引いている。

矜持(プライド)が高いダンテにとって、年端もいかない子供に散々翻弄された挙句、銃で額を砕かれた事が、相当屈辱だったらしい。

 

『私なりに幾通りもの演算を重ねて、算出した結論です。ご不満であるならば、もう一度最初から・・・・・。』

「否、良い・・・このプランで実行する。」

 

義理息子の我儘が原因で、無駄な時間を浪費したくない。

”シュバルツバース”内の滞在期間も決められている。

ジャックの出した条件を呑んで、さっさと先のセクターまで辿り着きたい。

 

こうして、多少の波乱は含んでいるものの、ミッションが開始された。

 

 

「ちっ、物理攻撃が効かない上に、魔法に対する耐性も強いときてやがる。」

 

大剣『リベリオン』を肩に担ぎ、ダンテが忌々し気に舌打ちする。

 

この巨人の女王は、他の二体より抜きん出て強かった。

魔王・アルシエルや威霊・アルビオンも古の神として相当な力を持っているが、このスカディはその二体を遥かに凌駕する程の力を秘めている。

 

「ライドウ、アモンの力を寄越せ。」

「ちょっと、アンタ一体何様のつもり? 」

 

あまりなダンテの態度に、主より先に仲魔であるハイピクシーのマベルが、嫌悪感を露わにした。

 

「アモンの力は危険なの。アンタが幾ら強くなったところで、使いこなせる保証が何処にも無いでしょ?」

 

『神殺し』の異名を持つ魔王・アモンは、魔界でも力のある大悪魔達から恐れられ、”迷いの森”奥深くにある塔『ノモスの塔』に封じられていた。

幾ら悪魔使いが使役しているとはいえ、その危険性故、おいそれと番に力を与える訳にはいかない。

 

「ハッ、んなもんやってみなきゃ分からないだろ。」

「・・・・・。」

「俺は、半年間、血反吐を吐きながら、師父の修練に耐えたんだ。次は、アンタの番だぜ?ライドウ。」

 

俺を認めろ。

無言の威圧感に、ライドウは押し黙る。

 

この男を信用して良いのだろうか?

下手に魔王・アモンを解放すれば、このセクター自体が消し飛ぶ可能性がある。

 

「何をしておる。」

 

防戦一方で、一度も撃って来ないライドウ達に、嫌気が刺したらしい。

巨人の女王は、衝撃系最上位魔法『ザンダイン』を放つ。

凄まじい衝撃波が、神殿の硬い床を大きく抉り、ライドウ達へと襲い掛かる。

咄嗟に、主を庇い、後方へと大きく跳ぶダンテ。

主を神殿の壁に押し付け、皮の胸当てに右手を翳(かざ)す。

 

「あんまりこういうやり方は好きじゃねぇんだが。」

「止めろ! 」

 

ダンテの意図を察し、ライドウが逞しい腕を跳ね除け様とする。

しかし、逃げられない。

肩を抑える手は予想以上に強く、華奢な悪魔使いを壁に貼り付けてしまう。

 

ダンテが無理矢理番の力を解放する。

本番の資格を得ると、無条件にパートナーの力を使う事が出来る。

勿論、任意で契約している最上級悪魔(グレーターデーモン)を使役する事も。

ライドウの背後に、巨大な魔法陣が精製。

身体中に、真紅の文様が現れる。

 

「駄目っ! 」

 

マベルが叫ぶが全てが遅すぎた。

法陣からゲル状の黒い液体が大量に流れ出し、ライドウとダンテの二人を呑み込む。

 




バトル描写は苦手。
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