※この作品はR-18です。

東方蟲蔵録   作:玉蹴り男

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第三十二話

魔理沙と射命丸の報告から、おそらく東方心綺楼の前兆は確認された事が分かった。

それは人里での祭りの開催と、妖精たちの活性化だ。どちらも頻繁に起こる事柄であり、大して取り沙汰されるような異常ではないがーー連日続けば異変である。

そしてその頃には、各地の強者や宗教を布教したいものが鎬を削りあい、それを観戦する者たちが熱狂するという構図が現れる。原作ではここに主人公達も参戦し、勝ち進んでいく中で最終的に秦こころと出くわす、という流れだ。

 

そうした流れが起きるまでの期日は知らないが、簡単に対応する事は出来る。

魔理沙を少しだけ早めに参戦させてやればいい。加えて射命丸に新聞でこの宗教闘争を書いてもらえば、その噂を聞きつけた者達がやってくるだろう。

原作に居た主要な参戦キャラの神霊廟や星蓮船勢がまだ幻想郷に居ないため、それを補うという目的もある。彼女ら2人がいたから宗教闘争という形になっていたような気もするし、東風谷早苗などが来てくれれば有難い。

 

さて、俺がこの異変で特別何かやる事はないが、この混乱に乗じてやっておきたい事はある。

それは霊夢等の幻想郷の管理者側が異変に意識を取られたタイミングで、かつ八雲紫が冬眠中にしたかった事だ。

つまりそれなりに目立つ危険性のある行為でありーー勿体ぶらずに言えば、人攫いである。

 

人攫いとは言っても、本当に人間を攫うのではない。

妖怪や妖精等の様々な種族を、最低でも2体ずつくらいは確保したいと考えている。

用途は二つ存在する。

 

まずはダンジョンの金策を進める為だ。

現在DPは日当たり6000獲得となっているが、度重なる出費により現在の貯蓄は2万前後を彷徨っている。

別に無駄遣いをしている訳ではないが、モンスターの研究室の設置に、その材料となるモンスターの召喚等ーー必要経費ではあるが、消費する先の枚挙にいとまがないのだ。

そして目先の危機が現れた事で、より我がダンジョンの財政は火の車となっている。

勿論元々紅魔館を仮想的に据えてはいた為、それに備えた戦力増強を進めていた。そこに古明地こいしが増えた所で彼女自体はあまり脅威ではないのだが、誰か有力者に相談でもされると話が変わってくる。

 

加えてDPに余裕が出来れば早めに確かめておきたい事もある。それは未だ使った事のない各種機能でありーーその中でも異彩を放つ、『GMコール』というものだ。

GMとは、ゲームマスターだろうか。そこから連想されるのは、そもそも俺がここへ来る羽目になった最初の最初。白い空間でペラペラ捲し立てていた謎の声だ。

もしそうなら、この機能はあいつにコンタクトを取る事が出来るのかもしれない。聞きたい事はいくらでもある。使用するのに1万DPを要するらしいがーー試す価値はあるだろう。

 

二つ目は、研究の材料にする為だ。

モンスターの研究室を設置したが、その大きな目玉は何だろうか。

それは当然、モンスターの改造に強化が行える事だ。

そもそもこのダンジョンというシステムは、買い切りのモンスターの性能に頼りきりでは真価は発揮できない。これは前世のゲームでも良くあることだが、武器や改造といった要素があるなら、それが最終的には幅を利かせてくるのだ。

当然例外は存在するが、そういった存在は法外なDPを要求したり、そもそも簡単に購入出来なかったりする。ハズレが多いらしく一度も使ったことがない『ガチャ』という機能も、そういった「ぶっ壊れ」を手に入れる為の底上げ要素なのだろう。

 

上記の事を踏まえ、俺の場合の活用法を考えてみよう。

俺の最大戦力は何だろうか。それは、催眠下にあるアリスやヤマメだ。

しかしこの便利な「催眠」というステータス異常だが、ことダンジョンの戦力としての運営においては少し厄介な性質を持つ。というより、しっかり俺の指示に従い俺の戦力としてカウントしているがーーダンジョン内では未だに「侵入者」と認識されているのだ。

これはつまり、あくまでバッドステータスの一つであり、状態異常耐性や各種対応策により弾かれるという事なのだろう。だからこそ俺は彼女らを信頼はしきれず、無理な運用は可能な限りしないよう心がける必要がある。

 

話が長くなったが、これらの要素を一つに纏める運用法がある。

捕らえた侵入者の「モンスター化」だ。

これは以前から俺が着目していた方法であり、研究室を手に入れた今だからこそ実用可能となった手段である。

利点はいくつもあるが、やはり俺の支配下となる事で他のモンスター同様に運営出来る事が大きい。

命令に絶対服従等は催眠の延長でしかないが、何より改造と強化を施せるようになるのは、単純な戦力増強でしかない。

そう、つまりレッツモンスター化といきたい訳だ。

 

とは言え、アリスや魔理沙等は替えが効かない上に外に出てもらわないといけない為、おいそれと試せるものではない。

各種族ごとにどのような変化が現れるのか、時間の経過での副作用は無いのか等、事前に確認しておくべき点は多々存在する。

そもそも単純なモンスター同士ではアリス達にしているような産卵金策が出来ない事は確認済だ。その確認用に召喚した人間種の女は、使い道が無いのでワームの産卵作業をさせている。リグルらをモンスター化して産卵不可になれば、戦力にならないし彼女の仲間入りをする羽目になるだろう。そうなるとただの損失にしかならない。

 

あと関係なく、魔法等の実験台が欲しいのもある。特に今俺が注目しているのは「呪い」という分野だ。

パルスィを見て欲しい。橋姫とは嫉妬という感情で人から鬼へと超進化を遂げた存在であり、これは出来るだけ元手なく強化をしたい俺にとっては重要すぎるサンプルだ。

伝承では神様の力を借りて成ったらしいが、それでも感情や精神の持つ力の有用性は期待出来る。彼女により強い怨みを抱かせればより強く成ってくれるのか、他の存在であっても呪いにより強くなるのか等、近々調べたいと考えている。

 

という訳で長くなったが、上記の理由からモンスター化する為に様々な種のサンプルが欲しい。

これは今後の戦力増強プランの指針になるし、出来るだけ早めに行いたい事項だ。

それもあって目立つ東方心綺楼を起こしたという側面もある。この機を逃さず、これから隙を見て射命丸等に住人を攫わせていきたい。

 

モンスターの強化、次にダンジョンの作り込み。

危機は増えたが、やれる事の幅も広がってきている。

弱小ダンジョンからの脱退を目指し、日々邁進していく所存だ。

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