※この作品はR-18です。

MAR-ナイトランカーズ   作:るしふぇる

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ACT.13「それぞれの目的」

トウキョウエリア

バーガーショップ「Trick or treat!」

AM.9:15

 

「いただきまーす!」

 

カウンター席に並ぶドロシーとシキ

ドロシーが小さな口でハンバーガーにかぶり付く。

 

ハロウィンナイトバーガー

1500円

ファストフードにしては値が張るが、ここの看板メニュー。

高級小麦粉を発酵させたパンズ

厳選された100%ビーフパティから溢れ出る肉汁

無農薬で育てられた新鮮なレタス

チェーン店では味わえない特性のソース

 

そして、ハロウィーンにちなんでトッピングされたフライドパンプキンの甘さがソースの酸味と絡み合い...

 

「美味しいッ!」

 

高級バーガーにドロシーもご満悦。

ちなみに、この世界の通貨は円(えん)である。

細かいことは気にしてはいけない。

 

「どうしたのシキ、食欲ないの?」

 

女の子イコール小食のイメージだったシキは、豪快にバーガーにかぶり付くドロシーのギャップに見惚れていた。

異世界では悪名高い魔女...のようだが

大人びた容姿と美貌からは上品な印象を持っていた。

 

しかし、明るい性格で面倒見がよく、出会った時からリードしてくれた。

情に脆い一面や、誰かの為に強敵にも立ち向かう義理堅い一面もあり

こうして、闘いから離れ、魔女ではなく"女の子"として向き合うことに緊張を感じていた。

 

「これ、どうやって食うんだ?」

 

チェーン店のバーガーしか食べたことのないシキが戸惑う。

ここの看板メニュー、今ドロシーと一緒に食べているハロウィンナイトバーガーもそうだが

アボガドバーガー、チェダーチーズバーガー、バーベキューバーガー

どれもチェーン店のビッグなんちゃらバーガーとは比較にならない程大きい。

これ一つで、空腹は十分に満たせる程

 

ヨハンのアドバイス

 

「ナイフとフォークが席にある。

女性のお客様は食べやすいサイズに切る事もあるからね。

しかし、ドロシーみたいに豪快に食べるレディも珍しい。」

 

ドロシーはこの手の食べ物の一番美味しい食べ方を直感で理解したのか

迷わずバーガー紙でバーガーを掴み、食べやすいサイズに潰し豪快に食べる。

 

小さな口でかぶり付く姿が、上品なイメージとギャップがあり正直可愛い

というのがシキの心情

 

「こうか?」

 

ドロシーの真似をしてシキもかぶり付く!

口の中に広がる肉汁とソースの酸味、シャキシャキしたレタスの食感、そしてパリッとしたフライドパンプキンの甘さ。

確かに、上品に切って食べるより、豪快にかぶり付いた方が美味しい!

 

「もう、口の周りベタベタじゃん。」

 

ドロシーがシキの口周りを紙ナプキンで拭いてくれる。

シキにとって至福の時。

 

彼女はシキのように口の周りをソースで汚すことなく器用に食べているが

油で艶が掛かったピンク色の唇がなんかエロい!

 

「サラダとフライドポテトは私が作ったんだよ。

食べてみてよ。」

 

ドロシーに促され皿のポテトに手が伸びる。

 

「ヨハン、ケチャップあるか?」

 

「バカねシキ!」

 

ケチャップを要望するシキをけん制

 

「何故!?」

 

「こういうのはね?

バーガー紙の肉汁を付けて...」

 

「ほう、通だなドロシー」とヨハンも関心。

店主としても食材を無駄なく堪能してくれるお客さんはありがたい。

シキもドロシーの真似をしてポテトを食べる。

 

「うまッ!」

 

ドロシーの手料理という特別感もあるが、ポテトも当然厳選されたジャガイモ

そこに、100%ビーフの肉汁の風味と塩気が加わればケチャップなしでも充分美味い!

 

バーガーを食べやすく切って食べるか、ポテトに好みでケチャップやバーベキューソースを付けるか

食の好みも個性があり、それぞれ好きな食べ方を選ぶのが一番だが

 

初めての店で、バーガー紙で豪快にかぶり付き

バーガー紙に溜まった肉汁をポテトの味付けに利用するスタイル

そして、塩気で乾いた喉に流しこむコーラが、口の中の脂っこさを炭酸でスッキリさせる。

 

異世界から来た魔女が、此処までファストフードの矜持を理解しているのも凄い!

 

「ドロシー、キミの世界にも、こういったファストフードはあったのかい?」

 

ヨハンの問いに

 

「まぁ、サンドイッチはあったけどバーガーは初めてかな。

牛肉も高級品だったし。

でも、旅で食費節約するのに料理もしてたし、自分で食べ方も工夫するの好きだったから。

もしかして、私変な食べ方してた?」

 

心配するなドロシー

 

「いや、天才だ!」

 

「マジですげぇよ、ドロシー」

 

ヨハンとシキが同時に称賛する。

ドロシーの手料理...

帰宅してこんな美人な奥さんがディナーを用意してくれていたらどれだけ幸福か。

お得意の妄想を膨らませながら食事を終えるシキ

 

ドロシーも手を合わせ

 

「ごちそうさまでした。

さて、後で運動しないと。

最近、胸がキツくてさ。」

 

男性陣をドキッ!とさせる。

立ち上がるドロシーの身体を眺める。

あの細いウエストの何処に脂肪が行くのか観察...

その答えは露わだった。

 

タンクトップの胸元からこぼれそうな谷間と、服の上にピッタリと張り付いたバストライン...

今にも鼻からケチャップが出そうなシキ

 

「なる程、衣装の発注の際、サイズチェックは要注意だな。

倉庫の装備品も一度、見直す必要がある。

水着は特に放送事故になりかね...」ボソボソ

 

真面目な顔で装備(コスプレ衣装)について、独り言をつぶやくヨハン。

現に今着ているドロシーの衣装も少しキツそうだが...

 

食器を片付けるドロシーの後ろ姿

揺れるポニーテールから覗くうなじ、ホットパンツからはみ出したお尻肉、歩く度にプリプリと揺れる肉付きの良い太もも

これはこれで良いかもしれない!

 

気が付くと、部活のインターハイの様なハイタッチで親睦を深めるシキとヨハン

 

「何やってんの、アンタら...」

 

呆れ顔のドロシーで楽しい食卓は締めくくられ

ここからは、ヨハンが続ける。

 

「さて、朝食も済んだことで、今後の指針を決めておきたい。

現状、私とシキは敵対関係...

できればメルテクノロジー社、ムラマサ社に気付かれる事なく行動していきたい。

まずドロシー、キミの行動の指針から聞かせてくれないか?」

 

ドロシーがこの世界に来た経緯

メルヘヴン世界のカルデアの反逆者、オズ、レイヴン、バレット、リリスについて説明する。

 

反逆の首謀者 オズ

"魔剣ストームブリンガー"を持つ風使いで、複数のガーディアンを従えるカルデアの魔剣士

 

執行人 レイヴン

オズの側近で拷問器具を武器として扱う魔導士

 

人狼 バレット

ワーウルフ族出身の狼男、ARMは使わず格闘術を得意とする武闘派

 

謎の多い少女 リリス

"竜の鍵"の存在を知り、オズ達に反乱をけしかけた張本人で謎も多い

 

「リリス!?

そいつって、まさか、ボサボサの茶髪に...グルグル眼鏡の?」

 

「ちょっと待って、何でシキが知ってるのよッ!?」

 

これにはドロシーも驚愕。

ヨハンが間に入る。

 

「やはり、リリスの仕業か...

シキ、キミがリリスから月読を受け取ったのは7年前だったな。」

 

「ヨハン、リリスと竜の鍵について、何か知ってるの?」

 

ドロシーの問いにヨハンが返す

 

「リリスは竜の鍵がカルデアに封印されている、と言ったと思うがそれはフェイクだ。

実際にはリリスがメルヘヴンに持ち込み、ドロシーの世界で実験を行ったのだろう。

 

竜の鍵と呼ばれているが、ドロシーの言う金の鍵の形状をしているのであれば

かつて、メルテクノロジー社が開発した時空超越のARM"クシナダの鍵"」

 

竜の鍵は一つじゃない。

更にヨハンが続ける。

 

「クシナダはあくまで、竜の鍵の一つだ。

闇の鍵、光の鍵、火の鍵、氷の鍵、雷の鍵、鋼の鍵、風の鍵

クシナダを合わせ8つの鍵を総称して、この世界では竜の鍵と呼ばれている。

鍵というより正確には、そのARMに埋め込まれたマジックストーンだが。

シキの月読、スクリーチの建御雷神も竜の鍵の一つだ。」

 

これは驚愕の事実!

更に話は続く。

 

「メルテクノロジー社の目的は竜の鍵を開放し

世界最強のガーディアンARM ヤマタノオロチを持って武力で世界を支配する事だろう。

だが、竜の鍵もこの世界では散り散りになり、姿を変え各企業が保有している。

月読、天照、迦具土神、村雨、武御雷神...私の知る竜の鍵はこの5つ。」

 

「全部、ムラマサの刀じゃねぇか!」

 

「そうだシキ。

経緯は不明だがムラマサ社だけが、特殊なマジックストーンを独占し

強力な魔剣、妖刀を生み出す事ができた。」

 

ドロシーが間に入る。

 

「ちょっと待って、竜の鍵...

ヤマタノオロチは私の世界で召喚されて1000年前に討伐されたって...」

 

ヨハンの答え

 

「あれは、リリスが試験的に用いた未完成品だ。

ドロシーの世界にも闇、光、火、氷など様々なマジックストーンがあっただろう?

代替品で実験を行い、その結果、人類の9割を失い建て直されたのが、この世界だ。

もし、完全体のヤマタノオロチが召喚されれば、どんな方法を用いても倒すことはできない。」

 

「リリスって何者なの?」

 

ドロシーの問いに返答されたリリスの正体

 

ARM 製造大手

メルテクノロジー社 CEO

クイーンカテゴリー

リリス・ブラドレイナ

 

「奴はメルテクノロジー社のトップだ。

そして、クシナダの力で過去と未来を自由に行き来できる存在。

彼女がナイトランカーでないのも、我々より遥かに高みの存在(クイーン)だからだろう。」

 

「ふざけんなよ...」

 

シキの感情が爆発する

 

「俺に月読を渡したのは...」

 

「月読の性質はダークネスARMだ、所有者の殆どが死亡している。

そんなものを携帯するくらいなら、時が来るまで適任者に持たせてしまうのが無難。

キミがナイトになったのも、ドロシーがこの世界に招かれたのも全てリリスの計画だ。

風の鍵は、恐らくドロシーの持つ風属性最強のARM ゼピュロスブルーム。」

 

しかし、ドロシーにも疑問が残る

 

「そんなにリリスが強いなら、私を殺してゼピュロスブルームを奪うことだって出来たはずじゃ。」

 

「それも可能だ、今のクイーンリリスには誰も勝てない。

だが、竜の鍵覚醒時には、鍵の持ち主である適任者の生贄が必要。

リリスがメルヘヴンで決行したヤマタノオロチ召喚実験...

カルデアを選んだのも生贄の確保に適していたからだ。

かつて魔法の国と謳われた都市、質の良い生贄が揃っていたはずだろう。」

 

「許せない...」

 

これには、ドロシーも憤りを抑えられなかった。

レイヴンと闘っている間に、少なくとも8人がリリスの非人道的な実験の犠牲になったという事実。

それだけじゃない。

カルデア襲撃から、自分がこの世界に飛ばされるまで何人が、あの8つ首の竜の怪物に殺された?

やっとの思いで討伐された、その怪物さえもリリスの実験、お遊びだっていうのか?

 

ヨハンが続ける

 

「さて、私達の目的はリリスの暗殺だ。

そこは利害の一致とみて良いかな?」

 

刹那、シキが静かに口を開く。

 

「バカバカしい、メルテクにもムラマサにも黙っててやるから勝手にやってろ。

俺がこの世から消してぇのはスレイプニル社のスタークだけだ。」

 

「スレイプニル・インターナショナル所属

ナイトランク1位、魔弾 スターク・アルバーン

彼が恐らく鋼の鍵を所持していると私は睨んでいる。」

 

「鍵鍵うるせぇよ!

アパートの前であたふたしてるおばちゃんか?

要するにリリスもアンタも、俺の復讐を利用しているだけじゃねーか!」

 

「否定はしない、だがキミが協力してくれるなら

私もそれ以上のメリットを献上すると約束しよう。

例えば、スターク・アルバーンを共闘して殺害する。」

 

「俺一人では、勝てねぇと?」

 

「そうだ、キミの姉さん、ブレアでも勝てなかった相手だ。

キミ一人で勝てる相手であれば私も応援したい。

だが、ここに居る全員が一人ではリリスにもスタークにも勝てないのも事実。」

 

こればかりは、ドロシーもシキを庇えない。

ランク4位のスクリーチ相手でも、ヨハンが来なければ危なかった。

そのヨハンより上、このスタークってやつは想像を絶する怪物なのだろう。

 

シキがドロシーとヨハンに背を向ける

 

「気分が悪ぃ、外に出てくる。

ムラマサにホーリーARM回収失敗の報告もしなきゃならねぇしな。

人助けで失敗しましたって。」

 

「ちょっと、私に当たる気!?」

 

流石にドロシーも今の言い方に思うことはあったのだろうが

ヨハンがけん制

 

「シキ、キミがどうしても一人で復讐を成し遂げたいのであれば私も止めはしない。

だが、これだけは忘れないで欲しい。

メルテクが...リリスが竜の鍵を揃えた時、この世界は滅ぶ。

あれは人の手に余る、ガーディアンではなく神そのものだ。

所詮、人は人...神を従えることはできない。」

 

「お前もメルテク所属のナイトじゃねぇか。」

 

「あんなカスみたいな企業、今すぐにでも潰してやりたいよ。

しかし、自分の非力を受け止めているつもりだ。

キミの姉さんに敗れた時言われたよ、引退してハンバーガー屋でもやってろとね。

いざ、やってみたら面白くて、今は私の生き甲斐だ。

何故、ハンバーガーなのかは分からないが。」

 

「姉ちゃ...姉貴、ハンバーガー好きだったから。

適当に言っただけだろ。」

 

「いつか、食べに来て貰うのが夢だった。

しかし、叶わなくなった今、天国のブレアに名前が届くくらい店を大きくするのが私の夢だ。

だから、この世界を亡ぼしたくない。」

 

「ヨハン、姉貴好きだったのか?」

 

「否定はしない。」

 

「キモイ」って言われてたこと、教えてやろうかと思ったけどやめた。

シキには、復讐を遂げた後の未来は想像もつかない。

そもそも、スタークと闘い無事で済むと思っていない。

相打ち覚悟の決闘、それがシキの夢

 

夢に近付くにつれ迫る死期

 

だから、月読という所有者を死に誘う刀を臆することなく振るうことができた。

姉のように闘って死ぬことが誇りだったからだ。

今にして思えば、これもリリスの掌で踊らされてたという真実

 

無言のまま、シキはドロシーとヨハンの前から立ち去った。

 

「何よ、あの言い方!」

 

ドロシーも納得いかない様子

 

「私の言葉選びが悪かったのだろう。

ドロシー、シキを頼めるか?」

 

「えーどうしようかな。

さっきの言葉、なんかムカついたし!」

 

「あれはシキの本心ではないよ。

だが、シキはリリスから月読を受け取ったと言っていた。

彼は天涯孤独の身だ

月読を手渡された時、リリス温情を受けていたとしたら

私がそれを否定してしまったことになる。」

 

「そんなのヨハンが気にすることじゃないでしょ?」

 

「私がキミとシキを目的の為に利用しようとしているのは事実だ。

だが、シキに死んでもらいたくないというのも、私の本心であるつもりだよ。」

 

「シキがブレアの弟だから?」

 

「彼女に敗れた時、私は死を覚悟した。

だが、彼女の気まぐれ、シキの言う彼女の適当な発言が

私を今日まで生かしてくれた。

この店を始めるまで、私も孤独だったからね。

分かるよ、シキの気持ちが。」

 

シキがここまで自分を受け入れてくれたのは、姉の姿を重ねていたのだろうとドロシーも内心は察していた。

ヨハンとドロシーに当たる形で飛び出してしまったのも孤独、寂しさを受け入れたくない男の子ならではの意地なのだろう。

 

要するに拗ねているのだ。

 

「まったく、手のかかる子だよホント。

連れ戻してお説教ね。」

 

そんな所が、またドロシーの母性を擽るのだろう。

それぞれの行動の指針が纏まった。

 

リリスより先に8つの竜の鍵の回収する。

 

時の鍵 クシナダの鍵(リリス所持)

闇の鍵 月読(シキ所持)

光の鍵 天照

火の鍵 迦具土神

氷の鍵 村雨

雷の鍵 建御雷神(スクリーチ所持)

鋼の鍵 ???(スターク所持の推察)

風の鍵 ゼピュロスブルーム(ドロシー所持)

 

これらの鍵が全てメルテクノロジー社に渡れば世界が滅びる

 

・ドロシー

オズ、レイヴン、バレットとの接触

竜の鍵の開放を阻止

 

・ヨハン

リリスを暗殺しメルテクノロジー社を内部から破壊する事

竜の鍵の回収管理

 

・シキ

ナイトランク1位 魔弾 スターク・アルバーンの抹殺

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