※この作品はR-18です。

【旧版】「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」※全話掲載完了   作:ぷるっと企画@園島義船

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第一章 「白き魔人と黒き少女」 編
1話 「姉ちゃんという存在」


 

「オレはもう、姉ちゃんからの支配は受けない!!」

 

 

 アンシュラオンは、目の前にいる女性、パミエルキに叫ぶ。

 

 

「なんだい、やぶからぼうに」

 

「ずっと思ってたんだ!! これはおかしいよ! なんで実姉なんだよ! せめて義姉とかの設定じゃないのかよ! だからこうなったんだ! 設定ミスだ! 断固抗議する!」

 

「何の話をしているんだい。アーシュは、たまによくわからないことを言うねぇ」

 

「大切な話だよ! オレの人生にとって、とっても大事な話をしているんだ! 姉ちゃんとオレにとっての未来の話だよ!」

 

「お姉ちゃんとアーシュの未来は、ずっと一緒にいることでしょう? ああ、大丈夫。ちゃんと二人だけの場所を探すから。無人島がいい? そこなら、誰もいない場所で二人きりよ」

 

「それがおかしいんだよ! 毎日毎日べったりじゃないか! 歩くときも、話すときも、お風呂入るときも、トイレだって!」

 

「そりゃ姉弟なんだから当然じゃないの。こんなにそっくりなんだもの」

 

 

 真っ白でふわふわとした長い髪の毛に、真っ赤な瞳。

 

 こう言うと、どこか白兎の可愛さを表現しているように思えるが、女性の瞳は鋭く尖っており、白兎どころか凶悪な白虎を彷彿させる威圧感を放っている。

 

 きめ細やかな白い肌、自己主張が激しすぎる非常に豊かな胸、引き締まったボディラインは、多くの男性を一瞬で虜にしてしまうほど魅力的。

 

 いつも濡れているような真っ赤な唇、端正な鼻筋もまた、神が女性を完璧な存在として造ろうとしたかのように美しい。

 

 もしこんな女性と出会えたら。

 

 こんな女性と愛し合えたら。

 

 そう思う男は多いだろう。

 

 

 

―――が、【実姉】であれば話は違う!!

 

 

 

 アンシュラオンの肌も髪の毛も、姉とまったく同じふわふわの白。瞳も同じ赤。

 

 唯一違うのは、目尻が姉よりも少し下がっているので、柔らかい印象を与えることくらいだろう。

 

 それを除けば二人はそっくりであり、アンシュラオンもまた美の結晶と呼べる容姿をしている。

 

 そして、姉はそれ(弟)を愛している。

 

 愛らしい弟を抱き寄せ、とてもとても甘く優しい声でささやく。

 

 

「いい、あーくん? お姉ちゃんとあーくんは、この世に二人しかいない存在なの。たった二人だけの人類なの」

 

「いろいろと考えたんだけどさ、やっぱりそれはちょっと無理があるんじゃ…常識的に考えてさ…」

 

「そんなことないの。本当なの。生き残った女は、お姉ちゃんだけなの。だったら、あーくんはどうするの? あーくんが愛する女は、私だけでしょう? 私しかいないんだから、当然だよね。あーくんが昔、お姉ちゃんに言ったこと、覚えてる?」

 

「…姉ちゃんと結婚する」

 

「あーーん、そうそう。それよぉお! あーくんは、偉いねえ。その続きは?」

 

「…姉ちゃんと子供を作る」

 

「はぁああ! そうよ。そう。お姉ちゃんと子供を作って、一緒に暮らして、一緒に暮らして、一緒に暮らすの。死ぬまで…ね」

 

「あのさ、もっと外を見るべきなんじゃないのかなぁ、って最近思うんだけど…」

 

「なんで?」

 

「な、なんでと言われると…自信ないけど」

 

「ほら、見てみなさい。ここに外なんてないのよ。あったとしても、あーくんが知っている通り、山と森しかないの」

 

 

(たしかに、何にもないけど…山しか見えない)

 

 

 見渡す限りの山、山、山、山、山、山、山、山。この世に山脈以外のものがないのではないかと思えるほど、連綿と山が続いている。

 

 ここは世界最高の霊峰の一つ、火怨山(かおんざん)の頂上付近。

 

 この火怨山は標高二万メートル以上であるため、雲すら眼下におさめ、空気も薄いので一般人が登山できるような場所ではない。

 

 さらに、下の階層には凶悪な魔獣が跋扈(ばっこ)しており、最低でも名崙(めいろん)級の実力者でなければ、即座に彼らの餌になってしまうだろう。

 

 それでもあくまで、餌にならない、というレベルにすぎない。

 

 王竜(おうりゅう)級の武人であっても秒殺されるような上級魔獣がひしめいており、ゲームのラストダンジョンのように、出会う魔獣は伝説でしか耳にしない存在ばかり。

 

 仮にそれらを乗り越えても、中層以上には結界も張ってあるので、ここに入ることすら難しい。いや、不可能だろうか。

 

 

(オレもかなり走り回った記憶があるけど、先が見えないんだよな。ずっと山しかない…。海はかすかに見えたけど、人の気配はなさそうだ。でも、本当に世界は山だけなのか? この【世界】は、本当にそうなのか!?)

 

 

「じゃあ、師匠とゼブ兄(にぃ)は?」

 

「あれは…たまたま生き残った人類よ」

 

「たまたま、あの二人が?」

 

「そうよ。たまたま生き残ったの。だから強いのよ」

 

「あれも男でしょ? 姉ちゃんと結婚でき…」

 

「できるわけないでしょう!!!!」

 

「ひっ!」

 

「あんなものが! あんなものたちが、アーシュの代わりになるわけないでしょう!!! わたしの可愛い、かわいいあーくんの!! この真っ白で愛らしい、あーくんの代わりになんて!!! それともあーくんは、私があいつらと結婚したほうがいいと思ってる? ねえ、思ってる!? そうなの!?」

 

「…いや…そうは……言ってないけど……」

 

「はぁはぁはぁ!! ああ、そうね。…殺しても、いいか。邪魔なら、殺しても…アーシュと私だけいれば、人類は生き残るもの…ね」

 

「え? えっ!? 姉ちゃん、落ち着こう!! ほら、深呼吸して!! ちゃんと吸って!!」

 

「ふーーー、すーーーーーー! ふーーーーー!!」

 

 

 弟の髪の毛を吸う。

 

 たっぷり吸う。

 

 

「はぁーーはー。アーシュのおかげで落ち着いたわ。やっぱり、これに限るわね」

 

 

(猫吸いなの!? オレって、猫なの!?)

 

 

 それはまるで、可愛い猫に吸い付く姿。

 

 可愛くて可愛くて、自然とそうしてしまうのだ。

 

 

「ほらぁ、お姉ちゃんのこと好きでしょう。あーくんも吸って?」

 

「吸えって言われても…って、どうして胸を出すの!?」

 

「あーくんの大好きな、お姉ちゃんのおっぱいじゃないの」

 

「好きだよ! すごく好きだけどね! まだ昼間だし!」

 

「昔は、一日中吸っていたじゃないの」

 

「ぐおおおおおおお! 過去の自分を殴ってやりたい!!」

 

 

 吸ってました。

 

 

「それはその、姉ちゃんが…好きだったから」

 

「好き、だった?」

 

「ちがっ!? 今も好きだよ! 綺麗だし、エロいし、可愛いところもあるし、オレのこと愛してくれるし、すごくすごく好きなんだ! でもさ、やっぱり姉弟だから…」

 

「姉弟だから、なぁに?」

 

「うっ、うう…柔らかい……」

 

 

 パミエルキが、豊満な胸をアンシュラオンの顔に押し付ける。

 

 抵抗したいが、その柔らかさに抵抗できない。

 

 ちくしょう、男なんてこんなもんだよ!

 

 

(ほんと、どうしてこの人が姉なんだ? 姉じゃなかったら、すごく好みなのに…!! 本当に結婚してもいいくらいなのに! いや、姉がいいって言ったのはオレなんだけど、ここまでハードとは思わなかった!!)

 

 

「そ、そうだ。今日は違うことしようよ。ねっ、そうしよう」

 

「お姉ちゃんと遊びたいのね。いいわよ」

 

「ほっ…」

 

「じゃあ、アーシュがお姉ちゃんと同じってことを、じっくり教え込んであげるわ」

 

「えっ? それって…―――うわああああ!」

 

 

 ポイッ。

 

 

 アンシュラオンを、火怨山の頂上から投げ捨てる。

 

 ポイッという擬音であるが、それはもう剛速球。軽く投げたはずなのに、遠投をしたかのように何キロも飛んでいく。

 

 

「落ちる落ちる落ちるっぅううう!」

 

 

 アンシュラオンは何千メートルか落下し、崖に当たり、転がり、さらにトゲトゲの岩にぶつかり、それらを破壊しながらようやく止まる。

 

 

「あたたた! すりむいた!」

 

「そんなの、すぐに治るでしょう?」

 

 

 そして、投げた当人がすでに目の前にいた。

 

 

(瞬間移動かよ!! おかしいだろう! どんな速度で走ってきたんだ、この人は!?)

 

 

 投げられた人間より早く到達するなど、人間ではない。いや、本当に人間かどうか怪しいと思える時すらある。

 

 

「アーシュ。さあ、お姉ちゃんと遊びましょう。全力でいいのよ。全力でぶつかっても、お姉ちゃんはびくともしないから。そして、あなたが特別であることを教えてあげる。その身にも、心にも、たっぷりと…ね。ふふ、あはははは!!」

 

「ひぃいい!!」

 

 

 

 

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