※この作品はR-18です。

【旧版】「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」※全話掲載完了   作:ぷるっと企画@園島義船

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658話 「レベルアップ」

 

「さすがに…疲れた……な」

 

 

 キャンプに戻ると、ガンプドルフが倒れた。

 

 即座にコテージに運び込まれたので、アンシュラオンも一緒に付いていき、改めて診断する。

 

 

「だいぶ無理をしていたようだね。ミイラみたいに細胞がカラッカラだ」

 

 

 大きな傷はすでに回復術式で塞いでいるが、それだけで消費した生体磁気が戻るわけではない。

 

 それだけ死力を振り絞ったのである。

 

 

「やっぱり魔石のせいかな?」

 

「そうだ。無理やり強化するのだ。代償は仕方ない」

 

 

 シャクティマズ・グラズム〈雷範の結合者〉は、BP+2000という強力な効果があるが、あれは雷妖王からエネルギーを強制注入されているようなものだ。

 

 他人の力、それも精霊というカテゴリーの異なる力を受け入れるのだから、いくら媒体があっても細胞が傷つくのは仕方がない。

 

 

(そっか。サナはオレが命気を与えているから大丈夫なんだ。また一つ勉強になったな。『エル・ジュエラー』がもう一人いると比較できていいね)

 

 

 実はガンプドルフも『エル・ジュエラー』。魔石の力を九十パーセント以上引き出せる適合者である。

 

 ただし、サナとの最大の相違点は、アンシュラオンという庇護者がいるかどうか。この消耗度を見る限り、その差はかなり大きいようだ。

 

 

「魔石でこれなら聖剣を使ったらもっと危ないんだろうね。温存するわけだ。仕留め損なったら終わりだもんね」

 

「だからこそ我々の艦隊は粘り強さを重視している。仮に私が倒れても戦局が急激に悪くならないように耐えるのだ」

 

「なかなかのギャンブルだね。まあ、賭けられるものがあるだけましだけど」

 

「…少年は元気だな。ずるくないか?」

 

「本業は戦士だからね。回復力が自慢だよ。はい、命気風呂。おっさんも遠慮なく入るといい。そうだな…おっさんだと二時間もあれば戻るんじゃない? オレと相性良さそうだしね」

 

「本当に…君はすごい男だよ」

 

 

 ベッドからよろよろと立ち上がると、そのままドボン。

 

 服のまま命気風呂に突っ込むが、特に問題はない。服も綺麗になるので一石二鳥だろうか。

 

 

「ふぅ…これはいい。身体が…細胞が癒されていくのがわかる。命気はいいな。私も欲しい」

 

「ねぇ、オレが勝ってよかったの? 大丈夫?」

 

「あれ以上、手加減されても困る。これでいい。…心配するな。この程度で求心力は低下しないさ。聖剣王国にとって聖剣の存在は大きい。その神話が生きていれば問題はないのだ」

 

 

 アンシュラオンもハンデを負っていたが、ガンプドルフも聖剣を使っていなかった。

 

 あくまで騎士たちに力を見せ付けるのが目的である。これくらいが落としどころとしてちょうどよい。

 

 

「これで君も騎士たちから信頼されるだろう。少なくとも実力を疑う者はいないはずだ」

 

「両方の面子も考慮しないといけないなんて、提督閣下は大変だ」

 

「そうだな…これからも大変だ。三日後には捜索作戦が待っているからな」

 

「防具とか壊れちゃったけど、支障はない?」

 

「私にはまだ聖剣と魔人機がある。大丈夫だ。それに戦艦と合流できれば鍛冶師に直してもらえるからな。まだ予備の鉱石が残っていたはずだ。修理は可能だろう。…怒られるかもしれないがな」

 

「司令官なのに怒られるの? 相手は鍛冶師でしょ?」

 

「聖剣王国では優れた鍛冶師の地位は高い。そこらの上級軍人よりも上だ。特に今回同行してくれた職人は特別だからな。あくまで協力者という立場で接している」

 

「いいね。楽しみだ。オレの目的はスレイブ・ギアス用の鉱物だけど、良い武具にも興味がある。それがあればサナたちが強くなれるからね」

 

「君の剣はどうする? 作るか?」

 

「しばらくは命気で作った剣でいいよ。取り扱いも楽だしね」

 

 

 アンシュラオンが、あっさりと命気剣を生み出してみせる。

 

 

―――――――――――――――――――――――

名前 :命気剣

 

種類 :剣

希少度:AA

評価 :A

 

概要 :水の最上位属性である『命気』が結晶化して生まれた剣。

 

効果 :攻撃力B+1.5倍

 

 

【詳細】

 

耐久 :A/A

魔力 :A/A

伝導率:A/A

属性 :命

適合型:物質

硬度 :A

 

備考 :

―――――――――――――――――――――――

 

 

 命気剣のステータス自体は、トールガイアに比べると数段見劣りする。

 

 しかし、最大の長所は『いくらでも作れる』『好きに形を変えられる』といった汎用性と手軽さにある。自分の生体磁気から作れるのでお財布にも優しく、特段のメンテナンスも不要。

 

 管理や整備がずぼらな自分には、まさにうってつけの武器といえる。

 

 

「反りを入れれば刀にもなるし、伸ばせば槍にもできる。投げつけたまま回収しなくてもいいし、遠隔操作もしやすい。ね、便利でしょ? 物干し竿にもできるよ」

 

「まったくもって…規格外だな。恐れ入る」

 

 

 これに関連して、もう一つわかったことがある。

 

 

(剣用に作ると、また少し違った感じになるんだよな。剣として確立されるというか…これもデータ上のアイテムとしての違いかな)

 

 

 普通に回復用に命気を使うのと、結晶化させて使うものとは違いが生まれる。

 

 さらに同じ結晶化させたものでも、単に固めるものと剣にするものでは『カテゴリー』が異なっていることがわかる。

 

 剣として生み出すとデータ上でも『剣』となり、命気としての性質がやや失われるようだ。

 

 スラウキンに提供した命気結晶とは違う、という意味である。

 

 

(剣としての能力も高いってわけじゃないしね。あくまで繋ぎだな。やっぱり鍛冶師が芯をちゃんと作らないと駄目なんだなぁ。しっかりしてるよ、ほんと)

 

 

「周辺の警戒はオレがやっておくから、おっさんは出立まで休んでいるといい。それより作戦のほうが重要だしね。そっちの準備を万端にしておいてよ」

 

「わかった。たまには休んでもいいか。…この風呂は癖になりそうなほど心地よいしな……眠りそうだ」

 

「ゆっくり寝てもかまわないさ。いくら強い武人だって、常時気を張り詰めていたら駄目になる。休むことも仕事だね」

 

「ところで、グランド・リズリーン〈偉大因子共鳴〉が起きていたのか? シャクティマが『大海の女神』が来たと言っていたが…本当か?」

 

「そうみたいだけど…あのお姉さんって女神なの? たしかに海を作ってたな…。女神って二人だけじゃないんだね」

 

「我々人類を生み出したのは、光と闇の女神といわれている。だが、それ以外にも同格の女神は何人かいる。その一人が大海の女神…『紅御前(べにごぜん)』とも呼ばれる女性だ。初代剣聖の伴侶として有名だな」

 

「赤い着物を着ていたから紅御前なのかな?」

 

「世間一般では、かなり珍しい女神だ。出会った人間も数少ないという。どんな人物だった? 私も剣の使い手として興味がある」

 

「いや、すごかったよ。あれはすごい」

 

「そんなにか!?」

 

「うん、闇の女神様に匹敵すると思う」

 

「ふむふむ、なんと。さすがだな!」

 

「そうそう、めっちゃ―――【おっぱい】が大きかった」

 

「そうか! おっぱいが……ん? おっぱい?」

 

「うん、おっぱい」

 

 

 イエス! OPPAI !!

 

 FUUUUUUUUUUUUU!!!

 

 

「でも、体格も大きかったからね。闇の女神様とどちらが大きいかは、なかなか議論の余地があると思うんだ。そりゃ身体が大きければ、乳だって大きくなるもんだ。『ふくよかな女性の巨乳は本当に巨乳なのか問題』とも繋がるんだけどね。たしかにちょっと前までは、オレも否定派だったよ。でもまあ、海の女神様を見ると考え方も変えないといけないかなぁとも思う。結局はどれも素敵なおっぱいだし、実際に触る面積が大きいんだから、それも巨乳なんだよね。でも、業界では根強い反対派もいるし…難しい問題だ。こうやって二大巨頭が出てきちゃうと、また業界が荒れるよ」

 

「業界が…あるのだな」

 

 

 おっぱい業界の勢力は大きい。油断するな!

 

 ちなみに、おっぱいの妖精も所属しているのでよろしく。

 

 

「あっ、海の女神様は太ってなんかいないよ。ただ体格がいいってだけでね。そのうえで胸も大きいんだ。でも、やっぱり触ってみないと評価は難しいや。オレの予感だと、柔らかさでは闇の女神様のほうが上だと思う」

 

「うむ…その……そうか。そ、それで…剣のほうはどうなったのだ?」

 

「因子のほう? 一応解放されたみたいだよ」

 

「しかし、グランド・リズリーンが起きても我々には感知できなかった。普通ならば周囲も波動を感じるはずだ。そうなると少年の内部でだけ起きていた現象なのだろうな」

 

「それだけ秘匿性が高かったのかな? そういえば何か変なことも言っていたな。【オレ自身が因子を封印していた】、みたいな。おかしい話だよね。普通はそんなことしないし、意味がわからないよ」

 

「ふむ、自らで因子の封印か…。珍しいが、無いこともない」

 

「え? そうなの?」

 

「因子が高くても振り回されてしまうことがあるからな。実際、私も因子をすべて使えている感覚はない。雷王・麒戎剣が使えているのならば『5』はあるのだろうが…それ以上は安定して使える自信はない」

 

「そっか。変に因子が高くて暴走する可能性があるなら、いっそのこと減らす手もあるのか」

 

「因子の質の問題もあるだろう。無理やり覚醒させられた力と、自然に成長して身に付いたものとは質が異なる。たとえば『薬物』だな。薬を使えば因子を強制的に上げることはできるが、やはり邪法だ。一時的に効果はあっても普通に育った力よりは劣る」

 

 

 このあたりはサリータとベ・ヴェルの違いといえるだろう。

 

 サリータをアンシュラオンが時間をかけて育てているのは、そのほうが最終的に強くなるからだ。

 

 一方のベ・ヴェルは短期的には強くなれても、そこで打ち止めの可能性がある。しかも寿命を大きく削るので長生きもできないだろう。

 

 短期的に強くなるか、しっかり育てるか。求めるものの違いともいえる。

 

 

「そもそもさ、オレは能力を使って理解できるけど、おっさんたちってどうやって因子の情報を調べているの?」

 

「主に技だな。自分がどれくらいの技を修得できるかで調べることが可能だ。昔からある有名な技は、因子レベルごとに明確に分けられているのだ。それが言い伝えられて世界全土に広がり、書物にされている。道場にある秘伝書とかがそうだ」

 

「なるほどね。覚えられなければ才能がないってわかるのか。でも、相性とかもあるし、埋もれている人材も多そうだね」

 

「それも君ならば発見できるのだろうな。極めて優れた能力だ。使い方次第では、とんでもない軍団を生み出すことができるだろう」

 

「その教練には、おっさんたちの力が必要だけどね。役割分担ができていいんじゃない? 当たり前だけど、正統派の武術を習うのも効果的だね。特に普通の人間には有効的だ」

 

「役に立てたのならば何よりだ」

 

「ねぇ、【記憶】も…意図的に忘れさせることはできるの?」

 

「それも言われたのか?」

 

「うん」

 

「ふむ…それならば、むしろ少年のほうが詳しいのではないのか。そういった術式もあるのだろう?」

 

「まあ…ね。でも、自分でかければわかると思うんだよね。今は術士の因子も覚醒しているから調べたけど、そんな痕跡はなかったんだ」

 

「術の世界は奥深いものだ。我々にはわからないことが多い。ただ、紅御前が言うのならば嘘ではないだろう。気に留めておいたほうがいいかもしれん」

 

「言われた当人は、気になって忘れられないって」

 

「それもそうだな。君も災難では私に負けてはいないな。ははは」

 

「あまり同類にされたくはないけど、否定もできないよ。それじゃ、オレは行くね。ゆっくり休みなよ」

 

「少年、これからも頼む」

 

「確約はできないけどね。利益があるのならば一緒にいてもいいよ」

 

「そうなるように努力しよう」

 

 

 その後、珍しくガンプドルフは深い眠りに落ちた。

 

 この東大陸に来てから一度も気が休まることはなかったが、今ようやくにして久々の安らぎを得ることができたのだ。

 

 それもこれも、自分と同じ英雄がいるから。

 

 

(オレは責任がないだけ自由だ。少しは真面目に手伝ってやるか。結果が出ないとオレにも利益が出ないからね。一緒に行動している間は『仲間』だからな)

 

 

 ソブカと組んではいるが、あちらはあくまで商談相手にすぎない。利益が出なければ、あっさりと切り捨てるだけのクールな関係だ。

 

 一方のガンプドルフは、武人として自分と張り合えるだけの実力がある。

 

 やはりアンシュラオンも武人だ。闘いによって結びついたものは金に勝る。

 

 この瞬間、初めて下界で『仲間』と呼べる関係を築いたのであった。それもまた悪くないものである。

 

 

 

 

 アンシュラオンがコテージから出ると、サナたちが待っていた。

 

 

「どうだ、サナ! お兄ちゃんは強かっただろう!」

 

「…こくり!」

 

 

 サナが走りよってきたので抱き上げる。

 

 興奮していたのだろう。頬が少し赤くなっている。

 

 

(今までは乗り越える壁を用意して戦わせていたが、上級者の戦いを見せるのも勉強になるはずだ。目的地がはっきりするからな)

 

 

 今のサナのレベルでは、どこまで動きが見えたのかはわからないが、見たものは忘れない子だ。いつか役立つ時が来るはずだ。

 

 しかも英雄同士の戦いとなれば、滅多にお目にかかることはできない貴重な体験となる。

 

 あの熱量、あの激しい力のうねりを少しでも感じ取ってくれれば、それだけで十分であった。

 

 

「雷の使い方はガンプドルフのほうが数段上だ。サナもあれくらい強くなろうな。お前はまだまだ成長期だ。これからもっともっと強くなれる。さっき見たものも全部糧にするんだよ」

 

「…こくり」

 

「よしよし、いい子だ。セノアもちゃんと見ていたかい?」

 

「は、はい! す、すごかったです! 速すぎて、ほとんど見えませんでしたが……」

 

「それでも魔力弾は見えただろう? ああやって形を変えることで、いろいろな場面で使えるんだよ」

 

「え?」

 

「ほら、ハンマーみたいな形にもしたでしょ? ミサイルも使ったし」

 

「あ、あれって魔力弾だったんですか!? も、申し訳ありません! 気づきませんでした…!」

 

「うん、そっか…わからなかったか。まあ、説明もしていなかったし…しょうがないかな」

 

 

 残念。まったく気づいていなかったようだ。

 

 といっても、それが魔力弾だと知ることに意味がある。

 

 

「少しずつ理解していけばいいよ。オレも君たちが強くなるために努力するからさ。サリータも鎧の重要性はわかっただろう? 自分を鍛えることでさらに性能が引き出せる。あれだけ強固だと攻める側も苦労するんだ」

 

「は、はい! 勉強になりました! そ、その…レベルが高すぎて……わからないことも多かったですが…」

 

「それはサナだって同じだ。それでいい。いつか役立つ」

 

「はい…」

 

「それじゃ、これからサナとサリータは特訓だ。練習がてらにオレが相手をしてやろう」

 

「ありがとうございます!」

 

「…こくり!」

 

 

 こうして夜まで二人の鍛錬に付き合う。

 

 ガンプドルフは倒れたのに、この男はまだまだ元気。

 

 このあたりを考えると接戦に見えたあの戦いも、まだまだ大きな差があったと思うべきだろう。継戦能力の重要さを改めて知るものだ。

 

 

 

 しかし、それがよかった。

 

 

 

 因子レベルが―――上昇!!

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

名前 :アンシュラオン

 

レベル:124/255

HP :8800/8800

BP :2430/2430

 

統率:F         体力: S

知力:C         精神: SSS

魔力:S         攻撃: S

魅力:AA(※SSS)  防御: SS

工作:B         命中: S

隠密:A         回避: S

 

※姉に対してのみ、魅了効果発動

 

【覚醒値】

戦士:8/10 剣士:8/10 術士:6/10

 

☆総合:第二階級 超零(ちょうれい)級 戦剣術士

 

異名:転生災難者

種族:人間

属性:光、火、炎、水、凍、命、雷、王

異能:デルタ・ブライト〈完全なる光〉、女神盟約、情報公開、記憶継承、錬成、対属性修得、物理耐性、銃耐性、術耐性、即死無効、毒無効、精神耐性、下級商人、扇動者、年下殺し(恋愛)、妹過保護習性、姉の愛情独り占め

―――――――――――――――――――――――

 

 

(念願のレベルアップだぁあああああああああああああ!!)

 

 

 思わず叫んでしまいたくなったが、ぐっとこらえて独りで噛み締めることにする。

 

 主な変更点はこちら。

 

 レベルが2上がり、124に。

 

 魅力が1上がり、AAに。

 

 いろいろいじっていたせいか、工作が1上がってBに。

 

 攻撃も1上がってSに。

 

 剣士の因子が6から8に、術士の因子が5から6に。

 

 階級が第三階級の『聖璽(せいじ)級』から第二階級の『超零(ちょうれい)級』に。

 

 そして、戦士から『戦剣術士』に。

 

 火と雷を多用した結果なのか、『炎』と『雷』属性を身に付けた。

 

 術士の因子を解放したので『錬成』を、商会を作ったおかげか『下級商人』をゲットしていた。

 

 

(『戦剣術士』…か。全部を使えるってことでいいんだよな? もっといい分類はなかったのか? いや、三つ使えるほうがレアだから仕方ないか)

 

 

 剣士因子は一気に8まで上昇。というよりは戦士が8なのだから、これが本来のアンシュラオンの資質なのだろう。今までが歪だったにすぎない。

 

 術もツインミユーズ・ドライブ〈双因子覚醒〉のおかげか、めでたく一つ上がっている。こちらはデルタ・ブライト〈完全なる光〉に内包された形になっているので、改めての表記はないようだ。

 

 その結果、ランクも上がる。

 

 第二階級の超零級とは、『聖魔すら超えた者』という意味がある。

 

 たとえば雷妖王は、精霊の中で上位の存在なので『聖なる守護者』と称することもできるだろう。魔は、邪悪なものではなく『支配者』のような人間を超える存在を指す。

 

 それら両者すら超える存在が、超零級。

 

 戦士因子だけでもこれだけ強いのに、双因剣も身に付けてしまった。一気に攻撃力が高まったので、今後は防御が固い相手でも有利に戦えるだろう。超零級は納得である。

 

 ただし、能力値に関しては言いたいことがある。

 

 

(どうして統率が上がらないんだ!! オレだってがんばっているのに!!)

 

 

 安定の統率Fである。

 

 これはもう上がらないんじゃないかと思えるほどに、まったくビクともしない。ガンプドルフの鎧より強固だ。

 

 

(というか、この数字って本当なのか? どうにも信じられないんだよな。姉ちゃんたちに比べると、なんかオレだけ弱い気がする…。まあ、レベルもまだ低いし、これからが成長期だよな。うん、きっとそうだ)

 

 

 身内三人組に関しては第一階級の神狼級なので、まだまだ差がある。

 

 比較対象が悪いせいもあるだろうが、能力値だけ見れば半分しか到達していないわけだ。

 

 しかも、ここからが大変だ。

 

 

(また封印が解除されて、一気にどばーっと強くなる! なんて展開は、あまり期待しないほうがいいな。それなら因子が解放された段階でもっと上までいっているし、強くなる努力を怠るなってお姉さんからも言われたしね。逆に言えば、ここからがスタートラインなんだろうな。…さすがに気が滅入るな)

 

 

 因子レベル8は、人間が到達できる最高峰といわれている。

 

 実際は9、10とあるわけだが、そこはもう神々の領域。選ばれた人間にしか到達できない世界である。

 

 そして、最低でも剣士因子は「10」にまでしないといけないらしい。紅御前の発言によって、それは確定している。

 

 ただ、上げ方に関してはもうわかっている。

 

 今回同様、死闘を演じるしかないのだ。

 

 

(オレの前に現れる強い者たち…か。まっ、環境が勝手に変わってくれるなら楽でいい。いちいち自分で何かしなくてもいいんだ。気楽にやるさ。オレはいつだって好きなように生きるだけだからな)

 

 

 ともあれ、レベルアップは嬉しいアンシュラオンであった。

 

 

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