異聞、幕間、なんとかしろ。
コメントくだしあ。(相も変わらず)
「ここが奴等の根城か……」
ゼノヴィアはとある廃墟の前にて
聖剣を片手に呟いた。
そして、
その隣にはイリナの姿もある。
「何なのよ
あのボールクって人は?
『赤龍帝や安里たちと
足並みを合わせずに踏み込むのは
危険だ』なんて!不信心者よ!」
イリナはボールクの慎重に対して
明らかに怒っていた。
そんな彼女を横目に、
ゼノヴィアも思うところが
あるのか、
神妙な面持ちで語り出す。
「確かにそうだね……」
「でしょう!?私だって──」
「だが、私は
この任務を失敗する訳にはいかないんだ。
これは教会から課せられた使命であり、
私の存在意義でもある。
だからどんな手段を使ってでも
やり遂げなければならない。
これは試金石だ」
「試金石?」
「ああ、
赤龍帝たちや
他の皆がどう動くか……。
それを見極めるためにも
この偵察は
必ず成功させなければ……」
ゼノヴィアはそう言うと、
目の前にある
廃墟へと視線を向けた。
「……」
ゼノヴィアは十字を
切った後にミカエルより賜った
アミュレットをかざす。
するとどうだ。
廃墟がまるで
溶剤をぶちまけられた
油絵の様にドロリと溶け出したではないか。
いや、違う。
溶けたのではなく"剥がれた"のだ。
廃墟だったモノの下からは、
大きな門が現れた。
それはまさにファンタジー
世界に登場するに相応しい
威容を誇っている。
途端に門が二人を招くかの様に
自然と開いた。
「教会……?いや、違うな」
雰囲気は確かに聖堂ではあるが、
漂う空気は神聖さとは
まるでかけ離れている。
どちらかと言うと禍々しい。
二人が身構えている中、
白い髪の少年が機械式の
パイプオルガンを作動させる。
流れるのは第9交響曲4番。
所謂賛美歌だ。
「ようこそおいでくださいました。
歓迎しますよ、
ゼノヴィアさん、イリナさん」
少年の声に二人は警戒を強める。
しかし、少年の方は
二人の様子を気にも留めず
言葉を続けた。
「まずはご挨拶を。
僕はサタナキア。
所謂今回の騒動の黒幕さ」
サタナキアと名乗った少年は
にこやかに笑う。
「そうか、では死ね」
ゼノヴィアは初めから
問答するつもりもない。
破壊の聖剣を振りかぶると、
サタナキア目掛けて斬りかかる。
だが、足の力が抜け
その場に膝をつく。
「何だこれは……!?」
全身が震える。
体の内側から込み上げる
恐怖心により
立っていることさえままならない。
「神よ……!敬虔なる信徒たる
この紫藤イリナにお力を!」
イリナとゼノヴィアは祈りの力で
何とかその場に立ち続ける。
そして、そのままの状態で
まずイリナが擬態の
聖剣の剣先をサタナキアの
喉元へ放つ。
だが──
「うそっ!?」
イリナの攻撃は
サタナキアに届く前に逆走した。
「ははは、どうしたんだい?
その程度の攻撃は
僕には届かないよ?
今度はこちらの番だね…」
嘲笑を浮かべながら
サタナキアは指先で宙空に円を描く。
その瞬間、チャクラムらしき光輪が2つ現れた。
サタナキアはそれを念じるだけで
さながら雀蜂の速度で飛ばす。
2つのチャクラムは、
それぞれゼノヴィアとイリナの首筋を狙う。
「甘い!」
ゼノヴィアはその攻撃を難なく弾く。
だが次の瞬間、
「───ッ!?」
ゼノヴィアは驚愕する。
なんと弾け飛んだ筈の光輪が
一瞬で復元していたのだ。
「なるほど、
それがお前の力か……」
ゼノヴィアがそう呟いた時、
既にチャクラムが
彼女の首に迫っていた。
ゼノヴィアは咄嵯に身を捻り回避するが、
完全に避けきれず、
左頬に掠った。
そこから血が流れ出る。
「ゼノヴィア!?」
「大丈夫だ!問題ない!」
ゼノヴィアは傷口を手で拭き取ると、
サタナキアに向かって走り出す。
「はぁああああっ!!」
そして破壊の聖剣を振り下ろす。
しかし──
「何度やっても無駄だよ?」
破壊の聖剣の波動は
なんとサタナキアの前で逆流して消えた。
「そんな馬鹿な!?」
「ゼノヴィア!危ないわ!」
イリナがゼノヴィアを突き飛ばすと
サタナキアが放ったチャクラムが
彼の眉間に深々と突き刺さる。
「が……は……っ」
「ふふん!
自分の技でやられるなんて
とんだ間抜けな堕天使ね!」
イリナは無邪気に喜んでいたが
ゼノヴィアは構えを解かずにいた。
「油断をするな、
まだ何かあるかもしれない」
果たして光輪はサタナキアの
眉間から彼の体内に吸収されると
むくりと起き上がる。
「自分の技でやられる間抜けな
堕天使が何だって?」
サタナキアはニヤニヤと
イリナを嘲るが流石に
聖剣使いに選ばれたイリナである。
すぐに切り替えて戦闘態勢に入る。
「擬態の聖剣よ!」
イリナは再び擬態の聖剣を構え、
ゼノヴィアと共に攻撃を仕掛ける。
「だから無駄だというのが
解らないかなあ?」
サタナキアは見下す表情のまま
再び光輪を二人に
目掛けて飛ばす。
だが、二人は
その攻撃が自分に届くよりも
早く大きくジャンプをして避ける。
「へえ……」
サタナキアは二人の予想外の
動きに驚くというより感心した
声をあげれ中
ゼノヴィアとイリナは空中で
体を反転させると
サタナキアに全力の蹴りを放つ。
「どうよ!日本の特撮ヒーローを
参考に編み出した私達の
コンビネーションキックよ!」
ゼノヴィアとイリナの
渾身の一撃は
サタナキアに直撃し、
彼は勢いよく吹き飛ぶ。
だが、それでもサタナキアの
表情は変わらない。
「僕の昔馴染が
小躍りしそうな技だね。
タイミングと発想は
良かったけれど温い」
サタナキアはまるで効いていないと
言わんばかりに余裕の笑みを浮かべていた。
「それじゃあ今度は僕からいくよ?
君たちの流儀に則って
トクサツヒーロー?の
必殺技でいこうか」
サタナキアは嘲笑う様に
二人を見やると
拳を握り固めて胸の前で
交差させて、魔力を溜める。
一気に腕を上下に開き、
半月型の光のカッターを作り出した。
サタナキアは
その光の刃を無造作に放つ。
ゼノヴィアは破壊の聖剣の力を
最大限に高めた斬撃を放ち、
迫り来るサタナキアの
必殺の光刃を受け止める。
しかし、
「ぐぅ……っ!」
ゼノヴィアは苦悶の声を上げる。
破壊の聖剣を以てしても
サタナキアの光刃を破壊することは叶わなかった。
辛うじて回避するも、
光刃はゼノヴィアとイリナの間を通り過ぎ、
背後にあった壁を大きく切り裂いた。
壁は大きく崩れ、
瓦礫となって辺りに降り注ぐ。
「……ッ!
破壊の聖剣の刃が欠けている!?」
ゼノヴィアは
瓦礫をかわしながらも
自分の聖剣の状態に
愕然としていた。
(奴の光刃の方が
私の破壊の聖剣よりも
上だと言うのか!?)
ゼノヴィアの心中に焦燥が募る。
まるで水圧でドアが破れるかの如く、
ゼノヴィアの心に
怒涛の勢いで恐怖が入り込んでくる。
自分の心を侵食する
恐怖を打ち払おうと必死に抵抗し、
叫び出したくなる様な衝動を堪えながら
ゼノヴィアは聖剣を強く握る。
「うおおおおっ!!」
「殉教希望かな?」
ゼノヴィアが斬りかかると
サタナキアは余裕の表情で
その斬撃を回避する。
そして頭を垂れたゼノヴィアの首を
刎ね飛ばすべく光刃を
撃ち出す構えに入った。
だが、ゼノヴィアの背を
踏み台にしてイリナは跳躍した。
完全にサタナキアの虚を衝いた
イリナは擬態の聖剣を変化させる。
「喰らいなさい!私の必殺技!
『聖ペテロの投網』!」
イリナの手には白い光が
凝縮された擬態の聖剣が変化した
巨大な投網が顕現していた。
イリナはその投網を振り回すと
サタナキアに向けて投げつける。
サタナキアは先の光刃で
その投網を引裂こうとしたが
まるで霞を相手にしたかの様に
すり抜けた!
「何だと!?」
「これは貴方を縛るための
捕縛武器ってだけじゃないわ。
ゼノヴィアが狙った獲物を
逃さないためのものよ!」
イリナの言葉の通りだった。
サタナキアは投網に絡まり、動きを封じられた。
「今よ!」
「解っている!」
イリナの合図を受けてゼノヴィアはサタナキアに
全身全霊の一撃を放とうとする。
だが、その瞬間、
「ふふふふふふ……」
サタナキアが不気味な笑みを浮かべると
彼の身体から閃光が放たれる。
いや、彼自身が閃光そのものに変貌したのだ!
「ぐわあああっ!」
「きゃああああっ!」
サタナキアの閃光を浴びた二人は
大きく吹き飛ばされて壁に激突した。
「がはっ……」
「くっ……!」
ゼノヴィアとイリナの口から
血が吐き出される。
二人ともかなりの
ダメージを受けている様だ。
サタナキアは彼自身が閃光となる事で
光の加護をすり抜けたのだ。
「成る程……。
レイナーレクラスなら
まず間違いなく
仕留められたろうし、
コカビエルでも少しは
手こずったかもしれないね。
だけど君たちは所詮人間だ。
憐れで、矮小で、貧弱で、
取るに足らない存在だ。
そんな君たちが
僕に勝てるわけがないんだよ」
難なく自身を復元した
サタナキアは嘲り笑う様に言う。
すると、ゼノヴィアは
立ち上がってサタナキアに啖呵を切る。
「そうか……。
だがお前が堕天使である以上、
私はお前達に抗ってみせる!」
「いや〜美しい美しい!
美しい神への比類なきチューギ!
涙と一緒にヘドが出ますなぁ〜!」
ゼノヴィアの悲壮な決意を
侮蔑しながら現れたのは
フリード・セルゼンだった。
「やあ、遅かったじゃないか?」
「いやー、すいません。
ボスのパゥワーが僕ちんには
刺激的だったモンで
調整に時間がかかったんスよ〜。
許してクレオパトラ♪」
(妙にハイになっている……。
とるに足らないはぐれ神父が
一体何を……)
全身に焼け付く様な痛み
を感じながら、ゼノヴィアは何とか立ち上がる。
そのゼノヴィアの前にイリナが立ち塞がった。
ゼノヴィアは、イリナの行動の意図を理解した。
彼女はゼノヴィアを庇うつもりなのだ。
そしてイリナはゼノヴィアを振り返らずに言う。
「アタシの擬態の聖剣なら
少しは時間稼ぎができる。
その間に早くここから逃げて!」
「……分かった。
感謝するぞ、イリナ」
即断だった。
「おんや〜?
コンビを捨て駒に
して逃げるのかにゃあ〜?
『私はお前達に抗ってみせる!』
だってお!」
「……」
フリードの挑発的な言葉にも
ゼノヴィアは反応しない。
そのゼノヴィアの反応を見て、
フリードはニヤリと笑い、
「あらら、
無視されちゃいましたよ。
流石は聖剣使い。
クールでカッコいいですねぇ〜。
ま、俺としては新必殺技を
試す絶好のカモネギタイムに
ワクテカなんですけどねぇ!!
ギャハハハハハハ!!」
と凶刃をイリナへと
振るうのだった。
ー
「う〜ん……」
俺はボールクの言っていた言葉を
ベッドの上で思い出していた。
『もっと非情になれ。
今のままでは何れ取り返しのつかない
惨事を招く事になる』
クソッ…!
何をいきなりワケの解らない事を!
それに棄権までしやがるなんて!
こっちに勝ちを譲ったってのか!
ムカつくぜ……!
…。
……。
いや、解っているんだ……。
俺がホントにムカついているのは
ドライグの力を使いこなせない
赤龍帝失格の俺自身になんだ……。
「……」
ダメだなあ……。
こんなんでリアスさんの
婚約者ですって
胸張れんのかよ!
ハーレム王に相応しい
男になれるのかよ!
「……よしっ!」
俺は自分の頬をパンと叩いて
気合いを入れた。
ウジウジ、イジイジしても
仕方ない。まずは走ってくる!
悩んだ時は走る!
それが兵藤一誠だろ!
そう思い、俺は部屋を出た。
夕日に向かって走るぜ!!
夜だけど。
……。
そして走り始めて一時間後、
俺は郊外の山間に辿り着いていた。
悪魔化のせいで夜目が効くから
迷子や遭難の危険はない。
「ふう……」
何ていうか……。
走るのも意外と悪くないな。
次は森の木に
パンチ撃ち込み二百回!
気合入れていくぜ!
と、その時だ。
フラフラと歩く人影が見えた。
あれは……ゼノヴィアじゃないか。
何だか様子がおかしい。
「おい、どうしたんだよ!?」
慌てて駆け寄ると
するとゼノヴィアの顔色が
尋常じゃないくらい悪い。
これはマズいな……。
「大丈夫か?」
声をかけると
ゼノヴィアは
ゆっくりと顔を上げた。
「貴様か……。
悪魔から手助けを受けるつもりは……」
弱々しい声でそう呟いた
ゼノヴィアの瞳は焦点が定まらず、
虚空を見つめている様だった。
「バカヤロー!天使も悪魔も
堕天使もあるか!
そのままでいたら死んじまうぞ!」
ゼノヴィアの肩を掴む。
すると
ゼノヴィアはその手を掴んだ。
「恥を偲んで頼む……
イリナを」
「解った!まずはお前の
治療が先だ!
アーシアの所に連れていく」
ゼノヴィアの言葉を待たず
俺は俵を運ぶ感覚を
イメージしながら担いだ。
「お、降ろせ……!」
ゼノヴィアは手足をバタつかせて
抵抗するが相当弱っている様で
全く力が入っていない。
俺はゼノヴィアを担いで走った。
「しっかり掴まっていろよ!」
「うぅ……屈辱だ。
私ともあろう者が……」
俺はゼノヴィアを連れて
全速力で部屋に戻った。
「ああっ!イッセーさん!
突然飛び出してどうしたんですか?」
「一体何処に行ってたの?」
玄関に入るなり
心配そうな表情を浮かべた
二人が詰め寄ってきた。
「ちょっとランニングしてた」
「えぇっ!?」
「そ、そんな!あんな状態でですか!?」
「ああ、でもお陰で少しはスッキリできた」
「もう!心配させないで下さい!」
アーシアはプンスカと怒り出した。
「あはは、ごめんよ。
それよりゼノヴィアの治療を頼めるかな?
何かかなり衰弱しているみたいでさ……」
俺の言葉を聞いて
二人はハッとした。
「ゼノヴィア、
貴方まさか奴等の本拠地に……」
部長の問いに
ゼノヴィアは首を縦に振った。
「今回は私の不注意だ……。
私が慢心したばかりに
偵察どころかこのザマだよ……。
情けない……」
「情けなくなんかないって。
だってまだ生きているんだ。
それにイリナだって
きっと無事さ。
だから元気を出せよ」
落ち込むゼノヴィアの手を
できる限り優しく握って励ます。
華奢な手だった。
そうだよな。
普通なら聖剣だの悪魔祓いだのと
縁がない年頃の女の子だ。
怖い目に遭えば誰だって
心細くなるし、不安にもなる。
それなのに彼女は仲間の為に
敵地に乗り込んだんだ。
勇気があるなんて言葉じゃ
到底足りない程の覚悟と
信念が彼女にはあったんだ。
俺にはまだそこまでの
強い気持ちはないかもしれない。
けど俺にも譲れないものがある!
それは俺を
慕ってくれる皆を守る事だ!
ボールクに甘いと言われたって構わない!
この甘さを貫くのが
俺のハーレム王道だ!
「ありがとう……」
ゼノヴィアは小さく呟き、
微笑んでくれた。
「ゼノヴィアさん、今から治療しますね!」
そう言ってアーシアは
ゼノヴィアの頭に手を置いた。
すると淡い光が発せられて
ゼノヴィアの顔色が良くなっていく。
おおっ!流石はアーシア!
「助かった……。感謝するよ」
「いいえ、これくらい当然です」
アーシアはニコリと笑みを浮かべる。
良かった……。
これで一安心だな。
ゼノヴィアも大分顔色が戻ったし。
と、その時だ。
「あ〜あ〜、
只今マイクのテスト中。
あ、念のためおことわりしますが
この放送はスクランブル放送に
なっておりますので、
クソ悪魔とビッチ聖剣使いと
えーと、それから
よく知ら騎士(ナイト)以外には
感知できませんので悪しからず!」
外からフリードの奴の声が
聞こえてきた。
あいつ、何をするつもりなんだ!?
嫌な予感がした俺は
窓から外の様子を窺う。
すると夜空にホログラフィの様に
見知った顔が何人か浮かんでいた。
フリードの野郎にキュクロちゃん。
あとは…知らない奴だらけだ。
だがどう見ても悪党面だった。
「見ているかミカエル!?
聖剣を奪取するためによこした
のがこの程度の聖剣使いとは
どうやら大分俺達を
見くびっていた様だな!」
まず最初にガタイのいい
堕天使が口火を切る。
羽が8…9…10枚!?
明らかに今まで戦ってきた
はぐれ悪魔や堕天使とは
格が違う!
「コカビエル……!?」
リアスさんが驚きの声を上げる。
何ーっ!?知っているのか
リアスさん!?
ってふざけてる場合じゃない。
「堕天使の中でもタカ派の
武闘派幹部よ。
お兄様によると、
昔サタナエルという男と組んで
とんでもない事を
目論んだらしいわ」
じゃあ隣の車椅子のミイラ男と
いけ好かない感じの子供は?
コカビエルの部下……にしては
畏まった感じがない。
明らかに同格の雰囲気だけど……。
「この程度の扱いに
僕達はとても傷ついたよ。
悔しいよ。悲しいよ。
情けないよ〜」
と、いけ好かない感じの子供が
言っているが明らかにウキウキ
している感じだ。
「とはいえ、僕は心が広いからさ。
水に流すとするよ。
ざっぱ〜んってね♪」
何だ、酷くろくでもない事を
目論んでいるのがみえみえだ。
「ノアの洪水って覚えてる?」
ノアの洪水……。
確か人々が堕落しているのに
呆れ果てた神様が洪水で
地上の人間を一掃しようとしたけど
ノアとその家族だけは箱舟で
逃して新しい世界を
作ろうとしたとか……。
「バルパー君が行う
聖剣の融合エネルギーを
僕の人工神器と
彼の模造聖剣で増幅させて
ここから南極へ撃ち出すと
どうなると思う?
南極の氷は砕け散り、融解。
世界中を大津波が襲うってワケさ」
「そうだ!
これは粛清でもなければ
断罪でもない!呼び水だ!
万魔の万魔による
飽くなき闘争のな!」
コカビエルが嬉しそうに叫ぶ。
何言ってやがるんだコイツ等!?
頭がおかしいのか!?
車椅子のミイラ男は
我関せずって感じだ。
コイツもコイツで何なんだよ!
駒王町だけじゃない!!
何千万、いや億以上の人間が
死んでしまうかもしれないんだぞ!
わかってんのか!?
「本来なら
今すぐ始めちゃっても
いいけどさァ。
それじゃ詰まらないだろ?
人間じゃないんだから
核ミサイル?だっけ?
そんなのを飛ばして
はい、おしまいよじゃねえ……」
あのガキが
ヘラヘラ笑いながら言う。
「だからリアス・グレモリーと
その眷属、あと序の連中が
夜明けまでに僕の所に来るんだ。
そして僕らと遊ぼう!
最高の前夜祭にしようじゃないか!
今度こそ存分に
とことん殺し合おうよ!
アーハッハッハッハ!!」
クソガキは高らかに笑う。
ふざけるな!
こんなバカげた事絶対に許してたまるか!
「リアスさん!行きましょう!
奴等をぶっ潰しに行きます!」
俺はそう言って
窓から飛び出そうとする。
だが、リアスさんは
俺の肩を掴む!
「リアスさん!どうして!」
「待ちなさいイッセー!
まずはお兄様、お父様に打診して
直ぐに増援の手配を!」
リアスさんの言う事は尤もだ…!
だけど……!
「それでは遅いんです!
もう奴等は
この町にいるんですよ!?
一刻も早く奴等の所に行かなきゃ
手遅れになるかもしれません!」
俺は焦りを感じていた。
サーゼクス様に連絡すれば
増援が来てくれるだろう。
けれど、今は奴等が
既に町に潜んでいて時間との勝負なんだ。
モタモタしていたら……
この町は滅びる……!
俺の大切な人達が住む
この世界が滅ぶ……!
そんな世界で
ハーレム王になったって!
羨む松田や元浜がいない世界で!
呆れる桐生がいない世界で!
初孫を楽しみに待つ
父さんや母さんのいない世界で!
俺だけが幸せになったって!
ちっとも
嬉しくなんかあるものかよ!!
だからこそ!
俺は急がなければならない!
例え命に代えてでも……!
「あ、サーゼクス達に
相談するのはダメだよ。
そうしたらこの子の命はない」
付け足す様に
クソガキが続けた。
奴等の視線の先には
生まれたままの姿で
磔にされた挙げ句
あちこち切りつけられた
イリナの姿があった……!
「私の事はいい……!
聖剣使いになってから
こうなる事は覚悟の上よ!」
イリナは毅然として
涙一つ零すことなく言い放つ。
「なに勝手に喋ってんだオラァ!」
「うぐっ!?」
フリードが
イリナの腹に蹴りを入れる。
「テメエは『タスケテー!』とか
『ヤメテー!シニタクナーイ!』
とか泣き喚けばいいんだよ!
何アドリブかましてんの?
馬鹿なの?死ぬの?」
「『エリエリレマサバクタニ』
なんてのもいいんじゃないかな?
先人をリスペクトして」
フリードとクソガキはイリナを
辱めてヘラヘラ笑っている……。
どこまでも腐りきってやがる……!
「……もう我慢ならねえ!
俺は一人でも行くぞ!!」
「待ちなさい!イッセー!!」
止めようとする
リアスさんを振り切って
窓枠に手をかける。
するとそこにふわっと
何者かが現れた。
「……ゲイトさん!?」
そうだ!この神様の力なら
一瞬でサーゼクス様達を
転送できるんじゃないだろうか!
「ゲイトさん!お願いします!
サーゼクス様達をこの場に
連れてきて下さい!」
俺はそう頼むがゲイトさんは
寂しげに首を横に振る。
「それはできない。
この問題は君達の力で
解決しなければならないんだ。
そうでなければ救いの門は
永遠に閉ざされてしまう」
救い?そんな悠長な事を
言っている場合じゃないのに!
「それに、恐らくは
車椅子の彼の仕業だろう。
転送を阻害する仕掛けが
この街全体に張り巡らされている
恐らく僕以外で転送の魔法陣を
発動させるのは不可能だ」
「そんな!?」
リアスさんの顔が曇る。
やっぱりこの人にそんな顔は似合わない。
「解りました!なんとかします!」
「うん。それでこそ
鍵を抱くもの……希望の恒星だ。
健闘を祈るよ。
さぁ、行きたまえ。
赤龍帝とその主。
私も陰ながら応援しているよ」
ゲイトさんは
微笑みを浮かべて見送ってくれる。
「はい!行ってきます!」
「……仕方ないわね。
私はリアス・グレモリー。
この駒王町の長として
何もせずに滅びるワケには
いかないわ!」
「俺だって!俺は兵藤一誠です!
リアスさんの眷属にして
最強の兵士です!」
「……聖剣使いも必要だろう?」
「……ッ!?」
突然現れた声に振り返ると
そこには回復したばかりのゼノヴィアの
姿があった。
「大丈夫なの?
貴方の破壊の聖剣はもう……」
「心配はない紅髪の滅殺姫。
火急の時でなければ使えない
切り札というものもある」
「ゼノヴィア……!」
「お前達だけに
背負わせるつもりは毛頭無い。
私も共に行こう。
そしてあの者達に正義の鉄槌を下すのだ」
あのゼノヴィアが
加わってくれるなら百人力だ!
俺達は意気揚々と
窓から飛び出した!
待ってろよ!
今すぐ助けに行くからな!
イリナ!
サーゼクスが来れない理由を無理矢理
ひねくりだした。
じゃあ何でミカエル煽ったの?
「救援に来れないのは悔しいでしょうねえ」
サタナキアとしてはイッセー達は
前菜のきのこみたいなモンやし。
あとこのネタは
ミカエルの中の人なんだよなあ……。
真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?
-
早い方がいい
-
遅いけど長いほうがいい