凄く……困った、冒険者の私は魔物の討伐を生業としていた。
他の依頼は正直私には合わない……薬草採取はまだ出来なくない。
駆け出しの頃は薬草にお世話になっていたから。
薬草を煎じて汁にして飲んだり傷口に塗ったり……めちゃくちゃ痛かった。
薬草自体は臭いも強いし形も独特でわかりやすい、だから採取も特別な知識を要さない。
文字通りの駆け出し冒険者の食い扶持稼ぎ……
……今日も元気に魔物狩りしようとしたら受付でダメって言われた。
もうかれこれ20日連続討伐任務ばっかりしてるから偶には休めって。
稼ぎも困ってないでしょう?とか……えー……孤児院とかに寄付してるけど?
……困った他の依頼も、魔物と遭遇する可能性がある依頼はほぼ軒並み別な冒険者に取られてる。
商隊護衛とか……近辺調査とか……根回しされてる……!
「……そんなにヤバい?」
「ヤバいです、普通そんな20日連続とかしないです」
「そっか……」
「やる気があるのは結構ですけど少しは自分の為につかってください、ちょうどいい依頼もありますから」
「……」
チラッと他の冒険者を見る、視線をさっと外された。
味方はなし、孤立無援……ひ、一人くらいサボるって選択肢はないの?
パーティーを組んでってのは私には合わないし……
速度と火力に重点を置く一撃離脱戦法を主軸とした物、回りに誰かが居たら本領を発揮出来ない。
後方支援の魔法使い?巻き込まれて私もこんがりってオチ。
囮役がいたら良い?少し楽になるけど警戒態勢に入っているのを襲うより奇襲でスパッと行けるソロがもっと楽。
……基本的にソロなのはこういう所があるから。
ちょうどいい依頼っていうのも……正直私向けじゃない気がする。
「これ、指定?」
「ミオさんが良いとの事です」
「……隣街は?」
「ダメです、ソチラも討伐系はありませんよ、大人しく休め」
思わず渋面してしまう……まぁ、そうなるとこの依頼を受けるしか無い。
依頼書の中身に再び目を落としてみれば……期間は一週間、休めって言うには十分過ぎる期間。
そこまでして来るものか……まぁ、仕方ないか。
場所は近隣にある森の奥、ポツンと一軒家……人混みが嫌いな錬金術師とか?
またすんごい報酬なのも気になるな、何かあるかも。
……魔物討伐……打って出る事は出来なくて向こうから来ないとダメか。
身辺警護が依頼だし、付かず離れずを意識しないといけない。
ぶっちゃけて言えば私なんかより魔法使いの誰かしらが合ってると思うんだけど。
「支度して出る、一週間後にまたね」
道中に魔物が出てくるかもしれないし、警護に当たるから武器装備は勿論……
あとは私の着替え数点と……暇潰しの本かな。
寝泊まりしてる部屋から引っ張り出して……一週間なんとかしよう。
契約上の特記事項に食事、寝具、お風呂等は全部向こう持ちみたいだから。
「ユイ……ね、誰だろう?」
記憶に無いけど、何処かで会ったりしてたかな?
私名指しでって言うくらいだから向こうは知ってるだろうけど。
ユイって名前にピンと来ない……会えば分かるかもしれないし行くしか無いか。
キレイに均されて歩きやすい道が続く。
道中の草原は人の行き来が多くて踏み固まっているのは理解できる。
でも森の中もってなるとかなり人の手が入っている証だ。
足繁く通う誰かが居たりするんだろうか?
それとも道如きに保存魔法を掛けたり……?マナストーンと合わせれば出来なくは無いだろうけど。
マナストーン自身に術式を埋め込んで……後は埋め込めば自然から取り込まれる魔力で常時発動。
魔力量があまり多く必要としない低燃費魔法しかやれないのが難点。
それにコストが馬鹿みたいに高く付くからよっぽどのもの好きじゃない限りは……
私達が手にするマナストーンとは訳が違う……使い捨ての魔力回復アイテムじゃない。
延々と使い続けられる純度の高いマナストーン……金貨何枚分だろう?
「……ん、あれかな?」
比較的明るい森の奥……見えてきた小綺麗な一軒家。
工房っぽいのもあるから魔法の研究者か、錬金術師ってところかな。
結界を張っているとかって書いてあったし魔法の心得があるのは間違いないかな。
あ、魔導具の制作者ってのもあり得るか。
特徴とかも事前に聞いた通りだし……あ、何か通った。
多分結界を通過したんだと思う、人間はスッと通してくれるタイプ?
あ、家の方から音が……誰か出てきた。
真っ赤な髪の毛……身長は私よりちょっと小さいてい……胸があるっ……
くぅっ……何が違うんだ……何が……!
「こーんにちはー!!貴女がミオさんですか!?」
「あ、あぁ……うん、そうだけど……」
「今日から一週間お世話になりますっ、私はユイって言います、よろしくお願いしますねっ♪」
すごく元気な子だな……ちょっと押される。
元気いっぱいで……私とは色々と正反対な感じ。
「ささぁ中へどうぞー、今日はうんっと腕によりをかけておもてなししますからっ!」
「……そう」
私、仕事に来たはずなんだけど……?
招かれるがままに玄関から中へ入ると……凄く良い匂い。
うぅ、お腹が減ってくる匂いだ。
「今日のお昼は~……じゃんっ、季節野菜のポタージュスープとピザトースト、そしてソーセージとお野菜の盛り合わせ」
「……来る時間帯、言ってたっけ?」
「ううん、けど真面目なミオさんならこの時間くらいかなぁって……えへへ、一緒に食べましょう!」
「えぇ……これ、貴女の手作り?」
「はいっ♪戦闘は出来ませんけど、それ以外はまっかせてくださいっ」
居間に入ってみれば二人囲むにはちょっと大きめのテーブルと小洒落た椅子。
そしてテーブルの上にはホッカホカのスープにトースト2枚、盛り合わせのサラダ……作りたてみたい。
これから食事するからって促されて座って……一口食べてみて……ここに長いこと居たら太ると思った。
めちゃくちゃ美味い、正直この味なら金を取るべきレベル。
おかわり……しちゃおうかな。お腹がぐぅぐぅ鳴く……!
「おかわりはありますからね、他にもリクエストがあったら」
「……」
ゆ、揺れる……厚かましくおねだりしても良いけど、それやって怒られない?
とにかくこれを平らげてから……
「……美味しい」
「えへっ♪」
トーストのカリカリ具合、たまらない……ふわっと香る小麦とバター……そしてこの、チーズにケチャップ。
トッピングの一つ一つも新鮮そのもので食感が良い、玉ねぎのシャキシャキ感も……
ポタージュスープは自然の旨味そのものが抽出されたかのよう。
優しく、身体の内側から温めてくれるし落ち着く……
新鮮野菜のサラダもドレッシングが良い酸味を加えていて食が進むっ……!
ソーセージもこれパリッパリと良い音ぉ……でもこれ何処から仕入れて……?
「家庭菜園でお野菜作ってるんですけど、お口にあって何よりですっ♪」
「……スゴイ、ソーセージも?」
「ふふん、その通りっ!流石に豚さんは飼育してませんけど魔導具の保存庫で部位一個一個しーっかり保存して……」
「……私には出来ない、尊敬する」
料理、出来たほうが良いんだろうけど私は簡素なのしか出来ないし。
こういう腸詰めとかはできる気がしない。
家庭菜園もそう、面倒見てられない。
「あ、スープ空になっちゃいましたね、おかわりは要ります?」
「……欲しい」
「少し待っててくださいねっ」
頼られるのが好きなんだろうか、私が怖ず怖ずと……早速すっからかんにしたスープ皿を差し出すとスキップしながら……
あぁあのカウンター奥がキッチンなのか、色々機材も揃っていて凄いな。
「あ、遠慮とかは無しでお願いしますっ、私はこれでも楽しんでやってますから!」
「楽しそうなのは見てれば分かる」
「そんなっ……顔に出てました?」
「バリバリ出てる」
……愉快な子、少なくとも一週間は一緒に居てもいいかなって具合。
食べ過ぎないようには注意しないと……
「えへへ、あむ……」
「……ユイ、ちょっと……」
「ふへ?あ、ついてました?」
「取れた、大口で頬張るからよ……」
抜けてる部分もあるから何というか……妹みたいね。
歳はそう離れてないと思うし、微笑ましいわ。
食事を終えたら私の本来の仕事に戻る。
身辺警護……魔物が寄ってくるって話だから警戒に出る。
……といっても結界の張り主であるユイが検知してからでも遅くない。
結界は二種類張り巡らされていて、接近検知の結界が広めに展開。
その内側に魔物除けの結界が張られている、緩衝してくれる結界もあるから近寄ってきたヤツを狩れば良い。
「ミオさんミオさん、ちょっと良いですか?」
「……なに?」
「えへへ、私のワガママに付き合ってくれますか?一応依頼書にも書いてましたけど!」
ワガママ……子供のワガママとかなら良いけど、内容を聞いてみないことには判別出来ない。
ちょっと無理をする程度なら仕事の内だからって請け負えるけど。
「ワガママって?」
「えっと、最近研究中の自衛用の魔法の相手をして欲しいんです」
「その魔法は?」
「催眠術です、えっと……通じれば魔物だって回れ右して帰らせることが出来ますので」
「なるほど……」
理には適ってる、凄くスマート。
けれどそれってかなりリスキーじゃない……?
催眠術って魔法の一種だけど後遺症が残るリスクもある。
特に抵抗もなしに受けた場合は……
「あ、あぁ本当に軽い催眠なので……第一本気で掛けたら冒険者組合の方々が黙ってませんよ、ダメ?」
「……本当に危ないと思ったら中断してもらうわ」
「やたっ♪じゃあじゃあ……」
古典的な催眠術なわけもなく、割と本格的。
……どんな事を刷り込まれそうになるのか……ひやひやする。
「えっと……この指をじっと見てくださいね、いきますよー」
催眠の淡い光が目の前に……魔物ならほぼこれを視認する。
魔法生物も魔力に惹かれて……認識することだろう。
撃退だけを考えたら催眠術は本当に良い選択肢だと思うけど……私で実験するのは、ねぇ……
「えーっと……私をぎゅっと抱きしめてくださいっ」
「……甘えたいの?」
催眠術なんてやらなくても……う、うぅん?
仕事だし、ワガママってこんな可愛いのならいくらでも……
「……えへへ♪」
ワガママっていうのはそういう、独り身の子の甘えたい衝動みたいな物ばかりだった。
正直途中から催眠が深くなって……私らしくないスキンシップの盛り合わせに付き合っていた。
初手のハグだって私らしくは……無かったと思う。
まぁそれは良い、事が終わった後はしっかり戻ったと思うし……
幸いにして魔物も来ることは無かった……初日はただただワガママの催眠術の実験台にされただけ。
気がつけば日が落ちてきていた、魔物が活発化するけれども同時に縄張り争いで互いにやり合う時間。
運が良ければ何事も無く終わる……
日が落ちれば晩御飯の支度が始まった。
かなり……お腹が減ってくる、良いお肉が焼かれてるらしい……
夜は凄くどっしり……私も身体が資本の冒険者、こう……どっかり来るのは良い。
……マズイなぁ、胃袋を掴まれたかも。
昼間のトースト、スープ、サラダがめちゃくちゃ美味しかったのがリフレインしてくる。
そして今まさに調理されている音、匂い……絶対に美味しい。
「ミオさーん……あは、楽しみですか?」
「……うん、とても……楽しみ、顔に出てた?」
「出てた出てた、そんなに楽しみに思ってくれてると嬉しいですね♪」
昼間の真逆みたいな事をされてしまった。
……うっ、顔が熱い。ニヤニヤとしてくるじゃない。
「もう少しかかりますから今のうちにお風呂を浴びてきたらどうでしょーか」
「……その間に魔物が来たらどうするのよ」
「そんなすぐに破られる物じゃないですから大丈夫ですよ、長風呂で一時間以上かかるなら別ですけど……」
「そう……」
あぁ、警護って即応性が必要なわけじゃなく……駐屯して欲しいって感じ?
耐えることはできるけれども何時間も出来ないから必要に応じて出張る冒険者が欲しいって感じか。
正直依頼って形にしなくても雇用したほうが良いだろうに……
……あの様子だと色んな人をもてなすのが好きなんだろうか?
持ち込んだ着替えを手に浴室へ……タオル類はここのを使って良いって話。
流石に洗濯とかは手伝おうって思うんだけど……魔導具で手早く済ませてるからOKですって。
さて、大まかな間取りは昼食の後にちょこっと聞いたけど、お風呂場ってどうなのかしら?
魔導具いっぱい取り揃えてるし中々良く整えられてると思う。
大きいって言ってたし大人二人がのびのびって感じ……?
脱衣所も結構大きめ、カゴが4つ程、ふーん……予想より大きめかも。
あぁやっぱり魔導具で湯を沸かせてるのね、贅沢……効能表とかもある。
何々……疲労肩こり腰痛……あぁまぁこの辺はありきたり。
そんなに大した……ッ!
「豊胸……!」
あの子の乳はこれが要因かっ!
入るしか無い、効能がすぐ出なくても……そう遠くない内に出ると信じて……!
浴室は、かなり広かった。
想像の二倍は大きくて小さな宿なんかじゃ太刀打ち出来ないようなとても立派な風呂。
もしかしなくてもユイってかなりイイところのお嬢様って感じ?
いや、それにしては家庭的過ぎる……家事全般がかなり手早く出来ている。
お嬢様の線はない……詳細不明だしこんな依頼が出てきていたっけ……?
うーん、思い出せないなぁ……
先に髪やら身体やら洗ったけど、石鹸一つ一つがかなり高品質。
匂いだって私好み、落ち着く香りで……趣味が合う、のか?
「……大きくなれ」
肩までどっぷりと浸かっている浴槽は立派な上に凝ってる。
自然の中をテーマにしてるみたいで各種石鹸類を置いている棚は木を模っている。
浴槽及び床は石造り……肌を傷つけない様にツルッツルに磨かれている、凄い。
魔導具で作られたお湯が流れ出る口も余り見ない……竹で作られていて風情あふれる。
書物で見た温泉という物の一つの極地を見た気がする……
まぁもっとも私が気にしているのは効能の豊胸……!すりすりとぺったんな胸に刷り込んでいく。
これが後6日はある……それとなーく効能の具合をユイに聞いても良いかも知れない。
聞くタイミングはいくらでもあるし……
「ふぅ……いつもは水浴びとかで済ませてるけど、良いな」
あまり裕福ではない私は身体の汚れを落とそうとすると大体は水浴びになる。
街だったら大衆浴場とかでって言うのもできるけど節制の観点から一週間に数度程度。
毎日ってなると贅沢って思える……ましてや一人でこんな広い浴槽……
全身の緊張がほぐれてぽやぽやしてくる……
――――かわいいなぁミオちゃん
ふと、ゾワッとする感覚が襲う。なんだ?何だ今の……
変な幻聴……?催眠術の後遺症だったりしない?
気にしだしたら何処からか見られてるような気がしてならない。
……ワガママもちょっと対応考えたほうが良いかも知れないわね。
「美味しいご飯を食べて……忘れよう……」
全く……一人で魔物が出る場所に居るわけじゃないんだから……
早い気がするけど、もう上がって髪とか乾かすか……
カラカラ音を立てて浴室から出ると……うわ、ふわっふわのタオルが置かれてた。
出したりした覚えはない……となるとユイが?
気が利くけどそこまでする?というか料理は……うーん……
まぁ、ご厚意には甘えよう、深く考えすぎてもドツボにはまるだけ。
組合を通しているから結構な信用はあるんだろうし……
「うわぁ……上質、見た目通りふわふわ……」
ちょっとタオルを取ってみればその質感に感動。
……普段使ってるのを思い浮かべると惨めになるなぁ。
コンコンコン
「ミオさーん、上がりましたー?」
「……え、えぇ……今上がった所だけど」
「お料理はもう大体終わったのでー……えへへ、湯上がりのお節介に来ましたー!」
ぎょっとする、何やら色々と持って……髪を乾かしておしまいで良いんじゃないの……?
あれよあれよという間に鏡の前に座らされて……
「ミオさん、とっても可愛いんだからもうちょっと美容にも気をつけた方がいいですよ」
「……冒険者にそんな暇……うぷ、にゃにしゅ……もがもが……」
「まずは肌の保湿ですっ……化粧っ気がないなぁーって思ってましたけど……うわぁ、すごい浸透」
み、未知の世界に引きずり込まれてるっ……!
顔やら腕やら……色々と揉み込まれたりした。
美容って、もっと上の人間がするものじゃない……?あとは組合の受付さんとか。
私がしても……男の子と間違われるくらいにぺったんなんだし……無愛想なんだし……
初日はそうやって……大歓迎を受けて昼間から食事、風呂……色々とかなりの接待を受けた。
依頼って形だけど、本当にこれで仕事になってるの……?
晩御飯だって凄く美味しかったし……あんなにすぱーっと歯で噛み切れるお肉、久しく食べてない。
噛めば噛むほど旨味を吸った肉汁が溢れてきてちょっと口の中焼いた。
充てがわれた寝室だって宿の極上ランクって言って差し支えないレベル……
ふわっふわのベッドに空調が効いたちょうどいい室温……クローゼットもあって……あ、ここにも魔導具。
衣服の汚れとか臭いを分解してくれるヤツだ……洗濯要らずって事でいろんな所で愛用されてる高級品。
……明日の朝を拝められないってオチだったりしないわよね?
武器の刀を抱きかかえて……ベッドの上へ。
「ふわぁぁぁぁ……すごぉ、包まれる……」
未体験……肌に触れるサラサラなシーツ、私の軽い体重でもふんわり沈んで……包み込むクッション。
枕も……うわ、私にぴったり……寝やすい……
安眠しちゃいけないけど気を抜いたらすとーんと寝ちゃいそうな寝具の数々……
これは地獄だ……気兼ねなく……寝たい……!
二日目の朝、魔物はまるで来る様子がなく結局ピリピリしてただけ損した感じ。
いくらか緩くしていた夜襲対策に着ていた服を脱いで……同じのだけど別な新しいのを着る。
……ちょっと、胸が大きくなってる……?気の所為?
「おっはよーございまーす!!!」
「ッ……お、おはよう……ノックくらいはして……!」
「あっ……たはー、ごめんなさい……」
……何か魔導具で検知してるのかしら?
起きてすぐさま飛んできたじゃない。
着替え中で下着姿を見られるっていうハプニングになったし……
もしかして……狙ってやってないかしら?
その辺も問わないといけないわね、もてなされてるのは間違いないけど……
「あ、朝ごはんも出来てますのでー!」
……くっ、その一言とほんのり香ってくる匂いでお腹が目覚めたわね。
お腹すいた、朝ごはんはなんだろう、香ばしい匂い……
気持ち早めに支度して寝室から出る……
結論から言えば朝ごはんも絶品も絶品……自家製パンとバターがめちゃくちゃ美味いのなんの。
スープはまた手の込んだトマトスープでさっぱり。
なにか検知する魔導具仕込んでるの?と聞けば白状したし……とにかくおもてなしするのが大好きだからってのもあるらしい……
金を払ってまでするかしら……というかこの子、危機感がまるで無い……
戦闘できないって言うくせに警護人はゆっくり寝ろって言うし。
「さてと……じゃあ、今日も私のワガママ……付き合ってもらってもいいですかー?」
「今日のワガママは何よ、また催眠術?」
「いえいえ、今度はー……作ったばかりのコレのテスターをお願います。その上で私と遊んで下さい♥」
作ったばかり……?そんな時間あったの?
何かの軟膏だろうけど……なにこれ?
「ちなみにコレ、豊胸剤の塗るタイプです」
「やるわ」
やるしか無いでしょ。これが異性ならちょっと躊躇ったけど同性なら遠慮なしよね。
後遺症とかも含めてモニターにならないと……
軟膏タイプだから当然、胸を露出しなくちゃいけない。
外でするような事ではない、普通は屋内で外から見られないような所でするべきこと。
「恥ずかしがって可愛いー♪私とミオさんだけですよー?」
「……私は、こういう趣味は……持ってない……!」
ユイは外の空気を吸いながらが良いとワガママを言い出した……
私が諭してもダメ、なんならダダを捏ね始めて……結局外に設置されてるベンチで塗る事に。
確かに小鳥の囀りとか聞こえるし木漏れ日が気持ちいいわよ。
でも、この大自然の中で服を開けて胸を露出する恥じらいっていうのは……
「本当に……ミオさん、可愛いなぁ」
ゾワッ……
なんでも無い筈の一言に怖気が走る。
……おかしい、本当になんでも無い筈なのに。
「どうかしました?」
「い、いや……なんでも……それより早く塗って」
「はーい……♪」
独特な感触、ほんのりとひんやりしていて……これで何かしらの効果が出ればいいけれど。
……こうやって誰かに塗ってもらうっていうのは大体背中とか手が届きづらい所。
胸を塗ってもらうのは……なんだか、変な気分。
「あ、あそこに人影が」
「っ!?」
「嘘ですよ、冗談に決まってるじゃないですか」
……このっ……人が恥ずかしがってるのを分かった上でやってるわね。
「ぼべんばはぃ~」
「塗ってる間はこうしてほっぺたを伸ばして遊んであげる……!」
まぁ、まだ笑えるイタズラだからこの程度で済ませておきましょ……
……この軟膏だってもしかしたらイタズラだったりするかもしれないわね。
ふに、くにっ……
軟膏を塗りたくるっていう所から胸のデリケートな所まで塗り込まれていく。
正直変な気分になる原因って言ったらコレが原因。
自分でも中々丹念に触ったりしない先端部分を他人に触られるんだから……
そうやって塗られるのはさほど掛からず終わった。
効果はゆっくりと出るって話だけど、正直今でも胸がムズムズする。
気が散ってしょうがない、魔物が出てきたらどうしよう……
「それで、遊ぶって何をして遊ぶの?」
「うーん……あ、やっぱり催眠術の実験でいいですか?」
「……仕事だからやるけど、後遺症は残さないでほしいわ。そう、昨日とかも幻聴が聞こえた気がして」
「あちゃぁ……軽いつもりが結構深くかかってたんですかね?」
あぁまた催眠術……また変に私らしくない事をさせられそう……
後遺症は残さないようにお願いするわと念押ししたけど……
「それじゃあ……この指の光をよーく見て……」
……ぁ……マズい、この催眠術……頭がぽーっと……
カクン、かなり強い催眠にかかってしまった澪は目がトロンとなり首から力が抜け、傾けてしまう。
もうこの時点で澪の意識の大半は結に掌握されているも同然。
結の言うことが全て……拒否するということはしないだろう。
「……ヒヒッ……可愛い♥」
結の赤い瞳が愉悦に歪む。
人を見る目ではない、愛玩動物や人形を見る様な目だ。
今の催眠深度であれば朧気にしか記憶に残らない……
余程深い恐怖でなければ……余程強く感情を揺さぶられる事でもない限り……
「さぁ、ミオちゃん……遊びましょう♥」
「ん……うん……」
普通の雰囲気から豹変した結はそのまま……外に面したベンチで澪を押し倒していく。
澪と結、揃って小柄で細身……肌の色も白く、眼の色も同じく赤……
細くしなやかな指はギュッと握られ、絡み合う。
遊びとは微笑ましい物ではなく、淫靡な……澪が普段ならば絶対に見せない様な表情を引き出す物だった。
淫らな……"この世界では"無垢な澪に似つかわしい遊び。
「ミオちゃん……おっぱい、大きくなりたいのよね?」
「……うん」
「じゃぁ……いっぱい、エッチな刺激を受けないとダメだよぉ……今日は私自らがそういう遊びをしてあげるから♥」
甘えたり甘やかしたりワガママを言う妹風な言動から様変わり。
指を触れることも無く魔法のような何か予備動作があるわけでもない。
文字通りに神の見えざる手によって澪の衣服がさらに過激にはだけていく。
小ぶりな胸を撫でながら先端を指で何度も弾くように弄んでいく。
指の腹、爪……硬さも感覚も適度に変化を与えていく。
「気持ちいい?」
「……んっ……そう、かも……♥」
問いかけに対しての反応は朧気……しかしその身体の反応は……かなり、興奮している様子。
頬は赤く、白い肌にもうっすらと赤みが差す。
息も荒く……熱を孕んでいる、興奮はもう明らか。
それでも朧気……否、自覚出来ていないのは一重に催眠のせいか。
軟膏の効能は豊胸もあるが……その真価は媚薬である。
平行世界ではその程度の差はあれど……自分の身体を同じ様に淫らな方向に先鋭化させられていた。
それを今まさにされている……一番マイルドで、自覚出来ない状態で……本当に悪質なイタズラだ。
「それじゃあ、もっと気持ちよくなっていこうねー……イケたらもっと早く大きくなれるからね♥」
「ん……」
「だから私がいーっぱいイかせてあげるから……素直に、身体に素直に……」
妖しく笑う結、幼い容姿でありながらその様子は傾国の美女、危うい魅力に満ちたもの。
……興味を注がれるのは今押し倒されている澪以外に向かれていないのが幸いか。
すり……すりすり、くにっ♥
「んんっ……は、ふ……♥」
「気持ちいいよね、もっと欲しい?」
「ほし、い……うん、もっと……」
ねっとりと……絡みつくように過激なスキンシップは続いていく。
両手で両胸をいじくり回しながら顔を近づけ……息がかかるほどに密着していく。
催眠で誘導されながら澪は快楽を求め……それに応じる形で結は己の欲望を塗りつけていく……
外がどうなっているか等気にした様子はない。
「ん、ふ……♥」
結の唇が澪の唇を塞ぐ。
一方的な弄びはソフトながらにネチネチと……じっくりと、澪の身体に染み入る。
ぴく、ぴくぴく……身体は快楽に震え、その味を覚えていく。
意識が覚えていなくとも、身体には刻み込まれていく。
いつ爆発するか分からない、不発弾のように……
はっ……眠りから醒めるような、それでいて一気に浮上する意識。
寝ていた訳じゃない……脳裏に浮かぶのは催眠の薄く怪しい桃色の光。
……おかしい、催眠術を実験するような人間の催眠強度じゃない。
ここは……居間?ソファーに寝かされてた……のね。
「まったく……後遺症はなさそうだけど……」
警護に雇った人間を催眠して完全に前後不覚にするおバカが居たものですか……!
まったくもう……今どこに居るか分からないけど文句を言わないと……
んん?身体が重い……起き上がってみれば何か重りがついたかのよう……
「……む、胸が……!」
豊胸効果が出てるっ……は、はっきりとした膨らみが私の胸元に。
この重みが……触って、持ち上げて……はっきりとした重みがある。
こ、これこそ催眠の結果って訳じゃないわよね……?
夢とかそういうオチもない……?色々身体を触ってみて……多分、大丈夫?
鏡とかで後で確認してみよう、催眠が強くまだかかってたら瞳とかに異常があるはず……
一番いいのは……催眠を確実に解除してくれる呪具だけど。
「これでペタンコ、男の娘呼ばわりからもサヨナラ……!」
ただちょっと胸に違和感がある……この違和感は何?
胸も柔らかいというよりも何処か硬い?芯があるように思える。
組合受付のあのデカパイ女みたいな見るからに柔らかいって感じじゃない。
「息苦しい……」
元々ペタンコだった私に合わせてあるブラウス等の衣服は……胸元がキツくなっていた。
首元から胸元まで少し開けてみれば……ちょっと楽。
ただ下着がまるで合ってないからこれは考えないと……
外を見る限りではそう時間は経ってない様に思える……こんな数時間で効果がでるならもっと大きくなる可能性もある。
……ふふふ、笑みが止まらない。
っといけない、ユイのヤツを探して文句やら何やら……
居間には居ないとなるとユイのアトリエにでも篭っているのかしら?
日差しは……昼を過ぎて午後三時ってところ?
テーブルの上には軽食が置かれてる……私用のかしらね。
「書き置き……やっぱりアトリエに篭っているのね」
小さな書き置きがあった。
丸文字で文字一個とっても可愛らしさ全面に出している……
催眠が強すぎた事を謝っているし昼も過ぎて起きない状態にしていたことにも触れてるけど……
そんな強力な催眠ができるならなんで実験なんてするのよ……ワガママで実験台にっていうには……ねぇ。
技術が未熟だっていうなら……逆にあんなに強くなるのは何が……
規格外の魔力とかがあればあの魔法の強度とかも納得できる。
技術が追いつかないならパワーゴリ押し……当然何発も打てないから本当にそんなのできるの指折り数える程度だけど。
アトリエ……またの名をユイの私室、この家の1/4を専有している大区画……そこに篭ってる。
見ちゃダメって言っていたけど呼び出すくらいはしていいわよね。
大体向こうがあんな度を超えたワガママをするんだから……
起き上がった澪は迷いなく結の家の中を歩いていく。
まっすぐに、結が何か作業していると思われるアトリエに向かって。
いくつかの不安材料、不可解な点……それらに懐疑的になりつつも……仕事だからとねじ伏せて……
後数日の我慢だと……そう、言いきかせながら……
コンコンコン
「結ちゃん、ちょっと良い?」
澪の声は落ち着き払った凛としたもの。
程々に張り上げていて中でなにかしていても気付く可能性が高い。
……しかし、返事もなく人が近寄ってくる気配もない。
アトリエの扉に耳を当てて中を伺うも……音がしない。
考えられるのはいくつかある、単純に奥の方で作業していて気づいてない。
気づいているけどあえて無視している……そして、魔物等に侵入された後か。
……暴れたりした様子もなく、自分が襲われていない以上魔物の侵入は無いと思われるが……
一応スライム等は暗所を好む性質がある、アトリエのどこかから侵入してくる事も考えられる。
「……不可抗力よ」
ガチャリ……ドアノブに手を掛けて開け、中へと入る。
だが、ソコで見たのは……澪の想像をはるか斜め上を行くモノだった。
確かにアトリエとも呼べそうな機材も見える、錬金釜のようなモノはあった。
しかし、それは本当に一角に過ぎない……部屋の殆どは異常としか言いようが無かった。
その最たる物が数多くの澪と思わしき女性の痴態を映した写真の……ボード。
どれも自分からかけ離れた表情、肉付き……しかしその顔はほぼ間違いなく自分と言っても良い。
他にはフローチャートのようなもの……書き記されているのは澪の平行世界線での末路。
写真等もどこから撮ったものなんだ?と疑問視するようなアングルの物ばかり……
「なによ……これ……」
澪の口から震えた声が漏れる。
さらには……かなりプライベートな数少ない自分の自慰シーンから……手痛い記憶……魔物に負け、凌辱されかけた時の泣き顔まで。
当然その時に近くに誰かが居たことはない、魔導具があったとして誰にも認知させずに……なんてのはかなり高等技術が必要。
そんな技術者は王国に抱え上げられていてこんな事に手を出せるはずもない。
ならば、コレをしたであろう結は一体何者なのか?一気に恐ろしくなる。
昨日の浴場で感じた悪寒から笑みの奥から感じた寒気……それらに一気に結びつく。
自分はもしかしなくとも化け物の口に自ら飛び込んでしまったのではないだろうか?
何かしらの化け物だとしたら色々と不可解にも思えていた部分が納得行くようないかないような。
異常なまでのおもてなし、一体いつヤッているんだ?と言いたくなるような完璧な調理に始まる家事全般。
それでいて魔導具を買い揃える財力……依頼の前金だって異常な数字だった。
「にげ、ないと……」
底知れない恐怖、結を魔物や魔族とはまた違った……理外の化け物だと認識して逃げようと……
この家から早々に逃げ出そうと……足も、声も……全身震えさせて出ようとした。
だが、それを問屋が卸すか?
「あーぁ……覗いちゃダメって言ったのに、まぁ……バレちゃったらしょうがないかぁ♥」
「ヒッ……!」
蠱惑的な笑みを浮かべた、様子がおかしい……否、それが本性なのであろう結が背後から声をかけ……
同時に澪の身体に……動けないように理外の術を仕掛けて拘束する。
魔法でも無い、この世の理ではない。
文字通りに澪では絶対に知覚できるはずもない術、その様は肩に手を載せられた瞬間に金縛りにあったかのよう。
尚更に澪の頭は恐怖が支配していく。
魔王と相対したとしてその力の根源というものが分かるからある程度対抗のしようが分かる。
同時に圧倒的な力量差というのも思い知るが……対抗する希望が見いだせるのと全く見いだせないのは別だ。
何をされているのかが理解できなければ対抗する術も見いだせない。
「離して……おねがい……いや、、いやっ……!」
「あはぁっ……澪ちゃんのその顔、素敵……♥」
もう澪は冒険者としての構えを維持できていない、泣きじゃくる一人のか弱い乙女だ。
奇しくも胸が掌サイズには育ったが故により欲を誘う。
結もその本性を見せだしてから身体の何もかもを解放したのか……身長が逆転している。
頭一つ分低くかったはずの結が澪を超えて見下ろしている。
身長も欺瞞していた……それも瞬きする間に、スッと……
そんな小さな事でも結の規格外さを理解らされる。
まるで何も予備動作もさせずに、刹那の瞬間に身体を組み替えていると言って良い。
そんなのは正しく……神か何か。
「な、何者なの……何も話さないから、帰して……!」
「それはダ・メ♪澪ちゃんの残り6日は私がきっちり貰ってるんだから……それに滅多にない直接手を加えたい衝動に駆られてるんだから♥」
結の目的は平行世界でイヤというほどに手を出されてきた澪を今度は自分の手で……
自分自身の本来の姿で弄くり倒してやりたい、ただそれだけだ。
何を懇願しても無駄、その表情一つとっても……ただ結を喜ばせるスパイスにしかならない。
どんな事をしても……この一週間は結から離れることは敵わない……
「あはっ♪早くに気づいてくれたから……ゆーっくりいーっぱい楽しめるね♥」
もっと遅くに感づいていたらもう少しは幸せな時間があったのかもしれない。
もう後の祭りでしかないが……
マズイことになった、この……妹みたいな感じに見ていたヤツがとんでもない化け物だったなんて……
まるで理解らなかったけど、その兆候……疑問の種はあった。
今にして思えばだけど……ただ本当に不可解なのは……なんで私に固執するの?
私は普通の極一般的な冒険者の女、勇者でも賢者でも無い……
「どうして……私なの?」
真っ赤な瞳を丸くして……私の顔を見てくる。
正直そうして見られるだけでも怖い。魔族とかとは別次元……
どう頑張っても刀が届くビジョンが無いし……今だって……どういうトリックか私の身体の自由を奪っている。
的確にピンポイントで私の動きを阻害する所だけを不可視で感知不能な何かで……縛り上げてる。
まるで透明の壁に埋め込まれたかのよう……それでいて呼吸等には一切の不都合はない。
こんな芸当できるヤツに歯向かうとか自殺行為よ……足元を掬うことも出来ないわ。
ほらほら、にたぁって笑って……頬に手を添えてくる。
そして身体を密着させてくる、こういう形で実感したくなかったけど胸がぶつかり合って……大きさを自覚する。
「そんなのは簡単だよ、澪ちゃん……私を惹きつけるその魂の輝き、強さ……アレを見ても発狂したりしてない辺りとかかなぁ?」
「……」
アレといって指さしたのは私が入って早々に目にした……私っぽい何かの写真やら私の自慰の写真……
めちゃくちゃ気持ち悪いし怖いし……今だって……ねっとりと絡みつく物を感じる。
というか手の位置ぃっ……頬から離れて股間にくる……
同性にそういう目で見られるってのをまるで想像してなかったけど……これ、めちゃくちゃ怖い……
「大丈夫、怖いなんて思えなくなるくらいに……キモチヨクしてあげる」
「それ何一つ良くない……!!」
「私は楽しいからOKだし、後悔はさせないから♥」
暖簾に腕押し、強く拒んでも、控えめに拒んでもさっきからニッコニコなユイは変わらない。
それどころか私の反応を見てめちゃくちゃ喜んでいる節がある。
無反応決め込めば良いの?いや、それも無理よ……
「無駄無駄、表面上が無反応でも中身もしーっかり見えてるから」
「ひぇっ……」
読心術まであるの?逃げ場なしじゃない……
あっあっ……何処につれて……
「じゃあ、いーっぱい気持ちよくなれるように色々仕込んであげるからね♪」
受けるんじゃなかった……こんな仕事、明らかに怪しかったし……
明確な拘束のシンボル、手枷と鎖……それらを澪に取り付けた結は……澪に絡みついていく。
ベッドの上ではなく両腕を吊り上げられた状態でというのがまた背徳的な光景を彩る。
さながらその様子は豹変する前も加味して盲目的なまでに慕っていた妹分が姉を拉致監禁したといった風。
軽く触るだけに留めていた下の唇や胸に細い指先がかなりガッツリと食い込んでいく。
明確な辱める……嫌がる澪の事なぞ知ったこっちゃないと快楽を引き出そうとする意志が感じられる。
当然その間も澪は嫌がって逃げようとするが……身体は微動だに出来ない。
「あは、大きくなった澪ちゃんのおっぱい……柔らかくて揉み心地良い♪」
「……ッ」
もにゅもにゅと揉み込まれ形を変える乳房。
感度は高く鋭く……揉まれる度に快楽が身体を駆け巡る。
それが不可解で澪は困惑と明確に感じる快楽に焦りにも似た感情を抱く。
自分が知る快楽とは一段上の……明確に気持ちいいと思える快楽がある。
本能的な欲求が積もり積もって爆発しかけた時に処理する……拙い自慰とは比べ物にならない。
「この色気がないスポブラも……こうしてっと」
「ッ!?どうやって脱がし……ひぅっ♥♥」
「いい反応ゴチになりまーす♪」
普通のホックブラならばいざ知らず……なんとスポーツブラ、比較的ガッチリと留めるタイプのブラを手品のように引き抜いた。
元々の平たい胸からかなり幅広く対応していた物だが……それが外され仰天。
目を丸くしたのも束の間、ブラウスの中へと侵入した結の手にギュッと揉まれ……喘ぎを漏らす。
ブラウスの上に浮かぶ掌のシルエット、もう片方には……興奮を如実に示す乳首のポッチ。
「言っておくけど、特に私はなーにもしてないから……なにかしてたら……」
「……あ、頭に何か……ッ!?」
澪の脳裏に浮かぶのは理外の術で感度を上げられた?
だがそれは間髪入れずに結は否定する、その上で澪の脳裏に3つほどの情景を叩き込む。
それぞれサキュバス、インキュバス……そして魔王に辱められ、狂うほどに喘ぎ散らしている自分の情景。
こんなの、あり得ない……そう頭を振ろうとするが……
「信じてない?そっかー……残念♥」
「ふぎゅぅっ!?!?♥♥♥あ"ぁあぁぁっっ♥♥にゃにっ、した……ぁッ♥♥♥」
途端にただ揉まれていた胸から……下着の上からツプツプと指が浅く入っては弄くられていた膣口から……全身に駆け巡るとんでもない快楽。
それは脳裏に叩き込まれた情景と一致して自分が上げることが無いような甘く、獣の断末魔のようで……汚い声が出る。
呂律も一気に回らなくなり……頭もぽーっとする。
脳が快楽に焼かれようとしていたのだ。
「もーっと味わいたいなら……」
「い、いいっ……もう……」
「良い?そっかーじゃあもっとしてあげる♥」
「は、ぇ!?♥♥ん"ぅぅううぅぅっっ!?!?♥♥♥」
言葉の捉え方を真逆にしてさらに快楽を叩き込む。
当然聞いたのも……アクセントに過ぎない。
まだまだ身体の快楽神経は肥えていないし不可逆な事は胸だけに留まる。
「ふふ、私も興奮してきたしー……そろそろ私も一緒に気持ちよくなっちゃおう♥」
快楽によがり、微動だに出来ない身体ながら……絶頂の激しさを物語る痙攣とコロコロと変わる顔色。
そして……スカートの下で湧き出る愛液の間欠泉、それらの様子に結も辛坊堪らない。
……何度となくいくつもの世界線で姿を変えながら辱めていたが……自分でも辱めて快楽に蕩けさせ……
その上で自分に恋慕するような澪を見てみたい……そんな遊びにも近い欲求の為だけに……
双方の衣服を一瞬にして消し飛ばし……そして、結が取り出したのは……
レズプレイ御用達、攻めながらも快楽を受けることができる双頭ペニスバンドだった。
完璧に、澪の膣にフィットする……そんな形のペニスバンド……
嗜虐的な笑みを浮かべた結はがっしりと……澪の腰を掴んだ。
片方の足は……高く上げられ、準備は整った。
ほんのりと陽の光が差し込む結の私室。
その一角に設営されていた澪専用のエッチスペースからのみ……音が響く。
ぱんっ♥ぱんっ♥ぱんっ♥
「あ"ァァァッ♥♥あっッッ♥♥ん"ぅっっ♥もうっ♥やらぁぁっ♥♥」
「ヤダじゃないの♥奥まで当たってゴリゴリされて気持ちいいでしょ♥」
甘く蕩けて呂律も回らない、甘いのは結も澪も変わらないが……蕩け具合はまるで違う。
一定間隔でしっかりと奥まで叩き込まれるピストンは今の感覚をかなり増大させられている澪には劇毒。
逃れたい/もっと感じたい……相反する理性と本能に揺さぶられ涙と涎を流しながら正気を失わないように頭を振る。
ガクガクと仰け反ったり俯向いたり……そうやって何かで発散しなければ行き場のない激情は自分を壊しかねない。
その魂の在り方、輝き方が好みとし執着する相手が自分の……本来の姿のままで目の前でよがり狂う姿は結をゾクゾクと興奮させる。
余裕を保ちながらも……腰の動きは徐々に激しさを増していく。
「あっ♥ッッッ♥♥ひにゅっ♥♥やめっっ♥♥♥」
「死なない死なない……死んでもすぐに蘇らせてあげるし♥」
平たい胸から程よく発育した乳房も大いに揺れ、汗が浮かぶ肌を風が刺激する。
それがまた澪に快楽を与え、相乗効果で絶頂を齎す。
その有様から発狂して死にそうにも思えるが……そんな事で逃がす結ではない。
仮に死んだとしても即座に蘇生させ……さらに責め立てる事だろう。
「澪ちゃん、こっち向いて♥」
もう、澪が耳に入ってきた言葉を処理するだけの余裕はなくなっている。
あるとするならば恐ろしい存在の結の顔が近づいてくることへの……恐怖から逃れようとする反射的な所だ。
その結果がっつりと結の顔を見てしまい……望みを聞いてしまう事になってしまう。
「可愛い……もっと可愛がってあげる……♥」
「んむふっ……んんんーっっっ!!!♥♥♥」
イキ狂う澪の唇に……催眠時と同じく結は唇を重ね……密着。
同じか……澪の方が若干大きめになった胸が重なり、撓む。
腰の振りの衝撃で擦れ合い……互いに快楽を伴う。
くぐもった悲鳴にも似た嬌声があがり……その口の中では結が一方的に……舌を絡ませていく。
もっともっと……快楽に喘ぐ姿を、恐怖と快楽に揺れる姿を……
その末に快楽に屈して堕ちていく姿を……見せて欲しいと、結は澪を責め立てていく。
初日は平穏に……二日目は開けてはならぬ領域に踏み入り……囚われ……
日があけ、三日目に入る頃には澪の心はかなり、折れかけていた。
何度も何度も奥を小突かれイキ狂わされながら愛玩動物のように可愛いかわいいと囁かれ……
結の艶めかしいイキ声も耳にしながら……身体を染められていったのだ。
「もう、いや……帰して……お願いだから……気持ちよくなんか、なりたく……」
「本当にぃ?途中からおっぱいぶるんぶるん揺らしながらイかせてって懇願してたのにぃ♥」
「それは……ひっ……ぅっ♥♥」
途中、責の手を緩めればもっとイカせて欲しいと懇願してしまったのだ。
当然催眠等ではない、澪が快楽に屈して……言葉にしてしまったのだ。
それを指摘してみれば澪は顔を赤くして言葉に詰まる。
もっとも、身体はかなり正直で結が戯れに手を伸ばす……絶頂に絶頂を重ね、性的な経験を積んだ身体は結を主人と認識して
澪自身の理性とは関係なしに発情して期待に疼く。
「こ、こんな風にしたのは……アンタにょ……♥」
「ふーん?澪ちゃんはあくまで私のせいにしたいの?でも気づいてる?途中から……壊れそうなほどの快楽は感じてなかったの」
「……」
「気づいてるみたいね、偉い偉い♥」
何度も何度もイキ続けていた間に激しく絶頂を何度も繰り返さない事は認識出来ていた。
否、正気が戻ってきていてはっきりと認識した……
気が狂うほどの濁流が来ない、慣れてきたのか?とも思うが絶頂に至るような快楽は襲ってくる。
その事が事実から目を背けさせていた。
だが、事実を突きつけられると……否応なしに自覚させられる。
途中からの快楽は自分が進んで腰を振っていた快楽に屈して僅かな快楽も見逃さずに貪っていた。
拘束から部分的に解放されていたのも……自覚させられた。
「じゃあ、今日はそのおっぱいをもーっと素敵にしてあげる」
「……いらないわ」
「もっと大きく……なんて期待してたのは澪ちゃんだよ?」
三日目に入った後は……さらなる地獄が待っていた。
結は……その少女然とした見た目からは想像出来かねるが、神の一つ。
ありとあらゆる事は万能に出来るし自分の身体の一部、全体……変幻自在に変えることが可能だった。
真っ赤な髪の毛の毛先を触手に変えたかと思えば……
「まだまだ、いーっぱい喘いでね……喘いだ後は美味しいごはんを持ってきてあげるから♥」
「むぐっ……ん、ふ……♥」
澪の口、乳首、膣……刺激に弱くなりつつある部分に添わせ、穴には相応の太さに変え突っ込み……
結以外にだれも聞き入ること出来ない……澪の甘ったるい声を奏でさせていった。
――――さん、み――――ん!
だれ、だろう……ん、んん?身体を揺すられて……?
「……冒険者組合のテーブル……?」
「あーもう、ようやく起きましたね……帰ってきてからぽやーっとしてたから心配してましたよ」
「んん……?」
「これも説明通りですか……ユイさん、何をやらかしたんだか」
ユ、イ……?今から仕事しにいく護衛対象。
帰ってきたっていう言葉やら……なにかおかしい。
「私……ユイとかいう女の子の所に行く所だった筈だけど……」
「もうそれ終わらせて戻ってきたんですよ?向こうの失敗で魔導具が暴走、庇ったミオさんが被害を被って記憶が飛んでるんですって」
「はぁ……この手元のお金は……そういう?」
「慰謝料らしいですね」
見下ろした手元のずっしりと重い革袋。
中身は金貨ぎっしりで……メモ紙が挟まっていた。
……やらかしちゃいましたので、コレで許して下さい……か。
金払いは良いけどどんなお転婆だったのやら?
ワガママの結果……だったりするのか。
「ゆっくり休めました?」
「身体は不気味なほど軽い……」
「はは……そうですか……」
まぁ良い……また明日から討伐に勤しむだけ……
――――――――今度はどんな姿になってヌプヌプして喘がせて……落としちゃおうかな、ふふふ♥
何もかもが元通りになり、記憶が吹き飛んだミオを見る……神は次のプランを考え……ほくそ笑んでいた。