※この作品はR-18です。

【旧版】「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」※全話掲載完了   作:ぷるっと企画@園島義船

661 / 710
662話 「チームワーク その4『女性たちの手で』」

 

 ここで『殿下』の存在が浮上。

 

 どこかで聞いたことがあると思った人も多いだろう。

 

 そう、この殿下なる人物は、サナとバルドロスとの戦いでも少しばかり登場している。

 

 グーリロック〈朽森掃食虫〉に殴られて、あっさりと気絶してしまったが、その隙をついてサナが猛攻を仕掛けられたので、こちら側としてはありがたい『救援』であった。

 

 ただし、今回は要注意人物である。

 

 

「私が怪しいと思ったのは、この殿下…リッタス・マッケンドーという人物は、かなり問題を起こしているからです。先日、サナ様が参加された合同訓練がありましたよね。あの時、バルドロス百光長の隊にいたようなのですが、魔獣を発見した途端、いきなり飛び出していったそうです」

 

「それは勇ましいことですね」

 

「それだけならばよいのですが、どうやら独断だったようですね。それによって魔獣との混戦になって怪我人が出ています。重傷者もおりまして、アンシュラオン様がいなければ危ない状態だったようです」

 

「カッとしやすい性格なのでしょうか? あるいは功を焦って?」

 

「両方かもしれませんね。普段から思い詰めたように激しい訓練をしているようですし…ご自分の立場を理解しているのでしょう。しかし、命令を無視する傾向にあるので周囲からは疎まれているようです」

 

「それらに関して処罰は受けているのですか?」

 

「やはり王室関係者ということで、表立って処分はできないみたいですね。そのあたりも反感を買う原因になっていそうです」

 

「なるほど。扱いに困る『厄介なお客様』といった様相ですね」

 

「それと、こちらのほうが重要かもしれませんが、どうやら女性に対して過度の嫌悪感を抱いているようです。独り言でも、たびたび女性への不満を口に出していると聞いています。そこまでいけば病的ですけど…」

 

「そういうお客様もいらっしゃいましたね。その方は同性愛者でしたが…。もし同性愛者でないのならば『女性恐怖症』という可能性もあるかもしれません。何かトラウマでもあるのでしょうか」

 

「それはありえますね。DBDの王室では女性が優遇されているそうですし、男性の継承権者は軽視されがちのようです。そのあたりがコンプレックスになっているおそれもあります」

 

「しかもガンプドルフ様が、アンシュラオン様にあのようなお話を持ちかければ…」

 

「ええ、暴発する可能性は高いです。ですが、あれはオフレコでのお話だったでしょうから、彼が知っているかまではわかりませんね」

 

「それでも王室の末端です。他者よりは内情に詳しいでしょう。こうやってガンプドルフ様が優遇する光景を見ていれば、雰囲気から感じるものがあるかもしれません」

 

「私もそう思います。一応殿下を最重要危険人物としつつ、他の人物も同時に警戒する方向でいきましょう。問題は、相手が強すぎる場合です。そのときはサナ様にお願いできますか?」

 

「…こくり! …ぐっ!」

 

「ありがとうございます! これで安心ですね。あと、アンシュラオン様からこちらを預かっております」

 

 

 小百合が小さな箱のようなものを取り出す。

 

 

「これは【通信機】です。人数分用意してあります」

 

 

 ゼイヴァーが持っていたものから技術を盗み、独自に改良した小型の通信機である。

 

 DBD製の通信機は、対となるジュエル同士でいくつかの信号を送受信するだけの簡易なものだったが、この通信機の特徴は距離が短い代わりに複数の相手と『会話』できる点だ。

 

 距離は約百メートルとかなり短いものの、直接意思疎通できることは大きい。こちらも原理はDBD製と似たようなもので、声の振動をジュエルに共鳴させ、同種のジュエルに受信させる構造となっている。

 

 送信者の切り替えもスイッチ一つでできるので便利だ。これからは集団行動も増えるため、こうした道具は必要になるだろう。

 

 

「通信機……これがあると私たちの能力は、もういらないんですか?」

 

「セノアさん、それは逆ですよ!」

 

「え? そうなんですか?」

 

「はい。この通信機は便利なのですが、高度な暗号化ができずに傍受される危険性があるらしいのです。距離も短いですし、作戦行動中は合図を送るくらいの意思疎通にしか使えません。その反面、セノアさんとラノアちゃんの念話は、距離も長めで傍受もしづらいのです」

 

 

 ここで気になるのが『念話』との違いである。

 

 今現在確認しているところでは、【念話に距離の制限はない】らしいことがわかっている。

 

 白樹の館に移ってからも試していたが、たとえばグラス・ギース程度の都市内部であれば能力の使用に問題はなかった。あくまで予想だが、百キロ圏内までは大丈夫だろう。

 

 といってもアンシュラオンに傍受されたように、こちらも術の素養がある人間には傍受が可能である。そのあたりはどの通信手段でも起こりえるので致し方がない欠点だ。

 

 ただし、通常のジュエル型通信機よりは傍受しづらいし、魔力珠によって術士の因子が+2された状態であるため、今までよりは数段傍受されにくい状態にあるといえる。

 

 今はアンシュラオンとの専用回線によってさりげなく暗号化処理も行われているため、傍受はより困難でもあった。

 

 

「何よりも『声を出さなくてもいい』のが最大のメリットです! 秘密の会話ができるのですから、これほど便利なこともありません!」

 

「そ、そうです…よね。私たちの能力は役立ちますよね。…よかった」

 

「ですので、セノアさんにはサリータさんを尾行してほしいのです。これはセノアさんにしかできないことですよ!」

 

「わ、私がですか?」

 

「そうですよ。はい、お皿」

 

「…本当に割るんですね」

 

「お皿を割ることで相手の注意を引き付ける目的もあります。遠慮なく割ってくださいね!」

 

「は、はい…」

 

「もしセノアさんが何か異変を感じ、危険だと判断したら即座にラノアちゃんに『念話』で連絡を送ってください。それを私がホロロさんたちに中継します。ラノアちゃんは、受信側としてならば大丈夫なのですよね?」

 

「はい、それは大丈夫です。ラーちゃん、お姉ちゃんの言葉をそのまま伝えればいいんだよ。わかった?」

 

「んー、わかった」

 

 

 ラノアはまだ子供なので、より詳しい状況を伝えるのに時間がかかってしまうが、セノアならば問題はない。ラノアは復唱すればよいだけだ。

 

 また、ラノア自身も頭が悪いわけではない。サナと一緒に勉強しているので、一通りの教育は受けている。

 

 彼女の場合は興味がある特定の分野だけ満点で、乗り気ではない分野は点数が悪いといった、まさに天才肌の人間の特徴がありのまま出ているようだ。

 

 ともあれ、受信役としては問題ないことがわかる。

 

 

「それは助かります。では、サリータさんの直接的な援護は、セノアさんとホロロさんにお任せいたしますね。私はラノアちゃんと一緒に近くで張っていますから、そこで援軍が来るのを防ぎます。サナ様も万一の場合にそなえて一緒に待機。これでよろしいですか?」

 

「…こくり」

 

「問題ありません」

 

「うん、わかったー」

 

「あ、あの…私も戦うの…ですよね?」

 

「はい、そうですよ! セノアさんには魔力珠があるじゃないですか! 術だって使えます!」

 

「そ、そうですけど…緊張しますね」

 

「セノア、私は少し見通しの良い場所で見張っています。このライフルで狙いやすいように相手を射線上に誘導することも意識しなさい」

 

 

 ホロロが背負ったライフルを見せる。

 

 銃での援護は殺傷力があるので危険だが、相手はDBDの兵士たちだ。頭部に直撃でもしない限り、これくらいで死ぬことはないだろう。

 

 それ以前にアンシュラオンから殺傷許可が出ているので、仮に死んでも特に問題はない。

 

 たとえ相手が殿下であろうと。

 

 

「サリータは不器用ですが、私たちの仲間です。あなたもそう思っているのでしょう?」

 

「もちろんです!! サリータさんのためなら…がんばれます!」

 

「よろしい。では、今日も張り込みとまいりましょうか。常に実戦を意識しなさい。気を抜いてはいけませんよ。すべてはご主人様のためです」

 

 

 その後、女性たちはアンシュラオンとガンプドルフの戦いを観戦。

 

 張り込みは続行されたが、その日は戦いの余韻もあってか特段何もなく終わる。

 

 

 

 翌日。

 

 サナが模擬戦から戻った時から張り込みが開始。

 

 サリータも模擬戦を終えて、キャンプの裏へ。

 

 

―――〈こちらセノア。サリータさんがキャンプの裏側に行きました〉

 

―――〈ホロロです。こちらも確認しています〉

 

―――〈あっ、誰かこちらに来るみたいです〉

 

―――〈小百合です。緊急連絡。『ターゲット1』がそちらに向かいました。セノアさんは『念話』に切り替えてください。今後の連絡はそちらでお願いします〉

 

―――〈わ、わかりました。監視を続けます〉

 

 

 この十数分後、サリータと殿下の対立が発生。

 

 それはセノアの『念話』によって即座に伝えられ、ラノアを介して小百合がホロロに連絡を入れる。

 

 

―――〈狙撃準備します〉

 

―――〈遠慮なく撃ってください。サリータさんが優勢なら武器を狙ってもいいかもしれません〉

 

―――〈そうですね。過剰にサリータを援護しないように気をつけます。これは彼女の戦いでもありますからね〉

 

―――〈ええ、彼女には自信を持ってもらわないと困りますね。…あっ、サナ様から通信が入りました〉

 

―――〈…コンコン……コン……コンコンコン〉

 

―――〈はい、わかりました。サナ様、ありがとうございます! 引き続き監視をお願いいたします!〉

 

 

 サナは言葉がしゃべられないため、通信にはモールス信号のような特殊な暗号で対話をしている。

 

 彼女は小百合が張っている場所よりもさらに前におり、強すぎる騎士がこちらに来ないようにしていた。殿下に続いて工場に人が来なかったのは、そのためだ。

 

 アンシュラオンのお気に入りのサナに威圧されれば、ガンプドルフ以外の騎士は驚いて逃げていくだろう。覇王の弟子であることがわかった以上、無礼な真似は絶対にできないからだ。

 

 そのサナから通信。

 

 誰か一人、こちらに向かってくるようだ。

 

 彼女があえて通したということは、その一人もターゲットである。

 

 

―――〈『ターゲット2』が来るみたいです。情報ではあまり強くないらしいので、私たちに任せてください〉

 

―――〈了解しました。こちらはサリータの援護に回りますので、通信を一旦切ります〉

 

 

 この後の展開は、すでに述べた通りだ。

 

 セノアが皿を割って注意を引き付け、術で援護する。

 

 殿下の剣を弾いたのは、ホロロの狙撃である。

 

 工場はもともと簡易なもので屋根も一部しかないため、狙撃ポイントに陣取った術具持ちのホロロにとってみれば、恰好の的でしかない。

 

 跳弾も計算して撃っているため、それによって周囲に影響はなかった。

 

 あちらの結果はすでに判明している。いちいち詳しく述べる必要もないだろう。

 

 よって、小百合側の視点で少し状況を述べよう。

 

 

 

 しばらく小百合とラノアが待っていると、その青年、『従者』がやってきた。

 

 年齢は殿下より若く、まだ二十歳になったばかりといったところだろうか。

 

 

「あれ? たしかこっちに来たような…。殿下…どこに行かれたのか…」

 

 

 青年は従者と呼ばれるように、いつも殿下と一緒にいることが確認されている。

 

 しかしながら、試合に負けて苛立っていた殿下に面倒がられ、置いていかれてしまったようである。

 

 

「ラノアちゃん、行きますよ。準備はいいですね?」

 

「うん。だいじょうぶ」

 

 

 そこに小百合たちが近づき―――

 

 

「あのー、少しいいですか?」

 

「えっ!?」

 

 

 小百合が声をかけると、従者は驚いた表情を浮かべる。

 

 物自体が全体的に大きな世界である。キャンプとはいっても死角になる部分が多くある。

 

 小百合たちはそこに潜んでいたので、どうやら気づかなかったようだ。逆に言えば、『その程度の人物』であるといえるが。

 

 

「エノス・マッケンドーさんですよね?」

 

「あっ…は、はい。あの…どうして私の名前を?」

 

「ああ、やっぱり! さっき『殿下』から言付けを頼まれまして。私は小百合・ミナミノと申します」

 

「そうでしたか。お名前は存じ上げております。アンシュラオン様の従者の方ですよね?」

 

「【妻】の一人です!」

 

「これは失礼をいたしました。わたくしはエノス・マッケンドーと申します。リッタス殿下の従者を務めさせていただいております。エノスとお呼びください」

 

 

 青年は、屈託のない笑顔で丁寧に挨拶をする。

 

 かなり人が好さそうな…というよりは、あまり世俗慣れしていない様子がうかがえる。

 

 

「エノスさんも殿下と同じ姓なのですね。ご兄弟ですか?」

 

「わたくしは養子です。血は繋がっておりません。わが国では、従者となる者を宮家の養子として迎え入れる風習があるのです」

 

「なるほどー! ということは、エノスさんも貴族なのですね!」

 

「いえいえ、貴族と呼べるほどたいしたものではありません。王宮に暮らす上位宮家以外は、ほとんど一般家庭と変わらない生活を送っております。わたくしも殿下も普通に街で暮らしておりましたよ。どうぞ普通に接してください」

 

「そうなんですか。でも、東大陸に来られるなんて大変ですよね。慣れない生活でご苦労されているのではありませんか?」

 

「これも名誉なことです。もしこのような状況でもなければ、マッケンドー家が選ばれることもありませんでした。ある意味ではチャンスでもあるのです。殿下も張り切っておられます」

 

「殿下のお噂は伺っております。とてもがんばっておられるようですね」

 

「はい。真面目な方ですから。ただ…従者の身としては、あまり無理をなさらないでほしいものです。やはり職業軍人ではありませんからね。本職の方々とは差がありすぎます」

 

「騎士扱いと伺っておりますが…普通に偉そうにしているだけじゃ駄目なんですか? 私だったらそうしますけど」

 

「ははは、殿下の性格では無理でしょうね。聖剣長殿に嘆願して、あえて騎士扱いにしてもらっているのです。強くあらねばならないと…そう悟られたのでしょう。わたくしも殿下に相応しい従者になれるように、もっと努力しなければなりません」

 

「バルドロス百光長ともお付き合いがおありなのですか?」

 

「はい、宮家には護衛騎士が付く習わしなのです。バルドロス様とは先々代からのお付き合いと聞いております。戦後に退役なされましたが、今回東大陸に赴くことが決定し、再びマッケンドー家の護衛騎士になっていただきました。いつもご苦労をおかけして申し訳なく思っております」

 

 

 これらの会話を見ても、エノスが駆け引きに疎いことがわかる。

 

 小百合が話しやすい雰囲気を整えているとはいえ、わざわざ自分が仕えている宮家の内情まで話す必要はないのだ。

 

 特に権威に関わる面で、相手に侮られるような言動は控えるべきであろう。

 

 と、なぜわざわざこんなことを述べたかといえば、この瞬間に小百合が『勝利』を確信したからだ。

 

 

「おっと、長話をしてしまいましたね。それで、言付けとは?」

 

「エノスさんが来たら、自分のところまで案内してほしいそうです。キャンプの外で鍛錬するからと」

 

「そうですか。では、案内を頼んでもよろしいでしょうか?」

 

「はい。こちらです」

 

 

 小百合とラノアが、エノスを連れて歩き出す。

 

 そして、完全に人の気配がない場所にまで来たところで―――

 

 

「キュキュッ」

 

 

 ラノアが連れていたウサギの『夢太郎』が突然飛び出し、物陰に隠れてしまった。

 

 

「ゆめたろー…出てこない」

 

 

 ラノアが引きずり出そうとするが、さらに奥のほうまで逃げてしまう。

 

 

「困りましたね…私でも届きそうにありません。この荷物がどけられればいいんですけど…」

 

「それでは、わたくしがお手伝いいたしましょう」

 

「いいんですか?」

 

「これでも男です。婦女子の方々よりは力がありますよ。お任せください」

 

 

 エノス自身は、女性に対して特別な嫌悪感は持ち合わせていないようだ。

 

 むしろ女性には優しく、それなりに免疫もあると思われる。

 

 

「あのー、殿下って女性との間に何かあったのですか?」

 

「え?」

 

「いえ、私と話した時に少し構えていた気がしましたので」

 

「あ、ああ…そうですか。それは失礼いたしました。私も理由はわからないのです。こちらに来るまでは、そんなことはなかったはずなのですが…ある日突然、女性に嫌悪感を感じるようになったようで…。申し訳ありません」

 

「いえいえ、気にしないでください。私は気にしておりませんから」

 

「本当に申し訳ありません。んしょっと…なかなか重いですね…」

 

「ええ、こちらこそ申し訳ありません」

 

 

 小百合がそっと完全無防備なエノスの背後に立ち

 

 

 刀を振り上げ―――ゴンッ!!!

 

 

「―――っ!?」

 

 

 容赦なく後頭部に叩きつける。

 

 鞘のまま殴ったので切れてはいないが、エノスがガクンと崩れ落ちる。

 

 そして、こちらを振り返り、困惑した目を向ける。

 

 

「ううっ……な……なにを―――ぐえっ!?」

 

 

 ゴンッ!!

 

 小百合が無言で再び殴りつける。

 

 それでもまだ意識が途切れないので

 

 ゴンッ!! ゴンッ!! ゴンッ!!

 

 

「がっ……っ…………………………がくっ」

 

 

 さらに三回殴ったところで、エノスが完全に失神。

 

 頭部からの出血は見られず、大きなコブが出来ていることがわかった。呼吸もしているので死んではいないようだ。

 

 

「ふー、さすが兵士と一緒に動いているだけはありますね。本気で殴ったのに、なかなかしぶとかったです。ああ、ラノアちゃんはブースターをしまっても大丈夫ですよ」

 

「…ビリビリさせなくてもいい?」

 

「もう気を失っていますから大丈夫でしょう。もし起きたらお願いしますね。では、さっさと縛ってしまいましょう」

 

「ゆめたろー、おいで」

 

「キュッ?」

 

 

 ラノアが呼ぶと夢太郎が戻ってきた。

 

 ウサギもラノアが念糸を使って操っていたので、これ自体がすべて罠だったというわけだ。

 

 

「いいですか、ラノアちゃん。相手がどんなにいい人でも、敵ならば手加減してはいけませんよ。そして、私たち身内以外は誰一人として信じてはいけません。わかりましたか? 今回は殺しませんでしたが、殺す必要があるときは遠慮なく殺していいですからね」

 

「あーい」

 

「うふふ、いい子ですね! さすがはアンシュラオン様のメイドです! 私も妻の一人として、もっともっと精進しないといけませんね!」

 

 

 大人から子供へ、アンシュラオンの哲学が伝えられていく。

 

 いつかきっとラノアも同じように敵を倒すだろう。それを見た子供も、それに倣うだろう。そうやってアーパム商会の力は強まっていくに違いない。

 

 その後、小百合がエノスを縄でぐるぐる巻きにして、サリータと合流。

 

 バルドロスが異変に気づいて向かってきたが、しっかりとサナが付いているので強敵対策も万全であった。

 

 それでも駄目ならば「きゃー、チカンです!」とでも叫べば、ゼイヴァーが鬼の形相でやってくるだろう。

 

 仮にあとで冤罪だとわかっても嘘ではない。この場合のチカンは「置換(ちかん)」のことである。置換を連呼しても罪になる法律はない。(もともと荒野に法律などないが)

 

 

 ひとまず、これが一部始終。

 

 

 女性たちが自らの手で尊厳を守った記念すべき瞬間であった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。