※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

21 / 144
次回こそはエロシーンを入れます。
いざちゃらば!(フリード)

前回のあらすじ

ボールク「ミカエル。奴らは
警官を相手に抜刀しかけたらしい」
ミカエル「……マジですか」
ボールク「あまり砕けた言葉を使うな。
立場があるだろう」


第19話

 私は幸福になってはいけなかった。

 

「私のために生きなさい」

 

 誰かのために生きていれば

 己の罪深さを忘れていられた。

 ああ、だけど、だけれども。

 忘れることと償うことは

 まるで別なんだ……。

 

 どうすれば許されるのだろう。

 だから私は剣となろう。

 己を鞘に封じ、主のためだけに

 振るわれる刃となろう。

 この身が朽ちるまで、永久に。

 そうすれば、もう

 苦しむことも嘆くことも

 ないだろう……。

 

 ー

 

「おい、木場! 木場!!」

 

 イッセー君の声で僕は目覚めた。

 目の前には

 僕の身体を揺さぶる

 彼の姿があった。

 

「あ……あれ? ここは?」

「部室だよ。

 なんかうなされてたぞ」

 

 言われて周囲を見ると、

 そこにはオカルト研究部の

 面々がいた。

 朱乃さんも小猫ちゃんもいる。

 そして安里君も。

 皆、心配そうな表情で

 僕を見つめていた。

 ボロを出してはいないだろうか、

 そんな不安が頭をよぎった。

 

「あの夢……」

 

 そうだ、僕は見たんだ。

 忌まわしい聖剣の因子適合の

 儀式の記憶だ……。

 

「木場、大丈夫か?」

「うん、ありがとう。

 ちょっと悪い夢を見ただけだから」

 

 イッセー君は

 それ以上聞いてこない。

 気遣いに感謝した。

 鏡を見て自分の顔が

 どうなっているか確認したかった。

 

「本当か? 

 何か隠し事とかが

 あるんじゃないか?」

 

 ……なんだろう。

 安里君が妙に踏み込んでくる。

 やはり

 彼は何かを知っているのか。

 

「……本当になんでもないんだよ。

 それより、

 そろそろ帰らないかい?」

 

 神は人を救わない。

 人は人を救えない。

 ならばせめて悪魔だけは、

 我が主の御心のままに

 在り続けたい。

 そのためなら、

 命なんて、どうでもいい。

 

 

「それは不自然だぜ」

「……僕の心を読んだのかい? 

 流石堕天使なんかと

 懇意にしているだけは

 あるね……」

「お前、俺に嘘をつくとき

 いつもより口数が多くなるよな」

 

 やめろ。

 

「何を言っているんだい? 

 僕は何も隠してなんて……」

 

 やめろ……。

 

「何をそんなに怖がってる? 

 本当の自分を曝け出すのが

 そんなにイヤなのか?」

 

 やめろ……! 

 

「俺もイッセーも

 お前の正体を知っても

 友達をやめたりしない。

 だから安心しろよ」

「やめろ!!」

 

 思わず叫んでいた。

 

 違う、本当は分かってる。

 僕は恐れているだけなんだ。

 真実を知られてしまうことを。

 そして、知ってしまえば、

 きっと今まで通りでは

 居られなくなるであろう。

 リアス部長以外に、

 特にイッセー君に知られて

 軽蔑されたら……

 と思うだけで恐ろしかったのだ。

 

「僕は……ただ……!」

 

 ただ、なんなのだ? 

 何を言おうとしたんだろう? 

 言葉が出て来ない。

 

「待てよ安里! 

 木場が話したくないなら

 無理に話させる事はないさ! 

 それに木場の事情だってさ」

『いいんだ!』

 

 イッセー君の言葉を遮るように、

 僕は叫んだ。

 これ以上彼に追及されるのを恐れた。

 

「……分かったよ。

 木場、悪かったな。

 無神経なこと言って」

 

 そんな辛そうな顔をしないで……

 イッセー……。

 違う。やめろ。

 彼と僕はそんなのじゃない。

 一人の眷属として、同志として

 彼を愛し……尊敬しているだけだ。それだけなんだ……。

 

「でも、

 これだけは言わせて貰うぞ。

 俺はお前を大切な仲間だと

 思っているからな!」

「ありがとう……イッセー。

 ゴメン、お花を摘みに行ってくる」

「ハハハ、何だよ木場。

 まるで女の子みたいな事を

 言って……」

「え!? あ、ああ、ごめん。

 そういうつもりじゃなくて、

 その、あの……」

「ハハッ、冗談だよジョーダン! 

 早く行ってこいよ!」

 

 そう言いながら笑う彼の笑顔は、とても眩しくて、

 優しくて、まるで陽だまりの

 ように暖かかった。

 

 ……だけど、

 そんな君だからこそ、

 僕のような穢れた存在は、

 傍にいるべきではなかった。

 君を汚してはいけない。

 僕は部室を出た。

 そしてそのままトイレに向かい、

 鏡を見ることなく個室に入る。

 ああ、駄目だ……隠しきれない……! 

 

 途端に僕の胸がせり出してくる。

 勢いは男子用のYシャツには

 収まらず、ぎちぎちと圧迫される。

 ボタンが飛び散り、

 やがて僕の乳房を覆う布が裂けた。

 

「うっ、ぐぅ……!」

 

 痛みに声を漏らしながら、

 下半身の衣服も脱ぎ捨てる。

 本来睾丸のあるべき位置に

 女性器があった。

 それも陰核ではなく、膣。

 ヴァギナと呼ばれる部位だった。

「ふーッ、

 ふ──────ーっ!!」

 荒い息遣いで己の肉体を見下ろし、

 そして、

 震える手で男性自身に触れる。

 既にそこは固く隆起していた。

「んくぁあっ!! くひぃいっ!!」

 ビクビクっと身体が痙攣する。

 快感が背筋を走り抜けた。

 でも足りない……。この程度の刺激では、

 この身体に渦巻く欲望を発散させることは出来ない。

「は、あぁ……」

 ペニスを扱きながらも、

 もう片方の手で自らの乳首を弄ぶ。

「はあ、はあ、はあ……

 イッセー君、イッセー君……! 

 はやく、はやくきてぇ……!」

 

 今すぐにでも駆け出して、

 愛しい君の胸に飛び込みたい。

 抱き締めて欲しい。

 キスして欲しい。

 そして僕を……私と……

 ワタシと……堕ちて欲しい♡

 

「はあ、はあ、はあ……

 イク、イッちゃう、イッセーくん、

 イッセー、イックゥウウッ!!!」

 

 びゅるるるるるる! 

 ぶしゅっ♡ぶしゅうう♡

 

 精液と潮が同時に私の身体から

 貝が砂を吐き出すように溢れ出す。

 

「ふぁあ……気持ちいい……♡

 気持ちいいよぅ……♡」

 

 全身が性感帯になったような錯覚を覚える。

 肩に自分の髪がかかる感覚だけで、

 ゾクゾクとした快感が背中を走る。

 

「あぁ……また髪が……伸びて……

 切らなくちゃ……」

 

 肩まで僕の金髪が伸びていた。

 そう私……僕は男性でもあり

 女性でもある。

 或いはどちらでもないのかも

 しれない。

 聖剣の因子は女性に現れやすい、

 あの男、パルパーはそのために

 僕らの肉体を改造したのだ。

 聖剣に適合する因子に耐えられる様に……。

 ならば何故、

 僕は男の振りをしているか? 

 それは、

 僕自身が望んだことだからだ。

 僕は強くなりたかった。

 だから僕は女を捨てた。

 いつか来る戦いのために。

 全ては復讐の為に。

 その為なら僕は

 どんなことでもすると決めた。

 そう……どんな事でも。

 

 ー

 

「雨か……」

 

 部活終わりの帰りの夜道、

 降り出した冷たい雨に打たれながら、

 僕はひとりごちた。

 今日は生憎傘を持って来ていない。

 

「やれやれ」

 

 濡れて帰るしかないようだ。

 まあ、

 たまにはこんな日もいいだろう。

 結局髪は切らずに束ねておいた。

 これで少しはマシになるかな? 

 その時、

 

「アイムシ〜ンキングザレイン♪ 

 お、ひ、さ、だねェ〜~~♪」

 

 路地裏から白髪の狂人じみた

 はぐれ神父、フリード・セルゼンが

 一本の剣を持って現れた。

 

「シンギングだよ……。

 考えなしの君に相応しくない

 替歌はどうかと思うよ? 

 フリード・セルゼン」

 

 落ち着け……。

 あんなことがあった後だが……。

 心を静かに……鞘に納める様に。

 

「ハァ? ハァ? ハァァ? 

 何ですかァ溝底這い回るネズミより

 きったねー悪魔くんが

 人をフルネームで呼んでるのォ? 

 何? ラノベ主人公になったつもり

 なのかにゃあ? 

 当世の流行りはフクシュー系

 主人公らしいッスよお! 

 ヒッハハハハア!!」

 

 フリードは何が可笑しいのか

 狂ったように高笑いをした。

 復讐者か……。やはり彼はまだ、

 諦めてはいなかったようだ。

 しかし、あの剣は明らかに

 あの忌まわしい聖剣と

 同じ波動を出している。

 ……危険だな。

 

「そうか。

 生憎僕は今、機嫌が悪くてね。

 誰でもいい気分なんだ……」

「おや? おやおやおや? 

 キレる十代ですかァ色男君? 

 切れてるチーズかな? かな? 

 生憎ソイツは生産終了でして……

 廃棄! 廃棄! テメーも廃棄ィ!」

 

 相変わらず彼はふざけている。

 いや、これは挑発か? 

 だとしたら、

 乗ってやるのも一興かもしれない。

 僕はフリードに向かって

 創造した魔剣を構える。

 

「それは……聖剣かい?」

「そーだよ。

 え・く・す・か・り・ヴァー♪ 

 エクスカリバーでございますゥ!! 

 俺様ちゃんの頼れる相棒! 

 光栄だろ! 感謝しろや

 クソボケのクソ悪魔ァ!」

 成程、あの男は知らない訳か。

 その聖剣の真の意味を。

 それとも、知らされていないだけだろうか? 

 いずれにせよ、

 油断はできない。

 気を引き締めなければ。

 

「しゃべってないで

 はやくなぐれ」

「っせナア! 

 このデカブツのウスノロがァ! 

 こういうのはバトル前の

 お作法なんですよォ!! 

『お点前のお首頂戴致します』

 ってなあ!!」

「うるさい。

 いいからはやくたたかえ

 おんしらず」

「ハハッ! ヒャーッヒャッヒャ!」

「ふっ!」

 キン! 

「カモンベイビー! ほぉう!?」

 

 僕の持つ魔剣とフリードの聖剣がぶつかり合う。

 拙い、さっきの声の

 女の子、キュクロの

 攻撃を凌げない! 

 

『魔剣創造』! 

 

 咄嗟に地面から幾本の魔剣を

 突き上げるようにして出現させ、

 彼女の攻撃を防ごうとする。

 だが、彼女の一閃は

 僕の魔剣を一瞬で叩き砕いた。

 何だ……あの剣は……!? 

 まるで鉄の棒じゃないか……! 

 

 バキィっ!! 

 

 お、重い……! 

 そして、速い……! 

 

「ぐぁあああっ!!」

 

 僕は彼女の一撃を受け、

 よろめいた所にフリードからの

 連撃を受けてしまう。

 

「ヒハハハハハハ! 

 ア──ーッハハハハハ! 

 ザマァ見やがれゴミ虫が! 

 どうだい? 痛いか? 苦しいか? 

 気持ちいいだろ? 

 気持ちいいよな? 

 そうだろ? そうと言えよ! 言え! オラァ!」

 

 ザクッ! ザシュッ! 

 

「……ぐ、あぁ……」

「あ……? 何だコイツ? 

 急に喘ぎ出してんじゃねーぞ? 

 神父なのにボキたん

 コーフンしちゃうでしょっ!?」

 

 フリードの攻撃は止まらない。

 僕はただひたすら、

 彼の攻撃を受けるだけだ。

 

「おらァ! もっと苦しめェ! 

 テメーの罪の重さを思い知れェ!」

「ぐ、ぅ……」

「お? まだ生きてんのかよ? 

 しぶてぇな。

 ゴキブリかテメエは。

 いい加減死ねよ」

 

 ああ、死ぬのか……。

 僕は……。私は……。

 でも、それもいいか……。

 

「……ろ……」

 

 何か遠くから声がする。

 何だ……けど……いいや……。

 眠らせてくれ……。

 

「止めろおぉぉ!!」

「いたぁい!?」

 

 突然の怒号と攻撃に

 フリードが吹き飛ばされた様だ。

 

「……ってキュクロ!? 

 キュクロじゃないか!」

 

 イッセー君の声がする。

 ああ……キミは本当に……。

 イッセー君は、

 やはり優しかったんだな。

 こんな僕にも、

 分け隔てなく接してくれる。

 でも、もういいんだよ。

 

 ー

 

 俺が木場の家に向かっていたら

 何だかとんでもない事に

 なっていた! 

 っていうか何で!? 

 何でキュクロちゃんと木場が

 戦っているんだよ! 

 ワケがわかんねーよ!! 

 

「やっときたかいっせい。

 わたしとたたかえ」

 

 何でキュクロちゃんも

 やる気なんだよ! 

 一緒に温泉入った仲だろ! 

 

「え? 何でだ! お前、

 安里に技を教えた仲だろ! 

 戦えるわけない!」

「きゅうどーはきゅうどー。

 いっせいはいっせい」

 

 ダメだ! 聞く耳を持ってくれない! 

 木場のケガも気になるし……

 何とか気絶させる程度に……! 

 俺はキュクロちゃんに向き直る。

 しかし、彼女は既に

 俺に向かって安里と同じ歩法を使って

 距離を詰めてきた。

 くそっ! 仕方がない! 

 

『Boost!』

「……っ!? うわあっ!?」

 俺の倍加した拳を

 キュクロちゃんの

 デカい切っ先の丸い棒みたいな

 剣で防ぎきった。

 

 な、何だ……!? 

 この猛毒入りの熱湯を

 腕に浴びせられたみたいな

 激痛は……!? 

 いや、これはまさか……! 

 聖水を受けた様な……!? 

 

「えくすかりばー・くるたな。

(不殺の聖剣)

 ととさまがつくってくれた

 せいけんだ」

『聖剣を造るだと……!?』

 

 流石のドライグも驚きを

 隠せない様子だ。

「聖剣なんてそんなに

 ポンポン造れるもんじゃないよな?」

「そうだ。ととさまはすごいんだ。ほめろ」

「あ、うん。凄いね」

「うむ。それでよいのだ」

「……」

『……』

「さあ、とっととやるぞ。

 とっとと」

 

 再びクルタナを振り回す

 キュクロちゃんだが

 

 ビュゴオッ! 

 

 とんでもない風切り音と共に

 その風圧まで武器として

 利用してきた。

 まるで大型台風だ! 

 

「ぐっ!」

 咄嵯にガードしたが、

 動きが止まってしまった……! 

 拙い、あのとんでもない一撃が

 飛んでくる! 

 

『Boost!』

 

 咄嗟に龍の方の拳を出すが、

 ピシッと骨にヒビが入る音がした。

 その直後から激痛が走る。

「ぐぁああっ!!」

「それでじまんのぶーすとは

 つかえないな」

 

 籠手を見ると宝珠にヒビが

 入っている。こんな事があるのか!? 

 

『スマン相棒! 

 自己修復に一分程時間をくれ』

 マジかよ! 

 どうする! どうする! 

 俺が焦っている間に

 キュクロちゃんが

 トドメを刺そうとしてくる! 

 このままじゃマズイ! 

 キュクロちゃんは一歩踏み込んできて、

 上段からくるりと円を描く様に

 クルタナを

 振り回して斬りかかって来た。

 俺はその攻撃を紙一重でかいくぐり……。

 

「洋服破壊!」

 バリィンッッッ!! 

 

 轟音と共に、彼女の服が弾け飛ぶ。

 キュクロちゃんには悪いけど

 これで動きは封じたぞ! 

 そして木場を抱えて逃げる……! 

 

「にがさない」

 

 って、え、ええーっ!? 

 裸の身長とか色々デカい女の子が

 大剣を持って

 おいかけてくるって

 どんな絵面!? 

 しかも滅茶苦茶速いし! 

 

「ちょ、ちょっとタンマ!」

 

 その時ポケットが光る。

 な、何だ!? 

 そう言えばこの間ポケットに

 握り潰して突っ込んだ

 シュタークさんの術符が……! 

 と、俺と木場は光に包まれて……。

 シュタークさんの部屋にいた。

 俺は腰が壁に挟まれた状態で。

 

「おやァ? 

 知らない内にボクの部屋の

 壁が現代アートに

 なっているじゃないカ?」

 

 どうやら転送用の呪符

 だったらしいが

 シュタークさんは

 慣れているのかあまり

 驚いていない。

「ど、どうも……。

 100分の1の確率に

 引っかかっちゃったみたいで」

 何ともバツが悪くて、

 頭をかきたいけど

 挟まっているから無理だ。

「ま、いいヨ。

 それより木場君だっケ? 

 随分とケガをしている様だけど」

「ええ、実は……」

「説明は後ダ。

 大分強力な武器に

 やられたらしいねェ。

 ふーむ……これはキミの恋人を

 呼ぶのをオススメするヨ」

 と言って転送用の呪符を

 2枚くれた。

 この人何枚持っているんだろう。

「ありがとうございます!」

 俺は礼を言いつつアーシアを

 呼びに行くため呪符を使う。

 アレ……よく考えたら

 木場を呪符で運んだ方が

 早くないか……? 

 しかし、使用した後に

 気がついても後の祭りだ……。

 

 ー

 

「これで大丈夫です」

 

 アーシアちゃんの

 トワイライト・ヒーリングを

 譲渡の力で治癒力を高める事により

 木場の傷は大分回復した。

 

「へェ。

 噂には聞いてきたけど

 加護なき悪魔も癒せるなんて

 凄いものだねェ。

 ボクの治癒符じゃこうは

 いかないヨ」

「いえ、そんな……」

 

 シュタークさんは手放しで

 アーシアを褒めそやすと

 アーシアは手を擦り合わせて

 もじもじとして照れていた。

 自慢の恋人を褒められて

 俺も鼻が高いよ……。

 

「ところで、何があったノ?」

「ええ、それがですね……!」

 

 俺達は今までの経緯を

 シュタークさんに話した。

 

「なるほどなるほど……。

 しかし聖属性の剣ではなく

 聖剣を作れるなんてねェ……」

「はい。でも聖剣なんて

 そう簡単には作れないですよね」

 

 俺が確認すると

 シュタークさんは頷いた。

 

「そうだネ。

 聖剣というのは様々な武具の

 中でも特に特別な代物だからサ。

 まず材料が手に入らないシ。

 世界を回ってそれを求めた

『アーネンエルベ』って

 阿漕な連中もいたんだけど

 そんな話は別にいいネ」

 

『アーネンエルベ』か……。

 オカルト研究部の表向きの活動で

 聞いたことがあるな。

 超人やら英雄やらの存在証明から

 人為的に再現、量産するとかいう

 眉唾な組織だ。

 そう言えばシュタークって

 最高とかパネぇって意味の

 ドイツ語のスラングだけど……

 偽名なんだろうか? 

 

「いや、イカンイカン!」

 

 俺は疑心を振り払う様に

 頭を振って払拭すべく声を出した。

 今はシュタークさんの事より

 優先すべきことがあるからな。

 

「とにかく彼女の武器が

 新たに作られた聖剣なら

 その造り手は人間じゃあないネ。

 錬鉄や鍛冶関係の神様だろうなァ」

「神様ですか……。

 でもその神様がどうして

 キュクロちゃんに味方するんですか?」

 

 待てよ。キュクロちゃんは

 やたらととさま、

 って言っていたな。

 それはつまり父親って事か? 

「まぁ、推測だけどネ。

 彼女の父親は鍛冶の神で、

『窯』の権能をも持つ神だ」

「そんなチートな存在って

 アリなんですか?」

「赤龍帝のキミが言っても

 説得力がないねェ……」

「すみません……」

 

 シュタークさんの

 ツッコミに思わず頭を下げる俺。

 しかしシュタークさんは

 いなすように俺の肩をぽんと叩く。

 

「いや、謝る事はないヨ。

 しかし、その子は

 かなり強力な武器を

 持っているようだし、

 このままだと

 ヤバイかもしれないネ」

 

 確かにキュクロちゃんの強さは

 異常だった。

 あの怪力だけじゃなく

 あの剣の頑丈さは特にヤバい。

 恐らく今の俺じゃ破壊する事は

 不可能だろう。

 もし、また襲ってきたら……。

 

「ええ、ですから何とか彼女を説得できないかなと」

「ふーむ……。

 ちょっと難しいんじゃないかナ?」

「かもしれませんけど……!」

 

 難色を示すように腕を組んだ

 シュタークさんに対して

 俺は尚も食い下がる。

 

「無理だ」「できっこない」

「諦めろ」

 そんな言葉の百や二百で

 諦めちゃあハーレム王なんて

 夢の又夢だ! 

 

「まあ、

 やるだけやってみるといいヨ。

 無理、無茶、無謀は

 若さの特権さァ」

「はい!」

 俺は力強く返事をした。

 

 ー

 

 一方その頃。

 

「……いっせいにはにげられた」

 

 キュクロは3人の男女に

 顛末を報告していた。

 

 一人は肌の色からして

 人間ではなかった。

 もう一人はミイラの様に

 顔全体を包帯で覆う

 車椅子の男。

 そして最後に3人の真ん中に

 いるのは白い短髪の少年。

 位置的には少年がリーダーという

 陣取りになるが

 その表情はどこか狂気を

 忍ばせていた。

 

「ごめんなさい、ととさま」

「……まあ、いい。

 その木場という輩が

『禁手化』に至る前に

 殺してしまっては元も子もない」

 

 車椅子の男がキュクロの

 父親、という立ち位置である事は間違いないだろう。

 すると人離れした見た目の

 堕天使が口を挟んだ。

 

「その木場とかいう男の

『禁手化』だが……

 本当に果たせるのか?」

「できるとも。

 というか彼がその領域に

 至ってくれなきゃ困る」

 

 車椅子の男の代わりに

 少年が堕天使に返答した。

「どういう事だ?」

「あの一件を

 ベストなタイミングで

 公表するには

『あらゆる属性の剣』を

 一人の悪魔が作成できるという

 事実が欠かせないんだ」

「なるほど……。

 そういうことか。

 かんぜんにりかいした」

「貴様……実の所は

 まるで解っていないだろう……?」

 

 腕組みして何故かドヤ顔きみに

 キュクロはうんうん、と

 何度も頷いていたが

 堕天使が肩をすくめつつ

 溜め息をつく。

「ばれたか、じつはそうなのだ」

「何故誇らしげなんだ……。

 全く貴様の情操教育は

 どうなっているのだ?」

「女は無垢に限る……。

 誰かが下らん入れ知恵をするから

 あのような生き物になって

 しまったのだ……!!」

 

 車椅子の男は両手を潰れんばかりに

 握りしめながら呻く様に

 声を震わせた。

 その瞳はまるで窯の覗き窓の

 様に炯々としていたが

 その炎は憎悪と呪詛が

 渦巻いている。

 

「ああ、あれは傑作だったねェ。

 でも、まさかあの子達があそこまで

 壊れるとは思わなかったよ。

 ああ、思い出すだけで

 ゾクゾクする! 

 もう一回、『女』の記憶を消して

 やってみたいなあ!!!」

 少年はしんそこ

 愉快そうな笑みを浮かべ

 ブルブル震えていた。

 

 堕天使、コカビエルは

 自身が堕天使の中でも異端だと

 自負、乃至自嘲していたが

 この少年に比べれば

 まだマシかもしれないとさえ

 思える程に彼は狂っていた。

 

「そんな憐れんだ顔を

 しないでくれよコカビエル。

 君は飽くなき闘争のため

 彼は怨念晴らしと

 機甲龍帝の完成のため

 僕は……神様ごっこのために

 手を組んだ仲じゃないか」

「……そうだったな

 サタナキア」

 

 眼の前の少年サタナキアは

『愛玩の巨獣兵』を始めとした

 外法や禁呪を好んで研究し、

 遂にアザゼル、シェムハザに

 その地位を追われた。

 堕天使の

 現総督であるアザゼルに

 半身を封じられはぐれ悪魔を

 詐称する身であるが

 未だに神の位を簒奪するのを

 諦めていなかったのだ。

 

「さて……と。

 僕もそろそろ次の段階に移るとしよう」

「……つぎ?」

 

 キュクロは首を傾げた。

 

「ああ、そうだ。

 ミカエルの呑気者が動いたなら

 僕もそれなりに

 礼を尽くすだけさ。

 えーと、フリード君?」

「ハイハイハイ! 

 なんでござんしょボス!」

 

 サタナキアが指差すと

 何処からかあのはぐれ神父が現れ

 ビシッ! っと敬礼を決めた。

 

「君に僕の力の一部を貸すからさ

 あの二人……紫藤イリナと

 ゼノヴィアだっけ……。

 あの子達を君の好きにして

 いいよ」

「マジですか!? 

 ありがとうございます!! 

 流石はボスですぜい!」

「……なっ!」

「……!」

 

 餌を与えられた犬さながら

 はしゃぐフリードに対して

 キュクロは絶句し、

 コカビエルは

 苦虫を噛み潰したような表情になった。

 

「じゃあ、よろしく頼むよ。

 ああ、あと……」

「へい、分かっておりやすぜ。

 木場って野郎が『禁手化』したら

 すぐにお知らせしますんで。

 んじゃ、早速行ってきますわ〜。

 そいじゃま、いってきマッスル!」

 

 そう言ってフリードは

 その場からヒュンと消え去った。




オリキャラがまだまだ増えるよ!
やったね赤龍帝!

アザゼルって初代総督じゃなかった?
この世界線ではサタナキア、アザゼル、シェムハザの
三巨頭体制かつサタナキアが総督だったって
設定なんスよ

とにかくコメントくれ(クレクレくん)

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

  • 早い方がいい
  • 遅いけど長いほうがいい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。