安里Side
「……はっ!」
ヘカトンケイルのメカメカ爺さんから
まだ聞きたいことがあったが
気がついたら勝手知ったる他人の
別邸の天井だった。
確か美猴、そして黒歌と
やり合っていた筈だったが
皆無事なのか……?
「あ、安里さん!」
「安里クン〜! 良かったぁ〜!」
困惑していた所に
ひしっ、といきなり
ルイーナとスコグルさんに
抱きつかれた。
「え、えーっと……」
「うぅ……心配したんですよぉ」
「安里クンってば全然起きないしぃ〜」
「す、すみません。
それより他の皆さんは?」
涙ぐむ二人を宥めつつ
今の状況を尋ねた。
するとスコグルさんが口を開く。
「ヤツらならソーナさんと
やり合ってるよ?」
や、やり合ってる!?
リアスさんと会長のソーナさんが!?
な、何でそんなことに……!?
「あ、あの、安里さんの
想像とは違ってですね……。
飽くまでレーティング・ゲームでの対決ですよ」
ルイーナが補足してくれた。
……確かにそれなら安心だけどさ。
誤解する様な言い回しなんて
スコグルさんも人が悪いぜ……。
「イッセーは大丈夫かな……」
俺が呟くと二人はビクッとして
目を逸らした。
「そ、そういえば見てないです……」
「い、今頃アーシアちゃんに
介抱されてるんじゃないの〜?」
…………。
あ、多分アレか……。
怨霊を裸の美女に変化させて
解放した話にドン引きしてるんだな二人とも……。
全くイッセーときたら
仕方ねえ奴だなあ……。
でもまあ無事なら良いんだけど。
とにかく俺は二人に
一旦退室してもらって
身支度を整えると
リアスさんとソーナさんの
レーティング・ゲームを観戦するべく、
暇そうなアヴェンジャーとキュクロ、
そしてスコグルさんとルイーナを連れて
会場へと赴いた。
今のルイーナはあの『英雄殺し』みたいな
殺し屋が彼女の命を狙っている可能性があるから
しっかり用心しないと……。
俺はルイーナ以外の全員に
目配せするとキュクロ以外は静かに首を縦に振った。
「どうしたきゅうどー。
だれかをさがしているのか?」
「いや、何でもねえさ」
キュクロは不思議そうにしてるが、
こっちにも色々あるんだよ。
ルイーナは俺の腕にしがみついて
離れない。
……うん、可愛い。
しかしルイーナは
ムールムール家の
ご令嬢ということで
VIPルームへと通された。まずは一安心。
ー
そこには何人か先客がいた。
まずは当然の様に
アザゼルのおっさんに
厳ついおっさんの堕天使。
次にオーディン様と
ロスヴァイゼさん。
サーゼクス様に
セラフォルー様。
いなくてもいいが
ディオドラの奴まで。
あとは……何人か知らない方々だ。
挨拶した方がいいのかな?
すると……。
「ああ……やだもう……
帰りたい……」
な、何だか漫画とかで見る
卑弥呼様みたいなカッコの
肩開き巫女服を着た女神様が部屋の
隅っこで体育座りしていた。
何これギャスパーの親戚?
「我儘を申されますな
アマテラス様。
天界、冥界、アスガルドのお歴々が
一同に会される機会など滅多にありませんぞ?」
「だってぇ……!
私こういう騒がしい所苦手なんだもん!
来世から本気だす……」
ちょんまげを除けば
イケメンをそのまま擬人化した様な
お付きの人に叱られても
尚グズる女神。
いや、来世って。
貴方女神様だろ!
……つーかさアマテラスって!!
俺達の国の最高神じゃないの!?
て言うかさっき凄まじい力を
感じたけどまさかね……。
「アマちゃんってば
相変わらず暗いなぁ〜☆
ほら、お客様が注目してるよ〜☆」
居た堪れなくなったのか
セラフォルー様がその最高神の
頭を撫でながら宥めだした。
う〜ん、この辺りはソーナさんの
お姉ちゃんだけある。
見た目は子供っぽいけど魔王の中でも
屈指の実力者だしな……。
「うぅ……何で私がこんな目に……。
これも全部あのコカビエルや
サタなんとかっていう
堕天使が悪いんです……。
あのうんこたれのせいで
私の予定が滅茶苦茶ですよ……。
あいつら絶対許さない……。
タケミカヅチ……あいつら
粘着ストーキングして
ダルマにしてきて……」
コワ〜……。
いや、うんこたれって……。
サタなんとかって……。
サタナエルの奴に至っては
名前覚えてもらってないのかよ……。
可哀想に、認知してもらえて
なかったから聖書の神に
成り代わろうとしたんだな。
死して尚、哀れなヤツ……!
あれ? でもタルタロスには
二人の姿はなかったような……。
堕天使だから地獄に行ったのかな?
知らんけど。
「ははは、
それについてはご安心を。
その二人はうちのリーアたんと
うちのイッセー君が
片付けておきましたからね。
貴方達の国土をお借りしている
立場ですからその位の仕事はしますとも」
ここぞとばかりにサーゼクス様が
二人の手柄を誇らしげに語った。
まあ、俺もそこそこ頑張って
制動の巨神倒したんだけど……。
いや、自分の宣伝なんか
みっともない!
今の俺はルイーナの騎士なんだ。
恥ずべき真似はできないぜ。
「ほっほっほ。
タケミカヅチも苦労が絶えんの。
しかしワシら神々の長たる者が
いつまでもそんな調子では
示しがつかんぞ?」
「うぅ……」
……オーディン様が優しく諭すように言うと、
アマテラス様は更に小さく縮こまってしまった。
こ、これはこれで萌えるな。
俺は思わず生唾を飲み込んだ。
だが、その時だった。
音すらしない雷光の如き
居合の刃が
俺の首のギリギリまで迫った!
……見えなかった!?
「貴様……アマテラス様に
色目を使ったか?」
「え……ええ!?」
いきなり抜刀して来た
男に俺は戸惑うしかなかったが
そこをまたしてもセラフォルー様が
宥めに入ってくれた。
「あちゃあ……。
アマちゃんに手を出すと、
タケミカヅチくんが黙っちゃいないから
気をつけてね☆
彼はアマちゃんの厄介古参勢だから、
彼女に邪な気持ちを
抱く男は絶対に許さないんだよ」
そ、そういうことか。
いや、でも待ってくれ。
俺は別にアマテラス様に対して
変なことなんて考えていない!
そもそもルイーナという
大切な人が……ってそうじゃなくて!
俺は必死で弁解した。
カクカクシカジカツツウラウラ。
「……そうなのか?」
「はい……!」
俺が答えると、タケミカヅチと
呼ばれた男性は納刀してくれた。
「……すまなかった。
お前がアマテラス様に
不敬なことを働いくのではと思ったのだ」
おお、ミスを働いたら謝る辺り
ちゃんとしている!
どっかの堕天使総督とは大違いだ!!
大違いだなあ!!
「まあまあ、ソイツは俺の
右腕みたいな存在なんだ。
悪い奴じゃないんだ。
万年発情ムッツリスケベを
哀れと思って、許してくれや」
コラおっさん!
何部下の心情を汲み取れる
デキる上司アピールしてやがる!
というかアンタの右腕は
そこについているだろ!
いい加減にしやがれ!!
「そうそう! 安里クンは
私に夢中だからさっ!」
「ち、違いますぅ!
安里さんは私に
メロメロなんですぅ!!」
な、何だか左右からひっつかれて
ギリギリ腕を締められてるんだけど……!?
痛い、痛いよ!
っていうかなんで
この人達俺に抱きついてるの!?
スコグルさんはともかく
ルイーナまで……?
「…………」
アマテラス様は
ドギマギするだけの俺を
無言でしばし
こっちを見つめていたが……。
「チッ……リア充、爆発しろ……」
舌打ちされた挙げ句の暴言を
吐かれたぞ! 何でだよ!?
あなた、万人を明るく照らす
太陽神様だろ!?
日照り神じゃあるまいし。
「アマテラス様、
そのような言葉遣いは
いけませんよ。
全く、悪い影響ばかり受けて。
この『すまほ』なるものは
今日一日没収です」
「ああ!? 鬼! 耶蘇禍霊!
タケミカヅチ!」
お付きのタケミカヅチさんに
注意されスマホを没収された
アマテラス様はまたもや
体育座りになってしまった。
大丈夫なんだろうか……?
「まあ、なんじゃな……。
折角来たんじゃ安里とやら。
スコグルと一緒にここに座れ」
隣に座っていたオーディン様が
空いている席を指し示した。
「は、はい……」
俺は言われるがままにその
空いた場所に腰掛けようとするも
何故かルイーナは俺の膝に
乗ろうとしてきた。
「ちょ、ちょっとルイーナ!?」
「は、離れません!
私は安里さんの主なんですから!」
俺は慌てて彼女を引き剥がそうとするが、
彼女は頑として俺から離れようとしなかった。
スコグルさんはスコグルさんで
俺の隣でニコニコしているし……。
何かアヴェンジャーからは
殺気を送られてるし……。
親友の晴れ舞台の観戦どころじゃねえ……!
どうすりゃ良いんだ……。
「ふむ、これがじょなんのそうと
いうものか」
キュクロォ!
頼むから余計なことを言うな!
これ以上ややこしくなるのは御免だぜ!
胃も痛くなってきたし……
泣きたい!
「全くこれ程の美少女達に
囲まれておきながら情けない。
ワシが若い頃なんぞは
若い女子の手を握っただけで
妊娠させておったぞ! わっはっは!」
……オーディン様が笑い声を上げるが
ロスヴァイゼさんは呆れ顔だった。
ルイーナとスコグルさんは
顔を曇らせて視線を逸した。
ほら見ろ、少しはアザゼル共々
反省してほしいもんだ。
「……それは
オーディン様だけですよ」
「……そうだよね☆」
セラフォルー様も
これは苦笑しながら釘を差す。
結局俺は針のむしろのまま、
イッセー達の戦いを見ることとなった。
しかしディオドラの奴は
ニコニコしているだけで
会話に入ってこないのは
どういうつもりなんだ?
単にアーシアの試合を
観戦しにきただけなのか……?
それにアザゼルの側にいる
厳ついおっさん
堕天使も黙ったままだし……。
俺は内心溜め息をつくと、
目の前の試合に集中することにした……。
ー
結論から言うとリアスさん達の
チームはソーナさん達のチームに
敗れた。
ソーナさん達は策を練り、
連携し、リアスさん達の弱点を
把握した上で戦っていた。
禁手化だったかな?
あの鎧を纏って戦うモードには
ならなかったが
乳語翻訳なるトンデモ技を
イッセーが堂々と
披露して大顰蹙を買ったり、
ブチ切れ寸前のセラフォルー様を
必死に宥めるハメになったりと色々あったけど……。
それでも最後は、お互いの力を
出し切っての素晴らしい戦いであった。
でも匙もイッセーも
ヴリトラやドライグと心を
通じさせる事で神器の力を
引き出していたのには驚いた。
俺も『奴等』と心を通じ合わせる事で
力を引き出せるのかも……。
「おっとそれは順序が逆じゃぞ
逸脱者。
赤龍帝もあの青年も
初めこそ力を求めての事であったが
今は双方とも宿る竜王と
向き合うことで力を引き出しておる。
まあ、いずれはお前にもわかる時が来るだろう」
「……オーディン様」
流石知識を司る
(スコグルさんからそう聞いている)神様だな。
敵わねえなあ……。
「え? 終わった……?
じゃあもうホテルに帰っていい?
ていうか高天原に帰っていい?」
「なりませぬ。アマテラス様。
貴方はイザナギ様の名代として
リアス様、赤龍帝のイッセー様に
挨拶なさらねば。さ、行きますよ」
「えぇ〜!?」
タケミカヅチさんに襟首を
引きずられながらアマテラス様は退場していった。
もうやだこの太陽神……。
ー
イッセーSide
「はぁ〜……」
レーティング・ゲームの後の
反省会を終えた俺はシャワーを
浴びてバスローブに着替えると
ベッドに寝転んでいた。
負けた事は確かに悔しいが
俺が落ち込んでいる原因は他にある。
コンコン、と控え目に
ドアを叩く音がする。
誰だろうか?
あまり馴染みのないノックの
音だけれども……。
「どうぞ」
俺が声をかけると扉が開き、
そこから現れたのは……。
「こんばんは、兵藤一誠君」
「お前は……!?」
ディオドラ!?
ディオドラ・アスタロト!?
何だよこんな時に……!
俺はドアを閉めようとしたが
爪先をドアに挟まれた!
「そう邪険にしないでくれないか
兵藤一誠君」
「煩いな……!
お前は俺が嫌いなんだろ!
何しに来た!
落ち込んでいる俺の姿を
笑いにでも来たのか!?」
俺は怒りに任せて怒鳴るが、
そんな事を意にも介さずディオドラは
笑みを浮かべている。
「まさか。僕はただ
キミと話がしたかっただけだよ。
だからこうしてわざわざ会いに来てあげたんだ。
嬉しいかい?
光栄に思うといいよ。
本来なら私の様な存在が
貴様の様な輩に……うぅ……!?」
何だよ、冷やかしの押し売りに
来たらと思ったら頭を押さえ出して……、
大丈夫なのか!?
「お、おい! 大丈夫か!?
アーシアを呼ぶか!?」
ディオドラの鬼気迫る姿に
俺はコイツを部屋内に入れ、
すぐアーシアに通信用魔方陣を飛ばし、
来てもらった。
「大丈夫ですかディオドラさん!
すぐに私が回復を……」
「煩い! 私に指一本触るな!」
ディオドラは
ヒステリックに喚いて
アーシアの手を払い除けた!?
何なんだよホントに……!
お前はアーシアを愛しているんじゃ
ないのか!?
するとハッと気がついた
ディオドラはアーシアに
深く頭を下げた。
「すまない、アーシア。
少し取り乱してしまった。
本当にすまなかったね。
……ところで話は変わるけれど、
君は今幸せかな?
毎日が楽しいかい?
充実した日々を送っているかな?
それともまだ何も成し遂げていないのに
既に満たされてしまったりしているのかな?」
コラ!
何をいきなりアーシアを
壺でも売りつける様な
口説きに入るなよ!
つーかお前は何でそんな事を聞いてくるんだ!?
「私は……、
今の暮らしに不満はありません。
皆様とても良くしてくれます。
それに主のいない聖女としてではなく
一人の女性としても扱ってくれていますから……」
ディオドラの問いに答えた
アーシアの表情には
いつもと同じ優しい微笑があった。
「そうか。それは良かった。
うん、実に良いことだ。
僕もアーシアを見ていると
幸せな気分になる。
君の笑顔を見れるだけで
心が癒される。
ああ、愛しい人よ。
どうかいつまでもその美しさで
僕の心を照らし続けておくれ」
いや、だからなぁ!!
俺の目の前でアーシアを
口説くんじゃあないっ!!
「ありがとうございます。
でも私の全てはイッセーさんの
ものですから。
他の殿方に想いを寄せる事など決してあり得ません」
はっきりとあの誰にでも優しい
アーシアが断言してみせた!
俺のために!
こんな子が俺を心から愛してくれている
事実に感動の涙が止まらない!
ドライグの封印が解けないことに
悩んでいる場合じゃあない!!
「キミはそうかもしれないけれど
兵藤一誠君はどうだろうね?」
ディオドラの言葉に俺は一瞬言葉を失った。
何だと?
どういう意味だ?
俺は……俺はアーシアを……。
アーシアは俺をジッと見つめる。
そして優しく俺の手を取った。
まるで聖母のような慈しみに満ちた瞳。
「君はハーレム王を目指している
そうだけどそれってアーシアを
蔑ろにしていると思わないかい?
キミは誰よりも彼女の近くにいるのに
彼女を見ようとしていない」
は、はぁ?
俺がアーシアを見てないと!?
「そ、んなこと……!」
俺はディオドラに反論しようとしたが、
何故か言葉が続かなかった。
ディオドラは更に続ける。
「ねぇ兵藤一誠君。
僕は思うんだ。
神器とは持ち主に
力を与えるだけじゃないと。
もっと大きな役割があるんじゃないかと」
何を……言っている?
戸惑う俺をよそに
ディオドラは歩み寄ると、
耳元で囁いてきた。
「……君、本当はアーシア・アルジェントの事
なんてどうでもよかったりするだろ」
「ちがう!」
思わず大声で否定する。
しかしディオドラは
俺の心を見透かす様な
薄ら笑いを浮かべてさらに続けた。
「違う? 本当に?
彼女より強く美しい女性が現れても、キミの心は揺れ動かないのかい? アーシア以上の女性がいても? それでもなおアーシアを求めるのかい?」
ディオドラが俺に詰め寄ってくる。
「アーシアが俺の側に居てくれるなら、
俺はそれだけでいい」
そうだ、それでいいんだ。
アーシアさえいれば
俺は満足なんだ。
なのに何故俺はこうも
動揺している!?
「へぇ、そうなのかい。
まぁ別に僕は構わないさ。
アーシアが幸せならば。
けど、正直言って僕の方が
彼女を幸せに出来ると
自負している。
アーシアは優しい子だ。
自分の気持ちを押し殺してまで
誰かの幸福を願うような。
そんな彼女にはきっと
僕の様な男な
彼女だけを愛する男こそ相応しい。
そうは思わないかな?」
ディオドラの奴、
今度は本格的にアーシアを
口説き始めやがった!
ふざけるな!
お前みたいな奴にアーシアを
渡さない……!
アーシアは俺の……
「俺のモノだっていうつもりかい?
けどそれって変じゃないかな?
小猫ちゃんの心は誰のものでもないって
吠えた君がアーシアは
モノ扱いするんだね……」
!? 違う……! 違う!
違わ……ないのか!?
俺は結局……ハーレムを
作ることしか頭になくて、
アーシアや
一人一人の女の子の事を
真剣に考えた事は
なかったんじゃ……。
「アーシアは……!
アーシアはお前なんかに
渡したくない。
誰にも譲りたくはない。
でも……」
俺のやってることは間違っていたのか……?
まるで大地の裂け目に
飲み込まれるように、俺の精神が絶望に落ちていく。
俺が今までやってきた事は、
一体何だったんだよ……。
所詮俺は女の子を欲望のままに
弄ぶだけのクズ野郎なのか?
パシッ……!
乾いた音が響いた。
はっと気がつくとディオドラの
頬が打たれているじゃないか。
アーシアの手によって……!
「いくら何でも今の言葉は
許せません。私にとっては
イッセーさんが全てです。
イッセーさんの心がどこに
あっても構いません!
私は私の心に従って行動します!」
アーシアが怒りに震えながら
ディオドラの前に
立ち塞がっている。
奴にビンタした手を握り締めて。
「アーシア……」
俺は呆然と呟く。
するとアーシアは振り返ると俺に微笑みかけた。
「大丈夫ですよイッセーさん。
私はずっと貴方の側に……。
例え世界が敵に回ろうとも、
どんな障害が立ちはだかっても。
それが私の望みであり願いだから」
そう言うとアーシアは俺に抱きついてきた。
その温もりに俺はようやく落ち着きを取り戻す。
「ふーん……。アーシア。
君はどうやら兵藤一誠君のことを
深く愛しているようだね。
美しいな……。本当に美しい。
キミのような娘が僕のものに
なってくれたらと願わずにはいられないよ」
ディオドラはアーシアの美しさを絶賛するが、
アーシアはそれを聞いても動じず、
毅然としてディオドラに告げる。
「申し訳ありませんがお断り致します。
それに……もう遅いのです」
「ん? どういう意味だい?
それは……まさか……」
ディオドラは俺とアーシアの
関係に気付いたようだったが、
アーシアは続けた。
「そう、
私たちは既に結ばれていますから」
「な、何ですって……!?
ぐう……黙れ……!
僕はどんなアーシアであろうと……!
彼女を……! 彼女だけを……!」
ショックなのかディオドラは
青ざめるだけでなく
オネエ言葉になっていたが
すぐに元の言葉に戻った。
「ま、まあいいさ……!
気の迷いや
一時的な感情かもしれない。
けど覚えておくといいよ。
アーシア、君はいずれ必ず僕に感謝する日が来る。
アーシアは……私のものになるのだからね……!」
ディオドラは捨て台詞を残して去っていった。
だがそんな奴よりも今はアーシアが大事だ。
俺はアーシアを抱き寄せて言った。
「アーシア、ごめん……。
俺は君の事を考えていなかった」
「いいんです」
アーシアは俺を許してくれた。
けど、俺は自分が情けないぜ……。
結局はハーレム作りにかまけて、
肝心なことを忘れていたなんてな……。
それにしても処女じゃなくなった
だけであんなにショックを
受けるものなのか……?
じゃあ何れは安里も……。
ルイーナちゃんの処女を
奪ってしまった俺の事も、
いつか恨むのだろうか……?
「あの、イッセーさん?」
「な、なんだ?」
「お願いがあるのですけれど……。
今夜、一緒に寝てもよろしいですか?」
「え……?」
「だって、最近は一人で寂しかったですし、
今日は私のせいで大変でしたでしょう?
だから少しでもいいので……ダメ、ですか?」
アーシアが潤んだ瞳で
俺を見つめてくる。
「ああ、いいよ」
アーシアの可愛さにやられた俺は
即答してしまった。
アーシアと一緒にベッドに入ると、
アーシアが甘えるように
すり寄ってきた。
「イッセーさん、
少しだけこのままでも……」
「構わないぞ」
アーシアは安心したように微笑んで、
そのまま眠りについた。
(アーシア、
俺はお前を、
いや皆を絶対に幸せにする……。
そうしなければいけないんだ。
例え自分を捨ててでも……)
俺はそう決意して瞳を閉じた。
アーシアが側にいてくれたから
だろうか?
凄く安らかな気持ちで
俺は眠りについた。
ー
安里Side
そんな訳でアザゼルのおっさんから
ルイーナがリアスさんのチームと
レーティング・ゲームを
する事になったと聞かされた。
面子はリアスさん、
朱乃さんと小猫ちゃんに祐斗、
ギャスパー、アーシアちゃん、
そしてイッセーだ。
「まあ、色々あってイッセーは
赤龍帝の鎧を封じられて万全じゃないし、
アイツらが裕斗を除いて
伸び悩み気味でなあ……。
ここいらでショック療法も
ありかと思ってよ……」
おっさんが煙草に火をつけようと
したがスコグルさんが目にも止まらぬ拳で
煙草を握りつぶす!
「ルイーナは煙草嫌いだからさ、
やめてくんない?」
「……悪い」
おっさんが素直に謝るなんて
珍しいな、明日は雨が降るん
じゃねえかな?
しかし、スコグルさんとルイーナ、
いつの間に仲良くなったんだろう?
ま、ルイーナに俺以外の頼れる
誰かができるのは良いことだ。
「それにその言い方だと
アタシらをかませに使うって
聞こえるんだけど」
「別にそういうつもりはない。
あいつらはまだまだ発展途上だ。
今回の件は丁度いい経験になるだろうよ」
「ふうん、そう」
「それにお前らもそろそろ次の段階に
進んでもいい頃合いだと思うがね……」
次の段階? ああ、禁手化か!
確かに『忌まわしき狩人』や
『燃える三眼』の力を完全に
使いこなせるようになったら俺も
もっともっと強くなれそうだ。
そうすればもっと……。
ぎゅっ、とその時
袖を握られた。見るとルイーナが
不安そうな顔をしている。
「どうした?」
「安里さん、怖い人にだけは
ならないで下さいね……」
「大丈夫だよ。
俺にはルイーナがいるから」
「……はい」
そう言って俺はルイーナの頭を
優しく撫でた。
この娘のためなら俺は悪魔だろうと
邪神だろうと何にだってなってやるさ……。
「貴方、
主の話聞いていたんですか?
まるで彼女のためなら命もいらない
みたいな顔をしていますけど?」
アヴェンジャーから厳しい
言葉が飛んでくる。
俺はそれを笑って流した。
「ははは、バレたか」
「全く、
本当に馬鹿なマスターですね。
理解できません」
「そ、そうかな……?」
けどアヴェンジャーだって、
復活を果たしてまで
復讐したいと思う程に
昔は誰かを想ったり、
愛したんじゃないのか?
とも思ったが、
それは言わなかった。
「それはそうとして
今回はニグラが不参加だ
そうですから私が『女王』を
代行して宜しいかしら?」
「あと、くろかもぼるくも
いないからな。キュクロが
てをかしてやる」
今俺達は
アザゼルの人工神器で
悪魔に擬態しているから
二人は特に問題ないらしい。
となると、アヴェンジャー、もとい
ジャンヌが女王、キュクロが兵士に
なるって事か?
「その事なんですが……。
今回はアヴェンジャーさんが
僧正、キュクロさんが戦車を担当してくれますか?」
ルイーナがおずおずと言った。
するとアヴェンジャーがみるみる不機嫌になった。
「私が? 僧正?
ハッ! 悪魔的なジョークにも
限度があるでしょう?」
「なんだ、ちゅうにびょうは
あまさんになるのはいやなのか?」
「尼さんじゃないわよ!
あと厨二病って言うな!
いい加減燃やすわよアンタ!!」
ほっ、と俺は安心した。
キュクロのとぼけた発言のおかげで
一触即発の空気が和んだ
からだ。
「と、いわれても
キュクロはおまえのかこを
しらない。
しらないから
きょうのおまえのことしか
キュクロもきゅうどーも
わからない。
わかってほしいなら
むかしのじゃんぬのことをはなせ」
「……」
「……わかりました。
今回だけ特別に私も
僧正枠で
参加させて頂きましょう」
キュクロの言葉に渋々ながら
納得した様子だった。
まあ、まだ俺とジャンヌには
過去を話してくれる
信頼関係ができていないワケか……。
いつか、彼女が心を
開いてくれる日が来るといいんだけど……。
「くるといいな、では
いつまでたってもきょうのままだ
きゅうどー」
だからお前は妙な所で鋭いな!
お前の眼帯で抑えててもそれなら
解放したらどうなるんだ……?
しかし、そうなると
女王枠がいないんだけど?
「ああ、そのことならさ。
今回はアタシが兵士って事で」
するとスコグルさんが俺の疑問に
答えてくれた。
「いいんですか?」
「うん、今回のルイーナのチームには
女王がいないじゃん?
だからアタシが『プロモーション』を
発動させやすくなるし、
向こうもこっちを手薄と
見れば守りじゃなくて
ガンガン来ると思うんだよね。
向こうの赤龍帝も釣り出しやすく
なるし……」
赤龍帝? イッセーって言えば
良いのに随分言葉の響きが
冷たいな……?
「イッセーって言ってもいいスよ」
「……」
俺の呼びかけにスコグルさんは
答えなかった。
そうか! スコグルさんは
イッセーを鍛えるために
ガチでやろうとしてくれているのか!
いかんいかん!
俺も気を引き締めないとな!!
遊びじゃねえんだぞ、
レーティング・ゲームは!
と、決心した辺りで
ルイーナが作戦の話を続けた。
「それと、
もう一つお願いがあります」
「ん、なんですか?」
「もしも、私が危なくなったら
助けに来てくれませんか?」
「勿論!」
俺は迷わずに返事をした。
「ありがとうございます。
でも、これはあくまで私達の修行なので、
安里さんは自分のことを一番に考えて下さいね」
そう言って微笑んでくれた。
この娘のためにも明日は
気合入れて頑張らないとな……。
イッセーが安里に真相を話したら?
間男は俺も好きだぜえ?
ぶち砕いても誰も文句言わねえからなあ?
ギャハハハハ!
あっ、マジか……。それじゃ、まあ……戦うか?
まあいいか!よろしくなあ!!
多分2番だと思うんですけど
真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?
-
早い方がいい
-
遅いけど長いほうがいい