※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

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コメントくれ(いつもの)

親友、救います!



第12話

「一応名乗っておきましょう。

 私はユーベルーナ。

 ライザーさまの『女王』です」

 

「そうかい」

 

 俺は『燃える三眼』を

 砲塔から鎌へと変化させた。

 魔法使いと遠距離で戦うのは

 明らかに不利だものな。

 しかし、

「それは悪手よ、坊や」

 ユーベルーナと名乗った女が

 そう言うと同時に、

 俺の背後で凄まじい魔力が

 膨れ上がった。

 

「……ッ!」

 

 振り返るとそこには

 巨大な魔法陣が展開されていた。

「!?」

 そうかあの女も、

 木場や小猫ちゃんと

 同じく罠を……!? 

 

「『支配者の機雷』

(クエスター・マイン)」

 

 ドゴォオオオン! 

 

 ユーベルーナの言葉と

 持っていた杖が淡く光るや

 俺の背後で大爆発が起こり、

 その衝撃に

 俺は吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐあぁあああっ!!」

 

 そのまま地面をバウンドしながら

 近くの林の中まで転げ回る。

 くっ……

 背中が痛ぇ……。

 焼けるように熱い……。

 

「妙ですわね……。

 はぐれ悪魔くずれと

 聞いておりましたのに……。

 背中に羽根がない?」

「ぐ……」

 

 全身が痛む中、

 どうにか身体を起こす。

 それにしても、

 まさかこんなところで

『女王』の攻撃を受けるなんてな。

 だがコイツを倒せば

 否が応でも皆が俺を

 認めざるを得ないだろう。

 ならばここでリタイアなんて

 してたまるか。

 そう思いながら立ち上がり

 ユーベルーナを見ると、

 奴はこちらを見ながら

 何事かを呟いていた。

 

「…………おかしいですわね? 

 ……どうにも先程から

 様子が変だと

 思っていましたが……。

 貴方からは悪魔の気配がしない……。

 かと言って天使でも堕天使でもない。

 一体どういうことですの……?」

「……」

 

 まあ確かに今の俺は天使でもなければ

 悪魔でもない。

 転生したてほやほやだからな。

 そんなことを考えているうちに

 俺の周りに無数の魔法陣が現れた。

 

「さっきのなんたらマインって

 技か……!? こいつは拙い!」

 慌ててその場から離れようとするが、

「無駄ですわよ」

 

 ズガァアアン!! 

 

 ユーベルーナの一言と共に

 展開された魔法陣が一斉に爆破した。

 周りには土煙がたちこめて

 俺の姿は向こうには見えない。

 

 俺は『轟』の歩法を応用した

 ハイジャンプでこれを回避。

 そのまま唐竹割の要領で

 ユーベルーナに迫る! 

 

「貰ったァ!!」

「奇襲というものはもっと

 静かにするものよ、坊や」

「ッ!?」

 

 気づかれていたのか! 

 だが相手は『女王』とは言え

 女で更に魔導師だ! 

 こっちの全力を弾ける手段はねえ! 

 

「嫌だこと……。

 そちらに都合の良い妄想を

 押し付ける坊やというものは」

 

 ユーベルーナの周囲に

 魔力が集中していく。

 この感じ……ヤバそうだ! 

 だがもう遅い! 

 このまま斬撃をぶち込んでやる! 

 

「いい加減にしなさいな。

 ライザー様と私の可愛い駒達を

 たくさん可愛がってくれたようですし、

 私も少しだけ本気を出しますわよ」

 

 ユーベルーナの杖を中心に

 凄まじい魔力が渦巻いている! 

 なんだあれは!? 

 まるで周囲の空間ごと圧縮しているようだ! 

 

「喰らいなさい、『支配者の戦槌』

(クエスター・ストライク)!!」

 

 ユーベルーナの叫びとともに

 杖の先端にあった球状の宝玉が輝きを増し、

 次の瞬間……

 

「ッッ!!?」

 

 俺の目の前に

 巨大なハンマーが現れていた。

 しかもそれはただのハンマーではなく、

 焔でできた巨人が持つような

 巨大ハンマーだったのだ。

 そしてその巨大なハンマーは

 まるでハエ叩きの様に

 無慈悲に振り下ろされた。

 避けられない……! 当たる! 

 

「ぐぁあああっ!!」

 俺は咄嵯の判断で防御をするが、

 あまりの威力に触手製の鎌は

 砕け散り

 俺もトラックに撥ね飛ばされた

 小石の様に吹き飛ばされる。

「うぐっ……!」

 地面を転がりながらもどうにか体勢を立て直す。

 背中をやられたのか!? 

 うまく立てない……。

 

「立ちなさい。

 この程度でリタイアなんて

 許さなくてよ」

 ユーベルーナの声が聞こえる。

 

 くそ……! ふざけんな……! 

 こちとら

 まだ負けちゃいねぇんだぞ……! 

 

「……あぁあああっ!!」

 

 激痛を堪えながら立ち上がる。

 既に背中の傷口からは血が流れ出している。

「フフ……なかなか頑丈ですわね。

 でも……いつまで持ちますかしら?」

 ユーベルーナが再び攻撃の準備を始めた。

 今度はさっきのどデカいハンマーじゃない。

 小さな魔法陣を複数展開させている。

「吹き飛びなさい。

『支配者の猟犬』

(クエスター・ハウンド)!」

 放たれたのは焔の塊だ。

 だが大きさがハンパじゃねえ! 

 あんなもんくらったらひとたまりもないだろう。

 だが、そんなことは関係ない。

 

「こんなものォオオオオッ!!」

 

 俺は両手を突き出して

 その炎の塊を受け止める! 

 

「ぐっ……おぉおおおっ!!」

「ほう……。

 あの状態から耐えましたか……。

 これは少々予想外でしたわね……。

 ですが、これで

 王手と言った所ですわね、フフ」

 

 ユーベルーナは火球を当然の

 様に連発し、

 俺は焔に飲み込まれて

 大地に斃れた。

 全身から煙を上げながら倒れる俺を見て

 ユーベルーナは笑う。

 

「ハァ……。

 これで終わりですか……。

 まあ一応はミラを倒したのですから

 虫けらにしては

 上出来と言っておきましょう。

 それではごきげんよう」

 

 そう言い残してユーベルーナは

 俺のもとを離れていった。

 俺は薄れゆく意識の中で考える。

 

「(畜生……俺はここまでなのか? 

 せっかく転生したってのに……

 俺はまた……何もできずに終わるのか……?)」

 

 そんなことを思いながらゆっくりと目を閉じかける。

 

『ふひ、ふひひ、またまけた

 またまけた』

『なんでだまっているの?』

『お前は無力だ』

『お前は世界から弾き出されたんだ、弱いからな!』

『だから誰も守れない。

 誰にも必要とされない。

 誰からも愛されない』

 

 うるせえ……

 

『ふひ、ふひひひ

 それがげんじつ、ふひひひ』

『結局、どの世界でも

 お前は大切なものを

 守ることなんかできないんだよ』

『あははは、ばーかばーか』

『いなくなれ』

『消え去れ』

『ふひ、ふひひひ、きえてしまえ』

『しねしねしね』

『ころせころせころせ』

『けせけせけせ』

 

 

 俺を……オレヲバカニスルナ

 

 あのナニカが俺を囲んでいく。

 ああ、月がツキが

 

 あんナに模キれ異だ

 

 ー

 

 一方場所は代わり

 ソーナ、椿姫、

 そしてニグラのいる中継所。

 

「何故です、リアス……。

 何故九頭竜安里をリタイア

 させないのですか?」

 

 確かに駒の一つを犠牲にして

 戦術的な目的を果たす

『犠牲』という

 レーティングゲームでの戦法は

 存在する。

 だがそんな冷酷残忍な戦法を

 あの眷属に対して情の深い

 リアスが実行するとは

 思えなかった。

 

「貴方の差金ですか。

 ニグラ・サセコヴィッチ」

 

 傍らの保険医を軽く睨む様な視線を

 向けてソーナは質問、というより

 尋問する調子で尋ねる。

 正直ソーナはこのニグラという

 保険医に

 良い感情は持っていなかった。

 服装はまあ

 自由を重んじる校風とは言え

 山羊角を隠す事なく顕現させている上に

 露出も激しい。

 更には胸元を大きく開けた白衣など、

 明らかに男を誘っているとしか思えない

 格好をしているし、

 実際に男女訪わず

 誘っているからだ。

 生徒は言うに及ばず、

 教師や用務員、果ては理事長まで

 篭絡した今の彼女は

 学園内の支配者とも言えよう。

 挙句の果てには匙まで誘惑する

 始末。

 辛うじて堪えた様なので

 尻叩き100回で許したが

 それはともかく。

 

「うふふ。

 酷い言われようですね。

 私はただ……

【副王】様に頼まれて仕方なく……」

「……! やはり貴女が……!」

「怖い顔しないで下さいな。

 私だって好きでこんな事を

 しているわけではありませんよ。

 可愛い安里ちゃんがあんな風に

 痛めつけられるなんて……」

 

 その表情は確かに口先ばかりの

 ものではなく、

 悲壮感漂うものだった。

 だからこそ歪で、かつ悍ましい。

 

「……わかりました。

 ですが我々としては

 これ以上は看過できません。

 グレイフィア様に打診し、

 今すぐリタイアの判定を……」

 

 言いかけた時に中継ポイントの

 観客がざわめきだした。

 

「な、何だアレはっ!?」

「三頭の龍!? 冥界でも

 多頭龍の存在はごく僅かの筈……!?」

「あ、あばばばば、いあ、

 いあいあ……ははははは」

 

 何事か、と思い画面を見ると

 安里のいた場所に常軌を

 逸した存在が移っていた。

 

「な、何ですかアレは……!」

「あああ……、つ、冷たい……

 寒いぃぃ……」

「椿姫! 大丈夫ですか! 

 しっかり!!」

 

 顔面蒼白で震える彼女を

 抱きしめつつソーナは

 ニグラに視線を戻す。

 

「……やったわね安里ちゃん。

『月に吠えるもの』の顕現よ」

 

 ニグラはそう言って微笑んだ。

 その笑みはまるで新しい玩具を

 与えられた子供のようで、

 同時に得体の知れない恐怖を感じさせるものだった。

 

 安里だったものの周りでは

 氷が砕け散り、風が吹きすさび、

 大地が腐る。

 その姿はまさに異形と呼ぶに

 相応しいものだ。

 

「これは一体……?」

「あれこそが

『月』の『力』の一端。

 月は太陽と共に空に浮かぶ

 衛星である事は知っているね。

 そして太陽の光を受けて

 夜闇を照らす。

 つまり『陽』と『陰』。

 相反する二つの性質を内包する。

 とはいえ過剰な陰は太陽の光すら

 飲み込んでしまう。

 今の彼は『陰』の力の化身なんだ。

 月の裏にて玉座に在る

『秘密の皇帝』。

 そうなんだろう、ゲイト君?」

 

 言葉を失いかけたグレイフィアの

 側に現れたのは現魔王にして

 彼女の夫である

 サーゼクス・ルシファー。

 まるで講義をする教授の様に

 解説をしながら現れた。

 

「そういう事になるね。

 けれど彼らは未だ

【九頭竜天君】には至らず」

「くずりゅうてんくん……?」

 

 グレイフィアは首をひねった。

 その様な文献には人間界、

 冥界、天界。

 果ては地獄においても

 その様な存在は記されてもいないし

 語られてもいないのだ。

 

「……! これは一体……!」

 

 ユーベルーナは安里の

 異形への変貌に驚愕していた。

 だが、同時に理解もした。

 これがライザー様を襲う前に

 殺さねばならない、と。

 

『くとるるるるるる』

 

 それが発したのは

 声と音の狭間の振動。

 獣でもなく、虫でもなく、

 天使でもなく、悪魔でも、

 龍でもない。その正体は不明。

 不明とは恐怖だ。未知なるモノに

 人も悪魔も本能的な恐怖を覚える。

 故に、それは音というより最早

 衝撃波として周囲に広がった。

 

「ぐぅッ……!」

 

 咄嵯の判断により防御魔法を展開したユーベルーナ。

 しかし、その衝撃は

 彼女ごと周囲の全てを

 薙ぎ払った。

 

「くっ、はぁ、はぁ……」

 

 何とか意識を保つ事が出来た

 ユーベルーナだったが、

 全身の骨が軋むように痛み、

 呼吸すらままならない程に疲弊し、

 視界が霞んでいく。

 

「ぐうっ……ライザー様……

 お許し下さい……!」

 

 ユーベルーナは主への

 謝罪と共にフェニックスの涙を

 呑んだ。

 傷口は癒え、魔力は満ちる。

 しかし状況は依然として最悪。

 何かはまるで霧の様に

 かき消えていた。

 

「……ライザー様が危ない!」

 

 ユーベルーナは

 主人の危機を救うべく、

 急いでその場を離れた。

 

 ー

 

「さて、リアス。

 そろそろ投了してくれないか?」

「お断りよ。

 貴方が想像していたよりも

 紳士なのはこのゲームで

 理解したけれどそれとこれとは

 話が別だわ」

「強情だな。

 君の眷属達は既に戦闘不能。

 仮にリタイアしていなくてもまともに動けまい。

 それに、だ」

 ライザーが指差した先には一誠が

 膝をついていた。

「この通りあの

 下僕クンのダメージは深刻だ。

 今すぐ治療しないと命に関わるぞ? 

 それとも……ここで死ぬか?」

「…………」

「無論、

 俺としては君をこれ以上

 辱めるつもりもない。

 だから降参して欲しい。

 これ以上続けるのなら、

 俺は彼を殺すしかなくなる。

 ……これは最終警告だ」

 

 リアスの顔色が変わった。

「や、やめなさい! 

 イッセー……! 

 彼は関係ないでしょう!」

「無関係ではないよ。

 君は彼を眷属としてではなく

 一人の男性として愛し始めている。

 そうだろう?」

「なっ……!?」

 

 リアスは流石に動揺した。

 自分の秘中の秘をあっさり

 看破されたからだ。

 

「同病相憐れむ……。

 と言えばユーベルーナや

 あの下僕クンには悪いが

 俺にもその位の事は解る。

 ここからはオフレコで構わんが、

 籍だけ入れて後継者が生まれたら

 後はお互い好きにやる……。

 君がそうしたいというなら

 それでもいいさ」

 

 ライザーの口調は穏やかだった。

 心からリアスを想っている。

 そんな印象を受ける程に。

 

「ぶ……部長……!」

「イッセー!」

 一誠はよろめきながら

 立ち上がり、拳を構える。

 しかし足取りは覚束ず、

 フラついていては

 満足に立つ事すら難しい。

 それを見たアーシアは

 回復の術式を展開。

 一誠の体力を回復させる。

「悪いな、アーシア……」

「いいえ、イッセーが

 いなくなったら……私……」

「……アーシア」

 二人は見つめ合い、そして頷く。

 

 それを見たリアスの表情が曇る。

(あの子はアーシアで、

 私の事は部長と呼ぶのね……)

 

「……そう。わかったわ。

 でも私は最後まで諦めない! 

 最後の一人になっても戦う! 

 それがグレモリー家の

 次期当主である

 私が背負うべき責任なのだもの!」

「そういう勇気は匹夫の勇。

 リアス、何故チェスにおいて

 王が最強ではないか知っているか? 

 王とは最後の一人になる前に

 配下と共に手段を尽くして

 勝つものだからだ!」

 

 ライザーが叫ぶと同時に炎の翼を広げ、

 上空へと飛び上がる。

 そして、

 

「フェニックスの業火! 

 羽ばたけ、不死鳥の翼よ!!」

 

 両手に宿った紅蓮の炎を思い切り振り下ろす。

 それは巨大な火の玉となって

 リアスに向かっていった。

 だが、その刹那。

 

 きゅおん……。

 

 空間が歪み、火の玉が消失した。

 

「何者……いや、何だアレは!? 

 あれがネフレン・カ・マンモンの

 言っていた預言の存在なのか!?」

 

 現れたのは安里であったもの。

 この世の理から外れたそれは

 この世の理による制約を受けない

 様だ。

 

「あ、あれは……一体……」

 ライザーは驚愕し、

 リアスは呆然と呟いた。

「……!」

「ライザー様! ご無事ですか!」

 ユーベルーナが駆け付ける。

「おお、ユーベルーナ。

 無事だったか……!」

「息災を喜ぶのは後で……! 

 まずはあの異形を始末します!」

「ああ、そうだな!」

 ライザーとユーベルーナは

 得体の知れぬ何かに向けて同時に攻撃魔法を放つ。

 

「喰らえ!」

「はぁッ!」

 

 二つの閃光が交差する。

 しかし、

 

『くとるるるるる』

「何だと!?」

「馬鹿な!」

 

 支配の戦鎚も不死鳥の翼も

 所詮この世の理において

 可視化されているものだ。

 しかし、それを嘲笑うかの様に

 ソレは二人の攻撃をすり抜け、

 そして3頭の首とも触手とも

 つかぬものが光った。

 放たれたのは刃ではなく空間の断裂。

「ぐっ……!」

 

 ライザーはとっさの機転で

 ユーベルーナを翼に包んで飛ばす事で避難させ、

 断裂の直撃を受けた。

 

「が……は……!?」

 

 ライザーの意識が消失しかけた。

 彼の身体は二つに分かたれ、

 片方は発火と共にかき消えた。

 

(ず……頭痛がする……! 

 は、吐き気もだ……! 

 バカな……! 

 このライザー・フェニックスが

 敵を前に立つことが出来ないだとッ!?)

 

「ライザー!」

 

 先まで殺し合いを

 していたというのにリアスは

 叫んだ。

 

(何ということだ。

 ゲームの勝敗よりも先に

 俺の身を案じてくれるとはな……

 リアス・グレモリー……!)

 

 ライザーは己の不甲斐なさに

 歯噛みすると自身の力で

 下半身を復元させた。

 

 ー

 

「部長! 大丈夫ですか!?」

 

 一誠はリアスが倒れている

 場所に辿り着くと彼女を

 庇い立てる様に前に出た。

「イッセー、

 貴方は下がってなさい。

 今の私には魔力が無いのよ……」

「そんな事言ってる場合じゃないでしょう! 

 ……それに、俺だってまだやれます!」

「いいえ、もういいの。

 ゲームは私の負けよ。

 あの怪物にはこの場にいる

 誰も勝てない。

 だから……

 これ以上は誰も傷付けさせないわ」

「部長!」

「イッセー、私はね。

 自分の夢の為に、皆の夢を踏みにじってきた。

 お父様の期待に応えられない自分が嫌だったから。……でも、それも今日で終わる」

「何言ってるんですか……! 

 勝手に結論を出して

 勝手に諦めるなよ!」

「イッセー……?」

 

 諦めかけるリアスにイッセーは叫んだ。

 まるで龍の咆哮の様であった。

 

「俺はこんな所で皆との生活を終わりたくない! 

 部長……リアスが好きだからだ! 

 部長と一緒に居たいからだ! 

 部長の選択は

 間違ってたかもしれない! 

 でも、それが間違いだなんて誰にも言わせない! 

 部長が自分を否定するなら、

 そんな部長ごと愛してやる! 

 部長の、リアスの

 全部を受け入れてみせる! 

 それが、

 俺の……ハーレム王としての

 生き方だあー!!!」

「イッセー……」

 ライザーの言葉が脳裏に蘇る。

 

(リアス、何故チェスにおいて

 王が最強ではないか知っているか? 

 王とは最後の一人になる前に

 配下と共に手段を尽くして

 勝つものだからだ!)

 

「ふ、ふふ……。

 そうね。そうよね。

 ……ありがとう、イッセー。

 私はまるで

 なっていない王だったわ……! 

 そんな私でも信じて……

 付いてきてくれる?」

「当然です!」

「勿論です!」

 

 イッセーとアーシアは

 真っ直ぐに自分を見据えて

 答える。

 

「あらあら……私達も

 忘れてもらっては困りますわ」

「そうですよ部長。

 僕たちは貴方の駒です」

「生きるも死ぬも一緒……です」

 

 服のあちこちが破れているものの

 朱乃、小猫、木場の三人は

 しっかりとした足取りで

 リアスやイッセーを守る様に

 取り囲む。

「木場! 朱乃さん! 小猫ちゃん! 

 皆無事だったのか!?」

「ほーっほっほっほ! 

 当たり前ですわ! 

 私の隠しておいたフェニックスの

 涙を大盤振る舞い致しましたの! 

 さあ、リアス様もこちらを!」

 

 と、レイヴェルが得意気に言うと、

 小猫がコクリと首肯する。

 どうやら、

 事前に彼女が隠し持っていた

 フェニックスの涙を飲んだらしい。

 

「けど、これで僕達は実質

 反則負けになってしまった……」

「それはそれ! これはこれ! 

 今はアレを何とかする事を

 考えようぜ!」

「ええ、その通りよ」

「はい!」

「はい……!」

 リアス達6人は改めて敵を見る。

 そこには空間の裂け目があり、

 そこから得体の知れぬものが

 またも這い出てくる。

『くとるるる……』

 3つの顔がこちらを向くと

 それぞれ口を開く。

 そして空間が震えると、

 そこから光の奔流が放たれた。

「うおっ!?」

「きゃっ!?」

「ぐっ!?」

「ああっ!?」

「あうぅ!?」

 光の波動が6人を呑み込み、

 そして爆発が起きる。

「うおっ……!? 

 な、何だ今のは……!?」

『俺達でいうブレスの様なものだ

 奴にとっては虫けらが自分に

 挑んできた事に対しての

 溜息と変わらんがな』

 

 瓦礫から何とか起き上がった

 イッセーの耳元に聞いたことが

 あるような渋い声が聞こえた。

 

「え……!?」

 

 イッセーは周囲を見渡すが、

 視界に映るのは蹌踉めきつつ起き上がる

 リアス達と壊れた壁だけ。

 

「な、何だよコレ……!」

『お前の左腕の籠手だ。

 俺の名はドライグ。

 お前の相棒さ』

「俺の、左腕の籠手が喋ってるのか!? 

 つーか一体どういうことなんだ!?」

『説明は後回しだ。

 それよりもまずは

 目の前の脅威を退ける事が先決だろう?』

「そ、そうだ! 部長達が危ない! 

早く行かないと!」

「おっとォ、いいんですかぁ

 イッセーくぅん?」

 

 後ろから急にナイアが抱きつき、

 というより這い寄ってきた。

 むにゅり、と柔らかな胸の

 感触と蜂蜜酒の様な香りが

 鼻と背中を刺激した。

「ちょ、やめてくださいよ! 

 今はそれどころじゃ……」

「何言ってるのよぉ。

 アナタがあの怪物を倒すのよ? 

 だってぇ、

 その為の力が有るんでしょ?

貴方もチヤホヤされてハーレム王に

なりたいでしょう?」

「……ッ!」

 

 違う。違う! 

 さっきのドラゴンではない

 自分の意志が

 ナイアの甘い囁きを拒む。

 あの怪物を殺す事は正解ではない。

 だから……だから……! 

 

「俺は……部長達の所へ行きます!」

「あら、残念ねぇ。

 でも、それでこそイッセーくん。

 さあ、行ってらっしゃい」

「ありがとうございます! 

それじゃ、行って来ます!」

 

 イッセーはそう言うと、

 リアスのところへと

 走って向かっていく。

 

「走って向かっていくとは

 なんとも若いですねェ」

 

 イッセーを見送る

 ナイアの顔はまるで

 サーカスの道化を嗤う観客の

 様であった。




どうやって倒すねん。
狂気を呑み込むのはより強い狂気

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

  • 早い方がいい
  • 遅いけど長いほうがいい
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