★場所:LALEオフィス
【樹里亜】
「というわけで柊一郎ちゃん――」
【柊一郎】
「嫌です」
【樹里亜】
「まだ何も言ってませんよぉ」
【柊一郎】
「実験体になれって話ならご勘弁願います」
【樹里亜】
「あらぁ、どうして?」
【柊一郎】
「身の危険しかないから」
【妙花】
「おい手前……うちの柊一郎で何しようってんだ。モルモットならよそで捕まえろ」
【ノア】
「というか帰ってください」
【樹里亜】
「つれませんねぇ」
【伊栖未】
「そもそも射精増幅薬って、なぁ、なんだ……?」
【柊一郎】
「バイアグラと何が違うんですか」
【樹里亜】
「それは勃起不全治療薬です。これは射精の快感を増幅し、放出する精液量を何万倍にもするお薬になります」
【ノア】
「あの、何万倍ってことは一度の射精で数十リットルの精液を出すってことになるんですけど」
【樹里亜】
「そういうことですねぇ!」
【柊一郎】
「怖すぎる」
【伊栖未】
「完全に人外」
【妙花】
「そもそもこれで何がしてぇんだ。ただ大量に射精するってだけじゃねぇのか」
【樹里亜】
「せっかく作ったのだからどうせなら試してみたい。それだけです。科学者の
【妙花】
「手前が科学者を名乗るな」
【ノア】
「とにかくそんな得体の知れない――柊一郎を危険にさらすような真似を見過ごすことはできません。どうかお引き取り下さい」
【柊一郎】
「ノア……」
【樹里亜】
「もし引き受けていただければ報酬として100万円をご用意――」
【食い気味レッド】
「引き受けましょう」
【柊一郎】
「…………」
【伊栖未】
「い、いっちょ体を張る時だぞ、柊一郎……!」
【妙花】
「悪ぃとは思うがうちがいま手元不如意なのも確かだ。背に腹は代えらんねぇ。ここが踏ん張りどころだぞ、な?」
【柊一郎】
「ひどい手のひら返し」
【樹里亜】
「ではよろしくお願いしますね♡ 飲んで
【柊一郎】
「…………」
●SE:嚥下音
【柊一郎】
「……とりあえず飲んだけど、まだ心の準備が――」
【樹里亜】
「あ。少々お待ちを…………――はい、これ」
【柊一郎】
「なにそれ」
【樹里亜】
「ただの水槽です。尋常じゃない精液量になるので、全部ここに
【柊一郎】
「今からオレはこの水槽に向かって射精するの」
【樹里亜】
「そういうことですねぇ」
【妙花】
「斬新な構図だな」
【伊栖未】
「な」
【樹里亜】
「さぁ、柊一郎ちゃん。シコシコしてくださいな。なんでしたら私が一肌脱いで差し上げ――」
【柊一郎】
「シスターじゃ無理なのでけっこうです」
【樹里亜】
「本当なんなんですかぁ、あなた?」
【ノア】
「そこで私たちの出番ということです。フェラ担当ことノアです」
【伊栖未】
「乳首舐め担当の伊栖未です。えへっ、えへっ、えへっ……」
【妙花】
「…………」
【妙花】
「え? アタシもやるの?」
【ノア】
「とうぜんでしょう。なにボサっとしてるんですか」
【妙花】
「まぁそうだよなぁ……」
【柊一郎】
「妙花は……キスしてほしい」
【妙花】
「~~~っ! わかったよ! ……いくぞ、柊一郎!」
【樹里亜】
「それでは私は紅茶でも飲みながら待機してますので終わったら教えてくださいねぇ」
【ノア】
「んちゅ、ぢゅううっ……ちゅ、じゅるっ……じゅるぅっ」
【伊栖未】
「ちゅっ……んちゅ……じゅるるっ、ちゅ……っ」
【妙花】
「ちゅ、んっ……ちゅう……んふっ、うぅっ……む……」
【柊一郎】
「…………っ……んぅっ……!」
【樹里亜】
「…………ふぅ」
【伊栖未】
「んちゅうっ! んっ……ちゅっ……ちゅぱっ……!」
【妙花】
「んっ……んはっ……ふ……ちゅ、んっ……ちゅ……」
【ノア】
「じゅぷっ……ちゅっ、じゅるるっ……! ぢゅるるううぅぅっ……!」
【柊一郎】
「――――っ! で、
【ノア】
「…………ちゅぱっ……――え?」
●SE:射精音
【ラーLadies】
「ひゃあっ!」
「おぉっ!」
「きゃっ!」
【樹里亜】
「……え? もう終わったんですか? まだ半分も飲んでないんですけどぉ――」
【柊一郎】
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛♡♡♡♡」
【樹里亜】
「――――! こ、これは……!」
【ノア】
「嘘……まだ
【妙花】
「おいおい大丈夫かこりゃあ……」
【柊一郎】
「ん゛お゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛♡♡♡♡」
【伊栖未】
「どぴゅどぴゅしてんねぇ……」
【柊一郎】
「あ゛あ゛っ゛♡ ……お゛お゛っ♡ ……はぁっ……はぁっ……!」
【伊栖未】
「…………柊一郎? 大丈夫、か?」
【ノア】
「本当にものすごい量
【樹里亜】
「水槽の元の容量から考えて……おそらく20リットルはありますね」
【柊一郎】
「…………」
【妙花】
「おい似非修道女。柊一郎が横たわって動かなくなったんだが」
【樹里亜】
「気を失っているだけだと思いますよ? 男性は射精すると倦怠感に襲われますから。それと似たものかと」
【妙花】
「こんだけ
【ノア】
「……心臓は動いてます。いまのところ問題はなさそうですね」
【伊栖未】
「お疲れさま……ってことで、このまま寝かせてあげよ?」
【ノア】
「そうですね。柊一郎はひとまずこのままにしておきましょう」
【妙花】
「それにしても……水槽が精液で満ちてんのはそうそう見られたモンじゃねぇぞ、こりゃあ」
【ノア】
「なんかタプタプしてて気持ち悪いですね」
【伊栖未】
「さわさり」
【妙花】
「最初にも似たようなこと聞いたが、その薬はいったいなんの役に立つんだ?」
【樹里亜】
「さぁ、どうなんでしょうねぇ? あっははははははっ!」
【妙花】
「コイツ……!」
【樹里亜】
「……さて、はい。約束どおり、報酬の100万円です」
【ノア】
「はい。確かに受け取りました」
【樹里亜】
「では私はこれで――」
【妙花】
「待ちやがれ。どこ行く気だ手前は」
【ノア】
「忘れ物ですよ。――精液いっぱいの水槽」
【樹里亜】
「……そちらで処分してもらえません?」
【伊栖未】
「ふ、ふざけんなぁ……! ちゃんと、持って帰れ……!」
【樹里亜】
「ですよねぇ」
【妙花】
「だが処分って言ってもよ、どこに捨てんだって話になるだろ。この女に持ち帰らせたら海に捨てて帰りそうじゃねぇか?」
【伊栖未】
「それはちょっと」
【ノア】
「かと言ってうちのトイレに流すのも嫌ですよ。流せる気もしませんけど。物理的な意味で」
【樹里亜】
「厄介な問題が残ってしまいましたねぇ」
【妙花】
「手前のせいでな」
【伊栖未】
「ど、どうする? 爆発でもさせる?」
【ノア】
「部屋中が精液まみれになるので却下です。あ、でも柊一郎の精子に囲まれながら仕事するのもそれはそれでアリなのでは――」
【妙花】
「そうはならねぇだろ」
【樹里亜】
「ではここの四人でぜんぶ飲み干します? ひとり当たり約5リットルになりますけど」
【伊栖未】
「それだけ飲んだら妊娠しそう」
【ノア】
「避妊薬の敗北」
【樹里亜】
「つまりみんなでママになる……ということですねぇ!」
【のあちー】
「「一夫多妻……!」」
【妙花】
「女の体はそこまで面白くできてねぇ」
【樹里亜】
「消化器官と卵巣がつながれば一応可能ですけどね?」
【妙花】
「SFの話でもしてんのか手前は」
【伊栖未】
「そ、そんで実際問題、ど、どう廃棄すんだ?」
【妙花】
「仕方ねぇ。こうなったらゴミ袋とキッチンペーパーかなにかを大量に買ってきて固形物のゴミにするしかねぇだろ」
【妙花】
「で、言うまでもねぇが費用は手前が出せ。それが筋だろ」
【樹里亜】
「はぁ。面倒なことになっちゃいましたねぇ」
【ノア】
「…………」
【ノア】
「いえ、ちょっと待ってください。私にいい考えがあります」
【伊栖未】
「え、なに」
【妙花】
「なんかアテでもあんのか?」
【ノア】
「ええ。ちょっと知り合いに相談してみます」
【ノア】
「――……もしもし。紅林です。はい……はい、そちらの――――」
【妙花】
「ときどき思うんだがアイツの人脈ってどうなってんだ?」
【伊栖未】
「わ、わからぬ……」
◆
【ノア】
「――……お待たせしました。話はつきましたので」
【樹里亜】
「結局どうするんです?」
【ノア】
「この島の公益社団法人SHO(Seiranto Health Organization)が引き取ってくれるようです。もうすぐしたらうちに来てくれるそうですよ」
【妙花】
「へぇ……! そいつはありがてぇな」
【ノア】
「なにやら避妊に関する研究開発に利用させてほしい……とか」
【伊栖未】
「な、なるほど。よく考えたらそういう使い道も、あるのか」
【ノア】
「あと頭から精液をかぶってドスケベしたいという住民が一定数いるらしく、そういった需要に応えるためにも活用したいとのことです」
【樹里亜】
「この島の人間は薬物でもキメてるんですかね?」
【妙花】
「手前が言うな」
【ノア】
「なんにせよこれで問題は解決です。あとはSHOの方がいらっしゃるまで待機してればいいので」
【伊栖未】
「よ、よかった」
【妙花】
「まぁ世のため人のために使われんならそれに越したことはねぇが……悪用されねぇか心配でもあるな」
【ノア】
「大丈夫ですよ。いまのSHO代表はとても優秀でしっかりした方なので。たしか……『冷泉院』というお名前でしたね」
【樹里亜】
「…………」
【妙花】
「んなことよりどうするよ。こんな精液くせぇ中で仕事はしたくねぇぞ」
【ノア】
「ではいい機会なのでSHOの方が来るまで柊一郎の精子を少し検査してみましょう」
【伊栖未】
「け、検査?」
【ノア】
「はい。…………これです」
【伊栖未】
「……? これ、ルーペ?」
【樹里亜】
「いわゆる簡易測定キットですね。青藍島であればどこにでも売っているはずですよぉ?」
【妙花】
「そういや前にショッピングモールで売ってたのを見たな。けっこう安かったのを覚えてるよ」
【ノア】
「私たちの今後にかかわる真面目な事でもありますからね。せっかくなので今のうちに柊一郎の精子が元気かどうか見てみましょう」
【妙花】
「本人のいねぇとこでやんのもどうかと思うが」
【ノア】
「だってその本人は」
【柊一郎】
「…………」
【ノア】
「あのとおりぐっすりじゃないですか」
【妙花】
「気持ち良さそうな顔には見えねぇがな……まぁ、起こすのもかわいそうだしいいか」
【伊栖未】
「で、でも、射精してからずいぶん時間経ってるけど……正確に検査、できるん?」
【樹里亜】
「不安でしたら本人がすやすや眠っている間にこっそり新たな精液を搾りとって――」
【柊一郎】
「これ以上は死ぬからやめろ――――!!!!」
【ノア】
「あ。起きた」
【妙花】
「生存本能が危機を察知したんだろうな……」
【樹里亜】
「検査しなくても問題なさそうですねぇ」
【伊栖未】
「いい危機ねぇ」