「はあぁ〜……ッ! まったく、あのエロ猿はっ! ムカつくわね!」
ドスドス歩きながらゼタは憤慨していた。
憤慨している理由はもちろんユーマがゼタの事を“恋人”と称したからである。
(こ、恋人って何よ。いっつも好き放題人の事を犯してくるくせに……! 大体、ちんぽケースだとか肉便器扱いされて喜ぶのが異常なだけでしょ? そんな風に扱われるくらいなら、普通にセックスするほうが良いのが普通ってもんでしょ? それを何? 普通を喜ぶから恋人? はあぁぁぁ? 何言ってんのって感じ! 大体、初めてアタシを犯した時にセフレがどうこう言ってたくせに、なにをシレッと恋人に格上げしてんのよ信じられないっ)
思い返せば思い返すだけ腹立たしい。
(あたしがついて回ってるのは、あの星晶獣の力が危険だから、監視の為だっての。そのおこぼれでアタシを犯してるってだけなのに、勘違いも甚だしいったら!)
心の中で反論を並べ立てつつ、今日はもう遊ぶ気にはならなかったので一旦更衣室へ赴き着替える。それからバーへと足を運ぶ。
「えっと……これとこれとこれ。あと、それと……それも。部屋はここ。ボトルで持ってきて」
カウンターの店員にあれこれと酒を注文する。
こんなにイライラした時は飲むに限る。
バーで飲んでも良かったが、なんとなくお酒を楽しむというよりはやけ酒をしたい気分だったので、宿泊予定の部屋へのデリバリーを頼んだ。
とにかくお酒でも飲まないとやっていられない。
──と、そんなゼタに近づく影が2つ。
「随分飲むんだねえ。どう? どうせ飲むなら俺達と──」
「無理。今、機嫌悪いから話しかけないで」
近づいてきたのはエルーンの青年とドラフの大男。いわゆるナンパである。
最近はユーマやそのハーレムのメンバーと一緒に行動する事が多いので声をかけられる事はなかったが、それ以前に単独行動を主にしていた頃は事あるごとにナンパされるのは日常茶飯事のゼタだった。
「連れない事言わないでさぁ〜。ほら、ご機嫌斜めならなおさら俺達と飲んでご機嫌に──」
食い下がるナンパ男に辟易としつつ、ふとアウギュステでの事を思い出す。
あの時はユーマが助けにはいってくれた。
その時の事を思い出すと、なぜか頬が熱くなる。
しかし、今この場にユーマはいない。
どうせ今ごろ十二神将の誰かをどこか二人きりになれるような場所に連れ込んでよろしくやっているのだろう。
想像すると、何故かムシャクシャする。
「なぁ──」
「うっさい!」
ゴスッ、と、近づいてきた男の腹部に肘を打ち込む。
「ごはっ!?」
「て、てめぇ、なにし……ひっ」
エルーンがうずくまったのを見てドラフが喰ってかかろうとしてきたが、殺気のこもったゼタの睨みに怯んだ。
「んじゃ、よろしくね」
「あ、あの……少し準備にお時間を頂きますが、よろしいでしょうか?」
「……どのくらい?」
「30分程度かかるかと……」
「全然オッケー。よろしくね」
ナンパ男たちは無視し、店員に挨拶をしてバーを後にする。
チェックインした部屋へ入ると、荷物を放り投げてベッドへ倒れ込む。
ユーマたちは6人なので、2人部屋を3つ借りた内の1つになる。
「はぁ〜……」
うつ伏せで枕に顔を埋めながら、モヤモヤした感情を整理しようと目を閉じる。
しかし、目を閉じるとついさっきのユーマの姿が浮かんできた。
『ゼタは恋人かな?』
そう言って微笑むユーマの顔を思い出すと、お腹の奥がきゅんと締まる。
「〜〜〜ッ!」
何という事だ。これでは思春期の恋する乙女ではないか。
……いや、認めなければいけない。
セックスから始まったような関係だが、確かに自分は今、あの男に肉体的快楽だけではない恋慕の情を抱いているのだろう。
「はあぁぁ〜……っ」
ゼタは改めて大きくため息をつく。
認めるものは認め、それはそれとして考えないといけない事がある。
……が、その前に──。
「んっ……♥」
左手で胸を弄り、右手はスカートを捲り上げショーツの上からクリを擦る。
「はぅン……♥ んっ♥ んぅ……♥」
じんわりと快感が身体に広がっていく。
ユーマとの性行は気持ちいいが、いかんせん気持ちよすぎる所もある。
激流に翻弄されるような快楽もいいが、ぬるま湯に浸かるような快楽は心地よい。
……いや、でももう少し刺激が欲しい。
タンクトップの中に直接手を差し込み、乳首を指で摘む。
クリもショーツの中で直接指で転がす。
「んっ、く……♥」
ピリピリとした刺激が背筋を走る。
「ユーマ……♥」
ユーマの事を想像し、ユーマの手で触られていると思うと、きゅんきゅんと膣が締まり愛液が滲み出す。
「ふぅ♥ ふぅ♥ ふぅ……♥」
ぬるっとした愛液で濡れたまんこに指を沿わせ、指を少し入れてみる。
一人きりの部屋にくちゅくちゅという音と、自分の吐息が響く。
「あっ♥ ユーマ♥ ユーマ♥ 好き♥」
つい口走ってしまった。
しかし、『好き』と口にした瞬間、自分でもビックリするくらい小陰唇が締まり、深い快感が全身を叩いた。
「んン〜〜〜ッッ♥」
足がピンと伸び、背中がグッと弓なりに反る。
じくじくとした心地よさが波のように全身を駆け巡り、ギュッと瞑った瞼の裏側でパチパチと光が弾けた。
「は、あぁ〜……♥ んっ♥」
(ヤバ……ユーマの事を好きって口にしたら簡単にイッちゃったじゃん♥)
思ったより傾倒している事を自覚する。せざるを得ない。
ごろんと仰向けになり、手足を大の字に投げ出し、胸を上下させて呼吸を整える。
もう少しオナニーを楽しもうと思っていたのだが、こんなに気持ちよく心地いいオナニーは初めてだ。
「あいつ……今日はこっちに戻ってくるのかな……?」
オナニーしたからか、ユーマの事を女として好きになっている事を認めたからかモヤモヤはスッキリしたが、今度は別の意味で子宮が疼く。
このモヤモヤは自分では解消できない。
ユーマの肉棒で膣奥をガンガン突いてもらいたくて仕方なくなってしまった。
「はあ……」
ため息をつきながら、先程スカーサハが言っていた事を思い出す。
『空間を司る星晶獣の力で、おちんぽ様と吾のまんこを繋げて〜』
(『組織』に、そういう星晶獣の情報ないかな……)
「ふっ」
ユーマに恋をしてしまったと自覚したのはいいが、それはそれとして自分もすっかりユーマのちんぽの虜になってしまっている事に笑いが溢れた。
(ま、それはとりあえず後にするとして……)
ゼタには1つ懸念すべき事柄がある。
「あいつ、十二神将の人たちをどうするつもりなんだろ?」
ユーマが性欲の権化で、可愛い女の子を集めてHAREMを作りたいというのは別に構わないし、十二神将を纏めてハーレムに加えるのもまあいい。
だが、ハーレムに加えた十二神将の扱いによっては問題が起きる。
ハーレムに加える以上、十二神将の面々はユーマの手元に置くつもりだろう。
その時、十二神将に十二神将としての責務を放棄させ、完全な性奴隷のように扱うとしたら……それは空の世界にとっての損失であり敵対行為だ。
十二神将は星の民の動向を監視し、空の世界に蔓延した煩悩を払うという役割がある。
その役割を担う存在が一斉にいなくなれば(一応、他に3人残っているが)、きっと空の世界は混乱するだろう。
せめて次代への引き継ぎをして、十二神将のお役目を終えさせるような判断をすれば問題はないが、それも時間がかかる話だろう。
もしそれも良しとしなければ──
「ま、その時はその時……よね」
もし世界の敵となりうる存在になってしまうのなら、自分の恋心だとかいう乙女チックな感傷は関係ない。
小さな、しかし運命に対抗しうるだけの確固たる決意を胸にしまい込み、ゼタは起き上がると服を脱ぎながらシャワールームへと向かった。