『そうそう、さっきお昼作ってたらちょっと醤油が切れかかっててさ。悪いけど買ってきてくれない?』
昼食を終え、今日は片付けも私がすると自ら申し出た彼女に台所からそう言われ、それくらいはお安い御用と醤油を買いに出掛けたのが十数分前。途中で知り合いに会い、少し話した以外に特に何事もなく戻った自分を出迎えたのは、玄関の式台に浮いた蛮奇の頭だった。
「お、お帰り」
「ただいま、出迎えありがとう。じゃあ、これを台所に……」
「いや、私が持って行くわ」
蛮奇がそう言うと、廊下の奥から頭がもう二つ現れ、一つは醤油の入った袋の持ち手を咥え、もう一つは袋を下から頭で支え、ふよふよと台所へ運んでいく。
「ありがとう、悪いね」
残った頭に礼を言い、もう片付けも終えて居間でゆっくりしているであろう彼女の元へ向かおうとするが、蛮奇の頭は式台から一歩踏み出した場所に居座り、道を開けようとしてくれない。
「蛮奇、少し避けてくれると……」
頭一つくらいなら抱えて押し通ることも出来るが、まずは口頭でそう伝えると、彼女は一瞬の間を開けて、顔を横に振った。
「もうちょっとだけ、待って」
「え? 何で?」
「いいから、待って」
待てと言われる理由は分からないが、そこまで言うならと式台に腰を下ろし、言われた通り待つことにする。
それからしばし、買い物途中で会った共通の知り合いや店員との軽い世間話について蛮奇と話していたが、その間も彼女が妙にそわそわしているので話も程々で切り上げ、再度彼女に尋ねた。
「その……、まだ?」
「ま、待って、あと少し、だから」
改めての催促に蛮奇はすーはーと大きく深呼吸すると、小さく、だがしっかりと頷いて、自分と目線を合わす。
「よし。……うん、大丈夫。来て、いいよ」
「じゃ、じゃあ……」
蛮奇の神妙な様相に、一体何がと思いつつも立ち上がり、その頭を胸の前で抱き抱えて居間の前まで向かい、襖に手を掛ける。
「その、笑ったりとか……」
「え、何?」
すると、襖を開ける直前、彼女は何やらもにょもにょと言う。それが上手く聞き取れず聞き返すが、彼女は抱えられつつもぶんぶんと顔を振った。
「も、もういい。いいから、入って」
待たされたかと思えば次は急かされて、襖に掛けていた手を横に引く。
「……え?」
開かれた居間に広がる光景に、思わず声が漏れた。
首から上の無いメイドが、卓袱台の脇に佇んでいたのだ。ちょっとした用事で家を開け、時計の長針が半周もしないうちに戻った、この家に。
「……お、お帰り、ご主人、様……」
そのメイドは頭が無いながらも、こちらに会釈程度に頭を下げるポーズをする。そして、メイドお決まりの文句を発したのは、抱えていた蛮奇の頭。
「えーっと、蛮奇、これって……」
抱き抱えた蛮奇の方を見やると、彼女の耳は赤い髪と同じくらい真っ赤に染まっていた。
「それで、これを着てたから『待って』って言ってたんだ」
「いや、着替え自体は○○が帰って来た時には終わってたんだけど、心の準備が……」
「ああ、そっちね。でも、正直蛮奇ってこういう格好見せるの嫌がりそうだけど……」
「だって、姫と影狼が休憩中に盛り上がってるんだもん。この恰好見せたら喜んでくれるかな褒めてくれるかなー、ってさ」
卓袱台の脇に立った首なしメイドを見つつ、卓袱台の上に置いた蛮奇の頭と自分は言葉を交わす。
このメイド服について粗方の事情を説明し終わった頃には、蛮奇の緊張や照れは幾らかほぐれており、心持ちも平静に近い。
「それで、自分も褒めて欲しくなった?」
だが、この言葉に彼女はまた耳をかあっと赤くし、その様子を横目に見てつい頬を緩めると、蛮奇は口を尖らせてじとっとした目で睨む。
「にやにやしない。だって、後でこの服のこと知ったら絶対○○は残念がるし、今度着てみてって言われるのは分かってたし」
「それは間違いない」
「それなら自分からした方が心構え出来るし……」
「まあ、確かに心構えがいるのは分かるよ。慣れない格好なのもあるけど、なかなか思い切ったデザインだし」
蛮奇が纏っているメイド服は、黒と白のツートンカラーを基調にしたブラウスにスカートと、色合い自体はシンプルだが、全体的に沢山のフリルがひらひらと踊り、胸元には大きめのリボンが添えられていた。
そして、何よりも目を惹くのはスカートの丈の短さで、普段好んで穿くスカートすら膝が見えていて少し強い風が吹くだけでも心配になるのに、これは膝どころか太腿までもが半分ほど露出しており、外に出る用事があろうものなら主人自らそれを受け持ちたくなるくらいだ。とはいえ、己に正直に言えば、普段以上に露出した太腿はひたすらに眩しい。
これらを総合すると、このメイド服はメイドらしい恰好というよりも、明らかに蛮奇の可愛さと魅力を引き立てるのに全力を注いでいる衣装だ。
一緒に紅魔館に手伝いに行ったわかさぎ姫さんと影狼さん、二人のメイド服のデザインに散々口出しした手前、自分の服への口出しも押し退けられなくなったと蛮奇は弁明していたが、その製作順序の偶然に本当に感謝したい。
「でも、どうしても恥ずかしいなら、もう着替える?」
「い、いや、そこまでじゃ……。た、たまにはこういうのもいいかなとはちょっと思うし……。本当に、ちょっとだからね?」
言いながら、蛮奇は少しだけ顔を俯かせた後、上目遣いにこちらを覗く。そんな可愛い反応にもう腹八分目くらいの満足感を得ながらも、残りの二分も満たそうと彼女の体へと近寄る。
「それなら、ちゃんと着てみて貰おうかな。今のままじゃ、まだ半分だから」
卓袱台の上の蛮奇の頭をまた抱き抱えて、首の無い体にふわりと頭を乗せる。すると彼女はポケットからスカーフを取り出し、それを慣れた手つきで首にしゅるりと巻いた。
「……うん、やっぱり可愛い。凄く可愛いよ」
自分は一歩足を引いてろくろ首メイドの姿を改めて確認した後、彼女の周りをぐるりと回って様々な方向からも見直してから、うんうんと頷く。
蛮奇を一周する間、彼女はこちらの動きを軽く目線で追うだけで大人しくしていたが、改めての褒め言葉には見て分かるくらいに頬を赤らめると、ぷいとそっぽを向いた。
「は、はい、終わり終わりっ。着替えるっ!」
そして、服を脱ごうと胸元のリボンの紐に手を掛ける。
「えー。その前にせっかくだし、一度でいいからメイドっぽいこと何かして欲しいな」
しかし、そう言うと蛮奇はぴた、と手を止めた。
「こ、このまま?」
「だって、お手伝い中はその恰好でしてたんでしょ?」
「そ、そりゃそうだけど……」
彼女はこちらに向けていた視線を、自らのメイド服に落とす。
この些細な所作で、自分は内心押せばいけると踏んだ。メイド服姿を見せるという目的は果たした以上、もう有無を言わさずに脱いでもこちらからは文句は言えない。だが、蛮奇は手を止めた。それはつまり、少しくらいならと、思っているはずだ。
「まあ、でも、蛮奇が嫌なら仕方ないか。こうして立ってるだけじゃなくて、せっかくなら何かしてる姿も見てたかったけど」
出来る限りさらりと、内容は露骨だが大袈裟にわざとらしくは言わず、残念に思いつつも蛮奇の気持ちを尊重する言葉を続ける。
何だかんだ言って心根は優しく、少し流されやすい彼女の性格上、これならきっと。
「……わ、分かったわよ。もう少し、このままでいてあげるから」
すると、蛮奇は逡巡した後、頬を赤らめて仕方ないと了承してくれた。
内心で大きくガッツポーズしながらも、それをあからさまに出すとやっぱり止めると言われそうなので何とか抑え込む。
「ありがとう。さて、それじゃあ……、とりあえず掃除でもお願いしようかな」
というわけで、早速メイドらしいことを、と思いそう提案すると、彼女は「はいはい」とぶっきらぼうに返事をして掃除道具を取りに行く。
そうして、ここからは奉仕活動をこなす蛮奇の姿を楽しむ時間、となる筈だったのだが。
「…………掃除、終わったわね……」
「まあ、殆ど散らかってなかったからね」
その時間はあっという間に終わってしまった。彼女が頼みを聞いてくれたのに舞い上がり過ぎて、つい先日掃除をしたばかりなのすっかり失念していたからだ。
「それに、結局○○も殆どずっと手伝ってくれたし……」
「いやー、掃除してとは言ったけど、全部任せるのは悪いなって」
「言い出したのはそっちでしょ……」
蛮奇は呆れた口調でやれやれと首を振る。掃除を始めた最初の方こそろくろ首メイドの可愛らしい活躍を楽しんで見ていたが、昼食もその片付けも任せ――今思えば仕込みのためだろうが――、部屋の掃除ともなればだんだん悪い気がしてきてしまい、途中からは蛮奇と役割分担して自分も掃除に参加していた。
「ご主人様って肩書、向いてないのかもね、俺」
あははと頭を掻いて笑う自分を見て、彼女は相変わらず呆れた、だけど優しい瞳を向けて、軽く溜息をつく。
「分かった。掃除が終わったら着替えるつもりだったけど、もう少し着ててあげる。それに、職務を主人に手伝ってもらうなんてメイドの名折れだと思うから、もう一回、貴方がして欲しいこと言ってみて」
更に、新たな奉仕の命令を、と命令の不慣れな主人へと告げると、続けて口を開いた。
「す、少しならえっちなことでも付き合ってあげるから」
そう付け足した蛮奇の表情はほんのりと朱に染まっていて、ゆるりと終わった掃除の疲れに寄るものではないのは確かだ。恥ずかしげに逸らされた瞳にも、本人が抱いているであろう期待がはっきりと見て取れる。
「……それ、なら……」
そんな彼女の姿にずっと抑え燻っていた情欲が湧き上がり、視線を奪っていたある場所での奉仕をして欲しいと伝えた。命令が不慣れと言ったそばからこれは、我ながら節操がないが、こんな蛮奇を前に我慢なんて出来ない。
「……まあ、そのくらいなら……」
すると、少しの思案を挟んで蛮奇は承諾を返すと、こちらの手をぎゅっと握る。
「じゃあ、ここでも大丈夫と言えば大丈夫だけど、せっかく掃除したばかりで汚したくないし、寝室に行こうか」
そして、ろくろ首メイドに手を引かれ、綺麗にしたばかりの居間を跡にした。
お昼時を少し過ぎた程度の寝室に差し込む日の光は明るく、手っ取り早く敷いた布団の上に柔らかく差し込んで、両膝を布団について跪くメイドの赤い髪をより鮮やかに照らす。
自分は既にそのメイドの手によって下の衣服を脱がされており、隠すものの無い陰茎をすりすりと撫でられていた。
「もうこんなに大きくして……。興奮し過ぎじゃない?」
「そりゃ、こんなに可愛いメイドさんが居たらこうなるよ」
蛮奇は柔い手つきで硬く勃起した肉幹を撫でては、びくびくと手の中で跳ねる屹立を抑えるようにぎゅっと握る。
今の恰好をした彼女を見た時からずっと沸々と興奮を募らせていたのに、あんな風に誘われればこうなるのは当たり前だ。
「ふーん。まあ、悪い気はしないかな」
ぶっきらぼうな口調で、しかしながら、少しだけ口の端を持ち上げて頬を緩める蛮奇。内心では喜んでいるのが隠せていない、その可愛らしい姿は衣装に負けず劣らず、いや、ずっと上回っているだろう。
「さて、これからすることを考えると結構濡らさないといけなさそうだし、まずは準備するからじっとしててね。分かった? ご主人様」
蛮奇の言葉に大きく繰り返し頷くと、彼女は中空を撫でるように手をすっと横切らせる。すると、四つの頭が続けざまに現れ、二つは自分の両脇に、残りの二つは蛮奇の隣で待機する。
この時点で彼女がどうやって奉仕してくれるのかが分かり、早くも期待に胸が高鳴っていく。
「んっ、ちゅっ……」
蛮奇は目の前の陰茎に軽く口付けすると、そのまま口を開けて亀頭を咥え込む。そして、先程こちらの両脇に向かわせた頭をそれぞれ怒張の横に構えると、その頭は舌を取り出して大きく広げ、両側から舌で肉幹を舐め始める。
それに合わせて亀頭を口内に含んだ蛮奇も舌を動かし、頭も軽く前後させて扱いていく。
「ん、ちゅぷっ、んんっ……」
亀頭を温かな口内に包まれながら舌が這い回り、緩く扱かれる度にざらついた面で敏感な裏筋をこすられる感覚だけでも気持ちいいのに、肉幹の両側を方や大きな動きで舐め回され、方や小さな動きで浮いた血管をなぞられる。この、三つの舌に思い思いのやり方で同時に奉仕される感覚は、そうそう味わえるものではないだろう。
「蛮奇、凄く気持ちいいよ」
腰にずしりとした快感の重さを感じつつ、その快楽のお礼代わりに正面の頭を撫でてやると、両脇の二つが上目遣いにこちらを見たので、それらも順番に撫でてやる。
それが蛮奇のやる気を更に引き出したのかは分からないが、彼女はより亀頭に舌を絡み付かせて口奉仕を続けていく。
鈴口を舌で穿っては強く吸い上げて、噴き出しているであろう我慢汁を自身の唾液ごと嚥下しては喉をこくこくと動かす。正面ではカリ首を唇で咥えてあむあむと甘噛みし、二つの頭は両脇からキスの雨を降らせてはそちらでも唇での甘噛みを行う。
更に、正面の頭が陰茎を深く呑み込み、両脇の二つが手出しできなくしたかと思えば、それらを少し下に移動させ、陰嚢をそれぞれ舐めたり口付けを落とす。
「くっ……、蛮奇、それっ、めちゃくちゃ気持ちいいっ……」
口腔で扱くという、ここまでから考えればシンプルなフェラチオだが、それに加えぬめる舌や唇で両方の陰嚢を愛でられ、ぞくぞくとした快感が全身を駆け巡っていく。
時に動きを合わせ、時に外してと不規則に陰茎に奉仕する三つの口と舌の感触に身を震わせていると、やがて三つの頭は怒張から一歩身を引いた。
「んっ、はぁっ……」
そして、ここでようやく最初に控えさせた残り二つの頭の出番となる。それらは陰茎の先端と根本にそれぞれ向かうと、舌をだらんと垂らして口を開け、他の頭がフェラチオをしている間に溜め込んだ唾液を肉棒へ落とす。
男根から溢れて垂れ落ちそうになった唾液は口奉仕をしていた頭が舌で掬ってまた塗り付け、肉幹に唾液を纏わせていく。それが終わる頃には、肉棒は滴るほどの潤滑油に塗れ、準備万端となった。
「さて、次は……」
口淫による準備を終えた四つの頭を蛮奇は仕舞うと、自らのとても短いスカートの両脇に手を入れて、ショーツを膝辺りまでするりと降ろす。いつもよりもひらひらとした飾りっ気の多い可愛らしい白のショーツは、メイド服の意匠と合わせたのだろう。
それをよくよく見ると股布部分が少しだけ濃く染まっており、おやと思い蛮奇の顔をちらと覗くと、彼女は口元を手の甲で隠してふいと目を逸らす。この反応だけでお腹いっぱいなので深くは突っ込まなかったが、胸中には愛しさが大きく膨れ上がっていた。
一方、目を逸らした蛮奇もショーツについては触れずに流し、スカートをはらりと捲る。本来、捲れそうになったら抑えるべき衣服を自ら曝け出す行為につい心臓が跳ねるが、やはり目線はそちらに惹き付けられ、食い入るように見つめてしまう。
捲られたスカートの奥に現れた、蛮奇の秘所。控えめに生えた陰毛がふわりと存在するそこは、脚が閉じられていることもあって一本の筋があるのみ。しかしながら、既にそこはほんのりと朱に色付いてぬらりと粘液が光っており、綻んでおらずとも確かな昂ぶりを感じさせた。
「さあ、ご主人様。いよいよだけど、貴方は動いちゃ駄目よ? 今日は私がしてあげるんだから」
蛮奇はびくびくと期待に跳ね上がる陰茎の根本を右手で緩く抑えると、淫裂と高さを合わせて、亀頭を柔らかな大淫唇にむにゅりと押し当てる。大量に纏った唾液越しに触れる秘部の熱さにまたびくんと肉棒が震え、その奥の粘膜に食い込みかけた。
その姿勢で一息入れた後、彼女は自ら腰をこちらへ押し付けて、自身の体へ挿入させた――のではなく、肉棒が割れ目と左右の太腿の根本をこするように腰を押し進める。
「くっ、うぁっ……!」
淫裂と太腿で囲われた狭い空間を怒張が滑って貫通し、その際に纏わり付いてこすり上げた柔肌の感触に、思わず声が漏れる。だが、その感覚に浸る間もなく、蛮奇はさながら性交をするかの如く腰を前後に緩く揺らし始める。
「ご主人様、どう? 念願の素股の味は……、なんて、聞く必要も無さそうね」
ろくろ首メイドは素股がズレてしまわないように下げていた視線を上げつつ言いかけるが、こちらの顔を見るなり言葉を切り上げてにやにやと笑う。
そう、居間で自分が蛮奇に頼んだ奉仕とは、これでもかと見せつけられていた、健康的で眩しい太腿を使った素股だ。素股自体は、蛮奇が上になっての騎乗位の際なんかに経験はあったが、太腿を合わせて使ってのものは初めてだった。
「想像以上に気持ちよくて、これっ、凄いっ……」
絞り出した言葉に蛮奇は笑顔を崩さずに腰を動かし続けて、すべすべの太腿と柔らかな淫裂で肉幹を扱く。
本来の素股であればもっと蛮奇の方も濡らしてからでないと難しいのだろうが、予め彼女がたっぷりと纏わせてくれた大量の潤滑油のお蔭で滞りは一切ない。それは、あれだけ蛮奇が熱心に口で奉仕をしてくれた賜物でもあり、その心遣いや溢れる奉仕精神も、この素股で得る満足感をより増幅させていた。
「ねえ、こんな風に、ちょっと挟んでみたりするのはどう?」
「うっ、ぁっ……!」
蛮奇は扱く両脚を左右からぎゅっと締めて、太腿の圧を強くする。それにより分身を包む熱と滑らかな皮膚の感触が一気に増し、体がびくんと跳ねてしまう。
「やっぱり気持ちいいみたいね。脚でも、手や口でするのと基本は変わらない感じ? こうやって締めたり、緩めたり、撫でてみたり」
言葉に合わせて彼女は太腿でぎゅっと挟み、かと思えば圧を緩めて拘束から解放し、最後はまた太腿を締め直して、股をこすり合わせるように脚を互い違いに動かして肉棒を捏ねる。
「く、あぁっ……! ぐっ……!」
そのどれもに元々乱れていた息を更に荒くして吐き出していると、ろくろ首メイドは嗜虐的な笑みを浮かべ、素股を続けていく。
すると、次第に屹立を包む肉の熱が――厳密には上部の熱が――増していき、肉幹には唾液と違った粘液が纏わり付いて、乾きつつあった唾液に代わり潤滑油の役割を果たす。
「んっ、ぁっ、ん……」
それに合わせて蛮奇の口から溢れ出す、煽りや挑発ではない、色付いた甘い吐息。それと先の粘液を考えれば、この素股で彼女も快楽を感じ始めているのは明白だった。
肉幹にも、大きく膨らみつつある秘芽と肉びらがこすれ、蛮奇も腰をぴくんと小さく震わせる。
ゆったりとした腰使いながら、敏感なクリトリスを陰茎に押し付けてこする彼女の姿は自慰をしているようでもあり、煽情的なその姿がまた肉欲を刺激する。本人としては腰が跳ねるのを抑えたいのか時折体を強張らせているが全く隠せておらず、始めたばかりの時に比べ、明らかに肉棒に淫裂を押し付ける体勢になってしまっているのも非常に可愛らしい。
そうして心と体、両方でろくろ首メイドの奉仕を愉しんでいると、蛮奇はまた新たな手法でこちらに快楽を与えようとする。
「そうだ、ご主人様、こんなのもどう?」
その言葉とともに蛮奇の肩が少し動いたかと思うと、太腿からはみ出た亀頭を絹を思わせる滑らかなものがふわりと包み込み、カリ首を細くしなやかなものが柔く摘まむ。
実際に何が触れているのか彼女の体で阻まれて見えずとも、先の蛮奇の所作と感触で十分に分かる。これは、彼女の手と指だ。
蛮奇は敏感な傘を指先で摘まみほぐしながら、手の平を我慢汁を漏らす鈴口に押し付けて、ぐりぐりと捻りこする。亀頭をマッサージされつつ柔らかい手で磨かれ、耐え切れないくすぐったさとそれ以上に全身を震わせる快感の大きさに、肉棒はあえなく射精したかと見紛うほどに大きく跳ね上がる。
「ぐ、くっ、うあぁっ……!」
しかし、その脈動を抑え付けるように淫裂と両脚に強く挟まれてしまい、それが落ち着くとまた圧を弱め、股間をすり合わせてハリのある生脚で扱いてくる。勿論、その間も亀頭は手で弄ばれ続け、もはや歯を食いしばらないと耐えられない。
「んっ、はぁ……。ご主人様、もうそろそろ限界みたいね? いつでも、んっ、イッていいからね?」
ろくろ首メイドは楽しそうに笑いながら、だが、同時にクリトリスを押し付けてこすって愛液を肉幹に塗りたくり、快楽を与えては自らも求めていく。
しかし、それでもギリギリまで耐えようと射精を抑え込んでいると、蛮奇は赤らんだ顔で意地の悪い笑顔をこちらに向け、空いている左手で中空を撫でる。
それは、寝室に入ったばかりの時も見た、あの動きだった。
「頑張り屋なご主人様に、私直々に私にしか出来ないご奉仕って言うのを教えてあげるわ」
そして、ふわりと浮かばせた三つの頭のうち、二つをこちらの頭の両脇に向かわせ、一つは蛮奇の股間へと向かう。一体何を、と思ったのも束の間、こちらの脇に来た頭達は大口を開けて両耳を同じタイミングでぱくりと甘噛みし、それに合わせて鈴口に柔らかくぷるりとしたものが触れた。
「う、く、ああぁっ!」
その瞬間、張り詰めていた緊張の糸が呆気なく切れてしまい、全身を満たしていた快感に遂に陥落し、絶頂を迎えた。
見目こそ性交と変わらない体勢だが、絶頂に伴いどくどくと吐き出される精液は彼女の膣内ではなく、鈴口を覆う生温かい空間に呑み込まれていく。
それが何なのか考える余裕もないまま、ろくろ首メイドは股間をすり合わせて生脚で肉幹を撫で、指でカリ首の傘を揉み、口で両耳を柔く甘噛みし続ける。頭から下半身まで、気持ちいいやらくすぐったいやらでずっと責められて精液を放出し続け、射精が治まっても妖艶に笑う蛮奇にしばし弄ばれてしまう。
だが、それらの手もやがて止まると、彼女は左手を軽く上に振る。それに合わせて両耳を食んでいた頭が消え、下からは口を閉じた頭が現れた。
いつの間にもう一つの頭が、と快感でぐちゃぐちゃになった頭でぼんやりと考えていると、蛮奇はその頭を二人の脇に浮かべ、視線でそちらを見るように促す。
「はい、あーん」
そして、蛮奇がそう言うと、その頭はそれが合言葉だったかのように口を大きく開ける。口内ではどろどろの白濁が水溜まりを作っており、それを見てようやく察することが出来た。先程鈴口を襲った感触は、この頭に鈴口を咥え込まれたからだったのだ。
「沢山出したわね。ご主人様、お疲れ様。掃除は私一人で出来るから、ご心配なく」
蛮奇がその頭に手をかざすと、頭は口を閉じて精液をごくんと飲み込んだ。それに僅かに遅れて、蛮奇は口元を隠して小さくけふっと声を漏らすと、にこりと笑う。
「さて、ご奉仕はこれで終わりね」
彼女の言う通り、これで自分の頼んだ奉仕は終わった。そうなれば、後は居間にでも戻って、蛮奇は元の服に着替えるだけだ。
「蛮奇、その……」
だが、自分はまだまだ枯れない情欲を抑えられず彼女の名前を呼ぶ。しかし、やはりろくろ首メイドはそっと体を離して、一歩身を引いてしまう。
もう一回、と今の行為を始める前に言っていたし、やっぱり駄目か。そう諦めかけた時、蛮奇は布団にころんと寝転んで脚を開き、陰茎に擦り付けて真っ赤に熟れた淫唇を大きく開いた。
「いいわよ、ご主人様。晩ご飯の準備まで時間もあるし、次はこっちでご奉仕してあげるわ」
その言葉を聞くや否や、我ながら一切の遠慮なく蛮奇の体に自らの体を重ねる。
その後、メイドと主の爛れた関係は結局日暮れまで続いた。