※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

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今回は木場、ミッテルト、レイナーレ組対
フリードですよ。

フリードは書いていて楽しいヴィランでした。
原作ではこの後キメラにされたあと
ワンパンされて退場でしたが
もう少し付き合ってもらいます。


第25話

「ぐがっ……ぎゃああああ!」

 

 フリードの全身に木場と

 イザイヤにより創造された数多の魔剣が

 突き刺さる。

 炎、氷、旋風、雷撃……。

 あらゆる属性の剣をその身に受けて

 フリードはまるで

 人形かめ組の纏のように

 宙で踊らされていた……! 

 

「大口叩いた割には

 あっさりッスね。

 いや、木場さんとイザイヤさんが

 強すぎただけッスかねぇ」

 

 ミッテルトは勝利を確信したのだろう。

 木場のほうを見て余裕たっぷりに

 微笑んだ……だが──

 次の瞬間! 

 

 ザシュッ! 

 

「……!?」

 

 背後から鎖骨辺りを

 刺されたミッテルトも

 木場、イザイヤ、レイナーレも

 あまりに突然

 の出来事に一瞬呆然となる……。

 そして──

 

「あ〜あ、俺っちのコートに

 きったねえ堕天使の血が

 ついちまいましたよ……。

 どうしてくれんだよ……! なあ!」

 

 そこに立っていたのは、

 フリード・セルゼンではないか! 

 そう、木場たちが倒したはずの

 フリードが、

 今、確かにそこに立っているのだ! 

 その形相は加虐の歓びに

 満ち満ちて、

 反吐が出そうな位に

 悍ましく、身の毛のよだつ

 凶相であった。

 

(幻術か!?)

(まさか!? バカな!?)

 

「おいおい、もう忘れちまったんですかい? 

 俺っちが悪魔祓い以外にも

 使えるもんがあるってことを……? 

 あ、話してなかったね♪ 

 御免なすってえ〜♪」

 

 バキッ! ビシャッ! 

 

 ミッテルトをまるで空き缶の様に

 蹴飛ばすと彼の周囲に鮮血が

 飛び散った。

 

「ごぶうぅ……!!」

 

 地面に転げ落ちるミッテルト

 の肩口は大きく裂けて、

 抉れていた。

 只の剣による裂傷ではないのは

 明白だ。

 

「あぁん? まだ生きてたのかよォ〜?」

 

 フリードは虫けらを潰すような

 目つきでミッテルトを見下ろす。

 更にその口は嘲笑を浮かべていた。

 

「馬鹿な……。

 あの攻撃でお前は

 完全に死んだはずだ……」

 

 

 確かに先程まで木場の魔剣に貫かれた

 フリードの死体はある。

 しかし同時に無傷のフリードが

 視線の先には存在しているのだ! 

 驚愕する木場の言葉に

 フリードはニタリと笑う。

 

「へぇ〜、この程度で

 勝ったつもりになってくれちゃったわけですか? 

 甘いですぜ! 甘すぎますぜ!! 

 マッ○スコーヒーだって

 もうちょっとホロ苦いって

 もんですぜぇ! ヒハハハハハハ!」

 

 フリードは不気味に笑った。

 どうやら隠している切り札があるのは

 木場達だけではないようだ。

 

『……どうやら何か

 秘密があるようですね。

 一体何を使ったのです?』

 

 イザイヤが

 油断なく構えながら訊ねると

 フリードは待ってましたとばかりにニタリと笑う。

 

「フッ……教えてあげましょう。

 俺っちが使ったのは、これだ! 

 テッテレ〜♪」

 

 まるでどこかの猫型ロボットが

 ひみつ道具を取り出す様な効果音を

 口ずさむや、何とフリードが

 二人になったではないか! 

 

『……これは!』

「ま、マジッスか!?」

 

 3人の驚きの声が重なった。

 

「驚いたようだねェ! 

 これが俺っちがボスより賜った

 分身能力って奴さ! 

 ヤバくね? マジヤバくねぇ?」

 

 勝ち誇るフリード・セルゼン。

 だが、そんな彼に

 イザイヤが静かに言う。

 

『そうね。

 でもあなた自身は

 大した力は

 持っていないようですね』

「ああン?」

 

 フリードは眉間にシワを寄せたが

 すぐに道化じみた笑顔を見せた。

 

「そう思うざんしょ? 

 けど今なら

 ノアの洪水キャンペーン中に

 つき同じフリードさんを

 もう二人おつけします!」

「えぇ〜そんなに安くて

 いいんですかぁ〜!?」

「さらにさらにぃ! 

 車椅子の旦那が作ってくれた

『透明の聖剣』『夢幻の聖剣』

『天閃の聖剣』『擬態の聖剣』の

 セットまで! (※本製品は

 レプリカです)」

「なんとぉ! 悪魔祓い師の

 必需品ですぞこれはー!」

 

 何と異様な光景だろうか。

 あのフリードが四人に増えて

 更に通販番組さながらの

 小芝居まで行っている。

 しかもそれぞれが握っている

 剣のデザインがどれも違う。

 

「7種の聖剣……!?」

 

 木場の身体に緊張が走る。

 あの悪魔、堕天使に特効を持つ

 7つの聖剣の内4つが

 フリードとその分身たちの

 手に握られているのだ! 

 

「クッ……厄介な事になったな」

 

 木場が呟いたその時──

 

「「「「ヒャッハー! 

 とりま死んどけやァ!」」」」

 

 フリードの分身たちが一斉に襲いかかってきた! 

 どれもこれもが人格はともかく

 一線級の殺戮者である。

 

「チィ!」

 木場は舌打ちすると、

 手に持つ魔剣をフリードに向けて

 振り払うが……! 

 

「なーにがチィだよ! 

 鳴き麻雀かぁ! テメーはよぉ!」

「関西麻雀は完先だからさァ! 

 その手親チョンだよぉ!!」

 

 フリードと2体の分身が

 怒濤の勢いで攻め立てる! 

 

「ぐっ……! この……!」

 

 木場は歯噛みしながらも、

 何とか応戦するが、

 自身を高速化させる

 天閃の聖剣と

 様々な角度から敵を攻撃する

 擬態の聖剣の相性は各別。

 多角的攻撃に苦戦する木場。

 

「クソッ! このままでは……」

『落ち着いて祐斗! 

 私が貴方の目になるから……』

 焦りを見せる木場に対し、

 彼を落ち着かせるように

 声をかけるイザイヤ。

 その言葉の通り、

 彼女の霊力を借りる事によって

 フリードの攻撃をある程度はかわせるようになった。

 だが……反撃の糸口は未だ

 掴めずにいた。

 

「やあやあ、元雇い主の

 レイナーレさんお元気でしたあ?」

「ええ……。

 あなたも生きていたとは

 思わなかったわ」

「ええ、ええ、俺っちもですよ。

 仮面キャラになってまで

 しぶとく生き残ってたなんて

 思いませんでしたよォ〜? 

 つーかぶっちゃけ聖女の微笑みを

 得た所でアザゼルの野郎が

 アンタに振り向くって

 ホントに思ってたん? 

 ヤッベヤッベ! 

 笑いすぎて腹イタァイ! 

 しかも文字通り頭隠して

 尻隠さずそのまんまのそのカッコ! 

 マジサイコー!」

「黙れ! 貴様があの御方と

 賜った戦闘服を愚弄するなっ!」

 

 どうやらレイナーレは格好を馬鹿にされた事が

 気に障ったらしい。

 まるで戦士のように吠えるが

 フリードは剽げた態度を崩さない。

 

「ああん? 何言ってんの? 

 そんなエロいだけのコスプレまがいの衣装が

 人工神器とかマジあり得ねぇしぃ〜!」

「ほざけ!」

 

 レイナーレは光の大鎌を振るい、

 フリードのよく回る舌を顎ごと

 切り飛ばそうとしたが……! 

 

『止めろよレイナーレ。

 お前には悪い事をしちまった。

 本当にすまない』

 

 まるで時間が停止したように

 レイナーレの大鎌が止まる。

 無理もないことだ。

 堕天使総督アザゼルが

 真剣な表情を浮かべて、

 彼女に詫びの言葉を口にしているのだから。

 

「そ、そんな……! 

 アザゼルさまが私に謝るだなんて!?」

『ああ。だが俺は決めたんだ。

 もう二度と

 部下を見捨てたりしないと。

 今度こそ皆を守ってみせると』

「ああ……アザゼルさまぁ!」

『という訳で今からでも遅くない。

 俺の所に帰ってこい』

「はい! 喜んで!」

 

 大喜びでアザゼルのもとへ

 帰ろうとするレイナーレ。

 やはり産み直された身であっても畏敬や私淑は

 消え去るものではない。

 だが……! 

 

『ヒャッハハハハァ! 

 ウソに決まってるだろ

 このバカアマァ! 

 ホントに

 ノー味噌入ってんのか!?』

「……!? ぐがっ……!」

 

 突如アザゼルの人相が変わると

 その胸元に深々と

 聖剣が突き刺さる! 

 堕天使すらも打ち払う聖剣は

 レイナーレの胸を違う意味で

 焦がしていく。

 

「夢幻の聖剣による幻覚だよ! 

 このマヌケがぁ! 

 こんな使い古された手に

 引っかかるとか

 BBA何年生まれ?」

「き……さま……! よくも……!」

 

 仮面の下にて

 憤怒に満ちた形相で

 フリードを睨むレイナーレに

 フリードは舌を出しながら言う。

 

「テメーの

 その面が見たかったんだよ! 

 そのジュンジョーを踏み躙られた

 悔しそうな顔がなぁ! 

 テメーみたいなカスのクズ女が

 俺に勝てるワケねーじゃん! 

 マジウけるぅ〜! 

 テメーは一生

 ゴキブリみてーに

 這いつくばってろや!」

 

 フリードの多段切りにより

 レイナーレの羽根が切り裂かれ、

 地面に叩きつけられる。

 

「ぐはっ……! う、ぐ……」

「さぁ、さぁ、さぁ! 

 泣いて命乞いしろよ! 

 そしたら堕天使ダルマじゃなくて

 首チョンパで楽に殺してやるぜ? 

 ま、どっちみち死ぬんだけどネ!」

「く……く……」

 

 仮面の下からレイナーレの

 声が漏れていた。

 嗚咽かはたまた呪詛か。

 どのみちフリードの加虐嗜好を

 大いに満たすことには変わりなく

 つい聞き耳を立てる。

「……くく……くくくくく……」

 

 レイナーレは笑っていた。

 フリードの嘲笑を受けてなお、

 その声は止まらない。

 

「アーハッハハハ!! 

 何笑ってやがんのぉ! 

 ついに頭おかしくなった? 

 それとも怖くて気が触れちゃった? 

 マジキモいんですけどぉ? ……ん?」

 

 フリードは鼻をしかめた。

 周囲に立ち込める悪臭のためだ。

 排泄物、吐瀉物、腐肉を

 煮詰めて凝縮した様な

 匂いが辺りに立ち込めている。

 しかも燻した様な煙まで

 羽根が生み出した鋭角の

 魔法陣から放たれている。

 

「……ああん? なんだぁ? 

 この臭いのはよォ? クソか? 

 クソでも漏らしやがったか? 

 ゲロの次はクソかよ! 

 マジあり得ねえわ! 

 これだから下品なメス堕天使は!」

「…………」

「あれれぇ〜? なんか言ってみろよ! 

 まさか本当に糞を漏らしたん

 じゃあないだろうねぇ〜?」

「…………」

「チッ……無視かよ! 

 まあ、いいや。

 テメーの愛するアザゼル様の

 姿で葬ってやらあ!」

 

 夢幻の聖剣により再び

 アザゼルの姿へと変貌した

 フリードはその凶刃を

 振るわんとする。

 が……フリードの手首より

 下がなくなっていた。

 まるで噛み砕かれたかの様に

 ギザギザの断面を残すのみ。

 

『ぎやああああ!! 

 お、俺の腕がああああ!!』

 

 ドボドボと赤黒い血が

 切断面から流れ出る。

 フリードが腕を押さえつつ

 振り返るとそこには

 

「うまい、うまい。

 せいなるかな。せいなるかな」

 

 いつの間にか何かがいた。

 靄に塗れたひどく穢らわしい何か。

 獣とも人ともつかないソレは

 フリードの夢幻の聖剣を

 手首ごと噛みちぎっていたのだ。

 

「あくまはらい、せいなるかな。

 うまいうまい」

 

 そしてその異形はフリードの足に

 飛びかかる。

 

『ひぃっ!? やめっ!?』

 

 バクンッ! と音がして

 フリードの膝から下が噛みちぎられた。

 

『い、痛え! 痛え! 痛え!』

 

 あまりの激痛に絶叫するフリード。

 だが彼の不幸はここからだ。

 

「ほしい、ほしい。

 もっとくわせろ。せいなるかな」

「うまいうまい。

 よこせよこせ」

 

 見た者は恐らく目を背けるか、

 心弱い者は卒倒するか

 小間物屋を広げるだろう光景だ。

 鋭角の噛み傷から

 おぞましきモノたちが

 産道を抜ける赤子の様に

 溢れ出していく。

 

『な、何だよコレはぁ!?』

 

 片手と片足を失っては

 逃げることも叶わず

 異形のモノたちにフリードはあっさりと

 囲まれる。まるで仔羊の様に震え

 失禁までしていた。

 

「美味そう。うまそう。

 いただきます。いただきます

 せいなるかな、せいなるかな」

「いただいてあげる。

 わたしたちで、くってあげる。

 せいなるかな、せいなるかな」

 

 口々に言いながらフリードの

 身体に食らいつく異形の者たち。

 レイナーレは仮面を外して

 無表情で謝肉祭の惨劇を

 見つめている。

 

「聖剣使いの因子……。

 光の堕天使の権能……。

 不浄より生まれ清浄を求める

 そいつ等にすればアンタは

 この上ない御馳走でしょうね……」

『ぎゃあああああ……! 

 イダ……イダイッ! 

 たず……たずげ……!? 

 だすげべべ……』

「たべたい。たべたい。

 おいしくたべるから。

 いただきます。いただきます」

「ごちそうさま。せいなるかな。

 せいなるかな。おいしいおいしい。

 たのしかった。たのしい」

 

 レイナーレはただ黙して見届ける。

 尤もそれはフリードへの

 黙祷でも哀悼の意を表する

 ものではなかった。

 

(あの方の似姿と声で断末魔を

 聞かせてくるとは……

 最期まで下衆な男だったわ)

 

 レイナーレは再度装着した仮面の下から

 一筋の涙を流す。

 彼女の瞳にはアザゼルの

 偽者の姿の残骸が映っていた。

 

 ー

 

「うっわマジか……。

 えげつねえ技持ってるわ〜。

 流石元上司!」

 

 自身の分身が喰われたというのに

 ミッテルトを相手にする

 フリードは余裕の表情だ。

 ミッテルトは肩口を抉られ

 半死の状態である故か。

 あるいは既にその精神は

 狂気に蝕まれていたためだろうか。

 いや、彼の『透明の聖剣』は

 自身を不可視の存在にする。

 つまり彼自身が周囲の風景と同化し、

 姿を隠すことができるのだ。

 一方的に相手を打ちのめす快感に

 酔いしれるフリードは

 好き勝手にミッテルトへと

 斬撃を加える。

 ミッテルトも反撃を試みるが、

 不可視の存在

 となったフリードを捉えられずにいた。

 フリードの剣がミッテルトの

 脇腹を切り裂き鮮血が舞う。

 

「ぐっ!」

「アーハッハ! 

 俺様強靭! 俺様無敵! 俺様最強! 

 テメーら雑魚なんて相手にならねえよ!」

 

『透明の聖剣』による

 一方的な戦い、いや狩りに

 フリードは大喜びだ。

 フリードは高笑いしながら

 

「さて、次はどこを

 切り刻んじゃおっかなぁ〜?」

 

 と獲物を前に舌舐めずりまでする有様だ。

 

 フリードは『透明の聖剣』を振るい、

 辺りを滅多斬りにしていく。

 その猛攻を受けたミッテルトの悲鳴が上がる。

 

「きゃあああああ!!」

「アーッハッハ! 

 良い声で泣きやがるぜ! 

 俺様ちゃんに恐怖したか? ん?」

 

 フリードは調子に乗って更に

『透明の聖剣』を振るい続ける。

 

「おらおら! どうした! 

 逃げてばっかじゃあ勝てねーぞ! 

 おらおらおらおら!」

 フリードが振り回す

『透明の聖剣』が、

 ミッテルトを何度も打ち据え、

 血飛沫と肉片が宙を舞った。

 

「ぐっ……」

 

 ミッテルトは遂に近くの

 大木へと背中を預ける。

 

「おやおやぁ〜? 

 クソビッチのクソ堕天使にしては

 頭が回るねぇ? 

 後ろや横をカバーすれば

 前からしか攻撃できないから

 カウンターでワンチャンって? 

 ヒャハハハハハ! 

 いいぜ、

 乗ってやるよクソビッチ! 

 テメーの小汚え光の槍と

 麗しく清い聖剣の一撃、

 どっちが早いかなあ!?」

 

 と、口では言うがフリードは

 勝負に乗る気など初めからない。

 

(ギャハハハ! バカが! 

 俺様の剣技でその程度の木が

 切れねーなんて

 思ってんのかよ!? 

 ヒヒッ……! 大木ごと真っ二つに

 なった時のコイツのツラが

 見ものだぜ……! 

 驚愕するか、絶望するかなあ!?)

 

 フリードは勝ち誇って笑う。

 そして彼は『透明の聖剣』を

 大きく横薙ぎに振る態勢に構えた。

 

「オラァッ! 死ねや! 堕天……」

 

 フッ……シュオォォォン!! 

 

 音を置き去りにした斬撃の後

 ジェット気流の如き一陣の風が舞い、

 フリードは

 辺りの木々ごと

 真一文字に切り裂かれていた。

 

(な……何だこりゃああ!?)

 

 自分の身に何が起きたか理解できない。

 彼の表情は驚愕に満ちていた。

 

 見上げた先には

 ミッテルトの姿があるが、

 背丈、肉付ともに

 先程までの彼女とはまるで違う。

 レイナーレと遜色ない程に

 体は成長しているだけでなく

 彼女の肌は褐色に染まっており、

 両翼も闇色に染められている。

 さらに全身からは

 ドス黒いオーラが溢れている。

 

「これは……一体……!?」

 

 ヒュゴッ! グシャッ!! 

 

 力量差に絶望した彼の顔は

 まるで圧搾機に処理される

 野菜屑の様に踏み潰された。

 

「散々うちに

 フカシてくれたじゃないスか……

 このクソ神父……!」

 

 姿を保つ事が限界だったのか

 すぐに元の姿に戻ったミッテルトは

 切り株にもたれかかり溜息を

 漏らしていた。

「ふぅ……。

 あー、しんどっ。

 にしてもあの野郎、

 うちの事馬鹿にしすぎっしょ……。

 まあでもおかげで少しだけ

『禁手化』に近づけたッスけど……」

 

 ー

 

 そして木場と二人の

 フリードとの戦いは続いていた。

 フリードはそれぞれ

『天閃の聖剣』、『擬態の聖剣』を

 駆使して木場とイザイヤを

 追い詰める。

 しかも戦況は圧倒的にフリードが有利であった。

『天閃の聖剣』の刃が煌めき、閃光の如く斬りかかる。

 

「くっ!」

「甘いんだよ! アメイジングだよ! 

 クソガキィ!」

 

 フリードの聖剣を辛うじてかわすものの、

 もう一人のフリードの

『擬態の聖剣』の螺旋状になった

 刀身が木場の腹部に突き刺さる。

 

「ぐあっ!」

「アーハッハ! まずは一人ぃ〜!!」

 

 木場は腹を押さえて膝を突いた。

 フリードは嘲笑いながら

『擬態の聖剣』を引き抜こうと

 したが……。

 

「アレ? 何だ抜けねえ……? 

 コラコライケメンちゃん? 

 聖剣はクソゴミ

 悪魔に毒ですよォ? 

 ペーッてしなさい! 

 ペーッってえ!」

 

 フリードは『擬態の聖剣』が

 木場の体から抜けずに困惑する。

 

「チッ! 面倒クセェ! 

 オイテメエ! さっさと死ね!」

 

 だが、『天閃の聖剣』も木場の体に

 吸い込まれていく。

 更には主を一時失った『夢幻の聖剣』、

『不可視の聖剣』までもがだ。

 

「おいおいおい! 

 マジックショーですかあ!?」

 

 流石のフリード達も困惑を

 隠せずにいた。

 すると木場の双眸から

 涙が溢れ出る……。

 無論だが痛みによるものではない。

 

「ずっと……思っていたんだ。

 僕達が……私達が生きていて

 いいのかって……」

「懺悔室じゃねーんですけど

 ココはぁ!?」

 

 木場とイザイヤの独白に

 フリードは嫌悪感を露わにしながら発砲した。

 しかし木場達にその凶弾すらも

 吸収されていく。

 

「僕よりも夢を持った子がいた」

「私よりも生きたかった子がいた」

「聖剣の因子も神の救いも

 関係ない人間の子だった」

『僕らでは一人では駄目だった』

『私達だけでは

 因子が足りなかった』

 

 歌が聞こえる。

 卑賤も高貴も、堕天使も悪魔もなく

 全てを救うかの様な美しい歌声。

 

『聖剣を受け入れるんだ』

『怖くなんてない』

『神がいなくても』

『神が見ていなくても』

『僕たちの心はいつだって……』

「「ひとつだ」」

 

 木場とイザイヤが光に包まれ、

 その姿が一つになる。

 その姿はイザイヤの麗しさと

 木場の精悍さを併せ持つ

 天上の大天使か戦女神を思わせた。

 そしてその手に一本の剣が宿る。

 

「「これは……?」」

『神が死んで、悪魔が去っても』

『僕らの道は終わらない』

『生きている限り、道は続く』

『運命なんて関係ない』

『道は自分達で切り拓くモノ』

『だから恐れず進もう!』

 

「おいおいおいおい! 

 何だよそりゃあ! 

 何だよそりゃあ!! 

 レプリカとはいえ聖剣だぞ!? 

 融合したら

 街が消し飛ぶんじゃねーのか!?」

 

 パニック寸前のフリードたちは

 すぐにでも逃げ出そうとした。

 だがその背後にはフリードたちの

 見知らぬ青年の姿がある。

 紫陽花の様な髪型に

 虹色の瞳を持つ静かながら

 威容を放つ青年だ。

 

「どうやら鍵の一つが

 生まれた様だね。

 これで滅びの未来はまた遠ざかる。

 喜ばしい事だ」

 

 解らない。

 フリードたちには

 眼の前に現れた聖と魔が

 融合した究極の聖魔剣も

 青年の言動の真意も。

 だが確実な敗北と死が

 迫っている事はわかる。

 

「冥府の狭間にて

『禍津星』に伝えるといい。

 凶星に魅入られた小さきものよ。

 彼らの命の輝きがある限り

 滅びの未来は訪れないと」

 

 はっきりと宣戦布告をするかの様に

 青年は言った。

 しかしフリードにメッセンジャーになる

 義理などはない。

 

「バカが! 

 死んでたまるか! 

 俺は死なねえ! 

 死ぬわけがねえ! 

 俺は『禍津星』に選ばれたんだ! 

 特別なんだよ! 

 だからテメエらは……! 

 消えろおおおぉ!!」

 

 フリードたちは最後の抵抗と

 ばかりに特攻を試みたが

 木場はすらり、と剣を構えた。

 

『『福音呼びし勝鬨の剣!! 

(コール・ブランド)』』

 

 木場が振るうのは

 聖剣に魔の力が融合したことによる

 原初の宝剣。

 斬撃は透明による不可視。

 軌道は夢幻による縦横。

 段数は擬態による千撃。

 その速さは天閃による刹那。

 更に数多の魔剣の力が備わった事による

 多重の属性攻撃。

 今、木場祐斗とイザイヤは

 融合を果たす事による

『聖魔剣』の素養に

 目覚めたのだ。

 フリード達は知る由もない。

 何故ならその圧倒的な

 斬撃の嵐は彼らの肉体を

 塵と化していったからだ。

 

「やったッスね!」

「……どうやら貴方も

 至ったようね。

 アザゼル様が昔仰っていた

『禁手化』に」

 

 称賛の言葉と共にフラフラながらも

 木場のもとへと歩み寄る

 ミッテルトと木場を

 後方にて支えるレイナーレ。

 3人の目の前ではフリード達が

 光の粒子となって消滅していく。

 だが木場はそんな光景を

 見ても表情を変えない。

 何故ならまだ二人の黒幕が

 残っている。

 サタナキア、

 もといサタナエルとコカビエル。

 この二人だけはフリード達の

 様にはいかないだろう。

 それでも木場達は進む。

 死ぬのではなく生きるために。

 

 ー

 

「所でコイツらは……?」

「いや、それが戻し方までは

 教わってないのよ……」

 穢れし靄に包まれた

 おぞましきモノたちであったが。

「ああ、だめだ。だめだ。

 まるいものはだめだ!」

「おまえたちはけがれている。

 いやだ、いやだ、もうかえる」

「おっぱいこわい、かえる」

「かえろうぜ、おれたちのくにへ」

 

 好き勝手な事を言いながら

 それ等は靄と共に消え去って

 いった。

 

「泣いていいスか?」

「泣いていいかしら?」

「泣かないでくれ……。

 僕達まで泣きそうになるから……」

「………………グスっ」

 木場、ミッテルト、レイナーレの

 3人は涙目になりつつ

 歩き始めるのであったとさ。




原作そのままじゃ書いてるのも何だから
色々アレンジした。

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

  • 早い方がいい
  • 遅いけど長いほうがいい
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