※この作品はR-18です。

【旧版】「欠番覇王の異世界スレイブサーガ」※全話掲載完了   作:ぷるっと企画@園島義船

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710話 「精霊王との対話 その2『セレテューヌス』」

 

 シャクティマはセレテューヌスに脅されていたことが判明。

 

 こうなるといろいろ事情が怪しくなってくる。

 

 

「おっさん、どういうこと?」

 

「いや…その……まあ、人格と能力は関係ないからな、うん」

 

 

 どうやら知っていたようだ。

 

 それなりに長い付き合いだろうし、シャクティマに憑依されることで感情を共有するので、もしかしたら記憶に関しても同じようなことが起きるのかもしれない。

 

 

「こうやって力を貸しているってことは、脅しに屈したの?」

 

〈屈したというより、個人的に興味が湧いたから力を貸しているね〉

 

「普通は脅されたら怒るよね」

 

〈今思えばそういう感情もあったかもしれないが、どちらかというと『驚き』が優先していたよ。すでに述べたが、精霊は基本的に他者を害する意識を持たない。誘拐ともなれば滅多に起きないことだ。だから最初はどうしてよいのかわからないほどだったさ〉

 

「精霊の誘拐…か。精霊は捕まえられるものなの?」

 

〈もちろん可能だ。人間とは存在している次元が少しばかり違う程度にすぎない。条件を整えればできるし、外法の中には精霊を強制的に使役する方法もある〉

 

「捕まった精霊の階級や強さは?」

 

〈下位精霊を統括する中位精霊の一人だ。人間の組織でいえば、小さな下請け会社の社長のようなものだろうね。彼は嵐の日に雷を発するために出勤していたところを連れ去られたようだ。その雷に打たれれば、このあたりにいる魔獣ならば一撃だろうから、お前たちにとってみれば強い精霊といえるだろう〉

 

「なかなか俗的な言い回しをするんだね」

 

〈もう千年以上も人間の世界を勉強しているよ。慣れるのが自然さ〉

 

「でも、こうなるとセレテューヌスの力は『交信』だけじゃないよね。精霊を捕縛する能力もあるに違いない。それとも複数犯だった?」

 

〈そこまではわからない。ただ、セレテューヌスは秘密裏に剣を作っていたようだから、いたとしても少数だろうよ。他の者と競い合っていたようだからな〉

 

「共犯者がいた可能性もあるか。どっちにしろ聖剣は生まれ、シャクティマは協力したんだね。他の聖剣の精霊王も同じように脅迫されたのかな?」

 

〈どうやら違うらしい。あの娘が利口で狡猾なところは、相手によって対応を変えるところだろうね。捕まえた精霊からそれぞれの王の特徴を訊き出していたようだ。私が変わり者だと知って、このような手段を取ったのだろう〉

 

 

 まず最初に一番落としやすい『光の精霊王』に対して愛と正義と慈悲を説き、常に毅然とした態度で助力を得ることに成功。

 

 次に『火の精霊王』に対して、火の力を強くするための火種を提供しつつ、光の精霊王が背後にいることを仄めかして味方に引き入れる。

 

 次は変わり者の『雷の精霊王』を狙って中位精霊を誘拐。脅迫という手段で興味を引かせる。

 

 この段階では他の精霊王はセレテューヌスの存在に気づいていないか、あるいはまだ信用していない状況にあったのだが、少なくとも三属性の精霊王が彼女に関して肯定的な立場を示していることは明白な状況であった。

 

 今度はそれを利用して『風の精霊王』と交渉を行う。風は創造を司り、新しいものを好むので、こんな突飛なことをやっている人間は見ていて面白いに違いない。

 

 その後は、シャクティマいわく根暗な『闇の精霊王』に圧力をかけつつ、『水の精霊王』との知的な会話を重ねることで信頼を得て、最終的にすべての属性の精霊王の力を借りることに成功した。

 

 ここで重要なのは、すべての精霊王がセレテューヌスの言葉を鵜呑みにしてはいないことだ。

 

 精霊王は馬鹿ではない。傾向性は違うものの高い知力と洞察力を有し、相手の本質を見抜く力に長けている。彼女の思惑や演技に関しても理解したうえで力を貸すことにしたのだ。

 

 それだけセレテューヌスに魅力があったことがわかる。あるいは精霊側にとってもメリットがあり、都合が良かったのかもしれない。

 

 

「なんだかとんでもない話だね。オレでもそんなことは簡単にできないよ」

 

〈だからあの娘は面白いのだよ。よほど聖剣を作ることに躍起になっていたのだろうね〉

 

「そのわりに聖剣ってそこまで有名じゃなかったよね。ルシアとの戦争が始まるまでは評価されていなかったみたいだし、今まで使う機会はなかったの?」

 

〈最初は『初代剣聖』への贈呈品にしようとしていたようだが、かの御仁はあまり欲がないうえに剣自体の美しさや高潔さを好む傾向にあった。仕方なく途中で諦めたようだよ。それよりはもっと【高く売れる】ところを探していたようだね〉

 

「え? 売るつもりだったの?」

 

〈それはそうだろう。あの娘の目的は名声と金儲けだからね。名声に関しても金儲けの手段にしか考えていなかったようだった。常に周りを馬鹿と見下していたからね〉

 

「おっさん」

 

「………じ、人格と能力には……か、関係が…」

 

「もうそれしか言わないじゃん。オレも他人のことは言えないから、まあいいけどさ。でも、ずっと聖剣はDBDにあるよね。どうして?」

 

〈単純にあの国の権力者が一番評価したからだろう。金はもちろん、『王』にするとまで確約したのだ。セレテューヌスも大きな枠組みの中で『上の下』に評価されるより、小さな枠組みで一番上になることを欲したと思うよ。小さくても王だ。自尊心を満たすには悪くはないだろう。そのおかげで『名工十師』とも呼ばれるようになったからね〉

 

 

 セレテューヌスの鍛冶師としての才能は極めて高かったが、やり方が邪法や外法の類のために、生み出すものは『魔剣』ばかりであった。

 

 本物の聖剣ならば対価など要求されず、ただただ強い力だけを扱うことが可能なのだ。もし仮に本物の聖剣を大量に生み出していた超大国ならば、そもそもシャクティマを支配して問答無用に使役していただろう。

 

 この段階でセレテューヌスの能力が超大国には劣ることが判明している。これは仕方ないにしても、魔剣では表の世界で評価を得ることは難しい。どんなにがんばっても世界ランクで五十位以内が精一杯だ。

 

 であれば、小さな国のトップであるほうがいい。

 

 

(これは学校や企業、スポーツ、どの分野でも同じだな。競合相手が多ければ多いほど評価されにくいが、小さな場所に行けばトップになれる。どっちがいいかはその人それぞれの価値観次第だけどね)

 

 

 アメリカに渡れば、日本では珍しい剛速球を投げる者などマイナーリーグに掃いて捨てるほどいる。ならば国内にとどまっていたほうが安泰、と考える者もいるだろう。

 

 学校にしても同じで、偏差値の高い学校で真ん中にいるより、低めの学校でトップにいるほうが楽しいかもしれない。

 

 自分を磨くためには厳しい環境に行くほうがいいが、そこは当人の価値観だ。どれがいいとは一概にはいえない。

 

 ただ、セレテューヌスの目的は名声と金らしいので、迷うことなくDBDを選択したようだ。

 

 結果、彼女は(秘密裏だが)王の座と、莫大な金と対外的な評価を手に入れる。

 

 一方のDBDは、当時はただの鉱物資源国家だったが、聖剣という目玉商品が生まれることによって多くの鍛冶師が来訪するようになり、自国での武具の生産と輸出が可能になった。

 

 これはアンシュラオンがDBDと組む理由と同じで、単純に資源を売るよりも加工して売ったほうが儲かるからだ。すべてが自前でできるのならば安上がりで済む。

 

 こうした事業展開による利益を使い、ロビー活動を強めたDBDによってセレテューヌスを名工十師にすることに成功。さらに国内に人を集めることに繋がったという。

 

 

「しかしまあ、名工十師の称号も当てにならないね。金で買えちゃうんだもんな」

 

〈人間の世界では往々にしてあることだろう。だが、精霊王の力は強い。戦闘に関してあの娘が作る剣はとても有能だと思うよ。美的センスはなかったようだがね〉

 

「たしかにその剣のデザインは成金趣味だよね…。ずっと前から疑問だった答えが出たよ」

 

 

 話を聞く限り、剣のデザインにはセレテューヌスの性格がそのまま出ているともいえる。そのあたりも評価が下がっている原因かもしれない。

 

 しかし、戦いにおいて見た目はまったく関係ない。相手を殺す力が強いものこそが好まれる。その意味で彼女が作った剣は非常に優れたものであった。

 

 

「セレテューヌスのほかに精霊王の力を使った武具はあるの?」

 

〈もちろん存在している。ただし、こうして精霊を地上に具現化させるものは滅多に存在しない。貴重なものだよ〉

 

「いろいろわかったよ。ありがとう。聖剣についての話はこれくらいにしておこうか。おっさんが死にそうだし」

 

「………」

 

 

 さきほどからガンプドルフが死にそうな顔をしている。

 

 実際に聖剣を手に入れてからシャクティマにいろいろ聞かされ、今まで抱いていた夢や希望を打ち砕かれたのだろうが、それでも幼少期からずっと憧れを抱いてきたものだ。

 

 やはり聖剣は綺麗なものであってほしかった、というのが本音だろう。

 

 

 と、聖剣に関してはひとまずこれでいい。

 

 本当にアンシュラオンが訊きたかったことは別にある。

 

 

「さて、精霊王シャクティマ。長生きしているあんたに、今回のことに関して意見を訊きたいんだけど、いいかな?」

 

〈最初に言っておく。私には剣の守護者の前に、雷の精霊王としての『制約』が存在している。すべての疑問には答えられない〉

 

「守秘義務ってやつ?」

 

〈そうだ。上からの命令で絶対的な拘束力を持つ。それは人間が想像しているより遥かに厳しいものだよ。語りたくても語れない制限がある〉

 

「わかった。答えられる範囲でかまわない。じゃあ、まずは『大地の術式』に関して知っていることを教えてほしい」

 

〈それは正式には『呪詛結界』と呼ばれているものだ〉

 

「へぇ、やっぱり知っているんだね。でも、おっさんは知らなかったようだけど?」

 

〈ガンプドルフは薄情者でね。東大陸に来てから聖剣をまともに使ってくれなかった。だから私が顕現できずに教えることはできなかったのさ。といっても、訊かれない限りは教えるつもりはなかったけどね〉

 

「その理由は?」

 

〈言ったところで絶望しか与えないだろう? さすがの私でもそこまで惨(むご)いことはできないね〉

 

「呪詛結界の存在を知っていたなら東大陸に来る前に止めなかったの?」

 

〈私に人間の意思を止める権限はないよ〉

 

「明らかにおっさんにとっては不利だとは思うんだけど? それは聖剣の損失にも繋がるんじゃない?」

 

〈たとえ死への道であっても人間の自由意志には干渉できない。間違える権利があるからこそ、成長する権利も与えられているからね〉

 

「パートナーのわりには冷たいんだね。それが精霊王の制約ならば仕方ないのかな。じゃあ、この結界を作ったのは誰?」

 

〈それには答えられない〉

 

「あの『影』の正体については?」

 

〈それにも答えられない〉

 

「それは知らないという意味で?」

 

〈それにも答えられない〉

 

「ノーコメントか。でも、それって半分答えを出しているよね。シャクティマは知っているけど制約があるから答えられないんだね」

 

〈さぁ、それにも答えられないね〉

 

 

 シャクティマは、知らないことは知らないとはっきり明言するタイプだ。

 

 であれば、もし知らないのならば素直にそう言うのだから、答えられないという発言自体が答えになっている。

 

 ただし、シャクティマもそれは理解しているようで、どことなく笑っているようにさえ見えた。

 

 

(これはシャクティマからのメッセージだな。上手く訊き出せってことだ)

 

 

「呪詛結界は何のために存在するの?」

 

〈そもそも結界とは何だと思う?〉

 

「もし封じているのならば『封印』と呼ぶよね。結界と呼ぶ場合は、外からの侵入を防ぐために作るものだ。それを操っていたのが『影』だ。影には仲間がいると思う?」

 

〈仲間が数という意味ならば、相当数いるだろう。しかし、お前が思うような敵対者という意味での数は多くはない。そもそも呪詛結界の中に立ち入れる者自体が少ないからね〉

 

「つまりは、いても少数だけど相当てごわいってことか。最低でもあの影と同レベルかな。で、呪詛の定義は?」

 

〈生物が発する思念の力の一種かつ、憎悪といったマイナスの方向性に基づく力の総称だ。呪詛には二種類ある。磁場と重なり合って記録され、保存される過去のもの。もう一つは現在進行形で吐き出されているものだ〉

 

「この大地の呪詛結界は前者? 後者?」

 

〈両方だが、『今は』主に前者だろう〉

 

「それをエネルギーにした結界が、呪詛結界なんだね。そうなるとこの土地には呪詛が渦巻いていることになる。こんなに荒廃しているんだから過去の陰惨な歴史が影響している可能性はあるけど…でも、両方か。もしかして呪詛を吐き出す存在がまだいるのかな?」

 

〈生物は生きている限り、何かしらの呪詛を吐き出すものさ。より高度な知的生命体であるほど、その傾向性が強い。私に言えることは、いまだ大地からは呪詛が消えていないということだけだね。そして、放置していても消えるものではない。むしろ増え続ける。だから厄介なのさ〉

 

「呪詛を全部消すことは可能?」

 

〈可能か不可能かと問われれば、可能だ〉

 

「たぶんそれって長い時間がかかるよね。短期間で消すことはできる?」

 

〈場合と方法によっては。ただし、その分だけより強いエネルギーを使うだろう〉

 

「可能なのはありがたいね。呪詛結界に変化が生じた理由については? 何かあったの?」

 

〈知らないよ。だが、物事の結果には必ず原因が存在する。何かはあったのだろうし、もし今後も必要ならば捨てはしないものだ〉

 

「意図的に破棄した可能性が高いか。それによる影響はある?」

 

〈エネルギーを供給するパイプが壊れたと思えばいい。水道管が破裂したら、お前たちはどうなる?〉

 

「噴出して水浸し…か。それは困る。影の目的は何なのかな?」

 

〈さぁ、目的は知らないね。ただ、これまで以上に混沌とすることは覚悟しておいたほうがいいだろう。嫌なら早めに消すか、違うパイプを設置することだね。パイプの設置方法はすでに学んだはずだよ〉

 

「あの巨大ジュエルを利用しろってことだよね? 他のところも制圧して奪えってこと?」

 

〈今のお前たちにそれ以外の方法はないよ〉

 

「この大地には魔獣以外にも生物がいる? たとえば人間はいる?」

 

〈その質問には答えられない。しかし、土地は魔獣だけのものでもなく、人間だけのものでもない。精霊はどこにでもいるが物質界の土地を所有はしない〉

 

「超越者はもう存在していない?」

 

〈その質問には答えられない〉

 

「この大地で見つけたものは自由にしていい?」

 

〈朽ちた棒切れを拾って咎める者はいない。また、それを磨いて咎める者もいない。それを放置していた者を咎めるべきだろう〉

 

「蜘蛛についての印象は? 使役できると思う?」

 

〈ただの古い蜘蛛だ。それ以上でもそれ以下でもないさ。使役できるかどうかはやってみなければわからないが、すでに使役されていたのならば可能性はあるだろうね〉

 

「これからもあんな魔獣と遭遇すると思う?」

 

〈先に進むのならばね。鍵をかけずに家を留守にする者はいない。見張りを置かない砦も存在しない〉

 

「ここだけ呪詛結界が止まっていた理由は?」

 

〈知らないね〉

 

「この亀裂が生まれた原因については?」

 

〈知るはずもない。少なくとも雷の元素領域とは関係がないよ〉

 

 

(影については知っているみたいだけど、ここのことに関しては何も知らないみたいだな。まぁ、ずっと西側大陸にいたんだから当然か。違う角度で攻めてみようかな)

 

 

「ところでオレの姉ちゃんのことは知ってる?」

 

〈お前の姉など知らないよ〉

 

「『災厄の魔人』について知っていることはある?」

 

〈人間が作ったものだから、よくは知らないね。ただし、災厄の魔人も生物である以上、『宿命の螺旋』から逃れることはできないはずだよ〉

 

「宿命には人との出会いも含まれる?」

 

〈含まれてしかるべきだろう。お前にはすでに経験があるはずだよ。私がここにいることも宿命の一つだ〉

 

「女神様が言っていた『約束』って何だろう?」

 

〈知る由もない。女神と精霊は管轄が違うからね。女神は人を管理し、精霊は自然を管理するのが基本原則だ〉

 

「女神様はよく約束をするの?」

 

〈女神は無責任なことはしない。星の進化のための努力をし続ける。女神と約束した人間など今まで聞いたこともない〉

 

「そんな女神様と約束をしたというオレは、いったい何者だと思う?」

 

〈わからない。だから興味深い。強いて似ている者がいるとすれば、かつての『大陸王』だろうね。しかし、同一ではないし、単に傾向性が似ているだけだ。深読みはしないことだ〉

 

「『災厄の魔人』とよく誤解されるんだけど?」

 

〈人間には潜在的に魔人を見分ける力はあるが、上下関係を見極めることはできないようだね。そして『災厄の魔人』の概念に大きな誤解があるから間違える〉

 

「概念? その誤解とは?」

 

〈その質問には答えられない〉

 

「うーん、肝心なところは教えてくれないなぁ。じゃあ、災厄の魔人より強い存在はいる?」

 

〈いるね。災厄の魔人は人間にとって大きな脅威ではあるが、最悪の存在ではない〉

 

「たとえばどんな存在?」

 

〈人間でいえば『三大権威』と呼ばれる者たちだ。それ以外にも長い歴史の中ではちらほらいたようだ。どれも異端に近い力の持ち主だがね〉

 

「それなら姉ちゃんが最強というわけじゃないんだね。少し安心ではあるけど」

 

〈さて、それはどうだろう〉

 

「でも、今そう言ったよね?」

 

〈今まではそうだった。しかし、これからもそうとは限らない。未来は常に移ろうものだよ。何一つ決め付けることはできないさ〉

 

「オレの力って封じられてる?」

 

〈そのようだね。でも、女神が言った以上のことは知らないよ〉

 

「ここからさらに進む場合、今の戦力じゃ少ないよね? オレが力を引き出せば先に進める?」

 

〈可能性はあるが、一人では難しいだろうね。そもそもお前が求めているものは独りで手に入るものではないはずだよ〉

 

「なら、このままの方向性でいいのかな?」

 

〈見極めは間違っていない。が、足りないもののほうが多い。もっと多くの多様な力を得るべきだね〉

 

「聖剣がもっとあるなら楽なんだけど…ソフィア王女に対する印象は? 彼女は聖剣を作れると思う?」

 

〈面白そうな人間だが、聖剣が作れるかどうかはわからない。少なくとも鍛冶には適さないようには思えたよ〉

 

「もし聖剣を量産する場合、精霊王の数は足りる?」

 

〈精霊が管理する領域は広い。王と呼ばれる者もそれなりにいる。足りなくなることはないだろうし、最低でもセレテューヌスが作った剣以上のものでないと精霊王が宿ることは難しい。憂うだけ時間の無駄だろうね〉

 

「シャクティマは今後ともオレたちの味方?」

 

〈契約は絶対だ。ガンプドルフが生きていて、お前が協力する限りは敵にはならないだろう〉

 

「オレも他の精霊王と契約できる?」

 

〈………〉

 

「え? もしかして駄目?」

 

〈雷は雷の性質を持つ者を好む。火も風も水も同じさ。では、お前と同じ性質の者はどんな者だろうね。そういう意味の沈黙だよ〉

 

「なるほどね。少し気になるな。最後の質問だけど、シャクティマはオレに何を望む?」

 

〈女神がお前を選んだのならば、そこには意味がある。私はその過程を楽しませてもらうだけだよ。わからないから楽しい。未知だからこそ求めるのだからね〉

 

 

 こうしてシャクティマとの対話は終了。

 

 最後のあたりは簡単なインタビューになってしまったが、彼は常に淡々と答えており、その言葉に偽りは存在しないと思っていいはずだ。

 

 

(結局、知りたかったことは何もわからなかったな。でも、質問に答えなかったところは都合よく解釈してもよさそうだ。影の正体にしても秘匿されるレベルの相手なのはわかった。聖剣の経緯もわかったし、無料で手に入る情報としては上々かな。しかし、ソフィア王女は大丈夫なのかな? 若干不安だなぁ)

 

 

 今回の最大の収穫は、セレテューヌスがどんな性格だったかを知ることができたことだろう。

 

 聖剣を含めたDBD王室に関しては、まだまだ波乱が続きそうである。

 

 

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