「よーし、関門はクリアしたぞ」
横たわる魔理沙を見て、俺はガッツポーズをした。
これからこの娘をこの手で地獄に突き落とすのだが、それが俺の生命線となる。
悪く思わないで欲しい。いや、それは無理だから存分に恨んでくれ。やることは変わらないし。
「っと、ん?」
ピロン、と間抜けな音が聞こえた。
マニュアルを開いてみると、何やらDPが加算されていた。どうやら侵入者を撃退した扱いになったらしい。想定とは違ったが、それならそれで良いことにしよう。
うん、万事計画通りだ。
それでは俺様の華麗な生存戦略を説明しよう!
ダンジョンの初期位置は、幻想郷ならどこでも設定出来るようだった。
見つかりづらい場所を選べという事なんだろうが、前述のように、偶然通りがかった不運の逸れ人間やクソ雑魚妖怪が最初にやってくるのを祈るしかない。そんなのに命はかけていられない。
必ず、確実に倒せる侵入者を1人得る必要があった。
初期位置は、霧雨魔理沙の家にした。
普通なら即終了ゲームオーバーである。
なんせ、霧雨魔理沙とは東方Projectのもう1人の主人公とも言われる重要人物だ。例に漏れず強いし、魔法が使えるガッツある人間である。そんなやつの家ーー家のどこにダンジョンの入口が設定されるのかは分からなかったがーーに初期位置を設定すれば、すぐ見つかって即終了である。
でも、彼女は人間だ。どんな時でも冷静に判断できるような、人外には至っていない。
どうやら俺は滅茶苦茶気味の悪いやつと認識されるみたいだし、不意打ちで姿を見せれば隙くらい生まれるだろう。いや、それを祈るしかない。
実際かなり至近距離で霧雨魔理沙は棒立ちしたし、その隙があればあるアイテムが火を噴いてくれる。
そう、50DPもした昏睡スプレーである。
DP足りないやんってなるけど、最初に貰えた一部屋を売り払ったら50DPになってくれた。因みに増設する時は100DP要る。ぼったくりめ。
部屋が無いとどうなるのか、という疑問はあるだろう。
答えは簡単。モンスターが呼べない、あとボス部屋には普通のモンスターは設置できない。俺は今、吹けば飛ぶような命という訳だ。
でもまあ、モンスターは要る。
部屋を売るにしても、別に先にモンスターを部屋で召喚して、即座にダンジョンの外へ「侵略」させ、部屋を空にしてやればいい。
ただこれも問題だ。「侵略」は目標地点を定める以外に指示が出来ず、送り出した後は見守るしかない。いや、防衛もそうなんだけどね。
俺はとある虫を召喚して、目標地点は霧雨魔理沙にした。いや人間が地点って、と思うかもしれないが、これ全キャラを仕留めるためのシステムみたいだし、そういうものなんだろう。
兎に角虫を出撃させた後に部屋を売り払い、昏睡スプレーを買って、次に俺は俺自身を「侵略」させた。これも目標地点は霧雨魔理沙。
因みにダンジョンマスターは最初は通常の部屋に入ることは出来ないらしく、そのため実質「侵略」は出来ない。だが俺のダンジョンは部屋の無い超バリアフリー状態のため、今からでも侵略自体は問題なく出来るみたいだった。ただ俺の自由意志が消えるかは運ゲーだったが、俺は普通に動けたため問題無し。
あとこれは知らなかったが、目標地点が霧雨魔理沙であるためか、彼女の居場所が何となく方向だけ分かるのも幸いだった。そのため呼び出した虫を捕まえつつ、彼女がやって来るのをずっと待っていた訳だ。
そして現在に至る。
「ふぅー、まったく大変だったぜ」
だが、これでようやく俺のダンジョンがスタート出来るわけだ。
そう、このーー種付けワーム君を使ってな!
そんな目で見るなよ。
◇
種付けワーム君は、見た目が非常にキモかった。
例えるなら、長いピンク色のカブトムシの幼虫。
こいつは女性の体内に侵入すると、そこに自身の卵を植えつける。それは勝手に孵化して、直ぐに成長すると卵を植え付け始めるらしい。
そのサイクルはおよそ3〜5時間。植え付ける卵は1匹あたり20〜50個。結構な数が潰れて駄目になるらしいが、まあそれでも何倍から何十倍になるということだ。
そうして孵化した奴らを、ある程度残した上でほとんど売り払う。これでDPを増やして、部屋を買い直す。そしてそこから本当にダンジョン運営開始だ。
さて、今から虫を、このいたいけな金髪少女の中にぶち込むわけである。非常に心苦しくーーも、ない。
不思議と、自分の気持ちの上ではこうした非倫理的行為や、そもそも侵略者の殺害に忌避感を覚えないのだ。おそらくこれは、ダンジョンマスターとしての最低限の機能なんだろう。
つまり、これは自身の中に残る倫理的指針を、自分の意思で破るかどうかでしかない。
で、これを、必要だからという理由で破った。
「ん、んぅ……!?」
意識を失っている魔理沙の膣に、蟲をあてがった。
蟲は身体を捩らせながら、そのブヨブヨとした身体を魔理沙の体内に捩じ込ませていく。最初は痛そうに魔理沙も眉を顰めていたが、蟲の身体から出る粘液で滑りが良くなっていったのか、どんどん内側へと虫は入っていった。完全に蟲の気持ち悪い外見が見えなくなったあたりで、魔理沙が身体を大きく一度震わせる。
すわ目が覚めたかと焦ったが、どうやらそうでもないようだ。では何故ーーと、疑問に思ったところで、その答えが現れた。
ーービュブブブブ、ブヂュ
魔理沙の膣から、白濁した液が噴き出した。
ゴポゴポと二度ほど吐き出された後、その勢いは鎮まる。魔理沙は小さく身体を震わせ、僅かに息を上気させていた。どうやら先ほどの大きな震えは、蟲が卵を産みつけた時の衝撃だったらしい。
この種付けワーム君の分泌する粘液には、卵を育てるための要素の他に、母体となる少女へ快楽を与えるための麻薬のような成分も含まれているらしい。あまりに早いようにも思えるが、その効果が既に出現したと見ていいだろう。
つまり、霧雨魔理沙の地獄が始まったのだ。
蟲の苗床という、終わりのない地獄が。