※この作品はR-18です。

アークナイツマゾ雌ドスケベ嬌声曲   作:デイジー亭

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お仕着せへのお着替えと、いとも容易く行われる少年によるセクハラ実演

「ん……朝、ですか」

 

「おはようございます、パラスさん」

 

「おはよ、お寝坊さんだね」

 

「おはようございます……この私が惰眠を貪ってしまうとは、ちょっとベッドの質が素晴らしすぎますね」

 

「「飲み過ぎただけでは……?」」

 

 既に目覚めていた二人と、和やかな挨拶を交わす。気分はすこぶる良い、昨日の宴は最高だった……歓迎の意志しか感じない、至上のもてなし。ロドスへの入職時よりも盛大で、それでいて心温まる芸まで披露して頂けた。洗顔を終え化粧を整え、用意されていた服に袖を通す。素晴らしい心遣いに、思わず鼻歌混じりになってしまう。

 

「~♪」

 

「何の疑問も抱かずに、着替えましたね……」

 

「貴女たちも、既に着用を済ませているではないですか」

 

「でもやっぱ恥ずかしいよ、コレ……超すうすうする」

 

「何を言うのですか、意匠からも気遣いが見て取れるでしょう?」

 

 かつて十二英雄に仕える身であった、自分は何ら違和感を感じない。むしろそれぞれに合わせたお仕着せのディティールは凝っていて、感嘆の念すら感じる。上半身はお揃いのエプロンドレスだが、自分の物にはフードが付属しているし……些か短いスカートの裾の下も、慣れ親しんだ感触が有る。色合いもデザインもいつもの物とは異なるが、それでも感じる安心感。

 

「前から気になってたんですけど、グラニさんは何でふともも半分丸出しなんですか?」

 

「動きやすいんだよっ! でもメイド服もコレなのは、ちょっと普段の格好を後悔してる!」

 

「自慢なのはわかりますが、少々貞淑さが足りませんね」

 

「う~~っ! ま、まぁいいけどさ。あたしには外での作業が期待されてるんでしょ」

 

 疑問に首を傾げるエイヤのほっそりとした脚は、ニーソックスに包まれていた。自分はタイツ……そしてグラニは、まさかのいつもの横が開いた謎ズボンである。小さな身体に似合わず、むちむちのふとももが艶めかしい……脚絆は無いが、普段通りの動きが出来る匠の気遣い。これに異論を差し挟んでは、話が進まないではないか。諦めたように立てたしっぽをしょんぼり下げる姿に、少々の安心を得る。

 

「では、参りましょうか……どうぞ」

 

「失礼しますぞ……おお、よくお似合いですな」

 

「お褒めに預かり光栄です」

 

「あんまり嬉しくない」

 

「ありがとうございます、ディグさん」

 

 そしてコンコンコン、と穏やかでいて明確なノックの音。了承の意を告げると、礼節正しく入室した執事長の姿。メイドの身だしなみを確認するのも、彼の仕事だということなのだろう……しげしげと油断無い鷹の目つきで眺められ、しばしの間の後によく整えられた口髭の下が微笑む。どうやら、御満足いただけたらしい。

 

「初日からこれならば、私も安心できると言う物ですな」

 

「普通じゃない?」

 

「いえいえ。バグパイプ嬢など、よく寝ぐせを跳ねさせていましたからな」

 

「簡単に想像出来ちゃいました……」

 

「二人の顔が目に浮かびますね」

 

 何と言っても甘えん坊。ロドスでも久しぶりに再会した上司に世話をされるたびに、極上の笑みをこぼしていた……ユルみ切ったエヘ顔と、ちょっとニヤけたやれやれ顔。百合百合しい空間がそこかしこで展開され、元より多かった彼女のファンには拝む者も多数居たほどである。今でもその情景を隠し撮りした写真は、裏ルートにて高額で取引されているらしい。

 

「まずは朝食のセッティングですな、先輩メイドを良く観察しておくように」

 

「こら、バグパイプ。置く時に音を立てるなって、何度言ったらわかるのかしら?」

 

「しょ、しょうがねぇべぇ……うち、ちょっとキツいぃ」

 

「一人動きがおかしいようですが?」

 

「ああ、朝の業務で少々張り切り過ぎたのでしょうな」

 

 きびきび動く隊長と、ふらふらして叱られる部下。見慣れた光景であるが、それにしても動作に精彩が足りない。片方だけを見本とするべきだろう……疑問を抱くと、返答に納得する。どうやら肉体派の彼女は、我らの起床前から業務に精励していたらしい。そう言えば広大な家庭? 菜園が有ったため、恐らくそこで得意分野にまい進していたのであろう。

 

「バグパイプ、無理はしないでいいですよ?」

 

「あっ」

 

「こら、ご主人様はそうやってすぐ甘やかして!」

 

「良いじゃないですか、これじゃあ模範としては不足ですし。ゆっくり休んでいてくださいね?」

 

「で、でも……うんッ! うち、休んでおくだぁっ!」

 

「まぁご主人様がそう言うなら、仕方ないわねぇ」

 

 大人しく座っていた少年も、それに気づいていたのか自分の隣に腰掛けさせる気遣いを見せる。だが厳しい上司は大層お冠であり、おずおずと立ち上がろうとする彼女であったが……急に声が跳ね上がると、お言葉に甘える姿勢を堅持。エプロンを引っ張られただけで言うことを聞いてしまうあたり、やはり疲れていたのであろう。

 

「バグパイプが、ホルンの言葉に逆らった……!?」

 

「崖から飛べって言われても、大喜びで従いそうなバグパイプさんが!?」

 

「貴女たち、私を何だと思っているのよ……」

 

「「鬼畜上官」」

 

「お二人とも、失礼ですよ? 彼がこの屋敷の主人なのです、彼女たちの態度も当然と言えましょう」

 

 まぁ私も二人と同様、少々の驚きを得たのは確かである。上司と部下を超えた関係性を持つ彼女たちの間に割って入るなど、並みの神経で出来ることではない。さらには不満そうではあるが、その提案を厳しい彼女が許すとは……やはり、将来は勇者たり得る大器である。仮初の関係ではあるが、仕えるに不足は無いと言えるだろう。

 

「まぁ機嫌を直してください」

 

「んっ……こ、こら。給仕中は駄目でしょ?」

 

「セクハラまで!?」

 

「しかも許されちゃってます!」

 

「何と……!」

 

 だが次の瞬間に行われた行為に、さすがの自分も目を疑ってしまった。あのセクハラに厳しいと評判の、指折りホルンがスカートの上からとは言え少年の手を拒まなかったのだ。尻を撫でられても圧し折らないなど、あまりにも彼女らしくない。ロドスなら悲鳴と骨折音が響き渡るシチュエーションが、平然とまかり通ってしまっている。

 

「何度も言うけど、私を何だと思っているのよ。かわいいイタズラじゃない」

 

「でも、あのホルンさんが……」

 

「それに昨夜見たでしょ? これぐらいは許してあげなくちゃ、あんまりにも不公平よ」

 

「命の危機の代償がコレとか、僕の命は安すぎると思うんです」

 

「な、なるほど。そりゃまぁ、そうだよね」

 

 ……納得した。幼い命を奪われかねぬ荒行に挑む勇者に対しては、あまりにもささやかな報酬と言えるだろう。費用対効果としては抜群であるし、むしろ悪いお姉さんにその程度で誤魔化される彼が可哀そうになるほどだ。いや騙し切れてはいないようだが、それでもしみじみ呟く彼の声には膨大な達観と微かな満足の念を感じる。

 

「それに、貴族社会ではこの程度は当たり前よ? 貴女たちにも慣れてもらわなくちゃ」

 

「そうなんですか!?」

 

「そうよ? 押し倒されたりしたら、そりゃあ話は別だけども。これぐらいで殴り掛かったら、その瞬間スムーズに任務失敗間違いなしだわ」

 

「むぅ……確かに、メイドってそういうもんだって聞いたことはあるね」

 

「ミノスではあり得ない行いですね……少々受け入れがたい風習です」

 

 尻を触られても怒らない。言うのは簡単だが、それを遵守するのは些か困難と言えるだろう。立場を笠に着て弱者を貪るなどと、最も自分が嫌悪する行いである。清らかなるこの身がそのような下衆な行いに晒されるなど、ますますもって度し難い。しかし甘美なる闘争に臨むには、受け入れざるを得ない……先行きに不安を覚えてしまう、文化の違いに頭が痛む。

 

「だから夜会ではご主人様に、先んじて触ってもらっておくのよ。子供にされるなら、そこまで不快感は無いし」

 

「な、なるほど?」

 

「うーん、私は閣下と年も近いですし。ちょっとそれも……」

 

「なら丁度いいのが、そこに居るじゃない。貴女たち全員、年も親子以上に離れているでしょ?」

 

「必要とあらば、私に異存はありませぬが……嫌がるレディに無体を働くのは、少々ご遠慮願いたいですな」

 

 過ちの予防のため、身内に先にセクハラされておくなどと。必要性は辛うじて理解できるが、少年と年齢もほど近いエイヤなどは大層不満そうだし自分も遠慮しておきたい。だがうんうん悩む自分たちの後ろを指す彼女が示したのは、老紳士……表情を変えず答えるその態度は、自分たちに対する誠意と気遣いに満ちていた。

 

「ふむ……少々考える時間を頂いても?」

 

「お爺さんと言っても、ちょっとねぇ。覚悟する時間が必要って言うか」

 

「出来れば私は、ずっと遠慮しておきたいんですが……」

 

「良いですよ、焦るほどのことでもありません。ディグもあまり、進んでやりたいようには見えませんし」

 

「若様と違い、枯れておりますのでな。火遊びごっこを楽しむには、私では少々不足と言えましょう」

 

 少年と老人。結構な難題たる二択であるが、自分の天秤は生真面目な執事にやや傾いている……彼ならば、イタズラを楽しむことなくただの義務として行ってくれるであろう。その確信は有るが、見極めるには少々時間が不足している。それに他の二人にも、心の準備の必要がある。年長者としては、結論の先送りを申し出るべきだろう。

 

「ディグは本当に詰まらないよね……そんなんだから、その年で嫁もまだ居ないんだよ」

 

「若様に全身全霊を以て仕えるため、余念を挟む隙間などありませぬ。必要性を感じませんな」

 

「この偏屈ジジイの説得が先かしらね……まぁじっくりと考えて頂戴?」

 

「彼女たちから求めぬ限りは無駄ですがな。では、ミルクなどどうぞ」

 

「ぜ、ゼメンホフ自慢の特産品だべ。味わって飲んでくんろ」

 

「「「頂きます」」」

 

 やはりただ者ではない……! 気の無い返事を主人に返しながら魔法のようにお出しされたのは、ほかほかと湯気を立てるグラス。如何にして搾りたてと思しきコレを取り出したのか、この司祭の目を以てしても見抜くことは叶わなかった。長い研鑽を感じる手品に感じ入りつつ、やたら顔の赤いバグパイプさんに勧められて飲んだそれは大層な美味であった。お代わり自由なところも素晴らしい。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「も、もうっ! もうもうもうっ! 信じらんねーべっ!」

 

「バグパイプ、何であんなにキレながら耕してんの?」

 

「さぁ……僕にはわかりませんね、思春期なのでは?」

 

「若様が仰ると、侮辱と取られかねませんぞ」

 

「ひぃ、ひぃ……」

 

 食事の後は、運動などを。美味なるミルクと朝食に舌鼓を打った後に、そう言われて連れ立って訪れたのは菜園である。水を得た削岩機のように鍬を振る彼女を眺め、首を傾げるグラニはまだ余裕があるが……エイヤは既にグロッキー。切株に腰掛けて、リタイヤの意を存分に示している。だが作業に遅滞は無い……なんという光景か。

 

「何故高貴なる身にて、このようなことを?」

 

「足腰の鍛錬にも、なりますから……ねっ!」

 

「民草の気持ちを分かって頂くのと、籠城の際の備えにもなります故」

 

「お貴族様らしくないよね、まぁ親しみが持てていいけどさ……パラスは何でぷるぷるしてんの?」

 

 並んで農作業に勤しむ主従の姿がそこに有った。それも気まぐれとは思えぬ、かつて辺境で手習い程度に出来なかった自分とは次元の異なる練度。感極まり打ち震えてしまうほどの、感動的な雄姿である。防衛戦争の指揮に専念していた自分を恥じる気などないが、それでも己の未熟を悟ってしまう。

 

「十二英雄の最も偉大な点を知っておられますか?」

 

「いやぁ、あたしミノスの文化には詳しくなくって」

 

「それは英雄となった後、皆が皆例外なく、普通の一般人として質素に暮らしていたところなんですよッ!!」

 

「へ、へぇ。そうなんだ。それとこれが何の関係が?」

 

「わからないのですかっ!? 彼らは自らの身分に甘んじることなく、英雄と同じ気持ちを常に胸に秘めているのです! まさに模範的信徒と言えましょう!」

 

「勝手に他所のお貴族様を信徒認定するのは問題じゃないかなぁっ!?」

 

 彼らの行いは、我が信奉する教義に最大限に即していたのだ。煌びやかなる社交の場にだけ耽溺することなく、自らの手を土で汚すあまりにも勇者な行い。剣のみならず鍬も振るうからこその、ゴツゴツとしたタコにまみれた無骨な手。彼らのそれを一目見たならば、ミノスの民たちはまず乾杯を求めることだろう。

 

「まぁミノスの文化にも興味はありますし、僕は全然かまいませんよ」

 

「熱意ある若者の声に、耳を傾けぬ老人もまた存在しませんな」

 

「彼らもこう言ってくれています。さぁ、勤しむとしましょう」

 

「まぁ二人が良いならいいけどさ、ちょっと張り切りすぎじゃない?」

 

「舞踏で掻く汗も、労働で掻く汗も等しく尊いのです。今晩の酒宴……おっと、布教の場もきっと甘美となることでしょう」

 

「この酒カスッ……! 少しは本音を隠す努力をしなよ!」

 

 すなわち、今日も元気だ酒がうまい。彼らのスタンスからして、頑張ればツマミの追加も秘蔵の美酒も期待できるしオマケに布教に努めることも出来る。私は祭司として当然の限界を超えたパフォーマンスを発揮して、脱水症状と筋肉痛のダブルパンチに苦しむこととなった。最初に無理をしてはいけない、酒を飲むのと同じ基本中の基本を思い出してちょっと後悔した一幕である。

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