妖怪というのは人間より種族としての位が高い。
ダンジョン外で昏睡させたため撃退報酬は得られなかったが、仮に得た場合はそれぞれ100DPだったらしい。
魔理沙は火力と速さだけなら幻想郷でも屈指の実力者のはずだが、それでも人間であるため80DPだった。その事を考えると、種族差というのがいかに大きいのかが分かる。
それは、苗床としての性能に大きな影響を及ぼしていた。
リグルと、首妖怪こと赤蛮奇は、どちらも魔理沙より背が小さい。
即ち子宮のサイズも小さいということだが、ワームの産卵に耐えられる限界量は魔理沙より多かった。ざっと魔理沙の1.5倍程度は産卵させても溢れてこず、限界に達した時は外部からお腹の膨らみが確認出来る程だ。
その結果ほぼ途絶える事なく孵化が続く事となり、魔理沙はそんな2人の姿を見て顔色を悪くしていた。
因みにだが、リグル拉致を行う前。魔理沙を催眠する前に、わざわざ素面の彼女に計画を全て説明して、冷静な頭で協力に同意させていた。
勿論触手ワームを近くに呼んで、断った場合の末路を頭にちらつかせてはいたし、彼女からすると実質選択肢は無かっただろう。
だが、妖怪に対してのドライな価値観、苗床となる者が増えれば魔理沙の負担が減る事、これらが彼女が合意する上で作用しなかったかと言うと、それはない筈だ。何度かそれを俺自ら言及したし、その上で魔理沙は協力を約束した。
そして判断が遅かったという理由で、罰として蜘蛛に口から卵を産み付けさせて、催眠スプレーをかけた。
そうした経緯を経て、このリグルと赤蛮奇の現状である。
サブ主人公として人間の味方をする霧雨魔理沙が、彼女の善性が、そこから罪悪感を覚えないことは考えられない。
俺がこの所業の原因とは分かっていても、優れた頭脳を持つ彼女は自分の頭で2人の妖怪を地獄に落とすことのメリットを計算し、そして実際に自分の言葉で同意をしてしまった。
しかも悩んでしまったことで、今までのワームとは異なり、蜘蛛による罰を下された。まあ一度産卵させた個体だから殆ど卵は出ていなかったが、精液だけでも魔理沙からすると苦しい筈だ。意識があるまま口からデカい蜘蛛に性器を突っ込まれ、卵混じりの液体を流し込まれるのは相当な恐怖だろう。
この罪悪感と恐怖のセットは、今後魔理沙に湧き上がる反抗心への楔となると期待している。
効果が無いかもしれないが、やれる事はやっておきたい。
そういえば今更だが、魔理沙を脅す為の材料として呼んだ触手ワームに、人間に対しての生殖能力などない。
こいつはただ潜伏して触手から出る神経毒を相手に喰らわせるという、それだけのモンスターだ。
ほぼ隠密と毒に特化していて機動力や破壊力がなく、動かない相手に使うならDPの割に性能が良い。色々使い道がありそうだと目をつけていた為、今回魔理沙への脅しと鎮圧用に抜擢した形となる。
閑話休題。
ダンジョン運営の話だ。
優れた母体のお陰で、日当たりのDP獲得量は跳ね上がった。
ワーム単体でも1人当たり約650DP。理論値だと900DPだが、日中はあまり魔理沙から離れられないため多少なり効率が下がる。しかしそれでも2人で1300DPであり、今までの魔理沙単体300DPに比べると桁が変わる。
魔理沙をより働かせるため彼女の日中の種付け回数は落としたが、トータルで1日に1500DPだ。
いやあ、素晴らしい。
繁殖力を強化した蜘蛛も重要な資金源だ。
そしてこれは、特に赤蛮奇と相性が良かった。
この首妖怪は頭を増やせる。つまり、蜘蛛が産み付けられる場所が純粋に増えるというわけだ。
それに気が付いた俺は、意識を取り戻した赤蛮奇に指示して最大まで首を増殖させ、その全てに蜘蛛の卵を産み付けさせた。
その数10首。体力が相当落ちていたこともあり、本来ならもっと増やせていたのかもしれない。
まあ入れられるのは口の中だけだし、蜘蛛に関して赤蛮奇がもう1人増えたと考えればいい程度だ。
因みに滅茶苦茶吐き出そうとするので、にとり印のテープを口に貼っておいた。これで赤蛮奇は常に凄まじい嘔吐感を覚えることになり、副次的な効果として彼女の無力化が成功した。本体は口を塞いでいないので、時々咄嗟に口を手で押さえたり、唾液だけ吐き出したりしている。
もし吐いて食道に定着していた卵を吐き戻したりしたら、それを再び飲み込ませてから新たに蜘蛛に精液だけ注ぎ込ませることにしているので、必死に我慢している。それでも一度だけ耐えきれず吐いていたので、よっぽど辛いんだろう。
時々頭の様子を見に行くと場所が変わっているし、もしかすると見てないところでは暴れてるのかもしれない。俺の前では表情くらいしか動かせていないが、ビビってるんだろうか。
蜘蛛による収益の話に戻そう。
繁殖力の強化は卵の孵化までの期間を短縮するらしく、魔理沙に産み付けて5日後に孵化した。出てきたのは約50匹だったが、次からはもう少し増えると期待出来る。今回は1人あたりに産み付けられる限界量を調べるために、全てDPに変換せず、ダンジョンの部屋に押し込めるだけ押し込んでおいた。
レアリティの高い触手ワームもいるため、蜘蛛は残り10匹程で部屋のモンスター設置上限に引っかかり、残りは魔理沙の家の物置にでも入れた。因みに度々産卵のために蜘蛛を回収しに行くが、そのたびに糸が増えていて邪魔くさい。
そして結論だが、蜘蛛からは合計して平均日当たり800DPほど入手できる見積となった。
これは勿論、妖怪2人のみでの限界量を計算し、産卵用の個体を別に確保した上でのDP変換量だ。
つまりワームと蜘蛛全て合算して、1日のDP獲得量は2300DPとなる。
素晴らしい。
だがこれは、俺がダンジョン外で絶えず作業をするからこその数値だ。
孵化したベビーが潰し合わないように籠で受け止め、20分おきに1匹ずつ膣に入れて産卵させて。今は3人だからどうにかなるが、これ以上は手が足りない。
そして俺がボス部屋に引っ込んだ後は、全て蟲達にさせるがままとなってしまう。そうなると効率は地の底だ。
以前概算したように、魔理沙だとワームから得られるのは多くても1日200DP程度。限界値の高い妖怪2人は、孵化時の膣の拡大面積も広いため潰し合う量が減ることを考え、最高なら400DPくらいになるかもしれない。しかし俺が引っ込むなら魔理沙は普通に過ごさせる必要があるため、稼働出来るのは妖怪2人だけだ。1日に期待出来るのは600〜700DPくらいになるだろうか。同様に蜘蛛を考えると、概算250〜350DP程度。
一週間持続の催眠薬は1500DPであることを考えると、平均した日当たりの獲得DPは700DP程と考えるべきだ。
しかも、そうするとリグルの虫に関する知識を当てに出来ない。
さて、兎に角これで現状の整理は済んだと言っていいだろう。
ここからは、どこまで1日2300DPでの金策を粘り、いつからダンジョンの本格的な作成に着手するかのチキンレースだ。
ああ、頭が破裂しそう。