※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

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次回はボスラッシュ回です。
朱乃さんと小猫ちゃんは生娘眷属だからパスです。
なおゼノヴィア。


第40話

「Gyaaaaaa!!」

 

 凄まじくも、悍ましい雄叫びが

 辺りに轟くと俺の足が

 勝手に止まってしまう! 

 クソッ! 何をビビってやがるんだ! 

 親友のピンチだっていうのに! 

 俺は震える膝を殴りつけて

 気合いを入れ直す! 

 よし、動ける! 

 雄叫びの中心にいたのは

 一匹の竜だった。

 いや、あれはイッセーなのか? 

 確かに竜の鎧を纏っているが、

 さらに鋭角なフォルムを増し、

 翼は更に巨大化。

 両手両足からは爪の様なものが伸び

 兜からは幾つも角らしきものが生えている。

 何より特徴的なのはその目だ。

 爬虫類のような縦割れした瞳孔の奥では

 眼球全体が真っ赤に染まり、

 まるで深淵を見つめているかの如く

 ただひたすらに深く暗い闇をたたえていた。

 

「イッセー! 

 何だよ! 何だよその姿は!」

 

 そんな姿お前らしくねえ! 

 ちっともお前らしくねえぞ!! 

 

「…………」

 

 イッセーは何も答えず、

 ただ黙っていた。

 

「何とか言えよ!」

 

 俺の声が聞こえていないのか!? 

 それとももう喋れないほど消耗してんのか!? 

 だが次の瞬間、

 

「コロス……コロス……

 ワレラガ……フッカツハ……

 ナッタ……。

 オロカナアクマ、ダテンシ、

 テンシ……ニンゲンタチハ……

 イッピキノコラズ……コロス……」

 

 ゾッ……と全身の震えが

 また止まらなくなる! 

 ダメだ……! 思考が止まる……! 

 土下座してでも生き延びたくなる

 弱い考えしか浮かばない……!! 

 

「うぅ……ぐあぁあああっ!!!」

「落ち着き給えヨ安里君」

 

 背中にペタリと術符を貼られると

 気持ちが落ち着き、震えが止まった。

 いつの間にシュタークさんが

 駆けつけてくれたようだ。

 

「すまねえシュタークさん!」

「別にいいサ。

 しかしあれが「覇龍」か。

 つくづく神滅具という奴は規格外だネェ。

 欲しいなァ、あの力」

 

 この状況で震え上がる所か

 くっく、とシュタークさんは

 笑った。

 何て度胸だよ……! 

 

「安里君!」

 

 木場、朱乃さん、小猫ちゃん、

 アーシア、少し遅れてゼノヴィア、

 キュクロと

 アザゼルのおっさんが

 追いついてきたが

 おっさん以外、

 今のイッセーを見て文字通り

 言葉を失った。

 

「あれが……『覇龍』?」

 

 呆然と呟いたリアスさんの言葉に

 俺はただ首を縦に振るしかなかった。

 

「『覇龍』……何ですか!? 

 それって何なんですか! 

 イッセーさんは……! 

 イッセーさんはどうなってしまったんですか!?」

 悲痛な声で叫ぶアーシアの肩を

 俺は優しく叩く。

 今にも泣き出しそうな表情をしている

 この子を安心させる為にも、

 今は冷静になって貰わないといけないからだ。

 

「大丈夫だアーシア! あいつは必ず戻ってくる! 

 だからそれまで俺達がしっかりしないとな!」

 

 そう言って俺は力強く笑ってみせた。

 

「はい……! 私も頑張ります!」

 

 俺の笑顔につられたのか、

 アーシアも無理矢理ではあるが微笑んでくれた。

 

「そうだな! それにしてもあれは何なんだ! 

 あんなものは見たことがないぞ! 

 堕天使総督殿! 

 貴様なら何か知っているのではないか!?」

 

 ゼノヴィアは声を荒らげ、

 アザゼルに掴み掛からんばかりの

 勢いで問い詰める! 

 するとおっさんはオーバーに

 手を上に上げつついなした。

 

「ああ、それなりにな。

 お前らに解りやすく話すと

 今のアイツはブチギレ、暴走

 状態だ。

 さっきの光の柱もアレが原因だろうよ」

 

 わかりやすくまとめすぎだ! 

 と、いうより……

 シャキン! 

 と俺が右腕を刃に替えると同時に

 ゼノヴィアもデュランダルを

 取り出し、アザゼルの首筋に剣先を突きつけた! 

「ふざけるな! 

 あれは暴走などではない! 

 あの男が言うはずがないだろう! 

 あんな言葉を!」

「親友の俺も同感だな」

 

「落ち着け。

 まずは話を聞け。

 まあ、お前さんたちが

 看破した様に

 確かにあれは単なる暴走じゃねえ。

 歴代の赤龍帝の怨念が具現化した姿だ」

 

 怨念? 何言ってやがる。

 赤龍帝はとんでもない力を持った

 凄まじい存在だったんだろ? 

 それが何で怨霊みたいになるんだよ。

 

「自分達に都合のいい様に

 歴史を捻じ曲げるのは

 何も人間だけじゃねえって事さ。

 歴史上、赤龍帝には数々の逸話がある。

 だが、その誰もが最終的には

 道半ばで死んでいる。

 そいつは何故だと思う?」

 

 おっさんの質問に対し、

 俺達は皆黙り込んでしまった。

 

「……解らないか。

 ならば答えてやる。

 答えは単純明快、

 歴代の所有者全てが

 悪魔や堕天使、天使、

 あるいは人間によって

 利用されて殺されているからだ。

 お前さん達、歴代の赤龍帝の

 墓碑を誰も見た事ねえだろ? 

 不自然だとは思わなかったか?」

 

「……ッ!」

「馬鹿な……!」

「そんな……!」

「あり得ませんわ……!」

「嘘だ!」

 

 おっさんが言い放った衝撃的な事実に

 全員が驚愕し、絶句する中、

 おっさんは話を続けた。

 

「まあ、無理もねえわな。

 自分達『だけ』は正義でいたいのは

 誰だって同じだ。

 だが、残念ながらこの世界は

 綺麗事で成り立っちゃいない。

 戦争がいい例だ。

 勝てば官軍負ければ賊軍とはよく言ったものだぜ。

 用済みになった赤龍帝や白龍皇は

 やれ『力に呑まれた』だ『悪竜の

 本性を現した』だのと

『人々のために尽くした立派な存在』『英雄』

 だのと罪や悪行を

 捏造されるか言葉だけで

 持て囃し、自分からは何もしない連中に

 よって討ち倒されたり、

 寿命を削り取られて無念の内に

 死んだ。

 だが誰も彼も知ったことじゃない。

 どうせ死んでも次の持ち主を

 利用すればいいってな。

 つまりは、そういうことだ。

 そんなワケであれは

 赤龍帝の怨念が具象化したもの、いわば怨霊だ」

 

 …………。

 な、何てことだ……! 

 言われてみれば確かに……。

 サタナエルやコカビエルの時も

 今回の騒動も俺は……どこかで

『どうせイッセーが

 何とかしてくれるだろう』

 なんてアイツに重荷を

 押し付けていたんじゃないのか……! 

 そして俺は今になって気付いた。

 そういえば今までイッセーは

 一度でも『助けてくれ!』と

 誰かに本気で助けを求めたことがあっただろうか? 

 

 ……ない。

 一度もなかった! 

 いつも俺に何かあった時は

 必ず駆けつけてくれた! 

 なのに、アイツの方からは一度も

 俺に救いを求めたことはなかった! 

 何で気付かなかったんだ!? 

 バカ野郎! 

 親友なら真っ先に

 気づくべきだった! 

 

 けどよ……。

 人間がそんな奴等ばかりだったら

 ドライグは疾うの昔に

 人間に愛想を尽かして一誠に

 力を貸すことなんて無いはずだ! 

 

「アイツは……アイツは……」

 

 俺が悔しさに歯噛みしていると、

 ゼノヴィアが震える声で呟き始めた。

「……こんな理不尽なことがあってたまるか! 

 一誠はただ、人々の幸せを願って

 戦っていただけだ! 

 それのどこが悪い! 

 何故だ! 何故なんだ!」

「そうやって俺達を偶像化し、

 神聖化するのはお前たちの

 一番悪いところだ」

 

 ゼノヴィアの嘆きに対して

 ヴァーリはフワリと降り立ち、

 苛立った様子で言う。

「俺達がお前たちに何をした? 

 ただ神滅具を持っていたという理由だけで

 勝手に祭り上げ、そのくせ都合が悪くなれば

 俺達に全ての責任を押し付ける。

 全く迷惑極まりない話だ」

「私達は、そんなつもりは!」

 

 リアスが反論するが、

 

「黙れ。

 お前たちがどんなつもりでも

 世界は俺達をそう見ていない。

 いい加減この世界の身勝手さには

 うんざりしていたんだ。

 だからここで、赤龍帝の怨念と共に

 全て終わらせる」

「ふざけんなあ!! 

 俺の親友の命を

 勝手に終わらせるな!!」

 

 ヴァーリの極論に対して

 俺は思わず叫んだ。

 何か、何か手段がある筈だ! 

 

「ないでもないけどネ……」

 

 その時シュタークさんが

 口を開いた。

 あるのか!? 

 イッセーを助ける方法が!! 

 俺は思わず声を上げる。

 するとシュタークさんは

 ゆっくりと語り出した。

 その方法は──。

 それはあまりにも荒唐無稽で

 突拍子もないものだった。

 しかし、もしそれが成功すれば、

 イッセーを救えるかもしれない。

 なら、やるしかねえ! 

 腹を決めろ! 九頭竜安里!! 

 俺は覚悟を決めて

 イッセー、いや……

 赤龍帝に向き直った。

 

 ー

 

「イッセー君の人格が

 消える前にまずはアーシアちゃんが

 彼の人格を繋ぎ止めるための回復を行う必要があるネ」

「ナンセンスだな。

 討伐した方がお前にもリアス・

 グレゴリーにも都合が良いだろうに」

 

 シュタークさんの作戦の

 第1段階を始める前に

 ヴァーリが呆れた様にシュタークさんに言う。

 煩え! 俺は親友を助けたいんだよ! 

 それにこれはアーシアちゃんと相談して決めたことだ。

 

「確かに私はイッセーさんを助けたいです……。

 でもそれ以上に……私があの人を失いたくないんです」

「フン……くだらん。

 まあいい、好きにしろ」

「はい、大丈夫です。

 この力を使いこなせるように

 修行をしましたから。

 イッセーさんの為に

 死ねるなら、それでも構いません」

 

 そう言ってアーシアは

 聖母のような微笑みを浮かべた。

 

「お前も……他人のために

 死ぬタイプか……?」

「いえ、そんなことはありません。

 私だって死にたくはないですよ? 

 イッセーさんと結婚して

 イッセーさんとの赤ちゃんを

 授かりたいですから」

 

 ヴァーリが苦笑しながら言った言葉に

 対してアーシアは少し困ったような顔で返す。

 

「……お前たち、本当にそれで良いのか?」

 

 ヴァーリが再度問いかけてくるが、

 俺もアーシアも、木場も

 朱乃さんも何よりリアスさんも

 それについて答えは変わらない。

 俺達の決意にヴァーリは肩をすくめ、

 同時に殺気も消えた。

 

「……勝手にしろ。

 だが、どうなっても知らんぞ」

 

 と言ってくれた。

 そして俺達は

 赤龍帝の目の前に立つ。

 

「シネ……シネ……!」

 

 何て禍々しい

 オーラを放つんだ……。

 しかし、俺達は今までの様に

 お前達を殺すんじゃない! 

 お前らの怨念を殺す! 

 

「アーシアちゃん!」

「はい! お願いします! 

 神器……発動!!」

 俺が叫ぶとアーシアは

 おっさんから貰った腕輪を

 装着すると自ら神器を発動させる! 

 今までの聖女の微笑みより

 効果は遥かに強力だ! 

 

「聖母の抱擁」

 

 アーシアちゃんが膝を付き

 祈りを捧げる様にすると、

 彼女の身体が眩く輝き、

 その光が俺達や赤龍帝を包み込む! 

 暖かいだけじゃなくて

 傷や疲労が洗い流される様だ。

 

「ああ、

 これが神の慈悲なのだな……」

 

 ゼノヴィアの言葉に皆が頷く。

 どうやら『システム』の

 ハッキングはある程度収まったらしい。

 ミカエルさんたちが上手くやってくれたんだな。

 皆一様に癒やされていく。

 いや、一人を除いてだ。

 

「ヤメロ……! ヤメロ!! 

 オマエタチモ……ワレラヲモテアソビ

 ツカイステヨウトスルクセニ……! 

 オマエタチモ……アノミニクク、

 イヤシイモノドモト……同じだ!」

 

 そう言いながら赤龍帝は

 翼を拡げると顎をぐわっと開く! 

 恐らくはブレス攻撃だ! 

 

「やらせない!」

「はぁ!」

 

 その瞬間、俺の背後から二つの影が飛び出し、

 それぞれ『福音呼びし勝鬨の剣』と

 デュランダルを振りかざす! 

 二人の一撃によって

 赤龍帝の口から炎の息吹が

 吐き出されるのは阻止された! 

 だが……!? 

 

 

「ぐわっ……!!」

「うわあっ……!!」

 

 バシュウゥゥゥン!! 

 爪を振り下ろしただけだというのに

 二人は吹き飛ばされてしまう。

 それだけでなく、アーシアを

 庇う俺の糸の結界も

 切り裂かれた。

 痛いが……耐える! 

 俺はすぐに立ち上がり、

 二人に視線を向ける。

 

「二人とも大丈夫か……?」

「ええ、問題ありません」

「ああ、まだいけるさ」

 

 そう言って立ち上がる木場とゼノヴィア。

 良かった……。

 しかしアーシアの回復により

 赤龍帝の火力は衰えることはない。

 むしろ怒りのためか

 更に威力が増している気さえする。

 だが、奴の怒りを噴出させないことには始まらない。

 ここは耐えるんだ! 

 俺は歯を食い縛り、痛みに耐えた。

 

「ぐぅ……! アーシア! 

 もうちょっと頼む!」

「はい!」

 

 アーシアは再び祈りを始めると

 赤龍帝は更に吠え狂う。

 

「イタイ……クルシイ……

 コワイ……クルシメ……

 ニクイ……アツイ……シネ……

 シネ……死ね!!」

 

 怒りと憎しみに満ちた声と共に

 翼から老若男女の声が響く。

 

「BoostBoostBoostBoost

 BoostBoostBoostBoostBoostBoost!!」

 

 何と一斉に倍化を使う事で

 瞬時に口に溜めた波動砲みたいな

 エネルギーのチャージを

 完了させやがった!! 

 

 

「やばい……! 

 幾ら何でもアレが直撃したら

 学園ごとお前ら消し飛ぶぞ!!」

 

 おっさんが叫ぶが、

 そんなことは分かってんだよ! 

 俺も木場もゼノヴィアもそしてアーシアも、

 皆、覚悟は出来てるんだ! 

 

「止めておけ。

 今、ヤツが撃ち出そうとしている

 のはロンギヌス・スマッシャー。

 神をも滅する究極のブレス。

 その力は魔王であっても塵一つ残らん」

 

 ヴァーリは冷静に告げる。

 そうだろうな……。

 解ってるよ、解っているが……! 

 だからって尻尾まいて

 逃げ出せるかよ!! 

 俺達は赤龍帝を相手に一歩も引かない。

 ここで退いたら俺達とイッセーの友情や愛情は

 見せかけだけの偽物になる! 

 そう思うからこそ俺達の気持ちは揺るがないし、

 恐怖だって感じない! 

 

「そうか。

 所で俺はかねがね思っていた。

 神を討ち倒してみたかったとな」

 

 俺達がアーシアを庇い、

 赤龍帝に対して

 一歩も引かない様子に

 ヴァーリは突然、

 嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「だからイッセーをあんな風に

 したってんだな! 

 アイツを元通りにしたら

 覚えてやがれよ!」

 

 俺が睨むと、

 奴はフッと笑って返した。

 

「ああ、勿論だ。

 楽しみにしている。

 だが、こうも考えられないか? 

 神をも滅するあの一撃を

 防げばそれは聖書の神を超えた事だと。

 ならばこの一撃で、

 俺が最強であることを証明しよう!」

 

 そう言うと奴は魔力を高めるや

 俺達と赤龍帝の間に割って入った。

 

『〇〇……! ✕✕……! 

 □□□……!!』

 

 老若男女の声がそれぞれ誰かの

 名前を呼んだ。

 多分戦った歴代の白龍皇の姿を

 ヴァーリに重ねているのか!? 

 

「オオオオオォォォ!! 

 アルビオン……! アルビオン!! 

 アルビオォォォォォン!!!」

 

 遂に四つん這いになった赤龍帝から

 ロンギヌス・スマッシャーとやらが

 放たれた!! 凄まじい勢いで

 一直線に突き進む巨大なドス黒い

 暗黒の奔流がヴァーリに向かっていく! 

 

「divid!」「divid!」「divid!」

 

 アルビオンの能力が幾度も

 発動しているがロンギヌス・スマッシャーの

 威力は衰えるどころか、

 ますます増大していく。

 恨みや憎しみは決して減ることは

 ないっていうのかよ!? 

 じゃあ俺達が生きるっていうのは、

 その恨みと憎しみをずっとずっと

 永遠に積み重ねるだけの

 意味のないどころか

 間違いだらけの繰り返しなのか!? 

 

『そうだ、お前たちは

 永劫に罪を重ね、滅びに回帰するのだ……。

 それがお前達の未来』

 

 赤龍帝でも、ヴァーリでもない

 リアスさんたちでもない。

 全く聞き覚えの無い声が

 俺の頭に響いた。

 違う! 違う!! 

 そんなことあるもんか! 俺は心の中で叫んだ。

 俺だけじゃない。

 木場もゼノヴィアも、アーシアも朱乃先輩も小猫ちゃんもおっさんも兵藤も皆、同じ気持ちだ! 

 俺達は罪を重ねるために

 生きるんじゃない! 

 補いあって、支えあい、

 積み重ねるために生きているんだ! 

 だから、だからこそ……! 

 その時、さっきの様に

 光と闇が輪転するイメージが

 はっきり浮かび上がる。

 ゼロとゼロが交わり幾度も

 積み重なることでその軌道は

 無限になる! 

 だから俺は……! 

 

「イッセー! いい加減に……! 

 目を覚ましやがれぇぇぇぇ!!」

 

 俺は雄叫びと共に

 全身そのものを拳にする武態を

 発動させる。

 

「おおおぉぉっっ!!」

 

 ロンギヌス・スマッシャーを

 受けるヴァーリの背から俺は

 飛び立ち、突撃した。

 

「グ……ガアァァァッ!?」

 

 パキイィィン!! 

 

 次元ごと打ち砕く俺の一撃が

 赤龍帝の片翼を破壊し、

 ぐらりとその巨体を蹌踉めかせた。

 

「お、おのれ……! 

 おのれおのれおのれおのれェェェッッッ!!!」

 

 赤龍帝から漏れ出す怨霊達が憤怒の形相で俺を睨み、憎悪の言葉を吐き散らす。

 

 アーシアちゃんの回復があるのに

 俺は全身に力が入らない……! 

 力を使い過ぎちまったのか……!? 

 これまでか……! 

 俺が覚悟しかけたその時! 

 

「あ……あざ……と……たすけて……」

 

 イッセーの声がした! 

 確かに今、聞こえた! 

 俺に助けを求めているなら

 やることは一つだよなあ! 

 

「勿論だ! ダチ公!」

 

 俺は気合いを入れて立ち上がり、イッセーに叫ぶ。

『何で動けるんだ?』って感じで

 こっちを見るヴァーリ。

 それは簡単な話だ。

 

「男の……いや、人間の根っこは……

 痩せ我慢なんだよ!!」

 

 シュルルルルル!! 

 

 俺は足を触脚にして、

 地下から赤龍帝を締め上げた! 

 ほんの数秒の足止めに

 しかならないだろうが……! 

 

「愚か者めがぁ!!」

 

 ブチブチブチブチィ!! 

 

「ぐあああっ!」

 

 一秒も持たないってのかよ! 

 全身を引き裂かれる様な痛みが

 走る! 泣き叫んで逃げ出したい! 

 だが、この程度の痛み……! 

 今まで泣き言も言わず、

 スケベでお調子者の仮面をつけて

 俺たちを守ってきたイッセーの

 痛みに比べりゃ……なあ!! 

 

「うおらあああああ!!」

「ぐおぉっ!?」

 

 赤龍帝に動揺が走る。

 

「まさかちぎり飛ばされた触手から

 更に触手を展開して更に奴を

 縛るとはな。千切れば千切るほど

 強度を増す捕縛技とは恐れ入る」

 

 あちこち鎧が罅割れ、

 血を流しているヴァーリが

 感心した様に俺の技を評している。

 

 

「アザトォスゥ……! コロス……コロシテヤル……! 

 キサマハ……キサマハアァ!!」

 

 赤龍帝が何だか錯乱してやがる。 

 俺の名前は九頭竜安里だよ! 

 

「死ネエェェッ!!」

「死ぬかボケぇ!!」

 

 俺が口を返したその時、

 またしてもロンギヌス・スマッシャーを

 撃ち出そうとしてきた! 

 幾ら何でもアレはヤバい! 

 何とか口を塞ぐか妨害できる

 時間さえあれば……! 

 

「安里先輩……! 僕も……! 

 僕だって……男です! 

 だから、煉獄さんや先輩みたいに

 僕も痩せ我慢します!」

 

 その時ギャスパーが必死に

 走り寄ってくるなり俺の傷だらけの

 触手の一部を血液ごと口に含む! 

 そしてギャスパーの停止結界が

 赤龍帝に発動する! 

 ありがとよギャスパー! 

 認めてやるぜ! お前も男だ! 

 

 その僅かな停止が助けとなり

 俺の触手が赤龍帝の口を塞ぐと

 同時にリアスさんたちの準備が

 完了した! 

 

「さあ、いいかな君達? 

 チャンスは今しか無い!!」

 

 シュタークさんはリアスさんたちに

 一枚の術符を持たせつつ、

 数百枚の術符を落ち葉の様に

 赤龍帝の足元に敷き詰めると、

 その術符は忽ち陣となり

 魔法円へと変わる。

 

「奥義、悟涼授颯札(ごりょうじゅさつふだ)!!」

 

 すると赤龍帝からまたしても

 赤黒いオーラが漏れ出す、

 というより収まっていく……? 

 

「厳密には少し違うヨ。

 彼らの恨みや憎しみを

 イッセー君を媒介にして

 別の感情に変化させる事で

 鎮魂の儀とかえさせる技サ」

 

 別の感情? 

 愛とか友情とかそんな感じかな? 

 タイマン張ったらダチとか

 そういうの? 

 

 すると赤龍帝の瞳があの

 禍々しい深淵を覗き込むものから

 イッセーのものに変わる。

 

「……ぱい」

 

 ん? 何か呟き出したぞ? 

 イッセー! お前、大丈夫なのか!? 

 

『……ぱい』

「ぱい?」

『おっぱい……おっぱい……! 

 うおおおぉぉ! おっぱい! 

 リアスさん! 朱乃さん! 

 アーシア! ゼノヴィア! 

 小猫ちゃん! ナイアに

 ニグラ先生のおっぱい! 

 おっぱい! おっぱい! おっぱいい!!」

 

 ……チョットナニイッテルノカワカリマセンネ。

「どうやら成功したようだネ。

 彼の一番強力な感情は

 怒りでも憎しみでもなく

 おっぱいを求める渇望だったのサ。

 それが歴代赤龍帝の怨念を

 凌駕したのサ」

 

 いや、凌駕したのさじゃねえよ! 

 おっぱいドラゴンに封印される

 なんて歴代の赤龍帝も浮かばれないだろ……。

 

「ふ……ははは! ははははは!!」

 

 ほら見ろ、ヴァーリも

 笑うしかねえじゃねえか。

 

「まさか、こんな結末を迎えるとはな……」

「そう言ってる割には随分嬉しそうな

 ツラしてんじゃねーの?」

「ああ、嬉しいとも! 

 これ程までにバカバカしくも

 清々しい敗北感に浸ったのは

 初めてだよ! 

 彼は本当に自由だな! 

 ははははは!」

 

 そう言いながら奴は笑っていた。

 ろ、ロンギヌス・スマッシャーとやらの

 直撃で頭でも打ったのか? 

 

『全く……今生の赤龍帝……

 いや、兵藤一誠のあの奔放さを

 見ると今まで赤いの、

 いやさドライグと

 いがみ合っていたのが

 バカバカしくなってきたぞ』

 

 と、ヴァーリの鎧、

 恐らくもう片方の二天龍

 アルビオンがそう言う。

 何やら感慨深げな声音だ。

 え? まさかイッセーのスケベが

 歴史的和解を生み出したのか!? 

 す、スゲエ! 流石は俺の親友! 

 

「いや、全くヴァーリが笑うなんて

 明日は槍が降るんじゃねえかい?」

「全くだにゃー」

 

 と、そこに聞き覚えのない声が

 響くと空間が裂けて二人が現れた。

 一体今度は何だよ! 

 

 すると現れたのは西遊記の

 孫悟空みたいな出で立ちの

 妖怪と猫又みたいな姿の美女だ。

 

「美猴、それに黒歌か」

 

 ヴァーリは鎧を解除すると

 二人の名前を呼ぶ。

 つまりヴァーリの仲間ってわけか。

 

「大変だにゃヴァーリ! 

 スグに私が手当してあげるにゃ!」

 

 と、猫又らしき美女はヴァーリに

 抱きつこうとするがアイツは

 するりと身をかわした。

 

「心配は無用だ。

 既に傷はある程度癒えた」

「むぅ~! 相変わらず私に冷たいにゃ! 

 もっと優しくして欲しいにゃん!」

「傷はそうでも魔力はそうは

 いかねえだろうよい。暫く温泉で休むこった」

 

 ヴァーリたちは軽口を叩き合いながら

 空間の中に消えていった。

 ってオイ! 

 イッセーはどうするんだよ! コラ! 

 

「おっぱい! おっぱい! 

 うおおおおっぱいいいい!!」

 

 って暴れまわるな! 

 学園が崩落するだろ!! 

 ブチブチ捕縛網が

 千切られるから滅茶苦茶痛い! 

 

「うーん、思ったより

 長引くかなこれハ。

 具体的には3日3晩位かモ。

 まあ、頑張り給えヨ」

 

 三日三晩も引き摺られたら

 俺が死ぬだろ! 

 誰か助けてくれぇぇぇっ!!!! 

 

「うん。

 ここはなんとかしよう。

 僕にいい考えがあるんだ」

 

 泣き叫ぶ俺の頭上にフッと

 現れるなりゲイトさんが

 妙なフラグを立てる様な事を

 言ってきたが今はいい! 

 何とかイッセーを止めてくれぇ! 

「安里、君はここで休んでいるとい」

 そう言って

 ゲイトさんはイッセーと

 リアスさん達をどこかへ

 連れて行かれたのだった。

 

『うおおお! おっぱい! おっぱい! 

 うおおっぱいい!!』

「イッセー! いい加減になさい!!」

 

 




安里が使った技ってビックバン・パンチ?
(衝撃!Z編)
名前は違いますがそのイメージですね。
更にグラグラパンチの空間破壊のおまけ付き。

シュタークさんの奥義何か当て字くさくない?
君の様な勘のいい(以下略)

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

  • 早い方がいい
  • 遅いけど長いほうがいい
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