※この作品はR-18です。

信頼度限界突破オペレーター(仮)   作:アメリカ兎

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ブレイジング・バーンアウト

 

「ロドスには、バーがあるのですか?」

 驚きと感動にも似たその言葉は、マウンテンから発せられた。ドクターに対し、ロドスに酒蔵を設置すべきだと様々な観点から催促をしていたところ、現状の予算では難しいと断られた矢先である。利用しているオペレーターも少なくない。

 

 ――そんなわけで。すでに常連となりつつあるオペレーターは決まっていた。

 

 

 

 騒ぐのが好きなオペレーターも、静かに嗜みたいオペレーターも。

 或いは給仕する側となってカクテルを振る舞うオペレーターも、今夜はロドスのバーに足を運ぶ。

 その中にはマウンテンがいた。

 そして、遅れて入ってきたエリートオペレーター、ブレイズは今夜も酒を開ける。

 

「乾杯ー!」

 思い思いのロックグラスを持ち上げて、氷を鳴らす。カラン、と小気味良い音と共に揺れるカクテルを喉に流し込み、唸る。この一杯のために今日も生きている――!

 癒やしを求めて訪れたオペレーター達が親睦を深めながら雑談混じりに笑い合っていると、マウンテンがふとバーの片隅に置かれたワインボトルに目をつけた。

 それは、如何にもな雰囲気と年季の入ったボトル。ラベルは掠れ、誰が持ち寄ったものなのかも定かではない詳細不明の存在。だからこそだろうか、その存在を意識した時からマウンテンは気になって仕方なかった。誰にも開けられることなく、片隅に鎮座するボトルを知っているオペレーターはいないかバーの中を見渡し――この人なら知っているだろうと、ブレイズに声をかけた。

 

「すいません、ブレイズさん。よろしいですか?」

「ん~? なになに、改まっちゃって?」

「あの片隅のボトルについて、なにかご存知でしょうか」

「――――あー、あれねぇ……」

 カウンターに肘をついて、ゆっくりとグラスを傾けてカクテルを揺らしながら言葉を探しているようだった。

 

「昔、ロドスにいたオペレーターが置いていったお酒」

「なるほど。その方は今どちらに?」

「……さぁ。わかんない」

 聞けば――三年ほど前、不意に行方を眩ませてからそれきりらしい。

 カクテルを飲み干したブレイズが、バーテン役のオペレーターを呼ぶ。

 

「ビールおねがーい! ジョッキで!」

 ――そこからのブレイズの飲みっぷりは、凄まじかった。一気にいった。喉を鳴らし、女性らしさ皆無。ジョッキが再びカウンターに足をつける頃には中身が空になった時だった。

 

「もう一杯!」

「あの……」

 マウンテンが暴飲を止めようとする間もなく、ブレイズは二杯目を空にする。

 そして駆け抜けるように三杯目を空にしてようやく止まった。すでに四杯目を手にしている。

 

「――っくぅ~~! はぁ、たまんないわ!」

「………………」

 山さん絶句。今頃ブレイズの肝機能はなだれ込むアルコールを相手に奮闘中だろう。

 

「っていうか、思い出したらなんか腹立ってきたわね……」

「な、なにを……?」

「何って、そいつよそいつ! 酒置いてったオペレーター! ひっどい奴だったんだから!」

 出てくる出てくる、やばい話が山ほど。積りに積もったブレイズの恨み節。耳を立てて、黒髪を怒りで揺らし、犬歯をむき出しに今にもジョッキを噛み砕きそうな形相で過去の案件を思い出せる限り並べていく。

 頼りになるのは戦闘だけ。独断専行。命令無視。規則違反。あのケルシーの説教を食らってもまだ懲りない筋金入りの大馬鹿者。当時一体どれだけ戦力が枯渇していたかを物語る。

 当時、彼と接触した職員は驚きのあまり腰を抜かしそうになったという。混迷を極める戦局のさなかで崩れそうになるビルの中で眠っていた。それどころか開口一番にロドス職員を殺害しかけて――なんだかんだで世話になったのが全ての始まり。

 散々喧嘩もしたし、取っ組み合いにもなった。だが、いざいなくなる時には音もなく、猫のように姿を消す。

 三杯目のジョッキを空にして、ブレイズはウイスキーを頼んだ。

 

「腹の立つヤツだったんだけど……、悪い奴じゃなかったなぁ」

 まぁ悪行ばかり目立つんだけど、と。そうブレイズは付け加える。

 本当に、今はどこで何をしているのやら――そんなことを思っていると、バーに顔を覗かせたトランスポーターがブレイズに声を掛けた。

 

「すいません、ブレイズさん。お楽しみ中のところ失礼します」

「んー? いいよいいよ、なにどうしたのー?」

「ケルシー先生がお呼びです」

「げっ……」

 顔が引きつる。とはいえ、最高権力者に呼び出されは仕方ない。ブレイズは渋々、どこか酔いの回った足取りでトランスポーターに連れられながらケルシーの下へ向かった。

 

 

 

 ケルシーが待つというロドスの搬入口。主に荷物の受け入れ口なのだが――こんな夜に、なぜこんな場所に呼び出されるのか皆目見当もつかない。疑問符を浮かべて首を傾げていたブレイズだったが……。

 

「……来たか、ブレイズ」

 ケルシーが何やら、ロドス職員と話し込んでいた。それとは別に、もう一人。見慣れない人物の姿がある。

 目をこすり、自分の見間違いでないことを確認して。それでもお酒のせいで幻覚でも見ているのではないかと疑い、隣のトランスポーターに尋ねる。

 

「ねぇ。アタシの見間違いじゃなければケルシー先生とロドスの一般職員と、あとなんか、誰かいない?」

「え? ええ……確かに知らない方がいますけど……」

 ブレイズの顔を見るなり、やけに馴れ馴れしく片手を振っていた。

 

「おー、ブレイズ。久しぶりだなお前。っていうか生きてたのか。いやぁ助かった。ケル先以外に知り合いいないかと思って心細かったんだよ」

「――――――悪夢だわ」

 ケルシーもブレイズの言葉に激しく同意を示している。

 

「君はこの三年間、何の音沙汰もなく。一体何をしていたんだ?」

「いやまぁ、なんていうか……私用?」

「――言いたいことは過分にあるが。その私用は三年前に無断で、許可なく、長期遠征に赴いて片付いたのか?」

「……いやぁ~……ぁはは、あともうちょっとってところまでいったんだけどよ……」

 ケルシーから目を逸らして、黒髪の男性は頬をかきながら肩をすくめた。

 

「失敗しました。っていうか逃げられました」

「正直でよろしい。それと君が不在の間、ここロドスにおける環境は様変わりした。過去の面影がないと言ってもいい。よって。絶対に、余計な問題を起こさないことを約束するというのなら滞在を許可する」

「あー…………善処します?」

「えー、と。ケルシー先生。なんでアタシが呼ばれたのか理由を聞いても?」

「私の記憶が正しければ。これと君は親しかったはずだが……」

 それはつまり、面倒を押しつけられた、ということだ。ならば適任のドクターがいるはずだ、とも思ったが肝心の人物は現在アーミヤと共に艦を離れている。

 ケルシーは深く息を吐いた。

 

「とにかく、だ。君の健康診断は最優先事項とさせてもらう。明朝に行う手筈を整えておく。くれぐれも艦内で騒ぎを起こさないように。それと前回のように何の音沙汰もなく船から降りた場合、次は無いと思った方がいい」

「はいはいはい、わかりました、わーかーりーまーしーたー。気をつけますー」

 ジッと、ケルシーは黒髪の男性オペレーターを睨む。しかし僅かに口角を上げると、手にしていたバインダーで頭を小突いた。

 

「――よく生きて戻ってきたな」

「死なねぇのが取り柄なだけだ」

 

 

 

「で!? アンタ今回はどこで何をしてたわけ!」

「あてもなくブラブラ放浪してたんだが?」

「今回! 天災が通過した後の放棄された移動都市残骸でキャンプしてたって話だったんだけど! 隕石とかどうしてたの!?」

「あー、アレだ。ほら。そんときゃそんときだ。死にゃしねぇって」

 ヘラヘラと笑いながら、その黒髪の男性オペレーターは怒り狂うブレイズの熱波も涼し気に流していた。

 

「大体キミは毎回なんでそうなの! 命令は聞かない、規則は破る、挙句の果てに天災エリアでキャンプ? もーいい加減にして! こっちは散ッ々心配したっていうのに、というか服ボロボロじゃない!」

 ブレイズの怒りは収まるところを知らず、その矛先を受け止めている黒髪の男性は流石に暑くなってきたのか擦り切れたコートの胸元を緩める。

 

「なんだったらこんなところで突っ立ってないでさっさと洗浄してきなさい!」

「てめぇが俺をとっ捕まえて説教かましたんじゃねぇか、ってか酒クセェなおい! お前酒飲んでたのか!?」

「うっさいわね零距離ボイリングバーストかますわよ!」

「相変わらず溶鉱炉みてーなヤツだなお前。全然変わってなくて安心したわ……」

 まくし立てられて、逃げるようにその場を後にしたかったのだが――今のロドス艦内の道がわからない黒髪の男性は結局ブレイズに首根っこを掴まれて引きずられていった。

 もはや見世物である。

 

 ――フォリニックから説教小一時間、アビサルハンターに目をつけられて数十分。

 身なりを整えて戻ってくる頃には日付が変わろうとしていた。しかもその間、ずっとブレイズがつきっきりで監視している。眉を釣り上げて、下手な真似をしたら即座に焼き殺さんとばかりに。

 

「はぁーあ。気分良くお酒飲んでたのに、誰かさんのせいで! 飲み損ねちゃったなー」

「へいへい俺が悪ぅございました。飲むなら付き合うぞ」

「わかってるじゃん」

 背中を強く叩きながら、ブレイズは自分の寝室へと招く。

 

 ――なんというか、酷い惨状だった。汚部屋だった。散乱するビール缶、空のワインボトル、ホシグマが取り寄せた極東の醸造酒。龍門の焼酎。所狭しとひしめき合う、さながら酒の雑魚寝状態。奴隷船か?

 

「……きったねぇなおい。女にあるまじき部屋だぞ」

「…………部屋すらないくせに」

 売り言葉に買い言葉。あわや再三に渡る口喧嘩に発展しそうになったが、時刻は深夜。騒げばケルシーに殺されかねない。ぐっとお互いに言葉を飲み込んでひとまずは空き缶などをまとめておく。エリートオペレーターといえどできることとできないことくらいはある。

 なんとか人が座れるスペースを確保して、ブレイズが部屋の小型冷蔵庫からキンキンに冷やしたアルコールを取り出す。

 プルタブを起こして、小気味好い音と共に炭酸が呼吸を始めて泡立つ。

 互いに缶を揺らすと軽い乾杯を交わす。――そこから一本、消えるまではあっという間だった。

 口をつけて喉を鳴らしたと思えばそのまま天井を仰ぎ、再び缶がテーブルに足をつける頃には中身は空っぽになっていた。

 

「~~、っぷはぁーぁ! あ~コレよコレ。こんな飲み方、他じゃできないんだから」

「嘘こけ」

「うっさいバカ。ほらもう一本いくわよ! 寝かさないんだから!」

「俺朝イチでケル先の健康診断だっつーの」

「一本飲み干してんだから二本も三本も変わんないでしょ! ほら飲む!」

 ――カシュッ! 言うが早いか、すでに缶を開けて押しつけてくるブレイズの笑みに負けて男性オペレーターは受け取った酒を空にする。その飲みっぷりに機嫌を良くしたのか、酒の勢いもあってブレイズが次々とアルコール飲料を引っ張り出してきた。

 冷蔵庫から棚の下から、ベッドの下からクローゼットの奥から、どっからでも出てくる。一人で酒盛りでもする気だったのか、はたまたロドスをアルコール漬けにでもする気なのか。

 

「――でー、こっちがヴィクトリアのお酒でー……こっちがぁ、なんだっけー」

「その酒の話三回くらい聞いたぞ、今」

「あー、そうだっけ? うん、えっとさー、これがねー、サルカズのー、あははは!」

 ベロンベロンの泥酔状態。何が面白いのかブレイズは笑っている。おさけってこわい。

 代謝が上がっているせいで身体が火照る。それとは別に、酒が回っているせいでブレイズは顔が真っ赤だ。笑いながら上着を脱ぎ始めている。

 いい加減止めるべきだろうが、そんな暇もなくグラスに注いだ酒を煽る。

 

「のーみーなーさーいーよー、ほらぁ」

「アルハラってしらねーのかオメーは……」

「しーんなーいわよぉ」

 肩を揺らしてくるブレイズに呆れながら、男性オペレーターは酒を飲む。

 視線を向ければ、嬉しそうに破顔するブレイズの顔があった。口元は緩みきっており、フェリーンの耳が跳ねている。リラックスした様子で肩を預けてくるが、いかんせん上着を脱いでいるせいで少々刺激のある格好なのだが、当人はあまり気にかけていないのか身体を寄せたまま酒を飲んでいる。部屋を片付けたものの、このままでは空き缶散らかる汚部屋にフェリーンまっしぐら。

 だいぶ酒が回っているせいで男性オペレーターの方も思考と判断力が鈍る。

 否が応でも、目に入るのだ。その豊満なスタイルが。

 視線に気がついたのか、ブレイズがますます口角を釣り上げる。

 

「ちょっとー、どこ見てんのよ。ん~?」

「わかってて見せつけんなっての」

 インナーの胸元を指で広げて、わざとらしく手で仰ぐ。室温が高いせいか、ブレイズの胸元もまた汗ばんでいた。心なしか吐息も荒い。その熱の発生源は言うまでもなく、アーツ使用者張本人だ。せっかく身なりを綺麗にしたというのに、加湿器に負けぬ勢いで室温をキープしてくる。面白がっている相手を冷まさせようと空調機器のリモコンを探すが、どこにも見当たらなかった。

 よそ見をしていると、ブレイズの優しい吐息が耳をくすぐる。

 

「この、すけべ……♡」

「……部屋に昔の男連れ込んで酒の勢いで誘う女が、どの口で言うんだよ」

「ん~……?」

 トントン、と。指先で自分の唇をノック。惚けた目つきから、首を傾げながら上目遣いで迫るブレイズに男性オペレーターは固唾を飲む。高い体温から発せられる蒸れた汗の香りに、アルコールの匂いが混じっていた。すでにブレイズのインナーには汗が染み始めて谷間から如何ともし難い誘惑のフェロモンが漂っている。

 挑発してくるブレイズは、自分に手を出されるのを待っているのか青い瞳で真っ直ぐに見つめてきていた。そうまでされてやすやすと引き下がれるはずもない。据え膳食わぬはボイリングバースト。着火剤には責任を取ってもらう。

 男性オペレーターがブレイズの腰に手を回して引き寄せながら唇を重ねた。

 ――酒の残り香と、甘ったるい唾液の交じる音。

 

「ん、ん……ちょっ、ぁ……! んー、ふぅ……!」

 半ば強引に舌を口内にねじ込んで、そのままブレイズの舌を舐め回す。狭い口の中で逃げようとするのを絡みつく蛇のように追い詰めながら口を塞ぐ。途中、息継ぎしようとする相手の顔を掴まえて押し倒す。これは逃げられないと観念したのか、ブレイズも首に手を回してしがみついた。

 お互いに息を荒くしながら口を離すと、舌を繋ぐ唾液が糸を引く。

 

「はぁ、はぇ……♡ ――おしまい?」

 まだ余裕を見せるブレイズの細められた目つきに、男性オペレーターは再び舌を伸ばす。再び始まる口淫の最中、相手の脱ぎかけていた衣装を乱雑に脱がしていくと、そこで思い出したようにブレイズがそっと身体を押し退けた。

 

「ぁ、ちょ、ちょっとまって……」

「なんだよ」

「その……こんな空気にしといてなんだけど、さ……アタシ汗臭くない?」

「ぶっちゃけにおう」

「……シャワー、あびさせて」

「バカ言うな。こっちはもう我慢できねぇんだ。そのままヤラせろ」

「やっ、ちょ――もぅ強引なんだからぁ!」

 タイトスカートの中に手を入れ、蒸れた空気のこもる下着を弄りながらも空いている手でハリのある胸を鷲掴みにする。インナー越しから主張していた乳房は垂れることなく重力に逆らう形でありながらも、しっとりと汗ばんで柔らかい。自分から吸いつくように指から離れない胸を手のひら全体を使ってマッサージしていく。

 ブレイズは抵抗もできるだろうに、敢えてそれを受け入れていた。

 

「ねぇ……どう、アタシの身体は……?」

「ドスケベ極まりねぇな。っつうか胸デカくなったなお前、ケツも」

「アタシのこと普段からそんな目で見てたの? サイテー」

「むしろお前をそんな目で見るなって方が無理な空気だろ。この」

「ん、ゥ!」

 乳首を指で弾くと、小さく驚いた声を挙げる。そうしている間も下着越しに秘部を撫でていた手に湿りを感じた。

 

「体温高いよな、ブレイズ」

「それは……アーツの都合上仕方ないじゃない」

「……すげぇ抱き心地良さそうだよな」

「…………えっちぃー♡」

 ブレイズの視線が向かったのは、男性オペレーターのズボン。その股間は期待に膨らんでいるのがわかるほど主張している。手を伸ばしてファスナーを下ろしていくと、すぐにその中から息苦しそうにしていた性器を取り出す。だが、ブレイズは初めて目にする男性器に熱い吐息をこぼした。

 

「こんなに熱くして、ガッチガチにしちゃって……アタシのこと、これでどうする気?」

「今夜は寝かせてくれないんだろ?」

 ブレイズに馬乗りになると、谷間に怒張した男性器を押しつけてこすり始める。汗で多少ぬめりがあるとはいえ、それでも少し皮が引っかかる程度の摩擦にブレイズは口の中に唾液を溜め込む。少しだけ身体を起こすと、先端を咥えて丹念に塗りつけていく。

 

「ン、く……はぁ……これでどう?」

「……お前こんなん誰から教わるんだ」

「誰でもいーでしょ、気持ちよくなりたいんなら早く、ほら♡」

 自分から胸を押しつけて谷間に男性器を挟み込むと男性オペレーターは促されて腰を動かし始めた。ブレイズの体温に、胸の柔らかさと唾液のおかげで谷間を犯す度に本物の女性器に近い。

 

「っ――」

「あ……♡ 気持ちよさそうな顔。そんなにアタシの胸を犯すの気持ちいーんだ? アタシも胸でするの嫌いじゃないよ。ほぉら頑張りなさい♡」

 腰を打ち付ける度に顔を覗かせる亀頭が膨らむ。火傷にも似た感触を包みながら、ブレイズは唾液が尽きないように舌を出した。そのせいでますます強まる刺激に男性オペレーターが腰の動きを激しくさせる。

 

「イきそうな時は好きに出しちゃっていいから……♡」

「くっ……ブレイズ、もっと胸締めてくれ」

「もっと? こう?」

「ぅ、お……!」

 熱く脈打ち、胸の中で震える男性器から熱いモノが溢れ出したと思った次の瞬間――ブレイズの谷間に白濁液をぶち撒けていく。

 

「わ、まだ出てる……ねーちょっと、貯めすぎなんじゃない? あっ、溢れ……んっ♡」

 射精の勢いも収まらぬまま、口の中に亀頭を突っ込まれた。口内に注ぎ込まれる精液を頬張りながら、ブレイズは収まるのを待つ。

 谷間だけでなく口から溢れそうなほど吐き出したところでようやく収まり、ブレイズは口の中を開けて見せた。それから、少しだけ間を置いて……ゴクン、と喉を鳴らして一息に飲み込んだ次の瞬間、眉をひそめる。その顔はまるで口にした酒が合わなかったような苦い顔。

 

「ぅ、えぇ……なにこれぇ――おいしくないんだけど……」

 胸の谷間を広げ、まだ湯気の残る精液を見てブレイズは太ももを擦り合わせる。

 

「アタシのおっぱい、そんなに気持ちよかったんだ? 辛抱できずに射精しちゃうくらいー♡」

「……溜まってたんだよ」

「そうみたいね。だって、まだ全然満足してなさそうだし……♡」

 先端から精液を垂らしながらも力強く上を向いている男性器を見てブレイズが舌なめずりをしていた。

 

 

 

 お互いに着ていた服を脱ぎ捨てて一糸まとわぬ裸体同士。生まれたままの姿で身体を重ねる。男性オペレーターに跨がり、腰を緩やかに前後させるブレイズの吐息は熱く、荒くなっていた。これから行う性行為に対して抑えきれやまぬ興奮を隠しきれていない。

 

「アンタが……はぁ……あんなに必死にするもんだから、アタシまでスイッチ入っちゃったじゃない……責任取りなさいよね」

 言葉半ばに、男性オペレーターの手はブレイズの引き締められた肢体に添えられていた。身体のラインをなぞるように優しく太ももから骨盤、腰から徐々に上に這っていく。触れるか触れないかというフェザータッチの愛撫に身体を小刻みに震わせながらも、ブレイズは覆いかぶさる形で腰の動きを止めなかった。

 ――男性オペレーターの身体は、お世辞にも綺麗とは言えない。その全身には様々な傷跡が生々しく残っている。それは治療を受けずに自己回復力に任せた杜撰な治療による副作用だ。ロドスでなら、或いは現地で速やかに治療を受けていれば傷跡くらいアーツで隠すくらいはできる。

 

「――――」

「……ブレイズ?」

 胸板の傷跡を指でなぞり、吐息をこぼしていた顔がくしゃりと涙で歪む。目尻から熱い雫が流れるのは、それから間もなくだった。

 

「……なんで?」

「急になんだよ。酔ってんのか?」

「アタシが鉱石病だって、キミ知ってるよね」

 それは、治療法の確立されていない病。一度感染すれば逃れ得ぬ死を約束される遅効性の死刑宣告。症例は様々だが、ブレイズは目視できるほど悪化していない。主に体内でその症状は緩やかに進行している。エリートペレーターの役職上、危険に身を晒すなど日常茶飯事だ。

 感染者のために身を投げ打つ覚悟はとうにできている。その使命は命よりも重いものだ。

 男性オペレーターも忘れたわけではない。いつ爆発するともわからない爆弾を目の前にして、なぜ平然としていられるのか。

 ロドスはそんな感染者を受け入れる唯一の場所だ。この広い惑星の中で。だから忘れそうになる。この優しいゆりかごの外は、鉱石病患者が生きていくには極めて厳しい環境だ。

 ――こうしていると、忘れそうになる。まるで自分が“普通の女の子”なんだと。

 

「アタシのこと怖くないの?」

「怒ってなけりゃな」

「そうじゃなくて! ――アタシ、感染者なんだよ?」

「……だから?」

「だから――!」

 未来に希望をもたせるようなことをしないでほしい。自分の命は感染者の未来のために使うと決めているのだから。普通の生き方なんてできやしない。

 燃えて、燃えて。燃え尽きて、力尽きるその時まで尽力すると決めたのに。

 男性オペレーターが手を伸ばして、ブレイズの涙を拭う。

 

「俺は、知らねぇ。鉱石病だろうが、そうじゃなかろうが」

「んっ……っじゃあなんで」

「――そりゃお前がキレイな女の子だからだ。文句あっか」

「………………ははっ、なによそれ」

 変な笑いがこみ上げてくる。呆れてものも言えないとはこのことか。

 だけど、きっと。こんなバカな考えがこの世界には必要なんだ。感染者を当たり前のように受け入れて、普通に接してくれる、そんな底抜けたバカな思想が。

 グッと下から突き上げられてブレイズの湿った秘部に男性器が押し当てられる。焼きごてのように熱く滾った欲望の塊は、今かまだかと急かしていた。

 

「大体お前。こんなエロい身体しといて今更なんだその言い草、知った事か。余計なこと考えんな、酒飲ますぞ」

「エロいって、キミね……他のオペレーターもそんな目で見てたら承知しないんだから」

「……ぶっちゃけそういう目で見てる奴もいた」

「アーンーターねー!」

 腰を押しつけて、ブレイズは涙を拭ってから笑ってみせる。それから亀頭を自分の秘部に擦り付けてから、腰を落としていった。難なく咥えこんでいくが、慣れない感触に戸惑う。

 

「そんなこと言えない身体にしてやるんだから、覚悟しなさい、よ!」

 それでも身体を震わせて、徐々に膣の中に挿入されていく性器の主張は衰えるどころか増々激しくなっていた。体内から響く血流の脈動すら肉壁を通して感じる。

 下腹部に手を当てれば、自分と繋がっていることが確認できた。それがますますブレイズの興奮を煽る。ここまできてしまったのだ。もはや体力の続く限り性行為に及ぶだけ。

 

「――んぅ……ふふ、ほら。入っちゃったわよ。どう?」

「すげぇ、熱いな……! 溶けそうだ」

「キミのも……すっごく熱い。中でビクビク震えて……♡」

 今から、これで自分は犯されるのだ――そう考えるだけでブレイズの身体はますます火照る。その熱は腟内に咥えこんだ男性器にまで伝わり、男性オペレーターが反応した。それを見下ろしていたブレイズが「フーン……♡」と、小さく呟いて口元に笑みを浮かべる。

 

「こういうの、好きだったりするんじゃない……?」

 腰を落としたままゆっくりと円を描くように動かしていくと、ますます自分の中で反応をみせる顔を見て嬉しそうに破顔した。

 

「やっぱり、好きなんじゃない♡ ほーら、どう?」

「テッメ……! それ、やめろ……!」

「んふふ~。グリグリされて、気持ちよさそうな顔してるくせに~……!」

 男性オペレーターがブレイズの腰を掴み、そのままゆっくりと引き抜くと再度挿入させていく。今度は打って変わって主導権を握ると、腰を打ちつけ始めた。

 

「ひ、ィン♡ ちょ、ちょっと!」

「うる、っせ! テメちょっと調子乗んな……!」

 下から突き上げられて、ブレイズが嬌声を挙げる。身体だけでなく、声までもが悦びに染まっており、全身の細胞がそれを求めていたかのように打ち震えていた。

 身体が揺らされるたびにその豊満な胸が跳ねる。だがブレイズはそれを抑えずに腰を震わせた。打ちつけられると、溢れた愛液が二人の股間を濡らしていく。

 

「割と、乱暴にされるの好きなくせに……!」

「そんっなわけ……!」

「口で言う割に――!」

 男性オペレーターが腰から手を離して、揺れる胸を鷲掴みにする。その先端は力強く勃ち、指で摘めるほどに固くなっていた。ブレイズの口からますます甘い声が漏れる。チリチリとした熱い風に撫でられながらも、腰の動きは止めない。

 

「あっ、はぁ♡ おなかの、奥まで……! コレ、だめ、待って! ほん、と……激しくしちゃダメだってば♡」

 口では拒絶しながらも、自分からも腰を落として子宮にまで届く男性器を貪る。自分の膣内で強く脈打つ感覚に腰が甘く蕩けそうになりながらもブレイズは男性オペレーターの動きに合わせて腰を振っていた。

 深く長いストロークで、膣の肉壁をカリでかき乱されるたびにブレイズの腰を快楽が駆け上がる。腰が抜けそうになるのを堪らえようと踏ん張ると、ますます締め付けて明確に陰茎の形を覚えてしまう。

 

「イ、ク! だめ、アタシもう、イッちゃ――!」

 ブレイズが達しそうになる瞬間、男性オペレーターも腰に手を回して一際強く打ちつけた。強烈に突き上げられた子宮に、突如暴力的に注ぎ込まれる熱量には不意を突かれて今度こそ腰を痙攣させながら絶頂する。

 

「あ”ッ♡ は、あぁ――! ~~~~、出て……る……」

 膣に搾られながら暴れる陰茎からは、ポンプのように溜め込まれた精液がせり上がってきていた。脈打つ度にそれが自分の中を駆け上がって注がれていく感覚に腰を抜かしながら、ブレイズは男性オペレーターに覆いかぶさる。

 

「ん、くうぅぅ……♡ はぁ、はぁ……熱くて、ヤケドしちゃいそ……」

「っ――ブレイズ……!」

「あ……♡ ん~、ふふっ…………ちょっと、出し過ぎ……」

 頬を寄せて、優しい声色で耳打ちしてくるブレイズに男性オペレーターは陰茎を引き抜きながら深く息を吐き出した。

 

「……うっせ。チンコもげるかと思ったわ……」

「……キミとは、身体の相性良いのかもね」

「かもな……」

 部屋の空調が果たして本当に仕事をしているのか。雄と雌の臭いが充満する室内で、汗の臭いに混じって石鹸シャンプーと鉄と火薬の香りが男性オペレーターの鼻につく。ブレイズの首元に頭を寄せて肺一杯に息を吸い込むと、くすぐったそうに身体をよじった。

 

「すぅー……」

「ゃ、ん……♡ ちょっと、嗅がないでってば」

「あ~……」

「……しみじみ言うな、このヘンタ、イ……!」

 ペチン、と。自分の尻肉に当てられる熱い肉棒にブレイズが熱い吐息をこぼす。

 

「……えっち♡」

「その気になってるお前も人のこと言えないだろう、が!」

「きゃんっ」

 組み伏せられて、仰向けに寝転がるブレイズの足を持ち上げて開かせるとベッドに押し倒す。露わにされる秘部からは注がれた精液が溢れている。愛液で濡れそぼつ割れ目にまだいきり立つ陰茎を当てるとブレイズが唇をつぐむ。

 まだ自分が犯されるのだと、嫌でも理解させられる。徐々に押し込まれていく陰茎は先程よりもスムーズに挿入されていく。一度は閉じかけた陰唇が再び口を開けて飲み込んでいくと、奥まで一気に挿された。シーツを掴んで仰け反るブレイズに、男性オペレーターはのしかかるようにして全身で姿勢を固定する。

 

「ほら……ブレイズ、見えてるか?」

「や、だぁ……! バカ、見せないでよ!」

 嫌でも見えてしまう結合部を見せつけるように足を開かせて、男性オペレーターはゆっくりと押し込んだ腰を引いていく。口をすぼめて吸い付いた陰唇が自分の意思と反して咥えて離そうとしない。

 それがやけに恥ずかしくて、ブレイズは男性オペレーターを睨みつけるものの――相手は、何故かそんな怒る顔を見て笑っていた。

 顔を近づけて、唇を重ねる。

 

「んっ――! ん、んー……!!」

 口内に入り込んでくる熱い感触。舌を伸ばして、それを受け入れながら首に手を回して抱きしめると、身体を密着させて抱きついてくる。

 全身で感じる相手の体温に満たされながらも、それでもまだ求めてしまう貪欲さにブレイズが足を使って男性オペレーターを捕らえた。

 

「ん、はァ……! ね、もっと……」

 ねだるブレイズの甘い声に応えるように動きが激しくなると、ますますベッドの軋みが激しくなる。浅瀬だけでなく指では届かない奥の方を刺激されて身体が疼いてしまう。弱点を弄るような腰使いも緩急を挟んで行われて、ブレイズは足腰から力が抜け、されるがまま快楽を受け入れる。

 溢れ出す愛液によってシーツはすでにびしょ濡れになっていた。執拗に攻められるGスポットにブレイズが腰を仰け反らせる。それでも男性オペレーターは身体を抱きしめて離さなかった。

 

「ぁ、ハ! ダメっ♡ そこ、おかしくなる! グリグリ、しちゃっ、ァ♡ イ”ッ――!」

 頭の中が真っ白になっていく。何も考えられなくなるほど激しく身体が打ちつけられる。よだれを垂らし、口をだらしなく開けたブレイズが休む間もなく二度目の絶頂を迎えた。引き抜かれそうになっていた陰茎が射精しながら子宮口まで達し、本能的に受け入れてしまう。

 身も心も満たされていく充足感に全身の力が抜けていくブレイズの拘束が緩む。

 

「ぁ、ちょ……待っ……!」

「ん……どうした?」

「やっ、あ、これ、待って! ぁ、だめ、待ってまって、まっ、~~~~!!!」

 身体をブルと震わせたかと思うと、次の瞬間――男性オペレーターは結合部から熱い液体を浴びせられていた。

 ブレイズの顔が真っ赤になっている。フェリーン族の耳までペタンと垂れ下がり、その目尻には涙が浮かんでいた。

 

「~~……は、あ……」

「……あー……もしかして……」

「……もらし、ちゃった……も、さいあく……」

 恥ずかしさのあまり、今にも泣き出しそうなブレイズの顔に頬ずりすると、男性オペレーターは目尻に溜まった涙を舐め取る。

 

「ぅ、う”~~……!! あ~、もー……キミの……せいなんだからぁ……」

「ん~……」

 ブレイズの身体を抱きしめていると、やがて落ち着いた寝息が聞こえてきた。ジットリと汗ばんだ身体は雌の匂いに満ちて鼻腔から興奮を煽る。しかし、寝静まった相手に肉欲をぶつける気にはなれず、最後に一度だけ首元にキスをしてから名残惜しそうに離れた。

 

 

 

 ――夜明けを待つばかりのロドスアイランド号。人気のない医療部門責任者の部屋がノックされた。カルテに目を通していたケルシーが顔を見せると、そこにいたのは酒瓶を持った男性オペレーターが立っていた。

 

「……君は明朝一番に検診のはずだったが」

「ケルシー先生。これやるよ」

 渡されたのは古臭く、ラベルの擦り切れた酒瓶。長い歳月、封を開けられることのなかったワインの銘柄にケルシーは目を細める。

 

「滅多に出回らない高級品だぞ? どこで――」

「いいさ。それと、コレも返すよ――俺にはもう必要ないものだから」

 ロドスのIDカードを外し、ケルシーに押しつけた男性オペレーターは鼻で笑った。

 

「…………行くのか?」

 なんとなく、もう二度と会えない予感がした。その確信めいた問いに、男性オペレーターはやはり不敵な笑みを浮かべる。

 

「ああ。もう此処に戻ることはないからよ」

「……そうか」

「――俺は、あの人好きだったよ。だけどここにはもういないんだろ?」

 男性オペレーターの言う人物が何者を指しているのかは、古いオペレーターだけが知っていた。

 ――テレジア。

 

「その酒はブレイズとでも呑んでくれ。それじゃあな」

 背を向けて船を降りようとする男性オペレーターを、一度だけ呼び止める。

 

「……私は、君のその不遜な態度が嫌いではなかった。多少不愉快ではあったがね。それでも、君の感染者に対する価値観は貴重なものだった。我々ロドスとしても見倣うべきところもある――だがそれだけだ。それ以外が君は本当に壊滅的に駄目だからな」

「はは、手厳しいこって。そうだよ、俺は駄目なやつだ。そしてダメな林檎は、他の林檎も腐らせちまうんだ――だから、ケルシー先生。俺はこの船を降りるよ。俺のデータも抹消しといてくれ」

 ロドス・アイランド号は、感染者の明日を運ぶ船だ。

 そんな希望を載せた船に長居すべきではない。

 

「後の面倒なことは、全部任すさ。今更一人分くらいの仕事、屁でもないだろう?」

 ひらひらと手を振って、男性オペレーターは歩き出した。

 

「君はひとつ勘違いをしている――辛くない別れなど、私には無い。そしてそれを忘れないと決めている」

「そうかい。俺は忘れっぽいんだ。――感染者の明日に幸あれ。未来は託した」

 

 

 

 ――そうして、彼は船を降りた。明日を運ぶロドスアイランド号から。

 荒野に一人立ち、やがて空を見上げる。黒雲が渦巻き、嵐の訪れを告げていた。

 背を向けて歩き始めて、間もなく暴風雨が叩きつけられる。

 天災。

 この惑星テラで頻発する超常の自然災害。制御不能の悪戯に向けて彼は臆することなく歩く。

 

 そして、居た。荒れ果てた広大な荒野に立つ怪物が。

 向かい合い、視線を交わす。

 ――“燃える三眼”の怪物が、顔を歪めて笑う。

 ――男性オペレーターもまた、笑っていた。

 

「こんな怪物、放っておけるかよ――生きろよ、ブレイズ」

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