※この作品はR-18です。

【旧版】「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」※全話掲載完了   作:ぷるっと企画@園島義船

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652話 「DBD流、剣技の習得」

 

 これで一通りの武具の紹介が終わる。

 

 改めて与えた武装を見てみよう。

 

 

 サナには、水刃命気刀、強化ショートソード、術式ダガー三本、ハンドガン三丁、強靭鎖陣羽織。

 

 術符や大納魔射津は常時持っているので、基本的な戦いはそのままに全体的にパワーアップといったところだろうか。

 

 

 サリータには、ボムハンマー〈爆破杭槌〉、ピストルグレネードランチャー〈単発式爆破銃〉、術式ダガー。

 

 鎧と盾はDBD製なので、現在手に入る防具の中では良質なほうだ。その防御力を生かしつつ単発攻撃を強化した。

 

 

 小百合には、術式護衛刀・風式、ハンドガン、術式ダガー、 強化ハローワーク制服。

 

 彼女にライフルを持たせなかったのは、身軽にさまざまな場所でサポートしてもらいたいからだ。もともと働き者で面倒見が良いので、フットワークを生かして立ち回ってもらいたいものである。

 

 

 ホロロには、アサルトライフル〈AP5〉、ハンドガン、術式ダガー、強化メイド服。(+兆視暗眼奇(ちょうしあんがんき)+剛徹守護の腕輪)

 

 彼女の役割はクルマにおける司令塔で、周辺監視と狙撃、クルマでの砲撃等々、実に多忙な役割を果たす。そのために他者より多くの術具を与えているし、これからも与える予定だ。

 

 

 セノアには、専用強化魔力珠、ハンドガン、クロスボウ(爆発矢)、術式ダガー、強化メイド服。

 

 情報術式が使えるようになったため、道具や簡単な武具の補修や、ちょっとした怪我を治す救護班としても使える。ホロロが忙しいときは物理障壁を張りつつ、クルマの運転までできるようになれば一人前だ。

 

 

 ラノアには、専用強化魔力珠、クロスボウ、術式ダガー、強化メイド服。

 

 彼女はこの中で一番幼いため、現状ではあまり過度な期待はしていない。その代わり才能はかなり高く、今後の成長に期待だ。

 

 

 クルマには、術式反発キャノン砲〈改造戦車砲〉と散弾砲を設置。

 

 最悪台座を捨てて、そのままクルマで逃げることも可能である。

 

 

 追加された武装は以上である。

 

 

 これに加えて『対術式二重防護輪』は全員に配られ、術式ダガーも基本的に全員が持ち歩くことになった。

 

 ラノアには暴発を考えて銃は持たせないが、サナが使っていたクロスボウを継承させる。(爆発矢はセノアが使う)

 

 これが街での活動ならば十分な武装だろう。少しチンピラに絡まれたくらいならば彼女たちだけで十分排除できる。低級の傭兵くらいでも問題ない。サナがいれば上級傭兵でも倒せるだろう。

 

 だが、荒野では所詮、気休め。

 

 いくら良い装備を使っても人間そのものの力が成長しなければ、この厳しい荒野で生き残ることは難しい。

 

 まだまだ強化は始まったばかり。目的を達するためには、もっともっと強くならねばならない。

 

 また、少し余談であるが、銃そのものの『錬成』はあまり意味がない。

 

 主たる攻撃は弾丸そのものが担うため、弾丸を術式強化するのが一般的である。

 

 クロスライルのように銃で近接戦闘もこなすのならば、銃そのものの素材を良くして核剛金等で強化するくらいであろうか。それ以外は部品を換えたり機構を新しくしたりして対応する。

 

 よって、サナたちに与えた銃は、それ単体ではすでに完成品となる。より強い銃や砲が欲しければ、新しく作るしかないだろう。

 

 

 

 

  ∞†∞†∞

 

 

 

 サナたちが新武装の練習を開始して二時間後。

 

 本日の訓練が始まる。

 

 サリータはいつも通り、DBD側の訓練に合流。今回は一人だけの参加なので寂しいかもしれないが、そこは我慢してがんばってもらいたいものである。

 

 では、サナはどうしているかといえば、アンシュラオンと一緒に【剣技の練習】だ。ついでに暇だった小百合も付いてきたので、三人での参加である。

 

 技を教えてくれるのは、これまた遭遇戦でアンシュラオンが半殺しにした長剣の男、モーリス・グレツキ十光長。

 

 十光長レベルだが、彼も教えることに長けた教練部隊の一員である。

 

 

(よく軍曹とかが新兵を鍛えている光景を見るが、まさにあんな感じだよな。軍歴は長いわりに出世していないけど経験豊富だってやつだ)

 

 

 彼らの最大の役割は、兵士たちの教導。

 

 その中から素養のある者を見い出し、騎士に推薦する。つまりは彼らの才能を見る目こそが、DBDそのものを強くしているといえるだろう。

 

 アンシュラオンと遭遇した時のように、敵が強い場合は自らを犠牲として新兵を逃がすことも役目だ。すでに才能の限界まで鍛えている彼らより、まだ才能が目覚めていない若者を優先するのは当然である。

 

 

「本日はよろしくお願いいたします」

 

 

 グレツキがアンシュラオンに頭を下げて挨拶する。

 

 グレツキも口数が多いほうではないが、相棒のハンクスほどぶっきらぼうではないようだ。かなり丁寧に接してくれる。

 

 アンシュラオンがいることに加え、昨日のゼイヴァー戦でサナの強さを実際に見ているから敬意の感情が湧いたのだろう。

 

 サナは魔石無しでも、彼にはギリギリ勝てると思われる。

 

 ただしハンクス同様、グレツキが見せた『覚悟』は武人の力を底上げする。低出力のアンシュラオンを少しだけ足止めできるくらいの力はあるのだ。

 

 その意味ではサナは苦戦するだろう。十光長といっても侮れないのがDBDの強さである。

 

 

「それじゃ、剣技をいろいろ教えてもらおうかな。この子は本当の基礎しか知らないから、下から順番に相性が良さそうなのをお願い。オレはそうだな、基礎まではサナと一緒に学ぶけど、【アレ】を覚えたいな。アレ!」

 

「は、はい。アレ…ですか」

 

「そうそう、アレ! アレはいいよね!! 楽しみにしてたんだ! よろしく頼むよ!!」

 

「わ、わかりました。尽力します」

 

 

 まったくもって伝わっていないが、上官からそう言われたらイエス以外の言葉は出してはいけない。それもまた軍隊である。

 

 

「小百合もアレが知りたいです!!」

 

「あ、アレ!?」

 

 

 しかし、女性が言うとなぜかエロティックに感じるのは、我々の心が貧しいせいだろうか。グレツキにも自重してもらいたいものである。(彼は未婚)

 

 

 

 訓練、開始。

 

 

 

 まずは基礎から。

 

 剣の持ち方はそれぞれ好みがあるが、ひとまず基本となる形を学ぶ。

 

 片手剣の持ち方、片手盾を持つ場合の構え方、両手剣の扱い方、防御の姿勢、構え等々、DBD流剣術の型を教えてもらう。

 

 一番感心したのが、グレツキがこれら多様な型を見事に使いこなす点である。

 

 

「すごいね。よくこんなに覚えられるもんだ」

 

「それが教練部隊の役割です。いつ誰がどの聖剣に選ばれるかわかりませんから、すべてに対応できるようにしておかねばなりません」

 

「聖剣って形が違うんだっけ?」

 

「はい。六種類の聖剣はそれぞれタイプが異なります」

 

 

 刀身が大きい順にいえば、

 

 火の大剣、光の両手剣、水の長刀、雷の長剣、闇の刀、風の双剣。

 

 となる。

 

 

「攻撃の火の聖剣。防御の光の聖剣。斬撃の水の聖剣、万能の雷の聖剣、流転の闇の聖剣、速度の風の聖剣となっております」

 

「刀は二種類もあるんだね。こっちの武器庫に刀が少ないのって、おっさんが長剣の使い手だからなの?」

 

「その通りです。部下も聖剣長に合わせた武装になることが多いのです。むろん兵種によって武装は異なりますし、個々人でカスタマイズも可能です」

 

「なかなか興味深いね。まあ、軍隊で使うなら万能型が無難かな」

 

「我々の艦隊は、いかなる戦場でも安定した戦いができるのが強みですから、他の艦隊の救援に向かうことも多かったものです」

 

 

 DBDは、三つの国からの攻撃を各二艦隊で受け持っていた。

 

 ただし、この二つの艦隊は戦況によって入れ替わることがあり、臨機応変に立ち回っていた。

 

 たとえば火は攻撃特化だが、その分だけ防御が薄くなるため光の艦隊が援護に行くことも多かった。

 

 その中でもっとも安定した能力を持つのが、雷の艦隊である。

 

 ガンプドルフ率いる雷の艦隊は、普段の彼の様子を見ればわかるように、いつも苦労している印象である。万能であることは素晴らしいが、逆に言えば長所がないので戦いが長引く傾向にある。

 

 それを粘り強く勝ってきたからこそ、アンシュラオンに対しても我慢強く接することができるのだろう。逆境が人を培うのだ。

 

 

「とりあえずオレは、おっさんと同じ長剣の型で教えてもらおうかな。サナはそうだな…長刀ってわけじゃないから…普通の刀かな。聖剣だと闇になるのかな? 大丈夫そう?」

 

「問題ありません」

 

 

 

 

 細かいやり取りは省略するが、ここでアンシュラオンたちはいくつかの技を習得するに至る。

 

 特にリクエストして教えてもらった【アレ】が、これ。

 

 アンシュラオンが剣を叩きつけるように振り抜くと同時に―――落雷一閃

 

 ドーーーーンッ バリバリバリッ

 

 強烈な一撃が大地を焦がす。

 

 

「よし、おっさんの技を覚えたぞー! これがやりたかったんだ! カッコイイよね!!」

 

 

 以前ガンプドルフが使ってきた『剣雷震(けんらいしん)』という因子レベル3の剣王技だ。

 

 あの時は上空で使ってきたが、べつに対空専門の技というわけではない。普通に振りかぶって上段から叩き落せば技は成立する。

 

 単体攻撃力の高さに加えて、感電の追加効果があるのも雷属性の長所だ。

 

 雷神掌よりも間合いが長いので、こちらのほうが使いやすいかもしれない。

 

 次に、同じく格好よさそうという理由から『不知火(しらぬい)』を覚える。こちらは火をまとった剣で二連撃を加える因子レベル3の剣王技だ。

 

 当然火属性なので、斬った相手に火傷の追加ダメージが発生する。弱い皮膚を持つ生物に対して有用だ。

 

 それ以外にもいくつか『ノリで』覚えたが、その様子を見ていたグレツキは次第に無口になっていった。

 

 そして、ポツリ。

 

 

 

「属性……関係ないんですね」

 

 

 

 属性を持たなくても技の会得は可能だ。誰でも『型』を学び、最低限の因子と戦気や剣気があれば修得はできる。

 

 がしかし、ラノアのところでも話したが、同じ属性を持っていたほうが技の威力は格段に上がる。

 

 たとえば同じ剣雷震でも、アンシュラオンが使うよりガンプドルフが使ったほうが、同属性補正が加わって威力の倍率は高くなる。

 

 どうせ覚えるのならば、自分が得意とする属性を学んだほうがいいだろう。

 

 されど術同様、アンシュラオンは全属性が劣化しない。

 

 属性に関しても現在は偏っているが、パミエルキがほぼ全種類の属性(岩等を除く)を扱えていたように、弟もその気になれば全属性の修得が可能である。

 

 あまり話題にされないが、アンシュラオンに『対属性修得』というスキルがあるのを覚えているだろうか。

 

 これは火や水、雷や風といった属性反発する対属性を、まったく反発させることなく扱えるスキルである。劣化もしないし、体内での逆流もない。だから熱爆球と水連球を同時に扱っていたのだ。

 

 今回覚えた火属性の不知火も、水と遜色なく扱うことができる。地味だが、これは実に貴重で有用なスキルである。

 

 言ってしまえば、『デルタ・ブライト〈完全なる光〉』を補佐するスキルといえる。より効果を発揮するための潤滑油みたいなもの。セットで使うと、よりお得だ。

 

 よって、アンシュラオンは好きな技を好きなだけ覚えられる。

 

 こんな有様なのだから、グレツキが半ば諦めの境地に達するのも致し方がない。

 

 

 が、雷と火を選んだことには明確な理由がある。

 

 

(今回は火と雷をメインで学ぼう。べつに水系の技に困っているわけじゃないしね。そっちは覇王技と術でなんとかできるし、剣は苦手な分野を伸ばしていくべきだ。特に火はバリエーションが少ないし、雷もあまり得意ってわけじゃないんだよね)

 

 

 アンシュラオンが現在保有している属性は、六属性の中では『光』『火』『水』の三つである。

 

 その中で水だけが異様に進化しているのは、日々の姉の暴力、パミエルキの攻撃に耐えるためだ。水は最上級の命気まで使えるので、もう十分強い。

 

 その反面、火はまだまだ成長の要素を残しているし、光に至っては一部の覇王技の強化に使う程度で、ほぼ眠っている状態だ。

 

 

 実は―――まだまだ成長期

 

 

 こんなに強いにもかかわらず、発展途上。これが怖ろしいのだ。

 

 

(剣なら剣気も出せるし、技自体が攻撃力に優れているものが多い。今後のことを考えると攻撃力の強化は必須だ)

 

 

 ついついアンシュラオンが強いから、『戦士=攻撃力』のイメージがあるかもしれないが、本来は攻撃に関しては剣士のほうが数段上となる。

 

 もし自分と同レベル帯の剣士が相手となれば、防御主体で立ち回ることになるはずだ。その際、攻撃は手数重視になって致命傷を与えるのが難しくなる。

 

 そうした際、剣技を覚えておくと便利だ。

 

 魔獣と戦うのならば、なおさらである。実際にデアンカ・ギースと戦った時は、包丁の剣気が大いに役立っていた。

 

 あれくらいの耐久力となると、打撃だけではダメージを与えにくいのである。(相手の性能が物理に強かったせいもある)

 

 こうしてアンシュラオンは、グレツキから火と雷の技を中心に技を教えてもらう。

 

 

 

 そして、サナも技を習得。

 

 自分は半分趣味なので、むしろこちらがメインだ。

 

 

「どうだ? 上手く使えそうか?」

 

「…こくり」

 

 

 サナは『闇属性』を持っているため属性で迷うことはない。

 

 多様性は武具や道具で補い、彼女自身は素直に長所を伸ばすべきだろう。

 

 ここではゼイヴァー戦で使った暗衝波に加え、その近接バージョンの『暗剣葬(あんけんそう)』を習得。どちらも因子レベル1の技だ。

 

 次の因子レベル2では、十字に切り裂く『黒十斬(こくじゅうざん)』と突き技の『黒矛葬(こくむそう)』を覚える。

 

 この二つは攻撃時に闇を放出することで剣筋を隠しつつ、ダメージを与えた部位の回復を遅くさせる効果がある。闇が侵食して細胞増殖を阻害するのだ。

 

 ただし、アーブスラットのような癌細胞ではないので、一定時間が過ぎたら消失する程度のものだ。

 

 

 グレツキいわく―――

 

 

 

「闇属性の技は、単純な攻撃倍率では他の属性に劣りますが、攻撃時に相手を妨害するものが多いです。使い手も少ないことから警戒も緩く、その分だけ相手の虚をつけるのです。防御にも優れておりますので非常に強力です」

 

 

 

 ここで属性ごとの特徴をおさらいしておこう。

 

 

 火は『破壊』に優れ、水は『技』に優れ、風は『速度』に優れ、雷は『威力』に優れる。

 

 

 広域破壊や殲滅力では火は最強で、破壊にもっとも向いている。ただし細かい調整が難しく暴発することも多い。

 

 パミエルキやマキが得意とする属性だ。どちらも苛烈な攻撃を好むのでわかりやすいだろう。(一応ビッグも火)

 

 水は技の精度を重視し、流れる動きで的確に相手の弱点を突く技が多い。命中精度も高く、水なので安全性も高く安定している。ただし、威力自体は高くない。

 

 いわずもがな、我らが主人公アンシュラオンがもっとも得意とする属性である。

 

 風はもっとも素早く、切れ味にも優れ、火とは違う意味で複数を攻撃できるが、水同様一撃一撃は軽いので連続攻撃がメインとなる。

 

 風といえばラブヘイアが目立っているが、陽禅公の主属性も風である。プライリーラやアーブスラットもこちらが主属性となる。

 

 雷は単体威力で火を圧倒する力を持つが、技の性質上、どうしても力が分散しやすく難しい属性といえる。また、一撃が強いので消耗も激しい。

 

 ガンプドルフやゼブラエス、マタゾーなどが該当する。

 

 

 残り二つは、他の四属性と比べて所有者が少ないといわれている『光と闇』だ。

 

 

 光は、その名の通り輝きを意味するもので、太陽であり正の力を持つ。

 

 術ならばある程度は想像しやすいだろうが、これが技となる場合は『放出系』が主な攻撃手段となり、自己強化や守備技が多いのも特徴である。

 

 そして、サナやヤキチが持っている闇。

 

 闇は大地の力を示し、すべてを内包して抱くものである。

 

 それ自体は優しく愛情深いが、技となると相手を惑わすものが多くなる。

 

 相手の長所を打ち消す妨害効果にも長けており、属性の打ち消しや無効化、吸収といった特殊な技能も多く見られる。

 

 その結果、攻撃すればするほど防御の面でも優位に立てる。

 

 光が自己強化の物理的な防御だとすれば、闇は相手の力を削ぐことでミスを誘い、戦術的な意味で防御力を高める属性であるといえる。

 

 

(これだけ聞くと弱そうに思えるが、実はサナとの相性は相当いい。サナは魔石で雷の力を使うことができるから、闇と雷といった強烈な組み合わせが使えるんだ)

 

 

 雷の長所は、一撃必殺の威力にある。

 

 そこに闇が加わればどうなるか?

 

 相手が闇の攻撃で戸惑っている無防備なところに、必殺の一撃を叩き込めるのである。これは実に怖ろしいコンボだ。

 

 たとえば初見の相手に最大限の効果を発揮する。何も情報を知らないのだから対処が難しく、完封で勝つことも可能になる。

 

 まさにバルドロス戦そのものだ。格上の相手にも金星を挙げやすいのである。

 

 

(サナは防御も難点だが、先制攻撃で相手を弱らせることができれば、その点もある程度はカバーできる。視界の妨害だけでもかなり使えるだろう)

 

 

 武人とはいえ、ほとんどの人間は視界の情報に頼っている。

 

 波動円も精度が低ければ、刹那のタイミングで戦う高速戦闘では不利だ。

 

 まだまだ身体能力の低いサナにとって、闇は素晴らしい属性といえるだろう。

 

 

(その一方でセクトアンクがやったように、対策を練られると若干弱い傾向にあるけどね。それは仕方ない。どの属性もそれぞれ長短がある。大切なことは、お互いに補い合うことだ。戦力はサナだけじゃないからな。そういったところで女性たちには、さらに強くなってもらわないと困る)

 

 

 ちらっと小百合の様子をうかがうと、彼女もグレツキから『型』を教わっていた。

 

 剣技に限らず技の習得には『型』が必要だ。特定の動きで特定の気の流れを経由することで、世界に記録された『技』というデータベースに該当するものが選択され、事象として発現する。

 

 世界が技だと認めれば、その範囲の中で技は成立する。未熟な者はかろうじて成立することもあるだろうし、熟練した者は許容範囲内でカスタマイズして使う。

 

 大事なことは、その型をよく知っているかどうかであり、教えるのが上手い人間というのは型をより多く、より正確に知るものを指す。

 

 その意味で、グレツキは優秀な指導員である。

 

 技自体は発動しないものの、小百合も物珍しそうに剣技を覚えている。学校の道場では技までは教えてくれないので楽しそうだ。

 

 

(小百合さんは武人ではないが…それは今この瞬間に限ってのことだ。サナのように開花する可能性もあるよな。そうなるとホロロさんも鍛えたほうがいいのかな? …強いメイドか。そそるな。でも、それ以外の雑務もあるし…やっぱり魔石による強化が先かな。銃や道具で強化したばかりだもんなぁ)

 

 

 サナの魔石一つ取ってみても、あるとないとでは雲泥の差である。むしろ一般人であっても魔石が扱えれば、それだけでそこらの武人など簡単に蹴散らせるだろう。

 

 自衛という目的を達するために、今はスレイブ・ギアスの試作を急ぐべきである。

 

 こうして午前中は、新武装と剣技の練習で終わった。

 

 

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