炎駒・・・・赤い鱗を持った麒麟族の一つ。
天地開闢の創造神・盤古の従者であった。
中国大陸を巡り、龍族と熾烈な覇権争いを行っていたが敗北。
現在は、四海竜王の配下に収まり、彼等の為に手足となって働いている。
震災前の新宿二丁目は、米屋、蕎麦屋、コンビニや飲食店等が立ち並ぶ商店街であった。
今、現在は倒壊した雑居ビルや店舗がそのまま残され、行き場を失った移民達の仮住まいと化している。
粗末なテントやボロ小屋の間を、少し変わったカップルが歩いていた。
「噂には聞いていたけど、壱丁目とはえらい違いだな? 」
身長は180を軽く超えているだろう、大柄な体躯をした30代半ばぐらいの男が、ボロ小屋で生活をしている移民達を興味津々に眺めていた。
「あまりジロジロ見てると、変に思われるわよ? 」
隣を歩く紺色のテラードジャケットに黄色のカラーパンツを履いた20代後半ぐらいの女性ー南山葉子が、同僚の大原を窘める。
彼等は、オカルト系雑誌『月刊妖(アヤカシ)』の専属ルポライターであった。
現在、若者を中心に”ゼブラ”という違法薬物が出回っている。
マリファナやMDMA等の一般的に知られている薬物なら、彼等の専門外ではあるが、噂によると”ゼブラ”は、魔界の植物を原料としているらしい。
しかも、数か月前に起こった”世田谷区”と”矢来区”で起こった悪魔によるパンデミックに深く関係しているらしいのだ。
「壱丁目に住んでいる人達は、永住権を持っているけど、此処にいる人達は違う。殆どが不法入国者やオーバーステイをしている犯罪者よ。」
国から危険区域に指定されている為、司法の力も此処までは及ばない。
”新宿区”を取り仕切っている”八部連合阿修羅会”の会長、タヤマが、入国管理局に追われた彼等を率先して受け入れたのだ。
「それにしても、本当にこんな場所で”ゼブラ”の原料が造られているのかねぇ。」
「ヒジリ君の情報を疑うの?」
「いや、まぁ・・・・そういう訳じゃないけど。」
葉子の言葉に、大原は思わず苦笑いを浮かべる。
ヒジリとは、『月刊妖(アヤカシ)』の編集者、聖・丈二の事である。
葉子達と同じ大学の先輩後輩という間柄で、二人に仕事を回してくれる有難い存在であった。
人情家な大原は、ドライな性格をしているヒジリが正直苦手であった。
頭が良く、好奇心旺盛で、知識欲を満たす為には手段を選ばない一面がある。
葉子は、大学時代の同期であるヒジリとウマが合い、プライベートでも肉体的関係を持っている。
当人同士曰く、「後腐れの無い関係」らしいが、フェミニストな大原には理解出来なかった。
「まぁ、情報の有り無しは別として、確かに興味深い街ではあるわね。」
「ああ、この電力は一体何処から来てるのか気にはなるよな。」
時刻は、既に夕方の5時を回っている。
この季節なら既に日は落ち、街路灯の明かりが灯る時間帯だ。
しかし、此処は国から危険区域と指定されている”新宿区”。
交通手段はおろか、電力会社の供給すらストップしている状態だ。
ならば、この街路灯の電気は一体何処から来ているのだろうか?
「無限発電炉”ヤマト”・・・・。」
「何だい?そりゃ? 」
「ヒジリ君が教えてくれたの・・・・この街を支配している”八部連合阿修羅会”って組織が、巨大な発電装置を持ってるって。」
「マジで? 初めて聞いたぜ。」
葉子の説明によると、”八部連合阿修羅会”は、この新宿の何処かに巨大な発電装置を建造し、そこから無限の電力を得ているのだという。
「無限発電炉”ヤマト”は、壱丁目一体に結界を張り巡らせ、悪魔の侵入を防いでいるそうよ。」
「は? そんじゃ、此処の連中は一体どうやって悪魔から身を護っているんだぁ?」
「さぁ?”渋谷区”みたいに自警団でも造っているんじゃ・・・・。」
「うわぁあああっ!! 」
葉子の言葉は、大原の情けない悲鳴で掻き消された。
見ると、2メートルを軽く超える程の巨大な犬が、記者を押し倒している。
「この糞馬鹿犬! 何やってんだよ! 」
予想外な出来事に、あっけに取られて固まる葉子の耳に、10代半ばぐらいの少年の声が聞こえた。
漸く我に戻ると、怒りの形相をした銀髪の少年が、うつ伏せに倒れる大原を助け起こしている。
「だって、ボールを取ろうと・・・・。」
「馬鹿!だからって人間(ひと)を踏み潰して良い訳ねぇだろ! 」
良く見ると、大型犬-プルートの口には野球ボールが咥えられていた。
どうやら、移民の子供達と一緒にキャッチボールをして遊んでいたらしい。
数人の子供達が、遠巻きに此方の様子を伺っていた。
「す、すみません。大丈夫ですか? 」
「あ、ああ・・・何とかね? 」
少年- ネロに助け起こされた大原は、改めて傍らにいる魔獣を眺める。
頭部と尻尾の先端まで黒色で、下顎から尻尾の先まで赤色と綺麗に二色に分かれている。
如何にも人懐っこい金色の双眸が、大原とネロを交互に見つめていた。
「君、もしかして悪魔召喚術師(デビルサマナー)さん? 」
「は、はい・・・まだ見習いですけど。」
葉子の質問に、ネロが胡乱気に応える。
東京湾に空いた大穴-”シュバルツバース”の影響で、日本の都心部では、下級悪魔が実体化し、住民に被害を出している。
いくらプルートが、訓練を受けた魔獣とはいえ、一般人から見れば恐ろしい怪物である事には違いない。
「ガルム族を従えているなんて凄いじゃない。」
「え? そ、そうなんですか?」
突然、葉子に褒められ、ネロは思わず戸惑う。
番である妖魔・シウテクトリにも言われたが、ガルム族は魔獣族の中でも気位が高く、仲魔にするには難しい悪魔なのだという。
妖牧場で育ったプルートは、素直で従順だが、喰い意地が汚く、我儘(わがまま)だ。
とても周りが評価する程、凄い悪魔には見えない。
「でも、悪魔を玩具にするのは関心しないわね? 人間の中には彼等を恐れている人がいるから。」
「・・・・・はい、すみません。」
至極当然な事を葉子に指摘され、ボールを受け取ったネロがプルートを召喚器であるGUMPへと戻す。
「ボーっと歩いていた私達にも非はあるわ。キツイ事を言って御免ね。」
しょげるネロに葉子は優しくフォローすると、大原を促し移民街から出て行ってしまう。
遠巻きに事の成り行きを見ていた移民の子供達が、ネロの傍らへと走り寄った。
「なぁ? さっきの子に聞き込みしなくて良いのかよ? 」
二丁目のスラム街から歌舞伎町の顔でもある壱丁目へと戻って来た葉子達は、一服でもしようとテラスカフェに立ち寄った。
「あの子・・・・阿修羅会の人間かもしれないわよ? 」
「え? あんな子供が? 」
大原の目から見ても、先程の少年は、何処にでもいる至極普通な子供にしか見えなかった。
銀色の髪っというのが大変珍しかったが、それ以外は特に変わった所は無い。
「悪魔召喚術師を見た目で判断しない方が良いわよ。」
「うっ、確かにそりゃぁそうだが。」
大原の脳裏に、”渋谷区”で探偵事務所を構えている知り合いの顔が浮かんだ。
名前を里見・タダシと言い、万年Bクラスの悪魔召喚術師だ。
轟探偵事務所の所長、轟・大助に召喚術師の才能を見出され、調査員として毎日こき使われている。
新宿御苑、東京都新宿区と渋谷区に跨るその場所に、見事な日本庭園がある。
元々は、環境省の持ち物であったが、先の震災で、新宿御苑は甚大なる被害を受けた。
おまけに”シュバルツバース”により、悪魔が大量発生した為、日本政府だけでは手に負えなくなった。
その数年後、”八部連合阿修羅会”が台頭し、新宿御苑を住処にしていた悪魔を一斉駆除。
豪奢な邸宅を建造し、阿修羅会、会長であるタヤマの所有地とした。
その邸宅の寝室。
8畳以上はありそうな広い和室に、直子はいた。
柔らかい羽毛の敷布団の上で、胡坐をかいている男の股座に顔を埋め、そそり立った肉棒に奉仕している。
歳の頃は40代半ばぐらいだろうか、濃紺の着物を着た男は、前を寛(くつろ)げ、露わにした男根に奉仕する下着姿の女を眺めていた。
娼館の中でも人気がある直子のテクニックは、絶品だった。
何の躊躇いも無く、喉奥まで肉棒を呑み込み、舌と歯を使って亀頭を巧みに刺激する。
頬を窄(すぼ)め何回か頭を上下に振ると、タヤマの口から低い呻き声が漏れた。
「出るぞ・・・・全部飲むんだ。」
男の指示に、髪の毛を掴まれた直子が頷く。
途端、限界を迎えた先端から、白濁の汚液が口内に注がれた。
独特な味と生臭さを持つ液を、慣れた様子で直子が呑み込む。
仕事柄、客の精液を呑む行為は絶対にしない。
どんな病気を持っているか知らないし、味と匂いが受け付け無いのだ。
なので、一般の客の前では、口に出されたモノは、必ずティッシュで吐き出している。
口で後始末をした女医は、枕元に置いてある避妊用のゴムを手に取る。
「ソレに意味があるとは思えないが? 」
「私が嫌なのよ。」
慣れた手付きでゴムを装着する直子に、タヤマが不平を漏らした。
溜息を零し、直子を布団に押し倒す。
下着を降ろすと、口腔性交で興奮していたのか、女の性器は自ら分泌した体液で濡れていた。
「ケンから聞いたが、餓鬼を一匹飼い始めたらしいな? 」
指で性器を嬲りつつ、直子の首筋に顔を埋める。
長い性交渉で、女の弱点は知り尽くしている。
タヤマの愛撫に、頬を赤く染めた直子が、此方を睨んだ。
「ええ・・・アドルフォとそのお仲間さんに虐められて可哀想だったからね。」
与えられる快感に呻きつつ、自分の上に覆いかぶさる男の背へと腕を回す。
歌舞伎町2丁目での一件は、既に阿修羅会、会長であるタヤマの耳にもしっかりと届いている。
直子は知らなかったが、ネロには仲間が二人いて、かなりの手練れらしい。
一体何者かは知らないが、アドルフォ曰く、”クズノハ”の人間ではなかろうか?という事であった。
確かに、ネロという少年とその仲間が”クズノハ”に関係する人間なら、対悪魔の戦闘技術を持っていたとしても、何ら不思議な事は無い。
「都庁の奴等が、”新宿区(此処)”に色々と探りを入れている事は知っているな? 」
「ええ・・・そうみたいね。」
タヤマは、裏で議員達に金をばら撒き、何人か子飼いにしている事は知っている。
彼等の情報によると、東京都都市整備局の連中が、悪魔の被害を抑える為に、”四神相応”という、結界を復活させる為に動いているらしいとの事であった。
「まさか、あの坊やが”クズノハ”の一員だと思っている訳? 」
ブラを外し、乳房に舌を這わせる男を見下ろす。
「その可能性が無いとも限らん。」
舌で乳首を転がしていたタヤマが、口を離す。
直子の身体をうつ伏せにして、尻を高く上げさせた。
濡れそぼった性器に、硬くなった男根を擦り付ける。
「お前はどう思っているんだ? 直子。」
肉槍を性器に挿入すると、女の身体がしなやかに仰け反る。
腰を叩きつけると、柔らかい女の尻肉が波打った。
「ああっ・・・・あ、あの子は違う・・・・。」
「どう違うんだ? 」
「こ・・・・別天津神(ことあまつかみ)は・・・ああっ、この土地に興味が無いからよ。」
男の激しいピストン運動に、直子は堪らず敷布を握りしめる。
流石に経済ヤクザだけあり、タヤマは女の扱いに慣れている。
娼婦として働く前は、この男に色々と仕込まれた。
客の扱いから、酒の飲み方、それからセックスのテクニックまで、タヤマは直子を一流の娼婦へと育て上げた。
「そ、それに・・・この土地は元々、牛頭天王のモノ・・・・彼等も簡単に手を出す事が出来ない・・・。」
「”お前の・・・”の間違いじゃないのか?」
タヤマの手が前に回り、充血した陰核を刺激する。
瞼の裏で、極彩色の火花が散った。
『腐り爛れた国』-セクター・デルファイナス。
巨大調査艦『レッドスプライト号』の中で、ちょっとした諍いが起きていた。
「何度も言うが、お前を”エリダヌス”へは連れて行けない。」
「は? ふざけんな・・・俺は、途中で降りるつもりはねぇ。」
「明。」
「それに、骸から直々に勅命を受けている。奴が戻って来いと言わない限り、俺は外に出るつもりはねぇよ。」
デルファイナスを支配していた天魔・アスラ王を無事討伐し、ロゼッタ多様体を回収したまでは良かった。
ライドウは、後続部隊である『ギガンティック号』と交代する機会に、愛息子を調査隊員達と一緒に壁外へと出そうとしたのだ。
当然、明は反発した。
義理父であるライドウと同じ様に、長期任務をすると志願した。
「お前はまだ学生なんだ、それに、外界との時間軸もある。」
これから向かう”セクター・エリダヌス”は、未開の地だ。
”シュバルツバース”という世界は、深く潜れば潜る程、外界との時間軸が大きくズレる。
下手をすると、此処での一か月が、外では何十年も経過している可能性すらあるのだ。
「学校何てどうでも良い。」
「良くない、ちゃんと卒業して大学に進学するか、留学して資格を取ったり、それが嫌なら就職して働くなり色々あるだろ。」
「・・・・アンタ、それマジで言ってんのか? 」
「大真面目だ! 」
最早、痴話喧嘩である。
周囲の調査隊員達も、大分白けた様子で、この不毛とも言える親子喧嘩を眺めていた。
「俺は”十二夜叉大将”の一柱(ヒトリ)だ。アンタと同じなんだよ。」
「骸に直談判して、即刻、除名させてやる。」
「無駄だと思うけどな。」
「やってみなきゃ分かんねぇだろ。」
「無駄だ・・・俺が決めた事だし、アンタに口出しされる筋合いはねぇ。」
「俺はお前の父親なんだぞ! 口出しする権利は山程あるわ!」
「好い加減にしないか、17代目。」
そんな親子の間に、『レッドスプライト号』艦長であるゴア・アトキンス大佐が割って入る。
「皆も持ち場に帰れ、これは見世物じゃ無いんだぞ。」
続いて、ライドウ親子を遠巻きで眺めていたクルー達を叱責する。
鬼上司の命令で、不承不承ながら持ち場へとそれぞれ帰るクルー達。
後には、ライドウ親子と艦長の三人が残された。
「17代目、貴方の気持ちも分からんでもないが、ご子息は我々調査隊にとって大事な攻撃の要になる得る。」
一つ、大きな溜息を吐いたゴア隊長は、改めて怒り心頭のライドウへと向き直る。
「ご子息も、貴方の力になりたがっている。その想いは尊重するべきだ。」
「アンタ、自分の息子にもソレと同じ台詞(セリフ)が吐けるのか?」
「・・・・そう返されてしまうと辛いが、我々、調査隊の窮状は貴方も知っている筈だ。」
自分が如何に傍若無人な言葉を言っているのか、十二分に理解している。
特Aクラスの魔導師や剣士が揃っているとはいえ、”シュバルツバース”に実体化している悪魔は、壁外とは比べ物にならない程、スキルが高い。
深層に潜れば潜る程、死傷者の数が増えている。
故に、今現在は、17代目やその番である三代目剣聖に頼り切りな状態だ。
「17代目、貴方には本当に申し訳無いと思っている・・・・だが、各国の政府首脳も、これ以上、優秀な兵士を調査任務に出す余裕が無いのだ。」
「・・・・。」
ゴア隊長の言う通りであった。
スキルが高い悪魔が出現するのは、”シュバルツバース内”だけではない。
上位悪魔に対抗出来る優秀な手駒を、各国は手元に残しておきたいのだ。
彼等に防衛して貰わなければ、国は大事な民を護る事が出来ない。
ライドウは、忌々し気に舌打ちすると「頭を冷やして来る」と二人に告げ、自室へと引き籠ってしまった。
艦内で割り当てられた私室に戻り、乱暴に上着を椅子の背凭れに引っ掛けると、浴室へと向かう。
風呂場は、トイレと洗面所が一つになっているユニットバスであった。
脱衣所で、革の防具と呪式が組まれた手甲と具足を外す。
上半身に巻かれた呪術帯を取り去ると、壁に設置されている全身鏡に、傷だらけの身体が映った。
左腕は、肩の辺りから欠損し、機械仕掛けの義手で補っている。
細いが、鍛え上げられ、鎧の様な肉体には、大小様々な傷跡が刻まれ、腹と腰に三つの醜い穴が穿(うが)たれていた。
『調査隊にとって、大事な攻撃の要になり得る。』
ゴア隊長は、義理の息子をそう評価していた。
確かに、その通りであると思う。
ライドウ自身が知らない所で、義理の息子である明は、驚く程、戦士として成長していた。
浴槽は、ジェット噴射式の風呂場であった。
スイッチを押すと、霧状のお湯が噴射され、血と泥で汚れた身体を清めてくれる。
瞼を閉じると、三年前の悪夢が蘇った。
愛娘のハルが収容されていた施設は、『交通困難地』と呼ばれる岐阜県の山奥であった。
5歳の時に、”八咫烏”の手によって、無理矢理引き剥がされ、神代として育てられた。
骸の恩情で、時間は限られていたが、面会だけは許されていた。
”ハル”を連れて、組織から逃げようと決断したのは、愛娘が10歳の誕生日を迎える前日であった。
『クズノハ』上層部は、ハルを使って、天照大御神の依り代とし、”シュバルツバース”を閉じる贄にしようとしていたからだ。
ハルが生まれた当初は、人柱としての宿星を受け入れ様と努力はした。
だが、娘が成長するにつれて愛情が深まった。
娘を連れて、アースガルド族である女神・フレイアの庇護を受けようと考えた。
流石の”クズノハ”も、アースガルド族が支配する土地まで手が出ない。
早速、女神がいる神奈川県足柄下郡箱根町にある、カルデラ湖へと向かおうとした。
しかし、親子三人の逃避行は、骸が子飼いにしている”十二夜叉大将”達によって、あっけなく幕を閉じる事になる。
宮毘羅大将の配下である黒脛巾組数名に、抑えつけられる愛息子。
娘のハルは、奴等によって奪われ、元の収容所へと還されている。
腹中蟲を耳から入れられたライドウは、鼓膜を喰い破り、脳髄へと寄生する激痛に意識が朦朧としていた。
防具は既に取り外され、アンダーシャツとズボンは剥ぎ取られ、全裸に近い状態で、”十二夜叉大将”の猛者達に犯されている。
真っ先に手を付けたのが、収容所の責任者を勤めている宮毘羅大将だった。
背後で両腕を縛りあげられ、四つん這いの状態になったライドウが、尻を抱えられ、肉槍で貫かれる。
前に回った2メートルを優に超える巨漢の男‐ 招住羅が、自慢のイチモツに奉仕させていた。
見事に反り返った陰茎に、大きく傘が張った亀頭。
骸や玄武に、性技を叩き込まれたライドウは、無意識に舌を這わせていた。
男を喜ばせる為に、カリ首に大きく舌を這わせ、尿道口を刺激する。
蟲が侵入した右耳からは、大量の血が流れ落ち、自身の身体と地面を汚していた。
だが、そんなモノは、全く気にならない。
それよりも狂おしい程の、欲望の熱波を解放したい。
背後から犯す宮毘羅の手が、立ち上がり先走りの涙を切なく流す、ライドウの陰茎を根本から握っていた。
苦しくて苦しくて堪らなかった。
脳に侵入した蟲が、催淫作用がある体液を分泌し、ライドウの身体を敏感にさせていた。
二人の悪鬼に犯されているその傍らでは、数人の男達に抑えつけられている愛息子が、口惜し気に此方を凝視している。
脳裏に再生される悪夢の様な映像は、室内に響くインターホンによって掻き消された。
どうやら、自分の私室に来客が来ているらしい。
ライドウは一つ息を吐き出すと、スイッチを押してジェット噴射を止めた。
バスタオルを腰に巻き、もう一枚で濡れた髪を拭きながら、出入り口へと向かう。
ドアの横に設置されているモニターには、銀髪の大男が映っていた。
「おっと、すまねぇ。 風呂に入っていたのか。」
心にも無い事を平然とのたまう男‐ ダンテをタオル越しに睨む。
ドアを開けてやると、銀髪の男は無遠慮に室内へと入って来た。
「何しに来たんだ? 」
この男とは、幾度も性交渉を繰り返している。
裸を見せるの等、今更だと、ライドウは腰のタオルを外し、下着を手に取った。
そんな悪魔使いの裸身を無言で眺めるダンテ。
番の裸を見るのは、久しぶりだった。
傷だらけの背中と、引き締まった尻。
同性の裸身なのに、無性に欲情をそそる。
ボクサーパンツを履き、ズボンに手を伸ばしたライドウの背をダンテが無言で抱き締める。
半年ぶりに嗅ぐ主の体臭。
自分の中の雄が痛い程刺激される。
「離せ、服が着られねぇ。」
「アンタは、俺のモノだ。」
抱き締める手に力が篭(こも)る。
漸く此処まで来た。
対等な立場に並ぶまで、実に4年以上の月日が経過した。
「お前が、玄武から番の権利を譲渡された事は知っている。」
背後から感じる男の体温と、耳元に触れる微かな吐息。
心が無性に震えるが、その欲望に呑まれる訳にはいかない。
この艦には、義理の息子が乗っているのだ。
「だが、その程度で自分の女みたいに扱うな・・・気色が悪いんだよ。」
「相変わらず、素直じゃねぇな? 爺さん。」
男の唇が首筋を這い、指先が鍛え上げられた胸板と、石の様に硬い腹筋を辿る。
ズボンを押し上げる雄を背中に擦り付けると、悪魔使いの身体が微かに震えた。
「アンタにこうやって触れるのは、半年振り以上になるかな? 」
「知るか、この変態野郎。」
「その変態に抱かれて善がっていたじゃねぇか。」
「善がる? ふざけんな、お前のセックスが下手糞過ぎて、痛かっただけだ。」
男の手が、身体中を這い回る度に、悪態を吐く声が、段々と上ずっていくのが分かる。
愛する男に求められ、心が酷く喜んでいる。
下衆野郎。
ライドウは、心の中で、己自身を罵る。
男達に開発された己の身体が呪わしかった。
顎を取られ、唇を吸われる。
歯列を割って入り込んで来る男の舌。
それに応えながら、ライドウの細い腕が、番の背へと回った。
巨大調査艦『レッドスプライト号』艦内にある射撃訓練場。
咽(むせ)かえる様な消炎の香りが漂う室内に、遠野・明はいた。
デザートイーグル並みに大きなハンドガン、MAXI8アンリミテッドリボルバーを構え、標的の的を的確に射貫く。
酷く自分がイラついているのが分かる。
原因は、養父である17代目・葛葉ライドウにあった。
ラウンジでの諍いが良い例で、義理父は、決して自分を一人の男として見てはくれない。
血は繋がらなくとも、彼にとって明は、息子以外の何者でも無いのだ。
「苛々してるねぇ。」
移動する的の一つを外し、舌打ちする明の耳に、少々間延びした声が届く。
見るとイヤホンプロテクターを付けた赤毛の忍が、アサルトライフルを肩に担いで此方に寄って来た。
「ゴア隊長から聞いたよ、17代目と盛大な親子喧嘩したんだってぇ? 」
「・・・・。」
「気持ちは良く分かるけどさ、艦内で喧嘩するのは頂けないね。」
明は、応えない。
自分自身に非があったり、気に喰わない事があると一言も喋らなくなる。
義理父もそれは同じで、マメな部分も併せて似た者親子だと言える。
「調査隊の人達に迷惑掛けたのは、自覚してる。」
大型ハンドガンを構え、流れる的を正確に撃ち抜く。
佐助に痛い処を指摘され、何時もの冷静さを取り戻した様だった。
持ち前の精密射撃が戻り、次々と流れる的を撃ち抜いていく。
「でも、俺は船を降りるつもりはねぇ、あの人の調査期間が終了するまで付き合う。」
「調査期間終了までねぇ・・・・。」
佐助がアサルトライフルを構え、流れる的に照準を合わせた。
引き金を引くと、発射された鋼の弾丸が、的のど真ん中を見事に射貫く。
「まぁ、良いんじゃない。明っちがいてくれた方が俺様助かるし。」
数発撃ったところで、佐助は一旦銃を降ろし、ポケットから一本の管を取り出す。
右隣に立つ明へと管を放り投げた。
「御屋形様からの伝言、”見事使いこなせたら、お前に天叢雲剣をくれてやる”ってさ。」
「天叢雲剣・・・・歴代ライドウの証じゃねぇか。」
「ぶっぶー、違うね。 元々は御屋形様の剣だったんだよ。」
軽口を叩く佐助に、明が胡乱気な表情になる。
「俺様も詳しくは知らないけど、14代目・葛葉ライドウに貸し与えたんだってさ。それから、歴代のライドウが持つ様になった。」
14代目・葛葉ライドウとは、大正時代に帝都東京を守護した人物である。
蘆屋道満大内鑑(あしあどうまんおおうちかがみ)の血を色濃く受け継ぎ、多数の候補者が命を落とす試練を難なく合格した悪魔召喚術師であった。
「嘘か本当か知らないけど、その剣には”ヒノカグツチ”が封じられてる。 もし使いこなす事が出来たら、御屋形様を殺す事が出来るかもね。」
「・・・・・・。」
「あ、というのは冗談。マジで受け止めないでね? 」
鋭い眼光で睨まれ、佐助が慌てた様子で誤魔化す。
骸の考えている事が、全く理解出来ない。
一体どういう理由で、己を殺す事が出来る神器(デウスオブマキナ)を明に渡したのだろうか。
明が”十二夜叉大将”入りをした目的を、骸は当然知っている。
何故なら、明が骸自身を目の前に「必ず殺す。」と宣言したからだ。
明は、手の中に納まる特殊な鉄製の管へと視線を降ろす。
骸の真意は知らないが、天叢雲剣を使いこなせれば、大きな戦力となる。
そうなれば、如何に口煩い養父を黙らせる事が出来るだろう。
男の呻き声と共に、直腸壁に熱い液体が叩きつけられるのが分かる。
背中に覆いかぶさる男の体温。
粗い吐息を耳元に感じ、ライドウは漸く解放される事に、ほっと安堵の吐息を吐く。
「・・・・っ! 」
強い力で、俯(うつぶ)せの状態から、仰向けへと返される。
子供の腕程の太さがある陰茎は、未だライドウの中に入ったままだ。
両脚を折り曲げられ、悪魔使いが組み敷く男から逃れ様と首を左右に振る。
「まだ、満足してねぇ、もっとアンタを喰わせてくれよ。」
「・・・・無理だ。」
アスラ王との死闘と、ダンテからの無体な扱いで、肉体は疲弊し、悲鳴を上げている。
再び始まる激しい律動。
肩に担がれた両脚が揺れ、先程、吐き出された精液が尻の穴から溢れ、シーツを汚す。
こんなに激しく求められたのは、初めてこの男に抱かれた時以来だった。
強姦されたが、不思議と憎む気持ちにはなれなかった。
半年という短い期間であったが、異国の地で、便利屋の仕事を手伝うのは楽しかった。
思えば、あの頃が自分にとっての第二の黄金期だった様な気がする。
幸せだった。
何も知らない子供時代に戻った様な気分だった。
しかし、何時かはその夢も儚く覚める。
数時間後、苦痛と疲労でライドウは意識を失った。
溜まりに溜まった欲を吐き出したお陰で、ある程度冷静にはなれた。
汗と精液で汚れた身体を清めてやろうと、華奢な主を抱き上げる。
傷だらけの身体。
欠損した腕と、左眼の周辺に出来た赤黒い痣。
初めて出会った当初と、ライドウはまるで変ってはいなかった。
悪魔の血を半分引いているとはいえ、老化し、色褪せていく自分とは違い、ライドウはあの頃の美しい姿を保ち続けている。
狭いユニットバスに入り、スイッチを押す。
霧状のお湯が噴射され、二人の身体を適温の湯が綺麗に洗い流していった。
胡坐をかき、膝の上に悪魔使いを乗せる。
指二本を菊座に挿入し、直腸内に入り込んだ精液を掻き出してやった。
ドロリと大量の精液が、悪魔使いの股を伝っていく。
疲労による深い眠りの為か、事後処理をされても尚、ライドウは起きる気配を見せなかった。
『ナナシは、お前に惚れとる。』
不図、脳裏に師匠である玄武の言葉が蘇った。
帝国議事堂地下で、骸に惨敗し、利き腕を斬り落とされるという重傷を負ったダンテは、玄武の手によって鞍馬山へと連れて行かれた。
懇篤(こんとく)とも言える治療を受け、全快したダンテは、ライドウの元へと返せと玄武に迫った。
そんなダンテに対し、薄ら笑いを浮かべた玄武は、「自分に一本取ったら帰してやる。」とのたまった。
半殺しの目に会わされるのに数分も掛からなかった。
道場の硬い床板で、大の字に倒れるダンテに、「強くしてやる。」と玄武は言った。
この男は、自分の一体何処が気に入ったのだろう?
そんな疑問符が頭を過るが、骸を倒し、その呪縛からライドウが救えるならと、素直にその申し出を受ける事にしたのである。
腕の中にいる愛しいベアトリーチェを抱き締める。
師父の戯言を真に受けるつもりは無いが、素直に身体を開くライドウに期待して良いのだろうか。
唇が、お湯で濡れた額に軽く触れると、瞼、頬、唇へと落ちる。
触れる様なキスを何度か繰り返し、薄く開いた唇に舌を挿し込む。
愛してる。
やっと・・・・やっとお前と巡り会う事が出来た。
須佐・・・・。
西新宿壱丁目。
震災前は、繁華街を担う一角で、昼夜問わず人並が途切れる事が無い、不夜城であった。
しかし、震災後は、”異界の穴”により悪魔が大量発生。
倒壊した小田急百貨店や京王百貨店などの各本店建物が倒壊し、無惨な姿を晒していた。
現在は、中国系マフィア等の巣窟となっており、更に危険度が高まっている。
雑居ビルの応接間。
南山葉子は、蒼い顔をして後ろ手に縛られ、絨毯の上に跪(ひざまづ)かされている。
少し離れた位置に大原の物言わぬ無惨な骸が転がっていた。
西新宿一帯を支配している中国系マフィア『赤犬(レッドボーン)』に捕らえられ、洗いざらい知っている情報を吐いた後、睾丸を潰され殺された。
懇願も命乞いも無駄だった。
闇社会の連中にとって、人の命等、ゴミにも等しい。
利用価値があればまだ生かしてやっても構わないが、生憎、葉子達は宿敵である『阿修羅会』とは全くの無関係であった。
「你有无聊的欲望吗?(つまらん欲を出したな)」
蛇の様に無感情な目をした男が、葉子の足元に免許証を放り投げる。
女は、大手出版社と契約しているルポライターであった。
日本政府から危険区域と指定されている”新宿区”を取材している最中、”ブルーシード”の情報を嗅ぎ付け、同胞である”黄虎”の縄張りを探っていた。
当初の目的では”ゼブラ”の製造元を探る予定であったが、自分達、中国系マフィアと新宿を支配している”阿修羅会”の抗争の方が金になると踏んだらしい。
余計な事に首を突っ込みこのザマである。
「大哥,这女人身材真好。(兄貴、この女、良い身体をしている)」
「当然,让我们在群交中玩得开心。(確かに、じっくりと輪姦して楽しもうぜ)」
両脇に控える背広姿の兄弟達が、舌なめずりしながら、長兄である一(わん)へと懇願する。
そんな弟達を眺め、一(わん)は深い溜息を吐き出した。
実を言うと彼等は人間ではない。
構成員は、殆ど人間で固められているが、上層部は、炎駒(えんく)と呼ばれる悪魔達だった。
人間として裏社会で生きて来た為、末弟達は、妙に人間臭い。
酒や薬におぼれ、時には女を抱いて憂さを晴らす。
炎駒一族としての矜持は、とっくの昔に消え失せていた。
涎を垂らす、弟達に一は座っていた椅子から立ち上がる事で、了承の意を伝える。
女に躍り掛かる二つの影。
弟の一人が女記者の前に立ち、ズボンのジッパーを下げた。
太い血管が浮き出ている男根を口元に突きつけると、既に諦めているのか、女が素直に口を開いて含む。
もう一人が、縛られている女記者の背後へと周り、上品な白のVネックのセーターを捲り上げた。
大人しい服装をしているが、本人はかなりの好きモノらしい。
乳首が見える程薄いレースのブラジャーを付けていた。
Gカップの豊満なバストに興奮し、ブラジャーごと揉みしだきながら、もう片方の手をスカートの中に忍ばせる。
しゃぶる音と女の微かな喘ぎ、弟達の粗い息遣いを聞きながら、一は、硝子壁へと近づいた。
一達炎駒一族は、中国大陸で古くから存在する魔族の一つだ。
麒麟族の血を引き、上位種になると魔王クラスの力を持つ個体までいる。
龍族との覇権争いに敗れ、”黄虎”共々、奴等の配下として甘んじていた。
その同胞である”黄虎”が、1週間前に”阿修羅会”の襲撃を受け、たった一日で壊滅した。
”黄虎”も古より存在する魔族の一柱である。
半ば、信じがたい話であった。
南山葉子は、必死で黒服の男根へと奉仕していた。
すぐ傍には、変わり果てた姿の大原が、だらしなく舌を出して絶命している。
抵抗する意識など、当に霧散していた。
コレさえ上手く舐めれば、生きていられる。
性交道具に陥っても、逃げ出すチャンスは必ずある。
至極僅かな望みではあるが、今の自分はソレに賭けるより他に術が無い。
背後で葉子を弄ぶ男が、興奮して硬くなった乳首をこすり、細い布の下着の中に手を滑り込ませて、性器を弄る。
女の口から、くぐもった悲鳴が漏れ、男への奉仕が更に大胆になった。
縛られた両手は既に解放されている。
葉子は、男の尻を抱く様に両手を回すと、一旦口を離し、下着ごとズボンを降ろす。
ぶるんっ、と男根が揺れた。
ヒジリのモノより大きいと思った。
「うん? 一体何の乱痴気騒ぎだ? 」
応接間に一人の男が入って来た。
歳の頃は、30代半ばぐらいか、上質な背広を身に着け、黒い髪を後ろに撫でつけている。
中々、容姿が整った美形ではあるが、右頬から顎に掛けて、醜い刀傷が刻まれていた。
廣澤王 (こうさわおう)の血に連なる縁者の一柱(ひとり)寐龍(めいろん)である。
一の末弟達と葉子の痴態を、侮蔑を多分に含んだ双眸で眺めていた。
「ウチのシマに入り込んだ鼠だ。」
「鼠? まさか”阿修羅会”の連中か? 」
現在、身の程知らずにも”八部連合阿修羅会”なる日本のマフィア組織が、”天智会”の末端組織である”黄虎”と戦争している事は知っている。
一週間前、その”黄虎”が壊滅し、同盟関係にある”赤犬”が、その後釜に座った。
「違う、新聞社と契約しているルポライター共だ。”新宿区”の事を色々調べていたらしい。」
じゅるじゅると唾を啜り上げ、むせ込みながら頭を振る葉子を、侮蔑の含んだ視線で見下ろす。
モデル並みの均整がとれた肢体と、美貌を持つ女だった。
娼婦として仕込めば、高く売れる。
奉仕を強要している男が、呻いた。
女の頭を抑え、自分から腰を振り始める。
数回動くと絶頂に達したのか、女の頭を両手で固定し、口内に汚液を吐き出した。
狭い尿道を通る液体の心地よさに、末弟の一人は、長い呻き声を漏らした。
「そうだ、面白い玩具があるぞ。」
屈んで大原の死体を調べていた寐龍が、立ち上がり、持っていた革のアタッシュケースから、ステンレス製の注射ケースを取り出す。
「技術部から、試作品として渡されたクスリだ。」
中身を開けると、蒼い液体に満たされた注射器が一本入っていた。
「”ブルー・シード”の改良版だ。 我々の指示だけを忠実に聞く、スーパーマンが出来上がる。」
「スーパーマンねぇ。」
応接間のテーブルに置かれた注射を眺める。
スーパーマンとは名ばかり、要は使い捨ての兵士である。
自分達が売人を使って、ばら撒いている”ブルー・シード”は、膂力や生命力が異常に上がるが、命令を聞かない欠陥品共だ。
それなりに需要があるが、”シュバルツバース”での作業に従事させるには、不安が大分残る。
突然、女の悲鳴が上がった。
見ると、四つん這いの姿勢にした男達が、パンティを剥ぎ取り、形の良い尻を抱えていた。
女の性器は、十分潤っている。
腰を叩きつけると、Gカップのベル型の乳房が揺れ、尻の肉が波打った。
「丁度良いから、この女で試そう。」
「おいおい、本気で言っているのかぁ? 」
死の恐怖から逃れる為か、葉子は半狂乱になっていた。
自分から尻を振り、顎を伝う汚液を舌で舐めとる。
前にいた男が身を屈め、葉子の唇を吸った。
舌と舌が絡み合い、流し込まれた男の唾液を飲み干す。
「歌舞伎町二丁目にある移民共のキャンプは知っているな?」
「・・・・・。」
「どうやら、”阿修羅会”の連中は、あそこに住んでいる不法就労者共を飼っているらしい。何故だか分かるか? 」
「・・・・知らん、チョッパリ(日本人)共の考えている事等、知りたくも無い。」
配下からの情報で、”阿修羅会”会長であるタヤマが、密入国者を集め、”新宿区”を復興させた事は知っている。
無限発電炉”ヤマト”を新宿中央公園内に建造し、霊的国防兵器を使役し、新宿一帯の悪魔を一掃し、震災前と同じ華やかさを取り戻した。
「牛頭天王に捧げる供物に、移民共の子供を差し出しているのさ。」
「・・・・・・。」
寐龍の言葉に、一の顔が嫌悪感に歪む。
堕ちたとはいえ、元は天地開闢の創造神、盤古に仕えていた霊獣である。
裏社会に生き、外法を要いて”天智会”の為に泥水を啜って来たが、それでも最低限の道徳心はある。
「優しいなぁ、君は・・・・だが、その優しさは我々の為にはならない。」
末弟達の様に、理性を捨てれば、楽になるだろうに。
この男は、最後の最後まで、一線を越える事が出来ない。
今も、二人の末弟達に凌辱されている女記者を楽にしてやろうと考えている。
寐龍は、溜息を一つ吐くと、注射器を取り出し、狂乱の宴に耽る三人の元へと近づいた。
ネロが働いている娼婦館に、”探偵部”の仲間である壬生・鋼牙と、渋谷区キャンプで自警団を勤めているシフの愛息子、ウルが訪れた。
「おっはー、元気にしてる? 」
一週間に2回ある移民キャンプの診察。
業務用のバンに、物資を積み込んでいるネロの背に、鋼牙の能天気な声が掛けられた。
「何しに来たんだよ? 」
「何しにって・・・君が、一度も事務所に帰って来ないから、心配で様子を見に来たんだけど? 」
呆れた様子で、大袈裟に肩を竦める鋼牙に、ネロはバツが悪そうな表情になる。
直子が勤めている娼婦館で働き始めて、一週間以上が経過する。
定時連絡はくれるものの、何故か、事務所に帰って来ない。
それどころか、学校に登校すらしていない。
いくら理事長から、都庁の依頼を優先して良いと許可を貰っているとはいえ、度を越し過ぎると、依頼を取り上げられる可能性すらある。
「うっ・・・・・わ、悪かったよ。」
鋼牙の言う通り、事務所に帰らないまでも、学校は登校しておくべきだった。
別に、学業が苦痛に感じてサボっていた訳じゃない。
理由は、至極邪な事で、直子の手伝いをしているうちに、彼女に惹かれてしまった為であった。
彼女が時折見せる、人間臭さと深い愛情。
医者としての矜持を常に心に抱き、弱者に手を差し伸べる姿に、病死したキリエや悪魔召喚術師の師匠、17代目・葛葉ライドウの姿が重なった。
「お前のダチか? 」
物資を粗方積み終えたサブロウが、鋼牙とウルを眺める。
異形の姿をしているサブロウに、ウルが思わず息を呑んだ。
「れ・・・・”霊的国防兵器”? 」
「驚いたね? 娼婦館(こんな処)でお目に掛かれるとは思わなかった。」
かつて、組織『クズノハ』が創り出した汎用人型決戦兵器。
第二次世界大戦中に、9体製造され、活躍する機会が無いまま戦争が終結。
廃棄処分にする訳にもいかず、彼等は政府機関の手によって休眠状態にされた。
そして半世紀後、東京湾に突如出現した異界の大穴、”シュバルツバース”の調査へと駆り出されるも、4体が無惨に破壊され、残りも何者かによって奪われた。
「成程、”クズノハ”の連中か。」
鋼牙達の反応に、サブロウは何かを察したのか、大袈裟に息を一つ吐く。
彼等だけではなく、初めてサブロウ達、造魔を見た人間達は、皆同じ様な反応を示していた。
「今のご時世、悪魔何て珍しく無いと思いますけど? 壬生財閥のご子息様。」
そう言って現れたのは、清潔な白衣を着る30代半ば辺りの女医であった。
この高級娼婦館で働く、娼婦の直子だった。
ウェーブの掛かった長い黒髪を後ろで結い上げ、タートルネックの黒いセーターと、同色のタイトスカートを履いている。
妖艶な雰囲気を醸し出す美女の出現に、異性に免疫が全く無いウルが、頬を赤く染めた。
「これから大事な検診に行かなければならないの、申し訳無いけど、それが終わってからにして欲しいんだけど。」
慇懃無礼な物言いではあるが、鋼牙は別段、嫌悪感を露わにする様子は無かった。
暫く、直子を観察し、困った様子で苦笑いを浮かべる。
「でしたら、僕達もお手伝いしますよ。」
「こ、鋼牙・・・・。」
予想外な申し出に、ネロは思わず戸惑う。
人手不足である為、手伝ってくれる分には大変助かるが、鋼牙に何らかの意図があるのは見え見えである。
「あら? 手伝ってくれるの? なら、お言葉に甘えちゃおうかしら。」
そんなネロの危惧を他所に、直子は涼やかな笑顔を見せて快諾する。
こうして、成り行き上仕方なく、ウルも手伝う羽目になった。
歌舞伎町二丁目、第八金嶋ビル前の駐車場。
すぐ傍に移民達の大規模なキャンプがある前に、黒塗りの大型電動トラックが停車していた。
トラックが積んでいるコンテナ内は、通信機等の最新機器が積み込まれ、アサルトライフルやロケットランチャー、各種グレネード等、銃火器類がケースに収まっている。
防弾のタクティカルベストを着込み、ヘルメットにゴーグル、フェイスマスクを装備した男達の中で、一際浮いた存在がいた。
髪を短く切ったショートヘアの女である。
90cmはある豊満なバストを露わにし、黒いTバックのパンティにガーターベルトとピンヒールという、あられもない恰好をしていた。
数日前から、危険区域に指定されている”新宿区”を取材している女ルポライター、南山・葉子の変わり果てた姿であった。
死人の様な血が通わぬ白い肌。
コンテナ内に設置されているシートに座る黒背広の男の前に跪き、そそり立った肉棒を喉奥まで咥えていた。
「何時までやってんだ? いい加減にしないと一(ワン)の兄貴にドヤされるぞ? 」
愛用のM93Rを腰のホルスターへと納めたもう一人の黒服が、呆れた様子で女にフェラチオを強要している弟を窘める。
「だ、だってよぉ、寐龍(めいろん)の野郎が、途中で邪魔しやがるから・・・。」
昨夜、彼等が住処にしている西新宿の雑居ビルで、自分達、中国マフィアを嗅ぎ回っている鼠を二匹捕まえた。
相手は、男女の二人組で、出版社の社員とそこで契約しているフリーのルポライターだった。
軽く脅すと、男の方は簡単に全部吐いた。
最近、”ゼブラ”と呼ばれる違法ドラッグが、若者達の間で流行っている事。
どうやら出処は、政府から危険区域と指定されている”新宿区”である事。
新宿を支配している指定暴力団”阿修羅会”が自分達と、抗争状態である事を突き止めた。
より過激な記事の方が、読者受けする。
実に短絡的な理由で、”黄虎”の賭場場を嗅ぎ回っていた大原達を捕まえ、事務所へと引っ張って来た。
葉子であったモノが、カリ部分へと大きく舌を這わせ、鈴口をこね回す。
男は呻き声を上げ、理性を振り絞り、女を咥えていた男根から離すと、蜜が詰まった尻を向けさせ、パンティをずらし自慢の大筒を打ち込む。
男を受け入れる準備は、既に整っている。
歓喜の表情を浮かべ、女は激しく尻を振り始めた。
「ああっ、勿体ねぇ・・・こんな良い女を使い捨ての兵士にしちまうんだから。」
粘膜が跳ねる音と、女の喘ぎ声が、コンテナ内を満たす。
男は堪らず、露わになった乳房を揉み、結合部へと手を滑り込ませた。
「馬鹿、この女は敵だ。 生かしても意味はねぇだろ。」
”天智会”の構成員である寐龍が持ち込んだ薬は、”ブルー・シード”の改良版だった。
通常、薬を投薬された連中は、理性を失い凶暴化した挙句、手当たり次第に襲い掛かる。
これでは、とても兵士として使い物にならない。
寐龍は、今迄得た情報を元に、魔薬を改良し、従順で、命令を忠実に聞く兵士を生み出す事に成功した。
その第一号が、この女記者である。
乳首を擦り、クリトリスを指の腹で刺激すると、女は獣の様な声を上げた。
うぉう、うぉう、と吠えつつ、尻を振りたくる。
フェイスマスクを被った兵士達が、生唾を呑んで女の痴態を眺めていた。
括約筋の素晴らしい締め付けに、黒服の男はあっさりと膣内に射精した。
今回は、エロ度多め。