※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

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中途半端にエロを入れるより
バトルを書ききった方がよさそう。
ソーナ達の出番どうしようかな……。


第26話

 制動の巨神はまるで咆哮の様に

 歯車を軋ませた。

 途端に巻き起こるのは、

 大地が爆ぜる様な震動と暴風。

 それはさながら

 天変地異にも等しいものであった。

 

「ただ動いているだけで

 攻撃になるっていうのかよ……!」

 

 踏ん張りながらも安里は

 忌々しげに歯噛みした。

 その言葉通り、巨大な質量を持つ

 機動兵器はただ動くという事が

 それ即ち攻撃手段となるのだ。

 質量差があまりにもありすぎる! 

 

「くそっ! 

 どうすりゃいいんだよ!?」

「落ち着け安里! 

 どのような名機であろうと

 足を挫けば動けなくなる筈!」

 

 煉獄は安里にそう言うと

 自ら制動の巨神へと駆け出す。

 その速さは尋常ではない。

 疾風の様な速度を以てして

 瞬く間に巨神の足元へ到達する。

 ひゅうぅ、と息吹を吐き出すと

 彼は腰に差した日輪刀を

 居合の要領にて抜き打ちに

 振り抜く。

 

「炎の呼吸、壱の型『不知火』!」

 

 刃より放たれたのは

 火炎を思わせる程の

 高熱を帯びた斬撃。

 それは見事に

 巨神の脚部へと命中し傷跡を残す。

 筈であった。

 

「妙な……! 

 これは、妖術か!?」

 

 何と制動の巨神に日輪刀の刃が

 迫ろうとした時、

 不思議な力で弾かれたのだ! 

 しかし煉獄は一度切りで挫ける

 やわな男ではない。

 反動を利用して第二撃を放つ。

 

「弐の型、『昇り炎天』!」

 

 今度は下方から上方に向けて

 斬り上げる様に放つ技だ。

 これまた狙い違わず命中するも

 やはり結果は同じである。

 しかし煉獄はその事実をまるで

 気にする事無く第三撃を放った。

 

「参の型『気焔万丈』!」

 

 その名の通り、

 激しく燃え盛る炎の如く

 力強い踏み込みからの

 渾身の一撃だ。

 これならば流石に効いただろうと

 安里とニトクリスも思ったのだが……。

 またしても刃は阻まれてしまった。

 

「ぬう……!」

 

 これには流石の煉獄も

 驚きを隠せない。

 一体どんな仕組みなのか? 

 表情は変わらぬも、

 内心では

 動揺している様子だった。

 そんな彼に対して制動の巨神は

 歯車を鳴らすと、無造作に

 近くの木々を掴んで持ち上げると

 それを軽々と投げつけてきた。

 軽々とは言っても

 駒王町の豊かな自然が育んだ

 巨木たちだ。まともに喰らえば

 大怪我どころではなく

 下手をすれば命を落としかねない。

 だが、それ故に読みやすい。

 

「ふむ、単純な力比べなら望む所!」

 

 煉獄は再び地を蹴って

 加速すると次々と飛んでくる大木たちを

 何と石段を駆け上がるかの様に

 跳躍しながら避けていく。

 そしてそのまま巨神の

 掌へ辿り着くと、

 日輪刀を構えて迎撃に出た。

 

「肆の型『盛炎のうねり』!」

 

 轟く様な叫びと共に

 日輪刀を振るった刹那、

 炎が巻き起こる。

 それはまるで生き物のように

 渦を巻き、掌に乗っていた

 車椅子の男へと迫る! 

 しかし、男の口元はニタリ、と

 歪み狼狽や恐怖はまるでない。

 寧ろ余裕すら感じさせるものだ。

 果たして、日輪刀から発せられた

 炎の斬気すら制動の巨神の結界は

 阻んでしまったのだ! 

 

(なんという堅牢さ……!)

 

 さしもの百戦錬磨の煉獄杏寿郎とて

 内心舌を巻く。

 刹那、巨神の片手がまるで

 蝿でも追い払うかの様に振られた。

 途端、煉獄は

 弾き飛ばされてしまう。

 

「ぐっ……!?」

 

 咄嵯に身を捻るも回避は叶わず、

 彼の身体は地へと

 叩き落されようとしていた。

 咄嗟に安里は

『燃える三眼』の武態により

 両腕を触手と変えて、

 ネット状に展開することで

 彼を受け止めた。

 

「大丈夫ですか!?」

「ああ、助かったぞ安里!」

 

 そう言いながら二人は

 同時に体勢を立て直す。

 

「しかし俺の斬気すら阻む

 結界とはな……。

 俺も未だ修行の足りぬ身! 

 汗顔の至りだ!」

 

 表情は崩さぬが煉獄の言葉には

 悔しさが滲んでいる。

 それを感じ取ったのか、

 男は楽しげに笑い声を上げた。

 

 まるで嘲笑うかの様な響きを持った

 不快なものではあったが。

 

「コラッ! ミイラジジイ! 

 デカブツの掌に乗って

 いい気になるな! 

 降りて勝負しやがれ!!」

 

 いかんせん挑発にしては

 安里の言葉は魂胆が

 見え透いていた。

 勿論、それは男にも

 わかっている事だろう。

 案の定、彼は再び侮蔑に満ちた

 笑みを浮かべると

 制動の巨神に命じ

 巨大な拳を振り上げさせた。

 当然、その標的は……。

 安里達である。

 ドゴォン! と、

 爆音を立てて振り降ろされ、

 その熱波で先に投げ捨てられた

 木々が発火する有様であった。

 しかし、安里達は無事だ。

 何故ならば、先程まで

 彼が立っていた場所にはニトクリスの張った

 結界が展開されているからだ。

 

「恩に着る!」

「お礼は後で構いません! 

 それよりも、この怪物は……」

「うむ、妖術の類ではない! 

 恐らくこれは何らかの機械仕掛けによるもの! 

 故に、動力源を断つのが肝要だろう! 

 安里! 君の力で

 奴の動きを止めてくれ!」

 

 止めてくれ! とは気軽に言うが

 あの巨体を相手にするのは

 簡単ではないだろう。

 と安里は天を仰ぐ。

 

 彼の見立てでは

 制動の巨神は

 全長50メートルは下らない。

 しかも、巨神はただ

 止まっている訳ではない。

 あれだけの重量があるにも

 関わらず一歩ずつ前進して来ているのだ。

 このまま進めば数分と経たずに

 此処に辿り着くのは

 自明の理である。

 

「わかりました! 

 やってみます!」

 

 しかし、安里も覚悟を決めた。

 ここで自分が踏ん張らなければ

 多くの命が失われてしまう。

 それだけは避けなければならない。

 

(燃える三眼……『顕色』!)

 

 ギョロリ、と彼の触手と

 化した右腕から瞳が現れ

 その虹彩が赤く輝く。

 

(幾ら何だってあの

 無敵バリアが

 いつでもどこでも

 発揮されている

 筈はねぇ……! 

 どこかに継ぎ目が有るはずだ……!)

 

 安里は全身全霊の力を込めながら

 制動の巨神の結界を解析した。

 そして遂に

 弱点を見抜くことに成功する。

 

「そこかぁっ!!」

 

 刹那、安里の右腕が

 一際大きく膨張すると

 そこから放たれたのは

 体内で精製された榴弾だ。

 砲弾は一直線に飛翔すると、

 結界の繋ぎ目へと直撃し、

 そこにヒビを生じさせた。

 

「今です!」

「承知!」

 

 煉獄は日輪刀を構えながら疾走し、

 制動の巨神の足下へ潜り込むとその腱を切断した。

 

「よっしゃあ!! 

 流石煉獄さん! 

 これであのデカブツは

 伝承通りなら御陀仏だぜ!!」

 

 と、思わずガッツポーズを取る

 安里であった。

 制動の巨神、タロスは

 伝承通りならば

 歩行不能どころかそこから

 破壊された筈だ。

 ところが、だ。

 

「くく……くっくっくっく……」

 

 車椅子の男は愉快そうに笑うと

 車椅子の腕置き場を

 バンバンと上機嫌に叩いた。

 

「馬鹿め! 馬鹿め!! 馬鹿め!!! 

 この錬鉄の神にして『窯』の

 権能を呑み込んだこの

 ヘパイストスが弱点を

 そのままにしておくと

 思っていたのか!?」

「なんだって!?」

 

 驚愕する安里の前で

 巨神の右足が修復されていく。

 

「この巨人はな! 

 我が権能による産物なのだ! 

 故に、その構造など

 手に取るようにわかるし

 復元など容易い! 

 貴様らの浅知恵ごときで

 この私を倒せると思うてか! 

 愚物どもが!」

 

 そう言って高笑いをする。

 しかも真名まで明かしてだ。

 つまり安里達に対する

 必殺の自信の現れでもある。

 

「何と……それでは

 倒しようがないではありませんか!」

 

 ニトクリスもこれには

 驚きを隠せない。

 しかし、傍らの

 安里は一方でこうも思った。

 

(それなら何でサタナキアや

 コカビエルと組んだり、

 キュクロやフリードを

 足止めに使う必要などある? 

 何か隠してやがるのか?)

 

 その疑念が浮かぶと同時に

 彼は再び制動の巨神を観察した。

 

(……? よく見ると……コイツ……)

 

 改めて『顕色』を発動し、

 過去の映像と比較する。

 そこで安里は

 一つの可能性を見出した。

 

(やっぱり、そうだ……! 

 よく見るとコイツ……!)

 

「どうするのです我が盟友! 

 杏寿郎! 

 退くにしても進むにしても

 そろそろ決断しなければ!」

「うむ、確かにな! だが、

 この怪物を放置すれば

 イッセー達が挟み打ちとなる! 

 如何に赤龍帝と言えども

 三者を一度に相手取るというのは

 至難の業だろう!」

「私とて未熟なれど

 ファラオなれば、

 その程度解ってはいます……」

 

 

 ニトクリスは俯き、肩を震わせた。

 この状況を打破するには

 力が足りないと。

 しかしその時、安里が口を開く。

 

「飽くまで俺の読みなんで

 ……分の悪い賭けなんスけど

 付き合ってくれますか?」

 

 そう言うと安里は

 自らの仮説を語り始め、

 煉獄とニトクリスは

 黙って彼の説を聞き入れた。

 

「いいだろう! 

 俺は元々死んだ身の上! 

 君の策に乗ろう! 

 安里! ニトクリス! 

 命を燃やす時が来た!」

「死してもあるべき所に

 戻るだけの事ならば」

 

 そして、二人は揃って

 首を縦に振った。

 二人の反応を見て、

 安里は満足げに微笑んだ。

 その表情には

 微塵も諦めの色はない。

 その瞳は勝利への

 渇望に燃えていた。

 

「行くぞ!!」

 

 そして三人は同時に

 巨神へと総攻撃をかけた。

「愚劣なり! 

 愚鈍なり! 

 愚物なりぃっ!!」

 

 ヘパイストスは更に笑みを

 深めながら高らかに叫ぶが今更

 怯む安里たちではない。

 

「今一度教えてくれよう! 

 我が権能の恐るべき力! 

『モロクの大窯』を!」

「それは

 もうわかっているんだよタコ!」

 

 安里は制動の巨神の左足に

 ありったけの榴弾を

 両手両足を砲台にして叩き込む。

 制動の巨神の足元が火の海

 に包まれるが、それでも巨神の

 歩みは止まらない。

 

「無駄だぁっ! 

 この巨神の

 足を止めることなど

 できぬわぁ!!」

 

 制動の巨神の目が光ると

 何と紅色の熱線が放たれた。

 

「くぅッ!?」

「あぢゃああああっ!?」

 

 安里とニトクリスは回避を

 試みるが、シャブティを防御壁に

 したニトクリスはともかく

 両足まで砲台に武装していた安里は

 完全に避けきれずに被弾してしまう。

 

「ぐあああっ!?」

「くくく……! 無様な姿だな! 

 やはり貴様らは所詮はその程度の存在よ! 

 我が権能の前にはいかなる攻撃も無意味! 

 故に、この巨神を止める術はないのだ!」

 

 車椅子の男は高笑いしながら

 再び車椅子の腕置きを

 バンバンと叩く。

 

「果たしてそうかな?」

 

 煉獄は上空にて安里の仮説を再び

 思い起こしていた。

 

(俺の読みが正しければ…………は

 …………なんです。

 だから俺とニトクリスさんと

 煉獄さんでありったけの

 攻撃を叩きこめば……!)

 

 二人の支援砲撃を受けながら

 煉獄は再び飛び上がる。

 狙うのはまたしても

 車椅子の男だ。

 

「何度やっても同じだ!」

 

 車椅子の男が叫ぶと

 巨神の目が光り、熱線を放つ。

 

「同じではない! 

 人は常に成長する! 神と人の差はそこにある!」

 

 煉獄は叫び返すや熱線すら

 切り払った! 

 

「何だと!?」

 

 驚愕する男を尻目に

 煉獄は全ての力を込めて

 日輪刀を握りしめる。

 するとどうだ! 

 何と彼の日輪刀は

 伝承の緋緋色金の如き

 輝きを発した! 

 

「炎の呼吸……奥義!! 

 玖ノ型・煉獄!!!」

 

 そして彼は渾身の力で

 その一撃を振り下ろした! 

 

「ぬおおおぉおっ!!」

 

 振り下ろされた斬撃が

 巨神を捉えかけるが……! 

 人ならざる身になりかけても

 神滅具を打ち壊す事は

 不可能なのか……!? 

 

「クハハハッ!」

 

 結界は撃ち抜いたものの

 必殺の一撃とは成り得ず……! 

 

 余りにも質量差がありすぎた。

「馬鹿な奴め! 

『モロクの大窯』とこの『制動の巨神』に

 敵う者などいない! それが世の理なのだ!」

 

 ヘパイストスは断言して勝ち誇る。

 それに呼応するかの様に

 安里の心の中に暗闇から

 彼らの健闘を嘲笑する声が

 響いていく。

 

『ふひひ、ひひひ。

 むだだ、むだだ』

『お前達の力なんてこの程度さ』

『虫螻はぷちりと潰されて

 死ぬだけなのさ』

『馬鹿め、馬鹿め。

 見て見ぬふりをして

 泣き寝入りすれば

 良かったんだ』

『ふひ、ふひひ……あ……』

 

 しかし、今の彼には

 ニトクリス、煉獄杏寿郎という

 闇夜に浮かぶ星がある。

『不吉の凶星』の嘲弄に

 呑まれることなどない。

 それどころか……。

 がしり、と一つ首を

 掴むイメージを浮かべる。

 まるで毒蛇の首根っこを

 鷲づかみにする様に。

 

『ふひ? はなせ、はなせ。

 おまえはまけるんだ! 

 おまえたちはむだなんだ! 

 はなせ! はなせ! 

 つかむのをやめろ!!』

「無駄じゃない。

 無駄なんかじゃねえよ。

 だって俺はこんな所で負けてらんねえ。

 俺の大切な仲間達がいるんだ。

 あいつらのためにも……。

 てめえらも高みの見物ばかり

 してねえで木戸銭払えや!」

 

 そして安里は叫んだ。

 

「出て来いやッ! 

『忌まわしき狩人』ッ!!」

 

 安里の呼びかけに応じる様に

 彼の触手が変化していく。

 その腕はこの世の理を無視する

 様に膨れ上がり、一つの形を

 成していく。

 それは巨大な蛇、或いは

 一頭龍ともいうべき

 異形の姿だった。

 鉤爪の様な顎門に禍々しい鱗。

 そして、安里の意思に

 呼応して大きく開かれた口腔は

 既に獲物を喰らう為の牙を剥く。

 

「kieeeee!!」

『忌まわしき狩人』は

 正気を刈取る様な

 甲高い絶叫を上げながら

 制動の巨神へと突進した。

 

「何ィッ!?」

 

 車椅子の男の顔から

 余裕の笑みが消える。

 制動の巨神の身体は瞬く間に

 巨大かつ鋭利な鱗の棘に覆われ、

 その瞳は紅玉の如き

 真紅に染まった。

 

「ぐあああっ!?」

 そして安里は苦痛の叫びを上げる。

 

「安里!? 大丈夫ですか!?」

 

 ニトクリスが慌てて駆け寄る。

 安里の身体は『忌まわしき狩人』を

 顕現させた負荷によるものか

 酷く傷つき、血飛沫をあげている。

 

「くくく……! 

 人の身にて神の奉仕者を

 無理矢理顕現させたのだから

 さもあろうよ! 

 貴様はもう終わりだ! 

 そのまま無様な肉塊に

 成り果てるがいい!」

 

 肉体が軋み、肉が弾け、

 骨髄が悲鳴を上げるように

 激痛が全身を走る。

 それでもなお、安里は

 歯を食いしばり

 意識を保ち続けた。

 

「……まだ、だ」

「何?」

「……俺はまだ、終わらねえ! 

 ……俺には、守りたいものがある! 

 ……だから……

 テメェも逝っちまええぇぇ!」

「……KyyaaaaaAAAA!」

 

 そして、『忌まわしき狩人』は

 その身を激しく躍動させ

 煉獄がつけた傷を目印にして

 巨神の顔の半分に牙を立てた! 

 それに呼応する様に

 遂に安里の仮説が立証される。

 青銅色から既に赤銅色に

 変色した制動の巨神のあちこちが

 罅割れ、炎が生じ始めたのだ! 

 

「これは……!」

 

 そう、『モロクの大窯』による

 動力や『制動の巨神』の

 結界は無限だが排熱には

 限界があった。 

 過ぎた力や憎悪は己を焼く故事は

 機械も神も例外ではなかったのだ。

 

『ひょおぉぉぉぉぉ……』

 

 それはオーバーヒートによって

 排気が吹き抜ける事による

 笛の原理と同じ空気の

 振動であったが制動の巨神の

 悲鳴にも似た断末魔が辺りに響き渡る。

 

「馬鹿な、馬鹿な、馬鹿なぁっ!? 

 何故だ、何故だ、何故だ!! 

 何故こうなる!? 

 何故!? 何故!? 

 何故皆、私を裏切るっ!? 

 私の作った存在が何故私の期待を……!?」

 

 車椅子の男、ヘパイストスは

 その時何かの声を聞いた。

 

『ふひ、ふひひ。あわれあわれ。

 おまえのかべはおまえのひつぎ。

 かまのなかでめらめらもえろ』

 

 その時は『忌まわしき狩人』の

 口が歪んだ。

 

「嘲笑ったな……! 

 嘲笑ったな蛇がっ!! 

 奴等の様に……

 あの女の様に……!! 

 貴様も

 私を嘲笑ったなあああ!!!」

 

 ヘパイストスの激昂と共に

『モロクの大窯』は

 更に出力を増し、

『制動の巨神』の装甲を溶かし、

 内部機構まで焼き尽くしていく。

 しかし嘲弄は止まらず炎以上に勢いを増す。

 

『ふひ、ふひひ。あわれあわれ。

 おまえのかべはおまえのひつぎ。

 かまのなかでめらめらもえろ』

 

「おのれ……おのれ……

 おのれえええええ!!!!!」

 

 車椅子の男の呪詛に満ちた叫びは

 崩れ落ちる制動の巨神の轟音に

 掻き消された。

 

『赤兎よ……翔べ!!』

 

 炎に飲まれかけた彼を

 一騎の騎兵が馳せ参じて

 掬い上げると虚空へと消え去ったが

 果たしてそれが誰であったか

 知る者はいない。

 

「安里、コホン。

 我が盟友ご無事で……」

 ニトクリスの言葉に安里は

 弱々しく微笑んだ。

 

「しかしこれじゃどっちが

 勝ったのか、わかんねーっスね」

 力なく笑う安里を

 激励する様に煉獄は言った。

「何を言うか! 

 俺達は生きているのだ! 

 生きている限り負けてはいない! 

 胸を張れ安里! お前は見事勝利したのだ!」

「……ありがとうございます。

 恐縮ッス……」

「ふふ、どうしたのですか

 我が盟友。

 勝者が涙を流すなど……」

「いえ、ただ嬉しくて……。

 こんなに嬉しいのは久しぶりなんス」

 

 しかし勝利の余韻に浸ってばかりも

 いられない。

 夜明けまでに

 サタナキア、コカビエルを

 止めなければノアの洪水の

 再現により駒王町が消える所の

 騒ぎではなくなる。

 

「……さあ、行くぞ皆! 

 最後の決戦だ!」

 そして彼等は

 さらなる戦いの舞台へと

 向かった。

 




煉獄さんの炎の斬気はイメージではなく
実体化しています。まるで渡辺綱ですね。
「よもやよもやだ!」

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

  • 早い方がいい
  • 遅いけど長いほうがいい
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