※この作品はR-18です。

東方蟲蔵録   作:玉蹴り男

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第七話

色々と考えたが、リグル・ナイトバグにしよう。

 

端的に理由を言うと、雑魚くて、バカで、蟲の専門家だからだ。

前者二つは木端妖怪なら誰でもいいが、最後の一つはリグル以外には務まらない。多くの蟲を纏め上げると説明される、蛍の妖怪リグル・ナイトバグにしか。

 

リグルは永夜抄の一面ボスだ。

その後もちょくちょく出番があるが、いずれにおいても他キャラとの関わりが殆ど無かったと記憶している。二次創作ならチルノあたりとバカルテットを構成していたが、チルノと仲良いイメージのある魔理沙に聞いたところ、そんなものの話は聞いたことがないようだ。何となく妖怪にドライな印象があったし、この幻想郷は原作寄りなのかもしれない。

 

リグルはアホだ。適当にだまくらかせば魔理沙の家にホイホイ来てくれそうだし、最悪弾幕バトルでボコって連れてくればいい。

ただボコってまで妖怪を自分の家に連れていく魔理沙は、一度や二度ならまだしも、何度も繰り返せば八雲紫あたりに不審がられそうだ。

まだ秋ではあるため、誰かを拉致してくるのは最小限におさめたい。そのためただの苗床に留まらず、利用価値のあるものを選びたい。その際の映えある有力な人材が、リグル・ナイトバグという訳だ。

 

なんというか、俺のダンジョンは既に取り返しがつかないことになっていた。

部屋も無いのに、度重なる虫モンスターの獲得と売却を繰り返したおかげで、俺のダンジョン特性に「虫」が追加されていたのだ。

メリットはある。まず目安のものとして、虫類の購入費用割引と、売却費用増加だ。とはいえ切り捨ての割合変化のため、売却1DPのワーム君に変化はない。

しかし、虫類の戦力強化は非常に有難かった。しかも強化も項目として好きに変更できるらしく、早速蜘蛛あまりは繁殖力を、ワームはなけなしの耐久力を強化した。蜘蛛は繁殖ローテ一週間だし、ワームは子宮のサイズ的にそもそも繁殖力過剰だしね。

 

ちなみにデメリットは、虫類以外の購入費用2倍である。ふざけんな。

メリットに喜んでいたが、デメリットを見た瞬間頭から冷水ぶっかけられた気持ちになった。

純粋な戦力が低い搦手重視の虫達で、俺は幻想郷という魔窟を生き残っていくことになったのだ。罰ゲームかな?

 

というわけで、数多の蟲を従えるリグルさんの出番だ。ダンジョンを強化するにあたって、色々と有用なお話が聞けることだろう。あわよくば、ほかの蟲達や虫妖怪もこちらの手中に収められる可能性すらある。

 

「期待しているぞ、霧雨魔理沙よ」

「ああ、分かってるぜ」

 

魔理沙は俺への嫌悪が多少伺えつつも、自信たっぷりの様子で答えた。その手にはいつもの箒が握られていて、俺のよく知る魔理沙の姿がそこにあった。

そして俺の手には先程使い切った催眠スプレー。まあ、そういうことだ。

というか、そうか、催眠しても俺への嫌悪感は消えないのか……。

恋人にするための催眠アイテムとかあったし、まあそうだろうとは思ってたけど。

 

「よし……苗床を捕まえてこい!」

 

俺は元気よく魔理沙を送り出す。

今後の潤沢なDP資源を夢見て、期待に胸を膨らませるのであった。

 

嘘である。リグル確保は疑っていないが、今後が不安すぎて空元気を出していただけだ。

行き当たりばったりの運ゲーの繰り返し。これからこんなのばっかりだろうか。

先が思いやられるな。

 

 

◇

 

 

「捕まえてきたぜ」

「おお」

 

数時間後、魔理沙が帰ってきた。

そこには目を回しているリグルとーーもう1人、見たことない誰かも黒焦げになって目を回している。

あわよくば他のやつもと言ったが、本当に2人連れてきたのか。しかしどちらもボコられた後のようで、一悶着はあったようだ。

経緯の説明を促すと、俺に目を合わさずに魔理沙が答える。

 

「リグルを見つけたはいいけど、他の妖怪何匹かとつるんで遊んでる最中だった。だからいつも通り妖怪退治する感じで蹴散らして、一緒に逃げてたこいつも纏めて気絶させてきたぜ」

「ふむ」

「怪しまれたくないんだろ?気絶させたのを持って帰るところ以外は、普通だったと思うけど…」

「ああ、そこは大丈夫。お疲れ様。そいつらも俺が処理するから、もとの作業に戻ってくれ。……あ、待て、そこに居たのは何人かだけ教えろ」

「多分5匹だな。……ちぇっ、休ませてくれてもいいと思うんだぜ」

 

愚痴りながらも、魔理沙は研究部屋へと戻っていく。今頼んでいるのは俺が使える武器としてのマジックアイテムの製作であり、催眠して協力的になっている内に諸々の設計図や予定等を準備してもらっていた。1日じゃ実際の作成は間に合わないだろうから、催眠が解けた後でも、それを見れば彼女がサボっているのかが分かるようにするためだ。

 

まあ、今は取り敢えずリグルのことだ。

心配しすぎるかもしれないが、懸念事項があるな。

一つは「他の妖怪達と遊んでいた」という事。妖怪の習性は知らないが、人間と同じような知能があるなら、遊ぶ相手というのはそれなりに仲が良い証拠だろう。リグルにそんな奴らがいたのかーーいや、原作と二次創作しか参考にする情報が無いし、分かるわけないか。

 

何はともあれ、今やる事は変わらない。

目を回して転がる2人に昏睡スプレーを当て、まずリグルから蟲倉へーー浴室へ連れていった。

因みにだが、蟲と魔理沙の身体からありとあらゆる液体が撒き散らされるし、その場で身体が洗えるから自然と浴室になっているだけだ。

 

意識の無いリグルを床に下ろし、服を全て脱がせる。産卵のための手間の問題もあるし、今後こいつらを外へ出す場合、この服は平静を装うための重要なアイテムとなる。先程着ていた魔理沙の服と共に、洗濯機に入れておいた。

後はワームを1匹リグルの膣に潜り込ませ、ここから彼女の苗床としての人生がつつがなくスタートする。

 

で、もう1人。赤い髪の毛に赤マントの、多分妖怪だ。

なんとなく見覚えはあるようなと思いつつ、そんな彼女の身体と床の間に両腕を突っ込む。そして俗に言うお姫様抱っこで持ち上げてーー彼女の頭がコロンと床に落ち、俺は驚愕のあまり危うく身体を取り落としそうになった。

生きたまま捕獲しろって命令しなかったっけ、と思いつつ赤い短髪の頭部を観察してーー血が流れていない事に気が付いた。

首の断面を見てみると、不思議な事に皮膚が繋がっているようだ。なんだこれはと困惑して、ふと東方のとあるキャラのことを思い出す。

 

それは確か、一応ストーリーだけ把握しようと新作のプレイ動画を眺めていた中で、印象に残った変なキャラ。

そいつは自分の首を飛ばして、あまつさえ増殖すらしていたやつ。それも確か赤い髪だったようなーーこいつがそれか。

 

「……なんか雑魚妖怪達が、徒党を組んで下剋上するストーリーだった気がする」

 

なんだっけ、草の根ネットワークみたいな変な単語も見た記憶がある。

この首妖怪がそのキャラだとすると、これは少しまずいか。

なんせ一つの異変を起こした集団の、一面を飾った妖怪だ。

もともと雑魚妖怪だったことから、魔理沙が蹴散らした妖怪達がそれだという可能性は充分ある。名無しキャラならいいが、名ありキャラだとすると、チートみたいな大物妖怪との繋がりがある可能性は拭いきれない。

うーん……1人増えて嬉しかったけど、厄ネタになるかもしれないな。

今後の地雷ポイントになるかもしれないし、うろ覚えでも東方原作の知識を思い出しておこう。

 

いそいそと服を脱がせて蟲を侵入させながら、新たな懸念事項に溜め息をついた。

まあ、何はともあれ金策ゲットだ。今はそれを喜ぶべきである。

充分こいつらの体力を奪ったら、後は意識を戻して話を聞く事にしよう。

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