※この作品はR-18です。

【旧版】「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」※全話掲載完了   作:ぷるっと企画@園島義船

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5話 「姉と弟は、シテいいの?」

 

「師匠、【近親相姦】って、許されるんですか?」

 

「いきなり、何を言うのかな?」

 

 

 亀仙人みたいな禿頭(とくとう)と髭の老人、陽禅公(ようぜんこう)が穏やかな声で答える。

 

 声音は優しいが、そんな声でいつも無茶振りをするという、姉とは違う意味で恐ろしい人だ。歴代最強とも呼ばれる現役覇王として、世界で一番強い武人という話だ。

 

 が、当人いわく、今では姉のほうが強いらしい。

 

 アンシュラオンは、そのことに言いたいことは山ほどあるが、事実なので受け入れるしかない。姉が強すぎるのだろう。

 

 

「一週間で120回したんですよ。信じられます!?」

 

「いきなりカミングアウトされてもね。ジジイには刺激が強いよ。というか、君の体力にも驚きだよ」

 

「オレだって、出したくて出したわけじゃないです。そりゃ最初はよかったけど…半分超えてからはつらかったです。姉ちゃん、底なしだし」

 

「ところで、それが本題?」

 

「そうそう!! 姉と弟がその…スルのって、いいんですか? そういうのって、何かしら問題があるのかなって…。ほらその、よく言いません? 生まれてくる子供がその…いろいろあるとか。倫理面でもそうですけど」

 

 

 近親相姦。

 

 そう、血の近しい者同士が交わることである。遺伝子上、あまり好ましくはないもので、場合によっては少し困ったことになる。

 

 それゆえに、法律で近親間の婚姻を禁じている国は多いが、日本でも(同意、互いに好意がある場合の)性交自体は禁止されていないなど、なかなか難しい問題となっている。

 

 ただこれも、【この世界ではどうなのか】、という確認が必要だ。

 

 そこでアンシュラオンは、驚愕の事実を知る。

 

 

「べつに、いいんじゃない? よくやってるよ」

 

「どうして!!! 許されざることですよ!! 背徳的だ! 認めちゃいけない! 弟が姉に搾取されるなんて、あっちゃ駄目だ! オレは人権保護を主張します!!」

 

「人権ねぇ…」

 

 

 日本人の感覚ではそうだ。

 

 だが―――

 

 

「そういうところもあるけど、武人は例外だね。武人ってのは、血を濃くするのが仕事みたいなところがあるから、王族とか血統遺伝を持つ者は、血を遺すための近親婚は珍しくないね」

 

 

 場合によっては推奨されている、という事実。

 

 武人の血は、貴重である。古来より伝わる【偉大なる者】の因子を遺すためならば、近親間での行為は正当化される。いや、それが正しいのである。

 

 しかも武人は遺伝子が強いので、病気の子が生まれることは、そもそもあまりないのだ。

 

 もちろん、血が合わないことで、あまりよくない結果になることも多いが、それならばまた作ればよいだけのことだ。その希少な血に比べれば、微々たることである。

 

 

「なんて破廉恥な!! 不道徳です! 非倫理的です!! オレは子供を守りたい! 明日の人類を守りたい!」

 

「そんなこと言われてもねぇ。そういうシステムだし。たまにならいいんじゃないの?」

 

「この一週間だけじゃない! 隙を見せれば襲われ、搾られ、搾取されているんですよ! 文字通り、白いものを! オレの体液を! 昆虫だったら死んでますよ!」

 

「うーん、二人の問題だしね。でも、楽しんでない?」

 

「楽しいですよ! 姉ちゃんは、美人ですからね! でも、愛が重いんですよ!! 鉄球並みに重い! こんなの、こんなの、オレの望みじゃなかった!! もっとこう、穏やかで優しくて、ちょっと恥じらいもありながら、エッチな感じの姉がよかった!!」

 

「うーん? 今とあまり変わらないような…。パミちゃんは優しいじゃないか、君には」

 

「オレには…ですね。たしかに。それってあれですか、オレが犠牲になればみんな平和、みたいなやつですか?」

 

「うん」

 

「否定しろ、ジジイいいいいいい!!!」

 

「キレる若者だね。首を絞めないでほしいよ。一応師匠じゃよ、わし」

 

 

 もうすでにパミエルキと立場が逆転しているが、一応師匠である。

 

 

「それに、その話で確信しましたよ。外にはもっと広い世界があるって」

 

「パミちゃんは、何て?」

 

「人類は絶滅して、残っているのはこの四人。その内、女は自分一人だと言っています。だからオレと結婚すると」

 

「…そう」

 

「………」

 

「………」

 

「会話が止まってる!! なんで止まるんですか!」

 

「いや、パミちゃんが言うなら、そうかもね」

 

「絶対嘘だ! 隠しているに決まっている! オレ、女神様に会いましたもん! そんなこと言ってなかった!!」

 

「おや、会ったのかい? どっちに?」

 

「どっち?」

 

「うん。二人いるから」

 

「えっと、すごい優しくて、お母さんみたいな人です。あっ、お母さんといっても、若い感じの…。胸は大きいです」

 

「最後の重要?」

 

「個人的には。小さいのも嫌いではないですけど、姉は大きいほうがいいかなと。ああもちろん、小さな姉もグッドですけど! 両方大好物です!」

 

「力説されてもねぇ。わし、そっちの趣味ないし」

 

「そろそろ教えてくださいよ。いるんでしょ? オレ、師匠の部屋でエロ本見つけましたもん」

 

「過去の遺物だよ。捨てられなくてね」

 

「師匠ならわかるでしょう? 自分でやるほうがいいときもあるって。たまには独りになりたいときもあるって。お願いしますよ…ほんと。気が休まらないんですよ。身体ももたない」

 

「うーん、しょうがないねぇ」

 

 

 陽禅公が、ぼそっと語り出す。

 

 

「わしが子供の頃だから何百年も昔だけど、たしかに【災厄】ってのがあったのは事実だよ。それで世界中に大きな損害が出てね」

 

「人類が絶滅した?」

 

「いんや、全然。いっぱいおるよ、八十億くらいいるし」

 

「姉ちゃんの嘘が雑すぎる!! やっぱり…。ちくしょう、嘘じゃねえか…」

 

「このへんにいないってのは事実じゃよ。実際、この火怨山にはおらんしな」

 

「この山全部?」

 

「そうじゃな。めっちゃ先まで誰もおらん。魔獣だけよ」

 

「その先には?」

 

「いる」

 

「よっしゃ!! 希望が出てきた!!! そこに行けば、女がいるんですよね!? 見た目が姉ちゃんみたいな人も!」

 

「それって結局、パミちゃんが好きってことじゃないの?」

 

「そこは勘弁してください。オレは自由が欲しいんですよ」

 

「でも、パミちゃんは絶対追いかけるよ。それだけならいいけど、邪魔するものは全部殺すだろうし」

 

「…ですよねぇ。姉ちゃん、何なんですか? 師匠より強いですよね」

 

「そうねぇ。何なんだろうね」

 

「いやあんた、覇王でしょ? 知らないんですか?」

 

「覇王だって、ただのジジイだもの。あんなの知らんよ」

 

「オレって、素質的にはどうなんですか!? 世辞はいりません! 本音でお願いします!!!」

 

「前も言ったけど、パミちゃんと同じくらいの資質はあるよ。さすが姉弟だねぇ」

 

「差が広がっていくばかりなんですが…歳の差なんてレベルじゃないですよ」

 

 

 パミエルキは八歳年上の姉であるから、その分だけ差があるのは知っている。

 

 だが、女性である。成長期とはいえ、男である自分が、まったく歯が立たないってのはおかしい。

 

 「もう少ししたら、何とかなるかな?」とか思っていた頃が恥ずかしい。いつの間にか、姉のステータスはカンスト状態である。追いつくどころか、どんどん離されていく。

 

 

「オレ、このまま死ぬのかなぁ」

 

「いいじゃないの。快楽に溺れて死ぬってのも幸せだよ」

 

「年長者の発言じゃない!? ゼブ兄も戦闘馬鹿だし、ここにまともな人っていないんですか!?」

 

「人の生き方はそれぞれだからねぇ」

 

「そのせいで犠牲になる人間がいるってことも、忘れないでください!」

 

 

 相手は逃がすつもりはなく、一生このまま抱きしめておくつもりだ。これでは一生搾取され、家畜のように生きるしかなくなる。

 

 姉に支配されたい属性があることは知っている。強気の姉に萌えることもあるだろう。それがデレたりすれば、もう最高なのだろう。

 

 この一週間のようにデレモードに入れば、それはそれで楽しい。否定しない。否定はしないが、実際に自由を奪われてみると、案外厳しいことに気がついた。

 

 このままでは、死ぬ。精神的に、人間的に死んでしまう。

 

 やはり、人間は自由を求める生き物だと知ったのだ。

 

 

「オレに自由はないんですか!? 自由、それはなんて甘美な響き!!」

 

「自由は大変だよ。だからわし、ここにいるし」

 

「このニートがぁ!! そんな姿勢で、厳しい社会を生きていけると思ってんのかぁああ!」

 

「いやだから、わし、師匠よ? 首を絞めないで」

 

「それでもいいんです! 乞食になろうが、飢えようが、なんとかしてみせます!」

 

 

 もし何の当てもなければ迷うところだが、ここでの修行によって鍛えられている。森に行って食べ物を探すこともできるし、魔獣や魔鳥だって自分で狩れる。

 

 毎日、姉の料理を作っているのだ。料理の腕だって問題ない。

 

 そうだ。何の問題があろうか!!

 

 いや、何もないのだ!!

 

 

「じゃあ、修行が終わったら出て行けばいいんじゃない?」

 

「え!? いいんですか!?」

 

「まあ、免許皆伝になったらね。最初からそういう話だったけど…聞いてない?」

 

「初耳だ!!」

 

 

 耳が飛び出そうなほど、驚いた。パミエルキからは、一言もそんな話は聞いていない。

 

 これは隠していたというより、最初から論外といった感じで、記憶から排除した可能性すらある。

 

 

「いいお姉さんじゃない。君が心配なんだね」

 

「そんな愛はいらない! 姉の咀嚼した食べ物が主食の人生なんて、オレは無理ですよ!! 一緒にお風呂はいいけど…。それと一日数回なら…」

 

 

 最後に若干本音が出たが、それ以外の要素がちょっと無理である。どんなに美人で好みであっても、耐えられないことはあるのだ。

 

 

「じゃ、修行がんばって。その日が来たら、自由にすればいいよ」

 

 

「うおお、うおお! やってやる! オレはやってやるぞおおお! 姉ちゃんの支配から、脱却してやるぞおおおおおおお!!」

 

 

 そうして日々、修行に励むのであった。

 

 当然その間は、姉に搾取され続け、修行と夜の仕事で痩せ細る姿に、魔獣にすら同情されたという哀しい話が残っている。

 

 

 

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