「良かったギャスパー……!
無事だったのね!」
ギャスパーは魔法陣の中に
囚われていたが、司馬懿と呂布が
撤退したことで解放された。
どうやら身体にダメージは
ないようだが、司馬懿の術の
影響が残っているのか
さめざめと泣いている。
「部長……僕、もう嫌ですぅ……」
「大丈夫よ、ギャスパー」
部長は優しくギャスパーを抱きしめる。
「でもぉ……怖いんですぅ……。
皆んな僕の事なんか忘れて、
どんどん先に行っちゃうのが……!
僕はイッセー先輩や部長みたいに
強くないから、
いつか置いてかれちゃいますぅ……」
このギャスパーの姿が
情けないヤツだ。なんて言うのは
人の痛みがわからないヤツだ。
ギャスパーは生まれ持った力に
苦しんでいるんだ。
神器セイクリッド・ギアと呼ばれる特別な力を宿した者は、
その力が強ければ強いほど
狙われやすくなる。
増してギャスパーの力は
時間停止という特別すぎるもの。
俺も赤龍帝だからな。
だからギャスパーの気持ちは
よくわかる。
煉獄さんはただ、ギャスパーの
泣き言に腕組して怒るでも
慰めるでもなく聞き入っている。
これは俺達の問題だから
自分が出しゃばるべきではない。
そう考えているんだろう。
「僕なんて……!
僕なんて死んじゃった方がいいんです……!
皆が思っている様に……!」
その時──パァンッ!!
乾いた音が響いた。
部長がギャスパーの頬を
思い切り叩いたのだ。
「ぶ、部長?」
「ふざけた事を言わないで
ちょうだい!!」
今まで見たこともないくらい
激しい怒りの形相を浮かべている。
「いい? 私はあなたを置いていったりしないわ。
例えどんな事があろうと、あなたの事は私が守るわ!
だから一杯私たちに迷惑をかけて。
私達は何度だって貴方を叱るし、
慰めるために何度でも立ち止まるから」
部長の言葉を聞いたギャスパーは、
驚きに満ちた表情になる。
「ほ、本当ですかぁ……!?」
「えぇ、本当よ。それに朱乃だって
祐斗だって小猫ちゃんだって、
勿論イッセーだって
私と同じ考えよ」
部長は慈母の様に微笑みながら
ギャスパーの涙を拭い、
そう言った。
「ぶ、部長ぉおおおーっ!!」
涙と鼻水を流しながら
抱きつくギャスパー。
感動的なシーンだぜ。
やっぱりリアスさんは
こうじゃなくっちゃな!!
すると突然、
ぶち抜かれた天井の上から
パチパチと拍手する音が鳴る。
一体誰だ!?
と上を見上げるや
そこにいたのは
白い龍の鎧を纏う
ヴァーリ・ルシファーだった!
助けに来てくれたのか?
いや、それにしては……
明らかに殺気をこちらに
放っている様な……?
「さあ、やろうか」
と、言うなりこちらに向けて
俺のドラゴン・ショットと
似た様なエネルギー波を放つ!
だが悔しい事に威力も大きさも
桁が違う!
『ドラゴン・メガフレア!!』
俺は龍の鎧を纏い、ヴァーリの
エネルギー波を相殺しようとするが
威力は五分と五分って感じだ……!
けど俺の後ろにはギャスパーや
煉獄さん、
それにリアスさんがいるんだよ!!
負けていられるかよ!!
「おぉおおおおおっ!!」
「忘れたかい?
俺達の力は徐々に君の力を
半減させていく事を?」
『Divid!』
涼しげに言ってくれるなり
白龍皇の力によって
俺が放つ魔力弾の威力が落ちていく!
「くそっ!
なら倍化させればいいだけだ!」
『Boost!』
俺は倍化によって
『ドラゴン・メガフレア』の
威力を元に戻し、
ヴァーリに向けて撃ち返すが……。
『Divid!』
再び半減されてしまう!
これじゃいつまで経っても
キリがない!!
俺が焦燥感を募らせていると
煉獄さんは俺の背から飛び上がり、
ヴァーリに攻撃を仕掛けようとする。
「煉獄さん!」
「炎の呼吸・伍の型─炎虎!!」
煉獄さんの刀身が燃え盛り、
更に上下の斬撃はまるで虎が
牙を剥く様に繰り出される。
しかしヴァーリはその攻撃すら
奴の力で半減させて
防ぎきってしまう。
「一対一の戦いに割って入るとは
サムライにしては無粋だな」
「ぬう……!」
ヴァーリはちらりと
一瞥した煉獄さんに言うが早いか
羽から炎を吹き出し、
跳ね飛ばしてしまった!
「煉獄さん!!」
「案ずるな! 俺は無事だ!」
吹き飛ばされながらも体勢を立て直す煉獄さん。
だが、俺にはわかる。
今の一撃はわざと受けたんだ。
ヴァーリに隙を作るために……。
なら、このチャンスは
無駄にしない!
「行くぞ、ヴァーリッ!!」
「ほう、まだ何かあるのかな?」
余裕を見せるヴァーリに
俺はもう一発
『ドラゴン・メガフレア』を
放つ!
幾ら何でも2つ同時に半減は
できないだろ!!
『Divid!』
ヴァーリはまたも白龍皇の力で
『ドラゴン・メガフレア』の
威力を半減させ、
両手でそれを受け止める。
そしてそのまま握り潰そうとしてきた。
「くぅううううう!!」
バチバチッと火花を散らしながら
徐々に2つの
『ドラゴン・メガフレア』を
圧縮させて、遂には手のひらサイズにまで小さくしてしまった。
マジかよ……!
サタナキアを消し飛ばした
『ドラゴン・メガフレア』を握りつぶすだと!?
しかもこんな芸当を
やってのけるなんて……!
「凄まじいな。
想像以上のパワーだ。
やはり君は面白い」
「そりゃどうも!
こっちは面白くねぇよ!」
俺は煉獄さんに目で合図すると
無言で頷いた。
「今度は君達二人がかりか?
卑怯とは言わないよ。
それが戦争というものだからね」
「そうかい、んじゃ遠慮なく
行かせてもらうぜ!!」
俺と煉獄さんは同時に左右に分かれて走り出す。
俺はリアスさん、
煉獄さんはギャスパーを抱えてだ。
「逃げるんだよぉー!」
「えぇ!?」
「な、何故ですかぁー!?」
「三十六計逃げるに如かず!
時には退く事も勇気だ!!」
驚く二人に構わず
全力疾走する俺と煉獄さん。
これでヴァーリが
呆れ果ててくれれば良いけど
そんなワケないよなあ……。
俺は後ろを振り返る。
そこには翼を生やして追ってくる
ヴァーリの姿が!
「卑怯とは言わないが逃がすとも
言っていないだろう?
君達は俺の好敵手なんだから」
ヴァーリはそう言うなり
こちらに向けて手をかざし、
掌から光の矢の様なものを
連続で放ってきた。
俺と煉獄さんはそれを避けながら
廊下を走り抜ける!
くそっ!
やっぱりこうなるのかよ!
「おぉおおおおっ!!」
『Boost!』
俺は倍化させ、更に加速していく!
このまま逃げ切れば……! ……いや、無理だ!!
俺のスピードでも奴の方が速い!ならばここは俺が囮になってその間に皆を逃すしか……!
と、腹を括ろうとした時、
煉獄さんがまるでラクビーのボールでもパスする様にギャスパーを俺に投げ渡した!
「うわぁあああっ!?」
煉獄さん!?何を──
「──俺はここに残る!
君達の誰も俺は死なせない!」
俺が問いかけようとしたその時、
煉獄さんは力強く言った。
「安心しろ一誠少年!
金髪の少年!
俺とて死ぬつもりはない!」
「煉獄さん……僕なんかのために……! 煉獄さん……! 煉獄さん!」
ギャスパーは涙をポロポロ流し、
俺に抱えられながら何度も
煉獄さんの名前を呼んだ。
「心配はいらない。
君は自分の身を守る事だけを考えろ。
必ず生きて帰るのだ。
そして、また共に戦おう」
「……はいっ!」
「いい返事だ……!」
煉獄さんはギャスパーに微笑むと迫り来るヴァーリに向き直った。
「成る程、彼を守るために
捨て駒に甘んじるか……。
サムライにしては感動的だな
……」
「Divid!」
「Divid!」
「Divid!」
「だが無意味だ」
ドゴォォォン!!
凄まじい爆発が巻き起こり、
旧校舎ごと俺達をヴァーリは
吹き飛ばそうとした。
「ぐわあああああっ!!」
リアスさんとギャスパーを庇い、
俺の翼に炎や旧校舎の破片が
容赦なく降り注いでくる。
それでも、俺は二人を守り通した。
「大丈夫か? 二人とも」
「え、ええ……」
「はい……。ありがとうございます。
ですが、煉獄さんは?」
二人の無事を確認した後、
俺は背後を見る。
そこには完全な更地と化した
旧校舎があった。
その光景を見て、
俺の中で何かが弾けた。
「……よくも……!」
「ほう、まだ動けたか。
流石は赤龍帝だな。
君のその怒りと憎しみを
引き出しただけでも
彼の人生に価値はあったな」
人生……?
こいつは何を言っている……?
「煉獄杏寿郎は
こなみじんになって死んだ。
そして次は──」
『Divid!』
「──そこの女を頂く」
…………は?今、何つった?
「君の怒りと憎しみを
増幅させるためには、
彼女の存在が必要なのだろう?
尊敬する人物と愛する者を
同時に奪われた君はきっと
最高の復讐者になるだろう。
実に楽しみだよ」
……ああ、そうか。
そういうことか。
お前はどこまでもオレの逆鱗に
触れてくれるんだな。
白いの。
「お前は……何だ?
それでも人間か?」
「人間ではないかも……な。
俺はヴァーリ・ルシファー。
ルシファーの血を引くものだ」
そういうヤツの顔は悲しげだ。
ああ、つくづく逆鱗に触れるヤツだ。
サタナエルみたいなクソヤローなら
躊躇う事もなかっただろうに……。
「そうか……じゃあオレも
人間じゃあ……なくなる……」
「イッセー!何をするつもり!」
赤い髪の女……チガウ。
リアスがオレを止めようとしてくるが、もう遅い。
オレの全身から赤黒い血のような
オーラが噴き出し、
身体が変貌していく。
『イッセー君、
蠱毒の法って知っているかイ?』
シュタークさんが言っていたのは
この事だったのかな……?
だが、今はどちらでもいい。
「リアス・グレモリー……。
俺から逃げろ」
「イッセー! やめなさい!
やめて!!」
『我、目覚めるは』
『覇の理を神より奪いし二天龍なり』
『無限を嗤い、夢幻を憂う』
『我、赤き龍の覇王と成りて』
『汝を紅蓮の煉獄に沈めよう』
こいつを……
この白いのをだけを……
『JuggernautDrive!』
……殺してやる。
ー
安里Side
あの後、サーゼクス様たちや
アザゼルのおっさんと合流した
俺達は怒涛の展開に
呆然としていた。
突然現れたテロリスト集団が
いきなり襲ってきて
大天使やら旧魔王派が襲ってきて
アザゼルのおっさんは片腕を
喪いつつも、褐色肌の女の人を
捕縛しているときたもんだ。
「その人は?」
「ああ、この女は
カテレア・レヴィアタンとかいう
旧魔王の一人だとさ」
え?生け捕りにしたのか?
片腕ふっとばされたのに?
「なんでそんなことを?」
「そりゃお前……。
レイナーレとお前さんと
同じことだよ。
皆まで言わせんな恥ずかしい」
「…………」
「ふむ、アザゼルは
じーじとおなじですけこましか」
もう、ホントこの
おっさんときたら……。
俺達は言葉を失うしかねえよ。
しかもシュタークさんの目の前で!
倫理観ゆるふわかよ!
サーゼクス様もセラフォルー様も
苦笑いするしかねえって。
「で、実はな。お前がレリエルやら
サリエルやらクルゼレイと戦っている間に
ヴァーリが裏切った」
……へ?
「ちょっと待て!
どういうことだ!?」
「どういうことも何も
向こうの言う世界の方が
面白そうだからだとよ!
なあ、ゲイトはどう思う?」
アザゼルは視線をゲイトさんに
向けるとかぶりを振った。
「理解できないな」
うわ、普段はのほほんを地でゆく
ゲイトさんがバッサリ言い切った。
怒ってんのかな?
「そんな事よりボス。
何だか赤龍帝の子が面白い事に
なっていますよ」
などと言いつつナイアの奴がニヤリと
口元に笑みを浮かべるや否や……。
ドゴォォォン!!
旧校舎が吹き飛ぶ程の大爆発が
巻き上がった!
「なっ!? なんだありゃ!」
そして聞こえてくるのは
呪言の響き。
『我、目覚めるは』
『覇の理を神より奪いし二天龍なり』
『無限を嗤い、夢幻を憂う』
『我、赤き龍の覇王と成りて』
『汝を紅蓮の煉獄に沈めよう』
地の底から沸き立つ様な
怨念に満ちた声が木霊した。
な、何だかよく知らんが
取り返しのつかない事になりつつ
あるのは解る!
俺はイッセーの元へといち早く駆け出した。
※ネタバレ 煉獄さんは死んでいません。
(大事な事なので2回書きました)
何で逃げたのに急に殿を務めたの?
逃げたら呆れて帰るかもしれない
→追ってきた→あ、逃がすつもり無いな。
→なら、俺が食い止める。
真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?
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早い方がいい
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遅いけど長いほうがいい