※この作品はR-18です。

MAR-ナイトランカーズ   作:るしふぇる

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ACT.19「最強コンビ!?ドロシーとシキ」

トウキョウエリア

商店街 イベント広場

午後 7時20分

 

ドロシーVSザ・フレイムソード・リーパー

 

傷付き倒れたドロシーを庇うキサラに迫るリーパー

乱入し、そのリーパーの両腕を月読の赤い剣閃が薙ぐ!

 

ドロシーが背中の痛みを引きずりながら

 

「遅いよ、シキワンコ!」

 

「俺の台詞だっつーの、中々帰って来ねぇんだから!」

 

キサラが混乱する

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいッ!

ドロシーさんの言ってた、ワンコって...」

 

「そう、シキの事だよ。

シキエル・ヴァレンタイン、ナイトランクは...まぁ中の下くらい?」

 

「7位だよッ!」

 

あの、有名なナイトランカーのシキエル・ヴァレンタインが!?

ドロシーさんのワンコ?

 

「ええええぇぇぇッ!?」

 

キサラ驚愕!

ドロシーが続ける

 

「そうだ、シキにプレゼントがあるんだ。

初めて会った時、パーカーボロボロにしちゃったからね。

これ、オリエントタウンにしか売ってなかったんだから。」

 

キサラに預けていた買い物袋を受け取り

「はい、どうぞ!」と、それをシキに手渡すドロシー

その刹那、両腕を失ったリーパーが呻きシキに迫るが

 

「うるさい邪魔」

 

ドロシーからのプレゼントで頭がいっぱいのシキはリーパーを見向きもせず

逆手に持ったサムライソードの鞘でリーパーを殴る。

 

吹き飛ぶリーパー

 

シキのサムライソードこと妖刀月読に仕込まれた7つの能力の一つ。

妖刀、絶界、操刃、虚空、葬星...その内の一つ

 

鞘に仕込んだ斥力の結界「絶界の術式 鏡水」

 

その衝撃か、殴られ吹き飛ばされ街灯に激突したリーパーが、ピクピクと身体を痙攣させる。

 

「す、すごい...」

(ただ、鞘で殴っただけなのに、あの大きなリーパーが吹っ飛んだ!?)

 

シキの一撃に感動するキサラを他所目に

 

「うおおぉぉッ!

ドロシーが、これを俺に!?」

 

「似合ってると思うよ。」

 

ドロシーからのプレゼントは黒のパーカー

背中には黄色い三日月のプリント、シキの月読のイメージとピッタリでパーカーが大好きなシキがご満悦

さっそく袖を通しフードを被る

 

そこで「ぷふッ!」と笑いを堪えられず、噴き出すドロシー

 

「何だよ、何が可笑しいんだよ。」

 

シキの着ている黒いパーカー

彼自身は「カッコイイ!」と大喜びなのだが

耐え切れずドロシー

 

「きゃはははは、似合ってるよシキワンコ

いや、シキニャンコ?

あっははははは!」

 

大爆笑

 

「シスター、ドロシーがなんか壊れた!」

 

「シキエル様、あの...耳が..」

 

キサラも釣られ、プルプルと震えながら笑いを堪えている様子

気になり、商店街のガラスに映る自分の姿を確認するシキ

 

「なんじゃこりゃー!

フードに耳ついてるッ!」

 

シキの叫び声で、ついにドロシーはお腹を抱えて笑い転げてしまう。

 

「あっはははは、もうだめ、やめてシキ。

痛ッ...いでででで背中、背中が..

あはははははッ!」

 

面白すぎて、負傷した背中の痛みどころじゃないのだろう。

ここまで爆笑するドロシーも珍しいが

 

ヨハンから、自分の世界にはないパソコンを借り

教えてもらいながらインターネットで通販サイトを調べ

何とかシキにピッタリのパーカーを見付ける。

 

しかし、惜しくも通販在庫は完売

 

諦めきれず今度は同じ商品がないか、衣類店に片っ端から電話

オリエントタウンに1着だけ在庫を見つけ

 

「必ず買いに行くので、取り置きしてもらえませんか?」

と真剣な声で頼み込んだ。

 

ヨハンに頭を下げ半休を貰い

乗り慣れてない都会の地下鉄に迷いながら、やっとの思いで手に入れたシキへのプレゼント

それがこの、耳付き三日月パーカーなのだ。

 

このドロシーの笑いは初給料でプレゼントを手渡した嬉しさと

素直になれない恥ずかしさが入り混じったもの。

悪意があっての事じゃないとシキも理解していた。

 

仕事の休憩時間にパソコンで必死に調べものをしている姿...

何件も電話を掛けている姿を陰で見ていたから気付いていた。

 

そこまでして、届けてくれたドロシーからのプレゼント

真心は確かにシキに届いている。

 

「この耳が良いんだよ!

似合ってるか、シスター?」

 

キサラに振るシキ

 

「えぇ、とっても可愛いです!

シキエル様!」

 

笑顔で素直な感想のキサラにシキ硬直

 

「も、申し訳ございません、シキエル様!

とんだご無礼を...とても素敵だと..」

 

相手は、あのナイトランカーのシキエル

先日マフィアを壊滅させて、同じナイトランカーさえも追い返したと噂に聞く。

キサラにとっては雲の上の存在、失礼をすれば首を飛ばされかねない程の...

 

今のは馴れ馴れしかったんじゃないかとキサラが慌てて言い直すより先にシキ

 

「よっしゃーーー!

シスター公認で"可愛い"頂いたぞ!

超神聖な評価だッ!

ありがとうな、ドロシー!

えっと、シスターは名前...?」

 

「キサラです。

シキエル様、先程は助けてくれて、ありがとうございました!」

 

深々とお辞儀をするキサラに、耳付きフードのシキがご機嫌な表情で返す。

 

「礼を言うのは俺の方だよ。

リーパーの前に飛び出すなんて、お前勇気あるな。

ドロシーのこと、守ってくれて本当にありがとうな!

後は俺に任せて貰っても良いかな?」

 

「はいッ!」

 

大きく返事をするキサラ

傷付いたドロシーを見捨てる事が出来ず、咄嗟に飛び出してしまった。

 

『ドロシーさんをいじめないで』

 

そう叫んだけど、本当はビビりまくっていた。

「民間人が出しゃばるな」と怒られるんじゃないかと不安だった。

でも、ナイトの彼は想像と違った。

 

-私の無謀を、勇気と言って褒めてくれた。

もしかして、シキエル様って私が思っていたナイトと違うのかな?

ドロシーさんがワンコって言っても怒らないし

身分が低い私に対しても優しくしてくれるし

カッコイイなぁ...シキエル様..-

 

キサラの顔が熱くなる。

 

すっかり忘れていたが、今は闘いの場。

シキに吹き飛ばされたリーパーが身体を起こし切断された両腕を

 

「グォオオオォォッ!」

 

雄叫びと同時に再生させる!

切断された腕から出現したのは先程より大きい骨の剣!

 

シキが前に出る。

 

「俺が突っ込む!

ドロシーは後方から支援!」

 

「わかったわ。

アイツ剣だけじゃなく蹴り足も厄介だから気を付けて。

ああなりたくないでしょ?」

 

ドロシーが親指を指す方向に砕けたレンガの壁

先程、彼女が叩き付けられた場所

 

「大丈夫なのかドロシー?」

 

「平気よ、シキと一緒だから♪

でも...早く終わらせたいかな。」

 

心配かけまいと言葉にしないが、今でもドロシーは背中がズキズキと痛む。

やせ我慢で笑顔を見せているが、額から流れる脂っこい汗

彼女が叩き付けられ砕けたレンガの壁が、背中の痛みを物語る。

 

シキとドロシーの掛け合いに、キサラも胸打たれていた。

闘いで緊迫したドロシーに、笑顔を取り戻させる信頼関係

 

どっちもカッコイイ!

ドロシーさんも綺麗で優しくて強いし...

シキエル様はナイトなのに私の事、見下したりしないし...

 

シキエル様...

 

「キサラ、すぐ片付けるから安心しろ。」

 

シキはナイトでリーパー駆除のプロフェッショナル。

絶対の自信から「逃げろ」と言わない。

だが、キサラにとっては、もう憧れのシキエル様...

 

彼の事を想えば想うほど外見や台詞が美化されてしまい...

 

『キサラ、キミの事はオレが守るから安心してくれ、マイハニー!』

 

と低い声でイケメン化したシキの幻覚と幻聴へ変換されてしまう。

 

「わ...私、もうダメですーーーッ!」

 

シスター・キサラ、18歳にして初恋!?

恥ずかしさから物陰へダイブ

 

「何だあいつ、忙しい奴だな...」

 

その恋心に気付かないシキエル様と

 

「早く突っ込めよ、ワンコッ!」

 

余所見をするシキエル様ことワンコに指示を出すドロシー

 

先に地面を蹴ったリーパーがシキとドロシーに突撃!

シキも遅れて踏み込むも...

 

「虚空の術式、刻死界牢」

 

シキの周囲の空間がネガの世界へ反転する。

これが、シキの7つある月読の能力の一つ

時間の停止した結界に敵を幽閉する、刻死界牢

 

停止したリーパーの右横を抜刀しながら疾走

彼は居合いの達人

 

停止した時間は2秒程度だが充分斬れた。

 

ドロシーとキサラには、一瞬でシキがリーパーの背後に回り込む様にしか見えない。

そして、遅れて発生する8回の斬撃が燃えるリーパーの身体を切り刻む。

 

リーパーが背後に回ったシキへ、ドロシーにも見舞った強烈な後ろ蹴りを放つが...

 

「臭ぇ足向けんなよ、絶界の術式 鏡水」

 

シキの左手には月読の刀、そして右手に持つ鞘に仕込まれた結界が発動

月読の鞘は抜刀時の盾となり、斥力の結界でどんな攻撃も弾く!

 

鏡水に弾かれたリーパーが宙を舞う!

追撃はドロシーの役目!

 

「ゼピュロスブルーム・デア・シュトルム!」

 

その名の意味は嵐!

ドロシーがゼピュロスブルームを大きく薙ぎ払うと

巨大な竜巻が更にリーパーを巻き上げる!

 

更にシキも追い込みを掛ける。

この竜巻に乗じて、確実にリーパーを殺せる選択肢

 

「操刃の術式 屍山血河」

 

シキが月読の居合いを放つ!

刀身が8枚の刃に砕け、逆巻く風の中へ

 

月読の刀身は血を吸いすぎ、凝固した血液の様に赤黒く変色しているのが妖刀の由縁

さらに、その刀身はムラマサ社が独自に開発した液体金属、形状記憶合金!

様々な形状に変化する血の刃だ!

 

竜巻に紛れた血の刃がミキサーの様にリーパーをズタズタに切り刻む!

 

「グゥアアアアァ!」

 

リーパーも負けずと咆哮

ボロボロになりながらも竜巻の中で両手の骨剣をドロシー、シキそれぞれに向ける!

ドロシーもそれを見逃さない!

 

「来るよッ!」

 

ドロシーの叫びを合図にリーパーから放たれる炎の剣

燃える骨の剣が伸び、二人を襲うが!

 

同時に緊急回避し、共に肩を並べる。

竜巻が消え、上空でまだ生存するリーパー

 

「グァァアアアァァァァ!」

 

断末魔な様な咆哮を上げると同時に...

肋骨が飛び出し、胸からオレンジ色の光を放つ!

 

閃光

 

そして、上空からレーザー砲の様な炎柱が放たれる!

 

これは、ドロシーの風や、月読の鏡水を持っても防げない。

地上に直撃すれば商店街一帯は焦土と化すだろう。

 

「ドロシー、これで最後だ。

アレは引き受ける、トドメは任せた。」

 

シキの月読は強力な能力と引き換えに、シキから魔力と生命力を奪う妖刀

月読自身、術式の鏡水、刻死界牢、屍山血河それぞれが

ダークネス、ホーリー、ディメンション、ウェポンのARM属性を持つ。

そして、これが必殺の闇属性ネイチャーARMにして切り札

シキの言う通り、これで最後なのだろう

 

これで防げなければ、もう手は残されていない!

 

「葬星の術式 月影黒天球!」

 

月読から放たれる直径2メートルほどの黒い月

性質は光さえも飲み込む引力を持つ死の星、ブラックホール!

 

逆手に持った鏡水の鞘で、その黒い月を降り迫る火柱へ放つ!

黒い月が炎柱を吸収し、降着円盤を形成し無力化する!

まさに、宇宙の図鑑で見るブラックホールそのもの。

 

「グオォ!?」

 

不可解な現象に戸惑いの声を漏らすリーパー

 

「アンタも行くんだよ...あの闇の中に!」

 

ゼピュロスブルームでリーパーより上空を制したドロシーが最後の一撃。

 

「ゼピュロスブルーム・ヴィンド・シュペーア!」

 

その名の意味は風の槍

螺旋状に巻く風を纏った西風の箒尻をリーパーへ突き刺す!

 

「グギャアアアァァ!」

 

「吹き...飛べえええぇぇぇーーーーッ!」

 

リーパーの最後の断末魔とドロシーの気合い!

ゼピュロスブルームに貫かれ、螺旋状の突風に吹き飛ばされるリーパー

向かう先は葬星の術式が作り出した"黒い死の星"

 

「グゲエエエェ!」

 

炎が渦巻くブラックホールが

リーパーを文字通り、塵一つ残さず粉々に粉砕し消滅させる。

 

 

トウキョウエリア

商店街 イベント広場

午後 7時40分

ドロシー&シキVSザ・フレイムソード・リーパー

勝利したドロシー&シキがハイタッチをし幕を閉じた。

 

 

「す、凄いです!

2人とも、ドロシーさん、シキエル様!」

 

2人の闘いを見届けたキサラが飛び出し、どうやら興奮している様子!

 

「私、ナイトの闘いって初めて見ました!

いえ、ドロシーさんはナイトじゃないって言ってたけど、それでもあの...」

 

シキが間に入り落ち着かせる。

 

「ありがとう。

キサラ...その..シキエル様って呼び方、やめて貰っても良いかな...

俺そんなに偉くないし、いつもドロシーに助けて貰ってばかりだから...」

 

「ごめんなさい、私...興奮して失礼なことを..

馴れ馴れしかったですよね?」

 

今にも泣き出しそうな程暗い表情で俯いてしまうキサラ。

シキも慌てる。

 

「いや、違うんだ!

嬉しいよ、俺のこと褒めてくれるの!

でも、キサラはドロシーの友達だろ?

だったら、ナイトだから俺の方が偉いとか、そういうの無しにして...

キサラさえ良かったら、俺とも仲良くしてほしいんだ...友達として!」

 

まさかのシキの言葉に、キサラが顔を上げる。

あの、ナイトランカーが自分の友達!?

 

ドロシーも間に入る。

 

「うわッ、こいつキサラちゃんのこと口説いてる!

キモッ、私のこと好きだって言ってたくせに。」

 

「いや、好きだよ?ドロシーのこと!

でも、俺がシキエル様ってナリか?」

 

「まぁ、ワンコだもんねシキは。」

 

カルデアシティは恐い人ばかりだ。

治安も良くないし、ナイトランカーが企業の命令次第で人殺しも躊躇なくする事も知っている。

でも、この二人は悪い人じゃない。

意を決したキサラ

 

「あの、私なんかが、ドロシーさんや...えっと..」

 

呼び方に戸惑うキサラに

 

「シキで良いよ。」

 

「ドロシーさんと、シキさんと仲良くしても、本当に良いんでしょうか?」

 

ドロシーがキサラと同じ目線で屈み

 

「キサラちゃん、友達って許可を得て増やすものじゃないと思うんだ。

私は、キサラちゃんの事が大好きだよ。

私の為にリーパーに立ち向かってくれた。

教会のクリスマスの為に、声を上げて募金もしてた。

 

可愛いし、優しいし、努力家で、勇気もある。

良い所を沢山持ってるキサラちゃんが私は大好き。

 

シキの言う通りナイトだからとか、魔力を持ってるからとか、お金を沢山持ってるからとか関係ないよ。

この人の事をもっと知りたい、この人の事を大切にしたい。

お互いにそう思った時、もう友達になってるんだと思う。

キサラちゃんの気持ちを聞かせて欲しいな。」

 

この階級社会を否定するようなドロシーの愛情

孤児の自分にとって勿体ない優しい言葉

 

「私は...言えません..」

 

キサラの目から大粒の涙がこぼれる

 

「だって...ドロシーさんも、シキさんも

言葉に出来ないくらい、好きな所が、沢山あるから。

私も二人のことが、大好きですッ!」

 

「だったらもう、友達だね、私達。」

 

我慢できずにキサラがドロシーに抱き着く。

今日、心を許せるお友達とお姉さんが、同時に出来た気がした。

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