※この作品はR-18です。

ハイスクールD∞D   作:ぷうち☆りん

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何が足りねーのかな。そりゃ構成力と文章力と原作キャラの活躍だろうよ。


誰71話

 安里side

 

 ゲイトさんによって会場に転送された俺達だったが、何と会談の場所は更地になっていた!何だか現代アートになっている奴がいるが無視だ無視!それよりボールクの旦那とゼノヴィア、イリナとロキと黒髪の蛇みたいな奴が戦っている! あと黒い棺がクレーターのど真ん中にある。状況がまるで飲み込めない! 誰かに説明してもらわんと! アーシアちゃん達は堕天使や天使の治療に精一杯みたいだ。ここはセラフォルー様に聞くしかないな! 

 

「九頭竜クン! 無事だったみたいね!」

 

 いつものふざけた、もとい砕けた口調じゃない辺り緊急事態だと分かる。

 

「あの……一体これは?」

「ロキ達が多神連合の結成に納得できなくて反乱したんだよ」

「何じゃと!?」

「何ですって!?」

 

 セラフォルー様の言葉にゼウス様もアマテラス様も驚愕している。そりゃそうだろう。俺だって驚いてるんだから! 状況は俺達の想像を遥かに越えて悪い様だ! 

 

「しかし、国津神達は反乱に加わっていない様ですな。これもアマテラス様の御威光というもの」

 

 タケミカヅチさん! それはフラグ! フラグだから止めてくれ! するとアマテラス様はまたしても表情を曇らせ始める。

 

「だといいけど、ものすご〜くイヤな予感がしてきた……」

 

 や、やめてくれ! 日本の太陽神がそんな事言ったら洒落にならない! すると案の定、ロキがこちらに気がついたと言うのに笑みを浮かべた。

 

「ほーお。どうやら曹操達を撃退した様だな。『叛英雄』を取り込んだというのに英雄派も存外不甲斐ない」

 

 だがその台詞は俺たちにではなくいつの間にロキの隣にいた奴らに対してのものだった。

 

「ふっ、それは違うぞよロキ殿。

 曹操殿は乱世の奸雄。時はまだ至らぬと見て雌伏するのを選んだのでござろうよ、ほほ」

 

 何だか人の良さそうな爺さんだが馬鹿長い刀を肩に乗せている。

 

「如何にロキ様であろうと、我等が盟主たる曹操様を悪く言うのは許しませぬぞ」

 

 今度は美少女の様な、美少年の様な中性的な容姿をした女装した男がロキに苦言を呈していた。こっちは背中に古びた打剣を背負っている。

 

「それは失礼。口さがないのが私の数多い欠点の一つなものでね。私とラミエル卿は白龍皇を仕留める為に動かねばならないので彼の相手を宜しく」

 

 そう言ってロキはその場を去った。

 あ、コラ! 待て! お前がリーダーならお前をぶっ倒すのが最善だろうが! 

 

「ほっほっほ、では某がお相手致す」

 

 俺はロキに砲弾を放ったが爺さんがあのバカ長い刀をまるで物干し竿の様に軽々と振り回し防いだ! なんて腕力してやがる!ロキの野郎が攻撃を避けながらどんどん遠ざかっていくというのに! 

 

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。戦場での常道でござるなぁ。然るにまずは小手調べ」

 

 歯噛みする俺にそう言いつつ爺さんは俺に向かっ斬撃をしかけてきた! ヤバイ! このスピードじゃ回避が間に合わない! 

 

「兵法の基本ですね」

 

 しかも、爺さんの背後から女装したさっきの男が俺に迫ってくる! 

 

「知るか! あと女装ヤローに迫られる趣味はねぇ!」

「あら残念」

 

 女装男はそう呟きつつも俺の目を狙って飛刀を飛ばしてきた! くそ! こんなもん食らったら目が潰れる! 俺は咄嵯に身を捻って何とか避けたが、そこに爺さんが斬りかかってきた! 

 

「シャラアッ!!」

 

 俺は地面に屈みつつ水面蹴りを放つが爺さんは読んでいたらしく、ひょいと木の葉の様な身軽さで宙返り。

 のみでなくその勢いに乗じた袈裟斬りを放ってくる! 

 

「チッ!」

 

 俺もバックステップでかわすが、女装男の攻撃が迫ってきている! アサシンか何かかよこの女装ヤローのスピードは!? 

 

「余所見とは余裕ですなぁ!」

「うおっ!?」

 

 俺の目の前には既に爺さんがいた! クソ! いつの間に!?そして至近距離からの切り払いによって俺の左腕が肘から切り飛ばされる! 

 

「ぐおっ……おおおおお!!」

 

 意識が飛びかけたが、俺は傷口から触手を生やして連結させると切られた肘から先を分銅にして振るい、女装ヤローの首に巻き付けた! 

 いくらなんでもこんな動きまでは予想できなかったろ!! 悪いがこのまま盾にしながら絞め落とさせてもらうぜ! 悪役みたいで気が引けるが二対一は分が悪すぎるんでな……! 

 

「むっ!?」

 

 爺さんは俺の反撃を察知したのか、俺に斬撃を放とうとしていた手を止めた。いい判断だ! そのまま大人しくしていれば苦しませずに気絶させてやる!と、触手から変化させた鎖を振り回そうとした瞬間、予想していなかった事態が俺を襲った。

 

「舐めるなよ……! 田舎者めがァ!!!」

 

 何と女装ヤローの口調と顔つきが変わり出し、服が破れるまでに筋肉が盛り上がるや俺の鎖を逆に振り回した! 

 

「ぬうぅぅん!!」

 

 な、なんてバカ力だ!? と驚嘆する暇もないまま俺は鎖ごと地面に叩きつけられた! 

 

「ぐおっ……」

「ふうぅ〜……!」

 

 受け身は取ったが起き上がる前に

 女装ヤロー改めマッチョヤローは高々と片足を上げている。

 

(まずい!?)

 

 俺は身をよじろうと力を入れたが奴の攻撃の方が早い! 

 

「八卦よい!!」

 

 ドボオッ!! 

 

「グハッ……!?」

 

 俺は腹に全霊のストンピングを受けてしまう! や、ヤバい! 腰の骨が折れたのかって位の衝撃だ! 内蔵や血管が圧力で破裂するんじゃねえか? 

 口から溢れそうな血を懸命に飲み込むが味を感じる余裕なんてない。

 

「うっ、ゴホォオオオ……」

「ほ〜お、流石大和随一の四股踏みじゃのお! 醜(しこ)踏み、即ち邪なるものには効果覿面じゃわい」

 

 この爺さん何言ってんだ? 確かに今の俺はバケモノみてーなモンだが……。つかこの痛みはマジでヤバイ。

 

「どうしました?反撃しないのですか?」

 

 まるで噴火を終えた火山の様な威容を誇る女装ヤローが余裕綽々といった様子で聞いてきた。

 

「誰がするか……!」

 

 ペッと血を奴の顔に吐きかける。

 当然だが、奴は怒るもののさっきのムキムキマッチョの姿にはならない。

 

「慮外者!」

 

 そう叫ぶなり女装ヤローは打剣で

 俺を手討ちにするべく襲いかかってくるがその途中でヤローの顔面が燃え上がる! 

 

「ぐわあああ!」

 

 悪いな、俺の『燃える三眼』は俺の身体の一部、即ち血液からでも発動させられるんだ! 

 

「いかん、すぐに消化を!」

 爺さんは慌てふためいて消火活動に入る。だが無駄だ。この世の法則ではない方法で俺の血は炎として存在する。だから水をかけたところで意味がない! フラフラながら立ち上がった俺はそう安堵していたのだが……! 女装ヤローが剣を掲げるや炎がまるで嘘の様に消えた!? 

 

「おお、そう言えば御主の剣は天下に名高い神剣であったわい。しかしその火傷では戦うことはできまい」

 

 爺さんが気遣う様に女装ヤローの顔は火傷だらけだ。漸く一対一の状況に持ち込めたか。

 

「ふん、心配無用。某とて伊達に修羅場は潜ってはおりませぬ故。それに、これしきの傷など唾、とは言わずともこの因幡の霊薬があれば……」

 

 と言うなり女装ヤローは腰につけていた袋の粉を振りかけた。するとたちまち傷口が塞がっていく。おいおいなんて回復力だよ! いや、あの粉薬の力が凄いのか? 

 

「ほほ、あてが外れたと言いたげじゃのうお若いの」

「まあな……」

 

 爺さんがニヤリと笑う。俺も負けじと笑みを浮かべた。悔しいが強がるくらいしておかねえとビビったと思われちまう。まだ勝負はこれからだ。

 セラフォルー様達の避難は完了した様だし、ナイアももうすぐ駆けつけてくれる筈だ。それまでは……

 

「粘らせてもらうぜ!」

「ふーむ、曰く必勝は攻めの中に有り、不敗は守りの中に有り。守りに徹底されては少々面倒じゃが、それならそれでやりようはあるわい。待てば海路の日和ありじゃて」

 

 俺の決意表明に対し、爺さんはどこか楽しげだが反面女装ヤローは苛立ちを隠せぬ様子だ。

 

「何を呑気な! この様に後れを取っては英雄派は弱輩揃いなり、とあらぬ誹りを受けるやもしれませぬ!早急に片付けねば!」

「やれやれ、英雄の第一条件は勝利なりとは言うが……剣呑剣呑」

 

 嘆息しながら爺さんはゆっくりと中腰の姿勢から自分の身体に対し直角にバカ長い刀を構える。いわゆる居合の構えか……? だがよ、爺さん! そんなバカ長い刀じゃ抜く前に俺が距離を詰める方が速えぜ! 

 

 バオンッ!と『轟』の歩法で距離を詰めて爺さんをぶっ飛ばすべく拳を固めたその刹那……! 

 

「青いのぉ」

「なっ……!?」

 

 爺さんは鞘で俺の拳を受け止めた! 

 次元ごと打ち砕く俺のパンチでバカ長い刀は砕けたが女装ヤローの打剣をパッと掴んで一閃を放つ! 

 

 ぶしゃあああああ!! 

 

「ぐああぁああ!!」

 

 バッサリと太腿を切断された!? 

 何て切れ味だ! まるでバターを切るかの様に簡単に骨まで断ち切られた! しかもどういうわけか再生しない! 

 

「御主、知らず知らず自分の再生能力を過信し過ぎておろう?故に、反撃に対して警戒がまるでない。それが御主の弱点じゃ」

「う……うるせぇ!」

 

 俺は激痛に耐えながら必死で距離を取りつつ炎弾で攻撃するが例の打剣で全て切り払われてしまう。

 

「はあっ!」

 

 しかも女装ヤローが連撃を繰り出してくる!くそっ、さっきより速い! こいつ、本気になりやがった! 

「ほらほらどうしたのですか? 先程までの威勢はどこへ?」

 女装ヤローはまるで踊っている様な動きで俺を翻弄してくる! 

 

「ではおしまいと参りましょう。

 剣客殿! 私の打剣を!」

「うむ」

 

 爺さんが手に持っていた打剣を受け取るやまさに剣舞の如く振り回す! 

 蝶の様に舞い、蜂のように刺すという喩えにある様な刺突が俺の全身を貫く! 

 

「ぐわああああああ!!!」

 

 遂に足に力が入らなくなり俺はその場に倒れ伏してしまった。

 

「これでしまいじゃお若いの。

 とは言え戦略的には某らの負けじゃがなあ。アマテラス様達を捕らえることは出来ず仕舞いでは」

「く、くそう……」

 

 俺としたことがこんな不覚を……。

 悔しいが、ミミズの様に這い回ることしかできない……! 

 

「ハァ?俺とした事が?随分偉くなったモンじゃねえか坊主」

 

 するとその時聞き覚えのある声が響いた。この不敵な声は……!? 

 

「ウチの若いのを随分可愛がってくれたみたいじゃねえか? ってこれじゃヤクザの口ぶりだわな……」

「そうですよ、ランサー。貴方も光の御子であるのならばもう少し礼節と教養をですね……」

 

 それにこの説教じみた口調は……! 

 

「ニトクリス……さん」

「はい、お久しぶりです。

 ゲイトに突然呼び出された時は驚きましたが、まさかこのような事になっているとは。

 私達が来たからにはもう大丈夫です。必ず助け出してみせます」

 

 俺の言葉にニトクリスさんは優しく微笑みかけてくれた。

 

「あ、ありがとうございます。

 ランサーさんまで来てくれるなんて心強い……!」

 

 俺は素直に感謝を述べる。

 

「おいおい、俺はおまけ扱いかよ。

 それはそれとして、爺さんと女装マニア相手にズタボロとはなあ」

 

 ランサーさんは槍を肩に担ぎながら苦笑している。返す言葉がないがニトクリスさんからの治癒を受けたおかげで何とか再起は出来そうだ。

 

「ま、良いんじゃねえのか?まだ若いんだし、これから幾らでも挽回のチャンスはあるだろうぜ。なぁ、嬢ちゃん」

「ニトクリスです。ファラオである私に不敬が過ぎますよ」

 

 ランサーさんの呼びかけにニトクリスさんはジロリと彼を睨む。

 

(相変わらずだなあ)

 

 と俺は内心思いつつも二人に改めて感謝する。

 

「しかし、そこの爺さん。アンタどっかで会ったか?」

「さて……。他人の空似ではないかのう?」

 

 一方、ランサーさんと爺さんは互いに牽制する様な構えを取りながら対峙していた。あの爺さんはランサーさんに面識があるのだろうか? だが確か槍は刀に対してかなり有利だって聞いたことがある。ならばあの爺さんはランサーさんに任せて俺は再びあの女装ヤローに挑むのが最適だろう。俺は息吹を一つ吐いて呼吸を整え、奴へと向き直る。

 

「さあ、仕切り直しと行こうぜ!」

「クッ……!」

 

 女装ヤローは忌々しげに舌打ちして俺を見据えると再び剣舞の構えを取る。捉えどころのない動きは厄介だが、やりようはある! 

 

「安里、恐らく彼は貴方の特性を見た上で、反撃主体の戦い方を選んでいる筈。つまり貴方の動きを読みやすい様にわざと後手を取っているのでしょう」

 

 ニトクリスさんの忠告に俺は納得した。

 

(なるほど、確かにこいつは俺の再生能力を知っている。だから俺の攻撃に合わせてカウンターを仕掛けようとしている訳だ。ならその思惑に乗ってやる!)

 

 俺は敢えて大きく踏み込んで拳を振りかぶった。

 

「愚かな、また防御を甘く見て、猪の様に突進してくるつもりですか?」

 

 女装ヤローは俺の行動を見て鼻で笑う。傍から見ればテレフォンパンチにしか見えない攻撃。

 当然女装ヤローは俺の拳に合わせるように打剣を繰り出す! 次の瞬間、俺は大きく後ろへ跳んで距離を取った。そして俺が居た場所に振り下ろされた打剣は虚しく空を切る! 

 

「何っ!?」

 

 女装ヤローが驚愕の声を上げるのと同時に俺の拳が頬へとクリーンヒットした! 

 

「ぐふぅ!!」

 

 女装ヤローは衝撃で地面を転がるが、即座に起き上がる。どうやら今の一撃は効いている様だ。

 

 

「ぬうぅ……!」

 

 女装ヤローは俺を憎らしげに睨む。だが俺の仕掛けはそれだけじゃないぜ! 

 

 ザシュシュシャシュ! 

 

 俺の脚を触脚、更にそれを刃に替えて奴の周囲から一斉に切り刻む! 木場の『魔剣創造』のパクリみたいだが、そこはご愛嬌! 

 

「ぐあああっ!!」

 

 全身を切り刻まれ、血飛沫を上げながら悶絶する女装ヤローだが女装ヤローも相当タフな様で、すぐさま打剣を構え直す。

 

「ふんっ!」

 

 そして奴がヒュンと打剣を一振りするだけで触脚から展開した刃が全て砕かれてしまった! 

 

「出ませい!」

 

 しかしニトクリスさんが地面を杖で突くと、そこから無数のミイラが女装ヤローを羽交い締めにする! 彼女のフォローはありがたい。

「よし、今度こそ終わりだぜ!」

 

 俺は『冥獄長の剛腕』を発動させ全身を巨大な拳へと変えて殴りかかる。

 

「ぐおおぉぉ……!!」

「うおぉぉぉぉ!!!」

 

 奴はガシリ、と拳と化した俺を全身にて食い止めようとする。立ち会いは互角! だが……! 

 

「天空よ!」

 

 ニトクリスさんの魔力を受けて俺の勢いは更に増す! これならイケる! 

 

「こ、こんなもの……!!」

「ぶっ飛べやああ!!」

 

 ヒュウゥゥ……ドグオォォン!! 

 

 岩盤に女装ヤローは背中から叩きつけられ、そのままズルリと地面に倒れ伏した。これで流石に決まっただろう……。俺は『冥獄長の剛腕』を解除して元の姿に戻る。

 

「愚かな……。具体的にどこかと聞かれれば困りますが、愚かな……」

 

 ニトクリスさんが決まっているんだかいないんだかビミョーな決め台詞を呟きつつ、倒れたままの女装ヤローに歩み寄る。女装ヤローは完全にボロボロになって気を失っているようだ。

 

「ですがこのままにはしておけませんね。この者はミイラと化し、情報を引き出しましょう」

 

 ニトクリスさんは涼しげに、さも当然のようにそう言う。意外とえげつない事をする人なんだな……。そしてランサーさんと爺さんの方だが、ランサーさんの方は爺さんのいつの間に復元させたバカ長い刀を相手取っても互角以上に戦っている。

 

「ハハッ、良いねえ! アンタとは存分に楽しめそうだ!」

 

 ランサーさんは槍と蹴りを駆使して爺さんを攻め立てるが、爺さんはそれを巧みな体捌きと剣技で凌いでいる。

 

「むう……!」

 

 爺さんは一旦距離を取ると、さっきの居合の構えを取る。

 

「へぇ……」

 

 ランサーさんは真っ向勝負を仕掛けるべく、シュッと槍の穂先で彼を中心とした真円を宙に描く。

 

「かああっ!」

 

 先に動いたのは爺さんだ! 

 当に電光石火、その速さから繰り出される居合はまるで雷光の如しだ! 

 

「シェラアァァ! ッ!」

 

 受けるランサーさんは獣の様な咆哮と共にくわっ、と目を見開くと棒高跳びの要領で跳躍する!文字通りに空を切ったその斬撃はランサーさんの槍を切断する! しかしランサーさんの対応は俺達の想像を遥かに超えていた! 

 

「何だと!?」

 

 驚愕の声を上げる爺さんに対し、ランサーさんは何とブーツを消去して、切られた槍の上半分を足の指で掴み、蹴り出しの軌道で振り抜く! 

 

「この一撃……手向けと受け取れ! 『蹴り穿つ死翔の槍』!」

 

 放たれたのはゲイボルクの一撃だ。それは見事に爺さんの肩から胸にかけてざっくりと貫いた! 

 

「ぐおっ……!?」

 

 爺さんは口から血反吐を吐き出すとその場にがくりと崩れ落ちる。流石に心臓を貫かれては助からないだろう。

 

「やるじゃねえか爺さん。俺に初見殺しの切り札を使わせるなんてよ」

 

 ランサーさんが素直に力量を認める辺り、どうやら本当に凄い人だったらしい。それにしても……。

 

「片足でケンケンしながら言っても今ひとつ決まりませんね……」

 

 思わず口に出して言ってしまったニトクリスさんだが、ランサーさんは気にせず、むしろ誇らしく笑っていた。

 

「まあな! だが、これが俺の生き様って奴さ! 戦いや英雄ってのは周りが言う程綺麗なモンじゃねえ。泥臭くて血生臭いものだ、だからと言って俺はこの生き方を後悔してはいねぇんだな、これがよ」

「成る程、確かに貴方は正真正銘の英雄ですね」

 

 ニトクリスさんが納得したようにうんうんと首を振るとランサーさんはブーツを復元させながらも肩を竦めた。

 

「止してくれよ、あちこちむず痒くなる」

「そうですか、ではこの辺りにしておきましょう」

 

 俺達は気絶している女装ヤローの方に向き直ると、奴を拘束しようとニトクリスさんが杖を地面を突いてミイラ達を呼び出す。

 

「や、止めろ貴様ら……! 私をまた根の国へと送ろうというのか……!」

 

 すると突然、女装ヤローが意識を取り戻してそんな事を言い出した。コイツ、日本の英雄か何かなのか? 

 

「根の国?」

 

 俺が疑問を口にすると同時に、パンパン、と銃声が響き渡る。

 

「うおっ……!テメェは……!」

 

 俺の知り合いで二丁拳銃を使う奴は一人しかいない。しかも敵側の方にいる。

 

「よぉ、久し振りだな。ルイーナちゃんは元気でやってるみたいだぜ」

 

 ぐぬ……! あ、熱くなるな! 

 ルイーナは奴らに囚われているが

 無事な筈なんだ。そう信じて今は耐えるしかない。

 

「誰だい兄さん?まあ、武器を二つ持ってコート羽織っている辺りロクな野郎じゃないって相場は決まってるんだが」

 

 ランサーさんは実感のこもった口調で言う。過去に何かあったんだろうか? 一方の『英雄殺し』は、ふっと笑う。

 

「気をつけて下さい、ランサーさん! ニトクリスさん! 奴の異名は『英雄殺し』! あらゆる英雄に対して優位を取れる存在らしいです!」

「何ですって!? デタラメにも程があります!」

 

 ニトクリスさんが珍しく驚愕の声を上げる。

 

「へえ……、そいつは大層な異名だ。だが悪いが、俺も伊達に槍使いを名乗っていないんでね。その程度の称号じゃ怯まないさ」

「なーに、アンタとはやらねえよ。何せ相性は最悪だからな」

 

 ランサーさんは余裕たっぷりに言うと、ゲイボルクを具現化させて構えを取る。だが英雄殺しの目的は爺さんと女装ヤローの回収にあったらしい。符術を発動させると3人の姿が忽然と消えてしまった。けど、これでいい。ヨルムンガンドはゼノヴィア、イリナ、ボールクの3人が抑えているし、俺はロキを再び追わないといけないからな。

 

「さて、それじゃ俺らも行くか!ニトクリスさん! ランサーさん!」

 

 俺は二人に声を掛けると走り出そうとする。

 

「待ちな坊主。俺達はここまでだ」

 

 ランサーさんの言葉に俺は愕然とするしかない。ええっ!?な、何で!?まだ全然戦えるじゃないスか! 

 

「何、俺達はここじゃ異邦人だ。

 坊主はともかく俺達が無闇矢鱈にしゃしゃり出たんじゃ、オーディンの爺さんのメンツが完全に潰れちまう」

「ファラオたる私も同意見です。オーディン様にも立場があるでしょうし、ロスヴァイセやスコグルも未だ健在ならば彼らに助力を求めるべきでしょう」

 

 そ、そういうものかあ……。ランサーさんは指揮官として、ニトクリスさんは為政者としての判断をしたんだろう。俺はやっぱりガキなんだろうな……。

 

「そうしょぼくれた顔するなよ。

 それにお嬢さんの土産も色々解析しなきゃならん。駒王町は任せておきな!」

 

 俯いたおれランサーさんはニカッと笑いながら俺の背中を強く叩く。痛ぇ!でもおかげで少し気が楽になったかも。

 

「分かりました!!」

 

 俺がニトクリスさん、ランサーさんに別れを告げるとオーディン様は二人の考えを読んでいたのだろう。

 六本足の天馬に乗ったロスヴァイセさんとスコグルさんが駆けつけてくれた。「安里さん、お早く!」ロスヴァイセさんに促されると俺はスコグルさんに引っ張られて天馬の背に乗った。「それでは行きますよ!」

 そう言うとロスヴァイセさんが手綱を握ると同時に馬が勢いよく駆け出す。

「安里? もう少しアタシをギューっと抱きしめてもいいよ? それに狭いんだからもっとひっつこうよ♪」

「い、いやそういうワケには……」

 

 天馬、スレイプニルの背に乗りながらスコグルさんは俺に対してグイグイと密着してくる。この人は相変わらずスキンシップが激しい。

 

「いいじゃん、いいじゃん♪ 

 夜の時はあんなに積極的だったクセにぃ~☆」

「ちょ、ちょっと! 変な言い方しないで下さいよ!」

 俺が抗議すると、スレイプニルの手綱を握るロスヴァイセさんはブルブル震えていた。やはり名高い悪神ロキとはいえ、神話の中で有名な存在を相手にするのは怖いのだろうか? 

「うぅ……、やっ、やっぱり都会は爛れてるべ……。ばっちゃ、オラはどうすればいいのけ?都会でやっでいけるんだべか?」「あ、地元モードになってるし」

 

 ……そっとしておこう。

 というか、決戦前にこんな調子で大丈夫なのか? 

 

 バシュウウゥゥン!! 

 

 ほら見ろ!ロキか誰かは解らねえが迎撃の雷光が飛んできたぞ! 

 

「悪いがロスヴァイセ、スコグル! 俺が出来るのはここまでだ! 

 あんなでも、俺の親父だからよ!」

 

 スレイプニルが口を開いた。というか喋れたのか!? 

「ええ、充分ですよ!」

「うん!ありがとうね、オジサン!」

 二人は礼を言うと、バッと降りた! 

 って、背中には俺一人しか乗っていないんですけどぉ!? 

 するとスレイプニルはまるで暴れ馬のように身体を揺らして俺を天空から振り落とした! 

「いつまで乗ってやがんだクソガキ! 降りろオラッ!」

 

 人の恋路を邪魔したわけでもねえのに落ちる直前に蹴りまで食らわされた! あの馬ァ! 後でシメる! 俺は地面に落下しながら、決意を固めた。

 視線の先にはロキ、ラミエルとかいう旧大天使の前でズタボロになっているヴァーリの姿があった。

 ま、マジかよ!? 

 

 

 




叛英雄や、英雄の正体は解ったかな?
知らねえよ。
あと、叛英雄の司馬懿やクローフォードはどこぞの
リンボと同じく詐称であり、真名は別です。

真面目な話短いけど投稿頻度は早い方がいい?

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