※この作品はR-18です。

【旧版】「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」※全話掲載完了   作:ぷるっと企画@園島義船

595 / 710
596話 「何でもありの真髄 その1『準備された強さ』」

 

「すでに崖っぷちにまで追い込まれたラングラスですが、まもなく最終戦であるハングラスとの戦いが始まります。イケダさん、ここまで見た感想はどうでしょう?」

 

「そうですね。結果としては例年通りではありますが、中身がまるで違います」

 

「やはり注目は、黒姫選手ですね」

 

「はい。彼女はジングラス戦を棄権して体力の回復に努めました。あれだけの怪我がすぐに治るかはわかりませんが、ハングラス戦にかける意気込みを感じます」

 

「そのハングラスですが、陣営からの発表によると、どうやらキングが黒姫選手を迎え撃つことになりそうです」

 

「そのようですね。しかも先鋒同士での激突となります。いきなり最重要カードが見られることに興奮を隠しきれません」

 

「しかし、ジュンユウ選手も苦戦した相手です。セクトアンク選手とはいえ簡単にはいかないのでは?」

 

「ハングラスの他の二人も将来のキングと目される猛者たちですが、今の黒姫選手の勢いを殺せるとしたらセクトアンク選手しかいないでしょう」

 

「セクトアンク選手が彼女に勝てると?」

 

「おや、どうやら懐疑的なようですね」

 

「いえいえ、そのようなつもりはありませんが…素人目からしても、黒姫選手のほうが有利に思えてしまいまして」

 

「なるほど。それは試合のルール形式のことですね。今回は『無制限』のルールで行われます。そこが気になるのですね」

 

「さすがイケダさん。すべてお見通しでしたか」

 

「そのお気持ちも理解できます。何でもありとなれば、レイオン選手との戦いで見せたすべての力を出せるわけですからね。身体能力では黒姫選手のほうが上だと思うのも当然でしょう」

 

「その口ぶりですと、イケダさんの意見は違うのでしょうか?」

 

「いえ、その点に関しましては同意見です。彼女が力を解放した場合、身体能力は二倍近い差が出ると思います。ただ…」

 

「ただ?」

 

「私はセクトアンク選手を他人よりも少し知っています。同じハングラスですからね」

 

「なるほどなるほど。そのイケダさんから見て、セクトアンク選手のほうが上だと?」

 

「少なくとも成熟度という意味では、大人と子供以上の差があるでしょう。実際に黒姫選手はまだ幼い。成長率は素晴らしいものの、まだまだ学ぶべきことは多いはずです。その点から私はセクトアンク選手を推します」

 

「なんと! これはまた楽しみになってまいりました!! いったいどちらが勝つのでしょう! まもなく試合開始となります!!」

 

 

 

 

 

「それでは選手入場です!! まずはラングラスの注目株にして、キング・ジュンユウと死闘を演じた―――くろぉおおおおおおひめえええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 

 

 

 

 

―――ワァアアアアアアアア!!!

 

 

 

 ドンドンドンッ! ドンドンドンッ!!!

 

 サナが登場したと同時に観客全員の視線が一気に集中し、地鳴りのような足踏みが起こる。

 

 

「黒姫ぇええええええええええええええ!!」

 

「黒姫ちゃーーーーーんっ!!!!」

 

 

 野太い声援も健在である。

 

 そして、それを受けるサナの姿も万全。

 

 歓声に片手を上げて応える姿に、前の戦いでのダメージはまったく見られない。

 

 たっぷりと時間をかけて命気を吸ったため、怪我はもちろん体力も回復している。

 

 もともと身体が丈夫なのか、頭を打たれた後遺症もない。いつもの彼女がいた。

 

 武装についても変化はない。ジュンユウ戦と同じく鉄陣羽織を着込み、日本刀を手にしている。(陣羽織は予備のものを使用)

 

 サナはリングに上がると、静かに向かいの入場口を見つめる。

 

 

 

「続きましてハングラスからは―――キング・セクトぉおおおおおおおおアンクウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!」

 

 

 

―――ワァアアアアアア!

 

 

 

 対する向こう側からは、相変わらず忍者のような黒装束に身を包んだセクトアンクが歩いてきた。

 

 猫背で背丈の小さな男。

 

 こうして改めて見てもまるで強そうには見えないが、ハングラス最強の男であり、無敗のキングである。

 

 

 

 両者が、対峙。

 

 

 

「今回のルールは、『無制限の何でもあり』です。爆破物、術具、それ以外の道具もすべて使用可能となります。私も危険が伴うため、簡単に止めに入ることはできません。何かあっても自己責任でお願いします」

 

 

 

 今回のルールは、『何でもあり』。

 

 文字通り、何をやっても何を使ってもいい、という実戦のルール。言い換えれば荒野のルールである。

 

 よって、この試合においては、サナは全力で挑むことができる。ジュエルの力をすべて扱うことができるのだ。

 

 実のところ普段の試合において、完全に何でもありの試合は存在しない。

 

 あくまで試合であるため、本当にそれをやってしまうと危険だし、互いに馴れ合う地下闘技場には相応しくなかったのだ。

 

 しかし、サナが現れたことで空気が変わった。

 

 観客たちもそれを知っているからこそ、この試合に注目しているといえる。

 

 

 

「では、両者離れて!!」

 

 

 

 

 二人が離れ―――

 

 

 

 

 

「試合開始だぁぁああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

―――カーーーーーンッ!!

 

 

 

 

 試合開始のゴングが鳴る。

 

 

 

「…ぐっ!!」

 

 

 まず仕掛けたのは、サナだった。

 

 刀を抜くと同時に猛ダッシュ。一気に間合いを詰める。

 

 それに対してセクトアンクは―――

 

 

 ぴょんっ

 

 

 後方に逃げた。

 

 サナがさらに間合いを詰めて追いかけるが、それ以上に間合いを広げてセクトアンクは逃げていく。

 

 いきなりキングが逃げるという手段を選ぶとは、なかなかに珍しい光景だろう。

 

 しかし、ここは外ではない。限られた狭いリングの上だ。

 

 すぐに端に到達し、サナがセクトアンクを捉えて刀を振る。

 

 ここでようやくセクトアンクは、一本の剣を取り出した。

 

 刀身は六十センチ程度で短いが、幅は厚く、柄の周囲を大きく保護した剣、地球ではマン・ゴーシュと呼ばれるものに近い形状をしていた。

 

 これは攻撃よりも防御に向いた武器だ。

 

 ガキンッ

 

 それを使ってサナの強力な一撃を受け流す。

 

 サナの追撃。かまわずに強引に刀を振る。

 

 セクトアンクは防御。再び攻撃を受け流したと同時に体勢を入れ替える。

 

 ドンッ

 

 一転して、今度はサナが壁を背負う側となった。

 

 どうやらセクトアンクは暗殺者タイプの武人らしい。直線の動きではサナに分があるようだが、左右に回り込む動きでは勝っている。

 

 

 が、攻撃はしない。

 

 

 セクトアンクは、広がった後方にバックステップで距離を取った。

 

 サナは体勢を崩していたため、攻撃するには最適なタイミングだったが、あえてそれをしなかったのだ。

 

 くるくる くるくる

 

 癖なのだろうか。セクトアンクは剣を手で回し、サナをじっと観察していた。

 

 

「…ぐっ!」

 

 

 攻撃してこないのならば、こちらから攻撃するだけ。

 

 サナは刀を強く握ると攻撃に移行する。

 

 しかし、再びセクトアンクは間合いを取って逃げた。

 

 サナが追う。セクトアンクが逃げる。サナが追う。セクトアンクが逃げる。

 

 追い詰められたら巧みに体勢を入れ替え、またやり直し。

 

 

 まともにサナと戦うつもりはない。

 

 

 そう表明しているような動きであった。

 

 

 

 

―――シィイイイインッ

 

 

 

 

 それに対して観客からのブーイングはない。

 

 なぜならばセクトアンクに求めているのは、そういったガチの殴り合いではないからだ。

 

 今まで彼を見てきた『玄人』たちが期待することは、また違った側面にあるのだ。

 

 その期待に応えるように―――

 

 

 

 サナが―――ジュエルを解放!!

 

 

 

 バチンッ! バチバチバチッ!!!

 

 体表の至る所から青白い光が激しく明滅し、サナの中に「獣」が宿る。

 

 目が細く鋭くなり、明らかに野生が持つ殺気が宿ったのが見えた。

 

 魔石は生きている。ジュエリストの能力とは、意思ある魔石と融合することで「力を合わせる」ことにある。

 

 

 突進。

 

 

 雷の速度でセクトアンクに突っ込む。

 

 セクトアンクは回避。

 

 簡単な突進だけならば回避は難しくない。ジュンユウもそれはできていたため、さして不思議ではないだろう。

 

 ただし、サナもそのままではない。

 

 

 ギュギュンッ!!

 

 

 ジュンユウ戦でやったように、速度を維持したまま角度を変える荒業を披露。

 

 勢いそのままに逃げたセクトアンクを追撃。

 

 セクトアンクもそれは予期していたのか、かろうじてかわすも―――雷撃。

 

 

 バチーーーンッ!!

 

 

 すれ違いざまにセクトアンクが雷に打たれた。ジュエルが持つ力、『雷迎撃』のスキルである。

 

 レイオンもくらったが、これを受けると熟練の戦士でも感電して動きが止まる。

 

 殺傷力はさほどでもないのだが、武人の高速戦闘中に動きが止まることは死を意味する。

 

 やはり力を完全に解放したサナの力は怖い。世界中で魔石持ちが重用されるだけの理由があるのだ。

 

 サナは完全にセクトアンクを捉え、刀を振るう。

 

 

 ブーーーンッ!

 

 

 これはよけられない。誰もがそう思った。

 

 しかし、動けないはずのセクトアンクの手には、すでに術符が握られていた。

 

 水刃砲の術符が発動。鋭い水圧がサナに襲いかかる。

 

 バチュンッ!!

 

 サナは咄嗟に顔をガード。強化された肉体と張り巡らされた雷気によって、水刃砲を受けても軽い切り傷程度のダメージしかなかった。

 

 が、さらに術符が発動。

 

 

 足元から―――水

 

 

 バシャーーーンッ

 

 

 噴水のように湧き上がった水が、サナの身体を宙に押し上げた。

 

 術の基本技の一つ、水流波と呼ばれるもので、アンシュラオンがサリータに使った水流波動の術版と思えばいいだろう。

 

 セクトアンクの魔力が低いこともあり、威力はほとんどなく、サナを押し上げるだけの効果しかない。

 

 されど、ここで重要なのは、これが『水』であることだ。

 

 

 サナの雷気が―――漏電

 

 

 バチンバチンバチンッ!!

 

 水に雷気が流れ、サナの身体から雷のガードが消える。

 

 黒雷狼がアンシュラオンの水流波動を『雷迎撃』で防いだこともあり、今回も防げなかったのかと勘繰るかもしれないが、事前に放った水刃砲に雷気が集中していたため、足元が疎かになってしまった。

 

 これは相手が一枚上手。

 

 二枚目の術符を置いたところにサナを誘導したのだ。最初から計画された行動であった。

 

 セクトアンクは、取り出した短銃で貫通弾を発射。

 

 

「っ!!」

 

 

 サナは魔石からさらに力を引き出してガード。銃弾は爆散。

 

 続けてセクトアンクの二射目。それもガードによって爆散する。

 

 バチンバチンッ

 

 されどその間も漏電は続いているため、サナからは力が逃げている。

 

 それをすぐさま理解した彼女は距離を取った。

 

 セクトアンクは銃を投げ捨て、再び短剣を取り出して回し始める。追撃はしないようだ。

 

 

 

 ここで気になるのは、なぜセクトアンクは感電しないのか、ということだろう。

 

 レイオンでさえ感電するのだ。身体能力で劣る彼が感電しないのはおかしい。もしかしたら雷耐性でも持っているのだろうか。

 

 その推測は正解である。

 

 彼は雷耐性を持っている。ただし、彼自身が持っているわけではなく、彼の装備が『雷耐性に特化』したものなのだ。

 

 見た目は単なる黒装束であるが、その中には『雷地強装(らいちきょうそう)の術衣』と呼ばれるものを着込んでいる。

 

 これはグランハムが使っていた『反靭強装の術衣』と同系統のもので、あれが物理・銃・術耐性を与えるものに対して、こちらは強力な雷耐性を与えるものである。

 

 雷地と名が付くように、腰から垂れ下がった数多くの紐からは雷撃が地面に逃げるアースの役割も果たすのだから、対雷という意味では非常に心強い。

 

 さらに彼は身体中に何枚もの護符、『雷消紋』と『若癒』の術符を貼り付けている。

 

 術衣にも耐久力があるので磨耗するが、それを術符の力によって補っているのだ。

 

 多少流れた雷くらいは彼の戦気で耐えられるし、ダメージも若癒で回復することができる。それによってサナの雷迎撃に耐えたのである。

 

 そして、対策はこれだけではない。

 

 

 

 モクモクモク

 

 

 

 煤けた灰色の煙が上がる。

 

 気づくとそれは、リングの至る所から上がっていた。

 

 どうやらセクトアンクが戦闘中に仕掛けたものらしいが、問題はそれよりも―――

 

 

「―――っ!!?!?」

 

 

 サナが突然、顔をしかめて目を瞑った。

 

 驚くべきことに涙さえ流している。

 

 その理由は―――

 

 

 

―――強烈な刺激臭

 

 

 

 理科室等で塩酸を嗅いだことがある人は、彼女の気持ちがわかるだろうか。反射で顔を背けたくなるほどの強い臭いがする。

 

 しかもサナは現在、魔石を発動中である。さきほども述べたが、これはサンダーカジュミロンの性質を強く受け継ぐことを意味する。

 

 ミャンメイを追跡した際も、彼女はこの『嗅覚』によってそれを可能とした。まさに人外の力が成せる業だ。

 

 

 では、犬の嗅覚でこれを嗅いだらどうなるか?

 

 

 正直、パニックだろう。あまりの痛みと不快さで逃げてしまうに違いない。

 

 それも当然。この煙玉は獣系の魔獣を撃退するためのハンター専用の道具である。

 

 命がかかった外界で生き延びるためのものなのだから、臭いも強烈でなければ意味がない。

 

 

「―――っ!?!??」

 

 

 サナは突然の異常に完全に動きが止まっていた。

 

 それをセクトアンクは見逃さない。新しい銃を取り出すと銃撃を開始。

 

 パン パンッ!! ボンッ!!

 

 弾丸は着弾すると同時に爆炎。術式弾だ。

 

 ついでに火痰煩(かたんはん)の術符を三つ取り出し、同時起動。

 

 嗅覚が麻痺して混乱しているサナは、それをよけられない。炎に包まれる。

 

 これはまずいと判断したサナが、さらに魔石の力を引き出す。

 

 バチンバチン! ボシュッ!

 

 強烈な雷気によって炎が吹き飛び、サナは窮地を脱出。

 

 

 したかのように見えて、これは罠。

 

 

 セクトアンクが取り出した水流波の術符によって、再びサナに大量の水がぶつかり―――漏電。

 

 魔石の力が流出を始める。

 

 

「…はぁはぁ!!」

 

 

 しかしながら水を受けたことが幸いしたのか、ここでサナの意識が復帰。

 

 涙に加えて鼻水も出ているが、臭いが薄まった結果、薄目を開けてセクトアンクの姿を捉えることに成功。

 

 突進

 

 サナにできることは、接近して攻撃することだけだ。

 

 だから愚直に前に出る。

 

 

 サクッ

 

 

「―――っ!?!」

 

 

 だが次の瞬間、痺れるような感覚が走った。

 

 彼女にはそれが何か具体的にはわからなかったが、これこそ【死の予感】であった。

 

 獣の本能がそうさせたのか、サナは咄嗟に腕を伸ばし、自身の首をガードする。

 

 ガリガリガリガリッ

 

 腕に何かが強く食い込み、篭手が削れていく音がする。

 

 

 

―――ピアノ線

 

 

 

 物凄く細い線が、そこにあった。

 

 セクトアンクが張ったものは魔獣の素材から作り出した【剛糸】であるが、だからこそ鋼鉄以上の強度を誇る。

 

 それがサナの首の位置に張られていたのだから、極めて恐ろしいことだ。

 

 彼女が雷光の速さで突進するのならば、自らの力によって首が落ちる。相手は何もする必要はない。

 

 張ったのは間違いなく、サナが刺激臭で目を瞑っている間だろう。

 

 その隙に接着剤の効果がある『接留止(せつりゅうし)』の術符を使い、リングの両側にくっつけた。

 

 ただしサナがガードしたことと、勢いが強すぎたために接留止の術式では耐えきれず、糸は外れてしまった。

 

 が、ほっとする暇はない。

 

 彼女が両手に意識を集中させている間に、すでにセクトアンクは距離を詰めていた。

 

 

 おでこに、ぽんっ。

 

 

 サナの額に術符を貼り付けると、すぐさま距離を取った。

 

 

 

 直後―――爆発

 

 

 

「―――!!!」

 

 

 小規模の爆発が発生したことで頭が後方に飛ばされ、床に後頭部を強打してしまう。

 

 ブスブスブス

 

 サナの額から煙が上がる。付けていた鉢金がなければ、もっと大きな怪我を負っていたかもしれない。

 

 大納魔射津ほどの威力はないが、張ってからすぐ爆発する特性がここでは有用であったのだろう。

 

 そして、セクトアンクが狙ったのは致命傷ではない。

 

 

 キーーーーンッ ぐわんぐわんぐわんっ

 

 

 激しい耳鳴りがして視界が揺らぐ。

 

 獣は嗅覚だけが優れているのではない。強化された五感の一つである『聴覚』も鋭敏で、この「音響爆発」は耳に強いダメージを与えるものだった。

 

 鼓膜が破れたのだろう。ツツッと、サナが耳から出血。

 

 三半規管にダメージを負ったため、すぐに立ち上がることができない。

 

 当然ながら、それを黙って見ているセクトアンクではない。

 

 新しい銃を取り出すと離れた位置から銃撃。そのどれもが術式弾で、魔石を解放していても簡単には防げないものばかりであった。

 

 

 撃たれる、撃たれる、撃たれる。

 

 

 この連続攻撃を雷迎撃で防ぎつつ、なんとか転がりながら立ち上がったものの、足元に転がってきたものがあった。

 

 

 再び―――モクモク

 

 

「―――!!??!!」

 

 

 わかっていても防げない。

 

 凄まじい刺激臭が周囲を覆い、サナがむせ返る。

 

 ここが開けた空間ならば換気も可能だが、密閉された空間では逃げることはできない。戦気を練るにも呼吸が必須だからだ。

 

 もちろんセクトアンク自身も逃げられないが、彼は装束の中でマスクを付けている。

 

 狐面が被っていたものと似た性能を持ったもので、毒ガス類を防ぐ暗殺者用の術具である。

 

 もうおわかりだろう。

 

 

 

―――準備されていた

 

 

 

 相手をよく知り、よく対策を練り、効率的に相手を封じ込める。

 

 それを実践しているにすぎない。

 

 これぞキングの力。セクトアンクの実力である。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。