「は? 行くわけねーでしょそんな怪しいマッサージ屋なんかに? バカなんですか? いや、聞くまでもなくバカでしたね」
ニグラ邸のリビングで事のあらましを聞いたナイアは安里を見下げ果てた表情で睨みつけながら罵った。
女性を手籠にして篭絡するというそんな所に誰が行こうというのか。言われてみれば全くその通りである。
「いや、けどな……。そういう所だからこそ快楽に堕ちない上に文字通りに人を食ったお前だから囮も勤まるんじゃないか……って話をだな」
「はあ〜? テメーの愛しいルイーナちゃんがこれを知ったらどう思いますかねえ? サイテー! 幻滅! もう安里なんて知らない! って言われますよきっと。
いや、言わなきゃそういう方向に持って行きますよ? 私は」
食い下がる安里にナイアは躊躇いなく切り札を放つ。ニヤリと不敵に笑いながら髪をかきあげる仕草はある意味で絵になる程だ。
「……うっ……そ、それは……」
確かに今の状態でルイーナがこの話を聞けばどうなるか想像するのは容易い事だった。
『そんな危ない所にナイアさんを連れて行くだなんてダメ! 私が行く!』
と拳を固めて決意する彼女の姿が目に浮かぶようだ。それで万一の事があったら安里にとって死ぬより辛い。
「つーか……こういう色事はニグラの方が適任でしょー? セックスのために生まれてきた生粋のエリートビッチなんですからアイツ」
「お前な、仮にもゲイトさんの部下同士なんだから……そんな事はっきり言うなよ」
あまりにも口さがないナイアの暴言に流石の安里も呆れ顔になって思わずツッコミを入れたのだった。そんなやり取りの最中、突如として扉が開かれる。ノックもなく突然の出来事だったため安里はビクリと身体を跳ねさせた。
「話はイッセーちゃんとトゥーから聞かせて貰ったわよ安里ちゃん♪」
「お、生粋の雌犬だけあって鼻が利きますねぇ」
「……やはりこの唾棄すべき土塊は焼却すべきではありませんかニグラ様」
顔を合わせるや否やこの有様。
悪の組織ばりに険悪な空気に安里はたまらず仲裁に入る。
「おいおい……よせよ」
「な〜にがおいおい、止せよですか?
オメーがこんなトラブルを持ち込んでこなけりゃ良かったんですよ?」
そう言われると安里は一言もない。ぐうの音も出ないとは正にこの事だ。しかしそんな安里に助け舟を出すかのようにニグラは彼の肩をポンと叩く。
「まあまあ安里ちゃん。 貴方にも協力して貰うことになるからそんなに気後れする必要はないわよ?」
顔を覗き込んでくるニグラの瞳は妖しく光り、その雪のように白い肌からは淫気がこれでもかとばかりに振りまかれている。安里はゴクリ、と生唾飲み込んだ。
(ヤバいぞこれは……!)
彼の直感がそう告げていた。今目の前にいる女性は紛れもなく淫魔だと。そしてそんな彼の様子を愉快そうに眺めながらニグラは言葉を続ける。
「細かい打ち合わせは地下の方で……ね♥」
顎にニグラの手が伸び優しく撫でられる。
ただそれだけの事だというのに安里の心はどうしようもなく高揚し、身体が熱く火照り始める。
「あ、ああ……!」
「ふふ、可愛い子♪ それじゃあ行きましょっか♡」
まるで夢遊病者のようにふらふらとした足取りで安里はニグラに連れられていく。その様子を見送りながらナイアはニヤニヤと嗤う。
「おーおー、すっかり骨抜きになっちゃってまあ。ご愁傷さまですこと」
そんな皮肉すら今の安里には届いていなかった。
ー
「じゃあ……早速始めましょ♥」
地下室に辿り着くなりニグラはドレスをしゅるり、と蛇が脱皮するかの様に、あるいは蝶が蛹から羽化するかの如く脱ぎ捨てていく。あっという間に全裸になった彼女を見て安里は思わず息を呑んだ。
豊満で美しい曲線を描く身体つきをしているというのに、それでいて無駄な肉は一切ついていないという矛盾に満ちた肉体美を前にすると自然と鼓動が激しくなる。
男を魅了し、狂わせる事に特化した魔性の機能美を極めた肢体。しかもそれが自分の上司であるという事実もまた彼を昂ぶらせる要因の一つであった。
「そう言えば安里ちゃんとセックスするのはいつ以来だったかしら? 色んな女の子とエッチ三昧だから忘れちゃった? その経験を踏まえて今日はたっぷりと私を可愛がって頂戴ね……♡」
「か、可愛がる、ですか……」
そう言いながら彼女はゆっくりと近づいてくるとそのしなやかな指先をそっと胸板に触れさせる。それだけでぞくりとした快感が込み上げてくるようだった。そのまま滑るように指先は下へと降りていき、やがて股間部分に到達するとズボン越しにペニスを撫で回すようにまさぐり始めたのだ。その瞬間、ゾワッとした感覚が全身を駆け巡り思わず腰が引けてしまう程だ。
だがそれでも構わずに執拗に愛撫を続られ続けるうちに次第にそこは熱を帯びていき硬くなっていくのが分かった。それと同時に下腹部の奥深くにある器官が疼き始めるような感覚を覚えるようになり更なる刺激を求めて自ら腰を突き出してしまうようになっていたのである。その様子を見たニグラは小さく笑みを浮かべると耳元で囁くようにして言った。
「あら? ごめんなさいね♥ 今日は安里ちゃんに可愛がってもらうつもりだったのにこれじゃこの間と変わり無かったわね、うふふ♥」
蠱惑的な笑みを浮かべて安里から離れ、ベッドにグラビアアイドルばりの寝釈迦ポーズを取る。乳房の膨らみ、腰のくびれ、尻の丸みが強調され安里の視線を釘付けにした。連動して五寸釘ばりに彼のペニスも硬度を増し、仰角を上げていく。
「あらあら……もう準備万端みたいね……♥ そんな所にボーッと立っていないで早くいらっしゃいな♥ 寂しいわ……」
その言葉を聞いた瞬間、弾かれた様に動き出した彼はベッドに乗り上がると同時に覆い被さるようにして彼女の唇を奪った。情熱的に舌を絡ませ合い唾液を交換し合うような濃厚な接吻を交わしつつ互いの手は相手の身体を弄っていく。最初は首筋や鎖骨周りといった箇所から始まり徐々に下へ下がっていったのだがその手は次第に胸元へ伸びて行き遂にはその大きな二つの果実に触れるに至った。柔らかな感触を楽しむかのようにじっくり揉みほぐながらも亀頭でニグラの屹立したクリトリスを撫でるようにして擦り上げる。
「くうぅん♥ いいわ……♥安里ちゃん♥上手よ……♥」
その度に彼女の口からは鼻からぬける発情期の雌犬じみた甘い吐息が漏れ、時折ビクッと身体を震わせている事から感じている事は明らかだったが敢えてそれを指摘しようとはしなかった。今はただ目の前の雌を満足させる事だけに集中したいという思いがあったからだ。それに何より自分もまた彼女と繋がりたいという欲求に支配されつつあったのだから仕方がないだろう。
手の動きは止まらないどころかより一層激しさを増す一方であり最早止める事は出来なかった。そうしてしばらくの間互いを求めあいつつ主導権を握るべく奮闘する鍔迫り合いじみた愛撫合戦が繰り広げられた後、先に根を上げたのはニグラの方だった。
「あんっ! もうっ……だめぇっ! イク♥
イクぅ♥ パイ揉みとクリチン合わせで♥イクぅ♥」
ビクンッ、と喉元が露見するほどに一際大きく仰け反ったかと思うと次の瞬間、糸が切れた人形のように脱力しベッドの上にぐったりと横たわってしまう。どうやら絶頂を迎えたらしくプシュッ♥と洗浄スプレーばりに吹かれた潮が鉄杭の様な安里のペニスを濡らしていく。
が、絶頂の波が引いてしまったその顔はどこか不満げでもあった。それを見て取った安里はすかさず追撃を試みる事にした。
「あっ♥ またおっぱいを可愛がってくれるのぉ♥嬉しいぃ♥ あ゛ーっ♥♥ 」
100を容易く超える丘という言葉では表現できない雪山を掘削するような勢いで激しく上下左右に動かしながら先端を口に含み吸い上げて舌で転がしてやるとそれだけで面白いように反応してくれる。同時に空いている方の手でもう一方の乳房を鷲掴みにして乱暴にこねくり回してやるとニグラは獣のような喘ぎ声をあげながら悶える。
が、流石と言うべきかそのしなやかさと柔らかさを併せ持つ第2の性奉仕器官とも称すべき尻肉の間に滾る安里の亀頭を挟み込んでしまう。先の吹いた潮の粘りと湿度は極上のローションに等しく、機械油ばりに摩擦による燃焼を防ぐ役目を果たしてくれる。おかげでスムーズに動く事が出来るようになった安里はそのままピストン運動を開始した。ずりゅん♥どちゅんっ♥という淫猥極まりない音を響かせながら巨大な質量の塊が激しく往復を繰り返す度にニグラの口からは歓喜の声にも似た絶叫が上がる。
「あひぃぃっ!! しゅごいぃぃっっ!!
おっぱいも♥おしりもっ♥あざとちゃんによしよしってされてぇぇえっ♥イッちゃうぅぅうっ!!」
びくんびくんっ、とまるで電気ショックでも受けたかの如く痙攣を繰り返しながら再び果ててしまう。しかしそれでもなお衰えない若さ故の力強さを以て安里もまた射精に向けてラストスパートをかけるべく一層動きを加速させていく。
「ああぁぁああっっ!! イグゥウウッッ!!! イックゥゥウ──ッッ!!!!」
雄叫びの如き嬌声を上げながら盛大に達する彼女を尻目に安里もまた限界を迎える寸前であった。そして最後に思い切り腰を打ち付けるとそのまま大量の精液を解き放った。
乾きを潤す様にニグラの乳房より湧き出る母乳をぐびぐび飲み干していく。その間も彼女の腰はまるで別の生き物であるかのようにうねり続け最後の一滴まで搾り取ろうとしてくるのだった。
(うおっ!? まだ出るのか……!)
驚愕しながらも出し切るつもりで腰を振り続ける。するとニグラの手により誘導されたペニスが萎える間もなく膣穴を穿った。
「ふわぁぁあ……おちんぽ元気いぃ……❤️もっと頂戴……いっぱい出してぇ……」
「くああ……ニグラぁ……」
搾り取られる、というしか表現しようのない感触に安里は彼女の名を呼ぶしか出来なかった。
強欲にして淫蕩な肉壺は食虫植物さながらにペニスを飲み込み融解せんとばかりに締め付けてくる。しかもそれでいて無数の襞が蠢き絡みついてくるのだ。油断すれば一瞬で持って行かれかねない程の名器であった。
そんな中、不意に彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべると言った。
「キスして……安里ちゃん♥」
「はい……」
言われるままに唇を重ね合わせる二人だったがその瞬間を狙っていたのか突然膣内がキュッと締まったかと思うと凄まじい吸引力でペニスを吸い上げたではないか! 突然の快感に思わず腰が引けそうになるものの、それを逃さんと言わんばかりに両足を使ってホールドされてしまう始末だ。もはや逃げ場など無かったのである。結局、為すがままに翻弄される事しか出来ない。
寸勁ばりに腰をかくつかせせめてもの抵抗を見せる事しかできない彼に対して、ニグラは余裕綽々といった様子で舌を絡めてきたりするものだから余計に性質が悪い。
だが、そんな状況であっても彼の心は不思議と満たされていた。何故なら今こうして彼女と愛し合っているという事実そのものが何よりも嬉しかったからだ。例えそれが偽りの関係だとしても、一時の気の迷いだったとしてもこの瞬間だけは紛れもない現実なのだという事を再認識する事が出来ただけでも幸せだった。
口の中に唾とは違うほろ苦くもマンゴーの様な甘酸っぱい酸味のある液体が流れ込んでくると同時に強烈な快楽に襲われ、視界が真っ白に染まる様な錯覚を覚える程だった。
ドビュルルルーッ!! ブビュ──ーッ!!
ニグラの子宮全体に射精というよりは破裂に等しい爆発的な発射がなされた。
それはあたかも火山の噴火を思わせる光景であり一瞬にして彼女を孕ませんとする勢いすら感じられたのだが当の本人はそれを悦んでいる様子だった。その証拠に彼女の顔には笑みさえ浮かんでいるのだから驚きを禁じ得ない。
「ふふ♪ ご馳走さまでしたぁ~♥」
そう言って満足気な表情を浮かべると安里の身体が変化していく。
(まさか……この感覚は!?)
フラッシュバックするTSの記憶。
髪は銀色の弦の様に艷やかに代わり、胸は豊かな膨らみが二つ、胸と尻に質量を持っていかれたかの様にくびれた腰。そして、かのヴァーリ・ルシファーをも籠絡したシミどころか瑕疵一つない文字通りに完璧な尻。そんな肉体に変貌してしまった。無論顔つきも別人の様に変化していき凛とした女丈夫に相応しい顔立ちへと変わってしまっていた。
「ま、またオレ……女になっちまったのか!?」
「序に記憶もサービスしておいたわよ♥ヤスコちゃん♥」
「うへえ……お、思い出したくない記憶が……」
アザゼルに開発され、ヴァーリと相思相愛になった記憶がまざまざと安里、改めヤスコの中に蘇ってくる。
(くそっ……! なんて事をしてくれたんだ……!! オレは九頭竜安里なのかそれとも九頭竜ヤスコなのか……? 訳が解らなくなってくる……!)
「……で、この女の姿でウワサのマッサージ屋に潜入捜査しろってワケっスか」
「女の子がそんな怖い顔しちゃダメよ♪」
ニグラは愉しげに食ってかかるヤスコをいなしながら手早く着替えを済ませる。その姿はまさに妖艶と呼ぶにふさわしいものであった。黒のドレスに身を包みながらも隠しきれない豊満な乳房やむっちりとした太ももなどはむしろ強調されている様にしか見えない。そしてヤスコもまたニグラの手によってむりやり着替えさせられるのであった。
ー
「これが……私? なんて言うと思ってんのかコンチキショー!!」
ヤスコの今の姿は白いノースリーブのブラウスに下はやや短めの黒いスカートという健康的ながらもどこか色気を感じさせる服装となっていた。特に出来上がった胸の谷間に差し込まれるネクタイは見るものを欲情させかねない強烈なアクセントとなっているだろう。そんな姿のままヤスコは悪態を吐くしかなかった。何しろ今の自分はどこからどう見ても女だからである。しかもスタイル抜群の美女ときているから尚更タチが悪いと言えるであろう。
「落ち着いて下さい安里。美人が台無しですよ」
トゥーが安里を宥めるが彼女の恰好は何故か黒のライダースーツ。どうやって朱乃以上の爆乳とマッシブな肉体を中に納めたのかは疑問だがそれでも似合っている事は間違いない。
「なんでそんな恰好を?」
「はい。ニグラ様のご指示です。それとイッセー様はこうした服装も好んでいるそうですから……♥」
「アッハイ……ソッスネ」
頬をほんのり染めながら恥じらうトゥーの様子にヤスコは付き合いきれぬとばかりに溜息を吐いた。しかし同時にこれはチャンスかもしれないと思い直す事にしたのだ。
そう、自分はこれからあの噂のマッサージ店に行く事になるのだ。ならばそこで何としてでも情報を手に入れなくてはならないのだ。そうして覚悟を決めたヤスコはそのまま二人の案内の元、例のマッサージ店に向かう事になったのだった。
ー
時同じ頃……。
「随分とつまらなそうねヴァーリ。
このフレイヤとのデートがそんなに気に入らない?」
「ああ、一から十まで気に入らない」
ヴァーリにしては珍しく感情を顕にした。
そもそもオーディンが御膳立てしたこの付き合い事態彼にとって辟易するものでしかなかったのだ。
「あら、どうしてかしら? 私のどこが不満だというのかしら? こんなにも貴方を愛しているというのに」
心底理解できないとばかりに首を傾げる彼女にヴァーリは苛立たし気に吐き捨てた。
「お前が愛しているのは俺の力と血統だけだろう」
「あらあら。可愛い事を言うのね貴方は。
どちらも優れた雄には不可欠なものじゃないの……。あと付け加えるなら貴方の見た目もね。あのイッセーとか言う坊やとは雲泥の差。正直、貴方もうんざりでしょ?
あんな冴えない上に愚かで醜悪極まりない男と比べられるだなんて」
「…………」
その言葉を受けてヴァーリの表情が一変する。そこには怒りの色が浮かんでいた。それを見たフレイヤが嬉しそうに微笑むのを見て彼はますます苛立ちを募らせていった。
「俺の前でそれ以上アイツを侮辱するな……!」
「フフ。取り澄ました作り顔よりそっちの方がカッコいいわよ、貴方♪」
人目がなければ悪魔の翼を展開していたかもしれない。尽く地雷を踏み抜くフレイヤだがそれでも平然として揺らぎもしない。
(こんな女と……子を作れというのか……オーディン、アザゼルは……)
思わず目眩がしたヴァーリは暗澹たる思いだった。そしてそんな彼を励ます様に彼の腕を抱くフレイヤだったがその感触すらも煩わしかった。そんな時だった。
「……ヤスコ!?」
遠くに見えた想い人の姿が見えた。
見間違えるはずもない。暗黒の中でくずおれていた自分を震わせる希望の恒星だったのだから当然だ。
即座に駆け出したいところだったが、この縁談が破談となればアスガルドに留学しているルフェイの立場はどうなるだろうかと考えた結果踏みとどまったのである。何より自分が居なくなった後の彼女が心配だった事もあるのだろう。だからこそ敢えて平静を装ってその場を後にしたのだが内心気が気ではなかったのも事実だ。果たして自分の選択が間違っていないのか、どうすれば良いのか彼には分からなかったのだから……。
(無事でいてくれ……頼む……)
そんな想いを胸に抱きつつ今はただこの場を去る事しか出来なかった。そしてそれが後に悲劇を生むことになるなどこの時の彼に知る由もなかったのだ。
フレイヤはなんか知ってんの?
フレイヤが駆るのは猫が轢く戦車。
つまりそういうこと。
なんでヤスコにしたんですか?
ニグラなりのおせっかいとオーディンにそれとなくヤスコの事について相談されたから。
真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?
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早い方がいい
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遅いけど長いほうがいい