※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

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まあ、新能力に目覚めるのは主人公の
特権だからさ……。
ギャスパー家にある聖釘は偽物ではないです。
釘は二本あった!(ブチャラティ)


第37話

 サリエルの大鎌が斧槍に

 変化していったがその穂先は

 何やら血の滴る釘の形状を

 している。

 明らかにヤバそうな雰囲気が

 漂っている。

 

「ナイア、あの釘は何だと思う?」

 

 俺はナイアに尋ねるが、

 ナイアの奴はあからさまに

 ニヤついた顔をした。

 どうも何か知っているらしい。

 しかし、あの釘からは尋常じゃない魔力を感じるぞ?

 

「悲しきかな。悲しきかな。

 貴様らケガレ共にこの『聖釘』の

 本当の力を見せる破目になろうとは」

 

 サリエルは大仰な仕草で聖釘の先端を

 俺に突きつけて言った。

 聖釘って言えばえーと……何だ? 

 確か聖書に出て来る釘だったか? 

 するとナイアが

 殊更大きな溜息を吐いた。

 まるで馬鹿を見るような

 目つきである。

 

「本当に救えねえ

 クソバカ虫ですねぇ。

 おバカな安里君にわかりやすく言うと

 神をも殺せる槍、ロンギヌスの

 亜種だと思いなさい」

 

 神をも殺せるだと……!? 

 それじゃあ、俺達が

 今迄戦っていた相手は

 そんなとんでもない代物を

 持っていたというのか!

 旧大天使の異名は伊達じゃねえな。

 

「悲しきかな。悲しきかな。

 この『聖釘』の真の力さえあれば

 貴様等のような穢れた者共など塵に還るのみ」

「ああ~うぜぇ~。マジうぜぇ~。

 何ですかその小物臭漂う台詞は? 

 悲しいのはこっちだよクソピエロ」

 

 こいつの罵詈雑言は無差別な上に

 容赦が無いな。

 まぁ、確かにちょっと痛い台詞だが……。

 

「悲しきかな。悲しきかな。

 貴様等がどれだけ足掻こうとも

 我らの勝利は揺るがぬ」

 

 サリエルは意にも介さず

 音すら立たない程の速さで斧槍の先端にある聖釘を

 突きつけてきた。

 俺達は回避こそ出来たが

 後ろの空間には聖釘によって

 穿たれた穴が空いていた。

 恐らく掠っただけでも

 致命傷は間違いないな……。

 しかも接近戦は毒霧のせいで

 逆に危険だ。

 となると

 やはり……遠距離攻撃しかないか。

 片腕をボウガンに変化させながら

 もう片方の手で盾を構えて距離を取る。

 しかし、それは読まれていたようで

 一瞬にして距離を詰められてしまった。

 くそっ! やっぱり速い!! 

 更に聖釘付きの斧槍による

 連撃が来る。

 どうにか避け続けるが、

 このままではいずれ直撃するだろう。

 俺は覚悟を決めて両腕に力を込める。

 そして、聖釘を

 受けた瞬間、

 片腕の感覚が喪失した。

 腕自体はまだ繋がっているものの

 そこから先は全く動かない。

 俺は即座に残った方の腕を使い

 ボウガンを放つ。

 狙うは奴の顔だ。

 狙い通り命中したが、

 それでもダメージは無く全く怯む様子もない。

 

「全く仕方のない!」

 

 ナイアは呆れ顔をしながら

 サリエルに向けてスリットから

 取り出したマスケット銃を接射した。

 当然の如く弾かれるが、

 ナイアの攻撃はこれだけでは終わらない。

 今度はショットガンを取り出し

 散弾を浴びせる。

 流石にこれは効いたようで少しだけよろめいている。

 ナイアはその隙に俺を抱えて

 再び間合いを取った。

 

「おい大丈夫なのか?」

 

 俺は心配になって聞いてみたが

 ナイアはいつものとぼけた口調と

 顔をしてみせた。

 

「知りませんね。

 お前がヤバくなったら

 私は逃げるだけですので」

 

 …………そうかい。

 まぁ、いいさ。

 何とか右腕も動くようになったし、

 ナイアの援護もあてにはなるからな。

 それにしても聖釘とは厄介な武器だ。

 手の感覚が戻ったが貫かれた

 片腕が変化できない。

 能力を封じるのが奴の聖釘の

 能力のようだな。

 何とか打開策を考えないとジリ貧になる一方だ……! 

 しかし、

 そんな考えは無意味だとばかりに

 サリエルは

 容赦なくこちらに突っ込んで来て猛攻を仕掛けてくる。

 こちらは避けるのに精一杯だ。

 クソッ!何とかしないとこのままじゃ負けちまうぞ。

 しかしぶん殴ってみても駄目だし、

 遠距離も通じないし、

 どうすりゃ良いんだ?

 奴らのせせら笑いも聞こえて来ないのが

 逆に不安を煽る。

 すると業を煮やしたかの様に

 ナイアが俺に叫びだした。

 

「ああ~もう面倒ですねえ! 

 アンタの唯一の取り柄は

 ガムシャラに進む事でしょうが! 

 虫ケラなら虫ケラなりに

 もっと無様にあがけや

 このド低能!!」

 

 しかし、その一言は

 俺の心に火を点けた。

 そうだ。俺に出来る事は

 たった一つだけだ。

 俺の持ち味はただ必死に

 足掻いてもがくことだけだった筈だ。

 拳を握り締めると一気にサリエルに向かって走り出す。

 サリエルは音も無く

 移動してくると斧槍を振り下ろしてきた。

 それを横に跳んでかわすが

 漂う魔力を僅かに固めて踏む

『蹄帝』を行うことで

 軌道を蛇の様に変化させ、

 強引にサリエルへと回り込む。

 これが『蛟』だ。

 

「悲しきかな。悲しきかな。

 無駄な事を」

「そうかい、だが世の中の

 殆どは悲しい事と、無駄な事だらけだぜ! 

 それでもよお!!」

 

 俺は左腕に力を込め、

 そのまま奴に殴りかかった。

 同時に聖釘が俺の肩を貫く。

 俺の両手の能力を封じるつもりだ。

 だが、それでいい。

 何でもかんでも与えられた

 能力だけに頼るのが

 間違いだったんだ。

 俺の能力なんて所詮は

 小手先の技に過ぎない。

 俺の本領は腕力の限り

 足掻くことだ。

 それは傍から見ればモルモットが

 滑車を回す様なものかもしれない。

 ましてや神だの魔王だの

 堕天使総督だのからすれば尚更だ。

 しかし、それでも構わない。

 それが生きるという事だからな。

 滑車が回るイメージが

 俺の中で広がっていく。

 聖釘によって

 俺の能力は制限されている。

 故に普段より動きは鈍い。

 しかし、そんなことは関係無い。

 本来なら絶望的な状況だろう。

 だが、不思議と焦りは無い。

 滑車は回り続ける。

 延々、いや永遠と。

 ならその滑車から生まれる

 エネルギーは無限だ。

 俺の中にある光と闇は今、

 限界を超えて回転している。

 

「うおおぉおおお!! 

 喰らええぇっ!」

「……!?」

 

 サリエルの表情が驚愕に染まる。

 

「馬鹿な! 

 何故、貴様は動けるのだ!」

「何でだと?知らねえなぁ!!」

 

 サリエルの問い掛けに対し、

 俺は怒号と共に渾身の一撃を放つ。

 それは奴の腹部に直撃し、

 衝撃の余波が辺りに吹き荒れ

 奴の毒霧を吹き飛ばした。

 

「ヌウゥ……!」

 

 サリエルは忌々しげに

 呻き声をあげていた。

 皮肉だが今のパンチが

 奴に一番ダメージが通ったらしい。

 ナイアも驚いている。

 

「おいおい、マジですか。

 一体、何をやったんです?」

「さぁね。俺にも分からんよ」

 

 俺がそう答えると同時に

 サリエルが体勢を立て直す。

 どうも俺の攻撃でダメージを受けたのは事実らしい。

 すると奴は斧槍を鎌に戻すなり

 側の空間を切り裂いた! 

 

「あっ! アイツ逃げる気ですよ!」

「チッ! 逃がすか!!」

 

 俺は急いで後を追いかけるが

 サリエルの逃げるスピードの方が

 上だった。

 奴が潜り込んだ

 亜空間は俺が近づくや

 否や閉じてしまった。

 

「クソッ! 逃げられたか!」

「全く相変わらず

 詰めが甘いですね。

 で、どうやって脱出するんです?」

「さぁ? 分かんねぇ。

 まあ何とかなるんじゃねえか? 

 とりあえずこの空間を

 ぶっ壊せば良いんだろ? 

 ほらこうやって……」

 俺は拳を振り上げると

 サリエルが切り裂いた

 目の前の空間を殴ってみた。

 するとまるでガラスが割れる様に空間にヒビが入り、

 やがて粉々に砕け散った!? 

 

「えええええ!?」

「ってテメーが驚くのかよ!」

 

 ナイアが荒っぽくツッコミを

 入れてきたが……

 いや、だって仕方ないじゃん! 

 まさか、そんな方法で

 脱出できるとは俺も思わなかったんだよ!

 自分でもビックリだっての! 

 

「君も色んな意味で規格外だねェ」

 

 そこにやって来たのは

 シュタークさんだ。

 良かった、無事そうだ。

 

「シュタークさん、大丈夫か? 

 怪我とかしてないか?」

「ああ、お陰さまで助かったヨ。

 ところでそっちこそ

 随分派手に暴れたみたいだネ。

 レリエル様とサリエル様が

 やられたーとか言いだして

 一部の天使達は逃げて

 ミカエル達は天界に戻ったヨ」

「敵前逃亡?

 マジかよ熾天使最低だな」

 

 ナイアがまたふざけた事を

 抜かす。いい加減にしとけ。

 

「あはは、でもまァ

 ある意味正しい判断かもしれないネ」

 

 受けてのシュタークさんは

 頬をかきながら御愛想を言う。

 アイツが図に乗るから

 気を遣わなくてもいいのにな。

 と、俺の顔から考えを読んだのか

 シュタークさんは

 目を細め、補足し始めた。

 

「『システム』のハッキングを

 阻止しないことには

 天界の機能停止は必至だからサ。

 そうすれば天使達の大半は

 無力化されてしまうからネ。

 それにしてもよくあの二人を倒したものだネ。

 正直、驚いたヨ」

 

 何だか褒められると

 むず痒いな……。

 俺は照れ隠しに頭をかく。

 

「いや、

 たまたま上手くいっただけで……」

「イヤホントホント。

 唯一無二に輝くシスターこと

 このナイア様のサポートが

 なければどうなっていたか……

 って聞いてます?」

「途中までな」

 

 ナイアの放言なんてどうでもいい。

 今は状況がどうなっているのかを

 確認しないと……。

 とにかくサーゼクスさんや

 アザゼルのおっさんに

 合流すべきだな。

 そう思い俺は歩き出す。

 だがその時だ! 

 

 何やら三角錐の何かが

 俺達に熱線を放ってきた! 

 

「危ない! 主に私が!」

 

 ってナイアが俺を盾にして

 熱線を防ごうとしやがる! 

 テメエ! ふざけんな! 

 俺は空間を殴って風穴を開ける事で何とか回避した。

 我ながらとんでもねえ新技だな……。

 そして、熱線が飛んできた方向を見るとそこには……。

 

 髪を後ろで纏めた細面の

 青年が立っていた。

 蝙蝠の羽を見るに悪魔だろうが

 明らかに普通の悪魔とは違う

 雰囲気がある。

 

「大天使の次は大悪魔かよ……」

 

 俺は思わず呟いた。

 しかし、その言葉を聞いた

 当の本人は

 いかにもイヤそうな顔をしていた。

 

「俺が大悪魔?

 何を言ってるのだ?貴様らは」

 

 そう言うなり、奴は俺を

 ギロリと睨み付けてきた。

 そんなに怒ることだったか……? 

 

「いくらなんでも

 大悪魔はないでしょう。

 アレは魔王、旧魔王の

 クルゼレイ・アスモデウスですよ」

 

 俺が首を傾げていると

 横にいたナイアが耳打ちしてきた。

 しかしアレ呼ばわりは酷くないか? 

 

「ああ、成程。

 つまりコイツは

 今回の騒動の親玉じゃないんだな

 しかも大天使と俺達との

 戦いの後に漁夫の利狙って

 来たわけか……」

 

 俺は奴を見据えながら

 ナイアに答えると

 相変わらず粘ついた様な

 ニヤつき顔で俺の側に寄る。

 

「クソバカ虫の安里君にしては

 まあまあ理解が早いですねェ。

 流石です」

 

 一々人を煽らないと

 褒める事もできないのかコイツ……。

 すると細面が痺れを切らした様に

 こちらに敵意を更に剥き出しにして

 話かけてきた。

 

「おい、そこの人間と化け物。

 先程の話を聞いていれば……

 一体誰と喋っているつもりだ?」

「そりゃあ勿論名家をかさにきた

 時代錯誤の勘違い野郎に決まってるじゃありませんか」

「黙れ! 誰が時代錯誤だ! 

 そもそもお前等の様な下賤の輩と話すなど言語道断! 

 身の程をわきまえろ!!」

「いや、アンタが話かけてきたんじゃねえか……」

 

 ナイアの言葉を受けて激高する

 クルゼレイに俺は思わず突っ込む。

 しかしそれが奴の逆鱗に触れてしまったらしい。

 

「黙れと言っている!」

 

 一喝すると共に先の三角錐状の武器が何個も飛来し、

 各々ビームを放とうとする。

 マズイ、攻撃が来るぞ!

 

「ぐわああっ!?」

 

 身構えた時、突如巻起こった

 竜巻がクルゼレイを襲った! 

 三角錐も一旦コントロールを

 失い、地面へどさどさ落下していく。

 

「いやあ、あんまりペラペラ

 喋っていたから退屈でネ、

 幾らか術符を

 仕込ませてもらったヨ、ワハハ」

 

 どうやらシュタークさんの

 アシストだったらしく

 彼女はカラカラ笑っていた。

 何気にエグいのなこの人……。

 一方クルゼレイは、

 ダメージはそうでもないが

 殊の外プライドを

 傷つけられたらしい。

 

「貴様……!よくもこの私に傷をつけたな! 

 許さん! 絶対にだ!!

 その首引き千切ってやる!!」

「おー怖い。

 これだから野蛮な下級悪魔は嫌いなんだヨ」

「シュタークさん、それは酷い。

 せめてバカボン魔王でしょう」

「喋るなあぁ!!」

 

 怒り心頭のクルゼレイは

 軽口を叩く二人に

 三角錐を束ねるや収束式の

 赤黒いビームを放ってきた。

 大きさは俺達を軽く飲み込む程、

 まともに喰らえば蒸発しかねない! 

 だがシュタークさんが術符にて

 鏡を顕現するや熱線を

 跳ね返してしまった。

 

「おやまァ、ボクの術符で

 本当に反射できるとは

 思わなかったヨ。

 てっきり魔王なのだから

 もっと強力な攻撃だとばかり……。

 これは申し訳ない事をしたネ」

 

 と、失笑しつつ謝る始末である。

 全く狼狽してねえなこの人……。

 

「ふざけるな! 

 この程度で私が怯むと

 思うなよ! ……ぐがあああっ!?」

 

 反射されたビームを魔法陣で

 吸収したクルゼレイだが

 途端に身体から白煙が生じる。

 そしてそのまま膝を着いて

 苦しそうにもがき始めた。

 

「な、何だコレは……?

 力が抜けていく……!」

「エッ?まさかマジで

 単なる反射だと思いました?」

 

 目を見開き、

 驚愕しているクルゼレイにナイアは

 意地の悪い笑顔を浮かべて質問した。

 どういう事かと僅かに頭を捻った

 俺だが直ぐに疑問は解けた。

 何故ならナイアの胸元には

 いつの間にやらロザリオが

 キラリ、と光っている。

 恐らくシュタークさんが

 あのビームを反射した時に

 ロザリオの光を増幅させつつ

 混ぜ込んだってワケか……。

 

「しかしこんな基本的な技に

 引っ掛かるなんてな……。

 アンタ、口で言う程強くねえのな」

 

 俺は呆れた様に呟いたが、

 クルゼレイは益々怒り顔に

 なっていくと何やら赤い瓶を

 取り出して口に含む。

 恐らく中身はフェニックスの涙って

 霊薬だろう。

 みるみると奴の火傷が治っていくと

 余裕を取り戻したらしく悠然と構え直す。

 

「フッ、油断しただけだ。

 次こそ貴様等を消し炭にしてやろう!」

「所でアンタ、その三角錐を

 操る以外に技ってないのか?」

 

 別段煽るつもりはなかった。

 単に気になっただけだ。

 するとクルゼレイはフン、と

 鼻を鳴らして得意げに語る。

 

「愚か者め、魔王たる我等が

 自らの手足を振るうなど

 下劣に過ぎる。

 我等はバアル家の恥晒しとは

 違うのだ! 我が力はこれ一つあれば十分! 

 その証拠に……見ろ!!」

 

 と、クルゼレイが叫ぶや周囲の空間が歪み、

 無数の三角錐が出現した。

 しかも一個一個のサイズが

 さっきまでの数倍はあるぞ! 

 

「何だこりゃあ……」

「ハハハハハハッ!!!」

 

 クルゼレイは狂喜の笑みと共に

 それらから一斉にビームを

 発射してきた。

 マズイ、あんなの喰らえばひとたまりもない! 

 俺は咄嵯にシュタークさんと

 ナイアを抱えて庇うべく身構えた。

 が、いつの間にやら俺達と

 クルゼレイの位置が

 入れ替わっている。

 

「えっ!?」

「な、何ぃ!?」

 

 戸惑う俺とクルゼレイだったが、

 その答えはやはりすぐに分かった。

 

「いやあ、

 あんまりスキだらけだったもので

 彼とボク等に転移の術符を

 貼り付けておいたんダ」

 

 と、何食わぬ顔で言う

 シュタークさんと俺達の足元には

 あちこち黒焦げたクルゼレイが

 転がってきた。

 どうもさっきのビームを

 モロに喰らってしまったらしい。

 

「な、何故だ……!? 

 純血で高潔なこの私が

 何故貴様等如きに負ける!?」

「いや、弱いからだろ。

 努力はしねえし他人から

 学ぼうともしねえ。

 実戦で経験を積むつもりなんて

 更々ねえ。

 いくら才能があったって

 そんな根性ナシになんざ

 俺達が負ける訳ねえだろ」

 

 俺の言葉にクルゼレイはギリ、と

 歯軋りする。

 そして徐に立ち上がると再び三角錐を呼び出した。

 だが今度は先程までと違い

 三角錐が結集し、何やら筒型の

 物体へと変形していく。

 やがて完成したソレは巨大な大砲の様な形状だった。

 

「あれが禁手化ってヤツかナ?」

「その通りだ! 

 これが私の最大の切り札

『ジェネシス』だ!」

 

 禁手化って何だ? 

 よくわからんがヤバいのは

 解る! 

 

「この砲門からはあらゆる存在を消滅させる

 エネルギー波を放つ! 

 これならば貴様等も跡形もなく

 消え去る筈!! 

 これで私に屈辱を与えた

 貴様等の愚行も帳消しにしてやる!」

「なんで自分からペラペラ説明するんです? 

 それよりも消え去る『筈』ね……。

 アナタ、ひょっとして自分が負けるかもと思って

 ビビっていますね?」

「な、何だと!?

 私が怯えているだと!?

 バカを言うな!」

 

 こうやって煽りをスルーできない

 辺りがつくづく貴族様だな。

 と、俺が醒めた視線を送っていた

 事で奴は若干冷静になったらしい。

 

「……! そうか! 

 私を挑発してさっきの様に

 反射するか私と貴様らの位置を

 入れ替えて直撃をする手筈を

 整えようとしたのだな……! 

 卑劣な奴等めが……! 

 だがその策には乗らぬ!」

 

 と、クルゼレイはジェネシスとかいう

 武器をこちらに向けた。

 すると砲身から膨大な量の魔力が溢れ出す。

 成るほど、確かにあのビームを喰らうのは危険そうだ。

 なら、こっちはこっちのやり方を

 通させて貰うさ! 

 

「ハハハハハ! 

 既に『ジェネシス』に魔力は

 充填された! 

 最早止める術など無い! 

 世界が数多持つ予言の日だ!」

 と、勝ち誇った様に笑うクルゼレイ。

 だが、俺はシュタークさんの

 術符にて瞬時に『ジェネシス』とやらの

 真上に陣取り、

 

「うおりゃあああ!!」

 

 雄叫びと共に渾身の一撃を

『ジェネシス』に見舞った。

 ピシッ……! ピシッ……! 

『ジェネシス』が周りの空間ごと

 罅割れていく。

 

「な、何ィ!?馬鹿な、

 我が最強の攻撃が

 破られるというのか!?」

 

 クルゼレイが驚愕の声を上げる中、

 遂にジェネシスは砕け散り、

 その余波でクルゼレイは

 大きく吹っ飛んだ! 

 肉体はともかく精神的な

 ダメージは相当な筈だ。

 

「そ、そんな……そんなバカな……! 

 こんな不都合な事が私に起こる筈がない……! 

 何かの間違いだ……!」

 

 実際遂に頭を抱え、両膝を地面に

 つきながらブツブツと呟く

 クルゼレイ。

 俺はそれを見て溜息をつくと

 奴に背中を向けた。

 

「見逃すのかイ?

 顔に似ず優しいんだネ」

 

 するとシュタークさんが

 茶化してくる。

 ……まあ、別にそういう訳じゃねえけど。

 ただコイツにはこれ以上

 何もする気が起きなかっただけだ。

 それに……。

 チラッとクルゼレイを見る。

 さっきまでと打って変わって

 虚ろな目をしながらぶつくさと

 独り言を漏らしている。

 アイツのプライドはご自慢の『ジェネシス』

 とやらと一緒に砕け散った。

 もう俺達と正面から戦うなんて事は出来ないだろう。

 だったらせめて冥界の片隅で

 精一杯生きていけば良いさ。

 

 し、しかし頭がさっきから

 グラグラするし

 足元が覚束なくなってきた……。

 恐らく力を使い過ぎちまったのかな……? 

 

「お疲れ様だヨ。

 キミのお陰でボクも助かったし、

 ボクの友達も死なずに済んだヨ」

「まあ虫ケラ安里君にしては

 それなりに頑張ったんじゃ

 ないですかね? 褒めてあげますよ。

 エラいエラい」

 

 と、いつの間にか俺達の側に居た

 二人が俺に労いとテキトーな

 誉め言葉を掛けてくる。

 全く……。

 色んな事が起こりすぎて

 パニックになりそうだ……。

 イッセーやおっさんは

 無事なんだろうか……?




感想、質問等お待ちしております!
クルゼレイがかませすぎる……。
ま、まあ……ここで終わるワケではありませんから!
ブキブキの実からグラグラの実になったのか……。

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

  • 早い方がいい
  • 遅いけど長いほうがいい
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