※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

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新キャラをバンバン出すんじゃあない!
ゼファードルさんの扱いは原作からして
アレだから多少はね?


第46話

「これより『悪の首領ライ・フェネクスVS

 正義の使者赤龍帝のヒーローショー』が

 始まりま~す!」

「うおおぉっ!」

 

 司会の声に観客が湧き上がる。

 ああ俺はせめて客席に

 被害が出ない様にしないと……。

 

「ふふふ、お前は俺のカキタレになるのだぁ〜!」

「きゃー助けてー!」

 

 ライザー、もといライ役の役者が

 リアスさん役の女性に迫る。

 しかしひでえ脚本だなオイ……。

 取り敢えず赤龍帝の鎧(レプリカ)を

 着た俺はゴンドラから舞台に

 降りる手筈になっているんだが……

 

 ガキン!とゴンドラから

 不穏な音がしたぞ……!? 

 おい、まさか

 このまま落下

 するんじゃねえだろうなあ!? 

 

 ガッシャーン!! と轟音が

 鳴り響く中俺はどこぞの

 イーノック式着地を決めた。

 少し足首が痛いがそこは我慢だ。

 

「…………!?」

 

 ふと気がつくと

 予想外のトラブルに

 ライ役とリアスさん役の役者が

 硬直していた。

 マズい……!

 何とか場を繋げなければ……! 

 

 するともくもくと舞台袖から

 煙が立ち込める。

 成程……こういう演出か。

 同時にゴンドラの破片を

 回収するのかと思ったのだが……。

 

(なんか……煙くないか!?)

 

 よく見たらキュクロが舞台袖で

 火を焚いているじゃねえか! 

 引火したらどうするんだよ! 

 というか舞台客はパニックに

 なっていないのか!? 

 

 だが、皆は固唾を飲んで

 ステージを見守り誰も動かない。

 更に……。

 

「おーほっほっほ! 

 私はネフレ! 

 ライを操りフェニックス家を

 破滅させ、

 更にはグレモリー家を乗っ取り

 冥界の支配を目論む

 大大大悪党でしてよ!」

 

 仮面舞踏会で使うようなマスクを

 つけてノリノリで芝居をする

 レイヴェルがキュクロと

 アヴェンジャーに担がれる様にして現れた。

 そして彼女は扇子を広げると高笑いを上げる。…………これって台本にあったかな?

 しかも何か観客席の方々が

 拍手をしているんですけど……。

 流石にこれは予想外だったぜ……。

「さあお前達!

 私に従いなさい! 

 逆らう者はこの私が許しませんわ!! 

 因みに今煙いのは私の毒ガスに

 よるものですわ!」

 

 何と客席に向かって叫ぶ

 レイヴェル。

 ……うん、これも

 台本には書いてないね。

 

「ヒドい! ヒドいや!」

「僕たちはお前なんかに

 従わないぞ!」

「帰れー!」

 

 子供達はレイヴェル……じゃなくて

 ネフレに扮する彼女にブーイングを送る。

 

「フッ……

 ならば仕方ありませんわね。

 力づくでも言うことを聞かせますわ!! 

 お前達、やっておしまいなさい!」

 

 そう言って

 ネフレはキュクロとアヴェンジャーに指示を出す。

 お前は来ないのかよ! ……まあ良いか。

 とにかくこれで舞台は整った訳だしな。

 

「そこまでだ! 

 大大大悪党め!!」

 

 俺は右手を前に突き出すと

 ポーズを取るや

『おおっ!』という

 皆からの歓声が上がる。

 何だか少し照れくさいな……。

 

「ま、待て! 貴様の相手はわた」

「がやがやとやかましいぞ」

 

 バッコオン! 

 キュクロがいきなりライ役の

 お兄さんをふっ飛ばしたぞ!? 

 何やってんだあ!? 

 

「ふん、まるでてごたえのない」

 

 パンパンと埃を払いながら

 呟くキュクロに何故かギャラリーが

 沸き立った! 

 

 あ……ここグレモリー領だから

 ライザーは嫌われ者なのか……? 

 ちらりと見るとレイヴェルは

 明らかに不機嫌そうに

 顔を歪ませている。

 気持ちは解らんでもないが……。

 

「さてと、やろうか

 きゅうどー」

「いや、赤龍帝だからな! 

 今の俺は!」

 俺がツッコミを入れると会場がどっと湧いた。

 

「……ではいくぞ」

「おう」

 

 俺達は互いに構えると

 

「「勝負だ!」」

 

 同時に叫んだ。

 次の瞬間俺達の拳がぶつかり合い

 衝撃波が辺りに広がった。

 

 バシュウウウン! 

 

 凄まじい音を立てて

 俺とキュクロの攻撃が

 相殺される。

 会場に突風が吹き、会場が静まる。

 

「うでをあげたな(腕を上げたな)」

「そちらもな(加減しろ!)」

 

 俺達が互いの実力を認め合う

 芝居をすると

 観客が更に盛り上がる。

 臨場感溢れるバトルに

 興奮しているようだ。

 

「えい」

 シュン! 

「おっとぉ!」

 ヒュン! 

 

 キュクロが放った音が

 遅れてやってくる速さの

 攻撃を避け、

 俺は体勢を立て直すと

 今度はこちらから仕掛ける。

 

「ドラァアアッ!」

 

 ゴォン! 

 渾身の一撃を繰り出すも

 キュクロは【不殺の聖剣】で

 防御すると轟音が鳴り響く! 

 ぐお……! 拳が痛い……! 

 

「どうした、きゅうどー? 

 キュクロのおしえたわざを

 わすれたか」

 

 馬鹿! 

【六合太極】を

 こんなヒーローショーで

 使えるかよ!大惨事になるだろ! 

 あと赤龍帝だって言ってるだろ! 

 

「ふーむ、

 やはりほんきでやらないと

 きゅうどーはつよくならないな。

 つよいものとたたかわないと

 せいちょうはない。

 と、ぼるくがいっていた」

 

 ぼるく? 

 ああ……、

 ボールクの大将の事か。

 確かに強い奴と戦えば成長できるかもしれないけど、

 今ここでキュクロと本気で戦ったら

 グレモリー領の皆さんが

 大変な事になりかねないんだぞ……。

 どうしたものか……と

 考えあぐねていた所。

 

「そ、そこまでよー赤龍ていー」

 

 妙に上擦った裏声で

 アヴェンジャーが見知らぬ

 女の子を人質にしていた! 

 

「あ、あわわ……」

 

 人質にされているのは

 見知らぬ女の子だ。

 年は俺達と同じくらいに見えるが

 身長はだいぶ小柄で

 小猫ちゃんと同じ位だ。

 髪は少ウェーブがかった

 水色の髪で背丈は小猫ちゃんと

 同じ位だ。に、しては

 豊かなモノをお持ちだが……。

 

「この娘の命がー? 

 惜しいならー↑? 

 さっさとー、降伏しーなさいー」

 

 し、しかし演技が酷すぎる……。

 アヴェンジャーはツンデレの上に

 ポンコツ属性まで持っているのか? 

 

「…………」

 

 キュクロはアホみたいに

 ポカンとしていたが

 一方人質の子は震えながら

 涙目になっている。

 うう……物凄い罪悪感を感じる。

 

「貴様! お嬢様に何を!」

 

 急に控えていた黒服達が

 アヴェンジャーを取り押さえようと

 したが

 

「竜の魔女を前に

 雑魚が吠えるか! 耳障りな!」

 

 アヴェンジャーが

 腰に差した剣を一振りするや

 黒服達は昏倒してしまった! 

 あ、そこは演技じゃないんですね……。

 人質の女の子はもうすっかり

 顔面蒼白になって俺に助けを

 求める視線を送ってくる。

 

「た、たすけてぇえええ!!」

 その悲鳴はステージ上の俺達にも

 よく聞こえてきた。

 大事になる前に何とかしなければ! 

 

「やめろ! その子を離せ!」

「ハァ? なんで私が貴方の

 指示に従う必要があるんです?」

 

 めちゃめちゃ煽る様な冷笑を浮かべながら

 アヴェンジャーは俺を嘲笑する。

 

「私はネフレ様の部下ですよ? 

 無能な上司が命令しないなら

 部下が勝手に最善の行動しても

 問題ないですよね~? フフッ」

 

 地味にレイヴェルまで煽る始末だ。

 すると、キュクロが

 

「きゅうどー。

 あのこをまもってやれ」

 

 と俺に語り掛けて来た。

 そうしたいのはやまやまなんだが

 アヴェンジャーは想像より遥かに

 スキがない。どうしたもんか……。

 

「お、お願いです! 

 私を傷つけるのは止めてくださいぃ!!」

「あら?貴族の様な身なりの

 くせに平民ばりに命乞いでか? 

 無様だこと」

「そ、そうではなくて……! 

 大変な事になっちゃうんですぅ!」

 

 アヴェンジャーがそう言った途端

 俺は思わず飛び出してしまった!

 シュン!

 

 アヴェンジャーが俺の拳を難なく避ける。

 しかし俺はそのまま突っ込むと

 人質を掴んでいる腕を力ずくで引き剥がす!

 

 ドガッ! 

 

 そのまま俺はアヴェンジャーの鎧を殴り飛ばした! 

 

「きゃぁああああ!」

 

 アヴェンジャーの手から離れた

 女の子をキャッチすると、

 俺はすぐさまアヴェンジャーから距離を取る。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 女の子がお礼を言うと

 キュクロもこちらに向かって来た。

 

「ひっ……!」

 

 人質にされていた子は

 キュクロの迫力に怯えてしまっている。

 た、確かに今のキュクロは

 悪役だからな……。

 

「しんぱいするな。

 せきりゅうていはつよいからな。

 おまえたちを

 きずつけることはない」

 

 キュクロが優しい口調で語ると

 女の子は

 少しだけ落ち着きを取り戻した。

「は、はい……」

 顔色も徐々に良くなっていく。

 良かった。これで一安心かな。

 

 と思ったら……。

 ズガガガガッ!ブオッ! 

 

 槍の様な燃え盛る鉄杭が

 俺達の近くに突き刺さると

 赤黒い炎を噴き出していく。

 アヴェンジャーの仕業か……? 

 

 俺が鉄杭の飛んできた先の方を

 キッと睨むとそこには

 アヴェンジャーが怒り満面で

 俺達の方に歩いて来ていた。

 

「よくもこの私を殴ってくれましたね……。

 いいでしょう……。

 この【竜の魔女】が直々に

 相手をしてあげますよ……」

 

 ゴォオオオオン!! 

 アヴェンジャーの

 怒りに呼応したのか

 周囲の空気が熱気を帯びていく。

 

「……」

 

 俺もアヴェンジャーを見据えるが

 先程までのアヴェンジャーとはまるで別人だ。

 さっきまではただの

 ツンデレポンコツ残念キャラかと思っていたが

 今目の前にいるのは本物の殺気にまみれた修羅だ。

 

「喰らえッ!」

 

 アヴェンジャーが叫ぶと同時に

 その右手には燃え盛る火球が宿り、それを

 間髪入れずに俺へと投げつけて来る。

 

「危ない! 避けて!」

 

 人質の子が悲痛な叫びを上げる中

 俺はアヴェンジャーの放った

 火の玉を受ける。

 避けたらあの子に当たるからな! 

 

「ぐっ……!」

「ふん! 私の攻撃を防ぐなんて流石ですね……。

 でも次はどうかしら?」

 

 シュババババ! ドカアッ! 

 今度は剣と槍の様な旗を合わせて

 多段攻撃が繰り出される。

 

「ぐう……!」

「ハハッ! 防戦一方じゃないですか! 

 もっと楽しませてなさいよ! ねえ!」

 

 バシッ! ザシュ! ドガッ! 

 

「く、くそぉ!」

 

 俺は必死で攻撃を捌いて行くが

 反撃する隙が無い。

 アヴェンジャーがこれほど

 強いとは想像もしていなかった。

 だが俺は諦める訳にはいかない。

 ここで負けたらあの子はどうなる? 

 

「まけるなーせきりゅうてい!」

「がんばえー!」

「赤龍帝! 赤龍帝!」

 

 ステージの観客も

 すっかり応援ムードだ。

 皆の声援を力に変えて俺は戦うんだ……! 

「はぁああ!!」

 シュンッ! 

「何!?」

 

 アヴェンジャーの背後を

 一瞬で取ると俺は渾身の一撃を繰り出す。

 しかしアヴェンジャーは

 俺の攻撃を避けようともしない。

 ……一体何を考えている?そう思った時だった。

 フッ、とまるで蜃気楼の様に

 俺の攻撃はすり抜けていった!? 

 幻術でも使ったのか!? 

 

「我が身は泡沫の夢……! 

 汝が道は……既に途絶えた!」

 

 詠唱と同時に俺の周囲に

 虚空から鉄杭が突き出してくる。

 まずい! これは避けられない! 

 

 ドスドスドスッ! 

 

「うわああっ!」

 

 俺は咄嵯に防御したが、

 数か所被弾してしまった! 

 更に鉄杭が火を噴き

 身体を鎧の中から焼き焦がす。

 

 強烈な痛みと衝撃を受けて

 俺はその場に膝をつく。

 

「おや? もう終わりなのですか?

 私のマスターにしては

 期待外れもいい所ですね」

 

 アヴェンジャーが失望した様子で語り掛けてくる。

 クソ……!俺はアヴェンジャーを

 睨みつけると立ち上がろうとするが

 上手く力が入らない……。

 このままじゃ……負けてしまう……。

 

「あ、ああ……!」

 

 人質の女の子は恐怖のあまり

 声も出せず震えているが

 そんな彼女をキュクロが

 宥める様に肩を叩く。

 

「だいじょうぶだ。

 せきりゅうていはつよいからな」

 

 キュクロがそう言うと

 女の子は少しだけ安心するが、

 それでも不安そうな表情は消えない。

 ……そうだよな。

 こんなに怖い思いをしたら無理もない話だよな。

 俺は何とか立ち上がりながら

 自分の不甲斐なさを悔やむ。

 

「……ごめんなさい!」

 

 人質の女の子が何故か俺に

 謝ると急に身体が軽くなり、

 痛みが嘘の様に引いて行った。

 だが回復を使った様子はない……? 

 どういう事だ? 

 それにこの感覚はまるで

 俺が使う糸の技の様な……? 

 だがこのヒーローショーを

 円満に終わらせる事の方が

 先決だ。

 

「うおりゃあああ!!」

 

 陰と陽を混ぜ合わせた気合と共に

 俺はアヴェンジャーに向かって突進していく! 

 

「無駄ですよ!」

 

 ズガガガガッ!! 

 俺の行く手を阻むように

 周囲の地面から大量の鉄杭が

 出現して来るが俺は構わず突っ込んでいく! 

 

「関係ねえな!」

 

 俺は【六合太極】の力を

 発動させてアヴェンジャーへの

 攻撃を無効化する魔術を空間ごと

 拳で打ち砕いた! 

 

「そんな……!?」

 

 アヴェンジャーがありえないとばかりに

 目を見開く中俺は彼女の懐まで潜り込むと、

 渾身の右ストレートを寸止めした。

 

(ほ、ほら!取り敢えず

 吹っ飛んだフリをしろ!)

(え、ええ……)

 

 俺はアヴェンジャーに目配せすると

 彼女は戸惑いながらも

 俺のパンチを喰らう演技をする。

 

「うわあぁー↑!? 

 なんてぇ、すごいー↓、

 攻↑撃↓なのかしらああ〜」

 

 ……あまりにも戦闘時と

 ギャップがありすぎやしませんかね

 アヴェンジャーさん……。

 俺とアヴェンジャーがステージの端で

 待機していると、司会者がマイクを持って来た。

 

「な、なんとぉおお!赤龍帝くんのぉ、

 必殺技が炸裂ぅうう!

 そしてそれを受ける竜の魔女ちゃんも見事ぉ!」

 

 司会の言葉に合わせて会場も沸く。

 

「お、おのれ! 

 実は私は一発パンチされただけで

 ダウンする貧弱悪魔ですから

 ここは立ち去りますわ!」

「おぼえていろー」

 

 レイヴェルとキュクロは

 そう言い残してステージの袖へと走って行った。

 いや、お前のそのキャラ設定はどうなんだレイヴェル……。

 俺は呆れるが、今はあの子だ。

 

「大丈夫か?」

 

 俺は人質になっていた女の子に

 近づくとすっと手を差し伸べる。

 

「は、はい……大丈夫、です!」

 

 女の子は俺の手を掴むとゆっくりと立ち上がる。

 

「本当にありがとうございます……」

 

 女の子はそう言って深々と頭を下げる。

 

「皆さん! 赤龍帝と竜の魔女の

 熱い戦いに大きな拍手をお願いします!」

 

 司会の男がそう言うと観客から盛大な拍手が送られる。

 まあ、何にせよよかったよかった……。

 しかし俺とキュクロ、

 そしてアヴェンジャーとの

 戦いの余波が相当あった筈だが

 観客には怪我も汚れもない。

 誰かが防壁を張ってくれたのか? 

 

『フーン……ロスヴァイゼから

 貰った特売特典のチケットで

 見に来たショーだけど

 すっごい掘出し物見つけちゃったかな?』

『ふう。リアスお嬢様とイッセー様を称える

 舞台で騒ぎを起こす訳にはいきませんもの……』

 

 俺が疑問に思っていると何処からともなく

 そんな声が聞こえてきた。

 一体誰の声だ?

 俺が周囲をキョロキョロと見渡したがもはや

 その声の主達はどこにもいなかった……。

 

 ー

 

 場所は変わって俺はリアスさんと

 イッセーに付き添って

 会合とやらに向かう事になった。

 正直、貴族の会合になんて

 行きたくはないがヒマだし……。

 すると通路で見知った顔に会った。

 

「ほう、赤龍帝にリアス。

 それにアザゼルの右腕か。

 皆息災で何よりだ」

 

 そこに居たのはサイラオーグさん。

 何でも若手悪魔のナンバーワンで

 その実力は次期魔王の

 呼び声も高いとか何とか……。

 と、言うか俺がいつの間にか

 おっさんの片腕扱いになってるんだけど!?

 

「違うわよサイラオーグ! 

 彼はゲイトの右腕! 

 私のイッセーの親友で

 私の盟約者よ! 

 誤解しないで頂戴!」

 

 するとサイラオーグさんは

 肩を揺らして豪快に笑った。

 いや、俺は誰の右腕でもないよ!? 

 

「ハハハハハ! それは悪かった! 

 非礼を詫びよう、すまなかったな

 九頭竜安里」

「いえ、別にいいスよ。

 ところで何をしに通路に?」

 

「何、

 下らん諍いに少々疲れたのでな。

 気分転換を兼ねて

 外の空気でも吸おうと思ってな。

 そうしたら、

 たまたまお前達を見かけた」

 

 嘆息と共にサイラオーグさんは

 答えた。

 諍い?まあ、魔族で更に貴族なら

 我の強い奴も多いだろうからなあ。

 

「下らん諍い……ということは

 全員出てきているの?」

 

 リアスさんが訊くと

 サイラオーグさんは小さく首肯した。

 

「ああ、そうだ。

 アガレス、アスタロト、

 フェニックスは勿論、

 ゼファードルも来ている」

 

 ゼファードルって

 名前が出てきた途端、

 リアスさんは嫌そうな顔をした。

 多分ロクな奴じゃなさそうだな。

 

「気持ちは解るが

 そう嫌そうな顔をするなリアス。

 それに悪い話ばかりでもない。

 あのルイーナが珍しく出席している」

「え、ルイーナが……?」

 

 リアスさんが意外そう、

 かつ嬉しそうに言うと

 イッセーがリアスさんに尋ねる。

 名前から女の子だと見たんだろうが

 反応が早いな……。

 

「もう、イッセーってば! 

 ルイーナは私とサイラオーグの

 幼馴染でムールムール家の娘なの。

 ムールムール家は代々バアル家と縁があるの」

「へぇ〜、どんな人なんですか?

 リアス先輩の幼馴染って事は

 やっぱり美人だったりしますか?

 おっぱ、もとい胸が大きいとか……」

 

 イッセー……お前という奴は……。

 リアスさんも苦笑いだぞ。

 

「ははははは!

 お前は相変わらずだな。

 俺の主観も入るが冥界で

 二番目に美しい女だ。

 性格は……

 文字通りの箱入り娘と言った所で

『紅髪の滅殺姫』に対して

『蒼髪の生誕姫』と

 呼ぶものもいる」

 

 サイラオーグさんは

 そう言って笑う。

 と、その時だ! 

 ドオオオオオン! 

 

「きゃあ!?」

「うお!?」

 

 突如として爆音が鳴り響き

 建物が激しく揺れる。

「全く、擦り合わせがとんだ

 私闘騒ぎになりかねんな」

 サイラオーグさんが呟くと

 眷属らしき面子と大広間に

 急ぐ。

 俺とイッセーも慌てて後を追う。

 

「これは……」

 

 大広間に入るとそこは荒れ果てていた。

 壁や床が砕け散っており

 天井には大きな穴まで空いている。

 そして、そこには……

 一触即発といった雰囲気を醸し出す

 二つのグループと、

 テーブルで紅茶をキメる糸目の

 兄ちゃんとフード集団。

 それとレイヴェルに……。

 そのテーブルの下でブルブル

 頭を抱えて震える青い髪の

 女の子がいた……ってアレ!? 

 ヒーローショーの時に

 人質になっていた女の子じゃないか!? 

 

「ルイーナ!?」

 

 リアスさんが叫ぶと皆が驚く。

 すると青髪の女の子は顔を上げ、

 涙目でリアスさんに抱きついた。

 

「ふ、ふえええん! 

 リアスちゃん!」

「ちょっとどうしたのよ! 

 一体ここで何があったの!?」

 

「それがね、私が

 ここに来た時にこの人達が

 いきなり襲いかかってきて、

 それで怖くて隠れていたの」

 

 すると、ヤンキーっぽい

 グループのリーダーがキレ出した。

 

「おいコラ!

 人聞きの悪い事言ってんじゃねえぞクソアマァ! 

 俺達が折角百発百中のお宝を恵んでやるってのに

 テメーみてーなメンヘラ悪魔が断わりやがったから、

 実力行使に出ただけだ! 

 薄汚えムールムール家の血を

 俺達の精液で清めてやろうってのによぉ! 

 なあオイ!」

 

 そう怒鳴ると、

 他の連中もそうだそうだと

 喚きだすやら笑い出すやら……。

 ……チョットナニイッテルノカワカリマセンネ。

 

「ゼファードル……貴方は」

「今の言葉、取消せゼファードル」

「なんだよバアル家のむの」

 

 ガッシャアアアン!! 

 

 サイラオーグさんが最後通告を

 出していたが一瞬遅れて俺の拳が

 ゼファなんとかの顔面にめり込む。

 

「ぐが……!? テメェ……!」

 

 吹っ飛ばすつもりだったが

 流石は腐りきっても貴族。

 踏ん張って堪えたか。

 

「なにしやがんダァ!!」

「俺は部外者だから

 しがらみがないのでテメーを

 遠慮なく殴った。文句あるか? 

 クソ野郎」

「こんな事して生きて冥界から

 出られると思うなよ!」

 

 ゼなんとか、面倒だからカスの

 取り巻きがゾロゾロと

 俺を取囲み始めた。

 ケッ、わかり易い奴らだな。

 

「ゼファードル、

 それにそこのチンピラ。

 こんな所で戦いを初めても

 仕方ないのではなくて? 

 馬鹿なの? 死ぬの? 死にたいの? 

 殺しても上に咎められないかしら」

 

 カスと諍いをしていた

 青いローブを羽織った

 メガネをかけた女悪魔が言う。

 ち、チンピラ……。

 まあ、事実だけどさ……。

 

「こ、この方は……

 チンピラじゃありません! 

 わ、私の騎士様です!」

 

 すると怯えていたルイーナさんが

 俺の腕に抱きついてきた。

 うっ……や、柔らかなものが

 むっちり当たる。

 いかんいかん、心穏やかに……! 

 俺は大きく深呼吸する。

 

「すぅ~……はぁ〜……」

 

 よし、落ち着いた。

 

「そうなんですか。

 なら、レーティング・ゲームで

 決着をつけたらどうでしょう」

 

 何と紅茶をキメていた

 糸目の兄ちゃんが

 口を挟んできた。

 いや、レーティング・ゲームって

 俺は悪魔の駒じゃないぞ!? 

 ルイーナさんが言ったのは

 ものの喩えだろ! 

 しかし、カスはニヤリ、と

 勝利を確信した様な笑みを浮かべる。

 

「いいぜぇ、

 レーティング・ゲームなら

 殺しても罪にはならねえからなあ」

「そうですね、不幸な事故です」

 

 何だ糸目の兄ちゃんとカスは

 妙に意気投合している。

 さてはコイツら……グルなのか? 

 

「ちょっと待てよ! 

 ルイーナさんはここに眷属を

 連れてきていないだろ! 

 さては安里をリンチするつもりだな

 お前ら!」

 

 イッセーが叫ぶと、

 糸目の兄ちゃんはキョトンとした後、

 クスっと笑う。

 

「ああ、すいません。

 赤龍帝さん? 

 僕は貴方が嫌いなので

 話しかけないでくれますか?」

「なっ……!?」

 

 イッセーが絶句すると、

 糸目の兄ちゃんはゴミを見る目で続ける。

 

「だってそうでしょ。

 私の作品を貶める輩なんて、

 私にとって

 ただの害悪でしかないですよ……ぐうう……」

 

 作品?は?何言ってんだコイツ? 

 紅茶をキメ過ぎて

 頭がイカれちゃったのか? 

 

「安里、彼は何を言っているのですか?

 意味不明すぎて理解できませんわ」

「安心しろよ、俺も解らん」

 

 俺もレイヴェルに同意すると、

 

「ふふふ、まだわからないのかい?

 君達には失望させられたよ。

 やはりあの時、私の『作品』の

 素晴らしさを伝えておくべきだったわね。

 後悔先に立たず、というやつだ……や、やめろ……!」

 

 何かトリップしてやがるな……。

 何か頭を抱えだしたし……。

 

 とにかく、その後遅れてやってきた

 ソーナさんの取り計らいで

 レーティング・ゲームの話は一旦保留となった。

 だがカス取り巻き連中はやる気満々で、

 一週間後に奴等とルイーナさんで

 レーティング・ゲームを

 やる事になった。

 まあ、こうなったらやるしかない。

 と俺は決意すると共に、

 先程から気になっていた事を訊くことにした。

 

「ルイーナさんの眷属の皆さんは? 

 姿が見えない様ですけど」

「……はい。実は……いません」

「……はい?」

「私には眷属はいません……。

 私がお父様に嫌われているから

 誰も近寄って来なかったんです」

 

 悲しそうな顔で言うルイーナさんを

 俺は思わず抱きしめてしまった。

 

「えっ、安里さん?ど、どうして急に……」

「嫌な質問をしてしまってすみませんでした。

 でも、もう大丈夫です。

 これからは俺がいますから」

「……ありがとうございます」

 俺の言葉に、ルイーナさんは顔を真っ赤にして小さく呟いた。

 




ヒロインが増えるよ!

【挿絵表示】

やったねアーちゃん!

キミのそれは愛じゃないねェ。憐れみだヨ。
憐憫では人は夫婦になれないものサ。

何だ急に湧き出したフリーの悪魔祓い。

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

  • 早い方がいい
  • 遅いけど長いほうがいい
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