※この作品はR-18です。

MAR-ナイトランカーズ   作:るしふぇる

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ACT.16「死神の仮面」

トウキョウエリア

バーガーショップ「Trick or treat!」

PM.20:45

 

『ドロシー、すまないが...

夕食のスープの鍋、火を掛けっぱなしだ。

このままでは火事になってしまう。』

 

ヨハンの頼みを断れず、慌ててシキと戻ったが

 

「嘘じゃん...」

 

ドロシーがつぶやく。

 

夕食のコンソメスープ、鍋の火は消えていた。

3人分のポークソテー、サラダ

炊飯器には炊き立てのご飯

 

既に夕食の準備は済まされていた。

全てドロシー達を遠ざける為の嘘

 

「何なのアイツ、もうッ!」

 

シキの治療をしながらドロシーが激怒する。

深手の彼を置いて戻るわけにもいかない。

 

バレットの卑劣な言葉が心に残る。

 

『貴様が我々に従わぬというのであれば

この世界で貴様に関わった人間全て、臓物を引きずり出して殺してやったも良いのだぞ!?』

 

(悪名高いカルデアの魔女

皆にそう罵られ、避けられてきた。

 

だから私は、人と関わるのが苦手なんだ。

私のせいで、その人まで避けられて欲しくないから...

 

傷付いてほしくないから...)

 

「信じようぜ?

ナイトランク2位なんだろヨハン、犬っころには負けないだろ。」

 

「うるさい、ワンコ!」

 

そう、シキもドロシーにとってはワンコなのだ。

シキワンコが小さくなる。

ドロシーが、か細くなった声で返す。

 

「ねぇ、シキ...

私、このお店には、もう来ない方が良いのかな...?」

 

一方

 

ヨハンVSバレット

 

いや...VSというべきなのか...

人狼、ワーウルフ族の武闘派、バレットが疾走する。

正確に言えば...逃げているのだ。

 

未だかつてない恐怖の死神から

公園を走り抜け、市街地で視線を浴び、それでもなお走る!

 

トウキョウエリア

オフィス街 PM 21:10

既に営業を終えたビルが並ぶ人気のない空間

 

「くッ、また、あのカエルのバケモノッ!」

 

バレットは怯えていた。

ビルの壁が歪み、そこからヌルッと現れる巨大な白い顔

形容するなら真っ白なカエル...

目がなく、そこには大きな口だけが存在し...

 

「ヒヒヒヒヒヒヒ」

 

怯える人狼を不気味に嘲笑うカエル

 

「わ、笑うな、笑うな、笑うなぁッ!」

 

 

ディメンションARM

バエルβ深淵(アビス)

メルテクノロジー社が開発したバエルシリーズの一つ。

【能力】

ガーディアンとは異なる、目を持たない白いカエルの怪物。

異空間を作り出し、その中を移動する事が出来る。

 

 

恐怖するバレット

そして、カエルの口が開き、姿を現したのはドロシーがヨハンと呼んでいた金髪の男...

 

エメラルドグリーンの瞳

黒のロングコートの下は、紺のベストに赤のネクタイ、純白のシャツ

そして、紳士の風貌に似合わず、背に8本の大鎌を生やした蜘蛛の様なシルエットを見せる死神

 

背中から手近な1本の大鎌を抜き、それを両手で振りかぶる!

大鎌の一閃が、間一髪で躱したバレットの頭上をかすめる。

 

彼が恐怖するのは、この死神が纏う不気味なオーラ

人狼の、動物の直感が告げる確実な死

 

逃げても、逃げても、あのカエルが先回りをし追い付いてくる!

何とか退路を...

 

刹那、死神の背中から7本の大鎌が放たれ...

 

 

ゴーストARM

バエルα狩人(タランチュラ)

死神 ヨハン・ハーミットのメインARM

【能力】

使用者と融合する8本の白銀の大鎌

ムラマサ社が独自開発した記憶形状合金が盗用されている為

伸縮自在かつ、糸状に変化する。

身体から切り離した後も自在にコントロールする事が可能。

 

放たれた大鎌が空中で静止し黒い糸を放つ

糸が雁字搦めの檻となりバレットと死神を閉じ込める。

 

 

ここは、既に死神の巣

逃げ場はない

 

逆鱗に触れられた死神が続ける

 

「オレの店の客を殺すか...

創業以来初めてだよ、そのような事を言う愚か者は...」

 

死神が大鎌を投げる。

ブーメランのように襲い掛かる凶刃!

 

バレットが飛び、それを躱すが

上空には張り巡らされた蜘蛛の糸

 

逃走が叶わない以上、丸腰となった死神を...

 

「なッ!?」

 

バレットのそんな期待を裏切り

回転する大鎌が空中で蜘蛛の巣のように変化し彼を捕らえる!

 

「ぐおおおぅ、クソッ、動けんッ!

何だこのARMはッ!」

 

蜘蛛の巣がバレットを絡めとる。

そして...

 

「ちょ...えぇ!?」

 

間抜けな声を出すバレット

死神はアスファルトから伸びるパーキングメーターを...

 

バキバキバキッ!

 

人外な力で抜き出してしまった。

まるで、畑から野菜を引き抜くように、バキバキとアスファルトを砕き

電線を引きちぎり、引き抜かれたパーキングメーター

 

この異様な怪力は人間、ワーウルフ族の域を超えている!?

手にしたパーキングメーターを振り上げる死神

 

「オレの店の客をどうすると?」

 

ドガァン!

 

パーキングメーターでバレットぶん殴る!

 

「ぐあああぁぁぁぁッ!」

 

「ドロシーに関わった人間に何をすると?」

 

ガン!

 

「うがあああぁぁッ!」

(こ、殺される...)

 

網の中で頭を抱え、武人の誇りを捨てた格好で耐える。

既に身体中の至る所を骨折しているのを感じる。

 

「さっき、オレに言ったよな?

ドロシーを差し出せば、今回ばかりはシキとオレを見逃してやる...と。

誰にクチきいてんだお前!?」

 

ガンッ!

 

「うぎいいいぃぃぃッ!」

 

バレットを捕らえる網が、死神と彼を囲う蜘蛛の巣が

大鎌の形状に戻り死神の体内へ帰還する。

シキの月読と同様に、記憶形状合金故に変化している時間に制限もあるのだろう。

 

だが、全身骨折で瀕死のバレットに逃げる体力は残されていない。

死神が続ける。

 

「チャンスをやろう、ドロシーから聞くに

お前はワーウルフ族の誇り高き武闘家なのだろう?

打って見ろ、その誇り高き一撃をオレに!」

 

「おのれぇッ!

人狼拳、鉄斬爪ッ!」

 

立ち上がったバレットの渾身の一撃

だが、そんなものがナイトランク2位の怪物、死神ヨハン・ハーミットに通じるわけがない。

突き出した左腕が、あっさり捕らえられ...

 

バキッ!

 

「うがあぁぁッ!」

 

桁外れの握力でへし折られ、本来曲がるはずがない方向へぶらんと垂れ下がる。

 

「この程度で拳法家を名乗るとは、ワーウルフ族...

愚かにも程がある。」

 

ブチィッ!

 

死神がバレットの左腕を皮膚と筋組織ごと引きちぎる。

まるで、玩具のロボットを分解するかのように...

 

「ーーーーーーーッ!?」

 

左腕を失い、声にならない断末魔を上げるバレット

右腕も折れ、既に闘う術はない。

 

再び死神の背から8本の大鎌が出現。

蜘蛛の脚のように可動し...

 

グサグサと音を立てバレットを串刺しにし持ち上げる。

既に叫ぶ気力もない人狼に、死神が淡々と続ける。

 

「オレは武術家ではないが

本当の拳法というのは、こういうのを言うんじゃないかッ!?」

 

ドォンッ!

 

空中で串刺しにされたバレットのミゾオチに強烈な一撃。

その音は、まるで交通事故を思わせるほどの衝撃

 

「げええぇッ!」

 

内臓が破裂し、口から血を吐くバレット...

 

「こ...殺せ..」

 

バレットも死を覚悟するが死神は

 

「これ以上やっては本当に死んでしまうな。

私としたことが、つい頭に血が昇ってしまったか。」

 

8本の大鎌が消滅しバレットを開放する。

アスファルトに倒れる人狼バレット

 

「どういう...ことだ..殺せ...

武人の俺に..情けは無用ッ!」

 

ヨハンが返す

 

「これは処刑ではない警告だ。

ドロシーも、シキも、私も、望むならいつでも相手になろう。

だが、あの店に手を出せばどうなるか...

オズくんとリリスにも伝えておくと良い。

キミは戦争だと言ったが、超えてはいけない境界はある。」

 

倒れるバレットの前に、何処から迷い込んだのか小さな黒猫が姿を現す。

その顔は不気味で...血走った白目

まるで、動く死体。

 

 

ガーディアンARM

バエルγ神罰(ネメシス)

死神 ヨハン・ハーミットのガーディアン

【能力】

外見は白目を向いた小さな黒猫

その姿は動く死体を思わせ...

 

 

「このガーディアンは私のお気に入りでね。

これが、キミへの罰だ。

永遠に光を失うがいい。」

 

 

ヨハンが告げると同時に...

 

「ミャアアァァァ!」

 

奇声を上げネメシスと呼ばれる黒猫がバンッ!と音を立て破裂し爆散

バレットの目の前で血や臓物を撒き散らし...

 

「おぁぁッ!」

(目が、目が焼ける...能力は酸かッ!?)

 

黒猫の血液か死骸の一部がバレットの目に入り、焼ける痛みが彼を襲う。

ヨハンが続ける。

 

「境界を越えた見せしめだ。。

ワーウルフなら匂いを辿れば仲間の元に帰れるだろう。」

 

神罰(ネメシス)に目を焼かれ、のた打ち回るバレットを背にヨハンが去る。

 

メルテクノロジー社所属

ナイトランク2位

ヨハン・ハーミット

 

VS

 

異界からの刺客

推定ランク7位

人狼バレット

 

ヨハンの勝利

バレットは左腕欠損、両目失明、内臓破裂、複雑骨折多数と重症ながらも生還

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